JP4548976B2 - 融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法 - Google Patents

融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法と、それによって得られる舗装構造に関するものである。さらに詳しくは、有料道路の料金所、交差点、横断歩道、道路曲線部、坂路及び坂下、チェーン脱着所、駐車場あるいは公共施設周辺の車道等に、また、歩道、コミュニティ道路、歩道橋、自転車道、公園あるいは広場等の歩道や自転車道に、さらには建築物の屋上駐車場等のブロック舗装等に実施して、美観と共に、優れた融雪機能と耐久性とを具備したブロック舗装を提供することができる融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法とそれによって得られる舗装構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冬期における積雪寒冷地での交通の確保は、地域社会の健全な経済活動や生活環境を確保する上で重要な課題であり、交通安全上の問題も含めて、除雪、融雪の諸観点から様々な対策が施されてきている。特に冬期交通の要衝となる幹線道路や公共機関へのアクセス道路等は除雪の徹底を図らねばならないが、中でも交差点、道路曲線部、坂道、橋、消防署前あるいは病院前等の交通安全対策上ないしは社会生活上重要な箇所に対しては、部分的に融雪機能を備えた舗装とし、積雪期においても常時舗装面を露出させて対応している。
【0003】
舗装に融雪機能を付加する方法には消雪方式や融雪方式等があり、最も一般的には、地下水、海水あるいは温泉水などを舗装面下に埋設したパイプに通水して一定時間間隔で路面に散水し、融雪する消雪パイプ方式が行われている。しかし、地下水を利用した消雪パイプ方式の場合には、ランニングコストが低いという利点を持つものの、地下水位の低下や地盤沈下を招くおそれがあり、地下水が豊富な地域以外には適用が困難である。また、海水を利用する場合には、海水の入手が容易な海岸沿いである必要があるばかりでなく、海水に含まれる電解質による塩害対策が平行して必要となる。また、温泉水を利用するにしても、温泉水を豊富に入手できる環境にある必要があり、利用できる地域はかなり限定され、普遍性に欠けるものである。
【0004】
このため、道路の限られた区間に融雪機能を持たせようとする場合には、舗装体の内部に、電熱線や放熱パイプなどの放熱体を埋設して、電熱線に通電したり、放熱パイプに加熱した水や不凍液或いは気体などの熱媒体を通して、舗装体を加温して融雪する融雪方式が採られることがある。放熱パイプとしては、一般に金属製又はプラスチック製のものが用いられている。金属製の放熱パイプは、敷設が煩雑で作業性は劣るものの耐久性が高いという特徴を有している。一方、プラスチック製の放熱パイプは、金属製のものよりも耐久性は劣るものの、敷設作業が容易で取り扱いやすいという特徴を有しており、最近では、プラスチック製の放熱パイプが主流になってきている。
【0005】
一方、舗装ブロックを敷設して舗装体とするブロック舗装は、景観に優れるとともに、最近では耐久性も向上し、歩道や広場等に限られず、車道などにも使用されるようになってきている。このようなブロック舗装に融雪機能を具備させるには、例えばアスファルト安定処理層や基層などの基盤上に、支持層としてサンドクッション層やドライモルタル層を設け、この中に放熱体を埋設し、更にその上に舗装ブロックを敷き並べる方法を採用することが一般的に行われている。しかし、この方法では、サンドクッション層やドライモルタル層などに埋設されている放熱体が損傷を受ける危険性があるので、サンドクッション層やドライモルタル層などに十分な転圧を加えることができず、そのため均一な支持層が構築できないばかりでなく、放熱体の埋設位置と非埋設位置とで締固め度が異なることから支持層の支持力が不均一となり易いという欠点がある。支持層の支持力が不均一であると、供用後に目地部のゆるみが発生し、不陸が発生しやすいことに加えて、目地部から浸入した雨水や融雪水等による砂の流出等が発生し、舗装ブロックにがたつきを生じ、時には、埋設された電熱線や放熱パイプ等の放熱体の破損につながる場合があり、放熱パイプから熱媒体が漏出することすらある。
【0006】
このような欠点を避けるため、基層としてのアスファルト舗装体中に放熱体を埋設し、アスファルト舗装と放熱体を一体化させた上にサンドクッション層の支持層を介して舗装ブロックを敷設するブロック舗装も試みられている。しかし、基層としてのアスファルト舗装体内に放熱体を埋設するに際しては、高温の加熱混合物を使用すると、放熱体の軟化変形や圧密変形、圧潰あるいは膨張による浮き上がり等が発生する恐れがあるので、あまり高温の加熱混合物は使用することができないという制約がある。しかも、強く転圧を加えると、埋設されている放熱体が損傷を受ける恐れがあるので、施工に際しては敷設機械は使用できず、人力に頼らざるを得なくなり、十分な締固めが期待できないばかりでなく、高い作業効率も期待できない。そのため、結果的に耐久性の劣るアスファルト舗装体しか得られず、供用後に、放熱体の破損や、放熱パイプの詰まり等の不具合の発生が後を絶たないという問題がある。
【0007】
一方、埋設された放熱パイプ等が転圧時に破損するのを防止する方策としては、例えば、特開平4−198505号公報に見られるように、路盤上に予め敷設されたプラスチックパイプ内に冷却媒体を封入し、この封入された冷却媒体を所定の加圧状態に保持しながら、アスファルトを打設することによって、プラスチックパイプの圧潰を防止するアスファルト舗装路加熱用パイプの敷設方法も提案されている。しかし、この方法は、作業中にプラスチックパイプが損傷を受けた場合には加圧状態にある冷却媒体が飛散する危険性を包含しており、必ずしも満足できるものではない。また例えば、特開平6−257107号公報にあるように、放熱体の上に保護カバーと補助板を被せて、下層アスファルト混合物を打設し、しかる後に補助板と保護カバーを外し、再度保護カバーを被せて上層アスファルトを打設する工法が提案されているが、作業がきわめて煩雑となる問題点を抱えている。
【0008】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、これらの従来技術が抱える問題点を解決するためになされたものであり、支持層の転圧を不要とし、しかも常温施工を可能とすることによって、埋設された電熱線や放熱パイプ等の放熱体の破損を危惧することなく施工することができる、耐久性の高い、融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法と、その構築方法によって構築される舗装構造を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく融雪機能を備えたブロック舗装を構築する工法について鋭意研究を重ねた結果、従来の砂やドライモルタルあるいは加熱アスファルト混合物等の放熱体保護材料に替えて、アスファルトセメントグラウト(以下、単に「ACグラウト」という)を放熱体の保護材料として使用し、放熱体を埋設した支持層を構築することにより、常温施工が可能で、充填性に優れ、転圧工程が不要で、かつ短時間に舗装ブロックを安定化させ、均一な支持力が得られるばかりでなく、放熱体に密着して熱伝導効率が優れる融雪機能を備えたブロック舗装を構築できることを見い出して本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、道路等の基盤上に、放熱体を埋設した支持層と、舗装ブロックからなるブロック層とを下からこの順に有する舗装構造を構築するに際し、基盤上の所定位置に放熱体を設置する工程、設置された放熱体よりも上部に舗装ブロックを敷設する工程、及び、基盤上面と舗装ブロック下面との間に存在する空間にACグラウトを注入し、放熱体を埋設した支持層を構築する工程を含む、融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法を提供するとともに、道路等の基盤上に、放熱体を埋設した硬化したACグラウトを含む支持層と、舗装ブロックからなるブロック層とを、下からこの順に有する融雪機能を備えたブロック舗装構造を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0011】
本発明の構築方法及び舗装構造においては、電熱線や放熱パイプ等の放熱体は、基盤と舗装ブロックとの間の支持層に埋設されるものであるが、その放熱体の埋設にはACグラウトが用いられる。ACグラウトは後述するように、アスファルト乳剤とセメントと細骨材をその主要成分として含む注入材であり、アスファルト乳剤を使用しているため常温施工が可能である。しかも充填性に優れ、基盤と舗装ブロック間の空間に注入された場合、電熱線や放熱パイプ等の放熱体の周囲や微少な間隙にも隈無く浸透、充填し、空隙を残さず、転圧が不要で、短時間で硬化して、放熱体を確実に固定、埋設、保護する支持層を形成することができるものである。本発明で使用するACグラウトが硬化して形成された支持層は、放熱体に密着し、放熱体から放出される熱を効率良く舗装ブロックに伝達することができると共に、基盤及び舗装ブロックとの接着性に優れ、十分な支持力を有し、また、雨水や融雪水等が基盤へ浸透するのを防止して、その結果、耐久性のある、熱応答性に優れた、融雪機能を備えたブロック舗装を構築することを可能にするものである。
【0012】
本発明の構築方法及び舗装構造においては、設置された放熱体よりも上部に舗装ブロックを敷設する工程の前であって、基盤上の所定位置に放熱体を設置する工程の後或いは後及び前に、骨材を敷き均し、設置された放熱体を骨材に埋没させ、骨材と、骨材間に充填されたACグラウトとによって、放熱体を埋設する支持層を形成することも可能である。舗装ブロックは、敷き均された骨材上に敷設されるので、これにより、レベル調整機能を有しない舗装ブロックを用いても、舗装ブロック上面レベルを所定位置に揃えた施工が可能である。一方、レベル調節部材を備えた舗装ブロックを用いる場合には、骨材を敷き均すことなく、舗装ブロックをその上面を所定レベルに揃えながら敷設し、舗装ブロックと基盤との間の空間にACグラウトを注入すれば良い。このように、本発明の構築方法は、どのような舗装ブロックにも対応することができるものである。
【0013】
本発明で使用するACグラウトは、使用する骨材の粒径や、基盤と舗装ブロック下面との距離などにも依存するけれども、フロータイムを9〜20秒の範囲に調整したものを使用するのが望ましく、ACグラウトのフロータイムが9〜20秒の範囲であれば、基盤と舗装ブロック下面との間の空間に、骨材の有無に関わりなく、速やかに浸透し、放熱体周囲も含めて、隙間なく充填、硬化することができる。
【0014】
また、本発明の構築方法において、施工時に、放熱体に通電或いは加熱した熱媒体を流入させることによって放熱体から熱を放出させると、注入されたACグラウトの硬化を促進することができると共に、特に、寒冷期の施工においては、注入したACグラウトの凍結を防止することができるという利点がある。
【0015】
本発明の構築方法及び舗装構造においては、支持層がACグラウト或いはACグラウトと骨材とによって構築されているので、舗装ブロック目地部からの浸透水が基盤まで浸透することは有効に防止されているが、舗装ブロック間の目地部に止水性の目地材を充填しておくことにより、基盤への雨水や融雪水などの浸透をより完全に防止することができる。
【0016】
本発明において、放熱体とは、電熱線や、金属製或いはプラスチック製などの放熱パイプを含み、その他、熱を放出して融雪することができるものであれば、加熱方式に制限はなく、どのようなものであっても良い。また、本発明において、基盤とは、その上に支持層と舗装ブロック層を構築することができるもの全てを含み、典型的には、アスファルト安定処理層や、基層を挙げることができる。
更に、本発明の構築方法並びに舗装構造の対象は、歩道、車道に限られず、その他、融雪機能が必要とされる舗装箇所であれば全てを対象とし、例えば、コミュニティ道路、ショッピングモール、自転車道、公園、広場、駐車場等も含むものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず使用材料について説明する。
【0018】
〈放熱体〉
本発明で放熱体として使用する電熱線は、通電線の材料、絶縁材料、被覆形状等を含めて特に限定するものではなく、一般的に融雪システムに適した材質のものであれば、いずれも使用することができるが、支持層中に埋設される必要があるので、基盤上に張り巡らしたときの高さが30mm以下のものが好ましい。また、同じく放熱体として使用する放熱パイプにあっても、材質、断面形状等を含めて特に限定するものではなく、鉄管、鉛管あるいはステンレス管やナイロン、ポリエチレン、ポリブテンあるいは塩化ビニール等のプラスチック製の温水ヒータ、ガスヒータ、不凍液ヒータ等の融雪システムに適した材質のものであれば、いずれも使用することができるが、支持層中に埋設される必要があるので、基盤上に張り巡らしたときの高さが30mm以下のものが好ましい。
【0019】
これらの放熱体を舗装等の基盤上に直接固定するための釘あるいはアンカーピン等は、一般的に融雪システムに使用されているものであれば特に限定するものではないが、ステンレス製やプラスチック等にてコーティングされた耐食性材料が望ましい。また、放熱体を、基盤上に予め設置したラス網やメッシュに固定する場合には、使用するラス筋やメッシュ筋及び結束線は、従来から使用されている融雪システムに適した材質、形状のものであればいずれも使用することができるが、ステンレス製やプラスチック等にてコーティングされた耐食性材料のものが望ましい。また、ラス網やメッシュは、目開きが50mm以上、線径が2mm〜5mmのものが望ましい。
【0020】
〈骨材〉
本発明で使用する支持層に用いる骨材は、最小寸法が5mm以上の単粒タイプで、連続空隙が確保でき、通常の強度を有していれば石質、サイズ等は特に限定するものではなく、砕石、鉱滓、玉砕、砂利、アスコン破砕材、コンクリート破砕材あるいは、人工焼成骨材、レンガ、タイル等の破砕材、陶磁器粒、エメリー等も使用することができる。好ましくは、粒径5〜13mmの6号砕石が用いられる。
【0021】
〈舗装ブロック〉
本発明で使用する舗装ブロックとは、天然石、舗装用コンクリート、平板、レンガ、インターロッキングブロック、弾性ブロック、およびタイル等のいずれであっても良い。これら舗装ブロックには、その底面に空気抜きのスリットを設けておくのが好ましい。また、例えば、特開平10−237804号公報に開示されているようなレベル調整部材を有する舗装ブロックも好適に使用することができる。
【0022】
天然石としては、主として大理石、花崗岩、安山岩、御影石等の石材を使用することができる。石材の形状としては、整形した直方体または立方体のブロックまたは石塊、これらの割石、整形石板および不整形石板等が用いられる。また、舗装用コンクリート平板としては、主としてJIS A 5304に規定される舗装用コンクリート平板として、普通平板、カラー平板、洗い出し平板、擬石平板等が使用されるが、透水平板、タイル張り平板、絵入り平板なども使用できる。
【0023】
レンガとしては、普通レンガ、インターロッキングブロックレンガ等があるが、普通レンガとしては、JIS R 1250に適合したものを好適に使用することができる。インターロッキングブロックとしては、インターロッキングブロック協会発行の平成6年版「インターロッキングブロック舗装」に記載されているインターロッキングブロックの品質規格に適合したものが好適に使用される。
【0024】
弾性ブロックとしては、主として廃タイヤ等を粉砕して得られる粒状のゴムに結合材として液状ウレタン樹脂等を添加して加熱圧縮成形したものなどを使用することができ、タイルとしては、主としてJIS A 5209に規定される磁器質、せっき質、陶器質等のタイルが使用される。また、タイルに粘弾性能を付加した弾性タイルも使用できる。
【0025】
〈ACグラウト〉
本発明で使用するACグラウトは、セメント、アスファルト乳剤、急硬性混和材、細骨材、凝結調整剤、消泡剤、膨張剤、添加剤および所要量の添加水からなる組成物である。個々の成分について詳述すれば以下のとおりである。
【0026】
ACグラウトに使用するセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、耐硫酸塩セメント、超速硬セメント、ジェットセメントなどが挙げられる。
【0027】
ACグラウトに使用するアスファルト乳剤は、ノニオン系アスファルト乳剤であって、アスファルトをノニオン系乳化剤、分散剤、安定剤等を使用して水中に乳化分散させて得られるものである。ACグラウトに使用するアスファルト乳剤は、ポリマー入りのものでも、ポリマー入りでないものでも良いが、ポリマー入りアスファルト乳剤の方が好ましい。
【0028】
ポリマー入りアスファルト乳剤に用いられる樹脂エマルジョンとしては、SBRエマルジョン、アクリルエマルジョン、EVAエマルジョンなどがある。本発明では、主としてSBRエマルジョンを配合したポリマー入りアスファルト乳剤が好適に使用される。SBRエマルジョンは、弱アルカリ性で、セメントおよびノニオン系アスファルト乳剤との混合性が良好である。
【0029】
アスファルト乳剤あるいはポリマー入りアスファルト乳剤の使用量は、通常、セメント100重量部に対し20〜210重量部の範囲である。アスファルト乳剤あるいはポリマー入りアスファルト乳剤の使用量が20重量部未満の場合は、ACグラウトに粘弾性を付与することができない。また、アスファルト乳剤あるいはポリマー入りアスファルト乳剤の使用量が210重量部を超える場合は、ACグラウトの強度が低下してACグラウト充填層の支持力を低下させる。
【0030】
ACグラウトに使用する急硬性混和材は、カルシウムアルミネートと無水石膏を、重量比で、1:1.4〜2.9の割合で混合して得られる混合物である。この混合物は、セメントに急硬性を付与してACグラウトに早期の強度発現を与える。無水石膏の配合比が1.4未満では、急硬性が弱く、また、無水石膏の配合比が2.9を超えると急硬性が強くなりすぎ可使時間のコントロールが難しくなる。急硬性混和材の使用量は、通常、セメント100重量部に対し、0〜70重量部、好ましくは30〜50重量部の範囲である。急硬性混和材の使用量が70を超えると急硬性が強くなりすぎて作業が困難となる。なお、急硬性混和材の使用は必須条件ではなく、ACグラウトの注入充填後の養生時間に制限がない場合は、使用しない場合がある。
【0031】
ACグラウトに使用する細骨材は、川砂、丘砂、山砂、スクリーンニングス、シリカサンド等である。その粒度は、通常、FM値(粗粒率)が1.0〜1.6の範囲が好ましい。FM値が1.0未満の場合は、ACグラウトが増粘し、充填性が悪くなり、一方、FM値が1.6を超えると材料の分離を起こし易くなる。
また、細骨材のかわりに、フライアッシュまたはシリカパウダー等の鉱物質の粉末状材料を使用しても良い。細骨材の使用量は、通常、セメント100重量部に対し、40〜220重量部の範囲である。細骨材の使用量が40重量部未満の場合は、硬化後のACグラウトが容積収縮を起こし易くなるのに対して、細骨材の使用量が220重量部を超えると材料分離を起こして作業が難しくなる。
【0032】
ACグラウトに使用する凝結調整剤とは、ポリカルボン酸等で、例えば、ジェットセッターなどが挙げられ、ACグラウトの可使時間の調整に有用である。凝結調整剤の使用量は、通常、セメント100重量部に対し、0〜5重量部の範囲である。凝結調整剤の使用量が5重量部を超えると可使時間は十分であるが早期の強度発現が期待できなくなる。
【0033】
ACグラウトに使用する消泡剤は、練混ぜ作業時に大きな不要な泡の導入を除去する目的で添加するもので通常、セメント100重量部に対し、消泡剤0〜1重量部の範囲で用いられる。使用量が1重量部を越えると、効果の割には経済的でない。
【0034】
ACグラウトに使用する膨張剤としては、例えば、アルミ粉末が挙げられ、膨張剤は、膨張率の調整のために、セメント100重量部に対し、0〜0.05重量部の範囲で用いられる。使用量が0.05重量部を越えると、ACグラウトの膨張破壊を起こす恐れがあるので、好ましくない。
【0035】
ACグラウトに使用する添加剤には、流動化剤や空気連行剤がある。流動化剤はACグラウトの作業性を向上させるためのもので、空気連行剤はACグラウトの耐凍害性改善に有効である。その使用量は、通常、セメント100重量部に対して0.1〜3重量部の範囲である。0.1重量部未満では効果がなく、一方、3重量部を越えるとACグラウトの材料分離や硬化不良あるいは硬化が著しく阻害され、好ましくない。通常、流動化及び空気連行化を共に付与できる添加剤が使用されるが、それぞれ単独で用いても良く、両者を併用しても良い。
【0036】
ACグラウトに使用する添加水としては、通常、セメントに好ましくない有害物を含んでいない淡水であれば如何なるものでも使用できる。例えば、水道水、工業用水、地下水、河川水、湖沼水などである。
【0037】
本発明で使用するACグラウトの調製法は次のとおりである。はじめに所定の容器に所要量のアスファルト乳剤を投入し、電動ハンドミキサーを用いて攪拌しながら添加水、凝結調整剤、添加剤等の各所要量を添加して混合液を調製する。
ついで、この混合液にセメント、急硬性混和材、細骨材、膨張剤の各所定量を添加して高速攪拌で練混ぜて本発明のACグラウトを調製することができる。また、作業能率を上げるために、予め、セメントの中に急硬性混和材、細骨材、膨張剤を各所要量の配合で混ぜ合わせた混合物や、アスファルト乳剤の中に予め添加剤等を所要量混入したアスファルト乳剤を使用しても良い。本発明で使用するACグラウトは、各成分の配合を加減して、フロータイムを9〜20秒の範囲に調整したものが望ましく、ACグラウトのフロータイムが9〜20秒の範囲であれば、基盤と舗装ブロック下面との間の空間に、骨材の有無に関わりなく、速やかに浸透し、放熱体周囲も含めて、隙間なく充填、硬化することができるものである。なお、フロータイムはPロート法(土木学会 JSCE F521)で測定したものである。調製されたACグラウトは、直ちに、注入作業に供される。
【0038】
〈目地材〉
目地部に注入充填する目地材としては、加熱式注入目地材または常温式注入目地材を使用する。加熱式注入目地材は、エラストマーアスファルト系、エラストマー樹脂系等からなる目地製品から選択する。また、常温式注入目地材は、ポリサルファイド系、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等からなる弾性目地製品から選択する。
【0039】
次に図面を用いて、本発明の融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法及びそれによって得られる舗装構造について説明する。
【0040】
まず、支持層の形成に骨材を使用する場合について説明する。図1の断面図及び図2の平面図に示すように、アスファルト安定処理層或いは基層などの基盤1上に、放熱体2を、例えば蛇行状などの所定の形状及び位置に張り巡らせ、設置する。放熱体2は基盤1上に固定するのが好ましく、放熱体2を基盤1上に固定するには、図示しない釘やアンカーピン等を用いても良いし、或いは、予め基盤1上にラス筋やメッシュ筋などを固定しておき、その固定されたラス筋やメッシュ筋の所定位置に、結束線などを用いて放熱体2を固定するようにしても良い。
なお、図示の例では、放熱体2として断面円形の放熱パイプを示しているが、放熱体2としては、放熱パイプに限られず、熱を放出することができるものであればどのようなものでも良いことは上記したとおりである。放熱体2の端部が、図示しない電気エネルギー源或いは熱媒体源と接続されることはいうまでもない。
【0041】
続いて、放熱体2の上からタックコートを散布する。タックコートとしては、ACグラウトと基盤1及び放熱体2との接着性を高めることができるものであれば、どのようなものを使用しても良いが、ACグラウトとの相性の観点からはアスファルト乳剤を用いるのが好ましく、中でもカチオン系のアスファルト乳剤が好適である。
【0042】
タックコートの散布が終わると、図3の断面図に示すように、骨材3を、放熱体2の上から、放熱体2を埋没させる厚さに敷き均す。このとき、骨材3は、その上面のレベルが一定となるように、換言すれば、その上に敷設される舗装ブロックの上面、すなわち舗装ブロック表面の高さが揃うように敷き均されていれば良く、転圧して締め固める必要はない。むしろ、その後に注入されるACグラウトが骨材間の間隙を通って隈無く浸透できるように、連続した空隙を残して敷き均される。従って、骨材3の敷き均しによって、骨材3に埋設された放熱体2が破損する恐れはないものである。なお、放熱体2が、例えば電熱線のように細いものである場合には、放熱体2を設置する前に、基盤1上に骨材3を敷き均し、その上に、放熱体2を設置するようにしても良い。この放熱体2の上からタックコートが散布され、更に、骨材3が放熱体2を埋設する厚さに敷き均されることはいうまでもない。
【0043】
続いて、敷き均された骨材3の上から、舗装ブロック4a、4b、4c・・・を、表面の高さを揃えながら、かつ、互いに隣接する舗装ブロックとの間には目地部5を空けて、敷設する。図4は、舗装ブロック4a、4b、4c・・・の敷設終了後の状態を示す平面図であって、舗装ブロック4a、4b、4c・・・が、骨材3の上に、所定の目地部5を空けて整然と敷設されているのが理解できる。
【0044】
舗装ブロック4a、4b、4c・・・の敷設が終わると、図5に示すように、別途調製したACグラウト7を、舗装ブロック4a、4b、4c・・・の目地部5から注入用ロート6を使用して注入する。目地部5からACグラウト7を注入する際に使用する注入用機器としては、注入用ロートに限られず、注入用ジョウロ、またはトレミー管等を用いても良い。目地部5から注入されたACグラウト7は、骨材3の間隙に浸透し、放熱体2の周囲や、ラス筋やメッシュ筋を使用している場合にはその下側なども含めて、基盤1の上面と舗装ブロック4a、4b、4c・・・の下面との間に存在する空間に隙間なく浸透し、それらの空間を充填する。同様の操作を、ACグラウト7の注入位置を変えながら、基盤1の上面と舗装ブロック4a、4b、4c・・・の下面との間に存在する全ての空間を完全に充填するまで繰り返す。充填されたACグラウト7は、比較的短時間で硬化し、骨材3と共に、放熱体2を埋設した支持層8を形成する。その後、目地部5には、目地材10を注入、充填して、施工を終了する。
【0045】
本発明で使用するACグラウトは、上述のように常温で施工することができるので、支持層8を形成する際に、埋設された放熱体2が熱によって変形を受けたり、損傷したりすることがない。このようにして構築される融雪機能を備えたブロック舗装は、基盤1の上に、下から順に、放熱体2を埋設した、硬化したACグラウトと骨材とを含む支持層8と、その上に敷設された舗装ブロック層9とを有する構造の舗装体であり、舗装ブロック4a、4b、4c・・・は、硬化したACグラウト7と骨材とによって形成される支持層に支持され、かつ、基盤1と一体化されているので、耐久性に優れ、雨水や融雪水等が基盤1にまで浸透することがなく、しかも、融雪機能を備えたブロック舗装である。
【0046】
次に、レベル調整部材を備えた舗装ブロックを使用し、支持層に骨材を使用しない場合の構築方法について説明する。この構築方法においても、基盤1の上に放熱体2を、所定形状、所定位置に固定し、その上からタックコートを散布するところまでは、骨材を用いる場合と変わりはない。タックコートの散布後、図6に示すように、舗装ブロック4d、4e、4f・・・をその表面高さを揃えて敷設するのであるが、舗装ブロック4d、4e、4f・・・には、例えば、特開平10−237804号公報に開示されているように、その裏面の所定箇所に複数の嵌合孔11が設けられており、この嵌合孔には、図示しないけれども、外方に開口する凹部材が嵌合固定されており、この凹部材の係合孔に係合する弾性材からなるレベル調節部材12が備えられている。舗装ブロック4d、4e、4f・・・の表面レベルを揃えるには、レベル調整部材12の嵌合孔11内への係合深さを調節すれば良く、効率良く複数の舗装ブロック4d、4e、4f・・・をその表面レベルを揃えて敷設することができるものである。このレベル調節部材12の材料としては、軽量で弾力性があり、成型可能で安価に得られる各種の樹脂材あるいは樹脂材をベースにするのが好適である。また、このレベル調節部材は、所定位置に舗装ブロックを多数並べた後、その後の作業等の外力で容易にずれることがないように、嵌合面、係合面に粘着材、接着材を塗布することも有効である。
【0047】
舗装ブロック4d、4e、4f・・・の敷設が終わると、骨材3を用いるときと同じく、図7に示すように、別途調製したACグラウト7を、舗装ブロック4d、4e、4f・・・の目地部5から注入用ロート6等を使用して注入する。目地部5から注入されたACグラウト7は、放熱体2の周囲や、ラス筋やメッシュ筋を使用している場合にはその下側なども含めて、基盤1の上面と舗装ブロック4d、4e、4f・・・の下面との間に存在する空間を充填する。同様の操作を、ACグラウト7の注入位置を変えながら、基盤1の上面と舗装ブロック4d、4e、4f・・・の下面との間に存在する全ての空間を充填するまで繰り返す。
充填されたACグラウト7は、比較的短時間で硬化し、放熱体2を埋設した支持層8を形成する。その後、目地部5には、図示しない目地材10を注入、充填して、施工を終了する。
【0048】
本発明で使用するACグラウトは、上述のように常温で施工することができるので、支持層8を形成する際に、埋設された放熱体2が熱によって変形を受けたり、損傷したりすることがない。また、支持層8は、硬化したACグラウト7によって形成されるので、転圧する必要がなく、転圧によって放熱体2が破損する恐れは皆無である。このようにして構築される融雪機能を備えたブロック舗装は、基盤1の上に、下から順に、放熱体2を埋設した、硬化したACグラウトを含む支持層8と、その上に敷設された舗装ブロック層9とを有する構造の舗装体であり、舗装ブロック4d、4e、4f・・・は、硬化したACグラウト7によって形成される支持層に支持され、かつ、基盤1と一体化されているので、耐久性に優れ、雨水や融雪水等が基盤1にまで浸透することがなく、しかも、融雪機能を備えたブロック舗装である。
【0049】
なお、上述した2種類の構築方法のいずれを採用するかは、施工現場の状況等に応じて、適宜選択可能であって必ずしも制限があるものではないが、いずれの構築方法を採用するかを選択する目安の一例を示せば、以下の通りである。すなわち、ACグラウトの注入位置から舗装ブロックの最深部までの水平距離が20cm以下の比較的小型のブロックを使用する場合で、かつ基盤上面と舗装ブロックの下面との間隙高が約2cm以上確保できる場合は、骨材を敷き均して放熱体を埋設した後に、舗装ブロックを上面高さの位置を合わせて敷設する構築方法を採用するのが好ましく、一方、ACグラウトの注入位置から舗装ブロックの最深部までの水平距離が20cmを超える大型のブロックを使用する場合や基盤上面と舗装ブロック下面との間隙が30mm未満の場合には、骨材を使用せず、レベル調整部材を有する舗装ブロックを用いる構築方法を採用するのが好ましい。
【0050】
なお、上記いずれの構築方法の場合でも、寒冷期における施工の場合は、注入したACグラウトの硬化に長時間を要したり、凍結を起こすことが予想されるので、放熱パイプを埋設する場合にあっては、養生用としてこのパイプに温風または温水等を通し、また、電熱線を埋設する場合は、通電することにより、放熱体から熱を放出させ、ACグラウトの硬化を促進したり、或いは、ACグラウトが凍結するのを防止したりすることができる。
【0051】
以下、実験及び実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
【0052】
〈実験1:ACグラウト硬化体の強度変化試験〉
本発明で放熱体が埋設される支持層を形成するACグラウトには、感温性の高い材料であるアスファルトが含まれているので、実際の供用時において、放熱体から放出される熱の影響をどの程度受けるかが問題となる。そこで、本発明で使用するACグラウトが、硬化後、実際の供用時と同じく加熱状態に晒された場合にその強度がどのように変化するかを試験した。
【0053】
内径50mm、高さ50mmの円筒に6号砕石を予め詰めたものと、詰めないものとを用意し、添加水によってPロートフロータイムを11±2秒に調整した、表1に示す配合のACグラウトを円筒内に流し込み、円柱状の供試体を2種類作製した。
なお、使用した材料は以下のとおりであった。
セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)
ポリマー入りアスファルト乳剤:「BFゾル」(ニチレキ株式会社製)
細骨材:珪砂7号
急硬性混和材:カルシウムアルミネートと無水石膏とを重量比でカルシウムアルミネート1に対し無水石膏2の割合で混合した混合物
凝結調整剤:「ジェットセッター」(株式会社小野田製)
消泡剤:「TSA#930」(東芝シリコン株式会社製)
膨張剤:アルミ粉末(「C−250」、中島金属箔粉工業株式会社製)
添加剤:「ヴィンソル」(山宗化学株式会社製)
【0054】
【表1】
Figure 0004548976
【0055】
ACグラウトの注入後、一夜放置して硬化させ、脱型して、20℃で7日間養生した後、所定の温度に設定された恒温糟内に2時間静置して一軸圧縮試験に供した。その結果は表2に示すとおりである。なお、載荷速度は1mm/分であった。
【0056】
【表2】
Figure 0004548976
【0057】
表2から明らかなように、80℃に2時間静置した供試体においても、砕石の有無に関わらず、一軸圧縮強度は3.5N/mm以上を示した。一般的に大型車が路面に接したときの舗装表面の接地圧は概ね0.88N/mm以下と云われているので、融雪時に、硬化したACグラウトで形成される支持層の温度がたとえ80℃まで上昇した場合でも、本発明で使用するACグラウトは、舗装ブロックの支持層として十分な性能を維持することが確認できた。
【0058】
〈実験2:ACグラウト硬化体の硬化収縮性能試験〉
融雪機能を備えたブロック舗装は、支持層と舗装ブロックとの間に生じる空隙が断熱層となり、舗装ブロック表面への熱伝導性を著しく阻害するため、支持層を形成するグラウト材は硬化収縮率の低いものが望ましい。このため、本発明で使用するACグラウトと通常の急硬性セメントグラウトの硬化収縮率を測定して、本発明で使用するACグラウトの硬化収縮性能を把握した。
【0059】
実験1で使用したのと同じACグラウトを使用し、10×10×40cmの型枠内にACグラウトのみを充填硬化させた供試体、及び、同じ大きさの型枠内に6号砕石を充填し、更に、砕石間の空隙にACグラウトを注入充填硬化させた供試体を作製し、供試体作製時から1.5時間後を基準として、その後の3ヶ月間の硬化収縮率を室内で測定した。同様に、対照として、市販の超早強セメント(「ジェットセメント」、太平洋セメント株式会社製)と砂を重量比1:3で配合したものに、PロートフロータイムがACグラウトと同じとなるように添加水を加えて調整した急硬性セメントグラウトを用い、同様に供試体を作製し、硬化収縮率を測定した。
【0060】
その結果、ACグラウトのみを単体で硬化させた供試体、及び、砕石空隙にACグラウトを注入充填して硬化させた供試体のいずれも、材令初期では体積膨張を起こし、その後徐々に収縮していく現象が見られた。3ヶ月後では、いずれの供試体もほぼ収縮現象が収まり、安定する傾向を示し、いずれの供試体も、1×10−5オーダーの収縮率を示し、きわめて硬化収縮率が低いことが分かった。
これに対して、対照のセメントグラウトは、1×10−4オーダーという硬化収縮率を示した。なお、試験環境は温度20℃、湿度50%RHの環境下であり、材令毎にコンタクトゲージ法でL=300mm、基長=1.5hで測定した。
【0061】
〈実験3:凍結融解試験〉
融雪機能を備えた舗装は、積雪寒冷地をその対象としているため、冬期に繰り返し凍結・融解作用を受け、強度低下が懸念される。そのため、本発明で使用するACグラウトの凍結融解試験を実施し、その抵抗性を確認した。すなわち、10×10×20cmの型枠内にACグラウトのみを充填硬化させた供試体、及び、同じ大きさの型枠内に6号砕石を充填し、更に、砕石間の空隙にACグラウトを注入充填硬化させた供試体を対象にし、「舗装試験法便覧」、社団法人日本道路協会編、昭和63年11月10日発行の付録5によるコンクリートの凍結融解試験方法に準拠し、凍結融解後の供試体の相対動弾性係数を超音波法による共鳴振動法(JIS A 1127)により測定し、耐久性指数DFを求めた。その結果を表3に示す。なお、凍結融解試験条件は、温度を+5〜−18℃とし、1サイクルを約6時間とした。
【0062】
【表3】
Figure 0004548976
【0063】
表3に示した結果から明らかなように、ACグラウト単体が硬化した供試体は、凍結融解サイクル数300で、耐久性指数DF=87が得られ、また、砕石間の空隙にACグラウトを注入充填、硬化させた供試体は、凍結融解サイクル数300で、耐久性指数DF=90という優れた凍結融解抵抗性を示した。
【0064】
以上の結果は、本発明で使用するACグラウトは、単体で使用しても、或いは骨材と併用しても、融雪機能を備えたブロック舗装の支持層として、歩道だけでなく車道においても、十分に所期の機能を発揮することができるものであることを示している。
【0065】
〈実施例1〉
アスファルト舗装の基盤上に、ワイヤーメッシュ筋(径6mm、目開き150mm)を設置し、その上に外径22mmの放熱パイプ(架橋ポリエチレン管)をほぼ20cm間隔となるように蛇行状に張り巡らし、約30cm毎に結束線で放熱パイプ(架橋ポリエチレン管)とワイヤーメッシュ筋とを結束し、放熱パイプを基盤上に固定した。この上からタックコートとしてアスファルト乳剤(「PK−4」、ニチレキ株式会社製)を0.4リットル/mの割合で散布した後、粒径5〜13mmの6号砕石を平均厚さ3cmで敷き均して放熱パイプを埋設した。次いで、この敷き均された骨材層上に、裏面にエアー抜きスリット(5mm角の溝)を設けた御影石の舗装ブロック(20×30×8cm)を、目地巾を10mmとして上面高さが一定となるように、かつ平坦性が確保できるようにして敷設した。
【0066】
複数の舗装ブロックを敷設後、表1の配合のACグラウト(Pロートフロータイム10.5秒)を製造し、直ちに目地部より注入ロートを用いて、舗装ブロック下面と基盤上面との間に注入・充填した。さらに目地部に止水性のポリサルファイド系の弾性目地材(「ネオタイユシールコールド」、ニチレキ株式会社製)を注入して車道用の融雪機能を備えたブロック舗装を構築した。
【0067】
ACグラウトの硬化、固化を確認した後に、ACグラウトの充填性能を確認するため一部を開削し、舗装ブロック及び放熱パイプと固化したACグラウトとの接着状態や空隙の有無を観察した。その結果、舗装ブロック及び放熱パイプと固化したACグラウトとは密着しており、空隙も観察されずACグラウトが良好な充填性能を有することを確認した。
【0068】
積雪寒冷地に試験施工を実施し、追跡調査を行った結果、供用12ヶ月経過後にあっても路面の沈下は観察されず、良好な平坦性を保ち、ブロックの弛みや変形、水漏れ等もないばかりでなく、融雪剤による影響変化も見られないこと等から、当工法が優れた融雪機能を有する車道用ブロック舗装を提供できる工法であることを確認した。
【0069】
〈実施例2〉
アスファルト舗装の基盤上に、外径15mmのステンレス製の放熱パイプをほぼ20cm間隔となるように蛇行状に張り巡らし、約30cm毎に打設されたアンカーピンに結束線で固定した。この上からタックコートとして浸透用のアスファルト乳剤(「PK−4」、ニチレキ株式会社製)を0.4リットル/mの割合で散布した。その後、底面の4隅に高さ調整可能なプラスチック製のレベル調整部材を有した大判コンクリート版(90×90×8cm)を上面高が所定の高さとなるように調整し、目地巾を10mmとして平坦性を確保しながら配設した。この時の基盤面と大判コンクリート版の下面との間隙高は平均2cmとした。
大判コンクリート版を敷設後、巾約10mmの目地より表1に示した配合のACグラウトを注入ロートを用いて注入充填した。
【0070】
施工時の気温が5℃前後にあり、ACグラウトの硬化に時間が掛かることが予想されたため、ステンレス製の放熱パイプに約60℃の温風を吹き込み、硬化促進を図った。その結果、温風吹き込みにより硬化促進策を採らない場合に予想した硬化時間より約2時間硬化時間を短縮することができた。その後、目地部に止水性のポリサルファイド系の弾性目地材を充填して融雪機能を有する歩道用大判コンクリート版舗装を構築した。
【0071】
積雪寒冷地に試験施工を実施し、追跡調査を行った結果、供用14ヶ月経過後にあっても路面の沈下は観察されず、良好な平坦性を保ち、大判コンクリート版の弛みや変形等もなく歩道用の融雪機能を有した良好な歩道用大判コンクリート版舗装を構築することができた。
【0072】
〈実施例3〉
予め、基盤上にタックコートとして実施例2で使用したのと同じ浸透用のアスファルト乳剤を0.4リットル/mの割合で散布し、この上から5〜13mmの6号砕石を平均厚さ1.5cmで敷き均した。この上に外径8mmの電熱線をほぼ15cm間隔となるように蛇行状に張り巡らした。さらにこの上に6号砕石を平均厚さ2cmになるように敷き均した上にタイル(10×20×4cm)を目地幅5mmとして上面高さが一定となるように、かつ平坦性が確保できるようにして設置した。タイルを敷設後、この目地から表4に示す配合のACグラウト(早強タイプ)を注入ロートを用いて注入充填し、固化後、目地に目地材(シリコン系シーラント)を充填して融雪機能を備えた歩道用ブロック舗装を構築した。なお、このACグラウト(早強タイプ)の製造に使用した材料は、実験1に使用したものと同じである。使用したACグラウト(早強タイプ)の性状を表5に示す。
【0073】
【表4】
Figure 0004548976
【0074】
【表5】
Figure 0004548976
【0075】
積雪寒冷地に試験施工を実施し、追跡調査を行った結果、供用12ヶ月を経過した時点にあっても、路面の沈下は0.2mm以下で、わずかな沈下量に止まり、タイルの弛みや変形および埋設した電熱線は断線現象等の故障もみられず、良好な歩道用の融雪機能を有した電気ロードヒーティングタイル舗装を維持していた。
【0076】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法によれば、放熱体を埋設する支持層の転圧工程が不要であり、かつ、常温で施工することができるので、埋設される放熱体の破損や変形を危惧する必要がなく、耐久性に優れた、融雪機能を備えたブロック舗装を構築することができるものである。
また、使用するACグラウトは充填性に優れ、支持層内に空隙を残さず、短時間に硬化して、舗装ブロックを安定化させ、均一な支持力を発現するばかりでなく、舗装ブロックと放熱体、更には基盤への密着性が優れるため、熱伝導効率に優れ、しかも、硬化収縮率が極めて小さいので、供用後に収縮して、支持層内に空隙を生じるという恐れもない。このような本発明の構築方法によって構築される融雪機能を備えたブロック舗装は、極めて耐久性に優れ、安定で、熱応答性にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の構築方法の一例の工程を説明する断面図である。
【図2】 本発明の構築方法の一例の工程を説明する平面図である。
【図3】 本発明の構築方法の一例の工程を説明する断面図である。
【図4】 本発明の構築方法の一例の工程を説明する平面図である。
【図5】 本発明の構築方法の一例の工程を説明する断面図である。
【図6】 本発明の構築方法の他の例の工程を説明する断面図である。
【図7】 本発明の構築方法の他の例の工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 基盤
2 放熱体
3 骨材
4a、4b・・・ 舗装ブロック
5 目地部
6 注入ロート
7 ACグラウト
8 支持層
9 舗装ブロック層
10 目地材
11 嵌合孔
12 レベル調整部材

Claims (6)

  1. 道路等の基盤上に、放熱体を埋設した支持層と、舗装ブロックからなるブロック層とを下からこの順に有する舗装構造を構築するに際し、基盤上の所定位置に放熱体を設置する工程、設置された放熱体よりも上部に舗装ブロックを敷設する工程基盤上面と舗装ブロック下面との間に存在する空間にアスファルトセメントグラウトを注入し、放熱体を埋設した支持層を構築する工程、及び、放熱体から熱を放出させて、注入されたアスファルトセメントグラウトの硬化促進及び/又は凍結防止を図る工程を含む、融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法。
  2. 設置された放熱体よりも上部に舗装ブロックを敷設する工程の前であって、基盤上の所定位置に放熱体を設置する工程の後或いは後及び前に骨材を敷き均し、設置された放熱体を骨材に埋没させる工程を含み、舗装ブロックを敷設する工程が、敷き均された骨材上面に舗装ブロックを敷設することによって行われる請求項1記載の融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法。
  3. 舗装ブロックが、基盤上面と舗装ブロック下面との間の距離を調整するレベル調整部材を備えており、舗装ブロックを敷設する工程が、このレベル調整部材によって舗装ブロック上面のレベルを調整しながら行われる請求項1記載の融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法。
  4. アスファルトセメントグラウトとして、セメント、アスファルト乳剤、及び、細骨材を含み、フロータイムを9〜20秒の範囲に調整したものを使用する請求項1、2又は3記載の融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法。
  5. 放熱体として、電熱線または放熱パイプを用いる請求項1、2、3又は4記載の融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法。
  6. 舗装ブロック間の目地空間部に目地材を充填する工程を含む、請求項1、2、3、4、又は5記載の融雪機能を備えたブロック舗装の構築方法。
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