JP3983029B2 - 保水性弾性舗装体の施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路、歩道、駐車場等に適用することのできる保水性弾性舗装体(以下、単に「舗装体」とも称する)の施工方法に関し、詳しくは、温度変化に伴う吸、排水機能を備えることにより、特に夏季における舗装路面の温度上昇を効果的に抑制することのできる保水性弾性舗装体の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の大都市部における夏場の気温上昇は著しく、ヒートアイランド現象と呼ばれて、対応策に注目が集まっている。このような都市部のヒートアイランド現象の発生要因としては、都市活動に伴って生ずる人工排熱と並んで、乾燥した舗装面から排熱が行われないことによる舗装道路の高温化や夜間での蓄熱が最も大きいと言われている。このため、舗装の改良の観点から気温上昇を抑制する手段として、雨水を舗装内部に浸透させる、いわゆる「透水性舗装」が、一時的に温度上昇を抑えられるという点から注目されるようになった。
【0003】
しかし、単に舗装内部に浸透させるだけでは長時間にわたって水を保持することは困難であるため、最近では、舗装の透水能力を小さくして、細かい空隙の持つ毛管力によって下部層から水分を補給することができる建材が開発されている。これを利用した舗装は、透水性舗装とは区別して、一般に「保水性舗装」と呼ばれており、かかる保水性舗装に係る技術として、これまでに、開粒度アスファルト舗装やポーラスコンクリート舗装等に対し吸水性樹脂を適用して舗装を低温化する方法(特開2000−104214号公報)、シルト系充填材またはシルト質等を含む加工された無機充填材を連続空隙を備えた表層中に充填してなる保水性舗装体(特許第3156151号公報、特開2000−109699号公報)などが提案されている。
【0004】
一方、アスファルトやコンクリート等を用いた汎用舗装に対して、舗装材料としてゴムチップ等の弾性骨材を用いた弾性舗装がある。かかる弾性舗装は、歩行者やジョギング者の足や膝に負担をかけにくい舗装として、公園やジョギングコース、幼稚園、ゴルフコース、スポーツ施設等に広く採用されている。また、近年では、歩き易い路面として注目され、都市部の歩道や公園、建物の屋上等にも、現場施工タイプやプレス成型ブロックタイプの弾性舗装が多く採用されるようになってきている。
【0005】
このような弾性舗装は、通常、コンクリート舗装やアスファルト舗装、透水性アスファルト舗装などの上に施工される場合がほとんどであり、排水性機能は有するものの、積極的な保水性機能は付与されていないのが一般的である。そのため、都市部の弾性舗装路面では、夏場には表面温度が著しく上昇し、都市部における気温上昇の要因となり得るという点では汎用アスファルト舗装並と考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、ポーラスコンクリート舗装や開粒度アスファルト舗装等の汎用舗装においては、舗装内の空隙部を利用した保水性舗装や、毛細管作用を利用した保水性舗装ブロック等が種々提案されてきており、車道や歩道に適用されている。しかしながら、ゴムチップ弾性舗装体における保水性舗装についてはこれまで十分な検討がなされてきたとはいえず、かかる弾性舗装の普及に伴い、ヒートアイランド現象の緩和の観点から、これについても保水性能を備えた舗装が求められているのが現状である。
【0007】
そこで本発明の目的は、ゴムチップ等の弾性骨材を用いた弾性舗装において保水性を付与することにより、弾性舗装の持つ機能を維持しつつ、特に都市部での夏季における舗装面温度の上昇、ひいては気温の上昇を抑制して、ヒートアイランド現象の緩和に寄与することのできる保水性弾性舗装体、その施工方法および保水性弾性舗装ブロックを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、保水性を有する弾性舗装について鋭意検討を進めた結果、下記構成とすることによって、弾性舗装体の表面性状を変化させることなく、即ち弾性舗装の機能を損なわずに、かつ、保水性機能をも備えた弾性舗装構造を実現することができ、高機能の保水性弾性舗装体が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決するために、本発明は、以下の通りである。
【0009】
(1)下地層上に、保水層および弾性層を積層する工程を含む保水性弾性舗装体の施工方法であって、前記保水性弾性舗装体が保水層と、該保水層上に積層され、弾性骨材およびバインダーを含む弾性層との2層構造を有する保水性弾性舗装体であって、前記保水層が、弾性骨材と、吸水性樹脂と、バインダーとを含む保水性弾性舗装体である該保水性弾性舗装体の施工方法において、前記保水層を形成するにあたり、前記弾性骨材およびバインダーを混合撹拌し、該撹拌の終了直前に前記吸水性樹脂を混合して、保水層用舗装材料を調製することを特徴とする保水性弾性舗装体の施工方法である。
【0010】
(2)上記(1)の保水性弾性舗装体において、前記保水層に含まれる弾性骨材の粒径が、前記弾性層に含まれる弾性骨材の粒径と同等かまたはそれより大きい保水性弾性舗装体の施工方法である。
【0011】
(3)上記(1)または(2)の保水性弾性舗装体において、前記吸水性樹脂が感温性吸放水性樹脂である保水性弾性舗装体の施工方法である。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの保水性弾性舗装体において、前記保水層と前記弾性層との厚さの比率が1:1〜5:1の範囲内である保水性弾性舗装体の施工方法である。
【0013】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの保水性弾性舗装体において、前記保水層における前記吸水性樹脂の配合量が10〜500g/m2の範囲内である保水性弾性舗装体の施工方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明の保水性弾性舗装体1は、保水層2と弾性層3とからなる二層構造を有し、下地層4上に施工される。即ち、ゴムチップ等の弾性骨材を主体とする弾性層3の下層に、吸水性を有する保水層2を配することで、舗装体の表層部をなす弾性層3の機能を確保しつつ、弾性層3を透過した雨水や散水を保水層2にて保持して、この保持水分により舗装面温度の上昇、さらには気温の上昇を防止する機能をも備えた、弾性舗装と保水性舗装の利点を兼ね備えた優れた舗装体を実現したものである。
【0017】
本発明の舗装体における温度上昇防止の原理としては、以下のようになる。即ち、日中の気温上昇により舗装面が暖められると、舗装体内部にもその熱が伝達されて内部温度が上昇するが、本発明の舗装体1においては、保水層2の温度上昇により、内部に保持された水分が蒸発することになる。この際、舗装体から水分蒸発に伴う気化熱を奪うために、舗装体内部の温度上昇を抑制することができるのである。これにより、保水層2のみならず弾性層3についても温度上昇の抑制効果を受けることができ、舗装面の温度、ひいては気温の上昇を防止して、都市部で問題となっているヒートアイランド現象の緩和にも寄与することができる。
【0018】
本発明の舗装体の表層部となる弾性層3としては、弾性骨材およびバインダーと、所望に応じ硬質骨材とを含有してなる通常のゴムチップ舗装を用いることができ、これにより、歩行性、滑り抵抗性、排水性、耐衝撃性等の弾性舗装の機能を確保することができる。弾性層3の厚さは、通常3〜30mm、好ましくは5〜20mm程度であり、舗装体1の全厚の1/2〜1/6程度とすることが、施工性や作業性の観点から好適である。
【0019】
弾性層3のゴムチップ舗装に用いる弾性骨材としては、通常用いられる粒状ゴム、ひじき状ゴム等のゴムチップ材を用いることができ、好適には粒径1〜7mm程度のものを用いる。ゴムチップ材は天然ゴム、合成ゴムのいずれでもよく、廃タイヤ等の加硫済みゴム製品を機械的に粉砕して形成したものを使用することができる。
【0020】
硬質骨材は所望に応じ用いることができ、川砂利、川砂等の天然の骨材や砕石、スラグ、コンクリート、ガラス、FRP等のリサイクル骨材などを使用することができる。この骨材に使用する石材、砂等は、完成した舗装の強度、耐摩耗性を確保し、表面に露出して防滑作用を得るためのものである。石材は互いに噛み合って荷重を分散させる機能を持つことが好ましく、このため、砕石のような尖った形状で硬いものが適当である。また、粒径0.5〜30mmの粗粒骨材に対して、粒径0.5mm以下の細粒骨材を5体積%以上混合することが好ましい。粗粒骨材は、主として通水性を得るために多孔質構造を形成するものであり、互いに噛み合って隙間を形成するような、砕石のような尖った形状で硬いものが適当である。一方、細粒骨材は、大型の粗粒骨材の表面に付着してタイヤ等に対して防滑作用(サンドペーパーのような研磨効果)をもたらすこととなる。
【0021】
また、バインダーとしては、湿気硬化型一液性ウレタン樹脂、熱硬化型一液性ウレタン樹脂、常温硬化型二液性ウレタン樹脂、熱硬化型二液性ウレタン樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、弾性エポキシ樹脂、アスファルト、アスファルトエマルジョン等の通常用いられるものを使用することができ、好ましくは、湿気硬化型一液性ウレタン樹脂、二液性ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、弾性エポキシ樹脂である。使用するバインダー量としては、熱硬化型一液性ウレタンおよび二液性ウレタン樹脂バインダーの場合には、10〜30体積%の範囲で混合することが好ましい。
【0022】
尚、舗装に着色することが景観上等から求められる場合には、バインダー中に無機粉体等からなる着色剤(トナー)を混合することにより着色することができ、この場合、着色剤はバインダーの3〜10体積%にて混合することが好ましい。また、弾性骨材として着色したゴムチップ、例えばEPDMのカラーゴムチップを用いることで、舗装に着色することもできる。
【0023】
保水層2は、本発明の舗装体1において路面温度の上昇抑制機能を担うものであり、通常のゴムチップ舗装を構成する材料に加えて、吸水性樹脂6を含有する。保水層2の機能を十分発揮させるために、保水層2の厚さは、通常5〜50mm、好ましくは10〜30mm程度であり、舗装体1の全厚の1/2〜5/6程度、特には1/2〜2/3程度とする。即ち、好適には、保水層2と弾性層3との厚さの比率が1:1〜5:1、特には1:1〜2:1の範囲内である。
【0024】
吸水性樹脂6は、図1の丸で囲んだ部分の拡大図である図2に示すように、保水層2中で、弾性骨材5の間の空隙にバインダー7により結着されて充填され、低温時にはこの空隙に浸入した水分を吸水して保持するとともに、高温時には水分を排出する機能を有する。従って、かかる吸水性樹脂6の機能を十分に発揮させるためには、図示するように、吸水性樹脂6が、バインダー7表面から少なくとも一部分露出した状態にて、弾性骨材5に結着されていることが好ましい。吸水性樹脂6がバインダー7により完全に覆われていると、十分に水分を保持することができなくなる。
【0025】
吸水性樹脂6としては、上記吸、排水機能を備えているものであれば特に制限されず、いかなる樹脂を用いてもよいが、好適には、感温性吸放水性樹脂を用いる。かかる感温性吸放水性樹脂としては、例えば、特開2000−189455号公報に記載されている、N−置換アクリルアミド類およびアクリロイルピペリジン、アクリロイルピロリジンの中から選ばれるアクリルアミド誘導体を主成分モノマーとして、これに(メタ)アクリル酸及びそのアルカリ金属塩、ジメチルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の親水性モノマーを共重合し架橋する事により得られるアクリル系樹脂(具体的には、(株)興人製、商品名サーモゲル)等を挙げることができる。この感温性吸放水性樹脂は、設定した感温点以下では吸水性ポリマーとして作用し、水分を吸収して膨潤する一方、設定された感温点にまで加温されることにより、吸収していた水を放出して収縮する。この感温点、即ち、吸水と排水とが切り替わる温度は、モノマー類の共重合比率の選択により容易にコントロールすることができるため、舗装体の施工場所の気候条件等に応じてこの温度を適切に設定することが可能であり、舗装体を適用する各地域に応じた保水機能を発揮させることができる。一般的な吸水性樹脂でも温度上昇抑制効果はあるが、特に、夏季の舗装体内の温度上昇を考慮した場合には、かかる感温性吸放水性樹脂を用いることが好適である。即ち、気温の上昇に伴い舗装面温度、次いで保水層温度が上昇して、一定温度に達することで放湿を開始させることができるため、より効果的な温度上昇の抑制を図ることができるからである。
【0026】
上記アクリル系樹脂の架橋方法としては、ポリマーの重合時にメチレンビスアクリルアミド等の多官能ビニルモノマーを共重合する方法、ポリマーの重合時に反応性基を有するモノマーを共重合した後、化学反応によって架橋する方法およびポリマーを電磁線で架橋する方法等がある。
【0027】
保水層2における吸水性樹脂6の配合量は、用いる吸水性樹脂の吸水能にもよるが、例えば、吸水量100〜150倍程度の吸水性樹脂の場合には、好ましくは10〜500g/m2、より好ましくは50〜300g/m2の範囲内である。この量が10g/m2未満であると十分な温度上昇抑制効果を得ることができず、一方、500g/m2を超えてもそれ以上の効果は望めず、却ってコスト高を招くため好ましくない。
【0028】
保水層2の弾性骨材としては、弾性層3と同様のものを用いることができ、特に制限されないが、弾性層3に含まれる弾性骨材の粒径と同等かまたはそれより大きい粒径を有するものを用いることが好ましく、好適には、粒径1〜7mm程度のものを用いる。粒径の大きい弾性骨材を用いることで、保水層2における空隙率が増大し、また空隙のサイズが大きくなるという特長が付与されるため、保水層2の機能の最適化の面で好ましい。また、硬質骨材は、弾性層3と同様のものを弾性層3の場合と同じく所望に応じ用いることができる。即ち、弾性層3および保水層2はいずれも硬質骨材を用いずに形成してもよい。さらに、バインダー7についても弾性層3と同様のものを用いればよく、特に制限はない。
【0029】
本発明の舗装体1を適用する下地層4としては、コンクリートやアスファルト舗装等の不透水性下地や、ポーラスコンクリートやポーラスアスファルト等の透水性下地等を用いることができ、特に制限されない。
【0030】
本発明の舗装体1は、下地層4上に、保水層2および弾性層3を同時に施工して形成してもよいが、より安定した舗装体を形成するためには、まず保水層2を施工して、保水層2がある程度硬化した段階で弾性層3を打設することが有効である。また、保水層2を形成する際には、一般的な、弾性骨材、バインダーおよび吸水性樹脂等の3者または4者の同時混合にて舗装材料を調製してもよいが、弾性骨材およびバインダーを混合撹拌し、撹拌の終了直前、最終段階において吸水性樹脂を添加、混合撹拌して、保水層2用の舗装材料を調製することが好適である。これにより、3者を同時に混合する場合に比べて、吸水性樹脂を弾性骨材の表面に効果的に保持させることができる。即ち、吸水性樹脂がバインダーにより完全に被覆されずに弾性骨材に付着して、図2に示すような、吸水性樹脂6がバインダー7表面から少なくとも一部分露出した状態を、良好に形成することができる。
【0031】
なお、下地層4、保水層2および弾性層3の間の接着性を高めるために、接着強化剤として、例えば、一液性ポリウレタンプライマー、二液性ポリウレタンプライマー等の各種ウレタン系プライマーや、エポキシプライマー、ポリエステルプライマー、アクリル系プライマー、アクリル−ウレタンプライマー等の低粘度プライマーなどを、各層間に塗布して用いてもよい。
【0032】
また、本発明においては、保水性弾性舗装体1をプレス成型して保水性弾性舗装ブロックとし、これを用いて下地層4上に保水性弾性舗装を施工することもできる。かかる保水性弾性舗装ブロックを用いることで、現地での施工時間の大幅な短縮化を図ることが可能となる。この際の下地層4と保水性弾性舗装ブロックとの接着は、上述した下地層4と保水層2との接着に用いるのと同様の手法を用いて行うことができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
比較例1
下地層としての密粒度アスファルトコンクリート(13)の表面を清掃した後、1m角サイズを木枠で区分した。その後、接着強化剤として湿気硬化型ポリウレタンの溶剤型プライマー((株)ブリヂストン製、弾フレックスP−022)をローラー刷毛にて約200g/m2で塗布し、養生硬化して、下地層を準備した。
【0034】
100リットルパン型ミキサー(モルタルミキサー)に粒状ゴムチップ1〜3mmサイズ((株)ブリヂストン製、弾フレックスEM 1〜3mmサイズ)60kgを投入撹拌して、凝集ゴムチップをほぐした。次に、湿気硬化型一液性ポリウレタン樹脂バインダー((株)ブリヂストン製、弾フレックスU−051)15kg缶にカーボン系の黒トナー((株)ブリヂストン製、弾フレックストナー黒)3.0kgを添加して、ハンドミキサーにて十分撹拌した。撹拌したトナー入りバインダーをミキサー中のゴムチップに投入して、分散が安定するまで撹拌した。
【0035】
得られた混合物を、1m角の木枠内に14.3kg投入して、レーキ等を用いて均一に敷き均した。これを、左官ゴテや熱ゴテを用いて転圧しながら所定の厚さ15mmに仕上げ、最後に、熱ローラーを用いて全面を綺麗に仕上げた。仕上げ後、48時間以上放置して舗装体を硬化させ、歩行可能なゴムチップ弾性舗装体を作製した。
【0036】
比較例2
下地層は比較例1と同様の方法で準備した。
100リットルパン型ミキサー(モルタルミキサー)に粒状ゴムチップ1〜3mmサイズ((株)ブリヂストン製、弾フレックスEC 1〜3mmサイズ、グリーン色)60kgを投入撹拌して、凝集ゴムチップをほぐした。次に、湿気硬化型一液性ポリウレタン樹脂((株)ブリヂストン製、弾フレックスU−051)15kg缶にグリーントナー((株)ブリヂストン製、弾フレックストナーグリーン)3.0kgを添加して、ハンドミキサーにて十分撹拌した。撹拌したトナー入りバインダーをミキサー中のゴムチップに投入して、分散が安定するまで撹拌した。
【0037】
得られた混合物を、1m角の木枠内に14.3kg投入して、レーキ等を用いて均一に敷き均した。これを、左官ゴテや熱ゴテを用いて転圧しながら所定の厚さ15mmに仕上げ、最後に、熱ローラーを用いて全面を綺麗に仕上げた。仕上げ後、48時間以上放置して舗装体を硬化させ、歩行可能なゴムチップ弾性舗装体を作製した。
【0038】
比較例3
下地層は比較例1と同様の方法で準備した。
100リットルパン型ミキサー(モルタルミキサー)にひじき状ゴムチップ1〜3mmサイズ((株)ブリヂストン製、弾フレックスE1〜3mmサイズ、黒)40kgを投入撹拌して、凝集ゴムチップをほぐした。次に、湿気硬化型一液性ポリウレタン樹脂((株)ブリヂストン製、弾フレックスU−051)15kg缶にカーボン系の黒トナー((株)ブリヂストン製、弾フレックストナー黒)1.4kgを添加して、ハンドミキサーにて十分撹拌した。撹拌したトナー入りバインダーをミキサー中のゴムチップに投入して、分散が安定するまで撹拌した。
【0039】
得られた混合物を、1m角の木枠内に12.20kg投入して、レーキ等を用いて均一に敷き均した。これを、左官ゴテや熱ゴテを用いて転圧しながら所定の厚さ15mmに仕上げ、最後に、熱ローラーを用いて全面を綺麗に仕上げた。仕上げ後、48時間以上放置して舗装体を硬化させ、歩行可能なゴムチップ弾性舗装体を作製した。
【0040】
実施例1
下地層としての密粒度アスファルトコンクリート(13)の表面を清掃した後、1m角サイズを木枠で区分した。その後、接着強化剤として湿気硬化型ポリウレタンの溶剤型プライマー((株)ブリヂストン製、弾フレックスP−022)をローラー刷毛にて約200g/m2で塗布し、養生硬化して、下地層を準備した。
【0041】
100リットルパン型ミキサー(モルタルミキサー)に粒状ゴムチップ1〜5mmサイズ((株)ブリヂストン製、弾フレックスEM1〜5mmサイズ)60kgを投入撹拌して、凝集ゴムチップをほぐした。次に、湿気硬化型一液性ポリウレタン樹脂((株)ブリヂストン製、弾フレックスU−051)15kg缶にカーボン系の黒トナー((株)ブリヂストン製、弾フレックストナー黒)1.5kgを添加して、ハンドミキサーにて十分撹拌した。撹拌したトナー入りバインダーをミキサー中のゴムチップに投入して、分散が安定するまで撹拌した。撹拌終了後、この中に感温性吸放水性樹脂((株)興人製、商品名サーモゲル200)0.793kgを撹拌しながら短時間で均一に分散して撹拌を終え、吸水性樹脂入り混合物を作製した。
【0042】
得られた混合物を、1m角の木枠内に9.55kg投入して、レーキ等を用いて均一に敷き均した。これを、左官ゴテや熱ゴテを用いて転圧しながら所定の10mm厚さに仕上げ、最後に、熱ローラーを用いて全面を綺麗に仕上げた。仕上げ後、24時間程度放置して保水層を硬化させ、表層のゴムチップ弾性層が施工可能な硬化状態にした。
【0043】
保水層形成後、この上に比較例1のゴムチップ弾性舗装用配合混合物を4.77kg/m2(5mm厚さ相当量)投入して敷き均し、転圧を経て総計15mm厚さのゴムチップ舗装体を形成し、48時間の養生硬化を経て保水性ゴムチップ弾性舗装体を得た。
【0044】
実施例2
下地層の準備および保水層の作製は実施例1と同様に行った。
その後、この上に比較例2のゴムチップ弾性舗装用配合混合物を4.77kg/m2(5mm厚さ相当量)投入して敷き均し、転圧を経て総計15mm厚さのゴムチップ舗装体を形成し、48時間の養生硬化を経て保水性ゴムチップ弾性舗装体を得た。
【0045】
実施例3
下地層の準備および保水層の作製は実施例1と同様に行った。
その後、この上に比較例3のゴムチップ弾性舗装用配合混合物を4.07kg/m2(5mm厚さ相当量)投入して敷き均し、転圧を経て総計15mm厚さのゴムチップ舗装体を形成し、48時間の養生硬化を経て保水性ゴムチップ弾性舗装体を得た。
【0046】
比較例1〜3および実施例1〜3で得た舗装体の弾性層および保水層の層構成の概要を下記の表2に示す。また、各弾性層および保水層のゴム配合の詳細と弾性層の各ゴム配合の一般物性は下記の表1中に示した通りである。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
得られた各舗装体につき、外気温の変化に伴う表面温度の推移を30分ごとに測定した。温度測定は、表層のゴムチップ弾性層内の表面から2mm下の位置に熱電対を埋め込んで表面温度を記録すると共に、工区近傍の弾性層表面から1.2mの高さの位置に直射日光を避けるために日除けを設けた上で熱電対をセットして、外気温を記録することにより行った。この結果を表3および図3に示す。なお、測定開始から2時間後の10時には、散水を行った。
【0050】
【表3】
【0051】
表3および図3から、散水後には全ての舗装体の表面温度が一旦外気温以下にまで下がっているものの、比較例1および3の舗装体の温度が散水から1時間半後には散水前と同程度の55℃近い高温にまで上がっているのに対し、実施例1および3の舗装体の温度は50℃付近までしか上がらず、その後も比較例1および3の舗装体よりも約5℃低い温度を維持し続けていることがわかる。また、表層の弾性層をグリーン色のカラーゴムチップを用いて形成した比較例2および実施例2では、夫々黒色のゴムチップを用いた比較例1、3および実施例1、3に比し5℃程度低い表面温度となっているが、保水層を設けた実施例2が設けていない比較例2よりも約5℃低い表面温度を維持し続けている点は同様に明らかである。即ち、実施例の舗装体においては、保水層の吸水性樹脂の働きにより、舗装面の温度上昇が良好に抑制されていることが確かめられた。
【0052】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、弾性舗装の持つ機能を維持しつつ、特に都市部での夏季における舗装面温度の上昇、ひいては気温の上昇を抑制して、ヒートアイランド現象の緩和に寄与し得る高機能の保水性弾性舗装体、その施工方法および保水性弾性舗装ブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の舗装体の施工状態を示す模式的説明図である。
【図2】保水層内部の状態を示す模式的説明図である。
【図3】実施例および比較例の舗装体の舗装面の時間変化に伴う温度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 保水性弾性舗装体
2 保水層
3 弾性層
4 下地層
5 弾性骨材
6 吸水性樹脂
7 バインダー
Claims (5)
- 下地層上に、保水層および弾性層を積層する工程を含む保水性弾性舗装体の施工方法であって、前記保水性弾性舗装体が保水層と、該保水層上に積層され、弾性骨材およびバインダーを含む弾性層との2層構造を有する保水性弾性舗装体であって、前記保水層が、弾性骨材と、吸水性樹脂と、バインダーとを含む保水性弾性舗装体である該保水性弾性舗装体の施工方法において、前記保水層を形成するにあたり、前記弾性骨材およびバインダーを混合撹拌し、該撹拌の終了直前に前記吸水性樹脂を混合して、保水層用舗装材料を調製することを特徴とする保水性弾性舗装体の施工方法。
- 前記保水層に含まれる弾性骨材の粒径が、前記弾性層に含まれる弾性骨材の粒径と同等かまたはそれより大きい請求項1記載の保水性弾性舗装体の施工方法。
- 前記吸水性樹脂が感温性吸放水性樹脂である請求項1または2記載の保水性弾性舗装体の施工方法。
- 前記保水層と前記弾性層との厚さの比率が1:1〜5:1の範囲内である請求項1〜3のうちいずれか一項記載の保水性弾性舗装体の施工方法。
- 前記保水層における前記吸水性樹脂の配合量が10〜500g/m2の範囲内である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の保水性弾性舗装体の施工方法。
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