JP2003064607A - 保水性コンクリートブロック及びその製造方法 - Google Patents

保水性コンクリートブロック及びその製造方法

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俊明 中島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 雨水等の水を積極的に保持する保水機能を持
たせ、保持水を気温の上昇に伴って蒸発させることによ
り、気温の上昇を気化熱により抑えるようにして都市部
でのヒートアイランド現象を抑制する。 【解決手段】 セメント、砂利2、砂3を混合したコン
クリート材料に、高分子化合物を水に溶解した団粒形成
液をスランプ0となる適量添加して混練する。コンクリ
ート混練物には微小間隙7、7、・・・が無数に形成さ
れた海綿状の多孔質構造体8が形成される。コンクリー
ト混練物を型枠に充填し、加振装置により振動を加えた
後即時脱型し、養生することにより保水性に優れたコン
クリートブロックを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歩道、車道、駐車
場、広場等の舗装材や、建築用ブロックとして使用する
コンクリートブロックに関し、特に雨水等の水の吸収保
持能力に優れているのでヒートアイランド現象を抑制す
るのに好適な保水性コンクリートブロック及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人間は社会生活の快適さを求めることか
ら晴天による土埃と降雨による泥化を嫌らい、社会環境
の整備の一環として歩道、車道、駐車場、公園等を舗装
材で覆うことを広く行なっている。この目的に使用する
従来のコンクリートブロックは、コンクリート材料を密
な状態に成形して排水性を持たせるか、逆に無数の連続
多孔を形成して透水性(通水性)を持たせることによ
り、コンクリートブロックの表面に溜水しないようにし
た構成のものからなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そして、都市部では前
述の理由から歩道、車道、校庭、公園、駐車場等を全て
コンクリート或はアスファルトにより舗装しているた
め、雨水は早期に排水溝から下水に排出されることにな
るし、舗装面上の溜り水は早期に蒸発してしまう環境に
なっている。このため、都市部では気温が上昇すると舗
装面が高温になるのに対して、この高温状態を気化熱で
抑制する水分が殆ど存在しないことから一層気温が上昇
して生活環境を悪化させるヒートアイランド現象が生じ
ている。
【0004】本発明は上述した従来技術の欠点に鑑みな
されたもので、雨水等の水を積極的に保持する保水機能
を持たせ、保持水を気温の上昇に伴って蒸発させること
により温度の上昇を気化熱により抑えるようにして都市
部でのヒートアイランド現象を抑制することができるよ
うにした保水性コンクリートブロック及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために構成された請求項1に記載の発明を構成する手段
は、セメント、砂利、砂を混合したコンクリート材料
に、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエステル
共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミドとの複
合体からなる高分子化合物を水に溶解した団粒形成液を
スランプ0となる適量添加して混練することにより多孔
質構造体が形成されたコンクリート混練物を生成し、得
られたコンクリート混練物を型枠に充填して振動及び/
又は加圧した後即時脱型し、養生したものからなる。
【0006】また、請求項2に記載の発明を構成する手
段は、セメント、砂利、砂を混合する基材混合工程と、
アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエステル共重
合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミドとの複合体
からなる高分子化合物を水に溶解した団粒形成液を、該
基材混合混合工程により得られたコンクリート材料にス
ランプ0となる適量添加して混練し、多孔質構造体が形
成されたコンクリート混練物を生成するコンクリート混
練工程と、該コンクリート混練工程で生成したコンクリ
ート混練物を型枠に充填し、加振及び/又は加圧した後
コンクリート混ブロックを即時脱型するブロック成型工
程と、該ブロック成型工程により成型したコンクリート
ブロックを養生する養生工程とからなる。
【0007】そして、前記コンクリート混練工程におい
て、前記コンクリート材料に添加する前記団粒形成液の
添加量は、コンクリート混練物がスランプ0、即ち体積
比含水率が5〜8%の値になるようにするとよい。
【0008】上述した請求項1及び2に係る発明におい
て、コンクリート材料を構成するセメント、砂利、砂の
配合割合は、従来のコンクリートブロックを製造する場
合の配合割合と異なるところはない。
【0009】上述のコンクリート材料に水に溶解した状
態で添加する高分子化合物は、アクリル酸・メタクリル
酸ジメチルアミノエステル共重合物のマグネシウム塩と
ポリエチレンイミドとの複合体からなるものである。こ
の高分子化合物は、鎖状の極めて長い分子長の有機高分
子がヘリックス状の分子構造を形成したものであって、
強い電荷作用を有している。即ち、高分子化合物は各分
子が強い正の電荷を持っているため、負の表面電荷を有
する微粒子であるセメント粒子と混合するとこれらの粒
子群と瞬時に反応し、セメント粒子同士を結合して団粒
構造を形成する団粒形成作用を有している。形成された
無数の団粒は更に互いに連結、架橋することにより微小
間隙が無数に形成された海綿状の多孔質構造体を構成す
る。この多孔質構造体は、それ自体の物理的強度性も優
れており、優れた強度性、安定性、耐久性を発揮する。
【0010】この高分子化合物の一般的特性は、外観が
ほぼ透明の無色の粘稠液体であり、pH5,0〜7,
0、水に対し任意の割合で溶解することができる。この
高分子化合物としては、例えば株式会社アスト・ジャパ
ン発売のAK−1(商品名)、製造元株式会社コウヨウ
が好適である。このAK−1を水で20〜40倍に希釈
する。希釈倍率が20倍より小さいと形成される団粒は
小さいため、保水性に富んだ多孔質構造体は形成されな
い。他方、希釈倍率が40倍より大きいと団粒形成作用
自体が低下して多孔質構造体は形成されない。このよう
にして、高分子化合物を水に溶解して生成した団粒形成
液をコンクリート材料に添加して混練すると、セメント
粒子同士が結合して団粒構造を形成し、更に結合、連結
が進行して無数の微小間隙を有する海綿状の多孔質構造
体になる。そして、この多孔質構造体がコンクリートブ
ロック全体に形成されることにより、保水性を有する微
多孔質のコンクリートブロックを製造することができ
る。
【0011】また、コンクリート材料に添加する団粒形
成液の量は、コンクリート混練物をスランプ0の値、即
ち体積比含水率を5〜8%にすることが重要である。ス
ランプ0の値より大きいスランプ1の状態にすると、型
枠に充填して加振及び/又は加圧した際に団粒構造が破
壊されて多孔質構造体が形成されないため、保水能力を
発揮することができない。そして、スランプ0(体積比
含水率5〜8%)で練り上げたコンクリート混練物は即
時脱型することにより、ブロック全体に無数の団粒が連
結した多孔質構造体が形成されているので、保水性と強
度性とのバランスに優れたコンクリートブロックを得る
ことができる。
【0012】養生工程として、保温下で4〜24時間、
前養生を行なうことにより、初期強度が高まる。その後
はヤードにて常温下で自然養生を行なうことにより、保
水性コンクリートブロックの強度性を高めることができ
る。
【0013】かくして、セメント、砂利、砂を混合した
コンクリート材料に団粒形成液を所望量添加し、スラン
プ0で混練し、型枠に充填して加振及び/又は加圧した
後即時脱型し、養生するだけで保水性コンクリートブロ
ックを製造することができるから、流し込み方式におけ
る養生後型枠脱型の作業等は不要であり製造も容易であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は基材混合工程とコンクリート混練工
程を示す。先ず、ミキサーAにセメント1、砂利2、砂
3を所定量投入して十分に撹拌し混合する。ミキサーA
にはスランプ0の状態での混練に適したコンクリートミ
キサーを用いる。セメント1、砂利2及び砂3が均一に
混合したコンクリート材料が得られたら、コンクリート
混練工程として、コンクリート材料に所定量の団粒形成
液4を添加し更に十分に撹拌し混合することにより、ス
ランプ0のコンクリート混練物5を生成する。なお、団
粒形成液4には株式会社アスト・ジャパン販売のAK−
1(商品名)、製造元株式会社コウヨウを水に20〜4
0倍に希釈したものを用いるとよい。
【0015】団粒形成液4をコンクリート材料に所定量
添加して十分に撹拌し混合したコンクリート混練物5の
全体には、団粒形成液4の団粒形成作用によりセメント
粒子が互いに結合した無数の団粒6、6、・・・が形成
され、更に団粒6、6、・・・同志が結合し、連結が進
行することにより無数の微小間隙7、7、・・・が形成
されている多孔質構造体8が組成される(図4参照)。
そして、セメント1により固化が始まり、養生により初
期強度を増すことができる。
【0016】上述のコンクリート混練工程で得られたコ
ンクリート混練物5は図2に示すように型枠Bに画成し
てある複数の形成室B1 、B1 、・・・に充填し、図3
に示すように加振装置Cを用いて型枠Bに振動を加え
る。なお、加振装置Cに替えて、又はこれと併せてプレ
ス装置Dを用いてコンクリート混練物5に加圧してもよ
い。然る後、図5に示すように型枠Bから脱型した保水
性コンクリートブロック9、9、・・・を養生ヤードE
のパレットF上に載置し、保温下で養生する。これらの
工程は、従来のコンクリート成型用設備を用いて行なう
ことができる。
【0017】かくして、最終工程の養生工程を経た保水
性コンクリートブロック9は従来のコンクリートブロッ
クと同等の強度性を備えており、しかも全体に多孔質構
造体8が形成されていることにより、水分を吸収して保
持する機能を発揮して従来のコンクリートブロックには
ない優れた保水力を持つことができる。
【0018】従って、保水性コンクリートブロック9を
歩道、車道、駐車場等に敷設することにより、雨水を吸
収し保水性に優れた舗装路面を形成することができるか
ら、夏期に気温が上昇しても気化熱によって舗装路面の
温度上昇を抑制し、ヒートアイランド現象を抑えること
ができる。図6は本実施の形態による保水性コンクリー
トブロック9と従来のコンクリートブロック及びアスフ
ァルトからなる各舗装路面について、降雨後6日間連続
して晴天が続いた後の表面温度を測定した線図である。
図中、実線は保水性コンクリートブロック9の表面温
度、破線は従来のコンクリートブロックの表面温度、一
点鎖線はアスファルトの表面温度、細線は外気温度を示
す。図によれば、従来のコンクリートブロックと比較し
て保水性コンクリートブロック9は表面温度が気化熱に
より約5℃低いことから、気温の温度上昇の防止に有効
であることが明らかであり、ヒートアイランド現象の抑
制に効果的であることが確認された。
【0019】なお、本発明による保水性コンクリートブ
ロック及びその製造方法は、実施の形態で説明した形状
からなる保水性コンクリートブロック9に限定されるも
のではなく、ヒートアイランド現象対策用として敷設す
る場所や用途に応じたサイズ及び形状に形成することが
できるものである。また、歩道以外にも車道、公園、広
場等の舗装資材又は建築用コンクリートブロック、保水
効果により緑化の期待ができる植栽ブロックとして広く
使用することができる。
【0020】また、本発明による保水性コンクリートブ
ロックは微多孔質で目詰まりしにくいのに対して、透水
性コンクリートブロックは孔径が比較的大きく塵埃が詰
まり易いことから、上層に保水性コンクリートブロック
を下層に透水性コンクリートブロックを積層した構成に
することにより、目詰まりしない透水性コンクリートブ
ロックにすることができる。
【0021】
【発明の効果】本発明は以上詳述した如く構成したか
ら、下記の諸効果を奏する。 (1)請求項1に記載の発明によれば、コンクリートブ
ロック全体に海綿状の多孔質構造体が形成されており、
雨水等の水を積極的に保持する保水機能を有しているの
で、保持水が気温の上昇に伴って蒸発することにより温
度の上昇を気化熱により抑えることができることから都
市部でのヒートアイランド現象を抑制することができ
る。 (2)請求項2に記載の発明によれば、セメント、砂
利、砂を混合したコンクリート材料に団粒形成液を所望
量添加し、スランプ0の状態で混練したコンクリート混
練物を型枠に充填して加振及び/又は加圧した後即時脱
型し、養生する工程だけで海綿状の多孔質構造体が形成
された保水性コンクリートブロックを製造することがで
きるから、製造も容易であるし、既存の製造設備を用い
て製造することができる。また、従来技術の流し込み方
式における養生後型枠脱型の作業等は不要であり製造日
数の短縮、製造コストの低減も可能である。 (3)請求項1及び2に記載の発明において、コンクリ
ート材料に添加する団粒形成液の添加量は、コンクリー
ト混練物がスランプ0、即ち体積比含水率5〜8%の値
にすることにより、成型時の加振及び/又は加圧によっ
ても多孔質構造体が崩れることがなく保水能力に優れた
保水性コンクリートブロックにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係り、コンクリート材料
を生成する基材混合工程及びコンクリート混練工程を示
す説明図である。
【図2】コンクリート混練工程により得られたコンクリ
ート混練物を型枠に充填する状態の説明図である。
【図3】ブロック成型工程における加振及び加圧過程を
示す説明図である。
【図4】多孔質構造体を示すコンクリートブロックの部
分断面図である。
【図5】保水性コンクリートブロックの養生工程を示す
説明図である。
【図6】保水性コンクリートブロックの保水能力を従来
のコンクリートブロック及びアスファルトと比較して示
す線図である。
【符号の説明】
1 セメント 2 砂利 3 砂 4 団粒形成液 5 コンクリート混練物 6 団粒 8 多孔質構造体 9 保水性コンクリートブロック B 型枠 C 加振装置 D プレス装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 28/02 C04B 38/00 301Z 38/00 301 111:40 // C04B 111:40 B28B 1/08 B (72)発明者 星原 勉 宮崎県宮崎市丸山2丁目31番地 株式会社 グリーンエンジニアリング内 Fターム(参考) 2D051 AA01 AF01 AF03 AG15 AG17 AH02 AH03 4G012 PA03 PB28 PB31 PC11 4G019 DA04 FA15 4G056 AA07 CB25 CB32

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント、砂利、砂を混合したコンクリ
    ート材料に、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノ
    エステル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミ
    ドとの複合体からなる高分子化合物を水に溶解した団粒
    形成液を該コンクリート材料にスランプ0となる適量添
    加して混練することにより多孔質構造体が全体に形成さ
    れたコンクリート混練物を生成し、得られたコンクリー
    ト混練物を型枠に充填して振動及び/又は加圧した後即
    時脱型し、養生してなる保水性コンクリートブロック。
  2. 【請求項2】 セメント、砂利、砂を混合する基材混合
    工程と、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエス
    テル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミドと
    の複合体からなる高分子化合物を水に溶解した団粒形成
    液を、該基材混合工程により得られたコンクリート材料
    にスランプ0となる適量添加して混練し、多孔質構造体
    が形成されたコンクリート混練物を生成するコンクリー
    ト混練工程と、該コンクリート混練工程で生成したコン
    クリート混練物を型枠に充填し、加振及び/又は加圧し
    た後コンクリートブロックを即時脱型するブロック成型
    工程と、該ブロック成型工程により成型したコンクリー
    トブロックを養生する養生工程とからなる保水性コンク
    リートブロックの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記コンクリート混練工程おいて、前記
    コンクリート材料に添加する前記団粒形成液の添加量
    は、コンクリート混練物がスランプ0、即ち体積比含水
    率5〜8%の値になるようにしていることを特徴とする
    請求項2記載の保水性コンクリートブロックの製造方
    法。
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