JP3552998B2 - 透水性ブロックおよび透水性ブロックの製造方法 - Google Patents

透水性ブロックおよび透水性ブロックの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩道、公園内の通路、駐車場などの舗装材として使用され、雨水などを透過する機能を備えた透水性ブロックおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の透水性ブロックは、砕石、砂などの骨材をセメントや合成樹脂などの固化材で固化させることによって形成され、その内部に多数の気孔を有する多孔質構造のものが一般的であるが、このような透水性ブロックは表面が滑りやすく、歩行感が悪いという問題があった。
【0003】
そこで、このような問題の解決を図って開発された透水性ブロックが、実公平4−37921号公報、特開平5−24955号公報、特開平9−268509号公報などに開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
実公平4−37921号公報、特開平5−24955号公報に開示されている透水性ブロックは、その表面を研磨することによって、歩行感や滑り止め機能を向上させたものであるため、製造工程において研磨装置などが必要である。
【0005】
また、特開平5−24955号公報、特開平9−268509号公報に開示されている透水性ブロックは、組成の異なる複数層で形成されているため、数多くの原材料を必要とし、その製造工程も複雑である。
【0006】
そのほか、従来の透水性ブロックは、その製造工程において、透水性を出すための特別な手作業を必要とするものがあり、これらの手作業に多くの労力が時間が費やされている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、透水性が高く、靴底やタイヤなどに対する滑り止め機能が高く、製造も容易な透水性ブロックおよびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の透水性ブロックは、ガラス粉末とセメント系固化材の混合物にアクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含む水溶液を添加し混練、固化させて形成したブロックである。
【0009】
ここで、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体とは、鎖状の極めて長い分子長の有機高分子がへリックス状の分子構造を形成した高分子化合物であって、強い電荷作用を有している。すなわち、各分子が強い正の電荷をもっているため、負の表面電荷を有する粒状体や粉状体と混合するとこれらの粒子群と瞬時に反応し、粒子同士を結合して集合体を形成し、さらに、これらの集合体を連結、架橋して立体網目構造を形成する団粒化作用を有している。また、この複合体は、それ自体の物理的強度も優れているため、前記反応によって形成された立体網目構造体は優れた強度、安定性、持続性を発揮する。なお、この高分子化合物を団粒化材として使用するにあたり、高分子化合物に界面活性剤を添加してガラス粉末とセメント系固化材との混合物に団粒化材が浸透しやすいようにすることもできる。
【0010】
この高分子化合物の一般的特性は、外観がほぼ透明の無色の粘稠液体であり、粘度3000〜9000cp(25℃)、pH5.0〜7.0であり、水と任意の割合で混合することができる。この高分子化合物としては、たとえば有限会社グローバル研究所発売のGB−2000(商品名)を使用することができる。また、この高分子化合物に界面活性剤を添加したものとしては、同じく有限会社グローバル研究所発売のエコCG−2000(商品名)を使用することができる。
【0011】
このような高分子化合物を含む水溶液を、ガラス粉末とセメント系固化材の混合物に添加し混練すると、ガラス粒子と固化材とが互いに結合して立体網目構造が形成され、さらに、結合、連結が進行して、大小の間隙を有する多孔質状の粗大粒子が形成された構造となるため、水分を効率的に透過できる透水性ブロックとなる。透水性ブロックの表面に露出したガラス粒子は靴底やタイヤなどのゴムとのフィット性が良く、優れた滑り止め機能を発揮する。
【0012】
上記の透水性ブロックは、ガラス粉末とセメント系固化材とを混合する撹拌工程と、撹拌工程で形成された混合物にアクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含む水溶液を添加して混練する混練工程と、混練工程で形成された混練物を型枠に充填し、型枠に振動を与えながら混練物を固化させる成型工程と、型枠に充填された混練物を養生する養生工程と、養生工程の終了後の脱型工程とを含む製造方法により製造することができる。
【0013】
このような工程をとることにより、ガラス粉末とセメント系固化材との混合物に添加、混練された前記高分子化合物を含む水溶液の団粒化作用で、ガラス粒子と固化材とが互いに結合して立体網目構造が形成され、さらに、結合、連結が進行し、大小の間隙を有する多孔質状の粗大粒子が形成された構造となるため、水分を効率的に透過できる透水性ブロックを形成することができる。また、ガラス粉末とセメント系固化材の混合物に前記高分子化合物を含む水溶液を添加、混練し、型枠に充填した後、固化、養生するだけで製造でき、研磨工程や面倒な手作業などは不要であるため、製造も容易である。
【0014】
なお、ガラス粉末とセメント系固化材の混合物に添加する前記高分子化合物を含む水溶液としては、有限会社グローバル研究所発売のエコCG−2000の希釈水溶液が好適であり、このエコCG−2000を水で30〜50倍に希釈して使用することが望ましい。希釈倍率が30倍より小さいと、形成される団粒が小さくなり、ブロック製造工程の加圧、振動によって団粒化状態が損なわれて空隙がなくなり、透水性が低下してしまい、希釈倍率が50倍より大きいと団粒化作用そのものが低下するので、希釈倍率は30〜50倍が適正範囲である。
【0015】
前記養生工程として、常温下で24時間〜48時間保持することにより、圧縮強度が高まり、透水性ブロックの強度、耐久性を高めることができる。
【0016】
前記ガラス粉末とセメント系固化材の混合比を1:1〜1:2とすることにより、ブロック内に外径3〜5mm程度の団粒が連結した立体網目構造が形成され、透水性と強度とのバランスに優れたブロックを形成することができる。ガラス粉末の混合比が1:1より小さくなるとブロックが緻密化して透水性が低下し、1:2より大きくなると強度が低下する傾向があるので、前記1:1〜1:2が適正範囲である。
【0017】
前記混練物の含水率を10〜15%とすることにより、ブロック内に外径3〜5mm程度の団粒が連結した立体網目構造が形成されるので、透水性と強度とのバランスに優れたブロックを得ることができる。
【0018】
前記ガラス粉末の粒径を1〜10μmとすることにより、ブロック内に外径3〜5mm程度の団粒が連結された立体網目構造が形成されるので、透水性、強度、耐久性、靴底やタイヤなどに対する滑り止め機能などの点で最も優れたブロックを得ることができる。
【0019】
前記ガラス粉末としては、廃ガラスの破砕粉を用いることができる。廃ガラスの破砕粉を用いることにより、リサイクル使用できず廃棄処分されている色つきガラス瓶などの各種ガラス廃材を有効利用することが可能となるため、資源保護および環境保護にも寄与することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は透水性ブロックの原材料となる混練物の形成工程を示す説明図、図2は混練物を用いた透水性ブロックの製造工程を示す説明図、図3は混練物の固化中における網目構造形成過程を示す説明図、図4は透水性ブロックの施工例を示す斜視断面図である。
【0021】
本実施形態においては、まず、図1に示すように、ガラス粉末10、セメント系固化材(以下、固化材という)11をミキサ12に投入して十分に撹拌、混合する。ミキサ12はモータ13などによって駆動される一般的なものを用いることができる。
【0022】
ガラス粉末10と固化材11とがむらなく混合されたら、団粒化促進剤水溶液14を添加して、さらに十分に撹拌、混練することによって混練物15を形成する。団粒化促進剤水溶液14としては、エコCG−2000(商品名、有限会社グローバル研究所発売)を水で50倍に希釈したものを用い、ガラス粉末10は、粒径が1〜10μm程度の廃ガラスの破砕粉を用いている。
【0023】
本実施形態では、ガラス粉末10と固化材11とを1:1の割合で混合し、十分撹拌したものに、団粒化促進剤水溶液14を添加することにより、混練物15の含水率が13%前後となるようにしている。
【0024】
このような工程で得られた混練物15を、図2(a)に示すように、型枠16に打ち込み、図2(b)に示すように、加振装置17を用いて型枠16に振動を加え、混練物15を隙間なく充填した後、図2(c)に示すように、常温下で24時間養生する。なお、これらの工程は、従来の設備、工法を用いて行うことができる。
【0025】
一方、型枠16に打ち込んだ混練物15中においては、図3に示すように、団粒化促進剤水溶液14の団粒化作用により、ガラス粉末10、固化材11などの粒子群が互いに結合して立体網目構造19が形成されるとともに、さらに、結合、連結が進行して、大小の間隙を有する多孔質状の粗大粒子20が形成され、前記養生により固化する。
【0026】
図2(c)に示す養生工程を経た後、型枠16を分解すると、図2(d)に示すような透水性ブロック21が完成する。透水性ブロック21は、立体網目構造に形成されているため、水分を効率的に透過することができる。
【0027】
したがって、図4に示すように、透水性ブロック21を路床に敷設することにより、雨水などが効率的に透過する、排水性に優れた歩道22を形成することができる。透水性ブロック21の表面には、ゴム材とのなじみの良いガラス粉末10が露出しているため、靴底23やタイヤなどとのフィット性が優れ、高い滑り止め機能を発揮する。また、透水性ブロック21には表面流水が生じないので、冬季における路面凍結も防止することができる。
【0028】
さらに、透水性ブロック21は、ガラス粉末10と固化材11との混合物に団粒化促進剤水溶液14を添加、撹拌して形成した混練物15を型枠16に充填した後、固化、養生するだけで製造でき、これらの工程は従来の設備、工法を用いて実施することができる上、研磨工程や面倒な手作業などは不要であるため、製造は容易である。また、ガラス粉末10は、使用済みの色つきガラス瓶など、リサイクル使用不可能な廃ガラスの粉砕粉を用いているため、資源保護、環境保護にも寄与することができる。
【0029】
なお本発明は、上記の実施形態の透水性ブロック21に限定するものではないので、用途に応じたサイズ、形状にすることができ、歩道以外に、駐車場、公園内の通路などの舗装資材として広く採用することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明により、以下に示す効果を奏する。
【0031】
(1)ガラス粉末とセメント系固化材の混合物に団粒化促進剤水溶液としてのアクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含む水溶液を添加し混練、固化させて形成することにより、団粒化促進剤水溶液の作用で、ガラス粒子と固化材が互いに結合して立体網目構造が形成されるため、水分を効率的に透過できる透水性ブロックが得られる。その表面には、ゴム材とのなじみの良いガラス粉末が露出しているため、靴底やタイヤなどに対する滑り止め機能も優れている。また、ガラス粉末とセメント系固化材と高分子化合物を含む水溶液とを混練、固化させるだけで製造できるので、製造は容易である。
【0032】
(2)透水性ブロックの製造工程において、型枠に充填した混練物を常温下で24時間〜48時間養生することにより、圧縮強度が高まり、透水性ブロックの強度、耐久性を高めることができる。
【0033】
(3)ガラス粉末として廃ガラスの破砕粉を用いることにより、リサイクル使用できず廃棄処分されている色つきガラス瓶などの各種ガラス廃材を有効利用することが可能となるため、資源保護および環境保護にも寄与することができる。
【0034】
(4)ガラス粉末と固化材の混合比、ガラス粉末の粒径、混練物の含水率を特定の範囲とすることにより、ブロック内に外径3〜5mm程度の団粒が連結した立体網目構造が形成され、透水性、強度、耐久性、靴底やタイヤなどに対する滑り止め機能などの点で優れたブロックを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透水性ブロックの原材料となる混練物の形成工程を示す説明図である。
【図2】混練物を用いた透水性ブロックの製造工程を示す説明図である。
【図3】混練物の固化中における網目構造形成過程を示す説明図である。
【図4】透水性ブロックの施工例を示す斜視断面図である。
【符号の説明】
10 ガラス粉末
11 セメント系固化材
12 ミキサ
13 モータ
14 団粒化促進剤水溶液
15 混練物
16 型枠
17 加振装置
19 立体網目構造
20 粗大粒子
21 透水性ブロック
22 歩道
23 靴底

Claims (7)

  1. ガラス粉末とセメント系固化材の混合物にアクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含む水溶液を添加し混練、固化させて形成した透水性ブロック。
  2. 前記ガラス粉末が廃ガラスの破砕粉である請求項1記載の透水性ブロック。
  3. ガラス粉末とセメント系固化材とを混合する撹拌工程と、撹拌工程で形成された混合物にアクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体からなる高分子化合物を含む水溶液を添加して混練する混練工程と、混練工程で形成された混練物を型枠に充填し、型枠に振動を与えながら混練物を固化させる成型工程と、型枠に充填された混練物を水蒸気雰囲気内で養生する養生工程と、養生工程の終了後の脱型工程とを含むことを特徴とする透水性ブロックの製造方法。
  4. 前記ガラス粉末とセメント系固化材の混合比が1:1〜1:2である請求項3記載の透水性ブロックの製造方法。
  5. 前記混練物の含水率が10〜15%である請求項3または4記載の透水性ブロックの製造方法。
  6. 前記ガラス粉末の粒径が1〜10μmである請求項3〜5のいずれかに記載の透水性ブロックの製造方法。
  7. 前記ガラス粉末として廃ガラスの破砕粉を用いる請求項3〜6のいずれかに記載の透水性ブロックの製造方法。
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