JP3638935B2 - 保水性舗装構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歩道、車道、駐車場等を形成するための舗装構造に関し、特に、夏季において直射日光による路面温度の著しい上昇を抑制することのできる保水性舗装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ヒートアイランド現象による夏季の市街地の温度上昇が問題となっている。ヒートアイランド現象は、主として、コンクリートからなるビルや、アスファルト、コンクリート等からなる舗装が、直射日光を照り返すこと等によって発生するものである。
一方、車道の脇に設けられる歩道や、歩行者専用道路や、建造物の入口に通じる戸外の通路等を形成するための路面形成部材として、インターロッキングブロック等の舗装用ブロックが用いられることがある。これら舗装用ブロックは、通常、コンクリート等の材質からなるため、夏季に路面温度の上昇を招き易く、その結果、通行する歩行者に高温による不快感を与えることがある。
【0003】
そのため、舗装用ブロックを用いて舗装構造を形成するに際して、路面の温度の上昇を抑制する方法が、種々検討され提案されている。
その一例として、地表の高温化を抑制すると共に、余剰の雨水等を地中に透過させるために、地表面を覆うブロック材と路盤との間に敷設される保水性舗装材において、地表面を覆うブロック材等から透過した雨水等を保水する保水部と、当該保水部から排出される余剰の雨水等を地中に透過させる排水部とを備えていることを特徴とする保水性舗装材が提案されている(特許文献1)。ここでの保水部は、プラスチックシートからなる保水性舗装材に対して多数成形された凹部からなるものである。
他の例として、セメント、水、砕石等の粗骨材及び微粒珪砂から成り、内部に多数の微細な連続空隙を有し、下面から上面への揚水機能を有する舗装用ブロックであり、微粒珪砂を30〜100μmの粒径として12.5〜16.4重量%混合したことを特徴とする舗装用ブロックが提案されている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−95903号公報(第2頁の請求項1、第5頁の段落番号0028、第7頁の図1〜図5)
【特許文献2】
特開2002−256506号公報(第2頁の請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1、2に記載の如き従来の舗装用ブロックの路面温度の上昇抑制方法は、舗装構造中に保水用の部材を埋設したり、あるいは、舗装用ブロック自体に保水性を付与するものである。
しかし、これらの方法は、施工に要する労力や時間や費用を増大させたり、あるいは、保水性を有しない汎用の舗装用ブロックの使用を前提とした場合に適用することができない等の不都合がある。
そこで、本発明は、施工に要する労力や時間や費用を増大させることなく、舗装用ブロックを表層とする路面における夏季の直射日光による温度上昇を効果的に抑制することのできる、舗装用ブロックを含む保水性舗装構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、舗装用ブロック間に介在する目地部や、舗装用ブロックの下方に形成されるクッション層等の中に、特定の保水材を含ませることによって、舗装用ブロックを表層とする路面における夏季の直射日光による温度上昇を効果的に抑制することができることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明(請求項1)の保水性舗装構造は、複数の舗装用ブロックと該舗装用ブロック間に介在する目地部とからなる表層と、該表層の下方に形成されたクッション層とを含む保水性舗装構造であって、前記目地部及び前記クッション層の少なくとも一方が、(a)目地砂またはクッション砂20〜80容積%と、(b)1.0〜5.0mmの平均粒径(85%重量累積粒径)を有するオートクレーブ養生した気泡コンクリートの粒体からなる保水材20〜80容積%とを、各々独立した粒体として含むことを特徴とする。
本発明の保水性舗装構造は、雨水等が透過する舗装用ブロック間の目地部またはクッション層の中に、保水性に優れた特定の保水材を含むため、夏季に直射日光に曝されても、保水材に保持された水分が気化することによって、路面の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0008】
上述の保水性舗装構造は、前記クッション層の下方に形成された路盤を含み、かつ、該路盤が、1.0〜5.0mmの平均粒径(85%重量累積粒径)を有するオートクレーブ養生した気泡コンクリートの粒体からなる保水材を、独立した粒体として含むように、構成することができる(請求項2)。
このように路盤が特定の保水材を含むことによって、路面の温度上昇をより一層効果的に抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の保水性舗装構造の一例を模式的に示す断面図である。
図1中、保水性舗装構造1は、複数の舗装用ブロック3と舗装用ブロック3間に介在する目地部4とからなる表層2と、クッション層5と、路盤6と、路床7とから構成されている。
本発明においては、目地部4とクッション層5の少なくとも一方の材料として、通常用いられる砂等の材料の一部または全部を置換する形で、オートクレーブ養生した気泡コンクリートの粒体からなる保水材が使用される。
【0011】
また、本発明の好ましい実施形態として、路盤6の材料の一部または舗装用ブロック3の材料の一部としても、オートクレーブ養生した気泡コンクリートの粒体からなる保水材が使用される。
この保水材は、内部に微細な連続空隙を多数有し、吸水率が50〜70重量%と大きく、水の保持能力に優れている。そして、この保水材に蓄えられた水分が徐々に気化する際に、周囲の熱を気化熱として奪うことによって、夏季の直射日光による路面温度の著しい上昇を効果的に抑制することができる。
【0012】
上述の保水材(オートクレーブ養生した気泡コンクリートの粒体)について、以下に説明する。
オートクレーブ養生した気泡コンクリート(本明細書中において、「ALC」ともいう。)の粒体は、水硬性の原料に水、気泡剤、及び必要に応じて配合される他の原料を加えて多孔質化したものを、オートクレーブ養生によって硬化させたものからなる粒体である。
ALCの具体例としては、例えば、JIS A 5416(オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート製品)に規定されているコンクリートが挙げられる。該コンクリートは、石灰質原料及びけい酸質原料を粉末状態として混合したものに適量の水及び気泡剤ならびに混和材料を加えて多孔質化したものを、オートクレーブ養生(通常ゲージ圧約10kgf/cm2(温度約180℃)における飽和蒸気養生)によって硬化させて製造されるものである。
【0013】
ALCの粒体は、保水性(夏季における温度上昇抑制効果)の観点から、平均粒径が1.0〜5.0mmのものが用いられる。
ただし、目地部に用いる場合、ALCの粒体の最大粒径は、目地部の寸法に適合するように、3mm以下であることが好ましい。
ALCの粒体は、使用後のALC製品または部材を有効利用する観点から、ALCの廃材であることが好ましい。
【0014】
なお、本明細書中において、「廃材」の語は、所定の製品を製造する際に切削等の加工によって生じる廃棄対象の材料(製造過程で生じる不要な材料)や、使用後の製品または部材(使用済みの不要な材料)等を含む意で用いられる。
本明細書中において、「粒径」の語は、粒体が略球形の場合は直径を意味し、球形以外の形状の場合は最大寸法を意味する。
本明細書中において、「平均粒径」の語は、85%重量累積粒径を意味する。
【0017】
次に、保水性舗装構造1を構成する各部分について説明する。
表層2は、路面を形成すべく敷設される複数の舗装用ブロック3と、舗装用ブロック3間に介在する目地部4とから構成されている。
舗装用ブロック3としては、例えば、保水性ブロック(透水性を兼ね備えたものを含む。)、透水性ブロック、透水性及び保水性を有しない汎用のブロック(例えば、普通インターロッキングブロック)等が挙げられる。
【0018】
保水性ブロックは、ALCの粒体の如き保水材を含むものであり、製造時に、保水性ブロックの表面に連通孔を形成させるための工程を設けなくても、保水性ブロックの表面に適当な連通孔が形成され、該連通孔を通じて雨水等の浸入及び保持がなされるため、保持された水が気化する際に周囲の熱を気化熱として奪うことによって、夏季における直射日光による路面温度の上昇抑制効果を発揮することができる。
保水性ブロックは、例えば、セメント、骨材、保水材(例えば、ALCの粒体、パーライトの粉粒体、ロックウールの粉粒体等)及び水等の材料を混練した後、所定の型枠内で養生し硬化させることによって製造することができる。
【0019】
保水性ブロックを構成する各材料の配合割合は、次の通りである。
(1)オートクレーブ養生した気泡コンクリート(ALC)の粒体を使用する場合
▲1▼モルタルブロックを製造する場合は、機械的強度、耐久性、保水性等の観点から、保水性ブロックの単位体積当たり、セメント量が400〜600kg/m3、水量(混練開始時)が130〜150kg/m3、細骨材量が1,200〜1,400kg/m3、保水材量が0.16〜0.20m3/m3であるように配合することが好ましい。
▲2▼コンクリートブロックを製造する場合は、機械的強度、耐久性、保水性等の観点から、保水性ブロックの単位体積当たり、セメント量が350〜500kg/m3、水量(混練開始時)が85〜150kg/m3、細骨材量が0〜600kg/m3、粗骨材量が800〜1,500kg/m3、保水材量が0.16〜0.20m3/m3であり、減水剤の添加量がセメントに対して0.1〜2.0重量%(固形分換算)であるように配合することが好ましい。
【0020】
(2)パーライトの粉粒体を使用する場合
▲1▼モルタルブロックを製造する場合は、機械的強度、耐久性、保水性等の観点から、保水性ブロックの単位体積当たり、セメント量が400〜600kg/m3、水量(混練開始時)が130〜150kg/m3、細骨材量が1,200〜1,400kg/m3、保水材量が0.16〜0.20m3/m3であるように配合することが好ましい。
▲2▼コンクリートブロックを製造する場合は、機械的強度、耐久性、保水性等の観点から、保水性ブロックの単位体積当たり、セメント量が350〜500kg/m3、水量(混練開始時)が85〜150kg/m3、細骨材量が0〜600kg/m3、粗骨材量800〜1,500kg/m3、保水材量が0.20〜0.25m3/m3であり、減水剤の添加量がセメントに対して0.1〜2.0重量%(固形分換算)であるように配合することが好ましい。
【0021】
(3)ロックウールの粉粒体を使用する場合
▲1▼モルタルブロックを製造する場合は、機械的強度、耐久性、保水性等の観点から、保水性ブロックの単位体積当たり、セメント量400〜600kg/m3、水量(混練開始時)が130〜150kg/m3、細骨材量が1,200〜1,400kg/m3、保水材量が0.20〜0.30m3/m3であるように配合することが好ましい。
▲2▼コンクリートブロックを製造する場合は、機械的強度、耐久性、保水性等の観点から、セメント量が350〜500kg/m3、水量(混練開始時)が85〜150kg/m3、細骨材量が0〜600kg/m3、粗骨材量が800〜1,500kg/m3、保水材量が0.20〜0.30m3/m3であり、減水剤の添加量がセメントに対して0.1〜2.0重量%(固形分換算)であるように配合することが好ましい。
【0022】
なお、混練に際しては、保水材の吸水量が多いため、混練の途中で適宜、水を加えて、所定のコンシステンシーが得られるようにする必要がある。混練の途中で加えられる水の量は、保水材の種類や量によっても異なるが、概ね、混練開始時の水量100容量部に対して30〜70容量部程度である。
前記材料の混練方法は、特に限定されるものではなく、例えば、全ての材料を一括して投入し、混練してもよいし、あるいは、水と減水剤以外の材料を投入して空練りした後に、水と減水剤を投入して、混練してもよい。
【0023】
混練装置も、特に限定されるものではなく、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ、パン型ミキサ、オムニミキサ、ホバートミキサ等の慣用のミキサを用いることができる。
また、成形方法も特に限定されるものではなく、例えば、前記材料からなる混練物を所定の型枠内に投入した後、必要に応じて加圧しつつ、外部振動を与えて締め固め、即時脱型する方法等を採用することができる。
養生方法も特に限定されるものではなく、気中養生、水中養生、蒸気養生等で養生すればよい。
保水性ブロックは、景観性を向上させるために、表層をモルタルブロックとし、基層をコンクリートブロックとした2層構造にしてもよい。
【0024】
舗装用ブロック3間の目地部4は、舗装用ブロック3間の目地の空隙内に所定の材料を充填することによって形成される。
目地部4は、舗装用ブロック3相互のかみ合わせを良好にするとともに、一定の目地幅を確保して舗装用ブロック3の角欠けを防止するために設けられる。
目地部4の材料は、通常、目地砂と上述の保水材とを所定の配合割合で混合することによって調製される。
目地砂としては、例えば、最大粒径が2.36mm以下であり、かつ0.075mmふるい通過分が10%以下のものが用いられる。目地砂の具体例としては、例えば、5号珪砂等が挙げられる。
【0025】
目地部4の材料中の上述の保水材(ALCの粒体)の容積割合は、通常、0〜100容積%、好ましくは20〜80容積%、特に好ましくは30〜70容積%である。
目地部4は、舗装用ブロック3間に介在し、かつ路面の一部を形成していることから、雨水等が浸透し易い部分である。そのため、目地部4に保水材を配合した場合には、保水材の単位重量当たりの路面温度の上昇抑制効果が大きいという利点に加えて、雨量が少なく、雨水がクッション層5にまで到達しない場合であっても、路面温度の上昇抑制効果を発揮することができるという利点がある。
【0026】
クッション層5は、クッション砂と上述の保水材とを所定の配合割合で混合することによって調製される。
クッション砂としては、例えば、最大粒径が4.75mm以下であり、かつ0.075mmふるい通過分が5%以下のものが用いられる。クッション砂の具体例としては、例えば、陸砂等が挙げられる。
クッション層5の材料中の上述の保水材(ALCの粒体)の容積割合は、通常、0〜100容積%、好ましくは20〜80容積%、特に好ましくは40〜60容積%である。
クッション層5は、表層2の下方の全領域に亘って所定の厚みを有して形成されており、目地部4と比べて容積が大きいこと、及び、目地部4を透過した雨水等が浸透する層であることから、保水材を配合した場合に、大きな路面温度の上昇抑制効果を発揮することができる。
【0027】
本発明においては、目地部4とクッション層5の少なくとも一方に、保水材を配合することが必要である。目地部4とクッション層5のいずれにも保水材を配合しない場合には、舗装用ブロック3の縁辺(目地)及び下方に浸透する雨水等の水分を保持して、夏季の直射日光による路面温度の上昇抑制効果を得ようとする本発明の目的を達成することができない。
目地部4とクッション層5の両方に保水材を配合することは、目地部4に保水材を配合する場合の利点と、クッション層5に保水材を配合する場合の利点とを併せ持つことができるので、好ましい。
【0028】
路盤6は、クラッシャラン等の砕石を主な材料として構成される。
本発明において、路盤6の材料の一部として上述の保水材を配合することは、路面温度の上昇抑制効果を高めるので、好ましい。
路盤6の材料中の上述の保水材(ALCの粒体)の容積割合は、通常、0〜100容積%、好ましくは20〜80容積%、特に好ましくは40〜60容積%である。
路盤6の下方には、関東ローム等の在来土からなる路床7が存在している。
【0029】
表層2を構成する舗装用ブロック3及び目地部4や、クッション層5や、路盤6には、砂等の本来の材料、及び上述の保水材(ALCの粒体)に加えて、他の材料を配合してもよい。
他の材料としては、例えば、微粒珪砂、瓦屑、レンガ屑、シャモット、ペーパースラッジ焼却灰、珪酸カルシウム焼成版の粉、シラス、都市ゴミの焼却灰、下水汚泥の焼却灰、鉄鋼スラグ(徐冷、水砕)、製鋼スラグ(転炉、電気炉)、溶融スラグ(都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥スラグ)等が挙げられる。
他の材料の容積割合(2種以上用いる場合は合計量)は、舗装用ブロック3等の各部分における全材料中、通常、0〜90容積%である。
【0030】
【実施例】
以下、実験例に基づいて本発明を説明する。
(A)使用材料
実験例では、以下のブロック及び材料を用いた。
[1.保水性インターロッキングブロック]
次の各材料を2軸強制練りミキサを用いて3分間混練した後、所定の型枠内に投入し、即時脱型振動締め固めを行なって、100mm×200mm×60mmの寸法を有する透水性を兼ね備えた保水性インターロッキングブロック(以下、「保水性ブロック」ともいう。)を作製した。各材料の配合量は、普通ポルトランドセメント400kg/m3(12.7容量%)、6号砕石657kg/m3(25.1容量%)、7号砕石823kg/m3(31.5容量%)、ALC廃材290kg/m3(18.7容量%)、水120kg/m3(12.0容量%)、高性能減水剤6kg/m3(0.6容量%)とした。
【0031】
作製された保水性ブロックの物性は、次のとおりである。
曲げ強度 3.40MPa
透水係数 0.013cm/秒
空隙率 13.1%
保水量 0.20g/cm3
吸水率 11.1%
すべり抵抗値 62BPN
【0032】
[2.目地部等に配合する保水材]
目地部、クッション層及び路盤に配合する保水材として、ALC廃材(クリオン(株)製;粒径:2.5mm以下;表乾密度:1.55g/cm3、吸水率:68.5%)を用いた。
[3.目地部]
目地砂として5号珪砂を用いた。
[4.クッション層]
クッション砂として陸砂を用いた。
[5.路盤]
路盤の材料としてクラッシャラン(C−30;粒径30mm以下)を用いた。[6.路床]
実験場所の路床は、関東ロームであった。
[7.普通インターロッキングブロック]
透水性及び保水性を有しない普通インターロッキングブロック(100mm×200mm×60mm;内山アドバンス社製)(以下、「普通ブロック」ともいう。)を使用した。
[8.透水性インターロッキングブロック]
保水性を有さず、透水性のみを有する透水性インターロッキングブロック(100mm×200mm×60mm;内山アドバンス社製)(以下、「透水性ブロック」ともいう。)を使用した。
[9.アスファルト舗装]
黒色の密粒度アスファルト混合物を使用した。
【0033】
(B)舗装構造の作製
[実施例1〜3、比較例1〜3]
1m×1mの領域(1m2)内に、上方(表層)から下方(地中)に向かって、表1に示す各種ブロック3(厚さ:60mm、色:灰色)及び目地部4(目地幅:2〜3mm)からなる表層2、クッション層5(厚さ:30mm)、路盤6(厚さ:100mm)、路床7が順次積層されてなる舗装構造(図1参照)を作製した。舗装構造の外周は、発泡スチロール製の断熱材(厚さ:100mm)で囲んだ。ブロック3の敷設パターンは、各ブロックとも、ストレッチャーボンドパターンで統一した。
この際、保水性ブロック(実施例1〜3、比較例1)及び透水性ブロック(比較例3)を用いた舗装構造においては、クッション層5と路盤6の間に、不織布(60g/m2)を敷設し、かつ、路盤6と路床7の間に、陸砂からなるフィルター層(厚さ:50mm)を設けるようにした。
【0034】
なお、表1中、目地部に「保水材あり」は、目地砂100容量部に対して保水材50容量部を配合してなる混合物を用いたことを表す。
クッション層に「保水材あり」は、クッション砂100容量部に対して保水材40容量部を配合してなる混合物を用いたことを表す。
路盤に「保水材あり」は、クラッシャラン100容量部に対して保水材40容量部を配合してなる混合物を用いたことを表す。
【0035】
[比較例4]
1m×1mの領域(1m2)内に、表層が密粒度アスファルト混合物(厚さ:30mm)であり、その下方に路盤(厚さ:100mm)及び路床が形成されている舗装構造を、現場打ち施工によって作製した。
【0036】
【表1】
【0037】
(C)路面温度の経時変化の測定
舗装構造(実施例1〜3、比較例1〜4)に対し、8月の晴天の日に、午前0時(図2中の0時)を開始時点とし、31時間経過後の午前7時(図2中の31時)を終了時点として、その間の路面温度(舗装構造の上面近傍の温度)を測定した。
その際、測定開始時点の4〜2時間前に、予め、雨量に換算して50mmに相当する水を、各舗装構造(実施例1〜3、比較例1〜4)の上面全体に散布した。
結果を図2に示す。また、図2中の13時及び24時の時点における温度を、表1中に示す。
【0038】
表1に示すように、気温36.9℃(13時)の温度条件下においては、実施例1(目地部、クッション層、路盤に保水材あり)、実施例2(目地部及びクッション層に保水材あり)、実施例3(目地部に保水材あり)の路面温度は、各々、比較例1(保水性ブロック)の路面温度と比べて、3.5℃、2.9℃、1.0℃低くなっている。
また、気温23.9℃(24時)の温度条件下においては、実施例1(目地部、クッション層、路盤に保水材あり)、実施例2(目地部及びクッション層に保水材あり)の路面温度は、各々、比較例1(保水性ブロック)の路面温度と比べて、1.4℃、1.2℃低くなっている。実施例3(目地部に保水材あり)の路面温度は、比較例1(保水性ブロック)とほぼ同等である。
これらの結果から、保水材の単位量当たりの効果を考慮すると、目地部またはクッション層に保水材を含ませることが、特に、温度上昇の抑制に効果的であることがわかる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の保水性舗装構造は、雨水等が透過する舗装用ブロック間の目地部またはクッション層の中に、保水性に優れた特定の保水材を含むため、夏季に直射日光に曝されても、保水材に保持された水分が気化することによって、路面の温度上昇を抑制することができる。
また、保水性舗装構造中の舗装用ブロックや路盤に、目地部等に含ませる保水材と同じ保水材を含ませることによって、路面の温度上昇をより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保水性舗装構造を模式的に示す断面図である。
【図2】 各種舗装構造における路面温度の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 保水性舗装構造
2 表層
3 舗装用ブロック
4 目地部
5 クッション層
6 路盤
7 路床
Claims (2)
- 複数の舗装用ブロックと該舗装用ブロック間に介在する目地部とからなる表層と、該表層の下方に形成されたクッション層とを含む保水性舗装構造であって、
前記目地部及び前記クッション層の少なくとも一方が、(a)目地砂またはクッション砂20〜80容積%と、(b)1.0〜5.0mmの平均粒径(85%重量累積粒径)を有するオートクレーブ養生した気泡コンクリートの粒体からなる保水材20〜80容積%とを、各々独立した粒体として含むことを特徴とする保水性舗装構造。 - 前記クッション層の下方に形成された路盤を含み、かつ、該路盤が、1.0〜5.0mmの平均粒径(85%重量累積粒径)を有するオートクレーブ養生した気泡コンクリートの粒体からなる保水材を、独立した粒体として含む請求項1に記載の保水性舗装構造。
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