JP4030790B2 - 舗装体及びその施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市部等におけるヒートアイランド現象を低減することのできる、車道、歩道、屋上等のアスファルト混合物またはコンクリートの舗装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、都市部等において、夏季に、昼間に上昇した外気温が、夜間も低下せず、熱帯夜となるなどのヒートアイランド現象が発生するようになっている。
このヒートアイランド現象は、アルファルト舗装やコンクリート舗装等の路面付近の温度が太陽熱によって50〜60℃程度にまで上昇し、この熱が、夜間、放射されるために生じると言われている。ヒートアイランド現象によって、日中のみならず夜間においてもエアコンを使用することが不可欠となり、省エネルギーとは逆の生活を余儀なくされる家庭が増加している。
【0003】
このような状況下において、アスファルト舗装やコンクリート舗装に起因する大気の温度上昇を抑制するため、従来より、種々の提案がなされている。
例えば、特開平10−46513号公報には、開粒度アスファルト混合物やポーラスコンクリートによって舗装体の本体を形成し、この本体の連続空隙内に保水性及び透水性を有するシルト系充填材を充填することによって、舗装体を完成させ、その後、この舗装体内のシルト系充填材に雨水または供給水を浸透させることによって、舗装体を冷却し、舗装体の路面温度の上昇を抑制する技術が、記載されている。
【0004】
しかし、この技術を用いた場合、シルト系充填材に浸透した水が、比較的短期間に蒸散してしまい、路面温度の上昇を長時間に亘って抑制することができないという問題がある。この問題を解消するためには、該公報に記載されているように、給水用有孔管(微細孔を有する可撓性の硬質ゴムからなる管)を配設して、シルト系充填材に対して人為的に水を供給しなければならない。
【0005】
一方、特開2000−104214号公報には、セメントと吸水性樹脂とを含む処理材をスラリー状で舗装面に散布することによって、舗装を低温化する技術が、記載されている。
しかし、この技術を用いた場合、▲1▼吸水の繰り返しや日光(紫外線)への曝露によって吸水性樹脂の吸水機能や耐久性が低下すること、▲2▼吸水性樹脂を含むスラリーを散布する際に、吸水性樹脂が吸水してしまい、散布作業が困難になるおそれがあること、▲3▼製造元の製造中止等によって吸水性樹脂を入手することが困難になるおそれがあること等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の通り、従来の技術では、人為的な給水を行なわない限り、路面温度の上昇を長時間に亘って抑制することができなかったり、あるいは、保水のために用いる吸水性樹脂が徐々に劣化するなどの問題があり、改善の余地が残されていた。
したがって、本願発明は、このような従来の技術の問題点に鑑みて、一旦、保水すると、路面温度の上昇を長時間に亘って抑制することができ、しかも、吸水性樹脂のような原料の入手の問題や経時的な劣化のおそれがなく、さらには、施工作業が容易で、かつ施工時間を短縮することのできる舗装体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、多孔質硬化体(例えば、開粒度アスファルト混合物等)の連続空隙内に特定の充填材を充填することによって、保水効果が優れ、路面温度の上昇を長時間に亘って抑制することができる等の特性を有する舗装体を得ることができることを見い出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本願請求項1に記載の舗装体は、多孔質硬化体(例えば、開粒度アスファルト混合物、ポーラスコンクリート等)の連続空隙内に、セメントと、モンモリロナイト、カオリナイトまたはイライトからなる粘土鉱物を含む粘土系微粉末とを含む充填材を充填してなる舗装体であって、上記セメントと上記粘土系微粉末の重量比が、 5 : 95 〜 30 : 70 であることを特徴とする。
このように構成した舗装体は、一旦、保水すると、路面温度の上昇を長時間(例えば、10日間程度)に亘って抑制することができ、しかも、吸水性樹脂のような原料の入手の問題や経時的な劣化のおそれがなく、さらには、施工作業が容易で、かつ施工時間を短縮することができる。
【0009】
ここで、上記粘土系微粉末中の5μm以下の粒径を有する微粉末の重量割合は、例えば、60重量%以上である(請求項2)。
上記5μm以下の粒径を有する微粉末としては、例えば、上記粘土鉱物と、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、珪石粉、石灰石粉末、シリカフュームから選択される一種以上の無機粉末とを含むものが挙げられる(請求項3)。
上記充填材中の上記粘土鉱物の重量割合は、例えば、1〜30重量%である(請求項4)。
上記多孔質硬化体としては、例えば、開粒度アスファルト混合物またはポーラスコンクリートからなるものを用いることができる(請求項5)。
【0010】
本願請求項6に記載の舗装体の施工方法は、連続空隙を有する多孔質硬化体(例えば、開粒度アスファルト混合物、ポーラスコンクリート等)からなる舗装体の本体部を形成した後、セメントと、モンモリロナイト、カオリナイトまたはイライトからなる粘土鉱物を含む粘土系微粉末とからなり、かつ上記セメントと上記粘土系微粉末の重量比が、 5 : 95 〜 30 : 70 であり、J10ロート流下時間が4〜6秒であるスラリー状の充填材を、上記多孔質硬化体の上記連続空隙内に充填することを特徴とする。
このように特定の充填材を用いることによって、多孔質硬化体の連続空隙内に容易かつ迅速に充填材を充填することができ、施工作業の容易化及び施工時間の短縮化を実現することができる。また、この施工方法によって得られる舗装体は、一旦、保水すると、路面温度の上昇を長時間に亘って抑制することができ、しかも、吸水性樹脂のような原料の入手の問題や経時的な劣化のおそれがないなど、従来の舗装体と比較して種々の面で好適に使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の舗装体は、多孔質硬化体の連続空隙内に、セメントと粘土系微粉末とを含む充填材を充填してなるものである。
多孔質硬化体は、例えば、開粒度アスファルト混合物、ポーラスコンクリート等から構成される。
多孔質硬化体は、充填材を充填し得る寸法の径及び長さを持つ連続空隙を有する。連続空隙の空隙率は、例えば、15〜35%の範囲内に調整される。空隙率をこの数値範囲内とすることによって、路面温度の低減効果と大きな曲げ強度を共に確保することができる。
【0012】
本発明で用いる充填材は、セメント、粘土系微粉末、水、減水剤(例えば、高性能減水剤)等を配合することによって得ることができる。
充填材の材料として用いられるセメントとしては、例えば、超速硬セメント、普通ポルトランドセメント、超早強セメント、早強セメント、高炉セメント等が挙げられる。セメントの種類は、現場の施工条件等を考慮して、適宜、選択される。
【0013】
粘土系微粉末は、5μm以下の粒径を有する微粉末を60重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上の重量割合で含むものである。
ここで、5μm以下の粒径を有する微粉末としては、例えば、粘土鉱物と、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、珪石粉、石灰石粉末、シリカフュームから選択される一種以上の無機粉末とを含むものが挙げられる。
【0014】
粘土鉱物は、セメント等と共に混合して充填材とした場合、長期に亘って徐々に水分を放出するため、路面温度の低減効果を長時間(例えば、10日間程度)持続させることができる。
粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、カオリナイト、イライト等が挙げられる。中でも、モンモリロナイトは、長期に亘って徐々に水分を放出する傾向が強く、好ましく用いられる。
【0015】
セメント及び粘土系微粉末の材料の配合割合は、例えば、セメント5〜30重量%、粘土鉱物1〜30重量%、高炉スラグ微粉末0〜50重量%、フライアッシュ0〜50重量%、珪石粉0〜50重量%、石灰石粉末0〜50重量%、シリカフューム0〜50重量%(合計で100重量%)である。
セメントの重量割合が5重量%未満であると、強度不足によって充填材が流出するおそれがあり、30重量%を超えると、セメントの水和反応が進み過ぎて、充填材中の空隙が少なくなり、保水性が低下するおそれがある。
粘土鉱物の重量割合が1重量%未満であると、路面の温度低減効果を十分に得ることができず、30重量%を超えると、路面の温度低減効果が頭打ちとなるにもかかわらず、コストが増大することとなり、好ましくない。
【0016】
高性能減水剤としては、ナフタリン系、メラミン系、ポリカルボン酸系等のいずれの種類を用いてもよい。
充填材中の高性能減水剤の配合量は、セメント100重量部当たり、通常、0〜2重量部である。該配合量が2重量部を超えると、材料分離と硬化不良が生じ、好ましくない。
充填材中の水(混練水)の配合量は、セメント及び粘土系微粉末の合計量100重量部当たり、60〜100重量部である。水の配合量が60重量部未満では、充填性が不良になるおそれがあり、100重量部を超えると、材料分離が生じるおそれがある。
【0017】
充填材は、スラリー状にして、多孔質硬化体の表面から連続空隙内に充填される。このスラリー状の充填材は、J10ロート流下時間で4〜6秒の流動性を有することが好ましい。、J10ロート流下時間が4秒未満であると、材料分離が生じるおそれがあり、6秒を超えると、セルフレベリング性が低下するおそれがある。
【0018】
充填材は、多孔質硬化体の連続空隙中、一般的には、体積割合で30〜100%、好ましくは50〜100%となるように充填される。該体積割合が30%未満では、路面の温度の低減効果を十分に得ることができない。なお、路面の温度の低減効果と共に、排水性を確保したい場合には、該体積割合を30〜70%にすることが好ましい。
多孔質硬化体の連続空隙内に充填されたスラリー状の充填材は、水和して硬化体となり、材齢28日で1.5〜2.0N/mm2程度の圧縮強度を発現する。
【0019】
本発明の舗装体を含む構造物の模式図を図1に示す。
図1中、本発明の舗装体1は、基層部分を形成する既設のアスファルト舗装(またはコンクリート舗装)2の上方に、表層部分として、3〜10cm程度の厚さとなるように積層されている。舗装体1を形成させるには、既設のアスファルト舗装(またはコンクリート舗装)2の上面に、開粒度アスファルト混合物3を層状に打設して締め固めた後、開粒度アスファルト混合物3の上方からスラリー状の充填材4を散布し、開粒度アスファルト混合物3の連続空隙内に充填材4を自然に流下させて充填すればよい。なお、バイブレータ等の充填器具を用いることによって、充填速度を高めることもできる。
【0020】
【実施例】
[1.ポーラスコンクリートの作製]
(1)材料
以下に示す材料を使用した。
▲1▼セメント;超速硬セメント(商品名:「スーパージェットセメント」、太平洋セメント社製)
▲2▼水;水道水
▲3▼細骨材;茨城県結城市産の陸砂(粒径2.5mm以下)
▲4▼粗骨材;茨城県岩瀬産の砕石1305(6号)(粒径5〜13mm)
▲5▼高性能減水剤;「マイティー150(商品名)」(花王社製)
▲6▼凝結遅延剤;「スーパージェットセッター」(太平洋セメント社製)
【0021】
(2)各材料の配合割合
次の表に示すように、各材料を混合した。
【表1】
【0022】
(3)混練及び硬化体の作製
まず、粗骨材と細骨材を二軸式強制混練ミキサ(容積:100リットル)に投入して、15秒間混練した。次に、水、高性能減水剤、凝結遅延剤を投入して、さらに15秒間混練した。最後にセメントを投入し、180秒間混練してから混練物を排出した。その後、混練物を型枠内に投入し、50cm×50cm×10cmの寸法の供試体を得た。
【0023】
(4)硬化体の物性
得られたポーラスコンクリート硬化体(試験片No.1〜3)の物性は、次の通りである。ポーラスコンクリート硬化体の曲げ強度は、JIS A 5308「レディーミクストコンクリート」中の舗装用コンクリートの呼び強度を満たすもので、構造強度上の機能を有することが確認された。
【0024】
【表2】
【0025】
[2.充填材の作製]
高炉セメントB種20重量部、フライアッシュ30重量部、珪石粉40重量部、モンモリロナイト(ベントナイト)10重量部、高性能減水剤1重量%(ただし、高炉セメントB種100重量%当たりの配合量)、水80重量%(ただし、高炉セメントB種とフライアッシュと珪石粉とモンモリロナイトの合計量100重量%当たりの配合量)を混合し、J10ロート流下時間が4.5秒、材齢28日の圧縮強度が1.5〜2.0N/mm2、吸水率が40〜50体積%程度のスラリー状の充填材を調製した。
【0026】
調製した充填材について、以下のように、吸水性、セルフレベリング性、保水性の各物性を評価した。
▲1▼充填材の吸水性の評価
この充填材を用いて、次の手順で吸水性繰り返し試験を行なった。
まず、ハンドミキサを用いて、上述の充填材(グラウト材)を2分間混練した後、型枠内でφ5cm×10cmの寸法の供試体を作製し、型枠内で7日間養生した。養生後、脱型し、供試体の容積を測定した。
測定後、24時間の水中養生を行ない、水中養生後の供試体の質量を測定した。
その後、恒温恒湿槽(設定温度40℃、湿度20%)内で24時間乾燥後、供試体の質量を測定し、逸散した水の重量を算出した。
吸水率は、
吸水率(容積%)=(逸散水の容積(ml)/供試体の容積(ml))×100
によって算出した。
なお、逸散水の容積(ml)の値は、逸散水の重量(g)と等しいものとした。
吸水性繰り返し試験中の充填材の吸水率の変化を図2に示す。図2に示すように、本発明で用いる充填材は、繰り返し試験を300回行なった後においても、吸水機能が低下することがなかった。
【0027】
▲2▼充填材のセルフレベリング性の評価
ポーラスコンクリート硬化体の連続空隙内に、本発明で用いる充填材を充填する際の速度を測定した。具体的には、上記の表1と同様の組成を有する厚さ50mmのポーラスコンクリート硬化体を作製後、このポーラスコンクリート硬化体の上面に、400mlの充填材を収容した現場透水性試験機を立て、充填材が、ポーラスコンクリート硬化体の連続空隙内に完全に浸透し充填されるまでの流下時間を測定した。また、比較として、本発明の粘土系充填材(粘土)の代わりにシルト系充填材(シルト)を用いた場合の流下時間を測定した。測定は、各々の場合について3回行なった。結果を表3に示す。表3から、本発明の充填材は、シルト系充填材と比べて、現場透水性試験機を用いた試験における流下時間が短く、セルフレベリング性に優れることがわかる。
【0028】
【表3】
【0029】
▲3▼充填材の保水性の評価
上述のスラリー状の充填材を型枠内に注入し、直径5cm×長さ10cmの円柱状の試験体を作製し、材齢28日まで型枠内養生した。その後、試験体を脱型し、24時間水中養生した。水中養生後、試験体を温度20℃、湿度60%の雰囲気下に21日間放置し、その間の試験体の重量(初期重量に対する重量割合)を測定した。また、本発明の粘土系充填材(粘土)の代わりにシルト系充填材(シルト)を用いた場合についても、同様に測定した。
結果を図3に示す。図3から、シルト系充填材(シルト)では、比較的初期(材齢5日程度)で水の蒸散がほぼ終わるのに対し、本発明の粘土系充填材(粘土)では、長時間に亘って徐々に一定速度で水が蒸散することがわかる。
【0030】
[3.舗装体の作製]
ポーラスコンクリート硬化体の上面に、スラリー状の充填材を流すことによって、ポーラスコンクリート硬化体の連続空隙内に充填材を注入し、舗装体を作製した。充填材の注入量は、ポーラスコンクリート硬化体の連続空隙中の体積割合で50%(実施例1)及び100%(実施例2)となるようにした。
また、本発明の舗装体(実施例1〜2)の他に、比較例として、ポーラスコンクリート(比較例1)、プレーンコンクリート(比較例2)、アスファルト混合物(比較例3)の各舗装体を作製した。
【0031】
[4.温度変化の測定]
得られた舗装体(実施例1〜2、比較例1〜3)について、8月23日午前0時から翌日午前0時までの間、これら舗装体の上面から1cm深さの地点における温度の変化を測定した。
結果を図4に示す。図4から、本発明の舗装体(実施例1〜2)は、比較例1〜3の舗装体と比べて、日中の温度の上昇幅が小さいことがわかる。
また、舗装体(実施例2、比較例1〜3)について、8月9日〜8月24日の間、これら舗装体の上面から1cm深さの地点における温度の変化を測定した。結果を図5に示す。図5は、プレーンコンクリート(比較例2)を基準にした温度差を示し、充填材を100%充填した場合(実施例2)には、ポーラスコンクリート(比較例1)等と比べて、温度が大きく低減されることがわかる。
【0032】
[5.透水性の測定]
実施例1の舗装体(充填材を50%充填したもの)について、「排水性アスファルト舗装の現場透水試験方法(日本道路公団JHS233)」に準じて、透水性を測定した。その結果、5.2秒の測定値を得、十分な透水性を得ていることを確認した。
【0033】
[6.粘土鉱物の量を変化させた場合の温度測定]
上述の粘土鉱物(モンモリロナイト)の量が1重量部、10重量部、20重量部の各場合について、8月10日午前0時から翌日午前0時までの間、舗装体の上面から1cm深さの地点における温度の変化を測定した。同時に、アスファルト混合物及びポーラスコンクリートについても測定した。結果を図6に示す。図6に示すように、充填材の量が1%であっても、ある程度の温度低減効果を得ることができる。また、充填材の量を20%程度以上としても、温度低減効果が頭打ちとなることがわかる。
【0034】
[7.粘土鉱物の種類を変えた場合の温度測定]
上述の粘土鉱物(モンモリロナイト)の種類を変えて、8月23日午前0時から翌日午前0時までの間、舗装体の上面から1cm深さの地点における温度の変化を測定した。粘土鉱物としては、モンモリロナイト、ハロイサイト、イライトを用いた。同時に、アスファルト混合物及びポーラスコンクリートについても測定した。結果を図7に示す。図7から、モンモリロナイトが特に温度低減効果に優れることがわかる。
【0035】
[8.凍結融解抵抗性の評価]
10cm×10cm×40cmの寸法とした他は実施例2と同様に作製した試験体(連続空隙内の充填材の体積割合:100%)を用い、コンクリートの凍結融解試験方法(土木学会 コンクリート標準示方書 規準編 2002年制定)B法に準拠して、凍結融解抵抗性を評価した。試験は、3本の試験体(試験体No.1〜3)を1組として1回行なった。なお、当該試験において、凍結融解サイクル数300回で相対動弾性係数の値が60%以上であれば、凍結融解抵抗性の基準を満たしていると評価することができる。結果を図8に示す。
図8に示すように、試験体No.1〜3の全てにおいて、凍結融解サイクル数300回で相対動弾性係数の値が75%程度であった。このことから、本発明の舗装体は、冬期に凍結融解の生じ易い地域においても、好適に用い得ることがわかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の舗装体は、一旦、保水すると、降雨や給水がなくても、路面温度の上昇を長時間(例えば、10日間程度)に亘って抑制することができる。具体的には、本発明の舗装体は、降雨後において、アルファルト舗装よりも14℃程度、コンクリート舗装よりも7℃程度、ポーラスコンクリート舗装(例えば、排水性高機能舗装)よりも11℃程度、温度を低減することができる。
また、本発明の舗装体は、粘土系微粉末を含む充填材を用いているため、吸水性に関して十分な繰り返し耐久性を有し、路面温度の低減効果を長期間に亘って安定的に得ることができる。
また、本発明の舗装体は、充填材の量を調整することによって、排水性と温度低減性を共に確保することができる。
また、本発明の舗装体を製造する際、充填材がセルフレベリング性を有することから、舗装体の本体部であるポーラスコンクリート硬化体の連続空隙内に、バイブレータ等の充填器具を用いなくても、自然流下によって充填材を充填することができ、施工作業を容易かつ迅速に行なうことができる。
さらに、本発明の舗装体は、冬期に凍結融解の生じ易い地域においても、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の舗装体を含む構造物を模式的に示す斜視図である。
【図2】吸水性繰り返し試験の結果を示す図である。
【図3】粘土系充填材及びシルト系充填材の保水性を比較して示す図である。
【図4】舗装体の本体部の材質を種々変えた場合の温度変化の相違を示す図である。
【図5】プレーンコンクリートの温度に対する本発明の舗装体等の温度差を示す図である。
【図6】充填材中の粘土鉱物の量を変えた場合の温度変化を示す図である。
【図7】充填材中の粘土鉱物の種類を変えた場合の温度変化を示す図である。
【図8】凍結融解抵抗性の試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 舗装体
2 アスファルト舗装(またはコンクリート舗装)
3 開粒度アスファルト混合物
4 充填材
Claims (6)
- 多孔質硬化体の連続空隙内に、セメントと、モンモリロナイト、カオリナイトまたはイライトからなる粘土鉱物を含む粘土系微粉末とを含む充填材を充填してなる舗装体であって、上記セメントと上記粘土系微粉末の重量比が、 5 : 95 〜 30 : 70 であることを特徴とする舗装体。
- 上記粘土系微粉末中の5μm以下の粒径を有する微粉末の重量割合が、60重量%以上である請求項1に記載の舗装体。
- 上記5μm以下の粒径を有する微粉末が、上記粘土鉱物と、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、珪石粉、石灰石粉末、シリカフュームから選択される一種以上の無機粉末とを含む請求項1又は2に記載の舗装体。
- 上記充填材中の上記粘土鉱物の重量割合が、1〜30重量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の舗装体。
- 上記多孔質硬化体が、開粒度アスファルト混合物またはポーラスコンクリートからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の舗装体。
- 連続空隙を有する多孔質硬化体からなる舗装体本体部を形成した後、セメントと、モンモリロナイト、カオリナイトまたはイライトからなる粘土鉱物を含む粘土系微粉末とからなり、かつ上記セメントと上記粘土系微粉末の重量比が、 5 : 95 〜 30 : 70 であり、J10ロート流下時間が4〜6秒であるスラリー状の充填材を、上記多孔質硬化体の上記連続空隙内に充填することを特徴とする舗装体の施工方法。
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