JP4546437B2 - オートチューニング装置およびオートチューニング方法 - Google Patents

オートチューニング装置およびオートチューニング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4546437B2
JP4546437B2 JP2006284764A JP2006284764A JP4546437B2 JP 4546437 B2 JP4546437 B2 JP 4546437B2 JP 2006284764 A JP2006284764 A JP 2006284764A JP 2006284764 A JP2006284764 A JP 2006284764A JP 4546437 B2 JP4546437 B2 JP 4546437B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
operation amount
limit value
tuning
lower limit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006284764A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008102743A (ja
Inventor
雅人 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Azbil Corp
Original Assignee
Azbil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Azbil Corp filed Critical Azbil Corp
Priority to JP2006284764A priority Critical patent/JP4546437B2/ja
Publication of JP2008102743A publication Critical patent/JP2008102743A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4546437B2 publication Critical patent/JP4546437B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Feedback Control In General (AREA)

Description

本発明は、PID等のコントローラのパラメータ調整に関する技術であり、特に制御対象に一定振幅の操作量を出力し、この操作量出力に応じた制御応答に基づいてコントローラのパラメータを調整するリミットサイクルオートチューニングに関するものである。
汎用の温調計などに搭載されるPIDコントローラには、PIDパラメータの調整を実現するためのオートチューニング機能が備えられており、オートチューニング機能によりPIDパラメータの調整が簡易に行えるようになっている。このオートチューニング機能の代表的な手法としては、制御対象に出力する操作量MVに上限値と下限値を予め設定し、操作量振幅が一定のリミットサイクルを発生させて、PIDパラメータを調整するリミットサイクル方式がある(例えば、特許文献1参照)。
以下、リミットサイクル方式について簡単に説明する。図9は従来のリミットサイクル方式を説明するための波形図、図10は従来のリミットサイクル方式の処理の流れを示すフローチャートである。最初に、オートチューニングの実行時に制御対象に出力する操作量MVの下限値OL_ATと上限値OH_ATとを予め設定しておく。
オートチューニングの実行時には、、制御量PVと設定値SPを比較し(図10ステップ401)、制御量PVが設定値SPより大きい場合、操作量MVの下限値OL_ATを制御対象に出力し(ステップ402)、制御量PVが設定値SP以下の場合、操作量MVの上限値OH_ATを制御対象に出力する(ステップ403)。
次に、制御量PVの極値を検出する上下動極値検出処理を行う(ステップ404)。ステップ401〜404の処理を制御周期毎に行い、制御量PVの極値を4つ検出すると、上下動極値の検出完了となる。ここで、設定値SPと制御量PVとの偏差Erは次式により得られる。
Er=SP−PV ・・・(1)
そして、図9に示すように、検出した4つの極値のうち、最新の極値における偏差を第1の極値偏差Er1、2番目に新しい極値における偏差を第2の極値偏差Er2、3番目に新しい極値における偏差を第3の極値偏差Er3とする。また、第1の極値偏差Er1の直前に偏差Erの正負が逆転した時刻t5から第1の極値偏差Er1が得られた時刻t6までの時間を第1の操作量切換経過時間Th1とし、また、第2の極値偏差Er2の直前に偏差Erの正負が逆転した時刻t3から第2の極値偏差Er2が得られた時刻t4までの時間を第2の操作量切換経過時間Th2とする。
最後に、比例帯Pb、積分時間Ti及び微分時間TdからなるPIDパラメータを次式のように算出し、算出したPIDパラメータを制御装置の制御演算部に設定する(ステップ405)。
Pb=250|Er2−Er1|/(OH_AT−OL_AT) ・・・(2)
Ti=6(Th1+Th2) ・・・(3)
Td=1.2(Th1+Th2) ・・・(4)
以上で、オートチューニングが終了する。
特開2003−330504号公報
市販されているコントローラの多くは、実際の制御中に制御対象に出力する操作量MVの出力上限値OHと出力下限値OLをそのままオートチューニング時の操作量上限値OH_AT、操作量下限値OL_ATとして利用する。通常は、OH=100%、OL=0%に設定されていることが多く、ゆえにオートチューニング時の操作量上限値はOH_AT=100%となり、操作量下限値はOL_AT=0%となることが多い。
温度制御において保温性の高い制御対象では、設定値SP付近に制御量PVを維持するために必要な操作量MVは、概ねMV=20%以下というようにかなり低い。この状況でOH_AT=100%の設定のままMV=0%〜100%のオートチューニングを実行すると、温度上昇が高くて温度降下が遅い(保温性が高く冷え難い)ので、オートチューニングに多大な時間を要するという問題が生じる(図11)。図11に示した例では、制御対象の保温性が高く冷え難いため、オートチューニング中に操作量上限値OH_ATが出力される時間T_OHに比べて、操作量下限値OL_ATが出力される時間T_OLが長いことが分かる。
このような問題については、実際の制御中に利用する操作量出力上限値OHと操作量出力下限値OLをオートチューニング時の操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATとして利用する場合に限らず、予め内部で設定された操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATが、図11のような不適切な波形を与えるものに該当してしまえば、同様に生じる。問題の対処方法としては、オートチューニングが不適切であると判断できる専門家が、記録計などを用いてオートチューニング時の制御量PVの動きを見ることによって、操作量出力上限値OHと操作量出力下限値OLを適切な値に変更して、オートチューニングを再実行するしかなかった。したがって、多くの場合にオートチューニングが不適切であることが見逃されてしまう可能性があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、リミットサイクル方式によるオートチューニング実行時の操作量の上下限値の設定が適切か否かを判定することができるオートチューニング装置およびオートチューニング方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、オートチューニング実行時の操作量の上下限値の適切な修正値を自動的に算出することができるオートチューニング装置およびオートチューニング方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、操作量の上下限値を適切な値に修正した後にオートチューニングを自動的に再実行することができるオートチューニング装置およびオートチューニング方法を提供することを目的とする。
本発明は、コントローラの制御パラメータを設定するリミットサイクルオートチューニングの機能を備えたオートチューニング装置において、前記リミットサイクルオートチューニングの実行時に、制御対象に一定振幅の操作量を出力し、この操作量出力に応じた制御応答に基づいてコントローラの制御パラメータを算出し、算出した制御パラメータを前記コントローラに設定するリミットサイクルオートチューニング演算手段と、前記リミットサイクルオートチューニングの実行中に検出される制御量の偏差に基づき前記操作量の上限値OH_ATと下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する操作量上下限値設定判定手段と、この操作量上下限値設定判定手段によって前記操作量上限値OH_AT又は前記操作量下限値OL_ATの設定が不適切と判定されたときに、前記操作量上限値OH_ATと前記操作量下限値OL_ATのうちどちらか一方について適切と推測される修正値を算出して、前記リミットサイクルオートチューニング演算手段から出力される前記操作量上限値OH_AT又は前記操作量下限値OL_ATを前記修正値に更新する操作量修正手段とを備え、前記操作量上下限値設定判定手段は、前記リミットサイクルオートチューニングの実行中に制御量が極大値又は極小値に達したときの極値偏差のうち、最新の第1の極値偏差の絶対値とこの第1の極値偏差の直前に検出された第2の極値偏差の絶対値との比率REを、制御量が極大値に達したときの極値偏差が分母になり、制御量が極小値に達したときの極値偏差が分子になるようにして算出する比率算出部と、前記比率REと予め設定された閾値とを比較して前記操作量上限値OH_ATと前記操作量下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する判定部とからなり、前記操作量修正手段は、前記操作量下限値OL_ATが不適切と判定された場合に、この操作量下限値OL_ATの修正値OL_AT new を、OL_AT new =OL_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)/(RE+1)により算出し、前記操作量上限値OH_ATが不適切と判定された場合に、この操作量上限値OH_ATの修正値OH_AT new を、OH_AT new =OH_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)/(RE+1)により算出することを特徴とするものである。
また、本発明のオートチューニング装置の1構成例は、さらに、前記操作量修正手段の処理の終了後に、前記リミットサイクルオートチューニング演算手段を再起動して、前記リミットサイクルオートチューニング演算手段と前記操作量上下限値設定判定手段と前記操作量修正手段とに処理を再実行させる再起動指示手段を備えるものである。
また、本発明は、リミットサイクルオートチューニング方式によりコントローラの制御パラメータを設定するオートチューニング方法において、前記リミットサイクルオートチューニングの実行時に、制御対象に一定振幅の操作量を出力し、この操作量出力に応じた制御応答に基づいてコントローラの制御パラメータを算出し、算出した制御パラメータを前記コントローラに設定するリミットサイクルオートチューニング演算手順と、前記リミットサイクルオートチューニングの実行中に検出される制御量の偏差に基づき前記操作量の上限値OH_ATと下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する操作量上下限値設定判定手順と、この操作量上下限値設定判定手順によって前記操作量上限値OH_AT又は前記操作量下限値OL_ATの設定が不適切と判定されたときに、前記操作量上限値OH_ATと前記操作量下限値OL_ATのうちどちらか一方について適切と推測される修正値を算出して、前記リミットサイクルオートチューニング演算手順で出力する前記操作量上限値OH_AT又は前記操作量下限値OL_ATを前記修正値に更新する操作量修正手順とを備え、前記操作量上下限値設定判定手順は、前記リミットサイクルオートチューニングの実行中に制御量が極大値又は極小値に達したときの極値偏差のうち、最新の第1の極値偏差の絶対値とこの第1の極値偏差の直前に検出された第2の極値偏差の絶対値との比率REを、制御量が極大値に達したときの極値偏差が分母になり、制御量が極小値に達したときの極値偏差が分子になるようにして算出する比率算出手順と、前記比率REと予め設定された閾値とを比較して前記操作量上限値OH_ATと前記操作量下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する判定手順とからなり、前記操作量修正手順は、前記操作量下限値OL_ATが不適切と判定された場合に、この操作量下限値OL_ATの修正値OL_AT new を、OL_AT new =OL_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)/(RE+1)により算出し、前記操作量上限値OH_ATが不適切と判定された場合に、この操作量上限値OH_ATの修正値OH_AT new を、OH_AT new =OH_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)/(RE+1)により算出することを特徴とするものである。
本発明によれば、リミットサイクルオートチューニングの実行中に出力される操作量の出力時間に基づく判定により、操作量の上下限値の設定が適切か否かを自動的に判定することができる。その結果、コントローラのオートチューニングが不適切であることを見逃してしまう可能性を大幅に低減することができる。
また、本発明では、リミットサイクルオートチューニングの実行中に検出される制御量の偏差に基づく判定により、操作量の上下限値の設定が適切か否かを自動的に判定することができる。
また、本発明では、操作量の上下限値の設定が不適切と判定したときに、操作量の上限値と下限値のうち少なくとも一方について適切と推測される修正値を算出することにより、リミットサイクルオートチューニング演算手段から出力される操作量の上限値又は下限値を修正値に自動的に更新することができる。
また、本発明では、操作量修正手段の処理の終了後に、リミットサイクルオートチューニング演算手段を再起動することにより、操作量の上下限値を適切な値に修正した後にオートチューニングを自動的に再実行することができる。その結果、コントローラの制御パラメータの適切な設定が可能になる。
[発明の原理]
オートチューニング時の操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATのバランスの不適切さは、オートチューニング時において操作量上限値OH_ATが出力される時間と操作量下限値OL_ATが出力される時間のバランスの悪さに現れる。したがって、操作量上限値OH_ATが出力される時間と操作量下限値OL_ATが出力される時間をそれぞれ測定し、それらの時間の比率が特定の閾値範囲から外れる場合に、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの設定が不適切であると自動判定することが可能である。この操作量上下限値が出力される時間に基づく手法を第1の手法と呼ぶ。
また、別の判定指標として、図9で説明した極値偏差の絶対値によっても判定が可能である。すなわち、第1の極値偏差Er1の絶対値と第2の極値偏差Er2の絶対値との比率が特定の閾値範囲から外れる場合に、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの設定が不適切であると自動判定することが可能である。この極値偏差に基づく手法を第2の手法と呼ぶ。
さらに、第1、第2の手法のいずれの場合においても、算出される比率に基づき操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATを適切なバランスになるように自動的に修正することが可能である。
さらに、修正した操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATを用いて、オートチューニングを自動的に再実行することが可能である。
以下、本発明の原理をより詳細に説明する。リミットサイクル方式によるオートチューニング時の操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATのバランスが不適切な場合、操作量MVと制御量PVの波形は図11に示したようになる。このとき、図11中に示した設定値SPがリミットサイクルの中心点と言われる、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの切換点に該当する。
例えば、温度制御において制御対象の温度上昇が速くて温度下降が遅い場合、操作量MV=OL_ATで温度下降中に操作量MV=OH_ATが出力されると、急勾配で温度が上昇するため、制御量(温度)PVが設定値SPを下回る時間は短い。すなわち、温度PVが設定値SPを超えた時点で操作量MV=OL_ATに切り換わるので、操作量MV=OH_ATが出力される時間T_OHは相対的に短時間になる。また、急勾配での温度上昇に伴い、温度PVは設定値SPを大きく超える。すなわち、温度PVが設定値SPを上回る量(図11の例では第1の極値偏差Er1)の絶対値は相対的に大きくなる。
一方、温度下降は緩い勾配になるため、温度PVが設定値SPに戻るまでには時間がかかり、温度PVが設定値SPを上回る時間は長くなる。すなわち、この間は操作量MV=OL_ATになっており、操作量MV=OL_ATが出力される時間T_OLは相対的に長時間になる。また、温度下降は緩い勾配であるため、温度PVが設定値SPを下回る量(図11の例では第2の極値偏差Er2)の絶対値は相対的に小さくなる。
図11の例では、操作量上限値OH_ATが操作量下限値OL_ATに比べて相対的に高過ぎることにより、設定値SPに対する制御量PVの正負のバランスが不適切な状態になっている。
したがって、操作量上限値OH_ATが出力される時間T_OHと操作量下限値OL_ATが出力される時間T_OLをそれぞれ測定し、それらの比率RT=T_OH/T_OLが特定の閾値より小さい場合は、操作量上限値OH_ATが相対的に高過ぎると判定できる。逆に、比率RTが別の特定の閾値より大きい場合は、操作量下限値OL_ATが相対的に低過ぎると判定できる。比率RTの分子と分母を入れ替えた比率T_OL/T_OHを採用するときも、閾値の扱いを変更すれば、等価な判定が可能であることは言うまでもない。比率T_OL/T_OHを採用するときには、比率T_OL/T_OHが特定の閾値より大きい場合は、操作量上限値OH_ATが相対的に高過ぎると判定でき、比率T_OL/T_OHが別の特定の閾値より小さい場合は、操作量下限値OL_ATが相対的に低過ぎると判定できる。
また、極値偏差の絶対値の比率RE=|Er2|/|Er1|が特定の閾値より小さい場合は、操作量上限値OH_ATが相対的に高過ぎると判定できる。逆に、比率REが別の特定の閾値より大きい場合は、操作量下限値OL_ATが相対的に低過ぎると判定できる。この説明では、第1の極値偏差Er1が極大値(設定値SPを上回る値)、第2の極値偏差Er2が極小値(設定値SPを下回る値)の場合で説明しているが、極値偏差Er1,Er2のうちどちらが極大値でどちらが極小値であるかに留意すれば、極大値と極小値が入れ替わっても、等価な判定が可能であることは言うまでもない。第1の極値偏差Er1が極小値で第2の極値偏差Er2が極大値の場合には、比率RE=|Er1|/|Er2|を採用すればよい。
さらに、比率RTあるいは比率REのアンバランスな分だけ、例えばリニアな関係(比率RT及びREが1である関係)を想定して操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATを修正することは可能であり、より適切な操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの算出が可能である。操作量MVと制御量PVがリニアな関係にあることを想定した場合の修正方法の事例は、後述する。ただし、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの修正方法は、操作量MVと制御量PVのリニアな関係を前提とするものには限定されない。比率RTあるいは比率REのアンバランスな分をどのように操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの修正に反映させるかは、様々なものが考えられるが、いずれにせよ比率RTあるいは比率REに基づくことが、有効な修正の根拠になる。
参考例
以下、本発明の参考例について図面を参照して説明する。図1は本発明の参考例に係るオートチューニング装置の構成を示すブロック図である。本参考例は、前記第1の手法に基づくものである。
図1のオートチューニング装置は、装置のオペレータによって設定された設定値SPを入力する設定値SP入力部1と、図示しないセンサによって検出された制御量PVを入力する制御量PV入力部2と、図示しない制御対象に操作量MVを出力する操作量MV出力部3と、リミットサイクルオートチューニングの操作量下限値OL_ATを設定する2位置操作量下側設定部4と、リミットサイクルオートチューニングの操作量上限値OH_ATを設定する2位置操作量上側設定部5と、リミットサイクルオートチューニングの処理手順を実行して、操作量MVを制御対象に出力し、この操作量出力に応じた制御応答に基づいて図示しないコントローラの制御パラメータを算出するリミットサイクルオートチューニング演算部6と、リミットサイクルオートチューニングの起動指示命令を外部から入力しリミットサイクルオートチューニング演算部6に送る起動指示部7と、リミットサイクルオートチューニング実行中に操作量上限値OH_ATが出力される出力時間T_OHと操作量下限値OL_ATが出力される出力時間T_OLを測定する時間測定部8と、操作量上限値出力時間T_OHと操作量下限値出力時間T_OLとの比率RTを算出する比率RT算出部9と、比率RTに基づいて操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する判定部10と、操作量上限値OH_AT又は操作量下限値OL_ATの設定が不適切と判定されたときに、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATのうち少なくとも一方について適切と推測される修正値を算出して、2位置操作量下側設定部4が設定する操作量上限値OH_ATと2位置操作量上側設定部5が設定する操作量下限値OL_ATのうち少なくとも一方を修正値に更新する2位置操作量修正部11と、2位置操作量修正部11の処理の終了後にリミットサイクルオートチューニングの再起動指示命令をリミットサイクルオートチューニング演算部6に送る再起動指示部12とを備える。
図2は図1のオートチューニング装置がチューニング対象とするコントローラの構成を示すブロック図である。
コントローラは、設定値SP入力部20と、制御量PV入力部21と、操作量MV出力部22と、オートチューニング後の通常の制御動作時に、設定値SPと制御量PVとの偏差に対して制御パラメータに基づくフィードバック制御演算を行って操作量MVを算出する制御演算部23とを備える。
次に、本参考例のオートチューニング装置のリミットサイクルオートチューニング機能について説明する。図3はオートチューニング装置のリミットサイクルオートチューニング実行時の動作を示すフローチャートである。
まず、起動指示部7は、例えばオペレータからリミットサイクルオートチューニングの起動指示を受けると、リミットサイクルオートチューニング演算部6に起動指示命令を送る。これにより、リミットサイクルオートチューニング演算部6が起動して、リミットサイクルオートチューニングが開始される(図3ステップS100)。
起動したリミットサイクルオートチューニング演算部6は、制御量PVと設定値SPを比較する(ステップS101)。設定値SPは、装置のオペレータによって設定され、設定値SP入力部1を介してリミットサイクルオートチューニング演算部6に入力される。制御量PVは、図示しないセンサによって検出され、制御量PV入力部2を介してリミットサイクルオートチューニング演算部6に入力される。また、リミットサイクルオートチューニング演算部6には、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの初期値が予め設定されている。
リミットサイクルオートチューニング演算部6は、制御量PVが設定値SPより大きい場合、2位置操作量下側設定部4によって設定された操作量下限値OL_ATを操作量MV出力部3に出力し(ステップS102)、制御量PVが設定値SP以下の場合、2位置操作量上側設定部5によって設定された操作量上限値OH_ATを操作量MV出力部3に出力する(ステップS103)。操作量MV出力部3は、操作量MV=OL_AT又はMV=OH_ATを制御対象に出力する。
次に、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、上下動極値検出処理を行う(ステップS104)。図4はリミットサイクルオートチューニング演算部6の上下動極値検出処理を示すフローチャートである。リミットサイクルオートチューニングにおける制御応答は従来と同様であるので、図4と共に図9を用いて上下動極値検出処理を説明する。
まず、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、設定値SPと制御量PVに基づいて現制御周期の偏差Erを式(1)により算出する(図4ステップS200)。続いて、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、次式が成立するかどうかを判定する(ステップS201)。
|Er|>|Ermax| ・・・(5)
式(5)において、Ermaxは偏差の最大値で、初期値は0である。リミットサイクルオートチューニング演算部6は、式(5)が成立する場合、Ermax=Er、すなわち現制御周期の偏差Erを最大偏差Ermaxとする(ステップS202)。
次に、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、偏差Erの正負が切り換わったかどうかを次式により判定する(ステップS203)。
ErEr0<0 ・・・(6)
ここで、Er0は1制御周期前の偏差である。式(6)は、現在の偏差Erと1制御周期前の偏差Er0の乗算結果が負のとき、偏差Erの正負が逆転したと判断するものである。式(6)が不成立の場合は、上下動極値検出が完了していないと判断して、ステップS101に戻る。
ステップS101〜S103とS104(ステップS200〜S203)の処理が制御周期毎に繰り返されると、偏差Erの増大に伴って最大偏差Ermaxが更新される。そして、図9の時刻t1になると、式(6)が成立する。
式(6)が成立したとき、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、Er1=Ermax、すなわち最大偏差Ermaxを第1の極値偏差Er1とする。また、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、前回式(6)が成立した時刻から最大偏差Ermaxが更新された最新時刻までの時間を第1の操作量切換経過時間Th1とする(ステップS204)。なお、式(6)が初めて成立した場合には、第1の操作量切換経過時間Th1を0とする。
また、偏差Erの正負が切り換わることは、操作量MVが上限値OH_ATから下限値OL_ATに、あるいは下限値OL_ATから上限値OH_ATに切り換わることを意味する。時間測定部8は、操作量MV出力部3から出力される操作量MVの前回の切換時刻から今回の切換時刻までの時間を操作量上下限値出力時間とする(ステップS204)。今回の切り換わりで操作量MVが下限値OL_ATから上限値OH_ATに切り換わった場合には、測定した出力時間は操作量下限値出力時間T_OLであり、操作量MVが上限値OH_ATから下限値OL_ATに切り換わった場合には、測定した出力時間は操作量上限値出力時間T_OHであることは言うまでもない。なお、式(6)が初めて成立した段階では、操作量上下限値出力時間を測定することはできない。
次に、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、上下動極値検出完了条件が成立したかどうかを判定する(ステップS205)。本参考例では、制御量PVの極値を4つ検出することを上下動極値検出完了条件とする。ここでは、制御量PVの極値を1つ検出しただけなので、上下動極値検出が完了していないと判断し、最大偏差Ermaxを0に初期化して(ステップS206)、ステップS101に戻る。
ステップS101〜S103とS104(ステップS200〜S203)の処理を制御周期毎に繰り返し、図9の時刻t3になると、式(6)が再び成立する。式(6)が成立したとき、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、Er2=Er1、Er1=Ermax、Th2=Th1、すなわち第1の極値偏差Er1の値を第2の極値偏差Er2に代入し、最大偏差Ermaxを新たな第1の極値偏差Er1とし、第1の操作量切換経過時間Th1の値を第2の操作量切換経過時間Th2に代入する。また、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、前回式(6)が成立した時刻t1から最大偏差Ermaxが更新された最新時刻t2までの時間を新たな第1の操作量切換経過時間Th1とする(ステップS204)。
また、時間測定部8は、操作量MVの前回の切換時刻t1から今回の切換時刻t3までの時間を操作量下限値出力時間T_OLとする(ステップS204)。
次に、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、上下動極値検出完了条件が成立したかどうかを判定する(ステップS205)。ここでは、制御量PVの極値を2つ検出しただけなので、上下動極値検出が完了していないと判断し、最大偏差Ermaxを0に初期化して(ステップS206)、ステップS101に戻る。
ステップS101〜S104の処理を制御周期毎に繰り返し、図9の時刻t5になると、式(6)が再び成立する。式(6)が成立したとき、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、Er3=Er2、Er2=Er1、Er1=Ermax、Th2=Th1、すなわち第2の極値偏差Er2の値を第3の極値偏差Er3に代入し、第1の極値偏差Er1の値を第2の極値偏差Er2に代入し、最大偏差Ermaxを新たな第1の極値偏差Er1とし、第1の操作量切換経過時間Th1の値を第2の操作量切換経過時間Th2に代入する。また、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、前回式(6)が成立した時刻t3から最大偏差Ermaxが更新された最新時刻t4までの時間を新たな第1の操作量切換経過時間Th1とする(ステップS204)。
また、時間測定部8は、操作量MVの前回の切換時刻t3から今回の切換時刻t5までの時間を操作量上限値出力時間T_OHとする(ステップS204)。
次に、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、上下動極値検出完了条件が成立したかどうかを判定する(ステップS205)。ここでは、制御量PVの極値を3つ検出しただけなので、上下動極値検出が完了していないと判断し、最大偏差Ermaxを0に初期化して(ステップS206)、ステップS101に戻る。
ステップS101〜S104の処理を制御周期毎に繰り返し、図9の時刻t7になると、式(6)が再び成立する。式(6)が成立したとき、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、Er3=Er2、Er2=Er1、Er1=Ermax、Th2=Th1とし、前回式(6)が成立した時刻t5から最大偏差Ermaxが更新された最新時刻t6までの時間を新たな第1の操作量切換経過時間Th1とする(ステップS204)。
また、時間測定部8は、操作量MVの前回の切換時刻t5から今回の切換時刻t7までの時間を操作量下限値出力時間T_OLとする(ステップS204)。なお、操作量下限値出力時間T_OL又は操作量上限値出力時間T_OHを既に測定している場合には、今回の値を測定値として採用する。
次に、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、上下動極値検出完了条件が成立したかどうかを判定する(ステップS205)。ここでは、制御量PVの極値を4つ検出し終えたので、上下動極値検出が完了したと判断し、最大偏差Ermaxを0に初期化して(ステップS207)、ステップS105に進む。なお、PIDパラメータの算出に必要な制御量PVの極値は本来3つであるが、最初の極値はパラメータ算出にとって不適切な値の可能性があるので、制御量PVの極値を4つ検出している。
上下動極値検出の完了後、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、コントローラの制御演算部23の制御パラメータ(本参考例ではPIDパラメータ)を算出する(ステップS105)。リミットサイクルオートチューニング演算部6は、比例帯Pb、積分時間Ti、微分時間Tdをそれぞれ前記の式(2)、式(3)、式(4)により算出する。そして、リミットサイクルオートチューニング演算部6は、算出した比例帯Pb、積分時間Ti及び微分時間Tdを制御演算部23に設定する。以上でPIDパラメータの算出処理が終了する。リミットサイクルオートチューニング演算部6は、次の再起動まで動作を一旦停止する。
次に、比率RT算出部9は、操作量上限値出力時間T_OHと操作量下限値出力時間T_OLの比率RT=T_OH/T_OLを算出する(ステップS106)。
判定部10は、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する(ステップS107)。判定部10は、比率RTが予め設定された閾値C1より大きい場合(ステップS108においてYES)、操作量下限値OL_ATが低過ぎると判断し、2位置操作量修正部11に対して操作量下限値OL_ATの修正を指示する。また、判定部10は、比率RTが予め設定された閾値C2より小さい場合(ステップS109においてYES)、操作量上限値OH_ATが高過ぎると判断し、2位置操作量修正部11に対して操作量上限値OH_ATの修正を指示する。閾値C1,C2は、例えばC1=2、C2=0.5である。
判定部10は、比率RTが閾値C1以下で、かつ閾値C2以上の場合は、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの設定が適切と判断して、リミットサイクルオートチューニングを終了する。
2位置操作量修正部11は、判定部10から操作量下限値OL_ATの修正指示を受けた場合、次式のように操作量下限値の修正値OL_ATnewを算出し、この修正値OL_ATnewを2位置操作量下側設定部4に出力する。2位置操作量下側設定部4は、修正値OL_ATnewを操作量下限値OL_ATの新たな値としてリミットサイクルオートチューニング演算部6に設定する(ステップS110)。
OL_ATnew=OL_AT+(OH_AT−OL_AT)(RT−1)
/(RT+1) ・・・(7)
操作量下限値OL_ATが相対的に低過ぎる場合、操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATの適切な平均値は、図5に示すように、平均値から操作量下限値OL_ATまでの距離と平均値から操作量上限値OH_ATまでの距離との比がRT:1となる位置にある。よって、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATとの差OH_AT−OL_ATを(RT+1)個に分割して(RT−1)倍した操作量変更分を操作量下限値OL_ATに加えれば、修正値OL_ATnewが得られる。式(7)は、このような修正の原理に基づくものである。なお、式(7)は、操作量MVと制御量PVがリニアな関係にあることを想定して得られる概算的修正式であり、非線形性や修正マージンを考慮する場合は、適宜修正式に反映すればよい。また、式(7)において修正量を決定する係数部分(RT−1)/(RT+1)は、理論的に最適な正の値であるが、式(7)において(RT−1)/(RT+1)の代わりに任意の正の値β1を用いてもよい。このとき、0<β1≦(RT−1)/(RT+1)が理論的に適切な範囲になる。
また、2位置操作量修正部11は、判定部10から操作量上限値OH_ATの修正指示を受けた場合、次式のように操作量上限値の修正値OH_ATnewを算出し、この修正値OH_ATnewを2位置操作量上側設定部5に出力する。2位置操作量上側設定部5は、修正値OH_ATnewを操作量上限値OH_ATの新たな値としてリミットサイクルオートチューニング演算部6に設定する(ステップS111)。
OH_ATnew=OH_AT+(OH_AT−OL_AT)(RT−1)
/(RT+1) ・・・(8)
操作量上限値OH_ATが相対的に高過ぎる場合、操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATの適切な平均値は、図6に示すように、平均値から操作量下限値OL_ATまでの距離と平均値から操作量上限値OH_ATまでの距離との比が1:1/RTとなる位置にある。よって、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATとの差OH_AT−OL_ATを(1/RT+1)個に分割して(1/RT−1)倍した操作量変更分を操作量上限値OH_ATから引けば、修正値OH_ATnewが得られる。式(8)は、以下の式(9)を変形したものである。なお、式(8)、式(9)は、操作量MVと制御量PVが直線的な関係にあることを想定して得られる概算的修正式であり、非線形性や修正マージンを考慮する場合は、適宜修正式に反映すればよい。また、式(8)において修正量を決定する係数部分(RT−1)/(RT+1)は、理論的に最適な負の値であるが、式(8)において(RT−1)/(RT+1)の代わりに任意の負の値β2を用いてもよい。このとき、(RT−1)/(RT+1)≦β2<0が理論的に適切な範囲になる。
OH_ATnew=OH_AT−(OH_AT−OL_AT)(1/RT−1)
/(1/RT+1) ・・・(9)
ステップS110又はS111の終了後、再起動指示部12は、リミットサイクルオートチューニングの再起動指示命令をリミットサイクルオートチューニング演算部6に送る。これにより、ステップS100に戻って、リミットサイクルオートチューニング演算部6が再起動する。こうして、ステップS109で判定NOとなって操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATの修正が終了するまで、ステップS100〜S111の処理が繰り返される。
なお、再起動の回数は予め指定された回数に留め、操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATの修正が完全に終了したか否かに関係なく、所定の回数再起動したら、再起動せずにステップS110又はS111で図3の処理を終えるようにしてもよい。
リミットサイクルオートチューニング終了後の通常の制御動作では、コントローラの制制御演算部23は、設定値SP入力部20から入力された設定値SP、制御量PV入力部21から入力された制御量PVに基づいて、次式のようなフィードバック制御演算を行い操作量MVを算出することを制御周期毎に行う。すなわち、制御演算部23は、制御量PVが設定値SPに一致するように操作量MVを算出する。
MV=(α/Pb){1+(1/Tis)+Tds}(SP−PV) ・・(10)
式(10)において、sはラプラス演算子、αは定数で、例えばα=100である。制御演算部23で算出された操作量MVは、操作量出力部22を介して制御対象に出力される。
以上のように、本参考例では、リミットサイクルオートチューニングの実行中に出力される操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATの出力時間に基づく判定により、操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATの設定が適切か否かを自動的に判定することができる。その結果、コントローラのオートチューニングが不適切であることを見逃してしまう可能性を大幅に低減することができる。
また、本参考例では、操作量の上下限値の設定が不適切と判定したときに、操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATのうち少なくとも一方を自動的に修正することができる。さらに、本参考例では、操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATの修正後にリミットサイクルオートチューニング演算部6を再起動することにより、オートチューニングを自動的に再実行することができる。その結果、コントローラの制御パラメータの適切な設定が可能になり、操作量下限値OL_ATと操作量上限値OH_ATの更なる修正も可能になる。
実施の形態
次に、本発明の実施の形態について説明する。図7は本発明の実施の形態に係るオートチューニング装置の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、前記第2の手法に基づくものである。
図7のオートチューニング装置は、設定値SP入力部1と、制御量PV入力部2と、操作量MV出力部3と、2位置操作量下側設定部4と、2位置操作量上側設定部5と、リミットサイクルオートチューニング演算部6と、起動指示部7と、リミットサイクルオートチューニングの実行中に検出された極値偏差のうち、最新の第1の極値偏差Er1の絶対値とこの第1の極値偏差Er1の直前に検出された第2の極値偏差Er2の絶対値との比率REを算出する比率RE算出部9aと、比率REに基づいて操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する判定部10aと、操作量上限値OH_AT又は操作量下限値OL_ATの設定が不適切と判定されたときに、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATのうち少なくとも一方について適切と推測される修正値を算出して、2位置操作量下側設定部4が設定する操作量上限値OH_ATと2位置操作量上側設定部5が設定する操作量下限値OL_ATのうち少なくとも一方を修正値に更新する2位置操作量修正部11aと、再起動指示部12とを備える。
本実施の形態のオートチューニング装置がチューニング対象とするコントローラの構成は図2に示したとおりである。
次に、本実施の形態のオートチューニング装置のリミットサイクルオートチューニング機能について説明する。図8はオートチューニング装置のリミットサイクルオートチューニング実行時の動作を示すフローチャートであり、図3と同一の処理には同一の符号を付してある。
ステップS100〜S105の処理は、参考例と同じである。ステップS105の終了後、比率RE算出部9aは、第1の極値偏差Er1の絶対値と第2の極値偏差Er2の絶対値の比率REを算出する(ステップS112)。このとき、比率RE算出部9aは、第1の極値偏差Er1が極大値で、第2の極値偏差Er2が極小値の場合は、次式のように極大値側の偏差が分母になり、極小値側の偏差が分子になるようにして比率REを算出する。
RE=|Er2|/|Er1| ・・・(11)
また、比率RE算出部9aは、第1の極値偏差Er1が極小値で、第2の極値偏差Er2が極大値の場合は、式(11)の分母と分子を入れ替えて、次式のように比率REを算出する。
RE=|Er1|/|Er2| ・・・(12)
判定部10aは、操作量上限値OH_ATと操作量下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する(ステップS113)。判定部10aは、比率REが予め設定された閾値C3より大きい場合(ステップS114においてYES)、操作量下限値OL_ATが低過ぎると判断し、2位置操作量修正部11aに対して操作量下限値OL_ATの修正を指示する。また、判定部10aは、比率REが予め設定された閾値C4より小さい場合(ステップS115においてYES)、操作量上限値OH_ATが高過ぎると判断し、2位置操作量修正部11aに対して操作量上限値OH_ATの修正を指示する。閾値C3,C4は、例えばC3=2、C4=0.5である。
2位置操作量修正部11aは、判定部10aから操作量下限値OL_ATの修正指示を受けた場合、次式のように操作量下限値の修正値OL_ATnewを算出し、この修正値OL_ATnewを2位置操作量下側設定部4に出力する。2位置操作量下側設定部4は、修正値OL_ATnewを操作量下限値OL_ATの新たな値としてリミットサイクルオートチューニング演算部6に設定する(ステップS116)。
OL_ATnew=OL_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)
/(RE+1) ・・・(13)
式(13)は、参考例と同様の操作量下限値OL_ATの修正原理に基づくものであり、図5においてRT:1をRE:1に置換した結果得られるものである。なお、式(13)において修正量を決定する係数部分(RE−1)/(RE+1)は、理論的に最適な正の値であるが、式(13)において(RE−1)/(RE+1)の代わりに任意の正の値β3を用いてもよい。このとき、0<β3≦(RE−1)/(RE+1)が理論的に適切な範囲になる。
また、2位置操作量修正部11aは、判定部10aから操作量上限値OH_ATの修正指示を受けた場合、次式のように操作量上限値の修正値OH_ATnewを算出し、この修正値OH_ATnewを2位置操作量上側設定部5に出力する。2位置操作量上側設定部5は、修正値OH_ATnewを操作量上限値OH_ATの新たな値としてリミットサイクルオートチューニング演算部6に設定する(ステップS117)。
OH_ATnew=OH_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)
/(RE+1) ・・・(14)
式(14)は、参考例と同様の操作量上限値OH_ATの修正原理に基づくものであり、図6において1:1/RTを1:1/REに置換した結果得られるものである。なお、式(14)において修正量を決定する係数部分(RE−1)/(RE+1)は、理論的に最適な負の値であるが、式(14)において(RE−1)/(RE+1)の代わりに任意の負の値β4を用いてもよい。このとき、(RE−1)/(RE+1)≦β4<0が理論的に適切な範囲になる。
ステップS116又はS117の終了後の再起動指示部12の動作は参考例で説明したとおりである。
こうして、本実施の形態では、参考例と同様の効果を得ることができる。
本発明は、PID等のコントローラのパラメータ調整に適用することができる。
本発明の参考例に係るオートチューニング装置の構成を示すブロック図である。 図1のオートチューニング装置がチューニング対象とするコントローラの構成を示すブロック図である。 図1のオートチューニング装置のリミットサイクルオートチューニング実行時の動作を示すフローチャートである。 図1のリミットサイクルオートチューニング演算部の上下動極値検出処理を示すフローチャートである。 本発明の参考例における操作量下限値の修正処理を説明するための図である。 本発明の参考例における操作量上限値の修正処理を説明するための図である。 本発明の実施の形態に係るオートチューニング装置の構成を示すブロック図である。 図7のオートチューニング装置のリミットサイクルオートチューニング実行時の動作を示すフローチャートである。 従来のオートチューニング機能の代表的な方式であるリミットサイクル方式を説明するための波形図である。 リミットサイクル方式の処理の流れを示すフローチャートである。 従来のリミットサイクル方式の問題点を説明するための波形図である。
符号の説明
1,20…設定値SP入力部、2,21…制御量PV入力部、3,22…操作量MV出力部、4…2位置操作量下側設定部、5…2位置操作量上側設定部、6…リミットサイクルオートチューニング演算部、7…起動指示部、8…時間測定部、9…比率RT算出部、9a…比率RE算出部、10,10a…判定部、11,11a…2位置操作量修正部、12…再起動指示部、23…制御演算部。

Claims (4)

  1. コントローラの制御パラメータを設定するリミットサイクルオートチューニングの機能を備えたオートチューニング装置において、
    前記リミットサイクルオートチューニングの実行時に、制御対象に一定振幅の操作量を出力し、この操作量出力に応じた制御応答に基づいてコントローラの制御パラメータを算出し、算出した制御パラメータを前記コントローラに設定するリミットサイクルオートチューニング演算手段と、
    前記リミットサイクルオートチューニングの実行中に検出される制御量の偏差に基づき前記操作量の上限値OH_ATと下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する操作量上下限値設定判定手段と
    この操作量上下限値設定判定手段によって前記操作量上限値OH_AT又は前記操作量下限値OL_ATの設定が不適切と判定されたときに、前記操作量上限値OH_ATと前記操作量下限値OL_ATのうちどちらか一方について適切と推測される修正値を算出して、前記リミットサイクルオートチューニング演算手段から出力される前記操作量上限値OH_AT又は前記操作量下限値OL_ATを前記修正値に更新する操作量修正手段とを備え、
    前記操作量上下限値設定判定手段は、
    前記リミットサイクルオートチューニングの実行中に制御量が極大値又は極小値に達したときの極値偏差のうち、最新の第1の極値偏差の絶対値とこの第1の極値偏差の直前に検出された第2の極値偏差の絶対値との比率REを、制御量が極大値に達したときの極値偏差が分母になり、制御量が極小値に達したときの極値偏差が分子になるようにして算出する比率算出部と、
    前記比率REと予め設定された閾値とを比較して前記操作量上限値OH_ATと前記操作量下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する判定部とからなり、
    前記操作量修正手段は、前記操作量下限値OL_ATが不適切と判定された場合に、この操作量下限値OL_ATの修正値OL_AT new を、OL_AT new =OL_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)/(RE+1)により算出し、前記操作量上限値OH_ATが不適切と判定された場合に、この操作量上限値OH_ATの修正値OH_AT new を、OH_AT new =OH_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)/(RE+1)により算出することを特徴とするオートチューニング装置。
  2. 請求項1記載のオートチューニング装置において、
    さらに、前記操作量修正手段の処理の終了後に、前記リミットサイクルオートチューニング演算手段を再起動して、前記リミットサイクルオートチューニング演算手段と前記操作量上下限値設定判定手段と前記操作量修正手段とに処理を再実行させる再起動指示手段を備えることを特徴とするオートチューニング装置。
  3. リミットサイクルオートチューニング方式によりコントローラの制御パラメータを設定するオートチューニング方法において、
    前記リミットサイクルオートチューニングの実行時に、制御対象に一定振幅の操作量を出力し、この操作量出力に応じた制御応答に基づいてコントローラの制御パラメータを算出し、算出した制御パラメータを前記コントローラに設定するリミットサイクルオートチューニング演算手順と、
    前記リミットサイクルオートチューニングの実行中に検出される制御量の偏差に基づき前記操作量の上限値OH_ATと下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する操作量上下限値設定判定手順と、
    この操作量上下限値設定判定手順によって前記操作量上限値OH_AT又は前記操作量下限値OL_ATの設定が不適切と判定されたときに、前記操作量上限値OH_ATと前記操作量下限値OL_ATのうちどちらか一方について適切と推測される修正値を算出して、前記リミットサイクルオートチューニング演算手順で出力する前記操作量上限値OH_AT又は前記操作量下限値OL_ATを前記修正値に更新する操作量修正手順とを備え、
    前記操作量上下限値設定判定手順は、
    前記リミットサイクルオートチューニングの実行中に制御量が極大値又は極小値に達したときの極値偏差のうち、最新の第1の極値偏差の絶対値とこの第1の極値偏差の直前に検出された第2の極値偏差の絶対値との比率REを、制御量が極大値に達したときの極値偏差が分母になり、制御量が極小値に達したときの極値偏差が分子になるようにして算出する比率算出手順と、
    前記比率REと予め設定された閾値とを比較して前記操作量上限値OH_ATと前記操作量下限値OL_ATの設定が適切か否かを判定する判定手順とからなり、
    前記操作量修正手順は、前記操作量下限値OL_ATが不適切と判定された場合に、この操作量下限値OL_ATの修正値OL_AT new を、OL_AT new =OL_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)/(RE+1)により算出し、前記操作量上限値OH_ATが不適切と判定された場合に、この操作量上限値OH_ATの修正値OH_AT new を、OH_AT new =OH_AT+(OH_AT−OL_AT)(RE−1)/(RE+1)により算出することを特徴とするオートチューニング方法。
  4. 請求項3記載のオートチューニング方法において、
    さらに、前記操作量修正手順の終了後に、前記リミットサイクルオートチューニング演算手順と前記操作量上下限値設定判定手順と前記操作量修正手順とを再実行させる再起動指示手順を備えることを特徴とするオートチューニング方法。
JP2006284764A 2006-10-19 2006-10-19 オートチューニング装置およびオートチューニング方法 Expired - Fee Related JP4546437B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006284764A JP4546437B2 (ja) 2006-10-19 2006-10-19 オートチューニング装置およびオートチューニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006284764A JP4546437B2 (ja) 2006-10-19 2006-10-19 オートチューニング装置およびオートチューニング方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008102743A JP2008102743A (ja) 2008-05-01
JP4546437B2 true JP4546437B2 (ja) 2010-09-15

Family

ID=39437027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006284764A Expired - Fee Related JP4546437B2 (ja) 2006-10-19 2006-10-19 オートチューニング装置およびオートチューニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4546437B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5231096B2 (ja) * 2008-06-20 2013-07-10 アズビル株式会社 温度制御方法および温度制御装置
JP5645597B2 (ja) * 2010-10-26 2014-12-24 アズビル株式会社 オートチューニング実行装置および方法
JP7388848B2 (ja) * 2019-08-27 2023-11-29 アズビル株式会社 制御パラメータ調整装置および方法
JP7388849B2 (ja) * 2019-08-27 2023-11-29 アズビル株式会社 制御パラメータ調整装置および方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62212803A (ja) * 1986-03-14 1987-09-18 Yamatake Honeywell Co Ltd Pid定数決定装置
JPH03269702A (ja) * 1990-03-20 1991-12-02 Yokogawa Electric Corp セルフチューニング調節計
JP2004227062A (ja) * 2003-01-20 2004-08-12 Yamatake Corp リミットサイクルオートチューニング方法およびヒートクール制御装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62212803A (ja) * 1986-03-14 1987-09-18 Yamatake Honeywell Co Ltd Pid定数決定装置
JPH03269702A (ja) * 1990-03-20 1991-12-02 Yokogawa Electric Corp セルフチューニング調節計
JP2004227062A (ja) * 2003-01-20 2004-08-12 Yamatake Corp リミットサイクルオートチューニング方法およびヒートクール制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008102743A (ja) 2008-05-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4223894B2 (ja) Pidパラメータ調整装置
US9423786B2 (en) Motor drive device
JP3881593B2 (ja) 制御装置
US8923991B2 (en) Controlling device with operating quantity value switching portion and controlling method using the same
JPH07191710A (ja) コントローラ
JP4481953B2 (ja) 状態判定装置および状態判定方法
JP4546437B2 (ja) オートチューニング装置およびオートチューニング方法
EP3220214B1 (en) Control parameter tuning device and control parameter tuning method
JP4974242B2 (ja) パラメータ調整装置および調整方法
KR102487640B1 (ko) 플랜트 제어 장치 및 그 제어 방법
JP7388849B2 (ja) 制御パラメータ調整装置および方法
JP7388848B2 (ja) 制御パラメータ調整装置および方法
JP5460371B2 (ja) 数値制御装置
US8295954B2 (en) Method and device for adjusting a regulating device
JP4417915B2 (ja) 状態判定装置および状態判定方法
JP4440898B2 (ja) 状態判定装置および状態判定方法
JP4752298B2 (ja) モータ制御装置およびその制御方法
WO2019106782A1 (ja) Pid制御装置及びpid制御方法
JP6922224B2 (ja) 制御装置、制御方法、制御プログラム
JP4200357B2 (ja) 電動機制御装置の運転立上げ方法および電動機制御装置
CN112236726A (zh) 控制装置的调整辅助装置以及控制装置的调整装置
US11381188B2 (en) Setting support device
WO2020039935A1 (ja) 設定支援装置
JP4378903B2 (ja) Pid調整装置
JP2023084263A (ja) 制御パラメータ設定方法、設定装置及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100316

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100402

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100629

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100701

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4546437

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140709

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees