JP2023084263A - 制御パラメータ設定方法、設定装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波域での発振や低周波域での基本特性の劣化を防ぐために、少ない演算量で制御パラメータを適切に設定する方法等を提供する。【解決手段】ノッチフィルタを挿入可能なフィードバック制御系によりモータ位置・速度を制御するために、速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定し、制御対象の共振周波数以上でのゲイン及び位相に基づきノッチフィルタの要否を判定し、必要時には、共振周波数以上での発振を回避する第1ノッチ条件と、反共振周波数より小さいゲイン交差周波数での位相を閾値より大きい値とする第2ノッチ条件とを計算し、両条件が両立可能である時にノッチパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ上記処理を実行し、両立不可能と判定した直前の速度制御比例ゲイン及びノッチパラメータを含む制御パラメータを推奨値に設定する。【選択図】図3
Description
本発明は、例えば負荷機械が接続されたサーボモータの位置または速度を制御する二慣性系のモータ制御システムにおいて、ノッチフィルタのパラメータを含む制御パラメータを少ない演算量で適切に設定するための制御パラメータの設定技術に関する。
二慣性系の位置または速度をフィードバック制御する場合、応答性の向上を目的としてゲインを高く設定すると機械系に共振が発生し易くなる。この共振を抑制するには、共振周波数付近のゲインを低下させるノッチフィルタを設けることが有効であり、このノッチフィルタのパラメータを含む制御パラメータを適切に設定するための技術が種々提供されている。
例えば、特許文献1に記載されたモータ制御装置では、負荷周波数特性に基づいてノッチフィルタの設定パターンを複数算出し、これらの設定パターンごとに制御対象周波数特性の位相が-180+α[deg](αは位相余裕)以下の周波数領域における最大ゲインを算出すると共に、この最大ゲインに基づき速度応答周波数を算出して設定パターンと関連付けて記憶する処理を繰り返すことで、最終的に速度応答周波数の最大値に対応する設定パターンを決定し、表示している。これにより、安定性を保証し得る速度応答周波数とノッチフィルタの最適な設定パターンとを短時間で取得している。
特許文献2には、モータの速度制御比例ゲインや速度制御積分ゲイン等の制御ゲインとノッチフィルタ設定値(中心周波数及び深さ)との組み合わせを記憶しておき、制御ゲインを変化させた時にモータ速度の発振を検知する直前の制御ゲインに応じたノッチフィルタ設定値を再設定して使用するモータ駆動装置が開示されており、制御ゲインに対して最適な深さのノッチフィルタを適用することで位相特性の改善、制御系の安定動作等を確保しつつ機械共振による発振を抑制している。
また、特許文献3には、クローズドループ制御系に設けられるノッチフィルタの要否判定を行う評価装置において、ノッチフィルタの帯域幅または深さ等のパラメータをある値から別の値に変更してノッチフィルタ適用時における周波数応答特性の変化を取得し、この変化に基づいてノッチフィルタの要否を判定する技術が開示されている。
また、特許文献3には、クローズドループ制御系に設けられるノッチフィルタの要否判定を行う評価装置において、ノッチフィルタの帯域幅または深さ等のパラメータをある値から別の値に変更してノッチフィルタ適用時における周波数応答特性の変化を取得し、この変化に基づいてノッチフィルタの要否を判定する技術が開示されている。
特許文献1に係るモータ制御装置では、負荷周波数特性のゲイン特性から求めた共振周波数のみを条件とし、この共振周波数を中心周波数とするノッチフィルタの設定パターンを複数算出した上でそれら全てについて最大ゲイン及び速度応答周波数を求める処理を繰り返しているため、演算量が多くなるという問題があった。
また、各設定パターンにおいて、全帯域で一律の位相余裕αを用いて速度応答周波数を算出しているので、共振点に起因する発振を抑制することが可能であっても、共振周波数以下の位相遅れによって目標値応答などの基本特性が劣化する恐れがあり、これを回避するべく位相余裕αを大きくすると、高周波数側で必要以上にゲインが抑制されてロバスト性が必要以上に大きくなる等の問題があった。
また、各設定パターンにおいて、全帯域で一律の位相余裕αを用いて速度応答周波数を算出しているので、共振点に起因する発振を抑制することが可能であっても、共振周波数以下の位相遅れによって目標値応答などの基本特性が劣化する恐れがあり、これを回避するべく位相余裕αを大きくすると、高周波数側で必要以上にゲインが抑制されてロバスト性が必要以上に大きくなる等の問題があった。
更に、特許文献2に係るモータ制御装置は、制御ゲインを大きくしていく過程において、モータ速度の発振を検知する直前のノッチフィルタの中心周波数及び深さを制御ゲインと共に再設定するものであり、低周波数側の位相遅れに起因する目標値応答などの基本特性の劣化については考慮されていない。
また、特許文献3に係る評価装置によれば、ノッチフィルタの要否の判定は可能であるとしても、制御パラメータの具体的な設定手段については十分に開示されていない。
また、特許文献3に係る評価装置によれば、ノッチフィルタの要否の判定は可能であるとしても、制御パラメータの具体的な設定手段については十分に開示されていない。
そこで、本発明の解決課題は、少ない演算量でノッチフィルタのパラメータを含む制御パラメータを適切に設定し、しかも共振周波数以上の帯域における発振を防止すると共に低周波数帯域での基本特性の劣化を招く恐れのない制御パラメータ設定方法、制御パラメータ設定装置及びプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するため、請求項1に係る制御パラメータ設定方法は、ノッチフィルタを挿入可能であってモータ位置またはモータ速度をフィードバック制御する制御系を備え、当該制御系によりモータ及び負荷機械を含む制御対象を駆動するモータ駆動システムを対象として、演算処理装置が所定のプログラムを実行して前記制御系の制御ゲインと前記ノッチフィルタのパラメータとを少なくとも含む制御パラメータを設定する制御パラメータ設定方法において、
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する第1ステップと、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する第2ステップと、
前記第2ステップにより前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する第3ステップと、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する第4ステップと、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する第5ステップと、
前記第5ステップにより両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記第2ステップ~前記第5ステップを実行し、前記第5ステップにより両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する第6ステップと、
を有することを特徴とする。
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する第1ステップと、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する第2ステップと、
前記第2ステップにより前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する第3ステップと、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する第4ステップと、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する第5ステップと、
前記第5ステップにより両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記第2ステップ~前記第5ステップを実行し、前記第5ステップにより両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する第6ステップと、
を有することを特徴とする。
請求項2に係る制御パラメータ設定方法は、請求項1に記載した制御パラメータ設定方法において、
前記第2ステップでは、前記ノッチフィルタを使用しない場合の一巡伝達関数絶対値の共振ピーク値が第2閾値Glimより大きく、かつ、前記制御対象の共振周波数より大きい周波数における前記一巡伝達関数絶対値が前記第2閾値Glimに等しくなる周波数での位相が-180[deg]より小さい時に,前記ノッチフィルタが必要と判定することを特徴とする。
前記第2ステップでは、前記ノッチフィルタを使用しない場合の一巡伝達関数絶対値の共振ピーク値が第2閾値Glimより大きく、かつ、前記制御対象の共振周波数より大きい周波数における前記一巡伝達関数絶対値が前記第2閾値Glimに等しくなる周波数での位相が-180[deg]より小さい時に,前記ノッチフィルタが必要と判定することを特徴とする。
請求項3に係る制御パラメータ設定方法は、請求項2に記載した制御パラメータ設定方法において、
前記第3ステップでは、中心周波数を前記共振周波数に等しくし、かつ帯域幅及び深さを所定値に設定した時の前記共振ピーク値を前記第2閾値Glim以下にするためのノッチ条件と、前記共振周波数以上の周波数における位相が-180[deg]以上になるように位相を所定値だけ進めるためのノッチ条件と、を計算し、これら二つのノッチ条件の何れかを満たす条件を前記第1ノッチ条件として選択することを特徴とする。
前記第3ステップでは、中心周波数を前記共振周波数に等しくし、かつ帯域幅及び深さを所定値に設定した時の前記共振ピーク値を前記第2閾値Glim以下にするためのノッチ条件と、前記共振周波数以上の周波数における位相が-180[deg]以上になるように位相を所定値だけ進めるためのノッチ条件と、を計算し、これら二つのノッチ条件の何れかを満たす条件を前記第1ノッチ条件として選択することを特徴とする。
請求項4に係る制御パラメータ設定方法は、請求項1~3の何れか1項に記載した制御パラメータ設定方法において、
前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件が、前記ノッチフィルタのパラメータである帯域幅及び深さを含む不等式であることを特徴とする。
前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件が、前記ノッチフィルタのパラメータである帯域幅及び深さを含む不等式であることを特徴とする。
請求項5に係る制御パラメータ設定装置は、ノッチフィルタを挿入可能であってモータ位置またはモータ速度をフィードバック制御する制御系を備え、当該制御系によりモータ及び負荷機械を含む制御対象を駆動するモータ駆動システムを対象として、演算処理装置が所定のプログラムを実行して前記制御系の制御ゲインと前記ノッチフィルタのパラメータとを少なくとも含む制御パラメータを設定する制御パラメータ設定装置において、
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する手段と、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する手段と、
前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する手段と、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する手段と、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する手段と、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件とが両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記手段をそれぞれ動作させ、前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件とが両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する手段と、
を備えたことを特徴とする。
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する手段と、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する手段と、
前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する手段と、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する手段と、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する手段と、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件とが両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記手段をそれぞれ動作させ、前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件とが両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する手段と、
を備えたことを特徴とする。
請求項6に係るプログラムは、ノッチフィルタを挿入可能であってモータ位置またはモータ速度をフィードバック制御する制御系を備え、当該制御系によりモータ及び負荷機械を含む制御対象を駆動するモータ駆動システムを対象として、演算処理装置が、前記制御系の制御ゲインと前記ノッチフィルタのパラメータとを少なくとも含む制御パラメータを設定するために実行するプログラムにおいて、
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する第1ステップと、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する第2ステップと、
前記第2ステップにより前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する第3ステップと、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する第4ステップと、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する第5ステップと、
前記第5ステップにより両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記第2ステップ~前記第5ステップを実行し、前記第5ステップにより両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する第6ステップと、
を前記演算処理装置に実行させることを特徴とする。
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する第1ステップと、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する第2ステップと、
前記第2ステップにより前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する第3ステップと、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する第4ステップと、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する第5ステップと、
前記第5ステップにより両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記第2ステップ~前記第5ステップを実行し、前記第5ステップにより両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する第6ステップと、
を前記演算処理装置に実行させることを特徴とする。
本発明によれば、第1,第2ノッチ条件の計算自体には繰り返しの演算が不要なため、少ない演算回数で各種の制御パラメータを設定することができる。また、共振周波数以上の高周波数側で発振を回避するための第2閾値と反共振周波数未満の低周波数側の第1閾値とを個別に設定しているので、目標値応答などの基本特性を維持しながら安定性を保ちつつゲインを高く設定することができ、ロバスト性が必要以上に高くなるのを回避することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係るモータ駆動システムの制御ブロック図であり、モータ(サーボモータ)の位置を制御するフィードバック制御系をP-PI(比例-比例・積分)制御系により構成した場合を示している。ここで、モータの「位置」とは回転式モータにおける回転子の位置だけでなくリニアモータの可動子の位置も含む。
図1は、本発明の第1実施例に係るモータ駆動システムの制御ブロック図であり、モータ(サーボモータ)の位置を制御するフィードバック制御系をP-PI(比例-比例・積分)制御系により構成した場合を示している。ここで、モータの「位置」とは回転式モータにおける回転子の位置だけでなくリニアモータの可動子の位置も含む。
図1において、モータの位置指令とモータ位置との偏差が第1比例要素10に入力されてP制御による位置制御を構成し、その出力とモータ速度との偏差と、この偏差に第1積分要素20を演算した結果との和が第2比例要素30に入力される形で、PI制御による速度制御を構成している。
第2比例要素30の出力は、切替手段40により、ノッチフィルタ100無しまたは有りの状態が選択され、二慣性共振系の制御対象(電力変換部、モータ及び負荷機械)200に与えられる。実際の制御系ではむだ時間の存在を避けられないため、これをむだ時間要素50(Tdはむだ時間)にて表記している。そして、制御対象200から取得したモータ速度は第2積分要素60によりモータ位置に変換されて位置指令との加減算に用いられる。
図1ではモータ速度を検出する形で表現したが、勿論、モータ位置を検出してモータ位置検出値を前段のモータ位置制御に入力するとともに、前記モータ位置検出値を数値微分して後段の速度制御に入力してもよい。
なお、設定手段300は、kvpの設定の可否を判定すると共に、後述するkvp,kp,kvi及びノッチフィルタ100のパラメータの設定等を行う。
上記の構成において、制御対象200以外の部分は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置を含むコンピュータシステムと、上記演算処理装置により実行されるプログラムとによって実現される。
第2比例要素30の出力は、切替手段40により、ノッチフィルタ100無しまたは有りの状態が選択され、二慣性共振系の制御対象(電力変換部、モータ及び負荷機械)200に与えられる。実際の制御系ではむだ時間の存在を避けられないため、これをむだ時間要素50(Tdはむだ時間)にて表記している。そして、制御対象200から取得したモータ速度は第2積分要素60によりモータ位置に変換されて位置指令との加減算に用いられる。
図1ではモータ速度を検出する形で表現したが、勿論、モータ位置を検出してモータ位置検出値を前段のモータ位置制御に入力するとともに、前記モータ位置検出値を数値微分して後段の速度制御に入力してもよい。
なお、設定手段300は、kvpの設定の可否を判定すると共に、後述するkvp,kp,kvi及びノッチフィルタ100のパラメータの設定等を行う。
上記の構成において、制御対象200以外の部分は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置を含むコンピュータシステムと、上記演算処理装置により実行されるプログラムとによって実現される。
第1比例要素10におけるkpは位置制御比例ゲイン、第1積分要素20におけるkviは速度制御積分ゲイン、sはラプラス演算子、第2比例要素30におけるJは制御対象200の慣性モーメント(モータ側慣性モーメントをJ1、負荷側慣性モーメントをJ2とすると、J=J1+J2)、kvpは速度制御比例ゲインである。
また、ノッチフィルタ100の伝達関数Gn(s)は数式1により定義され、制御対象200の伝達関数Gp(s)は数式2により定義される。
また、ノッチフィルタ100の伝達関数Gn(s)は数式1により定義され、制御対象200の伝達関数Gp(s)は数式2により定義される。
上記の数式1において、ωn,ζn,ζdはノッチフィルタ100のパラメータであり、ωnは中心周波数、ζdは帯域幅、ζnは深さを調整するパラメータである。
また、数式2において、ωμは制御対象200の共振周波数、ωzは反共振周波数、ζμは共振点の減衰定数、ζzは反共振点の減衰定数であり、これらの機械共振パラメータは既知であるとする。
また、数式2において、ωμは制御対象200の共振周波数、ωzは反共振周波数、ζμは共振点の減衰定数、ζzは反共振点の減衰定数であり、これらの機械共振パラメータは既知であるとする。
次に、この実施例における制御パラメータの設定動作の概要を、図2のフローチャートに基づいて説明する。
初めに、図1の制御系を対象として、ある速度制御比例ゲインkvpを設定し、このkvpに応じた位置制御比例ゲインkp及び速度制御積分ゲインkviを仮定してこれらを初期設定する(図2のステップS1)。
初めに、図1の制御系を対象として、ある速度制御比例ゲインkvpを設定し、このkvpに応じた位置制御比例ゲインkp及び速度制御積分ゲインkviを仮定してこれらを初期設定する(図2のステップS1)。
次いで、制御対象200の共振周波数以上の帯域(ω≧ωμ)における制御系のゲイン及び位相に基づいて、ノッチフィルタ100の要否を判定する。ここで、ノッチフィルタ100が必要と判定された場合には、図1の切替手段40によりノッチフィルタ100を制御系に挿入し、ωμにおける一巡伝達関数のピーク値(共振ピーク値)Gpeakと制御系の位相遅れに起因して振動が発生することを踏まえて、ω≧ωμの帯域で発振するリスクを回避するために必要な第1ノッチ条件と、ω<ωzの帯域でゲインの絶対値|G(ω)|=1となる周波数ω1における位相∠G(ω1)が所定の閾値(第1閾値)Plim以上に留まるための第2ノッチ条件とを求める。
上述した第1,第2ノッチ条件が両立する場合には、各パラメータωn,ζn,ζdを設定した上でその時のkvpを設定可能と判定して一時記憶し、第1,第2ノッチ条件が両立しない場合にはkvpを設定不可能と判定する(ステップS2)。
上述した第1,第2ノッチ条件が両立する場合には、各パラメータωn,ζn,ζdを設定した上でその時のkvpを設定可能と判定して一時記憶し、第1,第2ノッチ条件が両立しない場合にはkvpを設定不可能と判定する(ステップS2)。
次に、kvpを増大する都度(ステップS3)、kvpが設定不可能と判定されるまで上記ステップS2を実行し、kvpが設定不可能と判定された時点で、前回に試行して設定可能と判定し、一時記憶したkvpとこれに対応するkp,kviを決定すると共にその際のノッチフィルタ100のパラメータを採用することにより(ステップS4)、ノッチフィルタ100のパラメータを含む全ての制御パラメータを設定する。
このように、本実施例では、第1,第2ノッチ条件の計算自体には繰り返しの演算が不要なため、少ない演算回数で各種の制御パラメータを設定することができる。また、後述するように、共振周波数以上の高周波数側で発振を回避するための第2閾値と反共振周波数未満の低周波数側の第1閾値(位相の下限値)とを個別に設定することにより、目標値応答などの基本特性を維持しながら安定性を保てる帯域でゲインを高く設定し、ロバスト性が必要以上に高くなるのを防止している。
次いで、図2におけるステップS2の内容を、図3のフローチャート及び図4のボード線図を参照しつつ詳細に説明する。なお、図4(a)は、図1の制御系において、切替手段40の操作によりノッチフィルタ100を使用しない場合の一巡伝達関数、図4(b)は挿入するべきノッチフィルタのボード線図であり、各図の上段はゲイン特性、下段は位相特性である。
まず、制御対象200の機械共振パラメータωμ,ωz,ζμ,ζz、及び、フィードバック制御系全体のむだ時間Tdは既知であるとする。
始めに、所定の定数κp,κviを用いて、kp,kviをそれぞれkp=κp×kvp,kvi=κvi×kvpと与える。図1に示したP-PI制御系では、例えばκp=κvi=1/4とする。後述するように、上記定数κp,κviは制御系の構成に応じて異なる値を与えるものとする。
始めに、所定の定数κp,κviを用いて、kp,kviをそれぞれkp=κp×kvp,kvi=κvi×kvpと与える。図1に示したP-PI制御系では、例えばκp=κvi=1/4とする。後述するように、上記定数κp,κviは制御系の構成に応じて異なる値を与えるものとする。
あるkvpに対して上記のようにkp,kviを設定した場合に、ノッチフィルタを使用しない時のゲイン絶対値|G(ω)|の共振ピーク値Gpeakを確認する(図3のステップS211)。このGpeakはωμ付近の|G(ω)|の最大値であるため、図4(a)のごとく近似的にGpeak≒|G(ωμ)|として求めても良い。なお、図4(a),(b)では、ノッチフィルタの中心周波数ωn=ωμとしている。
図3のステップS211において、Gpeak≦Glim(Glimは1未満の第2閾値)の時には、ノッチフィルタを使わずにkvpを設定可能とする(ステップS31)。
また、図4(a)に示すようにGpeak>Glimの時には、ω>ωμの帯域で|G(ω)|=Glimとなるω=ω2を求め、このω2における位相∠G(ω2)と-π[rad](=-180[deg])との大小関係に応じてノッチフィルタの要否を判定する(ステップS212)。
すなわち、∠G(ω2)≧-πの場合は、前記同様にノッチフィルタを使わずにkvpを設定可能とする(ステップS31)。
一方、図4(a)のごとく∠G(ω2)<-πの場合には、ノッチフィルタなしでkvpを設定するのは不可能と判定し、kvpを設定可能にするノッチ条件をステップS221以下の処理によって計算する。
また、図4(a)に示すようにGpeak>Glimの時には、ω>ωμの帯域で|G(ω)|=Glimとなるω=ω2を求め、このω2における位相∠G(ω2)と-π[rad](=-180[deg])との大小関係に応じてノッチフィルタの要否を判定する(ステップS212)。
すなわち、∠G(ω2)≧-πの場合は、前記同様にノッチフィルタを使わずにkvpを設定可能とする(ステップS31)。
一方、図4(a)のごとく∠G(ω2)<-πの場合には、ノッチフィルタなしでkvpを設定するのは不可能と判定し、kvpを設定可能にするノッチ条件をステップS221以下の処理によって計算する。
まず、ωn=ωμとして、パラメータζn,ζdを与えた際の共振ピーク値Gpeak’を数式3のように見積もる。
[数式3]
Gpeak’=Gpeak×(ζn/ζd)
次に、数式4に示すごとく、Gpeak’≦Glimを実現するためのノッチ条件を計算する(ステップS221)。
[数式4]
ζn/ζd≦Glim/Gpeak
(すなわち、ζn≦ζd(Glim/Gpeak))
[数式3]
Gpeak’=Gpeak×(ζn/ζd)
次に、数式4に示すごとく、Gpeak’≦Glimを実現するためのノッチ条件を計算する(ステップS221)。
[数式4]
ζn/ζd≦Glim/Gpeak
(すなわち、ζn≦ζd(Glim/Gpeak))
更に、図4(a)に示すように、制御系を安定にするためにω2において進めるべき(不足する)位相の大きさδ2=-π-∠G(ω2)を求め、ノッチフィルタを使用した時に位相をδ2だけ進めるためのノッチ条件を計算する(ステップS222)。そのためには、数式5に示すx2,y2を導入した上で、数式6を満たすパラメータζn,ζdを求めれば良い。
[数式5]
x2=(ω2/ωn)(>1), y2=2x2/(x2 2-1)
[数式6]
arctan(ζdy2)-arctan(ζny2)≧δ2
この数式6は、前述の数式1においてs-=jω2とし、その位相を≧δ2とすることによって得られる。
ここで、ζdは粗く与えて良いので、与えられたζdに対応するζnの条件式として、数式6を数式7のように変形する。
[数式7]
arctan(ζny2)≦arctan(ζdy2)-δ2
数式7は、加法定理を用いることにより数式8となる。
[数式8]
ζn≦(ζdy2-tanδ2)/y2(1+ζdy2tanδ2)
この数式8の右辺を、便宜的に「A」とおく。
[数式5]
x2=(ω2/ωn)(>1), y2=2x2/(x2 2-1)
[数式6]
arctan(ζdy2)-arctan(ζny2)≧δ2
この数式6は、前述の数式1においてs-=jω2とし、その位相を≧δ2とすることによって得られる。
ここで、ζdは粗く与えて良いので、与えられたζdに対応するζnの条件式として、数式6を数式7のように変形する。
[数式7]
arctan(ζny2)≦arctan(ζdy2)-δ2
数式7は、加法定理を用いることにより数式8となる。
[数式8]
ζn≦(ζdy2-tanδ2)/y2(1+ζdy2tanδ2)
この数式8の右辺を、便宜的に「A」とおく。
次に、数式9に示すように、ステップS221により計算した数式4、またはステップS222により計算した数式8のうち何れかを満たすノッチ条件を選択し、これを第1ノッチ条件とする(ステップS223)。
[数式9]
ζn≦Max{ζd(Glim/Gpeak),(ζdy2-tanδ2)/y2(1+ζdy2tanδ2)}
すなわち、この第1ノッチ条件は、ωμ以上の周波数における発振を回避するために、GpeakがGlim以下となるか、あるいは、G=Glimとなる周波数ω2における位相が-π以上となるようにする条件である。
[数式9]
ζn≦Max{ζd(Glim/Gpeak),(ζdy2-tanδ2)/y2(1+ζdy2tanδ2)}
すなわち、この第1ノッチ条件は、ωμ以上の周波数における発振を回避するために、GpeakがGlim以下となるか、あるいは、G=Glimとなる周波数ω2における位相が-π以上となるようにする条件である。
一方、ノッチフィルタを使用しない時にω<ωzの帯域で|G(ω)|=1となる周波数ω1を探索し、これに応じた∠G(ω1)を求める(図3のステップS231)。
そして、ノッチフィルタを使用した時に∠G(ω1)を図4(a)における所定の閾値(第1閾値)Plim以上に留めるための条件を求める。言い換えれば、ノッチフィルタを使用しない時に更に遅らせても良い位相の大きさとしてδ1=∠G(ω1)-Plimを算出し(ステップS232)、ノッチフィルタを使用した時のω1における位相遅れをδ1以下に留めるためのノッチ条件を計算してこれを第2ノッチ条件とする(ステップS233)。
そして、ノッチフィルタを使用した時に∠G(ω1)を図4(a)における所定の閾値(第1閾値)Plim以上に留めるための条件を求める。言い換えれば、ノッチフィルタを使用しない時に更に遅らせても良い位相の大きさとしてδ1=∠G(ω1)-Plimを算出し(ステップS232)、ノッチフィルタを使用した時のω1における位相遅れをδ1以下に留めるためのノッチ条件を計算してこれを第2ノッチ条件とする(ステップS233)。
そのためには、数式10に示すx1,y1を導入し、数式11を満たすようなパラメータζn,ζdを求めれば良い。
[数式10]
x1=(ω1/ωn)(<1), y1=2x1/(1-x1 2)
[数式11]
arctan(ζdy1)-arctan(ζny1)≦δ1
この数式11は、前述の数式1においてs-=jω1とし、その位相を≧-δ1とすることによって得られる。
[数式10]
x1=(ω1/ωn)(<1), y1=2x1/(1-x1 2)
[数式11]
arctan(ζdy1)-arctan(ζny1)≦δ1
この数式11は、前述の数式1においてs-=jω1とし、その位相を≧-δ1とすることによって得られる。
前記同様に、与えられたζdに対応するζnの条件式として、数式11を数式12のように変形する。
[数式12]
arctan(ζny1)≧arctan(ζdy1)-δ1
この数式12は、加法定理を用いることにより数式13となる。
[数式13]
ζn≧(ζdy1-tanδ1)/y1(1+ζdy1tanδ1)
この数式13の右辺を、便宜的に「B」とおく。
[数式12]
arctan(ζny1)≧arctan(ζdy1)-δ1
この数式12は、加法定理を用いることにより数式13となる。
[数式13]
ζn≧(ζdy1-tanδ1)/y1(1+ζdy1tanδ1)
この数式13の右辺を、便宜的に「B」とおく。
次いで、第1ノッチ条件と第2ノッチ条件との両立の可否を判定する(ステップS24)。
第1ノッチ条件は、あるζdを与えた時に、ωμ以上の周波数において発振のリスクを回避するために求められる数式9の条件であり、また、第2ノッチ条件は、あるζdを与えた時に、ωzより低いω1において位相遅れをζ1以下に留めるために求められる数式13(数式11)の条件である。
第1ノッチ条件は、あるζdを与えた時に、ωμ以上の周波数において発振のリスクを回避するために求められる数式9の条件であり、また、第2ノッチ条件は、あるζdを与えた時に、ωzより低いω1において位相遅れをζ1以下に留めるために求められる数式13(数式11)の条件である。
これら第1ノッチ条件及び第2ノッチ条件を満たすζnが存在する場合、すなわち、数式8の右辺「A」と数式13の右辺「B」とを用いてB≦AであってB≦ζn≦Aの関係を満たすζnが存在する場合には、上記条件を満たすノッチフィルタの使用により、当初選択した速度制御比例ゲインkvpを設定可能と判断する(ステップS32)。そして、図1の制御系に対して、当該kvpとこれに対応するkp,kvi、及びノッチフィルタのパラメータ(ωn,ζn,ζd)を設定する。
ちなみに、図4(b)はノッチフィルタに関するボード線図の概形であって、同図の下段に記載した条件式を満たすことが求められる。
ちなみに、図4(b)はノッチフィルタに関するボード線図の概形であって、同図の下段に記載した条件式を満たすことが求められる。
これに対し、ζdを変化させてもB≦ζn≦Aの関係を満たすζnが存在しない場合には、ノッチフィルタを使用しても、当初選択したkvpは設定不可能と判断する(ステップS33)。
kvpが設定可能と判定された場合、そのkvpとこれに対応するkp,kvi、及びノッチフィルタのパラメータを一時的に記憶した上で、kvpを増大し、新たなkvpの設定の可否を前記同様に判定する。そして、新たなkvpが設定不可能と判定された時点で、一次記憶したkvpとこれに対応するkp,kvi、及びノッチフィルタのパラメータを採用すれば良い。
kvpが設定可能と判定された場合、そのkvpとこれに対応するkp,kvi、及びノッチフィルタのパラメータを一時的に記憶した上で、kvpを増大し、新たなkvpの設定の可否を前記同様に判定する。そして、新たなkvpが設定不可能と判定された時点で、一次記憶したkvpとこれに対応するkp,kvi、及びノッチフィルタのパラメータを採用すれば良い。
本実施例によれば、ノッチフィルタのパラメータのうちζdを適宜与えれば、ζnは連立不等式の形で得られるため、ζnを細かく変化させて試行的に大量の演算を行う必要がなく、演算負荷を軽減することができる。
また、あるkvpに対して適切なkp,kviを与えたうえで、ノッチフィルタを使用した場合に低周波数側の位相遅れが生じないように閾値Plimによって制限しているので、ノッチフィルタを使用することによる特性の劣化を心配する必要がない。
また、あるkvpに対して適切なkp,kviを与えたうえで、ノッチフィルタを使用した場合に低周波数側の位相遅れが生じないように閾値Plimによって制限しているので、ノッチフィルタを使用することによる特性の劣化を心配する必要がない。
次に、図5はモータの位置制御をP-I-P制御系により構成した第2実施例の制御ブロック図である。この第2実施例では、kp=κp×kvp,kvi=κvi×kvpにおける定数κp,κviを、例えばκp=1/6,κvi=4/9とすると良い。
更に、図6はモータの速度制御をPI制御系により構成した第3実施例の制御ブロック図であり、図7は、同じくI-P制御系により構成した第4実施例の制御ブロック図である。これらの第3,第4実施例では、例えばκvi=1/3とすると良い。
更に、図6はモータの速度制御をPI制御系により構成した第3実施例の制御ブロック図であり、図7は、同じくI-P制御系により構成した第4実施例の制御ブロック図である。これらの第3,第4実施例では、例えばκvi=1/3とすると良い。
次いで、図5のP-I-P制御系からなる位置制御システムに対し、本発明により設定した制御パラメータを用いて目標値応答及び外乱応答を求めたシミュレーションの内容を説明する。
シミュレーション条件としては、制御対象200の共振周波数fμ(=ωμ/2π)=400[Hz]、同じく反共振周波数fz(=ωz/2π)=200[Hz]、共振点の減衰定数ζμ=0.1、反共振点の減衰定数ζz=0.05の二慣性系とし、フィードバック制御系全体のむだ時間Td=0.2[ms]と仮定した。
また、シミュレーションの対象としては図8に示す制御対象モデル(入出力関係は、図5における制御対象200の伝達関数Gp(s)と同じ)を用い、モータ側慣性モーメントJ1をJ1=1×10-4[kgm2]と仮定すると共に、負荷側慣性モーメントJ2、弾性定数K、ダンピング定数Cは、前記fμ,fz,ζμ,ζzと一致するように、それぞれJ2=J1(ωμ/ωz)2、K=J2ωz 2、C=2ζzK/ωzとした。
シミュレーション条件としては、制御対象200の共振周波数fμ(=ωμ/2π)=400[Hz]、同じく反共振周波数fz(=ωz/2π)=200[Hz]、共振点の減衰定数ζμ=0.1、反共振点の減衰定数ζz=0.05の二慣性系とし、フィードバック制御系全体のむだ時間Td=0.2[ms]と仮定した。
また、シミュレーションの対象としては図8に示す制御対象モデル(入出力関係は、図5における制御対象200の伝達関数Gp(s)と同じ)を用い、モータ側慣性モーメントJ1をJ1=1×10-4[kgm2]と仮定すると共に、負荷側慣性モーメントJ2、弾性定数K、ダンピング定数Cは、前記fμ,fz,ζμ,ζzと一致するように、それぞれJ2=J1(ωμ/ωz)2、K=J2ωz 2、C=2ζzK/ωzとした。
上記の条件のもとで、図2,図3等の手順によりノッチフィルタのパラメータを含む制御パラメータを設定した。
但し、ノッチフィルタの帯域幅ζdは、0.5,1.0,1.5の中から選択し、中心周波数fn(=ωn/2π)は共振周波数に等しい400[Hz]とした。
更に、反共振周波数ωzより低周波数側のゲイン交差周波数ω1における∠G(ω1)との差δ1を求めるための閾値Plim=-140[deg]とし、共振周波数ωμより高周波数側で位相が-180[deg]となる周波数に関する閾値Glim=0.5とした。
これにより、各パラメータの推奨値として、kvp=860[rad/s](137[Hz]),ζn=0.74,ζd=1.0を得た。なお、前述したようにkp/kvp=1/6,kvi/kvp=4/9の関係に基づき、kvpに対応するkp,kviを設定した。
但し、ノッチフィルタの帯域幅ζdは、0.5,1.0,1.5の中から選択し、中心周波数fn(=ωn/2π)は共振周波数に等しい400[Hz]とした。
更に、反共振周波数ωzより低周波数側のゲイン交差周波数ω1における∠G(ω1)との差δ1を求めるための閾値Plim=-140[deg]とし、共振周波数ωμより高周波数側で位相が-180[deg]となる周波数に関する閾値Glim=0.5とした。
これにより、各パラメータの推奨値として、kvp=860[rad/s](137[Hz]),ζn=0.74,ζd=1.0を得た。なお、前述したようにkp/kvp=1/6,kvi/kvp=4/9の関係に基づき、kvpに対応するkp,kviを設定した。
図5の制御系に対して上記のように制御パラメータを与えた際の、目標値応答及び外乱応答を求めたシミュレーションの結果は、以下のとおりである。このシミュレーションでは、時刻0.1で目標値を0から0.1に変更した時の応答と、時刻0.3で大きさ1のステップ外乱を印加した時の応答について観察した。
図9(a),(b),(c)は、それぞれ、kvpを推奨値(860[rad/s]),推奨値×1.5,推奨値×2.0に設定した場合の目標値応答及び外乱応答を示している。
これらの図によれば、kvpを推奨値に設定した場合に良好な目標値応答及び外乱応答が得られることを確認できる。
図9(a),(b),(c)は、それぞれ、kvpを推奨値(860[rad/s]),推奨値×1.5,推奨値×2.0に設定した場合の目標値応答及び外乱応答を示している。
これらの図によれば、kvpを推奨値に設定した場合に良好な目標値応答及び外乱応答が得られることを確認できる。
図10は、制御パラメータを上述の推奨値として設定した場合に実現される、図5の制御系の一巡伝達関数のボード線図である。
図10(b)の位相特性において位相が-180[deg]となる位相交差周波数fbでは、図10(a)に○で囲んだようにゲインが閾値Glimを下回っており、また、ゲイン交差周波数faでは、図10(b)に○で囲んだように位相が閾値Plimを上回っている。
これにより、制御系の安定性が担保されていることがわかる。
図10(b)の位相特性において位相が-180[deg]となる位相交差周波数fbでは、図10(a)に○で囲んだようにゲインが閾値Glimを下回っており、また、ゲイン交差周波数faでは、図10(b)に○で囲んだように位相が閾値Plimを上回っている。
これにより、制御系の安定性が担保されていることがわかる。
10:第1比例要素
20:第1積分要素
30:第2比例要素
40:切替手段
50:むだ時間要素
60:第2積分要素
100:ノッチフィルタ
200:制御対象(電力変換部、モータ及び負荷機械)
300:設定手段
20:第1積分要素
30:第2比例要素
40:切替手段
50:むだ時間要素
60:第2積分要素
100:ノッチフィルタ
200:制御対象(電力変換部、モータ及び負荷機械)
300:設定手段
Claims (6)
- ノッチフィルタを挿入可能であってモータ位置またはモータ速度をフィードバック制御する制御系を備え、当該制御系によりモータ及び負荷機械を含む制御対象を駆動するモータ駆動システムを対象として、演算処理装置が所定のプログラムを実行して前記制御系の制御ゲインと前記ノッチフィルタのパラメータとを少なくとも含む制御パラメータを設定する制御パラメータ設定方法において、
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する第1ステップと、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する第2ステップと、
前記第2ステップにより前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する第3ステップと、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する第4ステップと、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する第5ステップと、
前記第5ステップにより両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記第2ステップ~前記第5ステップを実行し、前記第5ステップにより両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する第6ステップと、
を有することを特徴とした制御パラメータ設定方法。 - 請求項1に記載した制御パラメータ設定方法において、
前記第2ステップでは、
前記ノッチフィルタを使用しない場合の一巡伝達関数絶対値の共振ピーク値が第2閾値Glimより大きく、かつ、前記制御対象の共振周波数より大きい周波数における前記一巡伝達関数絶対値が前記第2閾値Glimに等しくなる周波数での位相が-180[deg]より小さい時に,前記ノッチフィルタが必要と判定することを特徴とした制御パラメータ設定方法。 - 請求項2に記載した制御パラメータ設定方法において、
前記第3ステップでは、
中心周波数を前記共振周波数に等しくし、かつ帯域幅及び深さを所定値に設定した時の前記共振ピーク値を前記第2閾値Glim以下にするためのノッチ条件と、前記共振周波数以上の周波数における位相が-180[deg]以上になるように位相を所定値だけ進めるためのノッチ条件と、を計算し、これら二つのノッチ条件の何れかを満たす条件を前記第1ノッチ条件として選択することを特徴とした制御パラメータ設定方法。 - 請求項1~3の何れか1項に記載した制御パラメータ設定方法において、
前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件は、前記ノッチフィルタのパラメータである帯域幅及び深さを含む不等式であることを特徴とした制御パラメータ設定方法。 - ノッチフィルタを挿入可能であってモータ位置またはモータ速度をフィードバック制御する制御系を備え、当該制御系によりモータ及び負荷機械を含む制御対象を駆動するモータ駆動システムを対象として、演算処理装置が所定のプログラムを実行して前記制御系の制御ゲインと前記ノッチフィルタのパラメータとを少なくとも含む制御パラメータを設定する制御パラメータ設定装置において、
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する手段と、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する手段と、
前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する手段と、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する手段と、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する手段と、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件とが両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記手段をそれぞれ動作させ、前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件とが両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する手段と、
を備えたことを特徴とする制御パラメータ設定装置。 - ノッチフィルタを挿入可能であってモータ位置またはモータ速度をフィードバック制御する制御系を備え、当該制御系によりモータ及び負荷機械を含む制御対象を駆動するモータ駆動システムを対象として、演算処理装置が、前記制御系の制御ゲインと前記ノッチフィルタのパラメータとを少なくとも含む制御パラメータを設定するために実行するプログラムにおいて、
ある速度制御比例ゲインを含む制御ゲインを初期設定する第1ステップと、
前記制御対象の共振周波数以上の周波数における前記制御系全体のゲイン及び位相に基づいて前記ノッチフィルタの要否を判定する第2ステップと、
前記第2ステップにより前記ノッチフィルタが必要と判定された時に、前記共振周波数以上の周波数における発振を回避するための第1ノッチ条件を計算する第3ステップと、
前記制御対象の反共振周波数より小さいゲイン交差周波数における位相を第1閾値Plimより大きい値に留めるための第2ノッチ条件を計算する第4ステップと、
前記第1ノッチ条件と前記第2ノッチ条件との両立の可否を判定する第5ステップと、
前記第5ステップにより両立可能と判定された時に、前記第1ノッチ条件及び前記第2ノッチ条件を用いて前記ノッチフィルタのパラメータを速度制御比例ゲインと共に記憶した上で、速度制御比例ゲインを増大させつつ前記第2ステップ~前記第5ステップを実行し、前記第5ステップにより両立不可能と判定される直前の速度制御比例ゲインを含む制御パラメータを推奨値として設定する第6ステップと、
を前記演算処理装置に実行させることを特徴としたプログラム。
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