JP4544793B2 - 電解水生成装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解水を生成する電解水生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
正電極が配される酸性水生成部と、負電極が配されるアルカリ水生成部とを電解隔膜で区画した電解槽を使用して、酸性水とアルカリ水とを生成する電解水生成装置(従来技術1)が従来から知られている。
また、陰イオン交換膜を使用してアルカリ水のみを生成する電解水生成装置(従来技術2)も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術1の電解水生成装置では、アルカリ水と同量の酸性水が(あまり使われない)発生するため、経済的ではない。
また、上記従来技術2の電解水生成装置では、陰イオン交換膜、電解促進助剤、流量センサが必要であるとともに、複雑な制御を行う必要がある。
【0004】
本発明の目的は、比較的簡単な構成で、捨て水になり易い酸性水の吐出を防止した電解水生成装置の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1について〕
電解槽は、電解隔膜により槽内を二つの区画部に分離し、各区画部に電極を配置している。
【0006】
電圧印加手段により、電極間に直流電圧を印加し、各区画部に原水を導入すると、電極に正の電圧を印加する側の区画部で酸性の電解水が生成し、電極に負の電圧を印加する側の区画部でアルカリ性の電解水が生成する。
【0007】
電極に正の電圧を印加する側の区画部からは、捨て水として捨てられ易い酸性の電解水が吐出するが、改質器がこの酸性の電解水を、中性またはアルカリ性の改質水に改質する。
この改質水は、そのまま利用しても良く、アルカリ性の電解水に混合して利用しても良い。
これにより、電解水生成装置は、比較的簡単な構成で、捨て水になり易い酸性水の吐出を防止することができる。
【0008】
特に、改質器は、マグネシウムを主体とする、1つまたは複数の溶解体を改質槽内に入れたものである。
【0009】
酸性〜中性水溶液中では、溶解体が活発な自然溶解により水溶液のpHを上昇させる。
これにより、電極に正の電圧を印加する側の区画部から吐出する酸性の電解水が、中性またはアルカリ性の改質水に改質する。
そして、水溶液がアルカリ域になると、Mg(OH)2 を主とする皮膜形成により安定化して自然溶解が止まる。
【0010】
〔請求項2について〕
改質器は、改質槽と、改質槽内に対向して配される第1、第2電極板と、第1、第2電極板間に対向して配される、マグネシウムを主体とする一枚または複数枚の中間電極板と、第1、第2電極板間に直流電圧を印加する改質用の電圧印加手段とを備える。
【0011】
第1、第2電極板間に直流電圧が印加されると、隣り合う電極間に電位差が発生するので、中間電極板からMg2+イオンが溶解し、下記の様にOH- と反応してMg(OH)2 が生成されて水に混じる。
これにより、電極に正の電圧を印加する側の区画部から吐出する酸性の電解水が、中性またはアルカリ性の改質水に改質する。
【0012】
なお、第1、第2電極板を、貴金属で形成すれば、溶解による第1、第2電極板の消耗を防止できる。
また、第1、第2電極板も、マグネシウムを主体とするものにすると、改質効率が上がる。
【0013】
〔請求項3について〕
電解槽の酸性水出口と改質器の入口とを酸性水配管を介して接続し、電解槽のアルカリ水出口に上流端を接続したアルカリ性水配管の途中に、改質器の出口に上流端を接続した改質水配管の下流端を接続している。
これにより、アルカリ水の吐出口を一カ所にすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の第1実施例(請求項2、3に対応)を図1に基づいて説明する。
電解水生成装置Aは、図1に示す様に、アルカリ水および酸性水を生成する電解槽1と、酸性水をアルカリ性に改質する改質器2と、電圧印加手段3、4とを備える。
【0015】
電解槽1は、ケーシング100が酸やアルカリに強い電気絶縁材で形成され、中空の直方体形状を呈する。
この電解槽1の槽内中央には電解隔膜11(中性膜)が配され、槽内を区画部12、13に分離している。
【0016】
区画部12、13内には、電解槽1上部から同量の原水10が導入される。
そして、区画部12の槽側内壁の近傍に電極板14が垂直に配され、区画部13の槽側内壁の近傍に電極板15が垂直に配されている。
【0017】
電極板14、15は、白金チタンで形成され、電圧印加手段3により直流電圧(Max17V)が印加される。
20分間の通常運転では、電極板14に正の電圧、電極板15に負の電圧が印加される。これにより、陽極側と陰極側では、下記に示す反応が起き、酸性水とアルカリ水が生成され、酸性水配管16から酸性水17が吐出し、アルカリ性水配管18からアルカリ水19が吐出する。
【0018】
電極板14(陽極側)
▲1▼水道水等の原水に含まれるCl- イオン、SO4 2-イオン等が陰極側の区画部から電解隔膜11(中性膜)を通過して泳動し、陽極区画部で濃化する。
▲2▼同時に、2H2 O→4H+ +O2 +4e- によりH+ が生成される。
▲3▼H+ +Cl- →HCl で塩酸が生成され、
2H+ +SO4 2-→H2 SO4 で硫酸が生成され、pHが降下(酸性化)する。
【0019】
電極板15(陰極側)
▲1▼上記原水に含まれるNa+ イオン、Ca2+イオン等が陽極側の区画部から電解隔膜11(中性膜)を通過して泳動し、陰極側の区画部で濃化する。
▲2▼同時に、2H2 O+2e- →2OH- +H2 によりOH- が生成される。
▲3▼Na+ +OH- →NaOH で水酸化ナトリウムが生成され、
Ca2++2OH- →Ca(OH)2 で水酸化カルシウムが生成され、pHが上昇(アルカリ性化)する。
【0020】
また、スラッジ等の電極板14、15への付着防止を図るための、つぎの3分間の極性逆転運転では、電極板14に負の電圧、電極板15に正の電圧が印加される。
なお、この極性逆転運転では、酸性水配管16およびアルカリ性水配管18の上流端が閉塞され、別途に設けた排出管により廃液が系外に排出される。
【0021】
改質器2は、改質槽21が酸やアルカリに強い電気絶縁材で形成され、電解槽1の区画部12の酸性水出口31と、改質器2の入口36とを酸性水配管16を介して接続している。
また、改質器2の出口37に上流端28を接続した改質水配管27の下流端29を、区画部13のアルカリ水出口32に上流端33を接続したアルカリ性水配管18の途中に接続している。
【0022】
この改質器2は、改質槽21と、対向する様に垂直に改質槽21内に配されるマグネシウム製の電極板22、23(第1、第2電極板)と、電極板22、23間に対向して垂直に配されるマグネシウム製の電極板24、25、26(中間電極板)と、電極板22、23間に直流電圧を印加する改質用の電圧印加手段4とを備える。
【0023】
電極板22- 電極板23間に直流電圧が印加されると、結線していない中間電極でもバイポーラ電解が起こり、陽極となる各電極板面からMg2+イオンが溶解し、下記の様にOH- と反応してMg(OH)2 が生成されて水に混じる。
Mg2++2OH- →Mg(OH)2
なお、電圧印加停止時において、酸性水17がアルカリ性の改質水に改質されると、Mg(OH)2 を主とする皮膜形成により安定化してMg2+イオンの溶解が止まる。
【0024】
これにより、電極板14に正の電圧を印加する区画部12から吐出する酸性水17がアルカリ性の改質水に改質され、アルカリ性水配管18中を流れるアルカリ水19に合流する。
なお、電極板22、23を貴金属で形成すれば、電極板22、23が溶解せず、電極板の消耗を防止できる。
【0025】
本実施例の電解水生成装置Aは、以下の利点を有する。
電解水生成装置Aは、酸性水17が改質器2でアルカリ性の改質水に改質され、アルカリ性水配管18中を流れるアルカリ水19に合流させる構成であるので、捨て水になり易い酸性水17の吐出を防止することができる。また、改質器2を介設するだけであるので構造が比較的簡単である。
また、電解水生成装置Aは、アルカリ性の改質水38+アルカリ水19の混合水34が吐出する吐出口は一カ所であるので使い勝手が良い。
【0026】
なお、アルカリ性の混合水34は、風呂水、飲料用、水耕栽培水、農業水、濁水の凝集浄化、および土壌改良水(火山地域における酸性土壌の改良)として使用することができる。
【0027】
つぎに、本発明の第2実施例(請求項1、3に対応)を図2に基づいて説明する。
電解水生成装置Bは、以下に示す点が電解水生成装置Aと異なる。
改質器2は、マグネシウム製の電極板22、23、24、25、26(溶解体)を、対向状態で垂直に改質槽21内に配している。
【0028】
改質器2に酸性水17が導入されると、マグネシウム製の電極板22、23、24、25、26が活発な自然溶解を起こし、Mg2+イオンが溶解し、下記の様にOH- と反応してMg(OH)2 が生成されて水に混じる。
Mg2++2OH- →Mg(OH)2
【0029】
これにより、電極板14に正の電圧を印加する区画部12から吐出する酸性水17のpHが改質器2中で上昇してアルカリ性の改質水272に改質され、改質水272はアルカリ性水配管18中を流れるアルカリ水19に合流する。
【0030】
本実施例の電解水生成装置Bは、以下の利点を有する。
電解水生成装置Bは、酸性水17が改質器2でアルカリ性の改質水39に改質され、アルカリ性水配管18中を流れるアルカリ水19に合流させる構成であるので、捨て水になり易い酸性水17の吐出を防止することができる。
また、改質器2に電圧印加手段4を設けていないので構造が更に簡単である。
なお、アルカリ性の混合水35は、風呂水、飲料用、水耕栽培水、農業水、濁水の凝集浄化、および土壌改良水(火山地域における酸性土壌の改良)として使用することができる。
【0031】
つぎに、本発明の第3実施例(請求項2に対応)を図3に基づいて説明する。
電解水生成装置Cは、以下に示す点が電解水生成装置Aと異なる。
【0032】
改質水配管27の下流端29がアルカリ性水配管18に接続されず、改質器2の出口37に上流端28を接続した改質水配管27の下流端29からアルカリ性の改質水38が吐出する。
【0033】
電解水生成装置Cは、酸性水17が改質器2でアルカリ性の改質水に改質され、改質水配管27の下流端29からアルカリ性の改質水38が吐出する構成であるので、捨て水になり易い酸性水17の吐出を防止することができる。
【0034】
アルカリ水19は、風呂水、飲料用、洗浄水として使用することができる。
また、アルカリ性の改質水38は、風呂水、飲料用、水耕栽培水、農業水、濁水の凝集浄化、および土壌改良水(火山地域における酸性土壌の改良)として使用することができる。
【0035】
つぎに、本発明の第4実施例(請求項1に対応)を図4に基づいて説明する。
電解水生成装置Dは、以下に示す点が電解水生成装置Bと異なる。
【0036】
改質水配管27の下流端29がアルカリ性水配管18に接続されず、改質器2の出口37に上流端28を接続した改質水配管27の下流端29からアルカリ性の改質水39が吐出する。
【0037】
電解水生成装置Dは、酸性水17が改質器2でアルカリ性の改質水39に改質され、改質水配管27の下流端29からアルカリ性の改質水39が吐出する構成であるので、捨て水になり易い酸性水17の吐出を防止することができる。また、改質器2を介設するだけであるので構造が比較的簡単である。
【0038】
アルカリ水19は、風呂水、飲料用、洗浄水として使用することができる。
また、アルカリ性の改質水39は、風呂水、飲料用、水耕栽培水、農業水、濁水の凝集浄化、および土壌改良水(火山地域における酸性土壌の改良)として使用することができる。
【0039】
本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.電解水生成装置A、Cの改質器2において、図5に示す如く、櫛歯状を呈する二個のマグネシウム製の構造物51、52を、左右方向または上下方向から非接触状態に嵌め合わせたものを改質槽21内に配置し、構造物51- 構造物52間に電圧印加手段3、若しくは電圧印加手段4で直流電圧を印加する構成であっても良い。
【0040】
b.電解水生成装置B、Dの改質器2において、図6に示す如く、櫛歯状を呈する二個のマグネシウム製の構造物51、52を、左右方向または上下方向から非接触状態に嵌め合わせたもの、或いは何方か一方を改質槽21内に配置した構成であっても良い。
【0041】
c.マグネシウムを主体とする、電極板(第1、第2電極板、中間電極板)や溶解体は、マグネシウムに、マグネシウム以外のアルカリ土類金属(Ca等)を0.1%〜20重量%含有させたものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る電解水生成装置の説明図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る電解水生成装置の説明図である。
【図3】本発明の第3実施例に係る電解水生成装置の説明図である。
【図4】本発明の第4実施例に係る電解水生成装置の説明図である。
【図5】改質器の他の例を示す説明図である。
【図6】改質器の他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
A、B、C、D 電解水生成装置
1 電解槽
2 改質器
3 電圧印加手段
4 電圧印加手段(改質用の電圧印加手段)
10 原水
11 電解隔膜(中性膜)
12、13 区画部
14、15 電極板(電極)
16 酸性水配管
17 酸性水(酸性の電解水)
18 アルカリ性水配管
19 アルカリ水(アルカリ性の電解水)
22 電極板(第1電極板、溶解体)
23 電極板(第2電極板、溶解体)
24〜26 電極板(溶解体、中間電極板)
27 水配管
28 改質水配管の上流端
29 改質水配管の下流端
31 酸性水出口
32 アルカリ水出口
36 改質器の入口
37 改質器の出口
100 改質槽(ハウジング)

Claims (3)

  1. 電解隔膜により槽内を二つの区画部に分離し、各区画部に電極を配置した電解槽と、
    電極間に直流電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
    各区画部に原水を導入し、電極に正の電圧を印加する側の区画部で酸性の電解水を生成し、電極に負の電圧を印加する側の区画部でアルカリ性の電解水を生成する電解水生成装置において、
    電極に正の電圧を印加する側の区画部から吐出する酸性の電解水を、中性またはアルカリ性の改質水に改質する改質器を設けており、
    前記改質器は、マグネシウムを主体とする、1つまたは複数の溶解体を改質槽内に入れたものであることを特徴とする電解水生成装置。
  2. 電解隔膜により槽内を二つの区画部に分離し、各区画部に電極を配置した電解槽と、
    電極間に直流電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
    各区画部に原水を導入し、電極に正の電圧を印加する側の区画部で酸性の電解水を生成し、電極に負の電圧を印加する側の区画部でアルカリ性の電解水を生成する電解水生成装置において、
    電極に正の電圧を印加する側の区画部から吐出する酸性の電解水を、中性またはアルカリ性の改質水に改質する改質器を設けており、
    前記改質器は、改質槽と、改質槽内に対向して配される第1、第2電極板と、第1、第2電極板間に対向して配される、マグネシウムを主体とする一枚または複数枚の中間電極板と、第1、第2電極板間に直流電圧を印加する改質用の電圧印加手段とを備えることを特徴とする電解水生成装置。
  3. 前記電解槽の酸性水出口と前記改質器の入口とを酸性水配管を介して接続し、前記電解槽のアルカリ水出口に上流端を接続したアルカリ性水配管の途中に、前記改質器の出口に上流端を接続した改質水配管の下流端を接続したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電解水生成装置。
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