JP4543471B2 - 板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェライトとマルテンサイトを主体とする複合組織を有する高強度熱延鋼板は、伸び−強度バランスが高く加工性が優れていることから、自動車の軽量化等を目的に種々の構造部材や部品への適用が進められているが、適用範囲の拡大に伴ない年々その用途は厳しくなりさらなる加工性の向上が望まれている。このような複合組織鋼の伸び−強度バランスを向上させるには、複合組織をさらに微細化する必要がある。
【0003】
このような複合組織鋼は、Ar変態点以上からフェライト・オーステナイト2相温度領域まで冷却(一次冷却)後、この温度領域で所定の時間保持しフェライト変態を促進することでオーステナイト相へCを濃縮させた後、急冷(二次冷却)してオーステナイト相をマルテンサイトに変態させることにより製造される。この製造工程の条件を規定することによって複合組織の微細化を図る技術が種々提案されており、例えば、特開昭54−65118号公報には一次冷却速度を80℃/sec以上として粒成長を抑制する技術が提案されている(以下、この技術を従来技術1という)。特開昭56−33429号公報には一次冷却開始温度を720〜850℃、一次冷却速度を30〜200℃/secとしてフェライトを微細化する技術が提案されている(以下、この技術を従来技術2という)。特開昭60−121225号公報にはAr変態点〜(Ar+40℃)の間で45%以上の累積圧下を加えることによりフェライトの微細分散とマルテンサイトの微細化を図る技術が提案されている(以下、この技術を従来技術3という)。CAMP−ISIJ Vol.5 (1992) P.948には、仕上圧延機のスタンド間に冷却装置を設けて圧延直後に急冷を行なう技術が提案されている(以下、この技術を従来技術4という)。
【0004】
また、ごく最近では、上記複合組織鋼とは異なる組織のC−Mn系フェライト・パーライト鋼について、La Ravue de Metallurgie -ATS-JS 97, p.58-59に熱間圧延後250〜500℃/secという高い一次冷却速度を用い組織微細化を図る技術が提案されている(以下、この技術を従来技術5という)。CAMP−ISIJ Vol.11 (1998) p.1027-1030には750℃で50〜90%の1パス大圧下後最高300℃/secで急冷し、組織を微細化する技術が提案されている(以下、この技術を従来技術6という)。CAMP−ISIJ Vol.11 (1998) P.1017-1020には46〜50%の1パス大圧下熱延を行なった後0.5秒以内に200℃/secで水冷しフェライトを微細化する技術が提案されている(以下、この技術を従来技術7という)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術1〜3は、いずれも従来の実機あるいは実験設備の冷却能力を前提に、一次冷却速度が200℃/sec以下という限定された領域で技術検討が行なわれていたため、複合組織の微細化には限界があった。また、従来技術4は、熱間圧延直後の急冷効果を狙ったものであるが、一次冷却速度については特別な記述もなく、従来の実機あるいは実験設備の冷却能力が前提となっていることは明らかで、上記技術と同様、複合組織の細粒化には限界があった。さらに、上記従来技術5および7はフェライト・パーライト鋼またはフェライトに少量のベイナイトを含有する鋼の検討に留まっており、フェライトとマルテンサイトを主体とする複合組織鋼の微細化については何ら有効な対策を与えるものではない。加えて、上記従来技術5は、組織微細化技術としても、一次冷却速度を200℃/secより高めたにもかかわらず冷却速度のみに頼った検討に終わっているため、その組織微細化効果には限界があり、加工性向上への要求に対して十分に有効な技術とはなり得ない。さらにまた、前記従来技術6および7では組織の微細化が46〜90%の1パス大圧下によって実現されており、形状の最終調整を兼ねている従来型ホットストリップミルの最終圧延スタンドでは、このような大圧下を行なうことは板形状の観変態点から不可能であり、ホットストリップミルでの実用化には問題が多い。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、板形状を損なうことなく組織を微細化して、伸び−強度バランスを向上することができる板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するため手段】
本発明者等は、上述した課題を解決すべく、まず一次冷却速度が200℃/secを超える領域をベースとして組織微細化の検討を行なうため。新たに近接型急速冷却装置を開発し、圧延条件を種々変化させて鋭意研究を重ねた。その結果、一次冷却速度が200℃/secを超える条件下では、Ar変態点〜(Ar+60℃)で仕上圧延を終了し、仕上圧延終了から冷却開始までの時間を1.0秒以内までに規定することにより、仕上圧延機最終スタンドの圧下率を30%未満としても上記従来技術を超える微細組織が得られることを知見して本発明を完成するに至った。
【0008】
冷却開始時間についてはこれまでにも検討結果はあり、例えば特開平10−195588号公報では、Ar変態点以上で熱間圧延を終了し、その後0.1〜5.0秒の間に冷却を開始して50℃/sec以上の一次冷却速度で冷却する技術が提案されている。しかしながら、この技術では、仕上圧延の終了温度を規定しておらず、かつ一次冷却速度200℃/sec以下の領域で検討された結果に過ぎない。このため、この技術における冷却開始温度の限定による効果は、上記公報にも記載されているように、組織微細化ではなく変態前のオーステナイトの粗大化防止によるフェライト変態の促進に留まるものである。
【0009】
これに対して本発明は、200℃/secを超える一次冷却速度をベースとして仕上圧延終了温度の範囲および圧延後の冷却開始時間を制限することにより、組織の微細化を実現するものである。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)を提供する。
(1) 重量%で、C:0.04〜0.2%、Si:0.25〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、Sol.Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造後、得られた鋼スラブを再加熱後または直接に熱間圧延するに際し、粗圧延に引き続く仕上圧延で、最終スタンドの圧下率を30%未満とし、かつAr変態点〜(Ar+60℃)温度範囲で仕上圧延を終了し、次いで熱間圧延終了後1.0秒以内に冷却を開始し、(Ar−30℃)〜Ar変態点までの一次冷却を200℃/sec超で行ない、Ar変態点〜Ar変態点の温度領域において10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または放冷を行なった後、30℃/sec以上の二次冷却を経て300℃以下で巻き取ることを特徴とする板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
【0011】
(2) 連続熱間仕上圧延機の入り側、または連続熱間仕上圧延機のスタンド間で粗バーを加熱することを特徴とする前記(1)に記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
【0012】
(3) さらに、重量%で、Ti,Nb,V,Zrのうち1種または2種以上を合計で0.01〜0.2%含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
【0013】
(4) さらに、重量%で、Cr:1%以下、およびMo:0.5%以下のうち1種または2種を含有することを特徴とする前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明で対象とする熱延鋼板は自動車部品や機械構造用部材等に使用されるものであり、引張り強さが490〜980MPa級の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板またはその薄鋼板である。本発明で対象とする高強度鋼板において、連続鋳造から熱間圧延までを直接行なう直送圧延プロセスと再加熱を伴なうプロセスとの、どちらのプロセスにより製造した場合にも優れたレベルの加工性を達成するためには、鋼中のC量、Si量、Mn量、sol.Al量、および所定の添加元素量を特定範囲に制御することが必要であり、さらに、熱間圧延条件(仕上圧延終了温度、仕上圧延終了後のランナウト冷却開始時間、ランナウト冷却速度、巻取温度)を制御することが必要である。
【0015】
以下、本発明における鋼の化学組成および組織ならびに製造条件について説明する。
(1)鋼組成
本発明における鋼組成は、重量%で、C:0.04〜0.2%、Si:0.25〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、Sol.Al:0.1%以下を含有し、必要に応じて、Ti,Nb,V,Zrのうち1種または2種以上を合計で0.01〜0.2%含有し、さらに必要に応じて、Cr:1%以下およびMo:0.5%以下のうち1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるものである。
【0016】
C:0.04〜0.2%
Cは、未変態オーステナイトの焼き入れ性を向上させ、複合組織中に適量のマルテンサイト、もしくはマルテンサイトとベイナイトを混在させる。しかし、C含有量が0.04%未満では上記効果が得られず、0.2%を超えると加工性および溶接性が劣化する。このため、C含有量を0.04〜0.2%とする。
【0017】
Si:0.25〜2.0%
Siは、固溶強化によりフェライトを強化するとともに、熱間圧延後にAr変態点〜Ar変態点の温度領域で緩冷却または放冷する際にフェライトの析出を促進して短時間でフェライトを析出させ、さらに、未変態オーステナイトへのCの濃縮にも寄与する元素である。しかし、Si含有量が0.25%未満では上記効果が得られず、2.0%を超えると溶接性および表面性状が劣化する。このため、Si含有量を0.25〜2.0%とする。
【0018】
Mn:0.5〜2.5%
Mnは、未変態オーステナイトの焼き入れ性を高める元素であり、前述したCと同様の効果を有する。しかし、Mn含有量が0.5%未満では上記効果を得ることができず、一方、Mn含有量が2.5%を超えると上記効果が飽和するばかりでなく、バンド状組織を形成して鋼板の加工性を劣化させる。このため、Mn含有量を0.5〜2.5%とする。
【0019】
Sol.Al:0.1%以下
Alは脱酸剤として使用されると同時に不可避的不純物として含有されるNを固定して加工性を高める効果を有する。しかし、Sol.Al含有量が0.1%を超えるとこの効果が飽和するとともに、清淨度を悪化させて加工性を劣化させるので、Sol.Al含有量を0.1%以下とする。
【0020】
Ti,Nb,V,Zrのうち1種または2種以上を合計で0.01〜0.2%Ti,Nb,V,Zrは、強度調整または炭窒化物形成による固溶C,N低減を通した非時効化(深絞り性向上)のため、必要に応じてこれらの1種または2種以上を合計で0.01〜0.2%添加してもよい。これらの元素の添加を活用し、かつ後述する製造方法を採ることにより、鋼板のさらなる高強度化や加工性向上を達成することができる。
【0021】
Cr:1%以下およびMo:0.5%以下のうち1種または2種
CrおよびMoは、未変態オーステナイトの焼き入れ性を高める元素であり、CやMnと同様な効果を有するが、高価な元素であるため必要以上に添加するとコスト増を招くとともに、溶接性を劣化させる。このようなコスト増や溶接性劣化は、Crでは1%を超えた場合に、Mnでは0.5%を超えた場合に、それぞれ問題となるので、Cr含有量を1%以下とし、Mn含有量を0.5%以下とする。
【0022】
なお、本発明においては、上記組成に加えて、例えば加工性の向上を目的にCaを0.005%以下添加することができる。その他、本発明の効果を妨げない範囲で、例えば熱間加工性を向上させる微量元素等を添加することができる。
【0023】
(2)製造条件
本発明は、上記した成分を有する鋼を連続鋳造して得られた鋼スラブを再加熱後または直接に熱間圧延するに際し、粗圧延に引き続く仕上圧延で、最終スタンドの圧下率を30%未満とし、かつAr変態点〜(Ar+60℃)温度範囲で仕上圧延を終了し、次いで熱間圧延終了後1.0秒以内に冷却を開始し、(Ar−30℃)〜Ar変態点までの一次冷却を200℃/sec超で行ない、Ar変態点〜Ar変態点の温度領域において10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または放冷を行なった後、30℃/sec以上の二次冷却を経て300℃以下で巻き取る。
【0024】
仕上圧延の最終スタンドにおける圧下率を30%未満とするのは、板形状を調整するためである。この最終スタンドにおける圧下率が30%以上では板形状の調整が困難となり、板形状に優れた鋼板が得られない。一方、この最終スタンドにおける圧下率の下限については特に規定しないが、形状調整を確実に行なうためには1%以上の圧下率で圧下を行なうことが望ましい。
【0025】
仕上圧延をAr変態点〜(Ar+60℃)温度範囲で終了し、次いで熱間圧延終了後1.0秒以内にランナウト冷却を開始し、(Ar−30℃)〜Ar変態点までの一次冷却を200℃/sec超で行なうのは、引き続いて行なうAr変態点〜Ar変態点での緩冷却または放冷中に変態生成するフェライトとオーステナイトの混合組織を微細化することを目的として、ランナウト冷却開始前のオーステナイト結晶粒径を細粒化すると同時にオーステナイト結晶粒内の変態帯の密度を高め、変態中のフェライトの核生成頻度を高めるためである。
【0026】
仕上圧延の終了温度をAr変態点〜(Ar+60℃)とし、仕上圧延終了後1.0秒以内にランナウト冷却を開始することにより、変態前オーステナイトの結晶粒径を微細化すると同時に結晶粒内の変形帯密度を十分高いレベルに維持することができ、オーステナイト結晶粒界のみならず結晶粒内からも多数のフェライト核を生成させることができる。そしてランナウト冷却を開始してから200℃/secを超える一次冷却速度で冷却することにより、フェライト変態開始温度が低減されるため、フェライト核生成後の結晶粒成長速度を低く抑えることができ、Ar変態点〜Ar変態点の温度領域における緩冷却または放冷中に変態生成するフェライトとオーステナイトとの混合組織を微細化することができる。この際、一次冷却速度は高いほど有利であり、好ましくは300℃/sec以上である。
【0027】
上述した200℃/secを超える一次冷却速度の冷却に続いて、Ar変態点〜Ar変態点の温度領域において10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または放冷を行なった後、30℃/sec以上の二次冷却を経て300℃以下で巻き取るのは、緩冷却または放冷によりオーステナイトの一部をフェライトに変態させ、次いで行なわれる二次冷却により未変態のオーステナイトをマルテンサイトまたはマルテンサイトに一部ベイナイトが混合した組織とし、フェライトとマルテンサイトを主体とした複合組織の熱延鋼板とするためである。
【0028】
Ar変態点〜Ar変態点の温度領域において10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または放冷を行うのは、フェライト変態を促進するためであり、フェライト変態を十分に進行させるには2秒以上の緩冷却または放冷が必要なためである。ただし、この緩冷却または放冷が20秒を超えるとパーライトが析出しやすくなり、パーライトが析出すると加工性が劣化するため、20秒以内とすることが望ましい。
【0029】
次いで、30℃/sec以上の二次冷却を経て300℃以下で巻き取るのは、未変態のオーステナイトを変態させて、マルテンサイトまたはマルテンサイトに一部ベイナイトが混合した組織とするためである。冷却速度が30℃/sec未満では安定してマルテンサイトを得ることができず、また、巻取温度が300℃を超えると得られたマルテンサイトが巻取後のコイルの冷却過程において焼き戻されて軟化すると同時にフェライト/マルテンサイト界面に導入された可動転位が回復することにより複合組織鋼の特徴である低降伏比が得られなくなる。
【0030】
以上のような製造条件により、板形状を損なうことなく、フェライトとマルテンサイトを主体とした複合鋼板の組織を微細化して伸び−強度バランスを向上し、板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板を得ることができる。
【0031】
本発明者らは、上述した一次冷却速度および冷却開始時間が鋼板の伸び−強度バランスに与える影響を調査する実験を行なった。この実験では、0.08C−0.51Si−1.20Mn−0.04sol.Al鋼を連続鋳造して得られた鋼スラブを粗圧延し、次いで最終スタンドの圧下率が25%で終了温度がAr+25℃の仕上圧延を行なった後、0.1〜1.6秒の冷却開始時間で150,300,450℃/secのそれぞれの一次冷却速度でAr−60℃まで冷却し、次いで7秒間放冷した後に60℃/secの二次冷却速度で冷却し、150℃で巻き取って鋼板を製造し、得られた鋼板を引張試験に供してTS×Elの値を求めた。図1は、それぞれの冷却速度における、得られた鋼板のTS×Elの値と冷却開始時間との関係を示すグラフである。図1より、一次冷却速度を200℃/sec超、かつ冷却開始時間を1秒以内とすることにより、TS×Elの値が高く、伸び−強度バランスに優れた鋼板を得ることができることが確認された。
【0032】
また、連続熱間仕上圧延機の入り側、または連続熱間仕上圧延機のスタンド間で粗バーを加熱して温度を調整することにより、熱間圧延の終了温度をAr変態点直上の狭範囲に制御すれば、本発明の鋼板の組織微細化効果をより有効に発揮させることができる。このような粗バーの加熱は、連続熱間仕上圧延機の入り側、または連続熱間仕上圧延機のスタンド間に設けられた誘導加熱装置により行なうことができる。
【0033】
さらに、2.0mm以下の薄鋼板を製造する場合には、連続熱間仕上圧延機の入り側、または連続熱間仕上圧延機のスタンド間に設けた誘導加熱装置で粗バーの幅方向エッジ部を加熱することによっても本発明の効果を得ることができる。
【0034】
なお、本発明の効果は、原理的に、仕上圧延前の粗バーの加熱あるいは保熱の有無、その手法によらず得られるので、本発明の製造方法は、上記のように粗バーを誘導加熱するプロセスに限らず、コイルボックス等を用いて粗バーを保熱後溶接して行なう連続熱延プロセスに適用することもできる。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
表1に示す鋼No.1〜5の成分を有する鋼を溶製後、連続鋳造して鋼スラブとし、得られた鋼スラブから表2に示す条件でサンプルNo.1〜10の熱延鋼板(板厚2.6mm)を製造し、得られた熱延鋼板にそれぞれ引張試験を行なって機械的特性を測定した。表2に、この測定結果と、鋼板の伸び−強度バランスの指標としてのTS×Elの値とを併せて示す。
【0036】
本発明の化学組成および製造条件を満足するサンプルNo.1,3,5,7,9の熱延鋼板は、いずれの場合も伸び−強度バランス(TS×El)が高く、かつ降伏比(YR)が低く、高強度で加工性に優れ、さらに板形状も優れている。これに対して、同一化学組成でありながら本発明の製造条件を満足しないサンプルNo.2,4,6,8は、いずれの場合も伸び−強度バランス(TS×El)、降伏比(YR)が劣っている。また、サンプルNo.10は、加工性は優れるものの、仕上圧延の最終圧下率が高いため優れた板形状を得ることができなかった。
【0037】
【表1】
Figure 0004543471
【0038】
【表2】
Figure 0004543471
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、連続鋳造から熱間圧延までを直接行なう直送圧延プロセスおよび再加熱を伴なうプロセスのどちらのプロセスにおいても優れた板形状および加工性を有する高強度熱延鋼板、典型的には490〜980MPa級の薄鋼板を製造することができ、その産業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】0.08C−0.51Si−1.20Mn−0.04sol.Al鋼から熱延鋼板を製造する際に、冷却開始時間および一次冷却速度が鋼板のTS×Elの値に及ぼす影響を示すグラフ。

Claims (4)

  1. 重量%で、C:0.04〜0.2%、Si:0.25〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、Sol.Al:0.1%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を連続鋳造後、得られた鋼スラブを再加熱後または直接に熱間圧延するに際し、粗圧延に引き続く仕上圧延で、最終スタンドの圧下率を30%未満とし、かつAr変態点〜(Ar+60℃)温度範囲で仕上圧延を終了し、次いで熱間圧延終了後1.0秒以内に冷却を開始し、(Ar−30℃)〜Ar変態点までの一次冷却を200℃/sec超で行ない、Ar変態点〜Ar変態点の温度領域において10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または放冷を行なった後、30℃/sec以上の二次冷却を経て300℃以下で巻き取ることを特徴とする板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  2. 連続熱間仕上圧延機の入り側、または連続熱間仕上圧延機のスタンド間で粗バーを加熱することを特徴とする請求項1に記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  3. さらに、重量%で、Ti,Nb,V,Zrのうち1種または2種以上を合計で0.01〜0.2%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  4. さらに、重量%で、Cr:1%以下、およびMo:0.5%以下のうち1種または2種を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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