JP2001192736A - 板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法Info
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Abstract
伸び−強度バランスを向上することができる板形状およ
び加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 重量%で、C:0.04〜0.2%、Si:0.25〜2.0
%、Mn:0.5〜2.5%、Sol.Al:0.1%以下を含有する鋼を連続鋳
造後、得られた鋼スラブを再加熱後または直接に熱間圧
延するに際し、粗圧延に引き続く仕上圧延で、最終スタ
ンドの圧下率を30%未満とし、かつAr3変態点〜(Ar3+60
℃)温度範囲で仕上圧延を終了し、次いで熱間圧延終了
後1.0秒以内に冷却を開始し、(Ar3-30℃)〜Ar1変態点
までの一次冷却を200℃/sec超で行ない、Ar3変態点〜A
r1変態点の温度領域において10℃/sec以下で2秒間以上
の緩冷却または放冷を行なった後、30℃/sec以上の二次
冷却を経て300℃以下で巻き取る。
Description
強度熱延鋼板の製造方法に関する。
る複合組織を有する高強度熱延鋼板は、伸び−強度バラ
ンスが高く加工性が優れていることから、自動車の軽量
化等を目的に種々の構造部材や部品への適用が進められ
ているが、適用範囲の拡大に伴ない年々その用途は厳し
くなりさらなる加工性の向上が望まれている。このよう
な複合組織鋼の伸び−強度バランスを向上させるには、
複合組織をさらに微細化する必要がある。
上からフェライト・オーステナイト2相温度領域まで冷
却(一次冷却)後、この温度領域で所定の時間保持しフ
ェライト変態を促進することでオーステナイト相へCを
濃縮させた後、急冷(二次冷却)してオーステナイト相
をマルテンサイトに変態させることにより製造される。
この製造工程の条件を規定することによって複合組織の
微細化を図る技術が種々提案されており、例えば、特開
昭54−65118号公報には一次冷却速度を80℃/
sec以上として粒成長を抑制する技術が提案されてい
る(以下、この技術を従来技術1という)。特開昭56
−33429号公報には一次冷却開始温度を720〜8
50℃、一次冷却速度を30〜200℃/secとして
フェライトを微細化する技術が提案されている(以下、
この技術を従来技術2という)。特開昭60−1212
25号公報にはAr3変態点〜(Ar3+40℃)の間
で45%以上の累積圧下を加えることによりフェライト
の微細分散とマルテンサイトの微細化を図る技術が提案
されている(以下、この技術を従来技術3という)。CA
MP−ISIJ Vol.5 (1992) P.948には、仕上圧延機のスタ
ンド間に冷却装置を設けて圧延直後に急冷を行なう技術
が提案されている(以下、この技術を従来技術4とい
う)。
異なる組織のC−Mn系フェライト・パーライト鋼につ
いて、La Ravue de Metallurgie -ATS-JS 97, p.58-59
に熱間圧延後250〜500℃/secという高い一次
冷却速度を用い組織微細化を図る技術が提案されている
(以下、この技術を従来技術5という)。CAMP−ISIJVo
l.11 (1998) p.1027-1030には750℃で50〜90%
の1パス大圧下後最高300℃/secで急冷し、組織
を微細化する技術が提案されている(以下、この技術を
従来技術6という)。CAMP−ISIJ Vol.11 (1998) P.101
7-1020には46〜50%の1パス大圧下熱延を行なった
後0.5秒以内に200℃/secで水冷しフェライト
を微細化する技術が提案されている(以下、この技術を
従来技術7という)。
来技術1〜3は、いずれも従来の実機あるいは実験設備
の冷却能力を前提に、一次冷却速度が200℃/sec
以下という限定された領域で技術検討が行なわれていた
ため、複合組織の微細化には限界があった。また、従来
技術4は、熱間圧延直後の急冷効果を狙ったものである
が、一次冷却速度については特別な記述もなく、従来の
実機あるいは実験設備の冷却能力が前提となっているこ
とは明らかで、上記技術と同様、複合組織の細粒化には
限界があった。さらに、上記従来技術5および7はフェ
ライト・パーライト鋼またはフェライトに少量のベイナ
イトを含有する鋼の検討に留まっており、フェライトと
マルテンサイトを主体とする複合組織鋼の微細化につい
ては何ら有効な対策を与えるものではない。加えて、上
記従来技術5は、組織微細化技術としても、一次冷却速
度を200℃/secより高めたにもかかわらず冷却速
度のみに頼った検討に終わっているため、その組織微細
化効果には限界があり、加工性向上への要求に対して十
分に有効な技術とはなり得ない。さらにまた、前記従来
技術6および7では組織の微細化が46〜90%の1パ
ス大圧下によって実現されており、形状の最終調整を兼
ねている従来型ホットストリップミルの最終圧延スタン
ドでは、このような大圧下を行なうことは板形状の観変
態点から不可能であり、ホットストリップミルでの実用
化には問題が多い。
のであって、板形状を損なうことなく組織を微細化し
て、伸び−強度バランスを向上することができる板形状
および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法を提供
することを目的とする。
題を解決すべく、まず一次冷却速度が200℃/sec
を超える領域をベースとして組織微細化の検討を行なう
ため。新たに近接型急速冷却装置を開発し、圧延条件を
種々変化させて鋭意研究を重ねた。その結果、一次冷却
速度が200℃/secを超える条件下では、Ar3変
態点〜(Ar 3+60℃)で仕上圧延を終了し、仕上圧
延終了から冷却開始までの時間を1.0秒以内までに規
定することにより、仕上圧延機最終スタンドの圧下率を
30%未満としても上記従来技術を超える微細組織が得
られることを知見して本発明を完成するに至った。
結果はあり、例えば特開平10−195588号公報で
は、Ar3変態点以上で熱間圧延を終了し、その後0.
1〜5.0秒の間に冷却を開始して50℃/sec以上
の一次冷却速度で冷却する技術が提案されている。しか
しながら、この技術では、仕上圧延の終了温度を規定し
ておらず、かつ一次冷却速度200℃/sec以下の領
域で検討された結果に過ぎない。このため、この技術に
おける冷却開始温度の限定による効果は、上記公報にも
記載されているように、組織微細化ではなく変態前のオ
ーステナイトの粗大化防止によるフェライト変態の促進
に留まるものである。
を超える一次冷却速度をベースとして仕上圧延終了温度
の範囲および圧延後の冷却開始時間を制限することによ
り、組織の微細化を実現するものである。
(4)を提供する。 (1) 重量%で、C:0.04〜0.2%、Si:
0.25〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、So
l.Al:0.1%以下を含有する鋼を連続鋳造後、得
られた鋼スラブを再加熱後または直接に熱間圧延するに
際し、粗圧延に引き続く仕上圧延で、最終スタンドの圧
下率を30%未満とし、かつAr3変態点〜(Ar3+
60℃)温度範囲で仕上圧延を終了し、次いで熱間圧延
終了後1.0秒以内に冷却を開始し、(Ar3−30
℃)〜Ar1変態点までの一次冷却を200℃/sec
超で行ない、Ar3変態点〜Ar1変態点の温度領域に
おいて10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または
放冷を行なった後、30℃/sec以上の二次冷却を経
て300℃以下で巻き取ることを特徴とする板形状およ
び加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
たは連続熱間仕上圧延機のスタンド間で粗バーを加熱す
ることを特徴とする前記(1)に記載の板形状および加
工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
V,Zrのうち1種または2種以上を合計で0.01〜
0.2%含有することを特徴とする前記(1)または
(2)に記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延
鋼板の製造方法。
下、およびMo:0.5%以下のうち1種または2種を
含有することを特徴とする前記(1)ないし(3)のい
ずれかに記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延
鋼板の製造方法。
明する。本発明で対象とする熱延鋼板は自動車部品や機
械構造用部材等に使用されるものであり、引張り強さが
490〜980MPa級の板形状および加工性に優れた
高強度熱延鋼板またはその薄鋼板である。本発明で対象
とする高強度鋼板において、連続鋳造から熱間圧延まで
を直接行なう直送圧延プロセスと再加熱を伴なうプロセ
スとの、どちらのプロセスにより製造した場合にも優れ
たレベルの加工性を達成するためには、鋼中のC量、S
i量、Mn量、sol.Al量、および所定の添加元素量を
特定範囲に制御することが必要であり、さらに、熱間圧
延条件(仕上圧延終了温度、仕上圧延終了後のランナウ
ト冷却開始時間、ランナウト冷却速度、巻取温度)を制
御することが必要である。
組織ならびに製造条件について説明する。 (1)鋼組成 本発明における鋼組成は、重量%で、C:0.04〜
0.2%、Si:0.25〜2.0%、Mn:0.5〜
2.5%、Sol.Al:0.1%以下を含有し、必要に応
じて、Ti,Nb,V,Zrのうち1種または2種以上
を合計で0.01〜0.2%含有し、さらに必要に応じ
て、Cr:1%以下およびMo:0.5%以下のうち1
種または2種を含有するものである。
複合組織中に適量のマルテンサイト、もしくはマルテン
サイトとベイナイトを混在させる。しかし、C含有量が
0.04%未満では上記効果が得られず、0.2%を超
えると加工性および溶接性が劣化する。このため、C含
有量を0.04〜0.2%とする。
に、熱間圧延後にAr3変態点〜Ar1変態点の温度領
域で緩冷却または放冷する際にフェライトの析出を促進
して短時間でフェライトを析出させ、さらに、未変態オ
ーステナイトへのCの濃縮にも寄与する元素である。し
かし、Si含有量が0.25%未満では上記効果が得ら
れず、2.0%を超えると溶接性および表面性状が劣化
する。このため、Si含有量を0.25〜2.0%とす
る。
素であり、前述したCと同様の効果を有する。しかし、
Mn含有量が0.5%未満では上記効果を得ることがで
きず、一方、Mn含有量が2.5%を超えると上記効果
が飽和するばかりでなく、バンド状組織を形成して鋼板
の加工性を劣化させる。このため、Mn含有量を0.5
〜2.5%とする。
として含有されるNを固定して加工性を高める効果を有
する。しかし、Sol.Al含有量が0.1%を超えるとこ
の効果が飽和するとともに、清淨度を悪化させて加工性
を劣化させるので、Sol.Al含有量を0.1%以下とす
る。
種以上を合計で0.01〜0.2%Ti,Nb,V,Z
rは、強度調整または炭窒化物形成による固溶C,N低
減を通した非時効化(深絞り性向上)のため、必要に応
じてこれらの1種または2種以上を合計で0.01〜
0.2%添加してもよい。これらの元素の添加を活用
し、かつ後述する製造方法を採ることにより、鋼板のさ
らなる高強度化や加工性向上を達成することができる。
のうち1種または2種 CrおよびMoは、未変態オーステナイトの焼き入れ性
を高める元素であり、CやMnと同様な効果を有する
が、高価な元素であるため必要以上に添加するとコスト
増を招くとともに、溶接性を劣化させる。このようなコ
スト増や溶接性劣化は、Crでは1%を超えた場合に、
Mnでは0.5%を超えた場合に、それぞれ問題となる
ので、Cr含有量を1%以下とし、Mn含有量を0.5
%以下とする。
て、例えば加工性の向上を目的にCaを0.005%以
下添加することができる。その他、本発明の効果を妨げ
ない範囲で、例えば熱間加工性を向上させる微量元素等
を添加することができる。
れた鋼スラブを再加熱後または直接に熱間圧延するに際
し、粗圧延に引き続く仕上圧延で、最終スタンドの圧下
率を30%未満とし、かつAr3変態点〜(Ar3+6
0℃)温度範囲で仕上圧延を終了し、次いで熱間圧延終
了後1.0秒以内に冷却を開始し、(Ar3−30℃)
〜Ar1変態点までの一次冷却を200℃/sec超で
行ない、Ar3変態点〜Ar1変態点の温度領域におい
て10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または放冷
を行なった後、30℃/sec以上の二次冷却を経て3
00℃以下で巻き取る。
30%未満とするのは、板形状を調整するためである。
この最終スタンドにおける圧下率が30%以上では板形
状の調整が困難となり、板形状に優れた鋼板が得られな
い。一方、この最終スタンドにおける圧下率の下限につ
いては特に規定しないが、形状調整を確実に行なうため
には1%以上の圧下率で圧下を行なうことが望ましい。
℃)温度範囲で終了し、次いで熱間圧延終了後1.0秒
以内にランナウト冷却を開始し、(Ar3−30℃)〜
Ar 1変態点までの一次冷却を200℃/sec超で行
なうのは、引き続いて行なうAr3変態点〜Ar1変態
点での緩冷却または放冷中に変態生成するフェライトと
オーステナイトの混合組織を微細化することを目的とし
て、ランナウト冷却開始前のオーステナイト結晶粒径を
細粒化すると同時にオーステナイト結晶粒内の変態帯の
密度を高め、変態中のフェライトの核生成頻度を高める
ためである。
r3+60℃)とし、仕上圧延終了後1.0秒以内にラ
ンナウト冷却を開始することにより、変態前オーステナ
イトの結晶粒径を微細化すると同時に結晶粒内の変形帯
密度を十分高いレベルに維持することができ、オーステ
ナイト結晶粒界のみならず結晶粒内からも多数のフェラ
イト核を生成させることができる。そしてランナウト冷
却を開始してから200℃/secを超える一次冷却速
度で冷却することにより、フェライト変態開始温度が低
減されるため、フェライト核生成後の結晶粒成長速度を
低く抑えることができ、Ar3変態点〜Ar1変態点の
温度領域における緩冷却または放冷中に変態生成するフ
ェライトとオーステナイトとの混合組織を微細化するこ
とができる。この際、一次冷却速度は高いほど有利であ
り、好ましくは300℃/sec以上である。
却速度の冷却に続いて、Ar3変態点〜Ar1変態点の
温度領域において10℃/sec以下で2秒間以上の緩
冷却または放冷を行なった後、30℃/sec以上の二
次冷却を経て300℃以下で巻き取るのは、緩冷却また
は放冷によりオーステナイトの一部をフェライトに変態
させ、次いで行なわれる二次冷却により未変態のオース
テナイトをマルテンサイトまたはマルテンサイトに一部
ベイナイトが混合した組織とし、フェライトとマルテン
サイトを主体とした複合組織の熱延鋼板とするためであ
る。
おいて10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または
放冷を行うのは、フェライト変態を促進するためであ
り、フェライト変態を十分に進行させるには2秒以上の
緩冷却または放冷が必要なためである。ただし、この緩
冷却または放冷が20秒を超えるとパーライトが析出し
やすくなり、パーライトが析出すると加工性が劣化する
ため、20秒以内とすることが望ましい。
経て300℃以下で巻き取るのは、未変態のオーステナ
イトを変態させて、マルテンサイトまたはマルテンサイ
トに一部ベイナイトが混合した組織とするためである。
冷却速度が30℃/sec未満では安定してマルテンサ
イトを得ることができず、また、巻取温度が300℃を
超えると得られたマルテンサイトが巻取後のコイルの冷
却過程において焼き戻されて軟化すると同時にフェライ
ト/マルテンサイト界面に導入された可動転位が回復す
ることにより複合組織鋼の特徴である低降伏比が得られ
なくなる。
なうことなく、フェライトとマルテンサイトを主体とし
た複合鋼板の組織を微細化して伸び−強度バランスを向
上し、板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板を得
ることができる。
び冷却開始時間が鋼板の伸び−強度バランスに与える影
響を調査する実験を行なった。この実験では、0.08
C−0.51Si−1.20Mn−0.04sol.Al鋼
を連続鋳造して得られた鋼スラブを粗圧延し、次いで最
終スタンドの圧下率が25%で終了温度がAr3+25
℃の仕上圧延を行なった後、0.1〜1.6秒の冷却開
始時間で150,300,450℃/secのそれぞれ
の一次冷却速度でAr3−60℃まで冷却し、次いで7
秒間放冷した後に60℃/secの二次冷却速度で冷却
し、150℃で巻き取って鋼板を製造し、得られた鋼板
を引張試験に供してTS×Elの値を求めた。図1は、
それぞれの冷却速度における、得られた鋼板のTS×E
lの値と冷却開始時間との関係を示すグラフである。図
1より、一次冷却速度を200℃/sec超、かつ冷却
開始時間を1秒以内とすることにより、TS×Elの値
が高く、伸び−強度バランスに優れた鋼板を得ることが
できることが確認された。
は連続熱間仕上圧延機のスタンド間で粗バーを加熱して
温度を調整することにより、熱間圧延の終了温度をAr
3変態点直上の狭範囲に制御すれば、本発明の鋼板の組
織微細化効果をより有効に発揮させることができる。こ
のような粗バーの加熱は、連続熱間仕上圧延機の入り
側、または連続熱間仕上圧延機のスタンド間に設けられ
た誘導加熱装置により行なうことができる。
場合には、連続熱間仕上圧延機の入り側、または連続熱
間仕上圧延機のスタンド間に設けた誘導加熱装置で粗バ
ーの幅方向エッジ部を加熱することによっても本発明の
効果を得ることができる。
延前の粗バーの加熱あるいは保熱の有無、その手法によ
らず得られるので、本発明の製造方法は、上記のように
粗バーを誘導加熱するプロセスに限らず、コイルボック
ス等を用いて粗バーを保熱後溶接して行なう連続熱延プ
ロセスに適用することもできる。
1に示す鋼No.1〜5の成分を有する鋼を溶製後、連
続鋳造して鋼スラブとし、得られた鋼スラブから表2に
示す条件でサンプルNo.1〜10の熱延鋼板(板厚
2.6mm)を製造し、得られた熱延鋼板にそれぞれ引張
試験を行なって機械的特性を測定した。表2に、この測
定結果と、鋼板の伸び−強度バランスの指標としてのT
S×Elの値とを併せて示す。
るサンプルNo.1,3,5,7,9の熱延鋼板は、い
ずれの場合も伸び−強度バランス(TS×El)が高
く、かつ降伏比(YR)が低く、高強度で加工性に優
れ、さらに板形状も優れている。これに対して、同一化
学組成でありながら本発明の製造条件を満足しないサン
プルNo.2,4,6,8は、いずれの場合も伸び−強
度バランス(TS×El)、降伏比(YR)が劣ってい
る。また、サンプルNo.10は、加工性は優れるもの
の、仕上圧延の最終圧下率が高いため優れた板形状を得
ることができなかった。
連続鋳造から熱間圧延までを直接行なう直送圧延プロセ
スおよび再加熱を伴なうプロセスのどちらのプロセスに
おいても優れた板形状および加工性を有する高強度熱延
鋼板、典型的には490〜980MPa級の薄鋼板を製
造することができ、その産業的価値は極めて大きい。
0.04sol.Al鋼から熱延鋼板を製造する際に、冷却
開始時間および一次冷却速度が鋼板のTS×Elの値に
及ぼす影響を示すグラフ。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.04〜0.2%、S
i:0.25〜2.0%、Mn:0.5〜2.5%、S
ol.Al:0.1%以下を含有する鋼を連続鋳造後、
得られた鋼スラブを再加熱後または直接に熱間圧延する
に際し、粗圧延に引き続く仕上圧延で、最終スタンドの
圧下率を30%未満とし、かつAr3変態点〜(Ar3
+60℃)温度範囲で仕上圧延を終了し、次いで熱間圧
延終了後1.0秒以内に冷却を開始し、(Ar3−30
℃)〜Ar1変態点までの一次冷却を200℃/sec
超で行ない、Ar3変態点〜Ar1変態点の温度領域に
おいて10℃/sec以下で2秒間以上の緩冷却または
放冷を行なった後、30℃/sec以上の二次冷却を経
て300℃以下で巻き取ることを特徴とする板形状およ
び加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 連続熱間仕上圧延機の入り側、または連
続熱間仕上圧延機のスタンド間で粗バーを加熱すること
を特徴とする請求項1に記載の板形状および加工性に優
れた高強度熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 さらに、重量%で、Ti,Nb,V,Z
rのうち1種または2種以上を合計で0.01〜0.2
%含有することを特徴とする請求項1または請求項2に
記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼板の製
造方法。 - 【請求項4】 さらに、重量%で、Cr:1%以下、お
よびMo:0.5%以下のうち1種または2種を含有す
ることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか
1項に記載の板形状および加工性に優れた高強度熱延鋼
板の製造方法。
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