JP2690791B2 - 加工性の優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents
加工性の優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、強度が50kgf/mm2以上、特に60〜90kgf/mm2
の高強度にて、伸びフランジ性等の加工性と溶接性が優
れる熱延鋼板及びその製造方法に関し、主に板厚4mm以
下の自動車の補強部材及び足回り部材の用途に好適であ
る。
の高強度にて、伸びフランジ性等の加工性と溶接性が優
れる熱延鋼板及びその製造方法に関し、主に板厚4mm以
下の自動車の補強部材及び足回り部材の用途に好適であ
る。
(従来の技術及び解決しようとする課題) 近年、自動車等の構造材として用いられている熱延鋼
板は、安全性や燃費向上のために、板厚のゲージダウン
と高強度化の傾向を益々高めている。これに伴い加工
性、溶接性等の実用特性への要望も厳しくなりつつあ
る。
板は、安全性や燃費向上のために、板厚のゲージダウン
と高強度化の傾向を益々高めている。これに伴い加工
性、溶接性等の実用特性への要望も厳しくなりつつあ
る。
従来より、熱延鋼板において高強度を確保するための
方法として、鋼中にTi、Nb等の特殊元素を添加する方
法(例、特開昭60−56024号)、C量を増加する方法
(例、特開昭52−123920号)、硬質相(マルテンサイ
ト)を導入する方法(例、特開昭55−44551号)などの
技術が提案されている。
方法として、鋼中にTi、Nb等の特殊元素を添加する方
法(例、特開昭60−56024号)、C量を増加する方法
(例、特開昭52−123920号)、硬質相(マルテンサイ
ト)を導入する方法(例、特開昭55−44551号)などの
技術が提案されている。
しかし、の方法は、Ti、Nb等の強力な炭窒化物形成
元素を利用するので、コスト高を招くばかりでなく、強
度確保に限界があり、しかも熱間圧延時の変形抵抗を高
めるため、圧延性を損なうという問題がある。
元素を利用するので、コスト高を招くばかりでなく、強
度確保に限界があり、しかも熱間圧延時の変形抵抗を高
めるため、圧延性を損なうという問題がある。
の方法のように、C量の増加は高強度を得るために
最も容易な方法ではあるが、加工性や溶接性の劣化を招
くという問題がある。
最も容易な方法ではあるが、加工性や溶接性の劣化を招
くという問題がある。
一方、の方法のように、マルテンサイトの導入は降
伏比を下げ、全伸びを改善させる有効な方法ではある
が、伸びフランジ性に好ましくない。また、溶接部の硬
度が母材部より低下する問題のほか、マルテンサイトの
安定導入のため熱間圧延後の巻取温度を400℃以下、好
ましくは300℃以下の極低温にする必要がある。このよ
うな低温域ではコイルの全長にわたって温度を安定化さ
せることが困難となり、このことが材質の不均一性を招
く原因となり、しかもコイルの形状性を損っていた。
伏比を下げ、全伸びを改善させる有効な方法ではある
が、伸びフランジ性に好ましくない。また、溶接部の硬
度が母材部より低下する問題のほか、マルテンサイトの
安定導入のため熱間圧延後の巻取温度を400℃以下、好
ましくは300℃以下の極低温にする必要がある。このよ
うな低温域ではコイルの全長にわたって温度を安定化さ
せることが困難となり、このことが材質の不均一性を招
く原因となり、しかもコイルの形状性を損っていた。
以上のように、これらの方法は、いずれも高強度と加
工性、溶接性を同時に満足するには至っていない。
工性、溶接性を同時に満足するには至っていない。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、加工性、
溶接等の劣化をもたらすことなく、高強度化が可能であ
り、しかも製造が容易で高品質の熱延鋼板を安価に提供
し、またその製造方法を提供することを目的とするもの
である。
溶接等の劣化をもたらすことなく、高強度化が可能であ
り、しかも製造が容易で高品質の熱延鋼板を安価に提供
し、またその製造方法を提供することを目的とするもの
である。
(課題を解決するための手段) 前記課題を解決するため、本発明者等は、従来技術で
は、 (1)Ti、Nb等のコスト高を招く特殊元素を必要としな
いこと、 (2)加工性や溶接性の劣化を招かないこと、 (3)製造が容易であり、かつ、鋼板の形状性が良好 のいずれかが未解決と考え、このために、鋼中の元素、
結晶組織、熱間圧延、冷却条件面での制御方法について
鋭意研究を重ねた。
は、 (1)Ti、Nb等のコスト高を招く特殊元素を必要としな
いこと、 (2)加工性や溶接性の劣化を招かないこと、 (3)製造が容易であり、かつ、鋼板の形状性が良好 のいずれかが未解決と考え、このために、鋼中の元素、
結晶組織、熱間圧延、冷却条件面での制御方法について
鋭意研究を重ねた。
その結果、C−Mn系鋼にて加工性、溶接性を改善する
見地から、低減したC量による強度低下をMn増とN量の
低減により補填せんとするもので、特にNの低減が変態
組織の生成に大きな影響を及ぼすという、これまで全く
知られていない新規な知見を得るに至り、ここに本発明
をなしたものである。
見地から、低減したC量による強度低下をMn増とN量の
低減により補填せんとするもので、特にNの低減が変態
組織の生成に大きな影響を及ぼすという、これまで全く
知られていない新規な知見を得るに至り、ここに本発明
をなしたものである。
すなわち、本発明は、C:0.01〜0.08%、Si≦0.10%、
Mn:1.0〜3.0%、P≦0.08%、S≦0.008%、Al≦0.06%
及びN≦0.0035%を含有し、必要に応じて更に、Cr:0.1
〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜0.6%、Ca:0.003〜
0.010%、REM:0.003〜0.010%のうちの1種又は2種以
上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる熱延
鋼板の組織がフェライトと面積率40%以上のベイナイト
との混合組織、乃至ベイナイト単相組織であることを特
徴とする加工性の優れた高強度熱延鋼板を要旨とするも
のである。
Mn:1.0〜3.0%、P≦0.08%、S≦0.008%、Al≦0.06%
及びN≦0.0035%を含有し、必要に応じて更に、Cr:0.1
〜1.0%、Ni:0.1〜1.0%、Cu:0.1〜0.6%、Ca:0.003〜
0.010%、REM:0.003〜0.010%のうちの1種又は2種以
上を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる熱延
鋼板の組織がフェライトと面積率40%以上のベイナイト
との混合組織、乃至ベイナイト単相組織であることを特
徴とする加工性の優れた高強度熱延鋼板を要旨とするも
のである。
また、その製造方法に係る本発明は、上記化学成分を
有する鋼の熱間圧延において、常法にて加熱し、仕上温
度Ar3点以上として圧延を行い、その後、冷却停止温度6
00℃まで平均冷却速度1〜100℃/secにて冷却し、次い
で300〜600℃にて巻取り、最終組織として、フェライト
と面積率40%以上のベイナイトとの混合組織、乃至ベイ
ナイト単相組織を得ることを特徴とするものである。
有する鋼の熱間圧延において、常法にて加熱し、仕上温
度Ar3点以上として圧延を行い、その後、冷却停止温度6
00℃まで平均冷却速度1〜100℃/secにて冷却し、次い
で300〜600℃にて巻取り、最終組織として、フェライト
と面積率40%以上のベイナイトとの混合組織、乃至ベイ
ナイト単相組織を得ることを特徴とするものである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
(作用) まず、本発明者等が前述の知見を得るに至った基礎実
験の結果について説明する。
験の結果について説明する。
第1表に示す化学成分を有する鋼を溶製し、熱間粗圧
延により30mm厚のスラブにした後、加熱温度1200℃、仕
上げ温度900℃にて3.2mm厚に仕上げ、冷却停止温度600
℃までを平均冷却速度50℃/secにて冷却した後、第1図
に示す各種巻取温度に30分間保持後炉却し、実ラインで
の巻取り〜冷却過程をシュミレートした。更に、得られ
た熱延鋼板について、1.6mm厚に両面研削を行い、1%
の調質圧延を行った後、JIS5号引張試験と穴拡げ試験
(10mmφ打抜穴)を行い、強度と伸びフランジ性を調査
した。
延により30mm厚のスラブにした後、加熱温度1200℃、仕
上げ温度900℃にて3.2mm厚に仕上げ、冷却停止温度600
℃までを平均冷却速度50℃/secにて冷却した後、第1図
に示す各種巻取温度に30分間保持後炉却し、実ラインで
の巻取り〜冷却過程をシュミレートした。更に、得られ
た熱延鋼板について、1.6mm厚に両面研削を行い、1%
の調質圧延を行った後、JIS5号引張試験と穴拡げ試験
(10mmφ打抜穴)を行い、強度と伸びフランジ性を調査
した。
機械的性質と巻取処理温度との関係を第1図に示す。
これより明らかなように、低N鋼(鋼A、○印)は巻
取処理温度350〜550℃にてTS≧60kgf/mm2の高強度で、
かつ120%以上の優れた穴拡げ性が得られるのに対し、
高N鋼(鋼B、●印)は穴拡げ性は低N鋼と同等であっ
てもTSが低く、強度と加工性のバランスが悪い。またNb
添加鋼(鋼C、△印)は巻取処理温度350〜450℃にて60
kgf/mm2までの強度は確保されるものの、穴拡げ性に劣
る。また、各鋼とも巻取処理温度が200℃では急激な強
度増加と共に穴拡げ性も急激に劣化することがわかる。
取処理温度350〜550℃にてTS≧60kgf/mm2の高強度で、
かつ120%以上の優れた穴拡げ性が得られるのに対し、
高N鋼(鋼B、●印)は穴拡げ性は低N鋼と同等であっ
てもTSが低く、強度と加工性のバランスが悪い。またNb
添加鋼(鋼C、△印)は巻取処理温度350〜450℃にて60
kgf/mm2までの強度は確保されるものの、穴拡げ性に劣
る。また、各鋼とも巻取処理温度が200℃では急激な強
度増加と共に穴拡げ性も急激に劣化することがわかる。
このように低N鋼の高強度と高加工性が得られる理由
を明らかにするために、本発明者等は更に、加工フォー
マスターによる熱間加工後の組織の変態特性を調べた。
を明らかにするために、本発明者等は更に、加工フォー
マスターによる熱間加工後の組織の変態特性を調べた。
その結果を第2図に示すとおり、高強度が比較的高温
の巻取処理により得られた低N鋼は、高N鋼に比べ、ベ
イナイト変態が速く起り易いことが明らかとなった。し
たがって、低N鋼はベイナイトの生成し易さと面積率の
増加が高加工性と高強度化に寄与したものと考えられ
る。なお、この理由については更に今後の詳細な調査を
必要とするが、加熱状態及び熱延直後のオーステナイト
粒度では説明できず、熱延段階でのAlN等析出物の析出
分散状態が異なったためと考えられる。
の巻取処理により得られた低N鋼は、高N鋼に比べ、ベ
イナイト変態が速く起り易いことが明らかとなった。し
たがって、低N鋼はベイナイトの生成し易さと面積率の
増加が高加工性と高強度化に寄与したものと考えられ
る。なお、この理由については更に今後の詳細な調査を
必要とするが、加熱状態及び熱延直後のオーステナイト
粒度では説明できず、熱延段階でのAlN等析出物の析出
分散状態が異なったためと考えられる。
以上のように、N量の低下と変態組織の生成の関係を
究明し、これを利用することにより、C量の低減による
強度低下をMn量増加とN量低減で強度を確保し、高強度
と高加工性を同時に満足できる技術を開発したものであ
る。
究明し、これを利用することにより、C量の低減による
強度低下をMn量増加とN量低減で強度を確保し、高強度
と高加工性を同時に満足できる技術を開発したものであ
る。
次に本発明における化学成分の限定理由について説明
する。
する。
C: Cは高加工性の確保のために限定される元素であり、
0.08%よりも多いと加工性、溶接性の劣化を招く。しか
し、0.01%未満では変態組織が得られにくい。したがっ
て、C量は0.01〜0.08%の範囲とする。
0.08%よりも多いと加工性、溶接性の劣化を招く。しか
し、0.01%未満では変態組織が得られにくい。したがっ
て、C量は0.01〜0.08%の範囲とする。
Si: Siは全伸びを損なわずに強度増加に有効であるが、表
面性状を損なうため、上限値を0.10%とする。
面性状を損なうため、上限値を0.10%とする。
Mn: Mnは、Nと同様、本発明の重要な成分である。すなわ
ち、強度を確保することの他に、低温変態組織(ベイナ
イト組織)を得るために不可欠であるが、1.0%未満で
は強度や低温変態組織が得にくくなる。一方、3.0%を
超えると溶接性やマルテンサイト量の増加による加工性
劣化を招くので好ましくない。したがって、Mn量は1.0
〜3.0%の範囲とする。
ち、強度を確保することの他に、低温変態組織(ベイナ
イト組織)を得るために不可欠であるが、1.0%未満で
は強度や低温変態組織が得にくくなる。一方、3.0%を
超えると溶接性やマルテンサイト量の増加による加工性
劣化を招くので好ましくない。したがって、Mn量は1.0
〜3.0%の範囲とする。
P: Pは固溶強化元素であり、微量で強化に寄与するが、
余り多いと加工性、靱性を損なうので、その上限値を0.
08%とする。
余り多いと加工性、靱性を損なうので、その上限値を0.
08%とする。
S: Sは非金属介在物として析出し、鋼板の加工性を劣化
させるため、0.008%以下にする必要があり、好ましく
は0.003%以下である。
させるため、0.008%以下にする必要があり、好ましく
は0.003%以下である。
Al: Alは主に脱酸作用により鋼の健全性を確保するために
添加されるが、多すぎると析出物が増し、加工性を損な
うため、上限値を0.06%とする。なお、脱酸が充分に行
なわれば0.008〜0.030%が望ましい。
添加されるが、多すぎると析出物が増し、加工性を損な
うため、上限値を0.06%とする。なお、脱酸が充分に行
なわれば0.008〜0.030%が望ましい。
N: Nは、本発明ではC、Mnと同様、重要な成分であり、
前述のようにフェライト変態の抑制とベイナイト変態促
進のために規制される。すなわち、0.0035%より多いと
フェライト変態が促進され、目的とする強度が得られに
くくなるばかりでなく、目的とする材質を得るための冷
却条件の制御が厳しくなるので、上限値を0.0035%とす
る。なお、その下限値は低いほど好ましいので特に制限
されないが、現状の製鋼技術、コストを考慮すると、0.
0008%以上が望ましい。
前述のようにフェライト変態の抑制とベイナイト変態促
進のために規制される。すなわち、0.0035%より多いと
フェライト変態が促進され、目的とする強度が得られに
くくなるばかりでなく、目的とする材質を得るための冷
却条件の制御が厳しくなるので、上限値を0.0035%とす
る。なお、その下限値は低いほど好ましいので特に制限
されないが、現状の製鋼技術、コストを考慮すると、0.
0008%以上が望ましい。
本発明においては、上記成分の他に、必要に応じて以
下の元素の1種又は2種以上を適量で含有させることが
できる。
下の元素の1種又は2種以上を適量で含有させることが
できる。
Cr、Ni: Cr、Niは焼入性向上元素であり、低温変態組織の生成
を促進して、強化に寄与するが、いずれも0.1%未満で
はその効果が小さく、また余りに多いとマルテンサイト
等の高硬質相を生成し、加工性を損なうばかりか、コス
ト増になる。したがって、Cr量とNi量はそれぞれ0.1〜
1.0%の範囲とする。
を促進して、強化に寄与するが、いずれも0.1%未満で
はその効果が小さく、また余りに多いとマルテンサイト
等の高硬質相を生成し、加工性を損なうばかりか、コス
ト増になる。したがって、Cr量とNi量はそれぞれ0.1〜
1.0%の範囲とする。
Cu: Cuは強化や耐食性に寄与する元素であり、その効果を
発揮するためには0.1%以上の添加が必要であるが、余
り多いと効果が飽和するばかりでなく、コスト増となる
ため、Cu量は0.1〜0.6%の範囲とする。
発揮するためには0.1%以上の添加が必要であるが、余
り多いと効果が飽和するばかりでなく、コスト増となる
ため、Cu量は0.1〜0.6%の範囲とする。
Ca、REM: Ca、REM(希土類元素)は硫化物形態制御を通して加
工性、特に伸びフランジ性の改善に寄与する成分であ
る。しかし、それぞれ0.003%未満ではその効果を発揮
できず、一方、0.010%を超えてもその効果が飽和に達
し、却ってコスト増を招き、また清浄性を劣化する。し
たがって、Ca量とREM量はそれぞれ0.003〜0.010%の範
囲とする。なお、REMは希土類元素の1種又は2種以上
を用いることができることは云うまでもない。
工性、特に伸びフランジ性の改善に寄与する成分であ
る。しかし、それぞれ0.003%未満ではその効果を発揮
できず、一方、0.010%を超えてもその効果が飽和に達
し、却ってコスト増を招き、また清浄性を劣化する。し
たがって、Ca量とREM量はそれぞれ0.003〜0.010%の範
囲とする。なお、REMは希土類元素の1種又は2種以上
を用いることができることは云うまでもない。
次に、本発明法の製造条件について説明する。
上記化学成分を有する鋼スラブは、常法による造塊又
は連続鋳造により得た後、ホットコイルにするが、以下
のとおり、熱間圧延と冷却条件を規定するものである。
は連続鋳造により得た後、ホットコイルにするが、以下
のとおり、熱間圧延と冷却条件を規定するものである。
スラブ加熱温度: スラブ加熱温度は特に限定するものではないが、常法
の1100℃以上であれば良い。また省エネルギーを図るに
は1000℃以上でも良い。
の1100℃以上であれば良い。また省エネルギーを図るに
は1000℃以上でも良い。
仕上温度: 熱間圧延の仕上温度は、冷却速度、冷却停止温度の影
響を小さくするため、ベイナイト組織が生成し易いAr3
点以上とする。好ましくは850〜950℃である。
響を小さくするため、ベイナイト組織が生成し易いAr3
点以上とする。好ましくは850〜950℃である。
冷却速度: 仕上圧延後の冷却速度については、前述のように本発
明の特徴であるN量の低減によるベイナイト変態の促進
のため、それほど速い冷却を必要とせず、平均冷却速度
で1〜100℃/secで良い。しかし、1℃/sec未満ではフ
ェライト、パーライト量が増え、ベイナイト量が少ない
ために目的とする強度が得られず、また100℃/secを超
えるとマルテンサイト量が増え、伸びフランジ性を劣化
させるので好ましくない。なお、冷却パターンは等速冷
却、及び途中でステップを行うステップ冷却のいずれを
用いても良い。
明の特徴であるN量の低減によるベイナイト変態の促進
のため、それほど速い冷却を必要とせず、平均冷却速度
で1〜100℃/secで良い。しかし、1℃/sec未満ではフ
ェライト、パーライト量が増え、ベイナイト量が少ない
ために目的とする強度が得られず、また100℃/secを超
えるとマルテンサイト量が増え、伸びフランジ性を劣化
させるので好ましくない。なお、冷却パターンは等速冷
却、及び途中でステップを行うステップ冷却のいずれを
用いても良い。
冷却停止温度: 上記冷却速度での冷却停止温度は、パーライト変態が
なく、ベイナイト変態が生じ易くなる600℃以下とす
る。
なく、ベイナイト変態が生じ易くなる600℃以下とす
る。
巻取温度: 第1図からも明らかなように350〜600℃の範囲とす
る。すなわち、350℃未満ではマルテンサイト量が増
し、加工性が劣化し、更に鋼板の形状性が悪くなって商
品価値を失うほか、コイル長手方向での材質変化が大き
くなるので好ましくない。一方、600℃を超えると上述
の冷却停止温度と同様の理由により目的とする強度が得
られないので好ましくない。
る。すなわち、350℃未満ではマルテンサイト量が増
し、加工性が劣化し、更に鋼板の形状性が悪くなって商
品価値を失うほか、コイル長手方向での材質変化が大き
くなるので好ましくない。一方、600℃を超えると上述
の冷却停止温度と同様の理由により目的とする強度が得
られないので好ましくない。
調質圧延: 必要により、伸び率0.5〜1.2%の圧延を実施すること
ができる。
ができる。
得られたコイルは、必要により、酸洗が施される。
また、上記以外の圧延方法として、直接圧延法(HD
R)、熱片装入圧延法(HCR)を用いても良い。更に、冷
却停止温度から巻取温度までの冷却速度は特に規定する
ものではないが、1〜65℃/secが望ましい。
R)、熱片装入圧延法(HCR)を用いても良い。更に、冷
却停止温度から巻取温度までの冷却速度は特に規定する
ものではないが、1〜65℃/secが望ましい。
かくして、得られる熱延鋼板の組織の形態は、フェラ
イト以外の低温変態組織がベイナイトである。その面積
率は、強度確保のため、40%以上が必要であり、100%
(ベイナイト単相組織)も可能である。なお、この場合
のベイナイトは、いわゆるアシキュラーフェライト、ベ
イナイティックフェライト、下部ベイナイト、上部ベイ
ナイトを云い、上部ベイナイト中に生成する微細な島状
マルテンサイトも含包される。
イト以外の低温変態組織がベイナイトである。その面積
率は、強度確保のため、40%以上が必要であり、100%
(ベイナイト単相組織)も可能である。なお、この場合
のベイナイトは、いわゆるアシキュラーフェライト、ベ
イナイティックフェライト、下部ベイナイト、上部ベイ
ナイトを云い、上部ベイナイト中に生成する微細な島状
マルテンサイトも含包される。
(実施例) 次に本発明の実施例を示す。なお、本発明はこの実施
例のみに限定されないことは云うまでもなく、また前述
の基礎実験も実施例足り得るものである。
例のみに限定されないことは云うまでもなく、また前述
の基礎実験も実施例足り得るものである。
実施例1 第2表に示す化学成分を有する鋼を溶製し、30mm厚の
スラブとした。次いで、本発明範囲内の条件にて、3.2m
m厚の熱延鋼板を得た。すなわち、加熱温度1200℃、仕
上温度約900℃、冷却速度約50℃/sec、冷却停止温度450
℃とし、30分保持後、炉冷を行い、巻取処理を行った。
スラブとした。次いで、本発明範囲内の条件にて、3.2m
m厚の熱延鋼板を得た。すなわち、加熱温度1200℃、仕
上温度約900℃、冷却速度約50℃/sec、冷却停止温度450
℃とし、30分保持後、炉冷を行い、巻取処理を行った。
得られた熱延鋼板について、1.6mm厚まで機械研削し
た後、1%の調質圧延を行い、引張試験(JIS5号試
験)、穴拡げ試験(穴拡げ性)、重ね合わせアーク溶接
試験(溶接性)、ミクロ組織の同定等を行った。それら
の結果を第2表に併記する。
た後、1%の調質圧延を行い、引張試験(JIS5号試
験)、穴拡げ試験(穴拡げ性)、重ね合わせアーク溶接
試験(溶接性)、ミクロ組織の同定等を行った。それら
の結果を第2表に併記する。
なお、穴拡げ率は、初期穴径10mmφとし、{(初期穴
径)−(試験後穴径)}/(初期穴径)×100の式によ
り求め、穴拡げ性を評価した。
径)−(試験後穴径)}/(初期穴径)×100の式によ
り求め、穴拡げ性を評価した。
また、溶接性は、溶接後のHAZの硬度が母材と同等或
いは高いものを○、母材よりも低いものを×にて評価し
た。
いは高いものを○、母材よりも低いものを×にて評価し
た。
第2表より、本発明鋼のNo.1〜No.15は、フェライト
と50%以上のベイナイト組織からなり、強度、穴拡げ性
に優れ、しかも溶接性も問題がないことが明らかであ
る。
と50%以上のベイナイト組織からなり、強度、穴拡げ性
に優れ、しかも溶接性も問題がないことが明らかであ
る。
一方、比較鋼No.16〜No.28はいずれも本発明範囲外の
化学成分を有する鋼である。具体的には、No.16とNo.17
はC量が本発明範囲外であり、No.18はSi量が多く、No.
19はMn量が少なく、No.20はP量が多く、No.21はS量が
多く、No.22はAl量が多く、No.23はN量が多い例であ
る。またNo.24〜No.28はCr、Ni、Cu、Ca、Ce(REM)が
それぞれ本発明範囲外の例である。
化学成分を有する鋼である。具体的には、No.16とNo.17
はC量が本発明範囲外であり、No.18はSi量が多く、No.
19はMn量が少なく、No.20はP量が多く、No.21はS量が
多く、No.22はAl量が多く、No.23はN量が多い例であ
る。またNo.24〜No.28はCr、Ni、Cu、Ca、Ce(REM)が
それぞれ本発明範囲外の例である。
これらの比較鋼はいずれも、強度、穴拡げ性、溶接性
のいずれかが目標に達せず、特にマルテンサイトが増す
と高強度は得られるものの、穴拡げ性、溶接性共に劣化
することが明らかである。
のいずれかが目標に達せず、特にマルテンサイトが増す
と高強度は得られるものの、穴拡げ性、溶接性共に劣化
することが明らかである。
実施例2 実施例1で用いた本発明範囲内の化学成分を有するN
o.1の鋼を用いて、第3表に示す種々の条件で熱間圧
延、冷却を行った。なお、他の条件は実施例1と同様と
した。
o.1の鋼を用いて、第3表に示す種々の条件で熱間圧
延、冷却を行った。なお、他の条件は実施例1と同様と
した。
得られた熱延鋼板について、実施例1と同様、組織構
成を調べると共に、機械的特性、穴拡げ性、溶接性を調
べた。それらの結果を第3表に併記する。
成を調べると共に、機械的特性、穴拡げ性、溶接性を調
べた。それらの結果を第3表に併記する。
第3表において、No.1は実施例1における本発明鋼N
o.1と同じであり、No.1−1〜No.1−3は本発明範囲内
の条件による例であり、いずれも、目標組織が得られ、
機械的性質、穴拡げ性、溶接性共に優れていることがわ
かる。
o.1と同じであり、No.1−1〜No.1−3は本発明範囲内
の条件による例であり、いずれも、目標組織が得られ、
機械的性質、穴拡げ性、溶接性共に優れていることがわ
かる。
これに対して、熱延仕上温度が低いNo.1−4、冷却速
度が本発明範囲外であるNo.1−5とNo.1−6、冷却停止
温度が高いNo.1−7、巻取温度が本発明範囲外であるN
o.1−8とNo.1−9は、いずれも、強度、穴拡げ性、溶
接性、ミクロ組織のいずれかが満足できず、本発明の目
標外にあることは明白である。
度が本発明範囲外であるNo.1−5とNo.1−6、冷却停止
温度が高いNo.1−7、巻取温度が本発明範囲外であるN
o.1−8とNo.1−9は、いずれも、強度、穴拡げ性、溶
接性、ミクロ組織のいずれかが満足できず、本発明の目
標外にあることは明白である。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、引張強さ50kg
f/mm2以上、特に60〜80kgf/mm2の高強度熱延鋼板におい
て、加工性、特に伸びフランジ性の著しい向上と溶接性
の向上を図ることができる。しかも、本発明の方法によ
れば、Ti、Nb等の特殊元素を必要としないため安価であ
り、かつ、圧延中の変形抵抗が小さいため圧延が容易で
ある。更に、急速冷却や極低温巻取り等の厳しい条件を
必要としないため、鋼板の形状性が良く、コイル内での
材質変動も小さくなることから、生産性、製品の歩留り
等も格段に向上させることが可能である。
f/mm2以上、特に60〜80kgf/mm2の高強度熱延鋼板におい
て、加工性、特に伸びフランジ性の著しい向上と溶接性
の向上を図ることができる。しかも、本発明の方法によ
れば、Ti、Nb等の特殊元素を必要としないため安価であ
り、かつ、圧延中の変形抵抗が小さいため圧延が容易で
ある。更に、急速冷却や極低温巻取り等の厳しい条件を
必要としないため、鋼板の形状性が良く、コイル内での
材質変動も小さくなることから、生産性、製品の歩留り
等も格段に向上させることが可能である。
第1図は各種化学成分を有する熱延鋼板における機械的
性質と巻取温度との関係を示す図、 第2図は上記鋼の加工フォーマスターによるフェライト
以外の相の変態率と冷却速度との関係を示す図である。
性質と巻取温度との関係を示す図、 第2図は上記鋼の加工フォーマスターによるフェライト
以外の相の変態率と冷却速度との関係を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】重量%で(以下、同じ)、C:0.01〜0.08
%、Si≦0.10%、Mn:1.0〜3.0%、P≦0.08%、S≦0.0
08%、Al≦0.06%及びN≦0.0035%を含有し、残部が鉄
及び不可避的不純物からなる熱延鋼板の組織がフェライ
トと面積率40%以上のベイナイトとの混合組織、乃至ベ
イナイト単相組織であることを特徴とする加工性の優れ
た高強度熱延鋼板。 - 【請求項2】前記鋼が、更に、Cr:0.1〜1.0%、Ni:0.1
〜1.0%、Cu:0.1〜0.6%、Ca:0.003〜0.010%、REM:0.0
03〜0.010%のうちの1種又は2種以上を含有するもの
である請求項1に記載の加工性の優れた熱延鋼板。 - 【請求項3】請求項1又は2に記載の化学成分を有する
鋼の熱間圧延において、常法にて加熱し、仕上温度Ar3
点以上として圧延を行い、その後、冷却停止温度600℃
まで平均冷却速度1〜100℃/secにて冷却し、次いで300
〜600℃にて巻取り、最終組織として、フェライトと面
積率40%以上のベイナイトとの混合組織、乃至ベイナイ
ト単相組織を得ることを特徴とする加工性の優れた高強
度熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28009989A JP2690791B2 (ja) | 1989-10-28 | 1989-10-28 | 加工性の優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28009989A JP2690791B2 (ja) | 1989-10-28 | 1989-10-28 | 加工性の優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03146640A JPH03146640A (ja) | 1991-06-21 |
JP2690791B2 true JP2690791B2 (ja) | 1997-12-17 |
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ID=17620305
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28009989A Expired - Fee Related JP2690791B2 (ja) | 1989-10-28 | 1989-10-28 | 加工性の優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2690791B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005113848A1 (ja) * | 2004-05-24 | 2005-12-01 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 耐疲労き裂進展性に優れた鋼鈑およびその製造方法 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5037415B2 (ja) * | 2007-06-12 | 2012-09-26 | 新日本製鐵株式会社 | 穴広げ性に優れた高ヤング率鋼板及びその製造方法 |
CN113502439B (zh) * | 2021-05-31 | 2023-02-24 | 武汉钢铁有限公司 | 一种易加工高强钢及其生产方法 |
-
1989
- 1989-10-28 JP JP28009989A patent/JP2690791B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2005113848A1 (ja) * | 2004-05-24 | 2005-12-01 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 耐疲労き裂進展性に優れた鋼鈑およびその製造方法 |
CN100500911C (zh) * | 2004-05-24 | 2009-06-17 | 住友金属工业株式会社 | 耐疲劳裂纹扩展性优异的钢板及其制造方法 |
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Publication number | Publication date |
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JPH03146640A (ja) | 1991-06-21 |
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