JP4540590B2 - 吸収性物品用の立体シート - Google Patents

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本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、使い捨ておむつ等の吸収性物品の構成材料として用いられる立体シートに関する。
従来、多数の凸部を有し、相隣接する凸部間に開孔が形成された不織布からなる、吸収性物品の表面シートが広く知られている。
このような不織布においては、多数の凸部により、排泄させた液を着用者の肌の表面から素早く引き離し、更に開孔を介して液を素早く吸収体に移行させることが期待される。
しかし、従来の表面シートにおいては、凸部が潰れたり倒れたりして期待された性能が得られない場合があった。
先に本出願人は、不織布によって取り囲まれて形成された導液管を備えた立体開孔を有する不織布からなり、該不織布の構成繊維として含まれる熱融着繊維を溶融固化させ、前記導液管の少なくとも内表面にフィルム化領域を形成した、吸収性物品の表面シートを提案した(特許文献1参照)。この表面シートによれば、開孔の立体形状が安定に維持される。
しかし、この表面シートにおいても、凸部の立体形状の安定性の点では必ずしも充分ではなかった。
特開2004−275296号公報
従って、本発明の目的は、凸部の立体形状の安定性に優れた、吸収性物品用の立体シートを提供することにある。例えば、立体シートを吸収性物品の表面シートとして用いた場合には、表面に液残りが生じにくく、クッション性に優れる等の効果が奏される。
本発明は、多数の凸部を有し、相隣接する凸部間に開孔が形成された不織布からなり、前記凸部の少なくとも一部がフィルム化されている吸収性物品用の立体シートを提供することにより、前記目的を達成したものである。
本発明の立体シートは、凸部の立体形状の安定性に優れている。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には本発明の一実施形態の吸収性物品用の立体シート(以下、単に立体シートともいう)の斜視図が示されており、図2には図1に示す立体シートを畝部側から見た平面図が示されており、図3には、図1に示す立体シートの畝部の長手方向に直交する平面による拡大断面図が示されている。
図1〜図3に示すように、本実施形態の立体シート1は、多数本の畝部(凸部)2を有し、相隣接する畝部2,2間に開孔31が形成された不織布10からなる。
多数本の畝部2は、それぞれ、立体シート1の一方向に延びており、互いに平行に形成されている。畝部2は、立体シート1における、畝部2の長手方向に直交する方向(以下、X方向ともいう)に一定間隔で形成されている。また、開孔31は、相隣接する畝部2,2間に存する基底部3に形成されており、立体シート1における、畝部2の長手方向と平行な方向(以下、Y方向ともいう)に一定間隔で形成されている。
立体シート1を構成する不織布としては、従来公知の不織布を特に制限なく用いることができる。例えば、カード法により製造された熱融着繊維ウエブを熱風処理して得られるエアスルー不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布を、立体シートの具体的な目的や用途に応じて適宜選択することができる。これらの不織布における繊維の結合手段に特に制限はなく、例えば、バインダーによる結合や熱融着による結合を用いることができる。また、繊維の結合に代えて、スパンレース不織布等のように繊維の機械的な絡合を利用してもよい。立体シートに、滑らかな肌触りや、柔らかさを顕著に実現するためには、不織布として、カード法により得られた熱融着繊維ウエブを熱風処理し、強固な圧縮を与えずに不織布化したエアスルー不織布が最も好適に用いられる。
開孔31は、図3に示すように、立体シート1の表面1A側から裏面1B側に向かって延出する不織布によって取り囲まれて形成された導液管32を備えた立体開孔になっている。立体シート1の表面1A側とは、畝部(凸部)2を有する面側であり、立体シート1を吸収性物品の表面シートとして用いる場合は、着用者の肌側に向けられる面側である。立体シート1の裏面1B側は、その反対側の面である。
導液管32の内表面32Aは、立体シート1の基底部3の上面3Aからの連続面で形成されている。立体的になっている開孔31においては、図3に示すように、その周縁32Bが開孔31の下端に位置している。導液管32の態様としては、例えば円筒状や、導液管32の径が表面1A側から裏面1B側に向かって漸次増加していく錐体状の形状が挙げられるが、図1及び図3に示すように、導液管32の径が表面1A側から裏面1B側に向かって漸次減少していく逆錐体状の形状が好ましい。開孔31の横断面の形状に特に制限はなく、例えば楕円形、三角形又は四角形の開孔でもよいが、図2に示すように、異方性のない円形の開孔とすることが、立体シート1のソフト感を向上させ得る点から好ましい。
開孔31は、その下端32Bにおける開孔径が0.5〜3mm、特に0.7〜1.5mmであることが、導液管32の安定維持性、液の透過性及び液の隠蔽性の向上の点から好ましい。液の透過性を向上させる点から、立体シート1の開孔率は3〜30%であることが好ましく、5〜25%であることが更に好ましく、10〜20%であることが一層好ましい。開孔率は、立体シート1をその表面1A側から裏面1B側に投影した場合に形成される開孔31の面積を立体シート1の面積で除すことによって求められた値である。具体的には開孔径及び開孔率は以下の方法で測定される。
〔開孔径及び開孔率の測定方法〕
光源〔サンライト SL−230K2;LPL(株)社製〕、スタンド〔コピースタンドCS−5;LPL(株)社製〕、レンズ〔24mm/F2.8Dニッコールレンズ〕、CCDカメラ〔(HV−37;日立電子(株)社製)Fマウントによるレンズとの接続〕及びビデオボードを用いて、立体シート1の裏面1B側の画像を取り込む。取り込まれた画像をNEXUS社製の画像解析ソフト(ver.4.21)によって開孔の部分を二値化処理する。二値化処理された画像から円相当径を求めこれを開孔径とする。また二値化処理された部分の面積を全画像の面積で除すことで開孔率(%)を求める。開孔径の測定が困難な場合は、画面上で開孔の部分を塗りつぶす等の補助的な処理を行う。
畝部2の幅方向の断面形状は、不織布の表裏面の何れも、図3に示すように、表面1A側に向けて凸状に湾曲している。隣り合う畝部2,2のX方向のピッチ(例えば頂点間の間隔)は、1.0〜6.0mm、特に2.0〜4.0mmであることが好ましい。また、X方向において隣り合う開孔31,31間のピッチ(例えば中心点間の間隔)も同様に1.0〜 6.0mm、特に2.0〜4.0mmであることが好ましい。畝部2の長手方向は、立体シート1の原反である不織布の製造時における機械方向と合致していてもよく、又は合致していなくてもよい。
Y方向の開孔31のピッチ(例えば開孔の中心点間の間隔)は、0.4〜40mm、特に 1.5〜8mmであることが好ましい。
本実施形態の立体シート1においては、畝部2の側面21,21がフィルム化されている。
フィルム化とは、不織布の構成繊維の構成樹脂のうちの少なくとも最も融点が低い樹脂が軟化(好ましくは溶融固化)して、構成繊維がフィルム状に密着した状態であり、そのフィルム化された部分は、繊維形状がほぼ失われていることが好ましい。畝部2の側面21におけるフィルム化部分21aは、畝部2の他の部分より厚みが薄く、密度が高くなっている。また、表面は他の部分に比して平滑になっている。
立体シート1の畝部2は、側面21,21がフィルム化されていることによって、潰れたり倒れたりしにくくなる。これにより、吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、畝部2が倒れて開孔31を塞いでしまったり、畝部2が潰れて液が畝部2を越えて、X方向に流れ易くなる等の不都合を防止することができる。
しかも、フィルム化された部分(以下、フィルム化部分ともいう)は、撥水性が高まっており、排泄された液が保持されず、液がはじかれるため、畝部2に近接して形成された開孔31に液がスムーズに移動する。
フィルム化部分21aは、畝部(凸部)2の形状安定性の向上、及び/又は液のスムーズな開孔への誘導の点から、畝部2の高さTの10%以上、特に50%以上の高さtに亘っていることが好ましい。畝部の高さTは0.5〜3.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.0mmである。
また、本実施形態の立体シート1においては、畝部2の頂部22はフィルム化されていない。畝部2の頂部22がフィルム化されていないため、風合いが良い。畝部2の頂部22は、立体シート1を、例えば吸収性物品の表面シートとして用いた場合に、着用者の肌に直接触れるところであるため、該部分をフィルム化させないことで、吸収性物品の使用時等における肌触りやクッション性を向上させることができる。
立体シート1における、畝部2に直交する方向(X方向)の断面形状を、開孔31を有する部分と開孔31を有しない部分とで比較すると、開孔31の有無により形状の差がある。即ち、図3(a)に示される断面形状と図3(b)に示される断面形状とを比較すると、図3中に直線Lで示される平面よりも下方の部分Dの断面形状が異なっている。このように開孔31の有無による形状の差がある部分Dは、畝部2の一部に含めず、開孔31の有無による形状の差がない部分(図3中、直線Lで示される平面よりも上方の部分)Uのみを畝部と考える。
不織布の構成繊維としては、撥水性に優れたフィルム化部分を形成する観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル及びナイロンのようなポリアミド等の合成繊維等が好ましく用いられ、ヒートシール性(フィルム化)の点から、融点の高い樹脂を芯とし且つ融点の低い樹脂を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割繊維等の複合繊維であることが好ましい。
不織布の坪量は、15〜50g/m2、特に20〜30g/m2であることが、フィルム化部分の形成のしやすさ、立体シート1全体としての風合い、地合い、開孔性の点から好ましい。
尚、本実施形態の立体シート1おける、開孔31の導液管32部分は、フィルム化していない。
本実施形態の立体シート1は、図4に示すように、原反としての不織布10’を、第1の押し型51と第2押し型53との間に介在させ押圧させることにより、容易且つ効率的に製造可能である。
第1の押し型51は、不織布10’の搬送方向に沿って角錐又は円錐形状の多数の穿孔ピン(凸状ピン)52を列状に有し且つ該列が多列に並設しているピンロールから構成されている。第2の押し型53は、第1の押し型51における多列の凸状ピンの間に嵌入する突条部54を有する突条ロールから構成されている。
また、前記ピンロールと前記突条ロールとは、図5に示すように、穿孔ピン52の台座部55の側面と、突条ロールの突条部54の側面との間のクリアランスを、不織布10’の厚みに対して充分に小さくしておき、また、台座部55の側面及び/又は突条部54の側面を、少なくとも不織布10’の構成繊維を構成する樹脂のうちの融点が最低の樹脂の軟化点あるいは融点以上としておく。
第1の押し型51と第2押し型53との間で押圧させる結果、不織布10’は、突条部54によって畝部2を形成するように変形し、その畝部2の側面にフィルム化部分21aが形成される。また、それと同時に、穿孔ピン52の不織布への押圧により、開孔31が形成される。
以下、本発明の吸収性物品用の立体シートの他の実施形態について説明する。これらの実施形態については、上述した立体シート1と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点について、上述した立体シート1についての説明が適宜適用される。尚、同様の部材等には、同一の符号を付してある。
図6に示す立体シート1Aは、畝部2の長手方向にフィルム化部分21aを断続的に有している。また、フィルム化部分21aは、開孔31のY方向のピッチと同じピッチで等間隔に形成されており、個々の開孔31は、畝部2のフィルム化部分21aの真横に位置している。フィルム化部分21aのY方向の長さは、例えば、開孔31の前記開孔径の直径の1.0倍以上、特に1.5〜2.0倍であることが好ましい。
フィルム化部分21aを畝部2の長手方向に断続的に設けることで、フィルム化部分に液が残らないだけでなく、フィルム化周辺部分と非フィルム化部分での密度勾配による毛管力により液が移動し易くなるため、畝部2の立体形状の安定性の向上効果に加え、肌触りやさらっと感を向上させることができる。また、開孔31をフィルム化部分21aの真横に位置させることで、上記の効果に加え、開孔31への液の誘導性にも優れている。
尚、図6(a)のIII―III線断面図は、図3(b)と同一である。
図7に示す立体シート1Bは、畝部2の全体がフィルム化されている。即ち、畝部2の幅方向においては、図7(b)に示すように、畝部2は、その一方の側面21から頂部22を経て他方の側面21に亘る全域がフィルム化されており、そのような断面構造が、畝部2の長手方向に連続している。
畝部2の全体がフィルム化されていることにより、畝部2の形状安定性及び開孔31への液の誘導性に優れ、更に、排泄された液が畝部2の表面に全く残らないため、さらっと感にも優れている。
図7に示す立体シート1Bは、図8に示すように、ピンロールにおける相隣接する台座部55間に、一方の台座部55の側面から他方の台座部55の側面に亘り且つ突条ロールの突条部54の形状に略一致する断面形状の加圧面56を形成し、台座部55間に押し込んだ不織布における、隣接する台座部55,55間に押し込んだ不織布の部分の全体を、加熱圧縮する以外は、上述した立体シート1の好ましい製造方法にして製造することができる。
図9に示す立体シート1Cにおけるフィルム化部分21aは、畝部2の一方の側面21から他方の側面21に亘っている点においては、上述した立体シート1Bと同じであるが、立体シート1Cにおけるフィルム化部分21aは、畝部2の長手方向に断続的形成されている。
図9の立体シート1Cは、畝部2の形状安定性に優れ、また、フィルム化部分が開孔31の真横に形成されているため、開孔31への液の誘導性に優れている。更に、畝部2の長手方向には断続的であるため、肌触りやさらっと感を向上させることができる。
図9に示す立体シート1Cは、図8で用いたピンロールの加圧面56又は突条ロールの突条部54に、加圧用の凸部と加圧しない部分を形成するための凹部とを周方向に交互に形成したものを用いる以外は、図7の立体シート1Bと同様にして製造可能である。
以上、本発明の立体シートの好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明の立体シートは、上記各実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更可能である。
例えば、隣接する基底部3の開孔31は、横一列に並んでいなくても良く、例えば、隣り合う列で半ピッチ分ずれていても良い。また、フィルム化部分を畝部の長手方向に断続的に形成する場合、フィルム化部分を開孔31と開孔31との間の真横等に形成しても良い。また、畝部毎に、開孔やフィルム化部分のピッチを異ならせても良い。
一枚の立体有孔シートに形成する、フィルム化部分21aを有する畝部2の本数は、特に制限されないが、3.5〜6本/cm程度であることが好ましい。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
本発明の立体シートは、吸収性物品の表面シートとして好ましく用いられるが、その吸収性物品としては、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド、使い捨ておむつ、ハイジーンパッド、授乳パッド等が挙げられる。
表面シートとして用いる場合は、凸部と開孔は、表面シート全面ではなく、吸収性物品の側部のみまたは中央部のみに部分的に用いてよい。
また、表面シート以外として用いることもでき、例えば、表面シートの下方で吸収体の上方に位置されるセカンドシート等に用いることもできる。これらの場合には、畝部2を有する側を表面シート側として用いる。また、吸収体と裏面シートの間に位置させたり、吸収体の中間層としても用いることができる。
また、不織布は、単層のものに限られず、多層構造のものであっても良い。また、凸部は、一方向に連続した畝部に限られず、独立した凸部が多数離散させて配置されていても良い。
本発明の吸収性物品用の立体シートの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す立体シートを畝部(凸部)を有する面側から見た平面図である。 図1に示す立体シートの、畝部に直交する方向における拡大断面図であり、(a)はI−I線断面図、(b)はII−II線断面図である。 図1に示す立体シートの好ましい製造方法の説明図である。 図4の一部を拡大して示す図である。 本発明の立体シートの他の実施形態を示す(a)平面図〔図2相当図〕及び(b)(a)のIV−IV線断面図である。 本発明の立体シートの更に他の実施形態を示す(a)平面図〔図2相当図〕及び(b)(a)のV−V線断面図である。 図8は、図7に示す立体シートの好ましい製造方法の説明図である。 本発明の立体シートの更に他の実施形態を示す平面図〔図2相当図〕である。
符号の説明
1,1A〜1C 吸収性物品用の立体シート
2 畝部
21 畝部の側面
21a フィルム化部分
3 基底部
31 開孔
32 導液管

Claims (3)

  1. 多数本の畝部を有し、相隣接する畝部間に開孔が形成された不織布からなり、
    前記開孔は、前記畝部が突出する側とは反対側に向かって延出する不織布によって取り囲まれた導液管を備えた立体開孔であり
    前記畝部の側面がフィルム化されている一方、該畝部の頂部はフィルム化されておらず、また、相隣接する畝部間にフィルム化されていない部分を有しており、
    前記畝部の前記フィルム化された部分は、前記立体開孔以外の部分である、吸収性物品用の立体シート。
  2. 前記畝部の側面の長手方向に、前記フィルム化された部分を断続的に有している、請求項記載の吸収性物品用立体シート。
  3. 前記開孔が、前記畝部のフィルム化された部分の真横に位置している、請求項記載の吸収性物品用立体シート。
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