JP4540032B2 - 法面緑化工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は法面緑化工法に関するものであり、特に、急勾配法面上に形成されるコンクリート法枠内に安定した植生基盤を容易に形成することができる法面緑化工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今、急勾配で且つ、地山が岩盤やモルタル仕上げである法面の法枠内を木本植物により緑化する場合、網柵工で施工するケースが採用されつつある。
図4(a)はその一例であり、法面1に形成されるコンクリート法枠2の側断面図を示す。該法面1はモルタル吹付面Mで形成され、網柵材9の両端部にL型のアンカーピン5,5の短部を引っ掛けた状態で該モルタル吹付面Mに水平に該アンカーピン5,5を直接打設する。
【0003】
尚、該アンカーピン5,5は1ブロックのコンクリート法枠内に於て、左右のコンクリート法枠近傍にも打設するので計4箇所打設する。その後、該網柵材9の先端部に土のう袋4,4…を設置・固定し、該法面1との間に生育基盤材(土壌等)3を充填し、木本植物Pを植栽して該コンクリート法枠2内を緑化する。
【0004】
図4(b)は他の例を示し、法面1は岩盤Rで形成されている。この方法は、予め、く形に曲げた棒鋼6を該岩盤Rに鉛直方向に打設し、該棒鋼6に網柵材9を敷設・固着した後、該棒鋼6側に土のう袋4,4…を設置・固定し、更に、該岩盤Rとの間に生育基盤材3を充填し、木本植物Pを植栽する。尚、前記棒鋼6の取付けは、前記岩盤Rに電気ドリル等で所定長さの孔7を穿孔し、該棒鋼6を挿入した後、セメントミルク8を注入して固定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記アンカーピンを打設する方法は、地山がモルタル吹付面や岩盤の場合、その打設が困難であると共に、1ブロックのコンクリート法枠内に計4箇所打設する必要があるので更にその施工が困難となる。又、該アンカーピンは法面を穿孔することなく、直接打設するため大荷重に耐えられず、生育基盤材の量が制限されると同時に植栽面が法面と同勾配に傾いているため、植栽可能な植物の種類が限定され、且つ、植栽本数も少ない。
【0006】
上記の問題を解決するために行う前記く形棒鋼を地山に打設する方法は、生育基盤の強度が高められ、より多くの生育基盤材を確保することができるが、該く形棒鋼を地山に固定するため、電気ドリル等での穿孔、セメントミルクの注入等の施工が必要になり、工数及び工期が掛かる等の問題が生ずる。又、急勾配法面上での施工には多大な労力が必要になると共に、法面の構造物を加工することによる強度不足等の問題も生ずる。
【0007】
そこで、法面に対する穿孔等の労力及び施工時間を省き、施工性を向上させコストダウンを図ると共に、法面への負担を低減することができる法面緑化工法を得るために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は該課題を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、法面に形成されるコンクリート法枠内を緑化する工法であって、上下のコンクリート法枠間に支持部材を架設し、該支持部材に側面を左右のコンクリート法枠内面近傍に位置するように形成した籠状の網柵材を固着し、該網柵材内に植生基盤材を充填する法面緑化工法において、
前記支持部材は前記左右のコンクリート法枠間に二分割した棒鋼の螺子部に螺合するソケットを回転させることによって伸縮自在に形成する法面緑化工法、
及び、請求項2記載の発明は、法面に形成されるコンクリート法枠内を緑化する工法であり、左右のコンクリート法枠間に支持部材を上下に架設し、該上下の支持部材間に網柵材を固着し、該網柵材と該法面間に植生基盤材を充填する法面緑化工法であって、前記下部の支持部材は下方のコンクリート法枠の先端部近傍に設置し、且つ、前記上部の支持部材は前記法面に平行に該下部の支持部材から所定間隔で設置する法面緑化工法において、
前記支持部材は前記上下のコンクリート法枠間に二分割した棒鋼の螺子部に螺合するソケットを回転させることによって伸縮自在に形成する法面緑化工法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図3に従って詳述する。図1(a)は法面1に形成される1ブロックのコンクリート法枠2,2…の正面図を示し、該コンクリート法枠2,2…は矩形状に枠組みし、その内幅寸法は通常1〜2mで構築される。図1(b)は該法面1の側断面図を示し、該法面1の地山にはモルタルを所定の厚さ吹き付けてモルタル吹付面Mを形成して、該法面1を保護している。
【0010】
今、該コンクリート法枠2内に木本植物P等を植栽して緑化するようにする。
先ず、上下のコンクリート法枠2,2間に棒鋼からなる支持部材10a,10bを架設する。該支持部材10a,10bは後述する網柵材9の型が崩れるのを防止するため、図1(a)に示すように左右のコンクリート法枠内面近傍に2本立設する。又、後述する植生基盤材3をより多く確保するために図1(b)に示すように、前記支持部材10a,10bを前記法面1側に可能な限り近づけて該法面1と平行に立設する。更に、該支持部材10a,10bは前記コンクリート法枠2内に打設することなく、上下のコンクリート法枠2,2間に突っ張らせて架設する。
【0011】
その方法は図3(a)に示すように、支持部材である二分割した棒鋼10a,10bの螺子部15,15に螺合するソケット11を回転させて行う双方向ネジ式や、図3(b)に示すように該棒鋼10aと10bとの螺子部15を螺合させて、一方の棒鋼10aを回転させて行う一方向ネジ式が考えられるが、該支持部材10a,10bを伸縮自在に形成して該コンクリート法枠2,2間に固定することができる方法であればこれに限定せられるべきではない。尚、該支持部材10a,10bは強度条件に合えば、木材や合成樹脂材等の材料を用いてもよい。
【0012】
次に、左右の支持部材10a,10bの下部間にエキスパンドメタルや金網や孔明き鋼板等の網柵材9を用いて所定大きさの籠を形成し、該籠の側面上下に設ける止め金具12,12により該支持部材10a,10bに予め固着して一体化する。尚、該網柵材9の材料は、必要とされる強度とコストを考えて適宜決定され、木材やプラスチック材等を用いてもよい。
【0013】
該籠は上方を開口すると共に、正面は下方のコンクリート法枠2の先端部より上方へ傾斜させた網柵材9で形成し、側面は図1(b)に示すように正面の網柵材9の傾斜面と下方のコンクリート法枠2の傾斜面と法面1に平行に立設する支持部材10aの傾斜面とで形成する略台形状の網柵材9で構成される。
【0014】
その後、該網柵材9の周辺部の正面側及び両側面側に下部から土のう袋4,4…を敷設した後、該網柵材9と該法面1との間に該網柵材9の上面まで土壌等の植生基盤材3を充填し、該植生基盤材3上に木本植物Pを植栽して前記コンクリート法枠2内の緑化を行う。尚、コンクリート法枠内の緑化の他の方法は、該植生基盤材に予め植物種子を混入させたり、該植生基盤材を充填後に種子を蒔く方法等により行うことができる。又、変形しない網柵材を用いれば1本の支持部材を該網柵材の中央部に固着し、且つ、左右のコンクリート法枠の中央部で該支持部材を固定するようにしてもよい。更に、該支持部材を該コンクリート法枠の先端部近傍で固定して支持荷重を低減するようにしてもよい。又、該コンクリート法枠間の間隔寸法が大きい場合には、該支持部材の座屈防止の為、左右の支持部材同士を中間部材で結合してもよい。
【0015】
次に、図2により第2の実施の形態を説明する。図2(a)は法面1に形成される矩形状の1ブロックのコンクリート法枠2の正面図を示し、図2(b)は該法面1の側断面図を示す。この実施の形態は支持部材13a,13bを左右のコンクリート法枠2,2間に設置するものであり、基本的な構成は前記図1に示す支持部材及び網柵材等と同一の為、同一部分についてはその説明を省略する。
【0016】
図2(b)に示すように、下部の支持部材13a,13bを下方のコンクリート法枠2の先端部近傍に設置し、且つ、上部の支持部材13a,13bは法面1と平行に該下方のコンクリート法枠2から上方へ所定の間隔を取った位置に設置する。又、該上部の支持部材13a,13bと該下部の支持部材13a,13bとの間には、長手方向幅が左右のコンクリート法枠2,2の内面幅と同一の網柵材14を予め、右側の支持部材13a,13aのみに固着して一体化しておく。
【0017】
尚、該支持部材13aへの該網柵材14の固着位置は、該コンクリート法枠2の先端部側に置き、前記植生基盤材3の充填量を多く確保できるようにする。又、左側の支持部材13b,13bは該支持部材13a,13aとの螺子部15,15で伸縮自在に形成し、該螺子部15,15で左右のコンクリート法枠2,2間に突っ張らせて固定する。その後、前述したように該網柵材14と該法面1との間に植生基盤材3を充填し、該植生基盤材3上に木本植物Pを植栽して前記コンクリート法枠2内の緑化を行う。
【0018】
尚、緑化方法は前述したように植生基盤材に予め植物種子を混入させたり、該植生基盤材を充填後に種子を蒔く方法等により行うことができる。又、該網柵材14の正面部を前記図1に示すように、下方のコンクリート法枠2の先端部より上方へ傾斜させて側面部を形成して、該植生基盤材3をより多く確保して植栽本数を多くするようにしてもよい。
【0019】
而して、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明は上下のコンクリート法枠間に支持部材を架設し、該支持部材に籠状の網柵材を固着し該網柵材内に植生基盤材を充填するので、法面の安定性を損なうことなく植生基盤を形成できる。又、急勾配で且つ、地山が岩盤やモルタル仕上げの法面のコンクリート法枠内で木本植物等による緑化が行え、自然環境が復元でき景観が良くなる。更に、植生基盤材上に飛来等による郷土種子の発芽・成長が期待できる。更に、支持部材を上下のコンクリート法枠間に伸縮自在に形成するので、従来のように法面に打設するような工程がなくなると共に、容易に且つ、任意のコンクリート法枠間隔に合った支持部材が固定でき、その施工性が向上してコストダウンが図れる。
【0021】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明と同様の効果が得られる。又、下部の支持部材を下方のコンクリート法枠の先端部近傍に設置し、且つ、上部の支持部材を法面に平行に該下部の支持部材から所定間隔で設置するので、植生基盤をより多く確保することができる。加えて、支持部材を左右のコンクリート法枠間に伸縮自在に形成するので、従来のように法面に打設するような工程がなくなると共に、容易に且つ、任意のコンクリート法枠間隔に合った支持部材が固定でき、多くの植生基盤の確保と相俟って、その施工性が向上してコストダウンを一層図ることができる。
【0023】
斯くして、コンクリート法枠内の緑化を効率良く行うことができ、工期の短縮及び工事費の低減化を図ることができる等、正に諸種の著大なる効果を奏する発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態を示し、コンクリート法枠の正面図。
(b)図1(a)のイ−断面図。
【図2】(a)他の実施の形態を示し、コンクリート法枠の正面図。
(b)図2(a)のロ−断面図。
【図3】(a)支持部材の伸縮部を示す側面図。
(b)他の支持部材の伸縮部を示す側面図。
【図4】(a)従来例の法面緑化を示す側断面図。
(b)他の法面緑化を示す側断面図。
【符号の説明】
1 法面
2 コンクリート法枠
3 植生基盤材
9 網柵材
10a,10b 支持部材
13a,13b 支持部材
14 網柵材
M モルタル吹付面
P 木本植物
Claims (2)
- 法面に形成されるコンクリート法枠内を緑化する工法であって、上下のコンクリート法枠間に支持部材を架設し、該支持部材に側面を左右のコンクリート法枠内面近傍に位置するように形成した籠状の網柵材を固着し、該網柵材内に植生基盤材を充填する法面緑化工法において、
前記支持部材は前記左右のコンクリート法枠間に二分割した棒鋼の螺子部に螺合するソケットを回転させることによって伸縮自在に形成することを特徴とする法面緑化工法。 - 法面に形成されるコンクリート法枠内を緑化する工法であり、左右のコンクリート法枠間に支持部材を上下に架設し、該上下の支持部材間に網柵材を固着し、該網柵材と該法面間に植生基盤材を充填する法面緑化工法であって、
前記下部の支持部材は下方のコンクリート法枠の先端部近傍に設置し、且つ、前記上部の支持部材は前記法面に平行に該下部の支持部材から所定間隔で設置する法面緑化工法において、
前記支持部材は前記上下のコンクリート法枠間に二分割した棒鋼の螺子部に螺合するソケットを回転させることによって伸縮自在に形成することを特徴とする法面緑化工法。
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JPH10252072A (ja) * | 1997-03-17 | 1998-09-22 | Towa Kogyo:Kk | 法枠へのパネル固定方法及び客土の昇温防止方法 |
JPH1129934A (ja) * | 1997-07-10 | 1999-02-02 | Fujimi Green Eng Kk | 法面の緑化工法 |
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