JP4480151B2 - 木製の移植樹用地中支保工および支保方法 - Google Patents

木製の移植樹用地中支保工および支保方法 Download PDF

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Description

本発明は木製の移植樹用地中支保工および支保方法に係り、詳しくは、樹木移植現場での組立てが簡便であり、移植作業自体も容易となり、樹木の外観を損なうことなく移植後の姿勢を地面下で保つことができ、樹木の定着および成長につれて自然消失させることができるようにした地中支保工に関するものである。
公園や庭園に樹木を移植する場合、それに先がけ掘り起こされた植根部は予め土と共に塊状の根鉢に形成される。これが所望する位置に掘った植穴に埋め込まれるが、移植後のある期間は樹木の自立を助ける支えを必要とすることが多い。樹木を支えるにあたって最も簡便な方法は、数本の支柱を樹木の周囲に立設し、これを櫓状に組んで基幹部を地上で保持しておくことである。このような支保工の例が、実開平7−25747号公報や特開2001−327224に記載されている。
樹木を支えるにあたって地上に櫓を組めば、移植後間もない樹木には見た目の安定感を与えるが、定着も進み成長も活発になれば支保工はもはや必要でないだけでなく、樹木の見栄えも損なう。ましてや、支保工が老朽化したり風化すると、却って見苦しくなる。加えて、不要となった支保工の片付け作業も余儀なくされ、公園等の植栽管理の手間が増大する。
このような地上の樹木支保工の持つ欠点を解消しようとしたものに、特開平5−260862号公報や特開平7−87854号公報に開示された地中支保工がある。これは例えば十字に組んだ水平な架台に根鉢を載せて縛りつけようとするものであるが、樹幹を地上で支える場合に比べれば、樹木自体の重み、枝振りの如何、風雨による揺れ等に基因する横転の防止に対して一層の配慮が欠かせない。
先ずは構造が強固であり、地中での変化や変形を可能な限り少なくできる構成であることが要求される。この観点から、上記した先行例においては、耐腐食性があって持久力に富んでいること、剛強であり樹木の揺れや傾きに基因する掘り起こしに対抗できる力を発揮させること等を考慮して、金属製材料を使用することを不可欠としている。しかし、重量軽減の努力も必要となり、薄肉のパイプ材を使用したり、部材の小断面化を指向するなどの結果、土圧受け能力が意外と低くなる難点は免れない。
それを解決する手だてとして、架台を形成するパイプに薄い金属板を土圧受けとして溶接し、さらにはパイプ先端に水平方向で進退可能な突き槍を装備させるなどしている。パイプ材は土圧を受け持たせるに十分な幅を持たないから、土圧受け板で埋め戻し土による押さえつけが得られるようにしているが、根の伸びや拡がりを邪魔しないようにしておくために大きさには制限が課せられる。これを補う意味で突き槍を植穴壁に刺して、耐横転能力を高めるようにしている。
水平に動く突き槍は架台を形成するパイプ材に可動部を設けることを意味し、構造の複雑化が余儀なくされ、商品の低廉化を阻む。この突き槍の首部には穴壁面を境にした土質の硬軟差により曲げや剪断力が集中しやすく、変形したり場合によっては折損するなどして樹木の姿勢を不安定にすることがあり、その姿勢の修復に手間を要したり修復を阻むことになったりする。金属製支保工は土に帰らないことは言うまでもなく、当該移植樹を次の移転のために掘り起こすとき、その作業労力を倍加させる。
次に、移植作業において、架台に根鉢を縛りつける作業に負担が大きくなるという点を見逃すことができない。突き槍を張り出させる植穴壁への叩き込みは根鉢のない状態に行わねばならないから、架台は樹木を伴わない状態で植穴の底部に敷設される。突き槍により支保工を不動状態にしてから樹木を降ろして根鉢を架台に載せるが、根鉢にロープを掛けて穴底に張りついた架台に縛りつける作業は、根鉢の周囲に残った僅かな空間で行わねばならず、容易なことでない。
すなわち、隙間に腕のみを伸ばしたり身体を大きくかがめるなど、無理の掛かる姿勢や力の入りにくい態勢での作業が余儀なくされる。強く縛り上げるには余りにも負担が大きく、十分な固定ができないまま終えざるを得ないことも起こる。小型の重機やウインチなどを使用するにしても、根鉢に巻きつける微妙な操作には作業員の補助が必要であり、作業の全般にわたっての作業員と機械との連係は欠かせなく、固縛作業に円滑を欠くことは避けられない。
特開平5−260862号公報 特開平7−87854号公報
本発明は上記した問題に鑑みなされたもので、その目的は、地中埋没型としても樹木の自立を維持するに十分な土圧を受けることができ、樹木の外観を損なうことなく地面下から姿勢を保つ現場組立て容易な構造とすること、非金属材料により構成し年月の経過に伴って消失させまた環境に負荷を掛けることなく植根の自然な拡がりを許容できること、荷重の局部的集中を回避できたり荷重負担の分散が図られるようにして植穴に配置できること、根鉢固縛の植穴内作業を排除して少ない人力でもってしても十分に根鉢を架台に縛りつけられるようにすること、変形が集中しやすくなる可動部をなくして構造の簡素化を図ると共に架台の初期安定性を高め、移植直後の樹木の姿勢を保持させやすくした木製の移植樹用地中支保工を提供することである。また、これらの目的を達成ならしめる支保方法をも提供することである。
本発明は、樹木の根鉢を地面下で支えて、移植後の安定と姿勢を保つ地中支保工に適用される。その特徴とするところは、図1ないし図4を参照して、移植後は植穴10の底部で、中央に形成された係合凹部12で嵌まりあって平面視で十字に組まれ、水平に交差して平面性が与えられて埋設状態となる木製の腕木5と、その腕木の端部もしくはその近傍にあって、その上面に固定されて水平な面を持った木製の受圧板6と、腕木5の長手方向に一つまたは複数設けられている止め孔17に取りつけられ、根鉢2に巻回されるロープ3を腕木5に固縛するフック7と、腕木5の交差部には、桟材15を打ちつけて取り付けられ、根鉢2を載置する木製の平面矢視矩形の座枠9とを備え、移植する際に根鉢2と共に埋設して樹木1の自立性を高め、根づいた数年後には大部分が土と化すことができるようにしたことである。なお、腕木5の交差部には、載置した根鉢2を下部から突き込む刺し槍8が立てられていると都合がよい。
地中支保方法の発明にあっては、移植現場もしくはその近傍で木製移植樹用地中支保工4を組み上げた後に、その腕木5の交差部の座枠9に根鉢2を載置し、根鉢2にロープ掛けして地中支保工4に一体化させた樹木1を、図3のように植穴10に降ろす。根鉢2の全部もしくは大部分が隠れるまで植穴10に土22を入れる。根鉢2を下部から突き込む刺し槍8が立てられる場合には、木製移植樹用地中支保工4を組み上げた後に、その腕木5の交差部の座枠9に根鉢2を載置して刺し槍8で植栽姿勢を規定し、根鉢2にロープ掛けして地中支保工4に一体化させた樹木1を植穴10に降ろし、根鉢2の全部もしくは大部分が隠れるまで植穴10に土22を入れる。
図6を参照して、交差部に載置された根鉢2にロープ掛けする際、ロープ3に小さな輪20を作ってフック7Rに掛け、そこを出発点にして上へ掛けまわし、こも19の首部に適数回巻きつけてから隣のフック7Uに向けて降ろし、引っ掛けた後にこもまで上げさらに隣のフック7Lに向けて降ろし、引っ掛けた後にこもまで上げさらに隣のフックに向けて降ろし、引っ掛けた後にこもまで上げもとのフック7Rに向けて降ろし、引っ掛けた後に、この上下方向に掛け渡されたロープ3を根鉢2の下部で裾巻き18することが好ましい。
本発明によれば、支保工の構成品の大部分が木製であり、数年後には大部分が土と化して根の拡がりを何時までも阻害することはない。移植当初は、腕木と腕木の上面に固定される受圧板とで樹木の自立性を高めるに十分な土圧を受けることができ、樹木の外観を損なうことなく地面下から所望の姿勢を保持することができる。
木製品であるから作業現場で簡単に組み立てられ、荷姿もコンパクトとなる。進退するような可動品や局部的変形をきたす箇所はなく、全体が一定の土質で覆われることになるので、支保工としての初期保形性は高く、荷重負担の分散が図られやすい。根鉢に対するロープ掛けはスペースに余裕のある地上で可能となり、作業員一人の力によっても十分に固縛することができる。フックは根鉢を巻回するロープを簡単に折り返えさせるから、根鉢を上下方向に取り巻いて腕木との固縛操作を容易とし、一体性が高められる。腕木には互いに嵌まりあう係合凹部が形成されているから簡単に十字に組むことができ、また、水平に交差して平面性が与えられ、底面がほぼ平らな植穴に安定して設置することができるようになる。
腕木に取り付けられるフックは、根鉢に対するロープ掛け操作が極めて容易となるだけでなく、ロープ掛けの後半に裾巻きしてもロープが外れにくくなり、都合がよい。フックの止め孔を腕木の延びる方向に複数設けておけば、根鉢のサイズや形に応じてフックの位置変えができ、縛り勝手がよくなる。腕木の交差部に根鉢を載置する木製の座枠は、根鉢の姿勢にかかわらず下部周縁やその近傍を支え、ロープ掛け時の安定が図られる。この座枠の桟材は腕木に取り付けられて、腕木の交差状態を保持するように作用する。なお、腕木の交差部に根鉢を下から突き込む刺し槍が立てられていれば、根鉢の支保工に対する姿勢を予め保持させておくことができ、根鉢を縛りつける作業が容易となる。
移植樹の支保方法においては、交差部の座枠に根鉢を載置してロープ掛けし、刺し槍がある場合には根鉢に刺し槍で固定したうえでロープ掛けし、地中支保工を一体化させた状態で樹木を植穴に降ろし、根鉢の全部もしくは大部分が隠れるまで植穴に土を入れるようにしているので、狭い植穴内で根鉢を支保工にロープ掛けするといった作業は排除され、移植作業の能率は飛躍的に向上する。ロープ掛けは作業性のよい広いところで、移植作業はクレーン車を使用するなどして幾つもの植穴に対して連続かつ集中して展開し、土の埋め戻しや客土は随時行うことが許され、施工計画や作業の段取りに柔軟性を持たすことができる。
腕木の交差部に載置された根鉢にロープ掛けする際、根鉢の上下方向に掛け渡されたロープを根鉢の下部で裾巻きすれば、根鉢の支保工に対する縛りつけ力を増強したり調節することができる。植穴内でのロープ掛けが余儀なくされる支保方法とは異なり、地上で作業するゆえ労力負担は極めて少なく、また根鉢の硬軟に配慮した操作を行いやすく、植根への影響を可及的に少なくすることができる。
以下に、本発明に係る木製の移植樹用地中支保工および支保方法を、その実施の形態を表した図面をもとに詳細に説明する。図1は樹木1を地面下から支えて移植後の安定と姿勢を保つようにするため、根鉢2にロープ3を掛けて縛りつけた地中支保工4の斜視図である。
これは、図2に示すように、二本の腕木5、4枚の受圧板6、後で詳しく述べる係止具7、刺し槍8および座枠9からなっている。これは、移植する際に根鉢2と共に図3のように植穴10に埋設され、樹木の外観を損なうことなく地面下から姿勢を保つように機能するようになっている。その構成品の大部分は木材であり、年月の経過と共に土と化して消失させることができるものである。
詳しく述べると、腕木5は植穴10の底部で水平に交差して埋設状態となる例えば1メートル長さの6センチメートル角材であり、間伐材等でも使用することができる。これは図2にあるように十字に組んで根鉢を載せる架台11となるものであり、その架台に一層の平面性を与えておきたい場合には、図4のように処置される。すなわち、交差部となる中央に他方の腕木と嵌まりあう3センチメートル深さの係合凹部12を形成しておき、図3のごとく、底面がほぼ平らな植穴10に安定して設置することができるように配慮される。
この腕木5は、相互に嵌まり合わせなければならないというものでもないが、係合凹部12が設けられて幅を腕木のそれに匹敵させておけば、平面視で十字をなす形は簡単に歪むことがない。交差部に釘13(図2を参照)を打つなりねじ止めするなどしておけば、一体化したものとして以後の取り扱いが容易となる。また、ロープ掛けの際に偏った力が一時的に作用することがあっても形が変わりにくく、固縛作業の円滑が図られ張力も均等に作用させやすくなる。
受圧板6は、腕木5の端部もしくはその近傍に固定される水平な面を持つ平板材で、例えば10×30センチメートル、厚み1センチメートルといったものでよい。受圧板はあくまでも土圧を受けて掘り起こし力に対して抵抗力を発揮し、支保工の姿勢変動を抑止するものであるから、図2における例のサイズバランスからも想像できる程度のものとしておけばよい。
もちろん、その面積は樹木の大きさや枝振りの大小をもとに適宜な寸法のものを使用することに、特に問題となることはない。腕木を長くしておき、その先端に取り付けることができる場合には受圧面積は小さくてよく、逆の場合には大きいものを採用した方がよいことは多くの経験を重ねるまでもない。この薄い木板は2〜3本の釘14で腕木5に簡単に打ちつけることができる。
交差した腕木5には、根鉢を載置する木製の座枠9が取り付けられる。これは図1や図2からも分かるように根鉢2の下部を支え、ロープ掛け時の安定を図るものである。従って、根鉢の下部を落とし込む程度の図2のような浅い矩形空間を画成するように配置される。桟材15は3センチメートル角程度のものでよく、長さは根鉢の大きさにもよるが例えば30センチメートル前後としておけば納まりのよいことが多い。これも腕木には釘16で固定されるが、掘り起こしの対抗力を発現させる必要はないので、ずれない程度の止め方で十分である。ちなみに、この桟材15は腕木5の交差状態を保持することにも寄与する。
図2を参照して、腕木5の交差部近傍には刺し槍8が立てられる。これは図3に示したように土がある程度固く締められている根鉢2を下部から突き込むもので、座枠9に載せられた根鉢2の姿勢の保持に役立つ。刺し槍は五寸釘のようなものでよく、金槌で1/3ほど打ち込めばよい。釘の頭は取り除くに越したことはないが、根鉢2の大きさやその硬軟具合を考慮すれば、頭が残っていても問題となることは多くない。
図2の例では架台11に座枠9が取り付けられているので、刺し槍8の位置は根鉢を囲む座枠よりは内側に設けられる。その立設位置は、所望数を交差部もしくはその近傍であって根鉢に突き刺すことができる箇所とすれば、特に限定されるものでない。この刺し槍は樹木を意図的に傾けて植えつけたい場合、ロープ掛け時にやや不安定な状態に置かれることのある根鉢を拘束しやすくする。
図1に示す根鉢2に巻回されるロープ3を腕木5に固縛する係止具7として、金属製のフックが採用される。これは交差部に対して背を向けたように立設されるが、下端にはねじが切られ、図示しないナットによって腕木5に固定される。そのため、腕木には図2にも示すように止め孔17が一つまたは長手方向に複数設けられる。
根鉢2の大きさや歪み具合に応じて適宜の位置の止め孔を選定すればよく、これによって根鉢2に巻回されるロープ3を適宜な長さで折り返えさせることができる。すなわち、根鉢2を上下方向に取り巻いて腕木5に固縛する操作を容易にする。後述するが、裾巻き18(図1や図3を参照)を含めてロープを一筆書き的に掛けることができるようにもなるので、一本のロープの巻きつけで操作は迅速に進められる。なお、その裾巻き時に加える力を加減することによって、根鉢の硬軟に応じた固縛力が与えやすくなる。
このように構成された地中支保工4は、図5の(a)のようにコンパクトに纏めて幾つもの組を一度に搬送することができ、作業現場において(b)のように配置して図2のように組み立てる。作業の大部分は釘打ち操作であり、強い力や熟練を必要とすることなく簡単に組み上げることができる。たとえ打ち間違っても裏から叩けば外すことができ、組み直しすることも差し支えない。根鉢2の大きさを見定めて刺し槍8の位置を決め、フックの取り付け位置も選んで固定すれば、図2のような支保工4となる。
このようにして、移植現場もしくはその近傍で支保工が組み上げられると、図1に示すように、腕木5の交差部に根鉢2を載置して刺し槍8で植栽姿勢を規定する。根鉢2にロープ掛けし、裾巻き18もすれば、何時でも植穴10(図3を参照)に降ろすことができる。ちなみに、基幹部にこも19を巻きつけておき、一本のロープ3を図6のようにして巻回すれば、ほとんど樹木を傷めることはない。
ロープ3は例えば小さな輪20を作って右のフック7Rに掛け、そこを出発点にして上へ掛けまわし、こも19の首部に適数回巻きつけてから隣のフック7Uに向けて降ろし、引っ掛けた後にこもまで上げ、左のフック7Lに向けて降ろすといったようにすれば、4つのフックを使って同じ力バランスで縛りあげることができる。もとのフック7Rに戻ったところで裾巻きを始めてこも19とフック7との間で上下方向に伸びるロープの張りを加減し、余ったロープの先をいずれかのところで絡めておけばよい。このような操作は地上だからこそできるのであって、植穴内では行い得ないか、できたとしてもそのロープ掛けとは比較にならない出来ばえとなる。
このようにして、所定本数の樹木の移植準備ができれば、クレーンを持ち込んで連続して次々と植穴に降ろしていけば、機械の運転時間も少なくできる。例えば庭園での移植作業では、重機類の待機や長時間使用は築山の形を崩したり再盛り土が余儀なくされることにもなる。
前記した刺し槍8や座枠9が設けられているから根鉢2の載置姿勢は保ちやすくなるだけでなく、幹に意図的な傾きを与えて築山の起伏や周囲の樹木の姿勢にマッチさせようとすることもできる。ちなみに、張り出す枝振りが立派な場合などでは、受圧板による掘り起こしの対抗力が不足することがある。カウンターフォースを発生させる側の受圧板には面積の広いものを採用すればよいが、支え切れないときには、その受圧板を押さえるアンカー21(図3を参照)を打ち込むなどしてもよい。アンカーとして真直な脚をもった棒材を使用すれば、根づき加減を見計らって抜き取ることもできる。
根鉢と共に支保工が植穴に据えつけられれば、根鉢の全部もしくは大部分が隠れるまで植穴に土22を埋め戻したり、客土するなどして残隙をなくす。ばら土による圧力は支保工にほぼ均等に土圧を及ぼすから、支保工に作用する力がアンバランスになることも少ない。腕木は従来技術の項で述べた金属パイプ材よりも幅を大きく与えておくことになるから、受圧板の支保作用を補うようにも機能する。
木製の支保工はいずれ地中のバクテリアなどによって分解されるので、ある程度の期間が経過して朽ちかければ、根の拡がりは阻害されることがない。ロープも植物性のものや風化可能な繊維を使用しておけば、金属性支保工のように環境に負荷を掛けたり、小動物の生息を妨げることもない。
以上述べたことから分かるように、支保工は木製品であり数本の釘を用いるなどして作業現場で簡単に組み立てられ、また搬入もコンパクトな荷姿でなされる。進退するような可動品はなくまた変形をきたす局所的な脆弱部もなく、しかも消失可能なゆえに受圧板を少々広くしておくこともできるから、支保工としての初期安定性が損なわれることもほとんどない。全体が一定の土質で覆われることになることからしても、荷重の局部的集中は少なくまた荷重負担の分散も図られやすい。
組み上げた支保工に根鉢を載せた後のロープ掛け作業はスペースに余裕のある地上で行うことができるので、作業員一人の力によっても十分に固縛することができる。係止具は根鉢を巻回するロープを簡単に折り返えさせ、根鉢を上下方向に取り巻いて腕木との固縛が確実となる。一体性が高まれば、根鉢の埋設後に支保工に掛かる荷重に偏りが生じることも少なくなる。
支保工を樹木に地上で一体にしておくことができるから、樹木を小型クレーン等で植穴に降ろして土を入れ、適度に固めればよい。それぞれの工程は独立して行うことができるので、作業の自由度は高くなり、段取りもとりやすくなる。負担の大きい狭い植穴内での作業の解放は、施工の迅速化・能率化を促す。樹木の大きさに応じて受圧板の面積を適宜に与えることも簡単であり、その準備に大した手間を要することもなく、現場での柔軟な対応が容易となる。
刺し槍は是非なければならないというものでないが、それが立てられていれば、腕木の交差部辺りで根鉢を下から突き刺し、根鉢の支保工に対する姿勢を保持させておくことができる。腕木に取り付けられる座枠は根鉢の下部周縁やその近傍を支えるので、根鉢を縛りつける作業が著しく容易となる。フックは根鉢に対するロープ掛け操作を極めて容易にする。いずれにしても、一本のロープにより円滑かつ迅速な縛りつけが可能となる。
このようなロープ掛けに際して、根鉢の上下方向に掛け渡されたロープを根鉢の下部で裾巻きするので、根鉢の支保工に対する縛りつけ力を増強することができる。植穴内でのロープ掛けが余儀なくされる支保方法とは異なり、あくまでもロープ掛けを植穴外で行うことにしているから可能になることである。さらに言えば、根鉢の硬軟によっては裾巻きに力加減すれば、縛りつけの程度を調節できることは既に述べたとおりである。
ところで、腕木5は同じ長さでなくてもよい。歩道沿いに植栽区画が準備されている場合には、それが長方形であることもしばしばである。そのような箇所に形成された植穴には、図7の(a)に示すように一方の腕木5Aを他方の腕木5Bより短くしておく。この場合、(b)のように短い腕木5Aに取り付けられる受圧板6Aを受圧板6Bより大きくして、掘り起こし対抗力バランスをとりやすくしておくこともできる。
前記した座枠は、非連続枠体となっているものであってもよい。それは根鉢の抜けを阻止するためのものでないので連続枠組である必要がないからである。図8の(a)に示すように、各桟材15を一本の釘23で回動可能な不連続枠組9Aにしておけば、根鉢2の下部形状に馴染ませやすい角度を、(b)のように自然と与えることができる。
図9は腕木5が3本採用された例で、座枠9Bは六角形で与えられている。腕木5Pと腕木5Qは、その係合凹部12Aの長さを大きく与えて図4の要領で重ね合わせ、図3のごとく一面内に配置する。この場合、腕木5Rの係合凹部の深さを腕木5P,5Qと同じく腕木高さの1/2としておくなら、二本の腕木5P,5Qに下からあてがうとき腕木5Rは1/2厚み分δだけ下方にはみ出る。しかし、植穴を形成するとき、腕木5Rが置かれる位置だけ一本の窪みを形成すれば、支保工4Aの全体を水平に設置することに特に問題が生じることはない。なお、座枠9Bのレベルを出すためには、角板24を挟み込んでおけばよい。
図10は座枠を持たない支保工4Bの例である。根鉢が小さいとか樹木自体が大きくない場合には、このようなもので十分であることも多い。刺し槍を省いてよいこともすでに述べたとおりである。図11は係合凹部12Bを腕木幅より広くしておき、二本の腕木の交差角αを任意に選定できるようにしたものである。
こうしておけば、植穴の平面形状が正方形でない場合でも、植穴に納めやすくなる。なお、複数の釘25等を使用すれば係合凹部12Bに隙間が残っても、根鉢にロープ掛けするときの張力で交差角が変化しようとするのを阻止しておくことができる。もちろん、図2のように桟材15を打ちつければ、交差角の保持はより一層強固なものとなる。
以上詳細に述べた説明から分かるように、支保工は少なくとも木製の腕木と受圧板と根鉢を腕木に固縛する係止具とを備えるが、構成品の大部分は木材であり、根づいた数年後には大部分が土と化す。植根の拡がりが何時までも阻害されるということはなく、しかし或る時期までは腕木と受圧板とで樹木の自立を助けるので、樹木の外観を損なうことなく地面下から姿勢を保つ。木製品であるから自然界に無用の負荷を掛けることはなく、間伐材や廃木材でも使用すれば資源の節約も図られ、また不用物の利用の途も拡げられる。
本発明に係る木製移植樹用地中支保工に根鉢を縛りつけた状態の斜視図。 代表例としての地中支保工の斜視図。 植穴に設置した後に土を埋め戻すなどした状態の移植図。 腕木とその交差部に与えられた係合凹部の形を示す斜視図。 支保工を構成する部材を示したもので、(a)は搬送時の荷姿、(b)は現場組み立てしようとする状態図。 根鉢にロープ掛けするときの巻回要領を示す模式的平面図。 腕木の長さを違えた例の平面図。 座枠形状を変化可能とした支保工の平面図。 腕木を三本採用した場合の平面図。 座枠を使用しない支保工の斜視図。 腕木の交差角を変化自在とした支保工の斜視図。
符号の説明
1…樹木、2…根鉢、3…ロープ、4,4A,4B…地中支保工、5,5A,5B,5P,5Q,5R…腕木、6,6A,6B…受圧板、7,7L,7R,7U…フック、8…刺し槍、9,9A,9B…座枠、10…植穴、12…係合凹部、15…桟材、17…止め孔、18…裾巻き、19…こも、20…輪、22…土。

Claims (5)

  1. 樹木の根鉢を地面下で支えて、移植後の安定と姿勢を保つ地中支保工において、
    移植後は植穴の底部で、中央に形成された係合凹部で嵌まりあって平面視で十字に組まれ、水平に交差して平面性が与えられて埋設状態となる木製の腕木と、
    該腕木の端部もしくはその近傍にあって、その上面に固定されて水平な面を持った木製の受圧板と、
    前記腕木の長手方向に一つまたは複数設けられている止め孔に取りつけられ、根鉢に巻回されるロープを腕木に固縛するフックと
    前記腕木の交差部には、桟材を打ちつけて取り付けられ、根鉢を載置する木製の平面矢視矩形の座枠と
    を備え、
    移植する際に根鉢と共に埋設して樹木の自立性を高め、根づいた数年後には大部分が土と化すことができるようにしたことを特徴とする木製の移植樹用地中支保工。
  2. 前記腕木の交差部には、載置した根鉢を下部から突き込む刺し槍が立てられていることを特徴とする請求項1に記載された木製の移植樹用地中支保工。
  3. 移植現場もしくはその近傍で請求項1に記載された木製移植樹用地中支保工を組み上げ、その腕木の交差部の座枠に根鉢を載置し、根鉢にロープ掛けして地中支保工に一体化させた樹木を植穴に降ろし、根鉢の全部もしくは大部分が隠れるまで植穴に土を入れるようにしたことを特徴とする移植樹の地中支保方法。
  4. 移植現場もしくはその近傍で請求項2に記載された木製移植樹用地中支保工を組み上げ、その腕木の交差部の座枠に根鉢を載置して刺し槍で植栽姿勢を規定し、根鉢にロープ掛けして地中支保工に一体化させた樹木を植穴に降ろし、根鉢の全部もしくは大部分が隠れるまで植穴に土を入れるようにしたことを特徴とする移植樹の地中支保方法。
  5. 交差部に載置された根鉢にロープ掛けする際ロープに小さな輪を作ってフックに掛け、そこを出発点にして上へ掛けまわし、こもの首部に適数回巻きつけてから隣のフックに向けて降ろし、引っ掛けた後にこもまで上げさらに隣のフックに向けて降ろし、引っ掛けた後にこもまで上げさらに隣のフックに向けて降ろし、引っ掛けた後にこもまで上げもとのフックに向けて降ろし、引っ掛けた後に、この上下方向に掛け渡されたロープを根鉢の下部で裾巻きすることを特徴とする請求項3または請求項4に記載された移植樹の地中支保方法。
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