JPH11225594A - ポット植栽の移植装置と移植方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】ポット植栽による幼木を移植する際、移植した
幼木の自立補助のための支柱及び幹部を縛りつける縄等
を不要とすることにより移植作業をやり易くし、従来の
ように移植後の景観を損ねないようしたポット植栽の移
植装置と移植方法を提供する。 【解決手段】幼木の栽培用ポット内の内周に余裕をもっ
て収容される多数の透孔を有する筒体２と、該筒体２の
外周の複数カ所に縦状に固設されたガイド部材３、３…
と、夫々のガイド部材３の長手方向に形成された案内溝
８に挿通される折曲片７を備えた抵抗部材６とから成
り、ポット内に収容した筒体２内の土壌１４中で育成し
た幼木１の根部１１を筒体２に収容した状態でポットか
ら取り出し、筒体２の複数のガイド部材３、３…の案内
溝８に抵抗部材６を挿着して土壌に埋設するようにした
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、幼木の栽培用ポッ
ト（幼木の栽培用容器）に入れて育成した幼木の根部を
地面に移植するのに用いるポット植栽の移植装置と移植
方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、幼木の栽培を行うために、ポット
中の土壌に苗木を植えて温床等で育成させることが行わ
れている。このポット中で育成した幼木は、ある程度成
長した時点で地面に移植する必要がある。

【０００３】このようなポット植栽による幼木を移植す
るには、地面に掘削した根穴にポットから取り出した幼
木の根部を入れ、この根部の周辺に掘削土を埋め戻した
後、幼木の自立補助のためにその近傍に支柱を立て、こ
の支柱に幼木を縛りつけるという面倒な作業を必要とし
ていた。

【０００４】また、近年においては、建築物の屋上のコ
ンクリート等の面上に幼木を植栽することが行われてい
るが、この際にも、コンクリート面上に堆積させた土壌
に根穴を設け、この根穴にポットから取り出した幼木の
根部を移植した後、上記の支柱を立てることを必要とし
ていたのである。

【０００５】ところが、従来の移植の際に用いられてい
た鳥居型の支柱は、施工が面倒であり、また景観を損ね
るという欠点があり、このような支柱を不要とするポッ
ト植栽に関する移植方法が求められていたのである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みて成されたもので、ポット植栽による幼木を
移植する際、移植した幼木の自立補助のための支柱及び
幹部を縛りつける縄等を不要とすることにより移植作業
をやり易くし、従来のように移植後の景観を損ねないよ
うしたポット植栽の移植装置と移植方法を提供すること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明のポット植栽の移植装置は、幼木の栽培
用ポット内の内周に余裕をもって収容される多数の透孔
を有する筒体と、該筒体の外周の複数カ所に縦状に固設
されたガイド部材と、夫々のガイド部材の長手方向に形
成された案内溝に挿通される折曲片を備えた抵抗部材と
から成り、前記ポット内に収容した前記筒体内の土壌中
で育成した幼木の根部を前記筒体に収容した状態で前記
ポットから取り出し、前記筒体の複数のガイド部材の案
内溝に前記抵抗部材を挿着して土壌に埋設するようにし
たものである。

【０００８】また、前記筒体は金網で形成されるのが好
ましい。

【０００９】また、前記抵抗部材は縦長の抵抗板に前記
折曲片を形成して成るようにしてもよい。

【００１０】また、前記抵抗部材は平面上に安定して設
置し得る抵抗基台の所定箇所に立設された係止板の一辺
に前記折曲片を形成して成るようにしてもよい。

【００１１】さらに、本発明のポット植栽の移植方法
は、外周の複数カ所に縦状にガイド部材を固設した多数
の透孔を有する筒体を栽培用ポット内に余裕を持って収
容すると共に該ポット内における前記筒体の内部と外周
に土壌を収容し、該筒体の内部で幼木の根部を育成する
ことにより該根部を前記筒体の透孔を経て該筒体の外周
の土壌に伸長させた幼木の根部を前記筒体に収容した状
態で前記ポットから取り出して該筒体を地面に掘削した
根穴内に収納した後、前記筒体の各ガイド部材に形成さ
れた案内溝に上方から抵抗板を打ち込んで挿着して前記
筒体を埋設するようにしてある。

【００１２】また、本発明のポット植栽の移植方法は、
外周の複数カ所に縦状にガイド部材を固設した多数の透
孔を有する筒体を栽培用ポット内に余裕を持って収容す
ると共に該ポット内における前記筒体の内部と外周に土
壌を収容し、該筒体の内部で幼木の根部を育成すること
により該根部を前記筒体の透孔を経て該筒体の外周の土
壌に伸長させた幼木の根部を前記筒体に収容した状態で
前記ポットから取り出して該筒体を地面に掘削した根穴
内に収納した後、平面上に設置した基台の所定箇所に立
設された係止板に形成された折曲片を前記ガイド部材の
長手方向に沿って設けられた案内溝の下方から挿着して
埋設するようにしてもよい。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について図
面を参照しながら説明する。

【００１４】図１(a) 及び(b) は本発明におけるポット
内の筒体内で育成した幼木の根部を筒体ごと栽培用ポッ
トから取り出すようにした状況を示す図面である。

【００１５】本発明においては、図１(a) に示すよう
に、幼木１の栽培用ポット５内の内周に多数の透孔を有
する筒体２を余裕をもって収容すると共に、ポット５内
における筒体２の内部及び外周に土壌１４を入れておく
と、筒体２内で育成した幼木１の根１２が筒体２の透孔
を経て絡みつくことにより、根部１１の全体が筒体２内
で固定した状態となる。

【００１６】本発明は、このようにポット５内に収容し
た筒体２内で成長した幼木１を筒体２に収容した状態で
移植するのであり、図１(a) に示すようにポット５を破
るか又は筒体２をポット５から抜き出すことにより筒体
２ごと根部１１を取り出し、以下の実施例１または２の
ように土壌中に埋設した状態にする。

【００１７】（実施例１）図２は実施例１における筒体
内で幼木の根部を育成して筒体のガイド部材に抵抗板を
挿着した状態を示す全体斜視図である。図４(a) 乃至
(f) は実施例１の移植装置の施工方法を示す側面図であ
る。

【００１８】図２において、この実施例の移植装置は、
幼木１の栽培用ポット５内の内周に余裕をもって収容さ
れる多数の透孔を有する筒体２と、該筒体２の外周の複
数カ所に縦状に固設されたガイド部材３、３…と、夫々
のガイド部材３の長手方向に形成された案内溝８に挿通
される折曲片７を備えた抵抗部材６とから成る。

【００１９】本実施例において、抵抗部材６は、一辺に
折曲片７を有する縦長の抵抗板９によって形成され、該
抵抗板９の下端には土中に侵入しやすい傾斜９ａが形成
され、この抵抗板９の折曲片７をガイド部材３の案内溝
８に上方から挿通して土壌に打ち込むようにしてある。

【００２０】このような構成をより詳細に述べると、ま
ず、ポット５は紙等で作成された幼木１の栽培用ポット
であり、図１(a) のようにポット５を破ることにより筒
体２をポット５から取り出すことができる。また、筒体
２をポット５から抜き出すことにより取り出してもよ
い。

【００２１】このポット５内に収容される筒体２は、コ
スト、軽量化及び透孔の形態上から図２のように金網で
形成したものを使用するのが好ましい。ただし、板部材
を円筒形に形成して多数の孔を設けたもの、さらに鋼板
に千鳥状の切れ目を入れてメッシュ状に広げたもの等を
使用してもよい。

【００２２】また、ポット５の外周の複数カ所、本実施
例においては四か所に等間隔で長尺のガイド部材３を縦
状に固設している。各ガイド部材３は、後述する抵抗部
材６の折曲片７を縦状に挿通して横方向の離脱を拘束し
得る形状の案内溝８が全長にわたって形成されている。

【００２３】本実施例において、抵抗部材６は先端に傾
斜辺９ａを有する抵抗板９を用いてあり、この抵抗板９
の長手側一辺に折曲片７を形成している。この抵抗板９
の折曲片７は上記のガイド部材３の案内溝８に縦方向か
ら摺動状態で挿通することにより、ガイド部材３の適宜
の位置で停止させることができる。

【００２４】上記の構成において、ポット５から取り出
した筒体２内にて幼木１の根部１１が成長し、筒体２の
透孔を経て伸長した根１２が筒体２の金網等に絡みつい
て根部１１の全体を筒体２内に固定した状態にすること
ができる。

【００２５】上記の移植装置を使用してポット植栽の幼
木１を移植するには、図３(a) のように、ポット５内の
筒体２の土壌中で成長した幼木１の根１２は上記のよう
にポット５内における筒体２の外周の土壌に伸長して絡
みつき、根部１１全体が筒体２に固定された状態にされ
る。

【００２６】そして、図３(b) に示すように、ポット５
を破り取って、図３(c) に示すように、根部１１を収容
したままの状態で筒体２をポット５から取り出し、該筒
体２の外周の土壌を払い落とす。

【００２７】次いで、図３(d) に示すように、地面に掘
削した根穴１０に上記の筒体２を収納し、図３(e) に示
すように、筒体２の外周の夫々のガイド部材３、３…に
抵抗板９の折曲片７を挿通して土壌１９に打ち込むと、
図３(f) に示すように、全部の抵抗板９、９…が土壌１
９に固定され、幼木１の移植が完了する。

【００２８】こうして移植が終了した幼木１は、上記の
ように、根部１１が筒体２の透孔等に絡みついて筒体２
に固定された状態にされているため、従来の移植に用い
られていた幼木１の幹部１３を縛りつける傾倒防止用の
縄或は支柱等を用いなくても良好な自立を行うことがで
き、地中での成長に伴い、筒体２の透孔を経て根１２を
地中に伸ばすことにより、さらに堅固な自立を行うこと
が可能となる。

【００２９】（実施例２）図４は本発明による実施例２
の移植装置の分解斜視図である。図５は実施例２におけ
る筒体内で幼木の根部を育成して筒体のガイド部材に抵
抗部材の係止板を挿着した状態を示す全体斜視図であ
る。図６(a) 及び(b) は実施例２の移植装置の施工方法
を示す側面図である。

【００３０】図４に示す本実施例の移植装置において
は、実施例１と同様に、幼木１の栽培用ポット５内の内
周に余裕をもって収容される多数の透孔を有する筒体２
と、該筒体２の外周の複数カ所（本実施例においては４
か所）に縦状に固設されたガイド部材３、３…の長手方
向に案内溝８が形成されていることと、夫々のガイド部
材３の案内溝８に挿通する折曲片７を有する抵抗部材６
とから成る。

【００３１】この実施例において、抵抗部材６は、平面
上に安定して設置し得る抵抗基台１６の所定箇所に立設
された係止板１７、１７…から成り、各係止板１７の一
辺に形成された折曲片７をガイド部材３の案内溝８に下
方から挿着するようにしている。

【００３２】なお、抵抗基台１６はアングル材を十字状
に固定してなり、コンクリート等の平面上にそのまま安
定して設置し得るものである。

【００３３】このような各部材の構成により、図５に示
すように、筒体２の透孔を経て伸長した根１２が筒体２
の金網等に絡みついて根部１１の全体を筒体２内に固定
した状態にし、筒体２の外周に固設されたガイド部材
３、３…の各案内溝８を抵抗基台１６の四方の係止板１
７の上方からに挿着することにより、筒体２を抵抗基台
１６と一体的に固定する。

【００３４】この実施例の移植装置を使用してポット植
栽による幼木１を移植するには、図６(a) に示すよう
に、建築物の屋上等のコンクリート１８の面上に抵抗基
台１６を設置し、ポット５から取り出した幼木１の根部
１１を筒体２に収容したままの状態にして、図６(b) に
示すように筒体２の外周のガイド部材３、３…の夫々の
案内溝８を抵抗基台１６の各係止板１７に挿着した後、
各ガイド部材３、３…の上端位置まで土壌１９を埋設す
ると、根部１１が固定状態となって幼木１の移植が完了
する。

【００３５】この実施例においても、実施例１と同様
に、幼木１の根部１１は筒体２内に固定された状態にあ
るため、幹部１３を縛りつける傾倒防止用の縄或は支柱
等がなくても移植した幼木１の自立が堅固に成される。

【００３６】

【発明の効果】以上説明した本発明のポット植栽の移植
装置を用いてポット植栽による幼木を移植するには、筒
体をポットに収容した状態で該筒体内の土壌中で根部を
育成すると、ポット内における筒体の外周の土壌に幼木
の根が伸長して筒体の透孔等に絡みつくことにより、幼
木の根部全体が筒体に固定される。

【００３７】本発明は、このように筒体に固定された幼
木の根部を筒体と共に栽培用ポットから取り出して移植
するのであり、筒体の外周に予め固設されたガイド部材
の案内溝に抵抗部材の折曲片を挿着して該抵抗部材と共
に土中に埋設することにより移植された幼木の自立を行
うことができ、しかも幼木の根部は筒体に固定された状
態にあるため、従来用いられていた傾倒防止用の縄或は
支柱等がなくても移植した幼木を堅固に自立させること
が可能となり、移植当初から良好な景観を得ることがで
きる。

【００３８】また、本発明で用いられる抵抗部材を抵抗
板によって形成した場合、通常の地中への移植が可能と
なり、また係止板を固設した抵抗基台を用いた場合、コ
ンクリート屋根等への移植が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１(a) 及び(b) は本発明における筒体をポッ
ト内に収容した状態にして該筒体内で幼木の根部を育成
し、この根部を筒体に入れた状態でポットから取り出す
ためにポットの一部を破った状況を示す図面である。

【図２】図２は実施例１における筒体内で幼木の根部を
育成して筒体のガイド部材に抵抗板を挿着した状態を示
す全体斜視図である。

【図３】図３(a) 乃至(f) は実施例１の移植装置の施工
方法を示す側面図である。

【図４】図４は本発明による実施例２の移植装置の分解
斜視図である。

【図５】図５は実施例２における筒体内で幼木の根部を
育成して筒体のガイド部材に抵抗部材の係止板を挿着し
た状態を示す全体斜視図である。

【図６】図６(a) 及び(b) は実施例２の移植装置の施工
方法を示す側面図である。

【符合の説明】

１…幼木 ２…筒体 ３…ガイド部材 ４…抵抗部材 ５…ポット ６…抵抗部材 ７…折曲片 ８…案内溝 ９…抵抗板 １０…根穴 １１…根部 １２…根 １３…幹部 １４…ポット中の土壌 １６…抵抗基台 １７…係止板 １８…コンクリート １９…土壌

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】幼木の栽培用ポット内の内周に余裕をもっ
   て収容される多数の透孔を有する筒体と、該筒体の外周
   の複数カ所に縦状に固設されたガイド部材と、夫々のガ
   イド部材の長手方向に形成された案内溝に挿通される折
   曲片を備えた抵抗部材とから成り、前記ポット内に収容
   した前記筒体内の土壌中で育成した幼木の根部を前記筒
   体に収容した状態で前記ポットから取り出し、前記筒体
   の複数のガイド部材の案内溝に前記抵抗部材を挿着して
   土壌に埋設するようにしたことを特徴とするポット植栽
   の移植装置。
2. 【請求項２】前記筒体は金網で形成されたことを特徴と
   する請求項１記載のポット植栽の移植装置。
3. 【請求項３】前記抵抗部材は縦長の抵抗板に前記折曲片
   を形成して成ることを特徴とする請求項１記載のポット
   植栽の移植装置。
4. 【請求項４】前記抵抗部材は平面上に安定して設置し得
   る抵抗基台の所定箇所に立設された係止板の一辺に前記
   折曲片を形成して成ることを特徴とする請求項１記載の
   ポット植栽の移植装置。
5. 【請求項５】外周の複数カ所に縦状にガイド部材を固設
   した多数の透孔を有する筒体を栽培用ポット内に余裕を
   持って収容すると共に該ポット内における前記筒体の内
   部と外周に土壌を収容し、該筒体の内部で幼木の根部を
   育成することにより該根部を前記筒体の透孔を経て該筒
   体の外周の土壌に伸長させた幼木の根部を前記筒体に収
   容した状態で前記ポットから取り出して該筒体を地面に
   掘削した根穴内に収納した後、前記筒体の各ガイド部材
   に形成された案内溝に上方から抵抗板を打ち込んで挿着
   して前記筒体を埋設することを特徴とするポット植栽の
   移植方法。
6. 【請求項６】外周の複数カ所に縦状にガイド部材を固設
   した多数の透孔を有する筒体を栽培用ポット内に余裕を
   持って収容すると共に該ポット内における前記筒体の内
   部と外周に土壌を収容し、該筒体の内部で幼木の根部を
   育成することにより該根部を前記筒体の透孔を経て該筒
   体の外周の土壌に伸長させた幼木の根部を前記筒体に収
   容した状態で前記ポットから取り出して該筒体を地面に
   掘削した根穴内に収納した後、平面上に設置した基台の
   所定箇所に立設された係止板に形成された折曲片を前記
   ガイド部材の長手方向に沿って設けられた案内溝の下方
   から挿着して埋設することを特徴とするポット植栽の移
   植方法。