JP4539802B2 - ガスセンサ素子及びガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の内燃機関から排出される排ガスといった測定対象気体中から、特定ガスを検出するための積層タイプのガスセンサ素子及びガスセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、測定対象気体中の特定ガスを検出するガスセンサとして、酸素センサ、HCセンサ、NOxセンサが知られている。この種のガスセンサには、例えば、酸素イオン伝導型固体電解質体(ジルコニアなど)等からなる長尺状のセラミック層を複数積層してなる積層タイプのガスセンサ素子(以下、単に「素子」ともいう)が知られている。そして、このガスセンサ素子としてより具体的な構造として、固体電解質で形成された素子本体層の一方の表面に検知電極を、他方の表面に基準電極を形成した長尺状の酸素濃淡電池素子と、発熱抵抗体を、セラミックから構成される第一ヒータ本体層及び第二ヒータ本体層にて挟む形で形成したセラミックヒータとを積層した構造のものが今日多用されている。
【0003】
ここで、このような積層タイプの素子については、一般的に下記に示す手順により製造されるものである。
(1)複数の素子本体層を形成可能な大きさを有する未焼成固体電解質シートに、検知電極及び基準電極となるべき未焼成電極パターンを該素子本体層の数に対応して各々形成し、複数の酸素濃淡電池素子が得られる未焼成体を作製する。
(2)複数の第1ヒータ本体層及び第二ヒータ本体層をそれぞれ形成可能な大きさを有する未焼成固体電解質シートの間に、発熱抵抗体となるべき未焼成発熱抵抗体パターンを挟み込む形で形成して、複数のセラミックヒータが得られる未焼成体を作製する。
(3)それら酸素濃淡電池素子の未焼成体とセラミックヒータの未焼成体を積層して未焼成積層体となし、次いで該未焼成積層体を長手方向に沿って切断、分割して素子成形体を作製し、その素子成形体を一体に焼成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような積層タイプの素子では、複数のセラミック層を積層して構成される関係上、素子の厚み方向(即ち、積層方向)に対する耐久性には十分な考慮が必要となる。とりわけ問題となるのは、上述した製造時の切断工程を経ることで素子の露出面に生じる切断面の表面状態であり、より具体的には素子の長手方向における積層界面の露出した両側面の表面状態にある。例えば、上述した製造時の切断工程にて未焼成積層体を切断した際に、その切断面に切断刃の影響等により傷(凹凸)が生じていたりすると、その凹凸が焼成後の素子にも残留し、これが破壊の起点となって素子の強度を低下させてしまうのである。なお、素子の切断面に凹凸が生ずると、素子自体の厚み方向に対する機械的強度につきこの凹凸が破壊の起点となり、素子の機械的強度を低下させてしまう他に、セラミックヒータへの通電時における熱衝撃に起因して、この凹凸が破壊の起点となり素子にクラックを発生させてしまう問題がある。
【0005】
本発明は、こうした問題点を解決するものであり、積層タイプの素子の製造時に切断工程を経ることで素子の切断面に凹凸が生ずる場合にも、得られる素子自体の機械的強度を有効に向上させることができ、かつセラミックヒータの通電時における熱衝撃に対してもクラックが生じにくいガスセンサ素子、及び、それを用いたガスセンサ提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】
その解決手段は、固体電解質で構成された素子本体層に、検知電極及び基準電極を形成した長尺状の酸素濃淡電池素子と、発熱抵抗体を、第一ヒータ本体層及び第二ヒータ本体層にて挟む形で形成した長尺状のセラミックヒータと、を少なくとも積層してなるガスセンサ素子であって、当該ガスセンサ素子のうち、少なくとも長手方向における積層界面が露出した両側面に絶縁皮膜が形成されるとともに、前記絶縁皮膜の表面粗度が40μmRmax以下とされているガスセンサ素子である。
【0007】
また、他の解決手段は、固体電解質で構成された素子本体層に、検知電極及び基準電極を形成した長尺状の酸素濃淡電池素子と、発熱抵抗体を、第一ヒータ本体層及び第二ヒータ本体層にて挟む形で形成した長尺状のセラミックヒータと、を少なくとも積層してなるガスセンサ素子であって、当該ガスセンサ素子における露出面のうち、切断面にあたる側面に絶縁皮膜が形成されるとともに、前記絶縁皮膜の表面粗度が40μmRmax以下とされているガスセンサ素子である。
【0008】
本発明者らは、検知電極及び基準電極を形成した長尺状の酸素濃淡電池素子と、発熱抵抗体を有する長尺状のセラミックヒータとを少なくとも積層してなるガスセンサ素子において、素子自体の厚み方向に対する機械的強度、さらにはセラミックヒータの通電時における熱衝撃に対する素子の耐久性を高める上で、素子における切断面、具体的には素子の長手方向における積層界面が露出した側面に絶縁皮膜を形成して、切断面に生じた凹凸をならすことが有効であることを見い出し、それにより耐久性に優れたガスセンサ素子を実現したのである。なお、ここでいう「表面粗度」は、日本工業規格(JIS)B−0601により測定された表面粗度の最大高さRmaxを意味する。
【0009】
ここで、本発明では、素子における切断面、具体的には素子の長手方向における積層界面が露出した側面に絶縁皮膜を形成するにあたって、側面(切断面)に形成する絶縁皮膜の表面粗度が40μmRmax以下とされていることは主要な点である。凹凸が生じた側面に絶縁皮膜を形成したとしても、側面上での凹凸の影響で絶縁皮膜上に凹凸が生じてしまっていては、つまり絶縁皮膜の表面粗度が40μmRmaxを超える場合には、側面上での凹凸をならした効果は小さく、素子自体の厚み方向に対する機械的強度、セラミックヒータの通電時における熱衝撃に対する素子の耐久性を高める効果が期待できないからである。なお、上記絶縁皮膜の表面粗度は、より望ましくは30μmRmax以下とするのがよい。
なお、素子の側面(切断面)における凹凸の程度により絶縁皮膜上の凹凸も影響を受けることになるため、絶縁皮膜の表面粗度が40μmRmax以下となるように膜厚は、製造工程を考慮して適宜調整すればよい。
【0010】
また、本発明においては、素子の側面(切断面)が絶縁皮膜にて被覆されることから、この素子をガスセンサに組み付けて実使用環境下において使用に供されるうちに、素子の側面に導電性のカーボンが付着されることがあったとしても、このカーボンは絶縁皮膜の表面に付着されることになる。その結果、固体電解質からなるセラミック層にカーボンが直接付着することを抑制する効果も得られ、ヒータの漏れ電流がリークしてブラックニングを誘発するといった問題も低減させることが可能である。なお、このカーボンの付着に対する絶縁性の効果をより向上させる必要がある場合には、素子の長手方向における積層界面が露出する両側面に加えて、測定対象気体に晒される側の積層界面が露出する一端面にも絶縁皮膜を形成すればよい。
【0011】
上記「絶縁皮膜」について、組成は特に限定されるものではなく、アルミナ、ムライト、マグネシア・アルミナスピネル等絶縁性に優れた材料を主体とする組成により構成することができるが、アルミナを主体に構成することが好ましい。
アルミナは絶縁性が非常に高く、ジルコニア等に比べて熱伝導性に優れるので素子への熱衝撃を緩和させる観点からも優れる材料であるからである。なお、本明細書における「主体」とは、最も重量含有率の高い成分を意味するものであって、必ずしも50重量%以上を占める成分のことを意味するものではない。
【0012】
ついで、上述した本発明の優れたガスセンサ素子を製造するための方法としては、複数の素子本体層を形成可能な大きさを有する未焼成固体電解質シートに、検知電極及び基準電極となるべき未焼成電極パターンを該素子本体層の数に対応して各々形成し、複数の酸素濃淡電池素子が得られる未焼成体を作り、複数の第1ヒータ本体層及び第二ヒータ本体層をそれぞれ形成可能な大きさを有する未焼成固体電解質シートの間に、発熱抵抗体となるべき未焼成発熱抵抗体パターンを挟み込む形で形成して、複数のセラミックヒータが得られる未焼成体を作り、それら酸素濃淡電池素子の未焼成体とセラミックヒータの未焼成体を積層して未焼成積層体となし、次いで該未焼成積層体を切断により分割して素子成形体を作り、その素子成形体の前記切断によって形成された積層界面が露出する側面に絶縁皮膜となるべき絶縁ペーストを塗布し、次いでこの素子成形体を一体に焼成することで、前記切断によって形成された前記側面に対して表面粗度が40μmRmax以下の絶縁皮膜が形成されるガスセンサ素子の製造方法である。
【0013】
積層タイプのガスセンサ素子を得るにあたっては、複数の素子が一度に得られる大きさの未焼成積層体を上述のように形成した上で、未焼成積層体から個々の素子成形体に分割することが一般的である。そして、複数のガスセンサ素子が得られる大きさを有する未焼成積層体から個々の素子成形体を得るには、切断刃を使用したり、打ち抜きといった切断工程が必要であるが故に、切断工程を経て得られる素子成形体の積層界面が露出する側面(すなわち切断面)、とりわけ素子の長手方向における積層界面が露出する両側面にて凹凸が生じることがある。そこで、本発明では、切断によって得られる個々の素子成形体において、この切断によって形成された側面に絶縁皮膜となるべき絶縁ペーストを塗布し、その上で焼成を行っている。なお、素子成形体の切断によって形成された側面に対し、焼成後の絶縁皮膜の表面粗度が40μmRmax以下となるように絶縁ペーストを適宜調整して塗布し、焼成することにより、焼成後には焼成前に調整した絶縁ペーストの状態を反映し、表面粗度が40μmRmax以下となる絶縁皮膜が良好にかつ安定して形成されることになる。
【0014】
ここで、上述のような構成のガスセンサ素子において、素子の側面(切断面)に対して表面粗度が40μmRmax以下の絶縁皮膜を形成するには、未焼成成形体の焼成後の側面に絶縁ペーストを塗布し、再焼成することも可能であるが、焼成前、すなわち未焼成積層体の切断、分割後の段階で各素子成形体の切断によって形成された側面に絶縁ペーストを塗布し、その状態で素子成形体を一体に焼成するほうが経済的には有効である。なお、絶縁性ペーストの塗布にあたっては、スクリーン印刷等により行うことができる。
【0015】
さらに、本発明のガスセンサでは、ガスセンサ素子を支持するとともに、ガスセンサ素子を測定位置に配置するためのセンサハウジングを備えるガスセンサに対して、本発明の上述のような構成のガスセンサ素子を使用することを特徴とする。これにより、ガスセンサ素子においては、素子自体の厚み方向(積層方向)に対する機械的強度、セラミックヒータの通電時における熱衝撃に対する素子の耐久性が高められていることから、良好に特定ガスの検出を行うことができ、かつ長寿命のガスセンサを提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の積層タイプのガスセンサ素子及びそれを組み込んだガスセンサを実施例により詳しく説明する。
1.ガスセンサの構造
図1は、本発明のガスセンサ素子が組み込まれたガスセンサであり、内燃機関の排気管に取り付けられ、排ガス中の酸素濃度の測定に使用されるλ型酸素センサと通称される酸素センサ200の一例を示した断面図である。
【0017】
この酸素センサBに組み込まれる積層型酸素センサ素子A(以下、単に「素子A」ともいう)は、その前方側が主体金具3の先端より突出するように当該主体金具3に形成された挿通孔32に挿通されると共に、挿通孔32の内周面と素子Aの外周面との間が、ガラス(例えば結晶化亜鉛シリカほう酸系ガラス)を主体に構成される封着材層41により封着されている。主体金具3の先端部外周には、素子Aの突出部分を覆う金属製の二重のプロテクタ61、62がレーザー溶接等によって固着されている。このプロテクタ61、62は、キャップ状を呈するもので、その先端や周囲に、排気管内を流れる排ガスをプロテクタ61、62内に導くガス導入孔61a、62aが形成されている。一方、主体金具3の後端部は外筒7の先端部内側に挿入され、その重なり部分においては、周方向にレーザー溶接等の接合が施されている。なお、主体金具3の外周部には、酸素センサB(主体金具3)を排気管にねじ込んで取り付けるための取り付けねじ部31が螺設されている。
【0018】
そして、素子Aは、第1コネクタ51、長手状金属薄板52、第二コネクタ部53及び絶縁板(図示せず)(なお、これらを総称して「外部端子」という)と、リード線9とを介して、図示しない外部回路と電気的に接続されている。また、都合4本のリード線9は、外筒7の後端側に位置するグロメット8を貫通して延びている。
【0019】
また、素子Aの長手方向(軸線方向)において、封着材層41の少なくとも一方の側に隣接する形で(本実施例では封着材層41の検出部Xに近い端面側に隣接して)、多孔質無機物質(例えばタルク滑石の無機物質粉末の圧粉成形体あるいは多孔質仮焼体)で構成された緩衝層42が形成されている。この緩衝層42は、封着材層41から軸方向に突出する素子Aを外側から包むように支持し、過度の曲げ応力や熱応力が素子Aに加わるのを抑制する役割を果たす。
【0020】
2.積層型酸素センサ素子の構造
次に、本発明の主要部である積層型酸素センサ素子について、図2を用いて説明する。なお、図2は図1に示した酸素センサBに備えられている積層型酸素センサ素子Aの分解斜視図を示すものであり、この素子Aは酸素濃淡電池素子1及びセラミックヒータ2を積層した構造を有するものである。
【0021】
このうち酸素濃淡電池素子1は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアを主体に構成された酸素濃淡電池用固体電解質層11を備え、酸素濃淡電池用固体電解質層11の一端側(図1における主体金具3の先端より突出する側)の表裏面に検知電極13a及び基準電極13bが直に形成され、検知電極13aの電極部131aと基準電極13bの電極部131bにて酸素濃淡電池用固体電解質層11を介して対向させることで図1における検知部Xを構成している。この電極部131a及び電極部131bには、酸素濃淡電池用固体電解質層11の長手方向に延設する導体リード部132a及び132bがそれぞれ接続されている。但し、これらの各導体リード部132a及び132bは、酸素濃淡電池用固体電解質層11の表裏面に酸素濃淡電池用第1絶縁層12a及び酸素濃淡電池用第2絶縁層12bを介して形成されている。なお、酸素濃淡電池用第1絶縁層12a並びに酸素濃淡電池用第2絶縁層12bは、いずれも絶縁性に優れるアルミナを主体に構成されている。
【0022】
導体リード部132aの末端は、外部回路接続用の外部端子(図示せず)と接続されると共に、電極部131aと電気的に接続される信号取出し用端子133aを構成するものである。また、導体リード部132bの末端は酸素濃淡電池用固体電解質層11、酸素濃淡電池用第1絶縁層12a及び酸素濃淡電池用第2絶縁層12bを貫通するスルーホール15を介して、外部端子と接続されるための信号取出し用端子14と接続される。
【0023】
一方、セラミックヒータ2は、白金や白金合金等から構成される発熱抵抗体21を備え、この発熱抵抗体21は、絶縁性に優れるアルミナを主体に構成されるヒータ用第1絶縁層22a及びヒータ用第2絶縁層22bに挟持されている。更に、上記絶縁層に挟持された発熱抵抗体21は、ジルコニアを主体に構成される第1ヒータ本体層23a及び第2ヒータ本体層23bに挟持された上で、アルミナを主体とするセラミックから構成されるヒータ用第3絶縁層24a及びヒータ用第4絶縁層24bとにより挟持される多層構造を呈する。
【0024】
この発熱抵抗体21は、ヒータ用第4絶縁層24b、ヒータ用第2本体層23b及びヒータ用第3絶縁層22bを貫通するスルーホール26a及び26bを介して、外部回路用の外部端子と接続されるヒータ通電端子25a及び25bと電気的に接続されるものである。
【0025】
なお、図2の分解斜視図においては示していないが、図3に模式的に示すように、酸素濃淡電池素子1とセラミックヒータ2との積層体(即ち、素子Aのこと)の両側面及び被測定ガスに曝される側の一端面には絶縁皮膜29がそれぞれ形成されている。なお、この絶縁皮膜29は、絶縁性に優れるアルミナを主体に構成されている。また、絶縁皮膜29の表面粗度は40μmRmax以下となっている(具体的には、絶縁皮膜29の表面粗度27.9μmRmax)。このように40μmRmax以下の表面粗度にある絶縁皮膜29が、素子Aの少なくとも長手方向(図中上下方向)における積層界面が露出した両側面(換言すれば後述する切断面)に形成されることによって、素子自体の厚み方向(積層方向)に対する機械的強度、セラミックヒータの通電時における熱衝撃に対する素子の耐久性を有効に高めることができる。この絶縁皮膜29の形成方法については後述する。
【0026】
3.積層型ガスセンサ素子の製造
▲1▼酸素濃淡電池素子となる第1未焼成体の作製
イットリアあるいはカルシア等の安定化剤を固溶させたジルコニア粉末を、有機バインダ(PVB系バインダ)と共に混練した生素地を用いて、酸素濃淡電池用固体電解質層11となりうる、複数(5個)の素子を切り出すことができる大きさを有する未焼成固体電解質シートを形成した。そして、このシートの検知電極13aの電極部131a及び基準電極13bの電極部131bが形成される部位を除く表裏面に、アルミナを主体とし、ブチルカルビドール等の有機溶剤を含む絶縁用ペーストを用いて、素子5個分の酸素濃淡電池用絶縁層12a及び12bとなる塗膜を印刷して、乾燥させた。その後、これら塗膜が形成された未焼成固体電解質シートの所定位置に対して素子5個分のスルーホール15となる貫通孔を穿ち、そのスルーホール15の内壁面及び開口端縁までを被覆するように絶縁用ペーストを印刷して、乾燥させた。
【0027】
更に、酸素濃淡電池用絶縁層12a及び12bとなる塗膜(スルーホール15となる貫通孔上の絶縁用ペーストによる塗膜含む)上の所要領域に、白金を主成分とし、金あるいはロジウム等が添加された導電ペーストを所定のパターンに印刷し、ついで乾燥させて、電極部131a、電極部131b、リード部132a、132b、信号取出し用端子133a、14となる導体パターン(塗膜)をそれぞれ素子5個分にわたって形成した。これにより、酸素濃淡電池素子1となる第1未焼成体を得た。
【0028】
▲2▼セラミックヒータとなる第2未焼成体の作製
次いで、第2ヒータ本体層23bとなる、上述の▲1▼と同様の未焼成固体電解質シート(▲1▼と同様に複数(5個)の素子を切り出すことができる大きさを有する未焼成固体電解質シートである)を形成し、その表裏面に上述の▲1▼と同様の絶縁用ペーストを印刷し、乾燥させて、ヒータ用第3絶縁層22b及びヒータ用第4絶縁層24bとなる塗膜を素子5個分にわたって形成した。その後、これら塗膜が形成された未焼成固体電解質シートの所定位置に、素子5個分のスルーホール26a及び26bとなる貫通孔を穿ち、そのスルーホール26a及び26bの内壁面及び開口端縁までを被覆するように上記絶縁用ペーストを印刷して、乾燥させた。
【0029】
更に、ヒータ用第3絶縁層22b及びヒータ用第4絶縁層24bとなる塗膜(スルーホール26a及び26bとなる貫通孔上の絶縁用ペーストによる塗膜含む)上の所要領域に、上述の▲1▼と同様の導電ペーストを所定のパターン(例えば蛇行状)に印刷し、乾燥させて、発熱抵抗体21、一対のヒータ通電端子25a及び25bとなる導体パターン(塗膜)をそれぞれ素子5個分にわたって形成した。そして、ヒータ用第1絶縁層22aとなる層を、発熱抵抗体21となる導体パターン上に印刷し、更に第1ヒータ本体層23aとなる上述の▲1▼と同様の未焼成固体電解質を積層・減圧圧着した。これにより、セラミックヒータ2となる第2未焼成体を得た。
【0030】
▲3▼組立・脱脂、及び焼成
第2未焼成体を構成する第1ヒータ本体層23aの表面に、ヒータ用第3絶縁層24aとなる層を素子5個分に対応するように印刷し、第1未焼成体を積層・減圧圧着して未焼成積層体を得た。そして、この未焼成積層体から個々の素子Aを形成すべく、切断刃を使用して5個の素子成形体を切断、分割した(図5参照)。このとき、切断刃による切断については、未焼成積層体の長手方向に対し、即ち得られる素子成形体の長手方向における積層界面が露出した面が切断面となるように行われた。ついで、各々の素子成形体の長手方向における積層界面が露出した両側面(切断面)及び測定対象気体に晒されることになる積層界面が露出した一端面に対して、上述の▲1▼と同様のアルミナを主体とする絶縁用ペーストを適宜調整しつつスクリーン印刷して乾燥させ、この状態の素子成形体を大気雰囲気下、450℃で1時間保持しつつ脱脂した後に、1500℃で1時間焼成して、積層型酸素センサ素子Aを得た。
【0031】
▲4▼得られた積層型酸素センサ素子の寸法
図4は、▲1▼〜▲3▼で得られた素子Aの検知部X(図1参照)における長手方向と直交する向きの断面図である。素子幅W:3.1mm、酸素濃淡電池用固体電解質層11の厚さD4:0.5mm、酸素濃淡電池部第1絶縁層12b及びヒータ部第3絶縁層24aの合計厚さD5:0.04mm、ヒータ部第1本体層の厚さD6:0.5mm、ヒータ部第1絶縁層22a及びヒータ部第2絶縁層22bの合計厚さD7:0.07mm、ヒータ部第2本体層23bの厚さD8:0.5mm、ヒータ部第4絶縁層24bの厚さD9:0.03mm、酸素濃淡電池部第2絶縁層12bの厚さD10:0.02mm、絶縁皮膜29の表面粗度27.9μmRmax、素子前端からスルーホールへの長手方向の距離:35.7mmである。
【0032】
4.素子の評価
3.で説明した手法により、素子の長手方向における積層界面が露出した両側面に形成される絶縁皮膜の表面粗度を表1に示すように適宜調整した素子を4種類2つずつ作製した。また、上記側面に絶縁皮膜を形成しない素子についても2つ作製した。そして、まず計5種類の素子をについて、抗折強度試験を行った。
抗折強度試験については、素子を2個の支えの上に載せ、その中央に荷重を加えて素子を破断し、その耐えた最大荷重を測定した。なお、本試験については、素子の絶縁皮膜が形成される長手方向における積層界面が露出する両側面のうちの一方が引張り面となるように、荷重を加える形態で行った。各素子における最大荷重の数値については表1に併記した。
【0033】
ついで、上述の計5種類の素子について過電圧負荷試験を実施した。この過電圧試験は、5種類の素子の発熱抵抗体に18Vの電圧を1分間印加した後、3分間通電を停止するサイクルを1サイクルとして、これを10サイクル繰り返し行い、この10サイクル経た素子のクラックの有無を目視により観察し、クラックが認められるまで電圧を1Vずつ大きくしながら、各電圧において上記と同様に10サイクルを繰り返し行った。この試験により、各素子にクラックの発生がみられた電圧を表1に併記した。なお、本試験に用いた素子はいずれも発熱抵抗体の抵抗値が8Ω(常温)である。
【0034】
【表1】
Figure 0004539802
【0035】
この抗折強度試験、及び過電圧負荷試験の結果より、素子の長手方向における積層界面が露出する両側面に表面粗度40μmRmax以下の絶縁皮膜が形成された実験例1〜3の素子については、比較例1及び2と比較して抗折強度が顕著に向上し、さらには過電圧に対する特性(即ち、セラミックヒータへの通電時における熱衝撃に対する素子自体の耐久性)が向上していることが分かる。とりわけ、絶縁皮膜の表面粗度が30μmRmax以下の実験例1及び2については、抗折強度試験最大荷重として900kgf以上の値が得られ、良好な機械的強度を有する素子が得られることが分かる。
【0036】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。例えば、絶縁皮膜については、表面粗度40μmRmax以下を満たす形で、素子における積層界面が露出する全ての面に対して形成されていてもよい。さらに、上記実施例において、酸素濃淡電池用固体電解質層11上に形成された測定対象気体と接触する検知電極13aの電極部131aを少なくとも覆う形で、被毒防止用の多孔質層(気孔率としては25〜65%)を形成してもよいことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層型酸素センサ素子が組み込まれた酸素センサの断面を示す模式図である。
【図2】本発明の積層型酸素センサ素子を分解して示す斜視図である。
【図3】本発明の積層型酸素センサ素子を模式的に示す一部切欠斜視図である。
【図4】本発明の積層型酸素センサ素子の検知部における長手方向と直交する向きにおける断面図である。
【図5】本発明の積層型酸素センサ素子となる未焼成積層体を、切断刃によって切断する切断方向を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
A;積層型酸素センサ素子(ガスセンサ素子)、1;酸素濃淡電池素子、11;酸素濃淡電池用固体電解質層、12a;酸素濃淡電池用第1絶縁層、12b;酸素濃淡電池用第2絶縁層、13a;検知電極、13b;基準電極、2;セラミックヒータ、21;発熱抵抗体、22a;ヒータ用第1絶縁層、22b;ヒータ用第2絶縁層、23a;第1ヒータ本体層、23b;第2ヒータ本体層、24a;ヒータ用第3絶縁層、24b;ヒータ用第4絶縁層、133a、14;信号取出し用端子、29;絶縁皮膜、B;酸素センサ(ガスセンサ)、X;検知部。

Claims (6)

  1. 固体電解質で構成された素子本体層に、検知電極及び基準電極を形成した長尺状の酸素濃淡電池素子と、発熱抵抗体を、第一ヒータ本体層及び第二ヒータ本体層にて挟む形で形成した長尺状のセラミックヒータと、を少なくとも積層してなるガスセンサ素子であって、
    当該ガスセンサ素子のうち、少なくとも長手方向における積層界面が露出した両側面に絶縁皮膜が形成されるとともに、前記絶縁皮膜の表面粗度が40μmRmax以下とされていることを特徴とするガスセンサ素子。
  2. 前記絶縁皮膜は、アルミナを主体に構成されている請求項1記載のガスセンサ素子。
  3. 前記酸素濃淡電池素子と前記セラミックヒータは、一体に焼成されている請求項1又は2に記載のガスセンサ素子。
  4. 前記セラミックヒータは、絶縁層中に前記発熱抵抗体を埋設しており、該絶縁層を固体電解質で構成された前記第一ヒータ本体層及び前記第二ヒータ本体層にて挟む形で形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載のガスセンサ素子。
  5. 固体電解質で構成された素子本体層に、検知電極及び基準電極を形成した長尺状の酸素濃淡電池素子と、発熱抵抗体を、第一ヒータ本体層及び第二ヒータ本体層にて挟む形で形成した長尺状のセラミックヒータと、を少なくとも積層してなるガスセンサ素子であって、
    当該ガスセンサ素子における露出面のうち、切断面にあたる側面に絶縁皮膜が形成されるとともに、前記絶縁皮膜の表面粗度が40μmRmax以下とされていることを特徴とするガスセンサ素子
  6. 測定対象気体中の特定ガスを検出するためのガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を支持するとともに、該ガスセンサ素子を測定対象位置に配置するためのセンサハウジングとを備えたガスセンサであって、前記ガスセンサ素子が、請求項1乃至5のいずれかに記載のガスセンサ素子であることを特徴とするガスセンサ。
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