JP4535927B2 - 咀嚼・嚥下機能低下者用パン類 - Google Patents

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Description

本発明は、摂食・嚥下機能低下者、特に、高年齢者や、歯に関する病気の患者等、咀嚼や嚥下が不自由な状況となった、いわゆる咀嚼・嚥下機能低下者であっても、従来のパン以上の風味や食感を楽しみながら咀嚼でき、且つ、安全に嚥下できるパン類に関する。
近年、高年齢者の増加に伴い、摂食・嚥下機能低下者、特に、食物を噛み砕き飲み込むという一連の動作に障害を持つ、いわゆる咀嚼・嚥下機能低下者が増加している。
しかし、可能な限り経口摂取を行なうことにより、QOL(Quality of Life・生活の質)の向上を図ることができるため、経口摂食が可能で食べる楽しみが得られ、且つ摂食機能を向上させることが出来る咀嚼・嚥下機能低下者用の食品の開発が盛んに行われている。
ところで、咀嚼・嚥下機能低下者用の食品としては、通常の場合に比べて水分含量を多くした食品、例えば、米飯であれば、水分含量を多くして炊いたいわゆるおかゆが一般的であり、また、水のように極めて流動性の高い液状食品にゲル化剤等を添加して咀嚼・嚥下に適した粘稠性を付与する方法もまた一般的である(例えば特許文献1〜3参照)。
しかし、これらの方法は、元来水分含量の多い食品や流動性を有する液状食品をベースにするため、あらゆる種類の食品に適用することは困難であり、食品のバラエティが少ない。
また、最近の高年齢者世代は、若いころから、戦後の食の欧米化に伴い、米飯中心の食生活から、パン食を中心とする食生活になってきた世代であることから、パン食の要望も高まっている。しかし、パンは、米飯に比べ水分含量が少なく、若干のヒキのある食感が特徴であるため、ソフトな物性を示すものであっても、咀嚼に要する筋活動量は米飯よりも高い値を示し、咀嚼力の低下した高年齢者には食べづらい食品である。また、パンは、咀嚼により付着性が増すため、嚥下力低下者には窒息の危険が高く、咀嚼・嚥下機能の低下した高年齢者でも安全に食べることができるパン類の開発は、現在までまったく行なわれてこなかった。
特開2000−083617号公報 特開2000−191553号公報 特開2004−350680号公報
従って、本発明の目的は、歯切れが良好で且つ付着性が低く、高年齢者や、歯に関する病気の患者等、咀嚼や嚥下が不自由な状況となった、いわゆる咀嚼・嚥下機能低下者であっても、従来の一般的なパン以上の風味や食感を楽しみながら咀嚼でき、且つ、安全に嚥下できるパン類を提供することにある。
本発明者等は、上記目的を達成すべく、各種検討を行ったところ、糖類及び油脂を特定量添加したパン生地を使用し、水分含量が特定量となるように焼成したパン類は、歯切れがよく、さらに、咀嚼時に付着性が増加しにくいため、咀嚼・嚥下機能低下者であっても安全に摂食可能であるということを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、穀粉類100質量部に対し、糖類10〜20質量部、油脂類25〜37質量部及びリン脂質0.7〜2質量部を含有するパン生地を、水分含量が27〜33質量%となるように、型に入れて蓋をして焼成してなるプルマンブレッドであり、咀嚼・嚥下機能低下者用であることを特徴とするパン類を提供するものである。
本発明で得られたパン類は、高年齢者や、歯に関する病気の患者等、咀嚼や嚥下が不自由な状況となった、いわゆる歯の治療等で喫食が不自由な状況となった者等の咀嚼・嚥下機能低下者であっても、従来の一般的なパン以上の風味や食感を楽しみながら咀嚼でき、且つ、安全に嚥下できる。
まず、咀嚼・嚥下機能低下者用である本発明のパン類に使用するパン生地について述べる。
本発明で使用するパン生地は、穀粉類100質量部に対し、糖類10〜30質量部及び油脂類25〜50質量部を含有する。
上記穀粉類としては、特に限定されるものではないが、小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉)、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。本発明では、これらの中でも、小麦粉、全粒粉、デュラム粉、ライ麦粉及びライ麦全粒粉の中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのが好ましい。また、上記穀粉類としては、市販されているパン類用ミックスを用いてもよい。
上記糖類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖等が挙げられる。本発明で用いるパン生地では、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
尚、上記糖類は、加糖練乳、ジャム、果汁、フルーツソース、チョコペースト等の、糖類を含有し、パン生地に均一に練り込み可能な食品の形態で用いることもできる。
本発明で用いるパン生地において、上記糖類の含有量は、上記穀粉類100質量部に対し、10〜20質量部である。10質量部未満であると、得られるパン類は、クラムが硬く、歯切れも悪いため、咀嚼・嚥下機能低下者用としては適さない。また、30質量部を超えると、得られるパン類は、ねちゃついて、咀嚼により付着性が高まってしまうため、咀嚼・嚥下機能低下者用としては適さない上、焼成時に焼落ちするおそれがある。尚、糖類の含有量は、上記糖類を含有する食品を使用する場合は、その純糖類含量で計算する。
上記油脂類としては、特に制限されるものではないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂や、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)等が挙げられる。本発明で用いるパン生地では、これらの油脂類の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記油脂類は、通常、油脂類を含有する食品の形態で用いられ、その代表的な例としては、マーガリン、ショートニング、バター、粉末油脂、液状油等の油脂組成物が挙げられるが、その他に、純生クリーム・ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)・植物性ホイップ用クリーム、クリームチーズ、チョコペースト等の、パン生地に均一に練り込み可能な油脂を含有する食品も用いることができる。
本発明で用いるパン生地において、上記油脂類の含有量は、上記穀粉類100質量部に対し、25〜37質量部である。25質量部未満であると、得られるパン類は、歯切れの悪い食感となってしまうため、咀嚼・嚥下機能低下者用としては適さない。また、50質量部を超えると、得られるパン類は、ねちゃついて、咀嚼により付着性が高まってしまうため、咀嚼・嚥下機能低下者用としては適さない上、焼成時に焼落ちするおそれがある。
尚、油脂類の含有量は、上記油脂類を含有する食品の形態で使用する場合は、その純油脂含量で計算する。
また、上記パン生地は、穀粉類100質量部に対し、リン脂質を0.7〜2質量部含有するものであると、よりねちゃつきが少なく、咀嚼時に付着性の増加が見られず、歯切れの良いパン類が得られる点で好ましい。尚、本発明のパン類に用いられるパン生地のように、糖類及び油脂類を多目に含有するパン生地を使用したパン類は、通常、ねちゃついて、咀嚼により付着性が高まりやすい。
リン脂質を使用することによるこの効果は、リン脂質に代えて、モノグリセリドやシュガーエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の合成乳化剤を使用しても認められない。
尚、リン脂質を使用することによる歯切れ向上等の効果は、リン脂質が、モノグリセリドやシュガーエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等と異なり、澱粉の糊化開始温度を下げる機能を有すること及び澱粉との複合体形成能が極めて低いことに起因するものと考えられる。
上記パン生地に使用し得る上記リン脂質としては、特に限定されるものではなく、食品に使用できるリン脂質であればどのようなリン脂質でも構わないが、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸等のジアシルグリセロリン脂質を使用することができ、さらに、これらのリン脂質に対し、ホスホリパーゼ等により酵素処理を行い、乳化力を向上させたリゾリン脂質、これらのリン脂質及び/若しくはリゾリン脂質を含有する食品素材又は食品添加物を使用することもできる。本発明では、上記リン脂質として、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明に使用するパン生地では、上記リン脂質として、リン脂質そのものよりも、リン脂質を含有する食品素材や食品添加物を用いる方が好ましい。リン脂質を含有する食品素材としては、卵黄、卵黄油、大豆、牛乳、ヤギ乳、ヒツジ乳、人乳等の乳が挙げられ、また、リン脂質を含有する食品添加物としては、卵黄レシチン、大豆レシチン等が挙げられるが、リン脂質の含量が多いことから、卵黄、卵黄油、卵黄レシチン及び大豆レシチンから選択された1種又は2種以上を使用することが好ましく、より好ましくは、風味が良好であることから、卵黄を用いる。尚、卵白は一般にパンクラムを硬くする効果を有するため、卵白成分を含む全卵は使用しないことが好ましい。
また、上記パン生地は、合成乳化剤を含有しないことが好ましい。これは、上述のように、リン脂質に代えて合成乳化剤を使用しても、歯切れの改良等の効果が得られず、むしろ、歯切れを悪化させ、ねちゃつき感を増強する結果となりやすいためである。
上記の合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等を挙げることができる。
尚、上記パン生地は、必要に応じて、リン脂質以外の乳化剤であって、合成乳化剤ではない乳化剤を含有してもよい。このような乳化剤としては、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等が挙げられる。
また、上記パン生地が酵素を含有するものであると、ソフト性が一層向上し、また、更に歯切れが良好なパン類を得ることができる。
上記酵素としては、一般的なパン類の生地に使用可能なものを特に制限なく使用することができ、その具体例としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ等の細胞壁分解酵素、グルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、パーオキシダーゼ等の酸化酵素、α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、イソアミラーゼ等の澱粉分解酵素、プロテアーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、トランスグルタミナーゼ等を挙げることができ、市販の酵素製剤を用いることもできる。
本発明では、上記酵素の中でも、細胞壁分解酵素及び/又は澱粉分解酵素と、プロテアーゼとを併用すると、より歯切れが良好なパン類が得られる点で好ましい。
上記酵素の使用量は、上記穀粉類100質量部に対し、0.001〜0.2質量部が好ましい。
上記パン生地には、上記の各成分以外に、通常のパン類の生地に使用可能な成分(以下、その他の成分という)を特に限定せず使用することができる。該その他の成分としては、例えば、水、イースト、甘味料、澱粉、増粘安定剤やゲル化剤、着色料、酸化防止剤、デキストリン、カゼイン・ホエー・クリーム・脱脂粉乳・発酵乳・牛乳・全粉乳・ヨーグルト・練乳・全脂練乳・脱脂練乳・濃縮乳等の乳や乳製品、ナチュラルチーズ・プロセスチーズ・ゴーダチーズ・チェダーチーズ等のチーズ類、アルコール類、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、生地改良剤、チョコチップ等のカカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、果実、果汁、調味料、香辛料、香料、野菜類・肉類・魚介類等の食品素材、コンソメ・ブイヨン等の植物及び動物エキス、食品添加物等が挙げられる。
これらのその他の原料は、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、パン生地中において、穀粉類100質量部に対し、合計で100質量部以下となる範囲で使用する。
上記のその他の成分である増粘安定剤やゲル化剤としては、特に制限はないが、好ましくは、糊化澱粉、化工澱粉、ゼラチン、分解ゼラチン、アルギン酸、アルギン酸エステル、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、LMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天、グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアーガム及びキサンタンガムの中から選ばれた1種又は2種以上を用い、さらに好ましくは、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、LMペクチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天及びグルコマンナンの中から選ばれた1種又は2種以上を用いる。上記の増粘安定剤やゲル化剤の含有量は、上記穀粉類100質量部に対し0〜2質量部、特に0.1〜1質量部が好ましい。
本発明のパン類は、通常のパン類の製造方法を踏襲して製造することができ、その製造方法は、ストレート法、中種法、湯種法、長時間中種法、100%中種法、水種法、速成法、ノータイム法等の各種製造方法から適宜選択可能である。
本発明のパン類は、上記パン生地を、必要に応じホイロをとった後、水分含量が27〜33質量%となるように焼成したものである。水分含量が25質量%未満であると、クラストのみならず、クラム部分の食感も硬く、咀嚼・嚥下機能低下者用としては適さない。また、水分含量が35質量%を超えると、ねちゃついて、咀嚼により付着性が高まるパン類となってしまうため、咀嚼・嚥下機能低下者用としては適さない。
また、本発明のパン類においては、パン生地を型に入れて蓋をして焼成する。パン生地を型に入れて焼成すると、特に配合を変更せずとも窯落ちや焼き落ちを防止でき、しかも焼成中に水分を保持しやすいことから、よりソフトなパン類を得ることができ、更には、型を使用して蓋をして焼成すると、これらの効果が一層高められる(尚、型を使用して蓋をして焼成したパン類を、以下プルマンブレッドという)。
このようにして得られた本発明のパン類は、歯切れが良好で、付着性が低いため、咀嚼・嚥下機能低下者用食品、即ちユニバーサルデザインフードとして好適であり、高年齢者や歯の治療等で喫食が不自由な状況となった者等、咀嚼・嚥下機能低下者であっても、パン本来の香味や食感を楽しみながら咀嚼でき、且つ安全に嚥下できる。
また、このようにして得られた本発明のパン類は、常温、冷蔵又は冷凍で保存することも、もちろん可能である。
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
〔実施例1〕咀嚼・嚥下機能低下者用プルマンブレッドの製造
強力粉(ミリオン:日清製粉製)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、卵黄(リン脂質10質量%、油脂21質量%含有)10質量部及び水33質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、さらに、準強力粉(ナンバーワン:日清製粉製)30質量部、食塩1.2質量部、上白糖8質量部、脱脂粉乳3質量部、脱脂濃縮乳(リン脂質4質量%、糖類9質量%含有)0.5質量部、酵素糖化水飴(糖分70質量%、水分30質量%含有)5質量部、生イースト0.5質量部、水12質量部、並びにヘミセルラーゼ及びプロテアーゼからなる酵素製剤0.03質量部を添加し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングした。ここで練込油脂(マーガリン:油分含量80質量%)30質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、穀粉類100質量部に対し、糖類11.5質量部、油脂26.1質量部、リン脂質1質量部及び酵素0.03質量部を含有し、合成乳化剤を含有しないパン生地を得た。得られたパン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを30分とった後、230gに分割・丸目を行なった。分割・丸目時の生地はべたつかず、作業性は良好であった。次いでベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で54分ホイロをとった後、上火160℃、下火180℃に設定した固定窯に入れ45分焼成してプルマンブレッドを得た。得られたプルマンブレッドは、水分含量が31質量%、比容積が4.8であった。
〔比較例1〕通常のプルマンブレッドの製造
強力粉(ミリオン:日清製粉製)70質量部、生イースト2質量部、イーストフード0.1質量部、グリセリン脂肪酸エステル0.3質量部及び水40質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用し、低速で2分、中速で2分混合し、中種生地を得た。捏ね上げ温度は24℃であった。この中種生地を生地ボックスに入れ、温度28℃、相対湿度85%の恒温室で、4時間中種醗酵を行なった。終点温度は29℃であった。この中種醗酵の終了した生地を再びミキサーボウルに投入し、さらに、強力粉(ミリオン:日清製粉製)30質量部、食塩1.8質量部、脱脂粉乳2質量部、上白糖5質量部及び水27質量部を添加し、低速で3分、中速で3分ミキシングした。ここで練込油脂(マーガリン:油分含量80質量%)5質量部を投入し、フックを使用し、低速で3分、中速で3分、高速で1分ミキシングを行ない、穀粉類100質量部に対し、糖類5質量部、油脂4質量部及び合成乳化剤0.3質量部を含有する一般的な食パン生地を得た。得られた食パン生地の捏ね上げ温度は28℃であった。ここで、フロアタイムを30分とった後、230gに分割・丸目を行なった。分割・丸目時の生地はべたつかず、作業性は良好であった。次いでベンチタイムを20分とった後、モルダー成形し、6本をU字にして3斤型プルマン型に入れ、38℃、相対湿度85%で58分ホイロをとった後、200℃に設定した固定窯に入れ40分焼成してプルマンブレッドを得た。得られたプルマンブレッドは、水分含量が44質量%、比容積が4.9であった。
実施例1及び比較例1において得られたプルマンブレッドそれぞれについて、ソフト性評価試験、及び咀嚼・嚥下機能低下者による試食試験を以下のようにして行なった。
<ソフト性評価試験>
実施例1及び比較例1で得られたプルマンブレッドをそれぞれ袋に詰めて25℃で1晩静置した後、厚さ20mmにスライスしてサンプルを得た。FUDOHレオメーター(株式会社レオテック製)にて、直径3cmのプランジャーを用い、テーブルスピード6cm/分にてサンプルの応力を測定し、サンプルの50%厚までプランジャーが陥入した時点の応力値(gf/cm2)を算出し、下記評価基準に基づいてソフト性を評価した。それらの結果を表1に示す。
(評価基準)
◎:400gf/cm2未満
〇:400gf/cm2以上600gf/cm2未満
△:600gf/cm2以上800gf/cm2未満
×:800gf/cm2以上
Figure 0004535927
<咀嚼・嚥下機能低下者による試食試験>
実施例1で得られたプルマンブレッド(サンプルA)及び比較例1で得られたプルマンブレッド(サンプルB)をそれぞれ厚さ20mm(6枚切りした食パン相当)にスライスし、更にその下端のクラストの角部分を含む三角形を1人分のサンプルとして切り出した。尚、該サンプルの大きさは、スライスしたプルマンブレッドの1/8枚に相当する。
介護老人保健施設3施設及び介護老人福祉施設2施設の利用者のうち、同意が得られた計48名(男性11名、女性37名;年齢61〜93歳、平均80.1±8.6歳)の被験者に対し、上記サンプルをアンケート用紙と共に配布し、風味、食べやすさ及び好みについて、下記評価基準による3段階法評価を求めると共に、各サンプルの感想について記載を求めた。
各被験者の上記3段階法評価の結果から、風味、食べやすさ及び好みそれぞれの平均点を算出した。それらの結果を表2に示す。
(3段階法評価の評価基準)
風味について、「おいしい」を2点、「普通」を1点、「おいしくない」を0点とした。また、食べやすさについて、「食べやすい」を2点、「普通」を1点、「食べにくい」を0点とした。さらに、好みについて、「好き」を2点、「普通」を1点、「嫌い」を0点とした。
Figure 0004535927
上記表1及び表2の結果からわかるとおり、本発明のパン類(サンプルA)は、従来のパン類(サンプルB)と同等の優れたソフト性を有しながら、試食試験における風味、食べやすさ及び好みの全ての項目で、サンプルBに比べ高い評価が得られた。
また、試食試験において評価と同時に得られた感想によると、風味については、糖類・油脂類の含量が少ないサンプルBにおいては塩味が感じられるのに対し、糖類・油脂類の含量が多いサンプルAにおいては甘味が感じられていた。また、食べやすさについては、サンプルBでは「クラストが硬い」という感想が挙げられたが、サンプルAではそのような感想はみられず、ねばつきが低い等の感想が挙げられ、歯切れに関連する評価が高かった。また、好みについては、サンプルAでは、甘味及び歯切れが良好である旨の感想が多く見られたが、サンプルBではそのような感想はみられなかった。
以上のことから、本発明のパン類は、咀嚼・嚥下機能低下者にとって、食べやすく、風味が良好であるため、有意に好まれるものであり、従来のパン類以上の嗜好品となり得ることが示された。

Claims (3)

  1. 穀粉類100質量部に対し、糖類10〜20質量部、油脂類25〜37質量部及びリン脂質0.7〜2質量部を含有するパン生地を、水分含量が27〜33質量%となるように、型に入れて蓋をして焼成してなるプルマンブレッドであり、咀嚼・嚥下機能低下者用であることを特徴とするパン類。
  2. 上記パン生地が、合成乳化剤を含有しないことを特徴とする請求項1記載のパン類。
  3. 上記パン生地が、酵素を含有することを特徴とする請求項1又は2記載のパン類。
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