JP2024027253A - 調理パン用油脂組成物、調理パン用穀粉生地及び調理パン - Google Patents

調理パン用油脂組成物、調理パン用穀粉生地及び調理パン Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ライン適性が向上し、レンジ加熱後も歯切れ、口溶けが良好であり、風味良好な調理パンが得られる調理パン用油脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】上記課題を解決するために、(A)食用油脂中に、(B)米油由来ガム質を含有することを特徴とする、調理パン用油脂組成物を提供する。本発明の調理パン用油脂組成物によれば、米油由来ガム質を食用油脂に添加することにより、ライン適性に優れた調理パン用穀粉生地や、レンジ加熱後の歯切れ、口溶けに優れ、風味が良好な調理パンを得ることができる。さらに(C)マルトース生成αアミラーゼを含有することで風味向上効果を増強することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、ライン適性が向上し、レンジ加熱後も歯切れ、口溶けが良好であり、風味良好な調理パンが得られる調理パン用油脂組成物に関する。
近年、食品ロス低減への取り組みが活発化しており、パンにおいても賞味期限延長が望まれている。パンの賞味期限を延長するためには、様々な方法があるが、そのうちの一つとしてチルド流通、保管することで賞味期限延長したパン製品が注目されている。チルドにて流通、保管されたパンは喫食する際、電子レンジ加熱するため、温めることで美味しく食すことのできる具材とパンを組み合わせたウィンナードッグやカレーパンなどの調理パンが対象となる。
調理パンは具材の美味しさを味わうため、レンジ加熱後のパンは歯切れ、口溶けがよく、風味良好なパンが望まれる。
調理パンの歯切れ向上には酵素であるアミラーゼが一般的に使用されるが、アミラーゼを使用するとパン生地にべたつきが生じることで、パン生地が製造ラインに付着しライン洗浄により作業時間が増加すること、パン生地の成型不良が発生し歩留まりが低下することが課題とされる。
また、調理パンはレンジ加熱されると、パンに含まれるグルテンが収縮することでパンの歯切れ、口溶けが低下する。このレンジ加熱によるグルテンの変化を抑制するため、酵素であるプロテアーゼを使用する方法やパン生地を作成する段階で多量の水を配合する方法もあるが、いずれの方法も、パン生地にべたつきが生じ、作業時間の増加、歩留まりの低下を招く。べたつきのあるパン生地はライン適性が低下した生地であると考えられ、べたつきのないパン生地がライン適性の向上した生地であると考えられる。
一方、調理パンのレンジ加熱後の歯切れ向上を目的として乳化剤であるグリセリン脂肪酸エステルが使用されるが、具材をしっかりと温める必要のある調理パンにおいては十分な歯切れ向上効果を得ることはできない。また、乳化剤の効果を多く得ようと、融点の高い乳化剤を多量に油脂中に分散させると、油脂のパン生地への分散性が低下し、ミキシング時間が長くなることで作業時間が増加する。一方、融点の低い乳化剤を多量に油脂中に分散させると、油脂のパン生地への分散性は向上するが、焼成した調理パンの風味が低下する。
すなわち、パン生地への分散性に優れ、ライン適性が向上し、レンジ加熱後も歯切れ、口溶けがよく、風味良好な調理パンが得られる油脂が望まれている。
上記課題を解決するために、パン生地のべたつきを低減する方法として、酸素を気相として含有する油脂組成物(特許文献1)、有機酸モノグリセリドなど乳化剤を配合した油脂を用いる方法(特許文献2)が提案されている。電子レンジ加熱に適するパンの製造方法としてパン生地に多くの水と卵を配合する方法(文献3)などが提案されている。
特開2016-54680号公報 特開2018-78812号公報 特開2016-49061号公報
しかし、特許文献1(特開2016-54680号公報)の酸素を気相として含有する方法、特許文献2(特開2018-78812号公報)の有機酸モノグリセリドなど乳化剤を配合した油脂を用いる方法では、パン生地のべたつきは低減されるが、焼成したパンの歯切れが悪化するだけでなく、乳化剤特有の風味によりパンの風味が悪くなるという問題がある。特許文献3(特開2016-49061号公報)に記載の技術では、レンジ加熱を行っても良好な食感を維持できるパンが製造できるが、パン生地の流動性が高く、通常の製パン方法で行う分割や丸めといった工程を行うことができず、パン生地のべたつきによるライン適性が著しく低下する。
以上のように、レンジ加熱をする調理用パンにおいて、パン生地のライン適性を低下することなく、レンジ加熱後も歯切れ、口溶けがよく、風味良好な調理パンが得られる方法はなかった。
よって、本発明の目的は、パン生地のライン適性を向上し、レンジ加熱後も歯切れ、口溶けがよく、風味が良好な調理パンを得ることができる、調理パン用油脂組成物を提供することである。
米油由来ガム質は、米糠から搾油された精製前の米原油に含まれるガム状の粘着物質であり、各種植物原油の中でも米原油はガム質が特に多く含まれていることが知られている。米油由来ガム質は米油の精製時に副産物として発生するが、これまで有効な活用方法が見出されておらず、家畜飼料用など付加価値の低い用途に使用されてきたにすぎず、製パン性能向上効果はこれまで見出されていない。
発明者は、これまで製パン用原料として用いることがなかった米油由来ガム質が、パン生地のライン適性を向上し、さらには、レンジ加熱をする調理用パンのレンジ加熱後の歯切れや口溶け、風味を向上することを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の[1]~[4]である。
[1]
(A)食用油脂中に、(B)米油由来ガム質を含有することを特徴とする、調理パン用油脂組成物。
[2]
(C)マルトース生成αアミラーゼを含有することを特徴とする、[1]に記載の調理パン用油脂組成物。
[3]
[1]又は[2]に記載の調理パン用油脂組成物を含有することを特徴とする、調理パン用穀粉生地。
[4]
[3]に記載の調理パン用穀粉生地を焼成してなる調理パン。
本発明によれば、ライン適性が向上し、レンジ加熱後も歯切れ、口溶けが良好であり、風味良好な調理パンが得られる調理パン用油脂組成物を提供することができる。
本発明の調理パン用油脂組成物は、(A)食用油脂中に、(B)米油由来ガム質を含有することを特徴とする。なお本発明の調理パン用油脂組成物は、ショートニング、油中水型乳化物、水中油型乳化物のいずれの形態においてもその効果を発揮することができるが、実質的に水を含まない形態が好ましい。「実質的に水を含まない」とは、調理パン用油脂組成物中における水分が5質量%以下であることをいう。なお、調理パン用油脂組成物中における水分の測定方法は、基準油脂分析試験法の「2.1.3.4-2013 水分(カールフィッシャー法)」に準じて測定する。
以下、本発明について詳細に説明する。
((A)食用油脂)
(A)食用油脂としては、食用に適する油脂が使用できる。具体的には、牛脂、豚脂、魚油、パーム油、パーム核油、菜種油、大豆油、コーン油等の天然の動植物油脂、およびこれらの硬化油、極度硬化油、エステル交換油等が挙げられる。これらを目的に応じて適宜選択し、1種類または2種類以上組み合わせて用いられる。
(A)食用油脂は、パン製造時にパン生地中のグルテン形成を促し、パンの内相を細かなものにする。内相が細かくなることで、パンの歯切れを良好にすることができる。また、(A)食用油脂に(B)米油由来ガム質及び(C)マルトース生成αアミラーゼを含有させることで、パン生地中にこれらを均一に分散させることができ、ライン適性向上、レンジ加熱後の歯切れ、口溶け向上効果を十分に発揮させることができ、風味良好なパンが得られる。
(A)食用油脂の20℃における固体脂含量は、特に制限されないが、例えば、26%以下であり、好ましくは22%以下であり、下限値としては4%以上、好ましくは10%以上である。4%以上の場合、あるいは26%以下の場合、穀粉生地製造時(20℃)における食用油脂の硬さが穀粉生地の硬さに近くなり、(B)米油由来ガム質および(C)マルトース生成αアミラーゼを含む食用油脂が穀粉生地中に均一分散でき、本発明の効果がより発揮される。なお、固体脂含量の測定は、基準油脂分析試験法「2.2.9 固体脂含量(NMR法)」に準じて測定する。測定装置は、「SFC-2000R」(アステック株式会社製)を使用し、本発明における固体脂含量は、この測定装置を用いて測定する。
本発明の調理パン用油脂組成物における食用油脂の含有量は、特に制限されないが、例えば、30~99質量%である。30質量%以上の場合には、上記の(A)食用油脂の上記効果を十分に得ることができる。一方、99質量%以下の場合には、(C)米油由来ガム質の配合量を増加することができるため、本発明の効果を一層発揮することができる。食用油脂の含有量の下限値は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。
((B)米油由来ガム質)
本発明の(B)米油由来ガム質は、米糠から搾油された精製前の米原油に含まれるガム状の粘着物質であり、米油精製時の副生成物である。各種植物原油の中でも、米原油に特異的に多くガム質が含まれている。
その製造方法は特に限定されないが、米糠を110~120℃のクッカー処理し、水分を低減させたのち、ヘキサンを用いて搾油後、ヘキサンを留去し、得られた米原油に60~90℃の温水を対油1~3質量%添加し、穏やかに攪拌することにより米油由来ガム質を米原油から析出させ、その後、沈殿、遠心分離など任意の方法により米原油から分離し、乾燥、蒸留等などにより水分を除去して(B)米油由来ガム質を得ることができる。これは米油の一般的な精製工程で得られた副生成物である。
本発明の(B)米油由来ガム質には、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸等からなるリン脂質混合物、トリグリセライド、遊離脂肪酸、ロウ、その他多種の成分が含まれる混合物であり、その成分のすべてを特定することはできないが、上記の工程を経て米原油から得られたものであり、アセトン不溶物20質量%以上75質量%以下、酸価50以下、水分含量1質量%以下であるものが好ましい。なお、アセトン不溶物は基準油脂分析試験法の「4.3.1-2013 アセトン不溶物」に準じて、酸価は基準油脂分析試験法の「2.3.1-2013 酸価」に準じて測定した。
本発明の(B)米油由来ガム質は、パン生地をべたつかせることなく、焼成したパンのレンジ加熱後の歯切れ、口溶けを向上し、特有の香ばしい風味があり小麦の香りを引き立てることができる。
パン生地製造の際、米油由来ガム質を含まない油脂組成物と米油由来ガム質を別々に穀粉に混合してもかまわないが、パン生地中での(B)米油由来ガム質の分散性が向上する点より(B)米油由来ガム質を油脂組成物中に含有させることが好ましい。
本発明の調理パン用油脂組成物における(B)米油由来ガム質の含有量は、特に制限されないが、例えば1~20質量%である。1質量%以上の場合には、(B)米油由来ガム質の上記効果を十分に発揮することができる。また20質量%以下であれば、本発明の油脂組成物をパン生地に混合する際の分散性が優れ、本発明の効果を充分に発揮することができる。(B)米油由来ガム質の含有量の下限値は、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。(B)米油由来ガム質の含有量の上限値は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。
((C)マルトース生成αアミラーゼ)
本発明においては、(C)マルトース生成αアミラーゼを用いることができる。(C)マルトース生成αアミラーゼは、パン生地中の澱粉を分解し、澱粉の分解により生成したマルトースが、小麦の自然な甘さを引き立たせ、風味を一層高めることができる。(C)マルトース生成αアミラーゼ単独よりも(B)米油由来ガム質と組み合わせて使用することで、(C)マルトース生成αアミラーゼの澱粉分解物であるマルトースを(B)米油由来ガム質が包み込むことで、澱粉分解物により生じるパンの歯切れ、口溶け低下が生じない。一方、マルトースよりも分子量の大きな澱粉分解物が生成すると、(B)米油由来ガム質が包み込むことができず、パンの歯切れ、口溶けが低下するため、(B)米油由来ガム質と(C)マルトース生成αアミラーゼの組み合わせが本発明の効果を増強することができる。なお、マルトースよりも分子量の小さなグルコースを生成する酵素を使用した場合、(B)米油由来ガム質はグルコースを包み込むことで、パンの歯切れ、口溶け低下は生じないが、グルコース単位での澱粉の分解では、澱粉が効率的に分解されず、風味向上効果の増強は望めない。
(C)マルトース生成αアミラーゼは、α-1,4-グルコシド結合を加水分解することによって主にマルトースを生成する酵素であり、Bacillus等の細菌由来、Malt等の穀物由来、及びAspergillus等のカビ由来のいずれも用いることができる。
また、本発明に使用される(C)マルトース生成αアミラーゼの至適温度は、特に制限されないが、65℃以上であることが好ましい。至適温度が65℃以上のものを使用することにより、パン生地を製造する低温時においてマルトースの生成が抑制されるため、至適温度が低温であるものを使用する場合と比較して生地のべたつきを抑制することができる。
(C)マルトース生成αアミラーゼは、1種類もしくは2種類以上を併用して使用することができ、特に至適温度が65℃以上75℃未満のマルトース生成αアミラーゼおよび至適温度が75℃以上85℃未満のマルトース生成αアミラーゼを組み合わせて使用することが好ましい。これにより、中温域から高温域までの広い温度域において連続的にパン生地中の澱粉が分解され、パンの風味向上効果を得ることができる。なお、パン生地焼成後、酵素の活性が失活していることが必須条件となる。
(C)マルトース生成αアミラーゼは、(B)米油由来ガム質と一緒に油脂組成物中に存在することにより、パン生地中に油脂組成物を分散した際に両成分が生地で相乗的に効果を発揮するため、本発明の効果を高めることができる。
本発明の調理パン用油脂組成物におけるマルトース生成αアミラーゼの含有量は、ライン適性の観点から、本発明の調理パン用油脂組成物中、活性量1500u/g基準で好ましくは0.2~10.0質量%であり、より好ましくは0.5~5.0質量%である。なお、調理パン用油脂組成物中のマルトース生成αアミラーゼの含有量は、原料となる酵素製剤の活性量により算出され、例えば、活性量1500u/g基準で1.0質量%とは、調理パン用油脂組成物100g中に、1500uのマルトース生成αアミラーゼを含有するという意味である。
マルトース生成αアミラーゼの活性量1500uに対する米油由来ガム質の含有量の比(米油由来ガム質の質量/マルトース生成αアミラーゼの活性量1500u)は、0.5~50.0gが好ましく、特に1.0~20.0gがより好ましい。0.5g以上とすることにより、生成されたマルトースを米油由来ガム質が包み込み澱粉分解物によるべたつきを抑制し、ライン適性や、歯切れを改善するという効果が一層発揮される。
マルトース生成αアミラーゼの活性単位は、1分間に1μmolのマルトースに相当する還元糖を生成する酵素量を1uとして定義する。マルトース生成αアミラーゼの活性量は、マルトトリオースを基質として至適条件下(至適温度、至適pH)で10分間反応させ、生じた還元糖を定量することで求めることが出来る。マルトースの定量については、「還元糖の定量法(第2版)」(福井作蔵著、学会出版センター)を参照して定量することができる。
マルトース生成αアミラーゼは、市販されており、例えば、「Novamyl」、「Novamyl-10000BG」、「Novamyl-3D」、「Opticake Fresh50B」(ノボザイムズジャパン(株)製)等が商業的に入手できる。
本発明における調理パン用油脂組成物には、本願発明の効果を損なわない限りにおいて、乳化剤、加工澱粉、保存料、pH調整剤、色素、香料、その他の酵素等を適宜使用してもよい。特に、本発明の米油由来ガム質特有の香ばしい風味があり小麦の香りを引き立てることができるという効果を損なわないようにするため、グリセリン脂肪酸エステルのような合成乳化剤、合成保存料、合成色素、合成香料など化学合成した添加物を使用することなく、天然物由来の原料からなる調理パン用油脂組成物であることが好ましい。
本発明における調理パンとは、基本的にご飯とともに食する日常のおかずである総菜を具材とし、具材とパンを組み合わせたものであるが、組み合わせる具材は、レンジ加熱することで美味しく食すことのできる具材であれば特に限定しない。焼成前のパン生地にこれら具材をトッピングもしくは包み込んだものや、焼成後のパンをカットし具材を挟み込んだものを指す。ここでいう具材とは、具体的にはウィンナーやハンバーグ等の畜肉製品、コーンやほうれん草等の野菜、きんぴらごぼうや煮物などの加工食品、カレーやシチューなどのフィリングが代表的なものである。またパン生地から具材を落ちにくくする、味のバランスを良くするという目的のためチーズなどの乳製品をトッピングすることもある。本発明の調理パンは、チルド流通、保管されるため、喫食する際にはレンジ加熱により十分に温める必要がある。
〔調理パン用油脂組成物の製造方法〕
本発明における調理パン用油脂組成物の製造方法は、通常のマーガリン、ショートニングの製造方法を用いることができ、特に(B)米油由来ガム質は油脂に溶解分散させ、(C)マルトース生成αアミラーゼは失活しない温度で添加すればよい。例えば、以下の製法が挙げられる。
まず、油脂および油溶成分を融点温度以上の温度(70~80℃)まで加熱し、均一溶解後、プロペラ攪拌等を用いて均一に攪拌しながら(B)米油由来ガム質を添加し、溶解分散させる。次に、酵素を添加し、さらに急冷可塑化、30℃以下まで冷却することにより、目的の調理パン用油脂組成物を得る。上記製造において、高温状態にある均一混合物を冷却する際には、均一混合物を入れている容器自身を外部から冷却してもよいが、一般的にマーガリン、ショートニング製造に用いられるチラー、ボテーター、コンビネーター等を用いて急冷するほうが性能上好ましい。
〔調理パン用穀粉生地及びその製造方法〕
本発明の調理パン用穀粉生地において、パン類に添加する本発明の調理パン用油脂組成物の量は、穀粉100質量部に対して0.5~10.0質量部が好ましく、1.0~5.0質量部がより好ましい。調理パン用油脂組成物の量をこの範囲で使用することにより、ライン適性が向上し、レンジ加熱後の歯切れ、口溶けに優れ、良好な風味のパンが得られる。
また、穀粉100質量部に対して、(B)米油由来ガム質は0.01~0.20質量部が好ましく、0.05~0.20質量部がより好ましい。
また、穀粉100質量部に対して、(C)マルトース生成αアミラーゼは、活性量1500u/g基準で0.002~0.200質量部が好ましく、0.005~0.050質量部がより好ましい。
本発明の調理パン用穀粉生地は、生地を加熱することができる限り、ストレート法、中種法、ノータイム法等いずれの製パン法にも使用することができる。また、生地を作製し、冷凍および冷蔵工程を経る場合、焼成後冷凍を経る場合等、いずれの工程にも使用できる。
本発明の調理パン用穀粉生地に用いる原料としては、主原料の穀粉として小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦粉等が挙げられる。また、その他の原料としては、イースト、イーストフード、乳化剤、油脂類(ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等)、水、加工澱粉、乳製品、食塩、糖類、調味料(グルタミン酸ソーダ類や核酸類)、保存料、ビタミン、カルシウム等の強化剤、蛋白質、アミノ酸、化学膨張剤、フレーバー等が挙げられる。さらに、小麦ふすま粉、全粒粉等を使用できる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
[米油由来ガム質の製造]
<米油由来ガム質A>
米糠を120℃で加熱後、ヘキサンにて油溶成分を抽出し、110℃にて加熱することで溶媒を除去した米原油を用いた。
米原油を70℃に加温し、遠心分離を行い、夾雑物である沈殿部を除去した。その後、70℃の温水を米原油に対して3質量%添加し、攪拌後、遠心分離を行い、沈殿した水和物を得た。この水和物を、凍結乾燥機にて乾燥させ、水分量が5質量%以下となった米油由来ガム質(米油由来ガム質A)を得た。得られた米油由来ガム質を以下のアセトン不溶物量は30質量%であった。
得られた米油由来ガム質Aを用いて、以下に示す実施例の油脂組成物を製造した。
<米油由来ガム質B>
米油由来ガム質Aと同様の方法で新たに入手した米糠から米油由来ガム質Bを得た。得られた米油由来ガム質Bのアセトン不溶物量は60質量%であった。
得られた米油由来ガム質Bを用いて、以下に示す実施例の油脂組成物を製造した。
米糠に含まれるホスホリパーゼの活性や米糠の保存状態、水和方法により得られる米油由来ガム質に含まれるアセトン不溶物量が変動するが、アセトン不溶物量として20~75質量%含むものであれば本発明の調理パン用油脂組成物に使用することができる。
[調理パン用油脂組成物の製造]
(実施例1)
表1に示す配合組成の調理パン用油脂組成物をベースに以下の方法により製造した。パーム硬化油(融点42℃)5kg、パーム油30kg、菜種硬化油(融点36℃)30kgおよび菜種油27kgをプロペラ攪拌にて攪拌しながら70~80℃にて加熱溶解し、米油由来ガム質A8kgを溶解攪拌した。その後、ショートニング製造機を用いて急冷練り上げすることで調理パン用油脂組成物を得た。
同様に、実施例2~4、比較例1についても表1に示す配合組成の調理パン用油脂組成物をベースに上記方法で調理パン用油脂組成物を得た。
実施例1と同様に、実施例5~7、比較例2についても表1に示す配合組成の調理パン用油脂組成物をベースに上記方法で調理パン用油脂組成物を得た。なお、マルトース生成αアミラーゼは、米油由来ガム質を溶解攪拌後に添加し、速やかに急冷練り上げした。
表1には、得られた調理パン用油脂組成物に含まれる(C)マルトース生成αアミラーゼの含有量を示した。表中の上段の数値は、油脂組成物中の原料の配合量(質量%)であり、下段の数値は、油脂組成物100g中の(C)マルトース生成αアミラーゼの活性(u)である。
[評価方法]
それぞれの評価項目について、評価方法を下記に記す。
(製パン方法)
ライン適性、レンジ加熱後の歯切れ、口溶け、風味の評価については以下に示す配合にてコッペパンを製造し評価を行った。
表2に示すとおり、小麦粉1kg、イースト30g、イーストフード1g、上白糖150g、食塩12g、脱脂粉乳30g、全卵60g、水650gを関東混合機工業(株)製ミキサーボウルに投入し、ドゥフックにて低速2分間、中低速5分間攪拌後、調理パン用油脂組成物10g、ショートニング70gを投入し、低速3分間、中低速3分間混合しパン生地を得た。30分間フロアタイムをとったのち、60gに分割し、30分間のベンチタイムをとり、(株)オシキリ製モルダーにてコッペパン型に成型し、温度38℃、湿度85%にて60分間ホイロをとり、205℃のオーブンにて9分間焼成しコッペパンを製造した。製造後、室温まで自然放冷し、ビニール袋に密閉し7℃で保管し、風味評価には1日目(D+1)のものを用い、歯切れ、口溶け評価には、3日目(D+3)のものを用いた。
(ライン適性の評価方法)
酵素や乳化剤の使用によって、パン生地がゆるんだりべたついたり、逆に締まってしまう等の問題が生じることがある。その場合、モルダーでの成型時にパン生地の形がいびつになる、規定の長さに成型されない等の成型不良が発生しライン適性低下に繋がる。したがって、50gのパン生地20個を(株)オシキリ製モルダーにて成型した際の成型良、不良の個数によりライン適性を評価した。成型不良の数が1個以下の場合を「5」、2個の場合を「4」、3個の場合を「3」、4個の場合を「2」、5個以上の場合を「1」として評価した。評価の「4」以上を合格とした。
(風味の評価方法)
コッペパンを食した際の風味を、10人のパネラーの官能評価にて評価した。比較例1の調理パン用油脂組成物を使用した場合のパンの風味を基準とし、小麦本来の甘味をはっきりと感じられる(5)、感じられる(4)、同等(3)、やや悪く感じられる(2)、悪く感じられる、(1)として評価した。パネラー10人の官能評価の平均値を風味の評点とし、4.0以上を合格とした。
(歯切れの評価方法)
調理パンを袋から出し、電子レンジにて500w、30秒加熱した。その後、5分間室温にて放置後食した際の歯切れ感を、10人のパネラーの官能評価にて評価した。比較例1の調理パン用油脂組成物を使用した場合のパンの歯切れを基準とし、歯切れが良好(5)、やや良好(4)、同等(3)、やや悪い(2)、悪い(1)として評価した。パネラー10人の官能評価の平均値を歯切れの評点とし、4.0以上を合格とした。
(口溶け評価方法)
調理パンを袋から出し、電子レンジにて500w、30秒加熱した。その後、5分間室温にて放置後食した際の口溶けを、10人のパネラーの官能評価にて評価した。比較例1の調理パン用油脂組成物を使用した場合の口溶けを基準とし、口溶けが良好(5)、やや良好(4)、同等(3)、やや悪い(2)、悪い(1)として評価した。パネラー10人の官能評価の平均値をレンジ加熱後の口溶けの評点として4.0以上を合格とした。
(評価結果)
表1より、(A)食用油脂に(B)米油由来ガム質を含有させることで、ライン適性が向上し、レンジ加熱後の歯切れ、口溶けに優れ、風味良好なパンとなっていることが分かる。また(C)マルトース生成αアミラーゼを含有させることでさらに風味も良好となっていることが分かる。
(使用原料)
(1)(商品名)「Novamyl-3D」、ノボザイムジャパン(株)製、1500u/g
(2)(商品名)「Novamyl」、ノボザイムジャパン(株)製、3600u/g
(3)(商品名)「Opticake Fresh50B」、ノボザイムズジャパン(株)製、840u/g


Claims (4)

  1. (A)食用油脂中に、(B)米油由来ガム質を含有することを特徴とする、調理パン用油脂組成物。
  2. (C)マルトース生成αアミラーゼを含有することを特徴とする、請求項1に記載の調理パン用油脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の調理パン用油脂組成物を含有することを特徴とする、調理パン用穀粉生地。
  4. 請求項3に記載の調理パン用穀粉生地を焼成してなる調理パン。

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