JP4535634B2 - ナノスケール針状物質の製造方法 - Google Patents

ナノスケール針状物質の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直線性に優れたナノスケールの径を有する針状物質の製造方法に関する。
【0002】
本発明は、より詳しくは、鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからなる直線性の高い二重構造ナノスケール針状物質や、該二重構造ナノスケール針状物質から鉄系針状体を除いてなる直線性の高いカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材のような針状物質の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来知られているナノスケールの柱状中空カーボンとしては、カーボンナノチューブが代表として挙げられる。このカーボンナノチューブの大量生産に際しては、金属触媒を用いた炭素材気相成長法が採られており、この場合、気相成長する炭素材は、触媒上で熱分解後、炭素が堆積・成長する原理を用いて形成されている。
【0004】
そのため、得られるカーボンナノチューブは、触媒を端点として成長するため、直線性の高いカーボンナノチューブの製造、径制御等が困難であり、特に利用分野が広い直線性の高いものは量産が困難であった。即ち、上記金属触媒を用いた炭素材気相成長法による工業的製法では、得られるカーボンナノチューブは、反応の進行と共に直線的に成長することが困難であるため、生成したカーボンナノチューブが相互に絡み合った形態のものが多く得られていた。
【0005】
また、カーボンナノチューブ内空間部に金属が充填されたカーボンナノチューブ複合体は、従来の炭素のみからなるカーボンナノチューブとは異なる量子効果、導電特性、磁気特性等を発揮するとされており、多くの分野での応用が期待されている。このような金属内包カーボンナノチューブを得る方法として、いくつかの報告がなされている。
【0006】
例えば、金属触媒を練り混んだ炭素電極間でアーク放電を行わせ、生成する煤からカーボンナノチューブを単離するという方法が従来から行われてきた。この方法によれば、内部空間ではなくチューブ先端に金属が存在するカーボンナノチューブが部分的に発生することが知られている。このような金属が先端に存在する炭素複合体は、カーボンナノチューブ製造時の副生成物として、電子顕微鏡により観察されるのみであり、実用的な製造法とは言えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、直線性の高い針状のナノスケール針状物質の製造方法を提供することにある。
【0008】
特に、本発明は、カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材の空間部に金属が内包ないし充填されている直線性の高い二重構造ナノスケール針状物質、直線性の高いカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材のようなナノスケール針状物質を工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような現状に鑑みて研究を進めた結果、芯部となる鉄系針状体を先に製造し、その周りに炭素を堆積させるという新たな手法を採用することにより、直線性の高い二重構造ナノスケール針状物質が生成することを見出した。
【0010】
更に、本発明者らは、こうして得られた直線性の高い二重構造ナノスケール針状物質、即ち、鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからなる直線性の高い二重構造ナノスケール針状物質を、芯部の鉄系針状体の融点以上に加熱するか又はハロゲンの存在下で加熱することにより、芯部の鉄系針状体を選択的に除去でき、同様に直線性の高いカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材が得られることを見出した。
【0011】
本発明は、これら新知見に基づき、更に検討を加えて完成されたものである。即ち、本発明は、次の製造方法を提供するものである。
【0012】
1.ナノスケールの径を有する鉄系針状体の外周に炭素を堆積させることにより、鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからなる二重構造ナノスケール針状物質を得ることを特徴とするナノスケール針状物質の製造方法。
【0013】
2.上記ナノスケールの径を有する鉄系針状体が、300〜1000℃程度の温度下でガス状態となる(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の遷移金属化合物との混合物からなる群から選ばれた鉄系原料を、該鉄系原料を鉄系針状体に変換する添加剤の存在下で加熱することにより得られるものである上記項1に記載のナノスケール針状物質の製造方法。
【0014】
3.鉄化合物が、ハロゲン化鉄、鉄錯体、過塩素酸鉄、硫化鉄、炭化鉄、珪化鉄、窒化鉄、セレン化鉄、リン化鉄及びヒ化鉄からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、他の遷移金属化合物が、コバルト、ニッケル及びクロムからなる群から選ばれた遷移金属のハロゲン化物から選ばれた少なくとも1種である上記項2に記載のナノスケール針状物質の製造方法。
【0015】
4.添加剤が、(a)フッ素及び炭素含有化合物、(b)水素及び(c)ハロゲン化塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項2又は3に記載のナノスケール針状物質の製造方法。
【0016】
5.鉄系針状体の外周への炭素の堆積を、該鉄系針状体の存在下で炭素含有化合物を加熱することにより行なう上記項1〜4のいずれかに記載のナノスケール針状物質の製造方法。
【0017】
6.鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからなる二重構造ナノスケール針状物質を、芯部の鉄系針状体の融点以上の温度に加熱するか、又は、ハロゲンの存在下で加熱するか、又は、酸処理することにより、芯部の鉄系針状体を除去し、ナノスケール直線状中空炭素材を得る工程を更に有する上記項1〜5のいずれかに記載のナノスケール針状物質の製造方法。
【0018】
7.直径が1〜1000nm程度のナノスケールの径を有する鉄系針状体からなるナノスケール直線状中空炭素材の製造用針状物。
【0019】
8.(1)300〜1000℃程度の温度下でガス状態となる(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の遷移金属化合物との混合物からなる群から選ばれた鉄系原料を、フッ素樹脂の存在下、400〜500℃で加熱することにより、ナノスケールの径を有する鉄系針状体を得る工程、
(2)上記工程(1)で得られた鉄系針状体とフッ素樹脂とを510〜550℃で加熱することにより、鉄系針状体の外周に炭素を堆積させて二重構造ナノスケール針状物質を得る工程、及び
(3)上記工程(2)で得られた二重構造ナノスケール針状物質を、560℃以上の温度で加熱する工程
を包含するナノスケール直線状中空炭素材の製造方法。
【0020】
要するに、本発明は、
(1)300〜1000℃程度の温度下でガス状態となる(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の遷移金属化合物との混合物からなる群から選ばれた鉄系原料を、該鉄系原料を鉄系針状体に変換する添加剤の存在下で加熱することによりナノスケールの径を有する鉄系針状体を生成させる工程、
(2)該鉄系針状体の外周に炭素を堆積させることにより、鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからなる直線性の高い二重構造ナノスケール針状物質を得る工程、及び必要に応じて、
(3)上記二重構造ナノスケール針状物質を、芯部の鉄系針状体の融点以上に加熱するか又はハロゲンの存在下で加熱するか、又は、酸処理することにより、芯部の鉄系針状体を除去して、カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材を得る工程を採用してナノスケール針状物質を製造するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明においては、まず、ナノスケールの径を有する鉄系針状体の外周に炭素を堆積させることにより、外周が炭素材であり、内層が上記鉄系針状体である二重構造ナノスケール針状物質を得る。
【0022】
この二重構造ナノスケール針状物質は、カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材の空間部に鉄系針状体が充填乃至内包されているものであり、鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部ないし外周部とからなる二重構造を有するものである。
【0023】
鉄系針状体
上記ナノスケールの径を有する鉄系針状体は、例えば、約300℃〜約1000℃の温度でガス状態となる(I)鉄化合物又は(II)鉄化合物と他の遷移金属化合物との混合物(以下、これら(I)及び(II)を総称して「鉄系原料」という)を、該鉄系原料を鉄系針状体に成長させ得る添加剤の存在下で加熱することにより生成させることができる。
【0024】
即ち、この気相反応により、ガス状態にある鉄系原料を上記添加剤の存在下で加熱すると、鉄系金属等が直線性の高いナノスケール針状物ないしナノスケールウィスカー(即ち、本発明で使用する鉄系針状体)となる。
【0025】
この鉄系針状体を構成する成分は、鉄、鉄と他の遷移金属(Co、Ni、Cr等)との合金、フッ化鉄等のハロゲン化鉄、酸化鉄、鉄と該遷移金属の混合体の酸化物又はハロゲン化物、或いは、これらの混合物等である。
【0026】
上記鉄系針状体を製造するための鉄系原料としては、約1000℃以下、好ましくは300〜1000℃、特に400〜600℃の温度下でガス状態となり得る化合物であれば種々のものが使用できる。ここで「ガス状態となる」とは、昇華、分解及び/又は蒸発などにより気相状態となることである。
【0027】
上記鉄系原料は、例えば、FeCl2、FeCl3、FeCl2、・4H2O、FeCl3・6H2O、FeF2、FeBr2、FeI2等のハロゲン化鉄、フェロセン等の鉄錯体、過塩素酸鉄、硫化鉄、セレン化鉄、窒化鉄、リン化鉄、ヒ化鉄、炭化鉄、ケイ化鉄等の鉄化合物を例示できる。これら鉄化合物は、例えば、水和物等の形態でも使用することができる。これらの鉄化合物のうちでも、特に、FeCl2、FeCl3が好ましい。
【0028】
鉄系原料として、上記のような鉄化合物を単独で使用すると、得られる鉄系針状体は、通常、鉄、ハロゲン化鉄(フッ化鉄等)又は炭化鉄等の単独を構成成分としていることが多い。
【0029】
更に、上記鉄化合物と、Co、Ni、Cr等の他の遷移金属のハロゲン化物(塩化物等)や酸化物等の遷移金属化合物とを混合して使用してもよい。このように上記鉄化合物と遷移金属化合物とを混合して鉄系原料として使用すると、得られる鉄系針状体は、通常、鉄、上記のような他の遷移金属、鉄と他の遷移金属との合金、鉄の酸化物、鉄のハロゲン化物、他の遷移金属の酸化物、他の遷移金属のハロゲン化物等から選ばれた1種又は2種以上から構成されていることが多い。
【0030】
また、上記鉄系原料を鉄系針状体に変換する添加剤としては、例えば、(a)フッ素及び炭素含有化合物、(b)水素、(c)ハロゲン化塩等が、単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0031】
上記(a)のフッ素及び炭素含有化合物としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂(FEP)、フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等のフッ素樹脂等が例示できる。これらのうちでも、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0032】
上記(c)のハロゲン化塩としては、例えば、NaCl、NaF、LiCl、LiF等のアルカリ金属(特にNa、Li)のハロゲン化物が好ましい。
【0033】
本発明では、上記鉄系原料と上記添加剤とを任意に組み合わせて使用することができるが、特に好ましい組み合わせとしては、鉄化合物としてFeCl2を使用し、添加剤としてPTFE、水素、NaF等を使用することが推奨される。
【0034】
上記鉄系原料を上記添加剤の存在下で加熱する際の条件としては、所望のナノスケールの径を有する鉄系針状体が生成する限り特に限定されないが、例えば、約1000℃以下、好ましくは300〜1000℃、特に400〜600℃の温度下で、上記鉄系化合物と上記添加剤(該温度で気相状態となる)とを加熱する方法が例示される。尚、上記鉄系原料を上記(a)のフッ素及び炭素含有化合物を添加剤として用いて加熱する場合は、400〜500℃程度とするのが好ましい。
【0035】
加熱時の雰囲気は、真空状態か、或いは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
【0036】
また、加熱時の圧力としては、減圧から加圧までの圧力が採用できるが、一般には10-4Pa〜150kPa程度、好ましくは0.1Pa〜1500Pa程度、特に1Pa〜100Pa程度である。
【0037】
添加剤は、鉄系針状体生成に必要な量の1〜10倍当量を通常使用する。
【0038】
反応は、所定の反応温度において、所望のナノスケールの径を有する鉄系針状体が生成するまで行えばよく、一般には0.1〜10時間程度、特に0.5〜2時間程度である。
【0039】
得られるナノスケールの径を有する鉄系針状体を単離するには、例えば、ふるいを用いて未反応原料や副生するススを除く方法や、酸などの酸化剤若しくは加熱によりススなどを除く方法や、水中に界面活性剤を用いて分散させて遠心分離や濾過を繰り返して生成する方法等の一般にナノスケールのカーボンを単離するのに採用されている方法が適用できる。
【0040】
こうして得られるナノスケールの径を有する鉄系針状体は、直線性の極めて高い針状結晶であり、直径が1〜1000nm程度、特に30〜100nm程度である。また、直径Dに対する長さLのアスペクト比(L/D)は3〜100程度、特に5〜60程度である。
【0041】
かかる鉄系針状結晶が、カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材及び本発明の二重構造ナノスケール針状物質の製造用触媒として有用であることは、本発明者らにより初めて見出された新事実である。
【0042】
二重構造ナノスケール針状物質
次いで、本発明では上記ナノスケールの径を有する鉄系針状体の外周に炭素を堆積させることにより、二重構造ナノスケール針状物質を得る。
【0043】
炭素を上記ナノスケールの径を有する鉄系針状体の外周に堆積させる方法としては、各種の方法により行えるが、工業的には、上記ナノスケールの径を有する鉄系針状体の存在下で炭素含有化合物を真空中又は不活性ガス中で加熱する方法が有利である。
【0044】
上記炭素含有化合物としては、加熱下で上記鉄系針状体の外周に炭素を堆積し得る材料であれば、各種のものが使用できるが、特に、炭素含有化合物、例えば、炭化水素が好ましい。これら炭化水素としては、例えば、炭素数1〜10、特に1〜3の飽和脂肪族炭化水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等、炭素数2〜10、特に2又は3の不飽和脂肪族炭化水素、例えば、エチレン、プロピレン、アセチレン等、炭素数6〜40、特に6〜20の芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等及びこれらの誘導体等が例示できる。
【0045】
更に、該炭素含有化合物として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂(FEP)、フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等のフッ素樹脂等を使用することもできる。これらのうちでも、特に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0046】
上記炭素含有化合物を鉄系針状体の存在下で加熱する際の温度としては、400℃〜1500℃程度、好ましくは400〜1000℃程度、特に500〜700℃程度である。但し、上記PTFE等のフッ素樹脂を炭素含有化合物として使用する場合は、510〜550℃程度の温度で、鉄系針状体と共に加熱するのが好ましい。
【0047】
加熱時の雰囲気は、真空状態か、或いは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
【0048】
また、加熱時の圧力としては、減圧から加圧までの圧力が採用できるが、一般には10-4Pa〜150kPa程度、好ましくは0.1Pa〜1500Pa程度、特に1Pa〜100Pa程度である。
【0049】
ナノスケールの径を有する鉄系針状体と前記炭素含有化合物との使用割合は、特に制限されるものではないが、一般には、鉄系針状体の製造に使用した鉄系原料1重量部に対して、炭素含有化合物を0.1〜100重量部程度使用すればよい。一般に、炭素源の分解堆積速度と炭素供給量に相関があり、結果として、炭素量が多い場合は壁部が厚くなり、逆に、炭素量が少ない場合は壁部が薄くなる。
【0050】
反応は、所定の反応温度において、所定の二重構造ナノスケール針状物質が生成するまで行えばよく、一般には0.1〜10時間程度、特に0.5〜2時間程度である。
【0051】
尚、本発明では、炭素含有化合物の使用量、反応時間、反応温度、反応圧力等を調整することにより、二重構造ナノスケール針状物質の径調整を容易に行うことができる。
【0052】
こうして得られる二重構造ナノスケール針状物質は、本工程において、ナノスケールの径を有する鉄系針状体及びその周りに堆積した炭素から構成されるカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材とからなっており、カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材空間部が実質上完全に該鉄系針状体で満たされた形態となっている。
【0053】
芯部の鉄系針状体は、事前に合成された直線性の高いナノスケール鉄系針状体であるから、該鉄系針状体の周りに炭素を堆積せしめてなる本発明の二重構造ナノスケール針状物質も、直線性が極めて高い針状であり、その直線性の高さから、得られる二重構造ナノスケール針状物質は相互に絡まりあっておらず有用性の高いものである。
【0054】
また、二重構造ナノスケール針状物質は、直線性が極めて高い針状であり、直径が15〜1000nm程度、特に40〜120nm程度であり、直径Dに対する長さLのアスペクト比(L/D)は3〜100程度、特に5〜60程度である。
【0055】
カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材の壁部は、炭素の堆積量によってその厚みを制御することが可能である。その厚さは、炭素を鉄系針状体に堆積させる際の炭素含有化合物の種類、条件等によっても異なるが、一般に、0.5〜100nm程度、特に5〜20nm程度である。
【0056】
また壁部を構成する炭素材は、炭素を鉄系針状体の外周に堆積させる際の炭素含有化合物の種類、条件等により構造が異なり、グラファイト構造を有している場合、アモルファス構造を有している場合及びその中間的構造を有している場合がある。例えば、該炭素含有化合物としてベンゼンを使用した場合等は高度に発達したグラファイト構造となり、該炭素含有化合物として脂肪族炭化水素を使用するとアモルファス構造となる傾向がある。
【0057】
ナノスケール直線状中空炭素材の製造
本発明では、上記二重構造ナノスケール針状物質の芯部の鉄系針状体を除去することにより、カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材が得られる。芯部の鉄系針状体を除去するには、例えば、芯部の鉄系針状体の融点以上に加熱することによりことができ、また、ハロゲンの存在下で加熱することによっても行うことができる。更に、上記二重構造ナノスケール針状物質を酸処理することによっても、芯部の鉄系針状体を除去することができる。
【0058】
より詳しくは、二重構造ナノスケール針状物質において、芯部の鉄系針状体の融点が、壁部のナノスケール直線状中空炭素材の分解温度よりも低い場合は、当該鉄系針状体の融点以上の温度で二重構造ナノスケール針状物質を加熱すればよい。この方法は、特に、芯部の鉄系針状体が比較的低融点の成分、例えば、FeF2、FeCl2、FeCl3等のハロゲン化物等である場合に有利である。
【0059】
また、二重構造ナノスケール針状物質において、芯部の鉄系針状体の融点が、壁部のナノスケール直線状中空炭素材の分解温度よりも高い場合は、ハロゲンの存在下で加熱することにより、芯部の鉄系針状体を除去できる。上記ハロゲンとしては、塩素、臭素、沃素等が使用でき、このうちでも塩素が好ましい。ハロゲンを使用することにより、鉄系針状体、特にハロゲン化物以外の成分からなる鉄系針状体の除去が容易となる。これは、鉄系針状体を構成する成分がハロゲン化物となって融点が低下するためと思われる。
【0060】
二重構造ナノスケール針状物質を、加熱する際の温度又はハロゲンの存在下に加熱する際の温度としては、芯部の鉄系針状体の種類によっても異なるが、一般には、鉄系針状体が除去されるに十分な温度、特に、鉄系針状体の融点を超える温度(ハロゲンの存在下で加熱する場合は、鉄系針状体とハロゲンとの反応生成物の融点を超える温度)である。一般的には、加熱温度は、300℃〜1500℃程度、好ましくは600〜1000℃程度、特に700〜900℃程度の範囲から適宜選択すればよい。
【0061】
尚、前記鉄系針状体を製造する際の添加剤として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂(FEP)、フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等のフッ素樹脂等を使用した場合は、二重構造ナノスケール針状物質の芯部の鉄系針状体は、通常、フッ化鉄となっており、通常、該二重構造ナノスケール針状物質を560℃以上の温度で、特に560〜3000℃程度の温度で加熱することにより、除去できる。
【0062】
上記加熱する際の雰囲気又はハロゲンの存在下で加熱する際の雰囲気は、真空状態か、或いは、ヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
【0063】
また、上記加熱する際の圧力又はハロゲンの存在下で加熱する際の圧力としては、減圧から加圧までの圧力が採用できるが、一般には10-4Pa〜150kPa程度、好ましくは0.1Pa〜1500Pa程度、特に1Pa〜100Pa程度である。
【0064】
二重構造ナノスケール針状物質とハロゲンとの使用割合は、反応条件によっても異なり、特に制限されないが、一般に、二重構造ナノスケール針状物質1gに対して、ハロゲンを1〜10000CCMの供給速度で1分〜300分程度、好ましくは10〜1000CCMの供給速度で10分〜120分程度供給するのが好ましい。ここで、「CCM」は、CC/minの意味であり、1分当たりに反応系に供給されるガスの量(CC)を指す。ハロゲンの使用量が、上記範囲の下限を下回ると、中心部の鉄系針状体の除去が不完全となり、一方上記範囲の上限を上回ると外周部の構造を損なうことがある。
【0065】
上記加熱処理又はハロゲンの存在下での加熱処理は、芯部の鉄系針状体が完全に除去されるまで行えばよい。一般には0.1〜10時間程度、特に0.5〜2時間程度加熱を行えばよい。場合によっては、芯部の鉄系針状体を一部残した形で加熱を終了してもよい。
【0066】
また、酸処理は、二重構造ナノスケール針状物質の芯部の鉄系針状体が鉄であり、カーボンからなる壁部が黒鉛質構造である場合に特に有効であり、二重構造ナノスケール針状物質を塩酸、硫酸、硝酸等の酸に分散、撹拌することにより行う。該酸の濃度としては、特に限定されないが、例えば、1〜10N程度とするのが好ましい。酸処理に要する時間は、芯部の鉄系針状体が除去されるまでであり、通常0.1〜24時間程度である。上記酸の使用量は、過剰量とすればよいが、一般には、二重構造ナノスケール針状物質1重量部に対して、1〜1000重量部程度とするのが好ましい。撹拌時の温度条件は、特に制限されないが、一般には、室温〜100℃程度とするのが好ましい。酸処理後は、水洗し、乾燥することにより、鉄系針状体が除去され、カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材が得られる。
【0067】
こうして得られるカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材は、もとの二重構造ナノスケール針状物質の芯部から鉄系針状体が除去されたものであり、なお、直線性の高い構造を有している。その直線性の高さから、得られるカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材は、相互に絡まりあっておらず、有用性が高いものである。
【0068】
また、得られるカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材は、直径が15〜1000nm程度、特に40〜120nm程度であり、直径Dに対する長さLのアスペクト比(L/D)は3〜100程度、特に5〜60程度である。壁部の厚さは、炭素を鉄系針状体に堆積させる際の炭素含有化合物の種類、条件等によっても異なるが、一般に0.5〜100nm程度、特に5〜20nm程度である。
【0069】
また壁部を構成する炭素材は、炭素を鉄系針状体に堆積させる際の炭素含有化合物の種類、条件等により構造が異なり、グラファイト構造を有している場合、アモルファス構造を有している場合及びその中間的構造を有している場合がある。例えば、該炭素含有化合物としてベンゼンを使用した場合等は高度に発達したグラファイト構造となり、該炭素含有化合物として脂肪族炭化水素を使用するとアモルファス構造となる傾向がある。
【0070】
以上の本発明製造法により得られる二重構造ナノスケール針状物質及びこれから芯部の鉄系針状体を除去してなるカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材は、電子放出材料、徐放剤、摺動材、導電対フィブリル、磁性体、超伝導体、耐摩耗材料、半導体、気体吸蔵材等の用途に適している。
【0071】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明をより一層詳しく説明する。
【0072】
実施例1
(1)PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルム20gと塩化鉄3gを磁製ボートに入れ、反応炉内の圧力を5Paとした後、30分を要して500℃まで昇温し、引き続き500℃に30分間維持することにより、鉄系ナノスケール針状体を得た。その電子顕微鏡写真を図1として示す。
【0073】
図1から明らかなように、本発明の鉄系ナノスケール針状体は、直線性の高いものであることが判る。尚、EDX及びEELS(Electron Energy Loss Spectroscopy:電子エネルギー損失分光法)による分析の結果、得られた鉄系ナノスケール針状体がフッ化鉄からなるものであることが確認された。
【0074】
尚、図1において示されているスケールは、左端のドットから右端のドットまでの長さが600nmであることを示す。図2及び図3においても同じである。
【0075】
(2)上記(1)で鉄系ナノスケール針状体を得た後、炭素含有化合物として、PTFEフィルム10gを反応炉に入れ、反応炉内の圧力を5Paとした後、525℃まで昇温し、引き続き525℃に30分間維持した。こうして、鉄系ナノスケール針状体の外周に炭素が堆積した二重構造ナノスケール針状物質を得た。その電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0076】
図2から明らかなように、本発明の二重構造ナノスケール針状物質は、直線性が高く、相互に絡み合っていないものである。
【0077】
(3)上記(2)の方法に従って得られた二重構造ナノスケール針状物質を、5Paの圧力下、850℃で30分間加熱した。こうして、二重構造ナノスケール針状物質の芯部の鉄系ナノスケール針状体を除去し、ナノスケール直線状中空炭素材を得た。その電子顕微鏡写真を図3に示す。
【0078】
図3から明らかなように、得られたナノスケール直線状中空炭素材は、二重構造ナノスケール針状物質の芯部の鉄系ナノスケール針状体が除去され、外周の炭素材が残留した結果中空となった炭素材であり、直線性が高いことが判る。
【0079】
また、X線回折法により分析した結果、得られた二重構造ナノスケール針状物質のチューブ壁部の構造は、アモルファス構造であった。
【0080】
実施例2
(1)アルミナ製ボートにFeCl2を0.4g、さらにもう一つのアルミナ製ボートにNaFを1.0g採取し、2つのボートを同一炉内にセットし、真空、200℃で脱気処理を施した。その後、引き続き真空を維持したまま、FeCl2側を500℃、NaF側を750℃に30分維持することにより、ヒーター間の低温部に、直線性の高いFeF2の針状ウィスカーを得た。
【0081】
(2)引き続き、炉全体を500℃にした後、100CCMのアルゴン流通により400kPaのアルゴン雰囲気とし、500℃、400kPaで100CCMのアルゴン担持飽和ヘキサン(ヘキサン蒸気を飽和させたアルゴン)を炉内に導入することにより、上記FeF2針状ウィスカー(約600℃以下では固体)の外周に炭素を堆積させて、芯部としてFeF2針状ウィスカーを内包したナノスケール直線状中空炭素材(二重構造ナノスケール針状物質)を得た。
【0082】
得られた二重構造ナノスケール針状物質は、直線性が高く、相互に絡み合っていないものであった。
【0083】
(3)さらに、引き続き800℃で真空にすることにより、芯部のFeF2を除去し、直線性が高く、相互に絡み合っていない外径60nmのナノスケール直線状中空炭素材を得た。
【0084】
実施例3
実施例2において炭素源として用いたアルゴン担持飽和ベンゼンに代えてメタンを用いる以外は実施例2と同様にして外径60nmのナノスケール直線状中空炭素材を得た。このものは、直線性が高く、相互に絡み合っていないものであった。
【0085】
実施例4
(1)ヒーターを備えた石英管を水平に設置した構成の炉内で、粉末状のFeCl20.4gを入れ、水素雰囲気下、圧力50kPa、600℃の条件下で30分間加熱処理した。この加熱処理の間に、FeCl2は気相状態となり、水素で還元されると同時に金属鉄となり、ナノスケールの径を有する鉄系針状体が成長した。この鉄系針状体を、EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)で分析した結果、鉄の針状結晶であることが判った。
【0086】
(2)引き続き、上記温度及び圧力条件を維持したまま、水素雰囲気をベンゼン雰囲気に変えるために、100CCMのアルゴン担持飽和ベンゼン(ベンゼン蒸気を飽和させ、アルゴンで担持させたガス)を炉内に導入した。反応系をこの条件下に60分間保持することにより、炭素を上記ナノスケール鉄系針状結晶の外周に堆積させ、二重構造ナノスケール針状物質を1.2g得た。
【0087】
得られた二重構造ナノスケール針状物質の一部を取り出してTEMで観察したところ、上記(1)で得たナノスケール鉄系針状結晶の周りに炭素が堆積し、複数の層からなるマルチウォールドタイプのグラファイト構造のカーボンナノチューブを形成していることが確認された。
【0088】
即ち、得られた二重構造ナノスケール針状物質は、上記鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成されたカーボンナノチューブからなる直線性の高い複合体であり、相互に絡まっていないことが確認された。また、該複合体以外の不純物は殆ど観察されなかった。
【0089】
該複合体を走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡にて観察したところ、その直径は、10〜30nm程度であり、その長さは1〜7μm程度であった。壁部の厚さは、1〜5nm程度であった。
【0090】
(3)更に、上記(2)で得られた二重構造ナノスケール針状物質を収容している炉内に、5%Cl2/Ar(アルゴンで希釈した塩素:塩素濃度5%)を100CCM入れ、800℃まで昇温速度8℃/分で昇温した。反応時間120分で、芯部の鉄系針状体が除去された中空ナノスケール針状物質(即ち、カーボンナノチューブ)を3mg得た。
【0091】
得られたカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡にて観察したところ、高い直線性を有しており、相互に絡まっておらず、その直径は、10〜30nm程度であり、その長さは1〜7μm程度であった。カーボンナノチューブの壁部の厚さは、1〜5nm程度であった。
【0092】
(4)更に、上記(2)と同様にして得られた二重構造ナノスケール針状物質1.0gを単離し、室温で10N塩酸溶液20mlに3時間分散、撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過、蒸留水洗浄、乾燥処理により、芯部の除去された中空ナノスケール針状物質(即ちカーボンナノチューブ)を5mg得た。
【0093】
得られたカーボンナノチューブを走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡にて観察したところ、高い直線性を有しており、相互に絡まっておらず、その直径は、10〜30nm程度であり、その長さは1〜7μm程度であった。カーボンナノチューブの壁部の厚さは、1〜5nm程度であった。
【0094】
【発明の効果】
本発明によれば、前記直線性に優れた鉄系針状体の周りに炭素を堆積させるという方法を採用するので、該鉄系針状体を芯部とし、壁部が炭素材料である直線性に優れた二重構造ナノスケール針状物質を、選択的に且つ高収率で得ることができる。
【0095】
また、この二重構造ナノスケール針状物質を、その芯部の鉄系針状体の融点以上の温度で加熱するか、又は、ハロゲンの存在下で加熱することにより、芯部の鉄系針状体を除去できるので、当初の高い直線性を維持したカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材を選択的に且つ高収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の(1)で得られた鉄系針状体の電子顕微鏡写真である。
【図2】実施例1の(2)で得られた二重構造ナノスケール針状物質の電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1の(3)で得られたナノスケール直線状中空炭素材の電子顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. ナノスケールの径を有する鉄系針状体の外周に炭素を堆積させることにより、鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからなる二重構造ナノスケール針状物質を得ることを特徴とするナノスケール針状物質の製造方法であって、上記ナノスケールの径を有する鉄系針状体が、300〜1000℃の温度下でガス状態となる(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の遷移金属化合物との混合物からなる群から選ばれた鉄系原料を、(a)フッ素及び炭素含有化合物、(b)水素及び(c)ハロゲン化塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である添加剤の存在下で加熱することにより得られるものであるナノスケール針状物質の製造方法。
  2. 鉄化合物が、ハロゲン化鉄、鉄錯体、過塩素酸鉄、硫化鉄、炭化鉄、珪化鉄、窒化鉄、セレン化鉄、リン化鉄及びヒ化鉄からなる群から選ばれた少なくとも1種であり、他の遷移金属化合物が、コバルト、ニッケル及びクロムからなる群から選ばれた遷移金属のハロゲン化物から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のナノスケール針状物質の製造方法。
  3. 鉄系針状体の外周への炭素の堆積を、該鉄系針状体の存在下で炭素含有化合物を加熱することにより行なう請求項1または2に記載のナノスケール針状物質の製造方法。
  4. 鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからなる二重構造ナノスケール針状物質を、芯部の鉄系針状体の融点以上の温度に加熱するか、又は、ハロゲンの存在下で加熱するか、又は、酸処理することにより、芯部の鉄系針状体を除去し、ナノスケール直線状中空炭素材を得る工程を更に有する請求項1〜3のいずれかに記載のナノスケール針状物質の製造方法。
  5. (1)300〜1000℃の温度下でガス状態となる(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の遷移金属化合物との混合物からなる群から選ばれた鉄系原料を、フッ素樹脂の存在下、400〜500℃で加熱することにより、ナノスケールの径を有する鉄系針状体を得る工程、
    (2)上記工程(1)で得られた鉄系針状体とフッ素樹脂とを510〜550℃で加熱することにより、鉄系針状体の外周に炭素を堆積させて二重構造ナノスケール針状物質を得る工程、及び
    (3)上記工程(2)で得られた二重構造ナノスケール針状物質を、560℃以上の温度で加熱する工程
    を包含するナノスケール直線状中空炭素材の製造方法。
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