JP3087348B2 - 炭素を含有する針状金属鉄微粒子、その製法、それを含有する磁性塗料組成物及び磁気記録媒体 - Google Patents

炭素を含有する針状金属鉄微粒子、その製法、それを含有する磁性塗料組成物及び磁気記録媒体

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JP3087348B2 JP03140817A JP14081791A JP3087348B2 JP 3087348 B2 JP3087348 B2 JP 3087348B2 JP 03140817 A JP03140817 A JP 03140817A JP 14081791 A JP14081791 A JP 14081791A JP 3087348 B2 JP3087348 B2 JP 3087348B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素を含有する針状金属
鉄微粒子、その製法、それを含有する磁性塗料組成物及
び磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の針状金属鉄微粒子は、酸化鉄、例
えばγ−Fe23の針状微粒子より遥かに良好な磁気特
性を有して、磁気記録テープなど磁気記録媒体用の磁性
材料として使用されている。
【0003】しかし針状金属鉄微粒子はその表面が金属
であるので耐食性が低いという欠点がある。耐食性を改
善するため金属鉄微粒子表面を酸素もしくは空気で処理
して、その表面に非磁性の又は磁気特性の低い酸化物層
を形成させる方法により耐食性を改善し、磁気特性の経
時劣化を防いでいる。しかし、この方法では金属鉄を非
磁性酸化物で被覆した分の磁化量が犠牲にされるので、
製造工程中に添加される他の焼結防止剤等の重量も合わ
せると、金属鉄単独で本来有する重量当たりの飽和磁化
量の通常20〜30%が犠牲となつている。
【0004】耐食性を向上させるその他の方法として、
磁性金属粉末の表面に黒鉛被膜を形成させる方法も提案
されている(特開平2−69904)。これは金属粉末表面
の触媒作用により緻密な黒鉛皮膜を得たものであるが、
黒鉛が非磁性物であること、および金属粉末を得るため
多量の焼結防止剤を必要とするのでやはり飽和磁化量を
犠牲にしている。
【0005】また、遷移金属カルボニル化合物から得ら
れ、炭素を実質的に炭化金属の形で含む金属磁性粉(特
開平2−69903)も提案されているが、これは原料が高
価である点が不利である。さらに一次粒子が針状ではな
いので、磁場をかけて針状を得ているがその形状は一般
に粗大であり、塗工、および配向が困難であり、磁気記
録媒体に用いるのは不適当である。
【0006】一方、耐食性に優れた磁性材料として針状
炭化鉄微粒子が知られている。これは化学的に安定で高
保磁力を有し磁気記録媒体用の磁性材料として有用であ
る(例えば特開昭60−71509号、同60−108309号、同60
−127212号、同60−155522号)。しかし重量当たりの飽
和磁化量の点において針状金属鉄微粒子に劣る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は磁気特
性及び耐食性に優れた針状金属鉄微粒子、その製法、そ
れを含有する磁性塗料組成物及び磁気記録媒体を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は炭素を含有する
針状金属鉄微粒子であつて、その平均粒径(長軸)が1.
0μm以下、平均軸比が3〜15であり、前記炭素の量が前
記針状金属鉄微粒子に対して2〜20重量%である針状金
属鉄微粒子に係る。
【0009】また、本発明は上記針状金属鉄微粒子を含
有する磁性塗料組成物及び磁気記録媒体に係る。
【0010】本発明の針状金属鉄微粒子は針状炭化鉄微
粒子に炭素原子を含有しない還元剤を接触させることに
より製造される。
【0011】本発明の針状金属鉄微粒子は、従来のオキ
シ水酸化鉄又は酸化鉄を鉄又はこれに近い状態まで水素
で還元して得た針状金属鉄粒子よりも優れた耐食性を有
し、且つ同等又はより優れた保磁力及び飽和磁化量を有
する。更に磁性塗料とした場合、本発明の微粒子は分散
性に優れる。また本発明の磁気記録媒体は従来のものよ
りはるかに優れたシート特性を有する。
【0012】本発明による炭素を含有する針状金属鉄微
粒子が磁気特性に優れている理由は明らかではないが、
従来針状金属鉄微粒子を得る場合、針状酸化鉄微粒子を
直接還元しているので、還元により生成する水のため焼
結、形状の崩れが起こり、高保磁力、高分散性が得られ
ない。その対策として酸化鉄の状態で多量の焼結防止剤
の被着処理を施しているがこれらは非磁性のため金属鉄
微粒子の磁化量の低下の原因になつている。また黒鉛、
炭化鉄で表面被膜処理をしようとする場合金属鉄が触媒
となり炭素が析出しやすくなり磁化量の低下の原因にな
つている。
【0013】これに対し本発明の針状金属鉄微粒子はそ
の製造時の還元過程において、まず多量の水を生成する
ことがなく、従つて焼結防止剤が少なくても高保磁力、
高分散性を損なうことなく、金属鉄本来の高磁化量を引
き出すことができ、ついで炭化鉄由来の炭素(これはX
線回折で黒鉛ではなく、無定形の炭素と推定される)が
活性な還元面を効果的に保護するため前記優れた磁気特
性が長期に亘り劣化することなく維持することができ
る。
【0014】以上詳述したように本発明の針状金属鉄微
粒子は、焼結防止剤の含有量が従来の針状金属鉄微粒子
の場合に比べて少なく、例えば焼結防止剤がSi成分の
ときその含有量が針状オキシ水酸化鉄の重量を基準にし
て約3重量%以下、約0.01〜0.5重量%が好ましく、約
0.01重量%であつても1000Oe以上の高保磁力、高分散
性と、120emu/g以上の高飽和磁化量とを示し、且つま
た針状金属鉄微粒子に対して2〜20重量%の上記炭素に
よりその活性面が保護されたものであるといえる。
【0015】本発明の針状金属鉄微粒子の製法におい
て、出発原料として用いられる針状炭化鉄微粒子として
は例えば特開昭60−71509号、同61−111921号等に記載
された針状炭化鉄微粒子を挙げることができる。かかる
微粒子の成分である炭化鉄にはFe52、Fe73、Fe
C、Fe3Cがあり、前三者が好ましい。
【0016】本発明の出発原料となる針状炭化鉄微粒子
を製造するには、例えば(a)針状オキシ水酸化鉄また
は針状酸化鉄に炭素原子を含有しない還元剤を接触させ
た後または接触させずに、(b)炭素原子を含有する還
元剤もしくはこれと炭素原子を含有しない還元剤との混
合物を接触させる方法による。
【0017】その方法において針状オキシ水酸化鉄は、
針状α−FeOOH(ゲーサイト)、β−FeOOH(ア
カガネサイト)又は針状γ−FeOOH(レピドクロサ
イト)が好ましく、針状酸化鉄は、針状α−Fe2
3(ヘマタイト)、針状γ−Fe23(マグヘマイト)又
は針状Fe34(マグネタイト)が好ましい。
【0018】上記の針状α−Fe23又は針状γ−Fe2
3としては、例えば針状α−FeOOH、針状β−Fe
OOH又は針状γ−FeOOHをそれぞれ約200〜350℃
に加熱及び脱水して得られたもの、あるいはこれらを更
に約350〜900℃に加熱して結晶の緻密化を図つた針状α
−Fe23、γ−Fe23等あらゆるものが包含される。
【0019】前記の針状Fe34は、針状Fe34以外の
針状酸化鉄又は針状オキシ水酸化鉄を炭素原子を含有す
る還元剤もしくは炭素原子を含有しない還元剤又はこれ
らの混合物と接触させることによつて製造することがで
きる。炭素原子を含有する還元剤又はこれと炭素原子を
含有しない還元剤との混合物を接触させて針状Fe34
を製造する場合、後述の製法における接触条件と比較し
て、時間に関する以外同一の接触条件にすることができ
る。その場合、針状Fe34の製造に引き続き同一条件
で接触を継続して目的とする針状炭化鉄粒子を製造する
ことができる。
【0020】針状オキシ水酸化鉄又は針状酸化鉄は平均
軸比が3以上のものが通常であり、5〜15のものが好適
であり、平均粒径(長軸)は、通常1.0μm以下、好適に
は0.1〜1.0μmである。これにより製造された針状炭化
鉄微粒子は、原料の平均軸比及び平均粒径と比較して若
干小さくなるが殆ど変らない。
【0021】また、針状炭化鉄微粒子の製法における針
状オキシ水酸化鉄又は針状酸化鉄は、形状が針状であ
り、主成分がオキシ水酸化鉄又は酸化鉄である限り、少
量の銅、マグネシウム、マンガン、ニツケルの酸化物、
炭酸塩; 珪素の酸化物; カリウム塩、ナトリウム塩等を
添加して成るものであつてもよい。
【0022】上記針状オキシ水酸化鉄は、特開昭60−10
8309号にあるように、その表面のpHが5以上の場合
は、より高保磁力を有する針状粒子が得られ、好まし
い。pHが5未満の場合は、アルカリ(例えば水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム)水溶
液と接触させてpHを5以上とするのがよい。またアル
カリ処理した針状酸化鉄を用いることもできる。アルカ
リ処理は、例えば被処理物を水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化アンモニウムのようなアルカリの水溶
液(例えば、pH8以上、好ましくは10以上の水溶液)
と接触させて、必要ならば30分〜1時間撹拌して、ロ
別、乾燥することにより行なうことができる。
【0023】なお、Coを被着した針状オキシ水酸化鉄
又は酸化鉄を用いることもできる。Coを被着するに
は、Co塩の水溶液(例えば、0.1〜10重量%の稀薄溶
液)に針状オキシ水酸化鉄又は酸化鉄を投入して室温な
いし加温下に撹拌しアルカリ水溶液でアルカリ性とし、
必要ならば30分〜1時間撹拌してロ別乾燥するのが好ま
しい。
【0024】なお、原料は特開昭60−141611号に記載さ
れるように、珪素化合物、ホウ素化合物、アルミニウム
化合物、脂肪族カルボン酸もしくはその塩、リン化合物
又はチタン化合物などの焼結防止剤を被着して用いるこ
ともできる。
【0025】好適な珪素化合物としては、水ガラスやシ
ランカツプリング剤等を挙げることができる。
【0026】好適に用いられる珪素化合物の具体例を挙
げれば、次のとおりである:γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルト
リエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメト
キシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニ
ルトリアセトオキシシランなど。
【0027】また好ましいホウ素化合物としては、ホウ
酸とグリセリンのような隣接水酸基を有する多価アルコ
ールを反応させて、分子中に特異な形でホウ素を含む化
学構造を有する化合物、たとえばポリオキシエチレング
リセロールボレート・ラウレート、ポリオキシエチレン
グリセロールボレート・パルミテート、ポリオキシエチ
レングリセロールボレート・ステアレートなどから適宜
に選択したものが使用される。
【0028】更に好適なアルミニウム化合物としては、
アルミン酸カリ、アルミン酸ソーダなどが用いられる。
【0029】好適な脂肪族カルボン酸またはその塩とし
ては、例えばオレイン酸、 ヤシ油脂肪酸、オレイン酸ナ
トリウムなどの炭素数12〜20の脂肪酸またはそのアルカ
リ金属(Na、Kなど)塩もしくはアルカリ土類金属
(カルシウム、マグネシウムなど)塩、アンモニウム塩
等を例示できる。
【0030】好適なリン化合物としては、リン酸エステ
ル、リン酸塩等を挙げることができる。リン酸エステル
の具体例としては、アルキルフエノール型リン酸エステ
ル、アルキルリン酸エステル〔東邦化学(製)GAFAKシ
リーズ〕など、またリン酸塩の具体例としては例えば、
ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、
メタリン酸ナトリウム等を例示できる。
【0031】好ましいチタン化合物としては分子中に無
機物と結合する部分と有機物と結合する部分を持つチタ
ン有機化合物、たとえばジイソプロポキシ・ビス(アセ
チルアセトン)チタネート、ジ−n−ブトキシ・ビス
(トリエタノールアミン)チタネート、ジヒドロキシ・
ビス(ラクテイツクアミド)チタネート、テトラオクチ
レングリコールチタネートなどを挙げることができる。
【0032】これら焼結防止剤は1種又は2種以上併用
して用いることができる。その被着量はその種類にもよ
るが、SiおよびAl等の場合、一般に針状オキシ水酸
化鉄の重量を基準にして約3%以下を使用するが約0.01
〜0.5重量%が好ましい。被着量が3%を越えると炭化
反応時に炭素析出触媒として作用し、非磁性物である析
出炭素量も増加し、磁化量低下の原因となるので好まし
くない。被着量が少なすぎると焼結が生じこれから得ら
れる磁性塗料組成物の分散性、充填性が悪くなり、シー
ト特性が劣る。被着処理は公知の方法によればよく、通
常は上記焼結防止剤の適宜の濃度を有する水溶液に針状
オキシ水酸化鉄の粒子を分散させた後、又はその後pH
を変化させた後、この粒子を濾取し乾燥する方法が好ま
しい。
【0033】本発明の出発原料として用いる針状炭化鉄
微粒子の製法(a)及び(b)において用いられる炭素原
子を含有しない還元剤の代表例としてはH2、NH2NH
2等を挙げることができる。
【0034】また(b)における炭素原子を含有する還
元剤としては下記化合物の少なくとも1種以上を使用で
きる。
【0035】 CO 脂肪族、鎖状もしくは環状の、飽和もしくは不飽和
炭化水素、例えばメタン、プロパン、ブタン、シクロヘ
キサン、メチルシクロヘキサン、アセチレン、エチレ
ン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、タウンガス
など。 芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエ
ン、キシレン、沸点150℃以下のこれらのアルキル、ア
ルケニル誘導体。 脂肪族アルコール、例えばメタノ
ール、エタノール、プロパノール、シクロヘキサノー
ル。 エステル、例えばギ酸メチル、酢酸エチル等の
沸点150℃以下のエステル。 エーテル、例えば低級ア
ルキルエーテル、ビニルエーテル等の沸点150℃以下の
エーテル。 アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド等の沸点150℃以下のアルデヒド。
ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等の沸点150℃以下のケトン。
【0036】特に好ましい炭素原子を含有する還元剤は
CO、CH3OH、HCOOCH3、炭素数1〜5の飽和
または不飽和の脂肪族炭化水素である。
【0037】前記(a)工程において、炭素原子を含有
しない還元剤は希釈して使用してもよい。希釈剤として
は、例えばN2、アルゴン、ヘリウム等を挙げることが
できる。また希釈率は任意に選択でき、例えば約1.1〜1
0倍(容量比)に希釈するのが好ましい。接触温度、接
触時間、流速等の接触条件は、例えば針状オキシ水酸化
鉄又は針状酸化鉄の製造履歴、平均軸比、平均粒径、比
表面積、及び所望とする特性に応じ変動するため、適宜
選択するのがよい。好ましい接触温度は、約200〜700
℃、より好ましくは約300〜400℃、好ましい接触時間は
約0.5〜6時間である。好ましい流速は、原料の鉄化合
物1g当り希釈剤を除いて約1〜1000mlS.T.P/分、好
ましくは約5〜500ml S.T.P/分である。なお、接触圧
力は、希釈剤をも含めて、1〜2気圧が常用されるが、
特に制限はない。
【0038】前記(b)工程においても炭素原子を含有
する還元剤もしくはこれと炭素原子を含有しない還元剤
との混合物を希釈してあるいは希釈せずに使用できる。
混合物を用いる場合、その混合比は適宜に選択すること
ができるが、通常は炭素原子を含有する還元剤と炭素原
子を含有しない還元剤の容量比が1/0.05〜1/5とす
るのが好ましい。接触条件も同様に適宜選択することが
できるが、好ましい接触温度は約250〜400℃、より好ま
しくは約300〜400℃、好ましい接触時間は、(a)工程
を行つた場合は約0.5〜6時間、(a)工程のない場合は
約1〜12時間である。好ましい流速は、原料の鉄化合物
1g当り希釈剤を除いて約1〜1000ml S.T.P/分、好ま
しくは5〜500ml S.T.P/分である。なお、接触圧力
は、希釈剤をも含めて、1〜2気圧が常用されるが、特
に制限はない。
【0039】上記で得られる生成物は炭化鉄であるが若
干の析出炭素及び酸化鉄も存在し得る。そして炭化鉄の
主成分はFe52であり、Fe73、FeC、Fe3Cが含
まれ得る。
【0040】本発明の炭素を含有する針状金属鉄微粒子
は前記針状炭化鉄微粒子に炭素原子を含有しない還元剤
を接触させることにより得ることができる。炭素原子を
含有しない還元剤としては前述と同様、H2、NH2NH
2等を例示することができる。好ましい接触温度は約300
〜500℃、好ましい接触時間は約0.5〜6時間である。必
要により前述と同様の希釈剤を使用できる。好ましい流
速は針状炭化鉄微粒子1g当り希釈剤を除いて約1〜100
0ml S.T.P/分である。尚、接触圧力は希釈剤をも含め
て1〜2気圧が常用されるが特に制限はない。
【0041】本発明の炭素を含有する針状金属鉄微粒子
は、炭素を針状金属鉄微粒子に対して通常2〜20重量
%、好ましくは5〜15重量%含有する。炭素含有量がこ
れより多いと磁化量の向上が少なく、これより少ないと
耐食性が劣る。炭素含有量は出発原料である炭化鉄中の
炭素及び析出した炭素の合計の全炭素量で表される。本
発明の好ましい範囲において存在する炭素は元素分析に
より含有量が確かめられるのみで、X線では炭化鉄とし
ても黒鉛としても検出されず、その形態は無定形とも推
定されるが詳細は不明である。本発明の針状金属鉄微粒
子は平均軸比が3〜15、平均粒径(長軸)は通常1.0μm
以下、好適には0.1〜1.0μmである。
【0042】本発明の磁性塗料組成物は上記本発明の針
状鉄微粒子を結合剤と共に有機溶媒に分散することによ
り得られる。尚、磁性塗料組成物には分散剤、潤滑剤、
研磨剤、帯電防止剤等を必要に応じ加えることができ
る。
【0043】本発明において使用される結合剤として
は、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は反応型
樹脂やこれらの混合物が使用される。
【0044】熱可塑性樹脂として、軟化温度が150℃以
下、平均分子量が 10000〜200000、重合度が約200〜200
0程度のもので、例えば塩化ビニル酢酸ビニル共重合
体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルア
クリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリロ
ニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン
共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、メタ
クリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、メタクリ
ル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エ
ステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ポリ
弗化ビニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合
体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリアミド
樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セル
ロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテー
ト、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネ
ート、ニトロセルロース等)、スチレンブタジエン共重
合体、ポリエステル樹脂、クロロビニルエーテルアクリ
ル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、各種の合成ゴム系
の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物等が使用される。
【0045】熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては、塗
布液の状態では200000以下の分子量であり、塗布、乾燥
後に加熱することにより、縮合、付加等の反応により分
子量は無限大のものとなる。又、これらの樹脂のなか
で、樹脂が熱分解するまでの間に軟化又は溶融しないも
のが好ましい。具体的には例えばフエノール樹脂、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミ
ン樹脂、アルキツド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反
応樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、高分子量ポリエス
テル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタ
クリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの
混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネート
の混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコ
ール/高分子量ジオール/トリフエニルメタントリイソ
シアネートの混合物、ポリアミン樹脂及びこれらの混合
物等である。
【0046】これらの結合剤の単独又は組合わされたも
のが使われ、他に添加剤が加えられる。針状粒子と結合
剤との混合割合は、重量比で針状粒子100重量部に対し
て結合剤10〜400重量部、好ましくは30〜200重量部の範
囲で使用される。
【0047】有機溶媒としては、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン系 ; メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール系 ; 酢酸メチル、酢酸
エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸グリコール、モ
ノエチルエーテル等のエステル系 ; エーテル、グリコ
ールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテ
ル、ジオキサン等のグリコールエーテル系 ; ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等のタール系(芳香族炭化水素)
; メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化
炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロ
ルベンゼン等の塩素化炭化水素等が使用できる。
【0048】分散剤としては、カプリル酸、カプリン
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステア
リン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノ
レン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個の脂肪酸
(R1COOH、R1は炭素数11〜17のアルキル基) ; 前
記の脂肪酸のアルカリ金属(Li、Na、K等)またはアル
カリ土類金属(Mg、Ca、Ba等)から成る金属石鹸 ; レ
シチン等が使用される。この他に炭素数12以上の高級ア
ルコール、及びこれらの他に硫酸エステル等も使用可能
である。これらの分散剤は、結合剤100重量部に対して
1〜20重量部の範囲で添加される。
【0049】潤滑剤としては、シリコンオイル、グラフ
アイト、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭素
数12〜16の一塩基性脂肪酸と炭素数3〜12の一価のアル
コールから成る脂肪酸エステル類、炭素数17以上の一塩
基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が21〜
23と成る一価のアルコールから成る脂肪酸エステル等が
使用できる。これらの潤滑剤は、結合剤100重量部に対
して0.2〜20重量部の範囲で添加される。
【0050】研磨剤としては、一般に使用される材料で
溶融アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、コランダム、
人造コランダム、ダイアモンド、人造ダイアモンド、ザ
クロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)等が使
用される。これらの研磨剤は平均粒子径が0.05〜5μm
の大きさのものが使用され、特に好ましくは0.1〜2μm
である。これらの研磨剤は、結合剤100重量部に対して
7〜20重量部の範囲で添加される。
【0051】帯電防止剤として、サポニンなどの天然界
面活性剤 ; アルキレンオキサイド系、グリセリン系、
グリシドール系などのノニオン界面活性剤 ; 高級アル
キルアミン類、第4級アンモニウム塩類、ピリジンその
他の複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類などの
カチオン界面活性剤 ; カルボン酸、スルホン酸、燐酸、
硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むアニ
オン界面活性剤 ; アミノ酸類、アミノスルホン酸類、
アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類等の両性
活性剤などが使用される。これらの帯電防止剤は、単独
または混合して添加してもよい。これらは帯電防止剤と
して用いられるものであるが、時としてその他の目的、
たとえば分散、磁気特性の改良、潤滑性の改良、塗布助
剤として適用される場合もある。これらの帯電防止剤
は、結合剤100重量部に対して1〜2重量部の範囲で添
加される。
【0052】本発明の磁気記録媒体は、上記磁性塗料組
成物を基体(支持体)上に塗布することにより得られる。
【0053】支持体の厚みは5〜50μm程度、好ましく
は10〜40μm程度が良く、素材としてはポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等の
ポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフイン
類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテ
ート等のセルロース誘導体、ポリカーボネート等が使用
される。
【0054】上記の支持体は、帯電防止、転写防止等の
目的で、磁性層を設けた側の反対の面がいわゆるバツク
コート(backcoat)されてもよい。
【0055】又、支持体の形態は、テープ、シート、カ
ード、デイスク、ドラム等のいずれでも良く、形態に応
じて種々の材料が必要に応じて選択される。
【0056】支持体上へ前記の磁性塗料組成物を塗布す
る方法としては、エアードクターコート、ブレードコー
ト、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、
リバースロールコート、トランスフアーロールコート、
グラビアコート、キスコート、キヤストコート、スプレ
ーコート等が利用でき、その他の方法も可能である。
【0057】この様な方法により、支持体上に塗布され
た磁性層は、必要により層中の磁性粉末を配向させる処
理を施したのち、形成した磁性層を乾燥する。又必要に
より表面平滑化加工を施したり、所望の形状に裁断した
りして、本発明の磁気記録媒体を製造する。この場合、
配向磁場は、交流または直流で約500〜5000ガウス程度
であり、乾燥温度は約50〜100℃程度、乾燥時間は約3
〜10分間程度である。
【0058】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて詳しく説明
する。実施例において、各種特性等はそれぞれ次の方法
によつて求めた。 (1) 磁気特性 実施例1〜2及び比較例1〜3は次の方法によつて求め
る。ホール素子を用いたガウスメーターにより試料充填
率0.2で、測定磁場5kOeで、保磁力(Hc、充填率0.2
で、測定磁場5kOeで、保磁力(Hc、Oe)、飽和磁化
量(σs、emu/g)及び角型比(Sq)を測定する。また
実施例3,4,5,6、比較例4はガウスメーターにか
えて振動試料型磁化特性測定装置を用いて粉体は測定磁
場10kOeで、シートは5kOeで特性を測定する。 (2) C, H及びNの元素分析 元素分析は(株)柳本製作所製のMT2 CHN CORDER Ya
nacoを使用し、900℃で酸素(ヘリウムキヤリヤ)を通
じることにより常法に従つて行う。 (3) 比表面積 窒素吸着法によるBET比表面積 (4) 耐食性(耐酸化性) (1−B/A)×100
(%) A: 飽和磁化量 σs(emu/g) B: 100℃の空気中で8時間放置後のσs
【0059】実施例1 平均粒径 0.7μm(長軸)、平均軸比10の針状ゲーサイ
ト粒子 6kgを水 194l中に分散させ、少量のアルカリ
溶液(NaOH20%soln)を添加しpH13以上に調整した
後、水ガラス3号(Na2O・3SiO2)1kg(α−Fe
OOHに対しSi分約2.6%)を添加し、撹拌する。この
水溶液に1N−HClを添加し、pH5に調整し、1時
間後に濾過を行い乾燥した。この処理した粒子粉末をマ
ツフル炉に入れ、600℃で1時間加熱してα−Fe23
末を得た。
【0060】このα−Fe23粉末3kgを反応管に入
れ、COを90l/minの流速で流しながら365℃で8時間
処理した。ガスを窒素にかえ、室温付近まで冷却した
後、徐々にガスを空気にかえ、炭化鉄粉体を得た。生成
物のX線回折パターン(Cu Kα線)はASTMのX−
ray Powder Data File 20−509のFe52と一致し
た。この粉末40gを取り反応管に入れ、水素を5l/min
流しながら320℃で3時間処理した。ガスを窒素にか
え、室温付近まで冷却した後徐々にガスを空気にかえて
本発明の粉体を得た。生成物のX線回折パターンはAS
TMのX−ray Powder Data Fileの6−696 α−
Feと一致した。透過型電子顕微鏡観察により針状の形
状が良好に保たれていることを確認した。この本発明の
粉体の磁気特性は保磁力Hc=1240Oe、飽和磁化量σs
は146emu/gであり、全炭素量は12%、窒素吸着法によ
るBET比表面積は54m2/gであつた。耐食試験の結
果、この本発明の粉体のσsは13%低下した。又、この
粉体 20g、変性ポリウレタン 5gを溶剤 60g中で混合、
分散させて磁性塗料を調製しポリエチレンテレフタレー
ト(PET)フイルム上に厚み約5μに塗布して磁気シ
ートを製作した。このシートの保磁力は1280Oe、飽和
磁束密度は2400G、角型比は0.76であつた。
【0061】実施例2 実施例1で得たα−Fe23 40gを反応管に入れCOを
5l/minの流速で流しながら365℃で3.5時間処理した
後、ガスを水素に切り替え、更に1時間処理した。ガス
を窒素にかえ、室温付近まで冷却した後、徐々にガスを
空気にかえ粉末を得た。結果を表1に示す。
【0062】実施例3 平均粒径 0.4μm(長軸)、平均軸比10の針状ゲーサイ
ト粒子 1kgを水 20l中に分散させ、少量のアルカリ溶
液(NaOH20%soln)を添加しpH13以上に調整した
後、水ガラス3号 0.02kg(α−FeOOHに対しSi分
約0.27%)を添加し、pH5に調整し、1時間後に濾過を
行い乾燥した。
【0063】この処理した粒子粉末をマツフル炉に入
れ、600℃で1時間加熱してα−Fe23粉末を得た。
【0064】この酸化鉄粉末 0.5kgを反応管に入れ、C
Oを90l/minの流速で流しながら365℃で5時間処理し
た。ガスを窒素にかえ、室温付近まで冷却した後、徐々
にガスを空気にかえ、炭化鉄粉体を得た。図1に示す生
成物のX線回折パターンはASTMのX−ray Powder
Data File 20−509のFe52と一致した。この粉末4
0gを取り反応管に入れ、水素を5l/minの流速で流し
ながら320℃で2時間処理した。ガスを窒素にかえ、室
温付近まで冷却した後徐々にガスを空気にかえて本発明
の粉体を得た。図2に示す生成物のX線回折パターンは
ASTMのX−ray Powder Data Fileの6−696
α−Feと一致し、黒鉛、炭化鉄の回折ピークはみられ
なかつた。透過型電子顕微鏡観察により針状の形状が良
好に保たれていることを確認した。この本発明の粉体の
磁気特性は保磁力Hc=1540Oe、飽和磁化量σsは158em
u/gであり、全炭素量は10%、窒素吸着法によるBET
比表面積は56m2/gであつた。耐食試験の結果、この本
発明の粉体のσsは15%低下した。又、この粉体 20g、
スルホニル基含有の塩化ビニル樹脂MR−110(日本ゼ
オン社) 5gを溶剤 60g中で混合、分散させて磁性塗料
を調製しポリエチレンテレフタレート(PET)フイル
ム上に厚み約5μに塗布して磁気シートを製作した。こ
のシートの保磁力は1520Oe、飽和磁束密度は4950G、
角型比は0.86であつた。このシートを60℃、90%RH中
に1週間保持し、飽和磁束密度の低下を測定すると約7
%であつた。尚、従来の針状金属鉄微粒子を用いて得ら
れたシートでは10〜13%の飽和磁束密度の低下が見られ
た。
【0065】実施例4 実施例3における針状ゲーサイトを平均粒径0.25μ(長
軸)、平均軸比6の形状の異なる針状ゲーサイトに変更
した以外は実施例3と同様の処理、反応を行つた。結果
を表2に示す。
【0066】実施例5 表面処理剤の水ガラスをアルミン酸ソーダ(NaAl
2、純度75%)に変更し、その量を0.01kgにした以外
は実施例3と同様の処理、反応を行つた。結果は表2に
示す。
【0067】実施例6 平均粒径 0.4μm(長軸)、平均軸比10の針状ゲーサイ
ト粒子 1kgを水 20l中に分散させ、少量のアルカリ溶
液(NaOH20%soln)を添加しpH13以上に調整した
後、水ガラス3号 0.02kgとアルミン酸ソーダ 0.01kgを
添加し、pH5に調整し、1時間後に濾過を行い乾燥し
た。
【0068】この処理した粒子粉末をマツフル炉に入
れ、600℃で1時間加熱してα−Fe23粉末を得た。
【0069】この酸化鉄粉末 0.5kgを反応管に入れ、C
Oを90l/minの流速で流しながら370℃で5時間処理し
た。ガスを窒素にかえ、室温付近まで冷却した後、徐々
にガスを空気にかえ、炭化鉄粉体を得た。
【0070】この炭化鉄粉末40gを取り反応管に入れ、
水素を5l/minの流速で流しながら400℃で1時間処理
した。ガスを窒素にかえ、室温付近まで冷却した後徐々
にガスを空気にかえて本発明の粉体を得た。結果を表2
に示す。
【0071】比較例1 比較のために実施例1で得られたFe52に一致する粉
末を得て、還元処理を行わず直接上記と同様に評価を行
つた。結果を表1に示す。
【0072】比較例2 実施例1で得たα−Fe23を表に示した条件で水素の
みで反応させて、徐酸化後、金属鉄微粒子を得、同様の
評価を行つた。結果を表1に示す。比表面積が小さくな
つていること及び透過型電子顕微鏡観察により粒子間に
焼結が起こつていることがわかつた。これより得られる
塗料組成物においては、針状粒子間の焼結により分散性
が劣る。又これより作製したシートの角型比は低く、又
耐食性も低い。実施例1で得たα−Fe23には被着剤
(Si)が添加されているがこの量では不十分であるこ
とを示している。
【0073】比較例3 実施例1で得たα−Fe23をまず水素と反応させ金属
鉄まで還元した後、CO:N2=5:95の混合ガスで処
理を行って表面に炭化鉄を被覆した磁性粉末を得、同様
の評価を行つた。ここで得られる炭化鉄はFe3Cであ
る。結果を表1に示す。保磁力、磁化量、比表面積、耐
食性、角型比ともに本発明の金属鉄微粒子より低い。
【0074】比較例4 実施例3で得られた中間体の炭化鉄 40gを取り反応管に
入れ、水素を5l/minの流速で流しながら320℃で20mi
n処理し、粉体を得た。生成物はX線回折パターンでFe
52とα−Feの混合物であり、第2反応が完全に終了
していなかつた。結果を表2に示したが、特性はすべて
に低く、炭化鉄が残留すると磁気特性の向上は少ない。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】本発明の炭素を含有する針状金属鉄微粒
子は磁気特性及び耐食性の双方において優れ、例えば磁
気特性では保磁力が1000Oe以上、飽和磁化量が120emu
/g以上で、従来の針状金属鉄微粒子より優れ、耐食性
が針状炭化鉄微粒子と殆ど等しく、従来の針状金属鉄微
粒子のそれより遥かに優れている。更に磁性塗料とした
場合、本発明の微粒子は分散性に優れる。これより得ら
れる磁気記録媒体は優れた飽和磁束密度を与え、長期に
亘る安定した磁気特性を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3で得られた針状炭化鉄微粒子のX線
回折パターンである。
【図2】 実施例3で得られた本発明の針状金属鉄微粒
子のX線回折パターンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 5/842 G11B 5/842 Z H01F 1/06 H01F 1/11 H 1/11 1/06 N (72)発明者 大門 茂男 大阪府摂津市西一津屋1−1 ダイキン 工業株式会社 淀川製作所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 1/00 B22F 9/20 B22F 9/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素を含有する針状金属鉄微粒子であつ
    て、その平均粒径(長軸)が1.0μm以下、平均軸比が3
    〜15であり、前記炭素の量が前記針状金属鉄微粒子に対
    して2〜20重量%である針状金属鉄微粒子。
  2. 【請求項2】 針状炭化鉄微粒子と炭素原子を含有しな
    い還元剤とを加熱条件下に接触させることにより得られ
    た炭素を含有する針状金属鉄微粒子。
  3. 【請求項3】 針状炭化鉄微粒子と炭素原子を含有しな
    い還元剤とを加熱条件下に接触させることを特徴とする
    炭素を含有する針状金属鉄微粒子の製法。
  4. 【請求項4】 炭素を含有する針状金属鉄微粒子であつ
    て、その平均粒径(長軸)が1.0μm以下、平均軸比が3
    〜15であり、前記炭素の量が前記針状金属鉄微粒子に対
    して2〜20重量%である針状金属鉄微粒子を磁性材料と
    して含有する磁性塗料組成物。
  5. 【請求項5】 炭素を含有する針状金属鉄微粒子であつ
    て、その平均粒径(長軸)が1.0μm以下、平均軸比が3
    〜15であり、前記炭素の量が前記針状金属鉄微粒子に対
    して2〜20重量%である針状金属鉄微粒子を磁性材料と
    して含有する磁気記録媒体。
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