JP2001342014A - ナノスケール針状物質の製造方法 - Google Patents

ナノスケール針状物質の製造方法

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JP2001342014A JP2001096982A JP2001096982A JP2001342014A JP 2001342014 A JP2001342014 A JP 2001342014A JP 2001096982 A JP2001096982 A JP 2001096982A JP 2001096982 A JP2001096982 A JP 2001096982A JP 2001342014 A JP2001342014 A JP 2001342014A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 直線性の高いナノスケール針状物質の製造方
法を提供する。 【解決手段】 ナノスケールの径を有する鉄系針状体の
外周に炭素を堆積させることにより、鉄系針状体からな
る芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチュ
ーブ状壁部とからなる二重構造ナノスケール針状物質を
得、必要に応じて、該二重構造ナノスケール針状物質
を、その芯部の鉄系針状体の融点以上の温度で加熱する
か、又は、ハロゲンの存在下で加熱するか、又は、酸処
理することにより、芯部の鉄系針状体を除去し、カーボ
ンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材を得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直線性に優れたナ
ノスケールの径を有する針状物質の製造方法に関する。
【0002】本発明は、より詳しくは、鉄系針状体から
なる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチ
ューブ状壁部とからなる直線性の高い二重構造ナノスケ
ール針状物質や、該二重構造ナノスケール針状物質から
鉄系針状体を除いてなる直線性の高いカーボンナノチュ
ーブ等のナノスケール直線状中空炭素材のような針状物
質の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】従来知られているナノスケールの柱状中
空カーボンとしては、カーボンナノチューブが代表とし
て挙げられる。このカーボンナノチューブの大量生産に
際しては、金属触媒を用いた炭素材気相成長法が採られ
ており、この場合、気相成長する炭素材は、触媒上で熱
分解後、炭素が堆積・成長する原理を用いて形成されて
いる。
【0004】そのため、得られるカーボンナノチューブ
は、触媒を端点として成長するため、直線性の高いカー
ボンナノチューブの製造、径制御等が困難であり、特に
利用分野が広い直線性の高いものは量産が困難であっ
た。即ち、上記金属触媒を用いた炭素材気相成長法によ
る工業的製法では、得られるカーボンナノチューブは、
反応の進行と共に直線的に成長することが困難であるた
め、生成したカーボンナノチューブが相互に絡み合った
形態のものが多く得られていた。
【0005】また、カーボンナノチューブ内空間部に金
属が充填されたカーボンナノチューブ複合体は、従来の
炭素のみからなるカーボンナノチューブとは異なる量子
効果、導電特性、磁気特性等を発揮するとされており、
多くの分野での応用が期待されている。このような金属
内包カーボンナノチューブを得る方法として、いくつか
の報告がなされている。
【0006】例えば、金属触媒を練り混んだ炭素電極間
でアーク放電を行わせ、生成する煤からカーボンナノチ
ューブを単離するという方法が従来から行われてきた。
この方法によれば、内部空間ではなくチューブ先端に金
属が存在するカーボンナノチューブが部分的に発生する
ことが知られている。このような金属が先端に存在する
炭素複合体は、カーボンナノチューブ製造時の副生成物
として、電子顕微鏡により観察されるのみであり、実用
的な製造法とは言えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、直線
性の高い針状のナノスケール針状物質の製造方法を提供
することにある。
【0008】特に、本発明は、カーボンナノチューブ等
のナノスケール直線状中空炭素材の空間部に金属が内包
ないし充填されている直線性の高い二重構造ナノスケー
ル針状物質、直線性の高いカーボンナノチューブ等のナ
ノスケール直線状中空炭素材のようなナノスケール針状
物質を工業的に有利に製造する方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな現状に鑑みて研究を進めた結果、芯部となる鉄系針
状体を先に製造し、その周りに炭素を堆積させるという
新たな手法を採用することにより、直線性の高い二重構
造ナノスケール針状物質が生成することを見出した。
【0010】更に、本発明者らは、こうして得られた直
線性の高い二重構造ナノスケール針状物質、即ち、鉄系
針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材
からなるチューブ状壁部とからなる直線性の高い二重構
造ナノスケール針状物質を、芯部の鉄系針状体の融点以
上に加熱するか又はハロゲンの存在下で加熱することに
より、芯部の鉄系針状体を選択的に除去でき、同様に直
線性の高いカーボンナノチューブ等のナノスケール直線
状中空炭素材が得られることを見出した。
【0011】本発明は、これら新知見に基づき、更に検
討を加えて完成されたものである。即ち、本発明は、次
の製造方法を提供するものである。
【0012】1.ナノスケールの径を有する鉄系針状体
の外周に炭素を堆積させることにより、鉄系針状体から
なる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチ
ューブ状壁部とからなる二重構造ナノスケール針状物質
を得ることを特徴とするナノスケール針状物質の製造方
法。
【0013】2.上記ナノスケールの径を有する鉄系針
状体が、300〜1000℃程度の温度下でガス状態と
なる(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の遷移金属化合
物との混合物からなる群から選ばれた鉄系原料を、該鉄
系原料を鉄系針状体に変換する添加剤の存在下で加熱す
ることにより得られるものである上記項1に記載のナノ
スケール針状物質の製造方法。
【0014】3.鉄化合物が、ハロゲン化鉄、鉄錯体、
過塩素酸鉄、硫化鉄、炭化鉄、珪化鉄、窒化鉄、セレン
化鉄、リン化鉄及びヒ化鉄からなる群から選ばれた少な
くとも1種であり、他の遷移金属化合物が、コバルト、
ニッケル及びクロムからなる群から選ばれた遷移金属の
ハロゲン化物から選ばれた少なくとも1種である上記項
2に記載のナノスケール針状物質の製造方法。
【0015】4.添加剤が、(a)フッ素及び炭素含有化
合物、(b)水素及び(c)ハロゲン化塩からなる群から選ば
れる少なくとも1種である上記項2又は3に記載のナノ
スケール針状物質の製造方法。
【0016】5.鉄系針状体の外周への炭素の堆積を、
該鉄系針状体の存在下で炭素含有化合物を加熱すること
により行なう上記項1〜4のいずれかに記載のナノスケ
ール針状物質の製造方法。
【0017】6.鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外
周に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからな
る二重構造ナノスケール針状物質を、芯部の鉄系針状体
の融点以上の温度に加熱するか、又は、ハロゲンの存在
下で加熱するか、又は、酸処理することにより、芯部の
鉄系針状体を除去し、ナノスケール直線状中空炭素材を
得る工程を更に有する上記項1〜5のいずれかに記載の
ナノスケール針状物質の製造方法。
【0018】7.直径が1〜1000nm程度のナノスケ
ールの径を有する鉄系針状体からなるナノスケール直線
状中空炭素材の製造用針状物。
【0019】8.(1)300〜1000℃程度の温度下
でガス状態となる(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の
遷移金属化合物との混合物からなる群から選ばれた鉄系
原料を、フッ素樹脂の存在下、400〜500℃で加熱
することにより、ナノスケールの径を有する鉄系針状体
を得る工程、(2)上記工程(1)で得られた鉄系針状体とフ
ッ素樹脂とを510〜550℃で加熱することにより、
鉄系針状体の外周に炭素を堆積させて二重構造ナノスケ
ール針状物質を得る工程、及び(3)上記工程(2)で得られ
た二重構造ナノスケール針状物質を、560℃以上の温
度で加熱する工程を包含するナノスケール直線状中空炭
素材の製造方法。
【0020】要するに、本発明は、(1)300〜100
0℃程度の温度下でガス状態となる(I)鉄化合物及び(I
I)鉄化合物と他の遷移金属化合物との混合物からなる群
から選ばれた鉄系原料を、該鉄系原料を鉄系針状体に変
換する添加剤の存在下で加熱することによりナノスケー
ルの径を有する鉄系針状体を生成させる工程、(2)該鉄
系針状体の外周に炭素を堆積させることにより、鉄系針
状体からなる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材か
らなるチューブ状壁部とからなる直線性の高い二重構造
ナノスケール針状物質を得る工程、及び必要に応じて、
(3)上記二重構造ナノスケール針状物質を、芯部の鉄系
針状体の融点以上に加熱するか又はハロゲンの存在下で
加熱するか、又は、酸処理することにより、芯部の鉄系
針状体を除去して、カーボンナノチューブ等のナノスケ
ール直線状中空炭素材を得る工程を採用してナノスケー
ル針状物質を製造するものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明においては、まず、ナノス
ケールの径を有する鉄系針状体の外周に炭素を堆積させ
ることにより、外周が炭素材であり、内層が上記鉄系針
状体である二重構造ナノスケール針状物質を得る。
【0022】この二重構造ナノスケール針状物質は、カ
ーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材
の空間部に鉄系針状体が充填乃至内包されているもので
あり、鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に形成さ
れた炭素材からなるチューブ状壁部ないし外周部とから
なる二重構造を有するものである。
【0023】鉄系針状体 上記ナノスケールの径を有する鉄系針状体は、例えば、
約300℃〜約1000℃の温度でガス状態となる(I)
鉄化合物又は(II)鉄化合物と他の遷移金属化合物との混
合物(以下、これら(I)及び(II)を総称して「鉄系原
料」という)を、該鉄系原料を鉄系針状体に成長させ得
る添加剤の存在下で加熱することにより生成させること
ができる。
【0024】即ち、この気相反応により、ガス状態にあ
る鉄系原料を上記添加剤の存在下で加熱すると、鉄系金
属等が直線性の高いナノスケール針状物ないしナノスケ
ールウィスカー(即ち、本発明で使用する鉄系針状体)
となる。
【0025】この鉄系針状体を構成する成分は、鉄、鉄
と他の遷移金属(Co、Ni、Cr等)との合金、フッ
化鉄等のハロゲン化鉄、酸化鉄、鉄と該遷移金属の混合
体の酸化物又はハロゲン化物、或いは、これらの混合物
等である。
【0026】上記鉄系針状体を製造するための鉄系原料
としては、約1000℃以下、好ましくは300〜10
00℃、特に400〜600℃の温度下でガス状態とな
り得る化合物であれば種々のものが使用できる。ここで
「ガス状態となる」とは、昇華、分解及び/又は蒸発な
どにより気相状態となることである。
【0027】上記鉄系原料は、例えば、FeCl2、F
eCl3、FeCl2、・4H2O、FeCl3・6H
2O、FeF2、FeBr2、FeI2等のハロゲン化鉄、
フェロセン等の鉄錯体、過塩素酸鉄、硫化鉄、セレン化
鉄、窒化鉄、リン化鉄、ヒ化鉄、炭化鉄、ケイ化鉄等の
鉄化合物を例示できる。これら鉄化合物は、例えば、水
和物等の形態でも使用することができる。これらの鉄化
合物のうちでも、特に、FeCl2、FeCl3が好まし
い。
【0028】鉄系原料として、上記のような鉄化合物を
単独で使用すると、得られる鉄系針状体は、通常、鉄、
ハロゲン化鉄(フッ化鉄等)又は炭化鉄等の単独を構成
成分としていることが多い。
【0029】更に、上記鉄化合物と、Co、Ni、Cr
等の他の遷移金属のハロゲン化物(塩化物等)や酸化物
等の遷移金属化合物とを混合して使用してもよい。この
ように上記鉄化合物と遷移金属化合物とを混合して鉄系
原料として使用すると、得られる鉄系針状体は、通常、
鉄、上記のような他の遷移金属、鉄と他の遷移金属との
合金、鉄の酸化物、鉄のハロゲン化物、他の遷移金属の
酸化物、他の遷移金属のハロゲン化物等から選ばれた1
種又は2種以上から構成されていることが多い。
【0030】また、上記鉄系原料を鉄系針状体に変換す
る添加剤としては、例えば、(a)フッ素及び炭素含有
化合物、(b)水素、(c)ハロゲン化塩等が、単独で
又は2種以上混合して使用できる。
【0031】上記(a)のフッ素及び炭素含有化合物と
しては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂(FEP)、フ
ッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共
重合樹脂(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等のフ
ッ素樹脂等が例示できる。これらのうちでも、特に、ポ
リテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0032】上記(c)のハロゲン化塩としては、例え
ば、NaCl、NaF、LiCl、LiF等のアルカリ
金属(特にNa、Li)のハロゲン化物が好ましい。
【0033】本発明では、上記鉄系原料と上記添加剤と
を任意に組み合わせて使用することができるが、特に好
ましい組み合わせとしては、鉄化合物としてFeCl2
を使用し、添加剤としてPTFE、水素、NaF等を使用す
ることが推奨される。
【0034】上記鉄系原料を上記添加剤の存在下で加熱
する際の条件としては、所望のナノスケールの径を有す
る鉄系針状体が生成する限り特に限定されないが、例え
ば、約1000℃以下、好ましくは300〜1000
℃、特に400〜600℃の温度下で、上記鉄系化合物
と上記添加剤(該温度で気相状態となる)とを加熱する
方法が例示される。尚、上記鉄系原料を上記(a)のフ
ッ素及び炭素含有化合物を添加剤として用いて加熱する
場合は、400〜500℃程度とするのが好ましい。
【0035】加熱時の雰囲気は、真空状態か、或いは、
ヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素等の不活性ガス雰囲
気とすることが好ましい。
【0036】また、加熱時の圧力としては、減圧から加
圧までの圧力が採用できるが、一般には10-4Pa〜1
50kPa程度、好ましくは0.1Pa〜1500Pa
程度、特に1Pa〜100Pa程度である。
【0037】添加剤は、鉄系針状体生成に必要な量の1
〜10倍当量を通常使用する。
【0038】反応は、所定の反応温度において、所望の
ナノスケールの径を有する鉄系針状体が生成するまで行
えばよく、一般には0.1〜10時間程度、特に0.5
〜2時間程度である。
【0039】得られるナノスケールの径を有する鉄系針
状体を単離するには、例えば、ふるいを用いて未反応原
料や副生するススを除く方法や、酸などの酸化剤若しく
は加熱によりススなどを除く方法や、水中に界面活性剤
を用いて分散させて遠心分離や濾過を繰り返して生成す
る方法等の一般にナノスケールのカーボンを単離するの
に採用されている方法が適用できる。
【0040】こうして得られるナノスケールの径を有す
る鉄系針状体は、直線性の極めて高い針状結晶であり、
直径が1〜1000nm程度、特に30〜100nm程度で
ある。また、直径Dに対する長さLのアスペクト比(L
/D)は3〜100程度、特に5〜60程度である。
【0041】かかる鉄系針状結晶が、カーボンナノチュ
ーブ等のナノスケール直線状中空炭素材及び本発明の二
重構造ナノスケール針状物質の製造用触媒として有用で
あることは、本発明者らにより初めて見出された新事実
である。
【0042】二重構造ナノスケール針状物質 次いで、本発明では上記ナノスケールの径を有する鉄系
針状体の外周に炭素を堆積させることにより、二重構造
ナノスケール針状物質を得る。
【0043】炭素を上記ナノスケールの径を有する鉄系
針状体の外周に堆積させる方法としては、各種の方法に
より行えるが、工業的には、上記ナノスケールの径を有
する鉄系針状体の存在下で炭素含有化合物を真空中又は
不活性ガス中で加熱する方法が有利である。
【0044】上記炭素含有化合物としては、加熱下で上
記鉄系針状体の外周に炭素を堆積し得る材料であれば、
各種のものが使用できるが、特に、炭素含有化合物、例
えば、炭化水素が好ましい。これら炭化水素としては、
例えば、炭素数1〜10、特に1〜3の飽和脂肪族炭化
水素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペ
ンタン、ヘキサン等、炭素数2〜10、特に2又は3の
不飽和脂肪族炭化水素、例えば、エチレン、プロピレ
ン、アセチレン等、炭素数6〜40、特に6〜20の芳
香族炭化水素、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アント
ラセン等及びこれらの誘導体等が例示できる。
【0045】更に、該炭素含有化合物として、例えば、
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレン
−プロピレン共重合樹脂(FEP)、フッ化エチレン−パー
フルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、フ
ッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等のフッ素樹脂等を使用す
ることもできる。これらのうちでも、特に、ポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0046】上記炭素含有化合物を鉄系針状体の存在下
で加熱する際の温度としては、400℃〜1500℃程
度、好ましくは400〜1000℃程度、特に500〜
700℃程度である。但し、上記PTFE等のフッ素樹脂を
炭素含有化合物として使用する場合は、510〜550
℃程度の温度で、鉄系針状体と共に加熱するのが好まし
い。
【0047】加熱時の雰囲気は、真空状態か、或いは、
ヘリウム、アルゴン、ネオン、窒素等の不活性ガス雰囲
気とすることが好ましい。
【0048】また、加熱時の圧力としては、減圧から加
圧までの圧力が採用できるが、一般には10-4Pa〜1
50kPa程度、好ましくは0.1Pa〜1500Pa
程度、特に1Pa〜100Pa程度である。
【0049】ナノスケールの径を有する鉄系針状体と前
記炭素含有化合物との使用割合は、特に制限されるもの
ではないが、一般には、鉄系針状体の製造に使用した鉄
系原料1重量部に対して、炭素含有化合物を0.1〜1
00重量部程度使用すればよい。一般に、炭素源の分解
堆積速度と炭素供給量に相関があり、結果として、炭素
量が多い場合は壁部が厚くなり、逆に、炭素量が少ない
場合は壁部が薄くなる。
【0050】反応は、所定の反応温度において、所定の
二重構造ナノスケール針状物質が生成するまで行えばよ
く、一般には0.1〜10時間程度、特に0.5〜2時
間程度である。
【0051】尚、本発明では、炭素含有化合物の使用
量、反応時間、反応温度、反応圧力等を調整することに
より、二重構造ナノスケール針状物質の径調整を容易に
行うことができる。
【0052】こうして得られる二重構造ナノスケール針
状物質は、本工程において、ナノスケールの径を有する
鉄系針状体及びその周りに堆積した炭素から構成される
カーボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素
材とからなっており、カーボンナノチューブ等のナノス
ケール直線状中空炭素材空間部が実質上完全に該鉄系針
状体で満たされた形態となっている。
【0053】芯部の鉄系針状体は、事前に合成された直
線性の高いナノスケール鉄系針状体であるから、該鉄系
針状体の周りに炭素を堆積せしめてなる本発明の二重構
造ナノスケール針状物質も、直線性が極めて高い針状で
あり、その直線性の高さから、得られる二重構造ナノス
ケール針状物質は相互に絡まりあっておらず有用性の高
いものである。
【0054】また、二重構造ナノスケール針状物質は、
直線性が極めて高い針状であり、直径が15〜1000
nm程度、特に40〜120nm程度であり、直径Dに対す
る長さLのアスペクト比(L/D)は3〜100程度、
特に5〜60程度である。
【0055】カーボンナノチューブ等のナノスケール直
線状中空炭素材の壁部は、炭素の堆積量によってその厚
みを制御することが可能である。その厚さは、炭素を鉄
系針状体に堆積させる際の炭素含有化合物の種類、条件
等によっても異なるが、一般に、0.5〜100nm程
度、特に5〜20nm程度である。
【0056】また壁部を構成する炭素材は、炭素を鉄系
針状体の外周に堆積させる際の炭素含有化合物の種類、
条件等により構造が異なり、グラファイト構造を有して
いる場合、アモルファス構造を有している場合及びその
中間的構造を有している場合がある。例えば、該炭素含
有化合物としてベンゼンを使用した場合等は高度に発達
したグラファイト構造となり、該炭素含有化合物として
脂肪族炭化水素を使用するとアモルファス構造となる傾
向がある。
【0057】ナノスケール直線状中空炭素材の製造 本発明では、上記二重構造ナノスケール針状物質の芯部
の鉄系針状体を除去することにより、カーボンナノチュ
ーブ等のナノスケール直線状中空炭素材が得られる。芯
部の鉄系針状体を除去するには、例えば、芯部の鉄系針
状体の融点以上に加熱することによりことができ、ま
た、ハロゲンの存在下で加熱することによっても行うこ
とができる。更に、上記二重構造ナノスケール針状物質
を酸処理することによっても、芯部の鉄系針状体を除去
することができる。
【0058】より詳しくは、二重構造ナノスケール針状
物質において、芯部の鉄系針状体の融点が、壁部のナノ
スケール直線状中空炭素材の分解温度よりも低い場合
は、当該鉄系針状体の融点以上の温度で二重構造ナノス
ケール針状物質を加熱すればよい。この方法は、特に、
芯部の鉄系針状体が比較的低融点の成分、例えば、Fe
2、FeCl2、FeCl3等のハロゲン化物等である
場合に有利である。
【0059】また、二重構造ナノスケール針状物質にお
いて、芯部の鉄系針状体の融点が、壁部のナノスケール
直線状中空炭素材の分解温度よりも高い場合は、ハロゲ
ンの存在下で加熱することにより、芯部の鉄系針状体を
除去できる。上記ハロゲンとしては、塩素、臭素、沃素
等が使用でき、このうちでも塩素が好ましい。ハロゲン
を使用することにより、鉄系針状体、特にハロゲン化物
以外の成分からなる鉄系針状体の除去が容易となる。こ
れは、鉄系針状体を構成する成分がハロゲン化物となっ
て融点が低下するためと思われる。
【0060】二重構造ナノスケール針状物質を、加熱す
る際の温度又はハロゲンの存在下に加熱する際の温度と
しては、芯部の鉄系針状体の種類によっても異なるが、
一般には、鉄系針状体が除去されるに十分な温度、特
に、鉄系針状体の融点を超える温度(ハロゲンの存在下
で加熱する場合は、鉄系針状体とハロゲンとの反応生成
物の融点を超える温度)である。一般的には、加熱温度
は、300℃〜1500℃程度、好ましくは600〜1
000℃程度、特に700〜900℃程度の範囲から適
宜選択すればよい。
【0061】尚、前記鉄系針状体を製造する際の添加剤
として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、フッ化エチレン−プロピレン共重合樹脂(FEP)、フ
ッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共
重合樹脂(PFA)、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF)等のフ
ッ素樹脂等を使用した場合は、二重構造ナノスケール針
状物質の芯部の鉄系針状体は、通常、フッ化鉄となって
おり、通常、該二重構造ナノスケール針状物質を560
℃以上の温度で、特に560〜3000℃程度の温度で
加熱することにより、除去できる。
【0062】上記加熱する際の雰囲気又はハロゲンの存
在下で加熱する際の雰囲気は、真空状態か、或いは、ヘ
リウム、アルゴン、ネオン、窒素等の不活性ガス雰囲気
とすることが好ましい。
【0063】また、上記加熱する際の圧力又はハロゲン
の存在下で加熱する際の圧力としては、減圧から加圧ま
での圧力が採用できるが、一般には10-4Pa〜150
kPa程度、好ましくは0.1Pa〜1500Pa程
度、特に1Pa〜100Pa程度である。
【0064】二重構造ナノスケール針状物質とハロゲン
との使用割合は、反応条件によっても異なり、特に制限
されないが、一般に、二重構造ナノスケール針状物質1
gに対して、ハロゲンを1〜10000CCMの供給速度
で1分〜300分程度、好ましくは10〜1000CCM
の供給速度で10分〜120分程度供給するのが好まし
い。ここで、「CCM」は、CC/minの意味であり、1分当
たりに反応系に供給されるガスの量(CC)を指す。ハロゲ
ンの使用量が、上記範囲の下限を下回ると、中心部の鉄
系針状体の除去が不完全となり、一方上記範囲の上限を
上回ると外周部の構造を損なうことがある。
【0065】上記加熱処理又はハロゲンの存在下での加
熱処理は、芯部の鉄系針状体が完全に除去されるまで行
えばよい。一般には0.1〜10時間程度、特に0.5
〜2時間程度加熱を行えばよい。場合によっては、芯部
の鉄系針状体を一部残した形で加熱を終了してもよい。
【0066】また、酸処理は、二重構造ナノスケール針
状物質の芯部の鉄系針状体が鉄であり、カーボンからな
る壁部が黒鉛質構造である場合に特に有効であり、二重
構造ナノスケール針状物質を塩酸、硫酸、硝酸等の酸に
分散、撹拌することにより行う。該酸の濃度としては、
特に限定されないが、例えば、1〜10N程度とするの
が好ましい。酸処理に要する時間は、芯部の鉄系針状体
が除去されるまでであり、通常0.1〜24時間程度で
ある。上記酸の使用量は、過剰量とすればよいが、一般
には、二重構造ナノスケール針状物質1重量部に対し
て、1〜1000重量部程度とするのが好ましい。撹拌
時の温度条件は、特に制限されないが、一般には、室温
〜100℃程度とするのが好ましい。酸処理後は、水洗
し、乾燥することにより、鉄系針状体が除去され、カー
ボンナノチューブ等のナノスケール直線状中空炭素材が
得られる。
【0067】こうして得られるカーボンナノチューブ等
のナノスケール直線状中空炭素材は、もとの二重構造ナ
ノスケール針状物質の芯部から鉄系針状体が除去された
ものであり、なお、直線性の高い構造を有している。そ
の直線性の高さから、得られるカーボンナノチューブ等
のナノスケール直線状中空炭素材は、相互に絡まりあっ
ておらず、有用性が高いものである。
【0068】また、得られるカーボンナノチューブ等の
ナノスケール直線状中空炭素材は、直径が15〜100
0nm程度、特に40〜120nm程度であり、直径Dに対
する長さLのアスペクト比(L/D)は3〜100程
度、特に5〜60程度である。壁部の厚さは、炭素を鉄
系針状体に堆積させる際の炭素含有化合物の種類、条件
等によっても異なるが、一般に0.5〜100nm程度、
特に5〜20nm程度である。
【0069】また壁部を構成する炭素材は、炭素を鉄系
針状体に堆積させる際の炭素含有化合物の種類、条件等
により構造が異なり、グラファイト構造を有している場
合、アモルファス構造を有している場合及びその中間的
構造を有している場合がある。例えば、該炭素含有化合
物としてベンゼンを使用した場合等は高度に発達したグ
ラファイト構造となり、該炭素含有化合物として脂肪族
炭化水素を使用するとアモルファス構造となる傾向があ
る。
【0070】以上の本発明製造法により得られる二重構
造ナノスケール針状物質及びこれから芯部の鉄系針状体
を除去してなるカーボンナノチューブ等のナノスケール
直線状中空炭素材は、電子放出材料、徐放剤、摺動材、
導電対フィブリル、磁性体、超伝導体、耐摩耗材料、半
導体、気体吸蔵材等の用途に適している。
【0071】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明をより一層詳し
く説明する。
【0072】実施例1 (1)PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルム20
gと塩化鉄3gを磁製ボートに入れ、反応炉内の圧力を
5Paとした後、30分を要して500℃まで昇温し、
引き続き500℃に30分間維持することにより、鉄系
ナノスケール針状体を得た。その電子顕微鏡写真を図1
として示す。
【0073】図1から明らかなように、本発明の鉄系ナ
ノスケール針状体は、直線性の高いものであることが判
る。尚、EDX及びEELS(Electron Energy Loss S
pectroscopy:電子エネルギー損失分光法)による分析
の結果、得られた鉄系ナノスケール針状体がフッ化鉄か
らなるものであることが確認された。
【0074】尚、図1において示されているスケール
は、左端のドットから右端のドットまでの長さが600
nmであることを示す。図2及び図3においても同じで
ある。
【0075】(2)上記(1)で鉄系ナノスケール針状体を得
た後、炭素含有化合物として、PTFEフィルム10gを反
応炉に入れ、反応炉内の圧力を5Paとした後、525
℃まで昇温し、引き続き525℃に30分間維持した。
こうして、鉄系ナノスケール針状体の外周に炭素が堆積
した二重構造ナノスケール針状物質を得た。その電子顕
微鏡写真を図2に示す。
【0076】図2から明らかなように、本発明の二重構
造ナノスケール針状物質は、直線性が高く、相互に絡み
合っていないものである。
【0077】(3)上記(2)の方法に従って得られた二重構
造ナノスケール針状物質を、5Paの圧力下、850℃
で30分間加熱した。こうして、二重構造ナノスケール
針状物質の芯部の鉄系ナノスケール針状体を除去し、ナ
ノスケール直線状中空炭素材を得た。その電子顕微鏡写
真を図3に示す。
【0078】図3から明らかなように、得られたナノス
ケール直線状中空炭素材は、二重構造ナノスケール針状
物質の芯部の鉄系ナノスケール針状体が除去され、外周
の炭素材が残留した結果中空となった炭素材であり、直
線性が高いことが判る。
【0079】また、X線回折法により分析した結果、得
られた二重構造ナノスケール針状物質のチューブ壁部の
構造は、アモルファス構造であった。
【0080】実施例2 (1)アルミナ製ボートにFeCl2を0.4g、さらにもう
一つのアルミナ製ボートにNaFを1.0g採取し、2つのボ
ートを同一炉内にセットし、真空、200℃で脱気処理を
施した。その後、引き続き真空を維持したまま、FeC
2側を500℃、NaF側を750℃に30分維持することによ
り、ヒーター間の低温部に、直線性の高いFeF2の針
状ウィスカーを得た。
【0081】(2)引き続き、炉全体を500℃にした
後、100CCMのアルゴン流通により400kPaのアルゴン
雰囲気とし、500℃、400kPaで100CCMのアルゴン担持
飽和ヘキサン(ヘキサン蒸気を飽和させたアルゴン)を
炉内に導入することにより、上記FeF2針状ウィスカ
ー(約600℃以下では固体)の外周に炭素を堆積させ
て、芯部としてFeF2針状ウィスカーを内包したナノ
スケール直線状中空炭素材(二重構造ナノスケール針状
物質)を得た。
【0082】得られた二重構造ナノスケール針状物質
は、直線性が高く、相互に絡み合っていないものであっ
た。
【0083】(3)さらに、引き続き800℃で真空にするこ
とにより、芯部のFeF2を除去し、直線性が高く、相
互に絡み合っていない外径60nmのナノスケール直線状中
空炭素材を得た。
【0084】実施例3 実施例2において炭素源として用いたアルゴン担持飽和
ベンゼンに代えてメタンを用いる以外は実施例2と同様
にして外径60nmのナノスケール直線状中空炭素材を得
た。このものは、直線性が高く、相互に絡み合っていな
いものであった。
【0085】実施例4 (1)ヒーターを備えた石英管を水平に設置した構成の炉
内で、粉末状のFeCl20.4gを入れ、水素雰囲気
下、圧力50kPa、600℃の条件下で30分間加熱
処理した。この加熱処理の間に、FeCl2は気相状態
となり、水素で還元されると同時に金属鉄となり、ナノ
スケールの径を有する鉄系針状体が成長した。この鉄系
針状体を、EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装
置)で分析した結果、鉄の針状結晶であることが判っ
た。
【0086】(2)引き続き、上記温度及び圧力条件を維
持したまま、水素雰囲気をベンゼン雰囲気に変えるため
に、100CCMのアルゴン担持飽和ベンゼン(ベンゼン蒸気
を飽和させ、アルゴンで担持させたガス)を炉内に導入
した。反応系をこの条件下に60分間保持することによ
り、炭素を上記ナノスケール鉄系針状結晶の外周に堆積
させ、二重構造ナノスケール針状物質を1.2g得た。
【0087】得られた二重構造ナノスケール針状物質の
一部を取り出してTEMで観察したところ、上記(1)で得た
ナノスケール鉄系針状結晶の周りに炭素が堆積し、複数
の層からなるマルチウォールドタイプのグラファイト構
造のカーボンナノチューブを形成していることが確認さ
れた。
【0088】即ち、得られた二重構造ナノスケール針状
物質は、上記鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周に
形成されたカーボンナノチューブからなる直線性の高い
複合体であり、相互に絡まっていないことが確認され
た。また、該複合体以外の不純物は殆ど観察されなかっ
た。
【0089】該複合体を走査型電子顕微鏡及び透過型電
子顕微鏡にて観察したところ、その直径は、10〜30
nm程度であり、その長さは1〜7μm程度であった。壁
部の厚さは、1〜5nm程度であった。
【0090】(3)更に、上記(2)で得られた二重構造ナノ
スケール針状物質を収容している炉内に、5%Cl2
Ar(アルゴンで希釈した塩素:塩素濃度5%)を100C
CM入れ、800℃まで昇温速度8℃/分で昇温した。反
応時間120分で、芯部の鉄系針状体が除去された中空
ナノスケール針状物質(即ち、カーボンナノチューブ)
を3mg得た。
【0091】得られたカーボンナノチューブを走査型電
子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡にて観察したところ、高
い直線性を有しており、相互に絡まっておらず、その直
径は、10〜30nm程度であり、その長さは1〜7μm
程度であった。カーボンナノチューブの壁部の厚さは、
1〜5nm程度であった。
【0092】(4)更に、上記(2)と同様にして得られた二
重構造ナノスケール針状物質1.0gを単離し、室温で
10N塩酸溶液20mlに3時間分散、撹拌した後、孔
径0.2μmのフィルターで濾過、蒸留水洗浄、乾燥処
理により、芯部の除去された中空ナノスケール針状物質
(即ちカーボンナノチューブ)を5mg得た。
【0093】得られたカーボンナノチューブを走査型電
子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡にて観察したところ、高
い直線性を有しており、相互に絡まっておらず、その直
径は、10〜30nm程度であり、その長さは1〜7μm
程度であった。カーボンナノチューブの壁部の厚さは、
1〜5nm程度であった。
【0094】
【発明の効果】本発明によれば、前記直線性に優れた鉄
系針状体の周りに炭素を堆積させるという方法を採用す
るので、該鉄系針状体を芯部とし、壁部が炭素材料であ
る直線性に優れた二重構造ナノスケール針状物質を、選
択的に且つ高収率で得ることができる。
【0095】また、この二重構造ナノスケール針状物質
を、その芯部の鉄系針状体の融点以上の温度で加熱する
か、又は、ハロゲンの存在下で加熱することにより、芯
部の鉄系針状体を除去できるので、当初の高い直線性を
維持したカーボンナノチューブ等のナノスケール直線状
中空炭素材を選択的に且つ高収率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の(1)で得られた鉄系針状体の電子顕
微鏡写真である。
【図2】実施例1の(2)で得られた二重構造ナノスケー
ル針状物質の電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1の(3)で得られたナノスケール直線状
中空炭素材の電子顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 亮一 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 松井 丈雄 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都リ サーチパーク 株式会社関西新技術研究所 内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナノスケールの径を有する鉄系針状体
    の外周に炭素を堆積させることにより、鉄系針状体から
    なる芯部と該芯部の外周に形成された炭素材からなるチ
    ューブ状壁部とからなる二重構造ナノスケール針状物質
    を得ることを特徴とするナノスケール針状物質の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 上記ナノスケールの径を有する鉄系針状
    体が、300〜1000℃程度の温度下でガス状態とな
    る(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の遷移金属化合物
    との混合物からなる群から選ばれた鉄系原料を、該鉄系
    原料を鉄系針状体に変換する添加剤の存在下で加熱する
    ことにより得られるものである請求項1に記載のナノス
    ケール針状物質の製造方法。
  3. 【請求項3】 鉄化合物が、ハロゲン化鉄、鉄錯体、過
    塩素酸鉄、硫化鉄、炭化鉄、珪化鉄、窒化鉄、セレン化
    鉄、リン化鉄及びヒ化鉄からなる群から選ばれた少なく
    とも1種であり、他の遷移金属化合物が、コバルト、ニ
    ッケル及びクロムからなる群から選ばれた遷移金属のハ
    ロゲン化物から選ばれた少なくとも1種である請求項2
    に記載のナノスケール針状物質の製造方法。
  4. 【請求項4】 添加剤が、(a)フッ素及び炭素含有化合
    物、(b)水素及び(c)ハロゲン化塩からなる群から選ばれ
    る少なくとも1種である請求項2又は3に記載のナノス
    ケール針状物質の製造方法。
  5. 【請求項5】 鉄系針状体の外周への炭素の堆積を、該
    鉄系針状体の存在下で炭素含有化合物を加熱することに
    より行なう請求項1〜4のいずれかに記載のナノスケー
    ル針状物質の製造方法。
  6. 【請求項6】 鉄系針状体からなる芯部と該芯部の外周
    に形成された炭素材からなるチューブ状壁部とからなる
    二重構造ナノスケール針状物質を、芯部の鉄系針状体の
    融点以上の温度に加熱するか、又は、ハロゲンの存在下
    で加熱するか、又は、酸処理することにより、芯部の鉄
    系針状体を除去し、ナノスケール直線状中空炭素材を得
    る工程を更に有する請求項1〜5のいずれかに記載のナ
    ノスケール針状物質の製造方法。
  7. 【請求項7】 直径が1〜1000nm程度のナノスケー
    ルの径を有する鉄系針状体からなるナノスケール直線状
    中空炭素材の製造用針状物。
  8. 【請求項8】 (1)300〜1000℃程度の温度下で
    ガス状態となる(I)鉄化合物及び(II)鉄化合物と他の遷
    移金属化合物との混合物からなる群から選ばれた鉄系原
    料を、フッ素樹脂の存在下、400〜500℃で加熱す
    ることにより、ナノスケールの径を有する鉄系針状体を
    得る工程、 (2)上記工程(1)で得られた鉄系針状体とフッ素樹脂とを
    510〜550℃で加熱することにより、鉄系針状体の
    外周に炭素を堆積させて二重構造ナノスケール針状物質
    を得る工程、及び (3)上記工程(2)で得られた二重構造ナノスケール針状物
    質を、560℃以上の温度で加熱する工程を包含するナ
    ノスケール直線状中空炭素材の製造方法。
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