JPH07165406A - カーボンチューブの製造方法 - Google Patents
カーボンチューブの製造方法Info
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- JPH07165406A JPH07165406A JP6278287A JP27828794A JPH07165406A JP H07165406 A JPH07165406 A JP H07165406A JP 6278287 A JP6278287 A JP 6278287A JP 27828794 A JP27828794 A JP 27828794A JP H07165406 A JPH07165406 A JP H07165406A
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y30/00—Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
Abstract
する。 【構成】金属若しくは金属化合物を単体で、またはこれ
らと易黒鉛化炭素とを混合して電極グラファイト3aに
内填し、これを焼成した後、得られた電極を正極3とす
る。負極2には高純度グラファイトを用い、減圧チャン
バー内でアーク放電を行う。負極2への堆積物から目的
とするカーボンチューブを分離する。金属はバナジウ
ム、ランタン、ハフニウム、ガドリニウムなどの遷移金
属またはこれらの化合物であり、外径が1μm〜5μ
m、長さが20μm以上のロッド状またはニードル状の
カーボンチューブや、外径が1nm〜10nmのカーボ
ンナノチューブが得られる。
Description
ラーレンからなるカーボンチューブの製造方法に関し、
特に高収率でフラーレン製カーボンチューブを生成する
ことができ、しかも得られたチューブに金属カーバイド
が内包されたカーボンチューブの製造方法に関する。
個あるいは84個の炭素原子が球状に結合してクラスタ
ー(分子集合体)を構成してなる球状炭素はフラーレン
類と称され、磁性・超電導特性・非線形光学効果・触媒
作用など優れた機能性を有する材料として注目されてい
る。
り落として正5角形を出した「切頭20面体」と呼ばれ
る多面体構造(いわゆる公式サッカーボール型の分子構
造)を有し、この多面体の60個の頂点を全て炭素原子
Cで置換してなるクラスターである。そして、このフラ
ーレンC60にCsとRbをドープすると33Kで超電導
になることが確認されている。また、MBE(分子線エ
ピタキシー)で成膜したフラーレンC60の薄膜(膜厚が
200オングストローム)は、三次非線形光学効果の感
受率が2×10-10 esu と、従来の有機非線形光学材料
より一桁ほど大きいことも確認されている。
筒グラファイトシート構造のフィラメント(以下、カー
ボンチューブという)も報告されており(Japan Journa
l ofApplied Physics, Vol.32 L170頁 1993年) 、そ
のサイズやグラファイトシートの巻き方の違いなどによ
って、既存の物質にはない新しい優れた機能性(例え
ば、半導体から金属に至る幅広い電子物性)が期待され
ている。
ーブは、気相中でベンゼン等の炭化水素を分解し、高真
空の雰囲気中、数百〜千数百℃の高温で炭素化したもの
を鉄やニッケル等の電極フォイル上に析出させることに
より得られることは知られている(Japan Journal of A
pplied Physics, Vol.11, 445 頁, 1972年発行他)。ま
た、フラーレン製造法として広く利用されているアーク
放電法により、金属複合電極を用いてナノチューブを得
る試みも行われている。しかしながら、このようなカー
ボンチューブの製造方法では、その収率は極めて低く、
炭素付着物の中に埋もれているのが確認される程度に過
ぎなかった。つまり、このような炭素付着物中に埋もれ
ているカーボンチューブを取り出すのは極めて困難であ
り、仮に取り出したとしても、その収率は著しく低いと
いう問題があった。
に内包された構造は、例えばS.Ruoff ら(Science,Vol.
259,346-348 頁,1993 年発行)や、他の文献(Japan Jo
urnal of Applied Physics, Vol.32, 280-282 頁, 1993
年発行、Chem.Phys.Lett.Vol.209,99-103 頁,1993 年発
行)によって報告されているが、この金属カーバイドが
カーボンナノチューブに内包されたものは未だ発見され
ていない。
鑑みてなされたものであり、金属カーバイドが内包され
たカーボンチューブを高収率で製造することを目的とす
る。
ーボンチューブの製造方法は、金属若しくは金属化合物
を単体で、またはこれらと易黒鉛化炭素とを混合して電
極グラファイトに内填し、これを焼成したのち、得られ
た電極を正極として減圧チャンバー内でアーク放電を行
い、負極への堆積物から目的とするカーボンチューブを
分離することを特徴としている。
金属若しくは金属化合物としては、バナジウム,クロ
ム,マンガン,鉄,ニッケル,ハフニウム,ガドリニウ
ムなどの遷移金属(ランタン,セリウムなどのランタノ
イド系金属を含む)、およびこれらの酸化物などを挙げ
ることができる。
リレンテトラカルボン酸などの炭化水素を700〜15
00℃の高温で熱分解して得られたピッチ系炭素が用い
られる。金属または金属化合物と易黒鉛化炭素とは任意
の混合比で混合されるが、金属または金属化合物は易黒
鉛化炭素に対して数重量%〜10重量%の混合比で混合
することが好ましいと言える。
粉、または金属若しくは金属化合物を、高純度グラファ
イトロッドに穿設された穴に圧縮しながら詰め込み、そ
して、穿設された穴に詰め込まれた易黒鉛化炭素と金属
あるいは金属化合物との混合物をカーバイド状態とする
ために、グラファイトロッドを高真空雰囲気中で800
〜1500℃まで昇温し、この状態を数時間〜数十時間
保持する。
に接続する一方で、負極に高純度グラファイトロッドを
用いてアーク放電を行う。なお、負極の高純度グラファ
イトロッドに加工を施す必要はない。このような正負2
つの電極を水冷チャンバー内に対向して設け、水冷チャ
ンバー内をヘリウムガスなどの不活性ガスで置換し、数
10〜500Torr、好ましくは150〜250To
rrに減圧した状態でアーク放電を行う。
チューブは、高純度グラファイトにより構成された負極
に堆積することになる。負極には、カーボンチューブ以
外の堆積物も堆積するが、これら堆積物からカーボンチ
ューブのみを分離する手段としては、遠心分離法などの
手段を例示することができる。
手順でカーボンチューブを生成し、負極に堆積した物質
表面を走査電子顕微鏡で観察した。その結果を図2およ
び図3に示すが、目的とするカーボンチューブは外径が
1μm〜5μm、長さが20μm以上のロッド状または
ニードル状である。
様に上述した手順でカーボンチューブを生成し、負極に
堆積した物質を走査電子顕微鏡で観察した。その結果を
図5〜図7に示すが、目的とするカーボンチューブは外
径が1nm〜10nmであり、チューブの長さが20μ
m前後の長いもの得られた。また、酸化ランタンを用
い、ピッチカーボンの比率を増して得られたカーボンチ
ューブでは、図10または図11の写真で観察されるよ
うに、あたかも神経ネットワーク状になったり、あるい
は、まっすぐに伸び、しかも部分的にさらに厚くグラフ
ァイト構造で巻かれた構造をしている。
α)を測定すると、グラファイト構造に特有の(00
2)面の回折線が強く観察され、このピークは面間隔d
=3.33オングストローム、およびd=3.43オン
グストロームに対応する2つのピークから構成されてい
ることが判明した。したがって、得られたカーボンチュ
ーブは少なくとも2つのグラファイト構造を採ることが
理解される。
3.33オングストローム)は用いられた金属の触媒作
用により形成される結晶グラファイトに近似した構造で
あり、他方のグラファイト構造(d=3.43オングス
トローム)は成長したカーボンチューブの表面に付着し
たカーボンプラズマが熱的に再配向することにより形成
されるターボスタチックABC…構造のグラファイトで
あると考えられる。
3.33オングストローム)が金属の触媒作用により形
成される点を確認するために、図7に示すカーボンチュ
ーブにつき、EDX(Energy Dispersive X-ray)法で金
属分析を行った。その結果、カーボンチューブの途中に
は金属が観察されずに炭素のX線のみが観察されるが、
カーボンチューブの先端では金属が豊富に観察された。
したがって、このようなカーボンチューブは金属の触媒
作用によって成長したと考えられる。
す写真からも明らかなように、本発明の製造方法により
得られるカーボンチューブは従来のように炭素付着物の
中に埋もれてはおらず、炭素付着物の表面に多量に生成
されている。したがって、カーボンチューブを多量に製
造できるだけでなく、電子物性等の評価を可能にするの
で工業的応用の活発化が期待できる。
て焼成しただけでは導電性が低く、カーボンチューブの
生成にとって良好なアーク放電による炭素および金属の
蒸発は得られない。しかしながら、本発明の製造方法に
よれば、正極を構成するグラファイトロッドの外側が金
属と同程度の導電性を有するグラファイト構造であるた
め、アーク放電を行うと、金属と易黒鉛化炭素との混合
物はグラファイトほど導電性が高くないものの、外周部
のグラファイトのアーク放電によって蒸発が促進され
る。そのため、グラファイトに充填された炭素金属混合
物も良好なアーク放電による蒸発条件となり、これによ
ってカーボンチューブが高収率で生成されるものと考え
られる。
ューブを透過電子顕微鏡で観察すると、図8(A)に示
すようにカーボンチューブの空洞内に結晶が観察され、
この結晶は、図9に示すX線回折パターンからα−La
C2 結晶であることが判明した。すなわち、本発明の製
造方法で得られたカーボンチューブには、α−LaC2
やV8 C7 などの金属カーバイド単結晶が内包されてい
る。
する。図1は本発明の一実施例に係る炭素材料の製造装
置を示す構成図である。まず図1に示すように、本発明
に係るカーボンチューブの製造装置においては、SUS
製チャンバー1内には正負2つの電極2,3が対向して
配設されており、このチャンバー1にはヘリウムなどの
不活性ガスを供給する系4と、チャンバー内を減圧する
ための真空ポンプが接続された系5とが設けられてい
る。また、図示はしないがチャンバー1はウォータジャ
ケットなどによって冷却されるようになっている。
の電極2,3のうち、負極2に用いられているのは外径
が5〜10mmの高純度グラファイトロッドである。本
実施例では外径が10mm、純度が99.9999%の
グラファイトロッドを負極に用いた。
高純度グラファイトロッド3aの中心に穴を穿設し、こ
の穴に金属含有炭素粉末3bを詰め込んだ電極である。
すなわち、高純度グラファイトロッド3aの中心にドリ
ル等を用いて内径が4〜8mmの穴を形成し、この穴に
易黒鉛化炭素と金属あるいは金属化合物との混合物3b
を金属棒等を用いて圧縮しながら詰め込む。金属あるい
は金属化合物と混合する易黒鉛化炭素はピッチ系炭素で
あり、これを700〜1500℃の高温で焼成した粉末
を用いる。また、易黒鉛化炭素と金属あるいは金属化合
物との混合比は特に限定されないが、金属あるいは金属
化合物は易黒鉛化炭素に対して好ましくは数重量%〜1
0重量%である。そして、穿設された穴に詰め込まれた
易黒鉛化炭素と金属あるいは金属化合物との混合物3b
をカーバイド状態とするために、グラファイトロッド3
を高真空雰囲気中で800〜1500℃まで昇温し、こ
の状態を数時間〜数十時間保持する。
9.9999%の高純度グラファイトロッド3aの中心
に、内径が4〜8mmの穴を深さ約10cmに穿設し、
この穴にペリレンテトラカルボン酸(3,4,9,10
−perylenetetracarboxylic
dianhydride)を900〜920℃で焼成し
て得られたピッチカーボンと下記の金属とを下記の混合
比(重量比)で混合した混合物3bを圧縮しながら詰め
込んだ。
ーボン=1:5 〔実施例2〕金属ランタン :ピッチカーボン=1:
5 〔実施例3〕酸化ランタン :ピッチカーボン=1:
9 〔実施例4〕金属ハフニウム :ピッチカーボン=1:
9 〔実施例5〕酸化ハフニウム :ピッチカーボン=1:
5 〔実施例6〕金属ガドリニウム:ピッチカーボン=1:
5 〔実施例7〕酸化ガドリニウム:ピッチカーボン=1:
5 そして、このグラファイトロッド3を石英管に入れ、内
部を高真空にしたのち、900℃×3時間加熱して炭素
と金属との混合物をカーバイド状態とし、これを正極に
用いた。
をチャンバー1内に配設した後、チャンバー内部を0.
01Torr程度の真空状態とし、その後、Heなどの
不活性ガスで置換しながら内部を数十〜400Torr、好
ましくは100〜250Torr、または数十〜200To
rr、好ましくは80〜150Torrに減圧する。本
実施例では不活性ガスとしてヘリウムガスを用い、真空
ポンプによる数回のポンピングとヘリウムガスのバック
フィリングを繰り返すことにより、チャンバー内を80
〜200Torrの圧力で密封した。
めに、最初はコンタクトアーク方法を用い、次に2つの
電極を約10mm程度離し、両電極間には直流電源6か
ら、本実施例の場合、約100Aの電流を流した。そう
すると、両電極2,3間にアーク放電が生じ、これにと
もなって負極のグラファイト電極の表面に銀白色の付着
物と、黒色の付着物とが成長した。この負極への銀白色
の付着物の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し
た。SEMとしては、本実施例では日立(株)製S−8
00を用いた。
ては、電極3の高純度グラファイトロッド3a(導電性
が高い)から電極2へ向けて、盛んにアーク放電現象が
生じ、電極3の中央部分の混合物3bでは、グラファイ
ト程導電性が高くないものの、周りのグラファイトのア
ーク放電により蒸発が助けられる様子が確認された。
1の炭素付着物の表面に成長したカーボンファイバーの
SEM写真であり、外径が1μm〜5μm、長さが数十
μmに及ぶロッド状または先端鋭利なニードル状のカー
ボンチューブが観察された。これらカーボンチューブ
は、負極の銀白色堆積物表面の凹部表面に観察された。
なお凸部表面には、半球状粒が多く観察された。これら
の点から、カーボンチューブの生成には、堆積速度も関
係してくると考えられる。図2には長さが数μmのもの
から20μm程度のものまで混在しており、図3には長
さが35μmにまで及ぶカーボンチューブが示されてい
る。
を原子間力顕微鏡により解析すると、カーボンチューブ
の成長方向に対する垂直方向に「しわ」が観察され、さ
らに原子オーダで詳細にイメージングすると表面にグラ
ファイト構造が存在することが直接的に確認された。
のX線回折パターンを測定すると、図4に示すようにグ
ラファイト構造に特有のピークに相当する結晶面(00
2),(100),(004),(110),(00
6)の他に、バナジウムカーバイドV8 C7 の結晶に特
有の(222),(400),(440),(62
2),(444),(800)の各結晶面が確認され
た。
すカーボンチューブを観察すると、バナジウム(V)原
子は、主としてチューブの先端に存在することが確認さ
れた。V原子がチューブの生成に関与していると考えら
れる。実施例2 図5〜7は金属ランタンを用いた実施例2の炭素付着物
の表面のSEM写真であり、外径が1μm程度、長さが
数十μm(約20mm)に及ぶロッド状または先端鋭利
なニードル状のカーボンチューブが観察された。しかも
この場合には、カーボンチューブの外径が一定ではな
く、例えば炭素付着物の表面に成長したμオーダのカー
ボンチューブから0.1μm以下の極めて細いカーボン
チューブが伸延し、さらにその先端にμオーダのカーボ
ンチューブが成長しているものも観察された。なお、図
6、7は、図5の要部拡大写真であり、図6は図5に示
すカーボンチューブの成長の始点を示し、図7はチュー
ブの先端部分を示す。
ューブを透過電子顕微鏡で観察すると、図8(A)に写
真で示すように、カーボンチューブの空洞内に結晶構造
が確認され、これのX線回折パターンを測定すると、図
9に示すようにグラファイト構造に特有のピークに相当
する結晶面(002),(100),(004),(1
10),(006)の他に、ランタンカーバイドα−L
aC2 の結晶に特有の(110),(200),(10
3),(222)の各結晶面が確認された。また、カー
ボンチューブに限らず、図8(B)に示すようなジャイ
アントフラーレンに内包された金属カーバイドも確認さ
れた。
金属量を増加させてカーボンチューブを製造した実施例
3では、図10、11に示すように、外径がμオーダ以
下、すなわちナノメータサイズのカーボンチューブが多
量に製造された。図10に示される細い「蜘蛛の糸」状
のフィラメントがカーボンチューブ、特にカーボンナノ
チューブである。また、図11では実施例2と同様に、
炭素付着物の表面に成長したμオーダのカーボンチュー
ブから0.1μm以下の極めて細いカーボンチューブが
伸延し、さらにその先端にμオーダのカーボンチューブ
が成長しているものも観察された。そして、EDX分析
から、チューブの先端は金属ランタンがリッチとなって
いるので、このようなカーボンチューブは金属の触媒作
用によって成長したと考えられる。
トに内填する金属として、金属ハフニウム(Hf)を用
い、金属ハフニウム :ピッチカーボンの混合比(重量
比)を1:5とし、チャンバー内のヘリウムガスの圧力
を、150Torrとした以外は、前記実施例1と同様にし
て、20〜150nm程度の外径のカーボンチューブを
製造した。
られたカーボンチューブのX線透過電子顕微鏡写真であ
る。これら図に示すように、カーボンチューブの長手方
向空洞内には結晶構造が確認された。これのX線回折パ
ターンを測定すると、図20に示すように、グラファイ
ト構造に特有のピークに相当する結晶面(002),
(100),(004)の他に、ハフニウムカーバイド
(HfC)の結晶に特有の(111),(200),
(220),(311),(222),(400),
(331),(420)の各結晶面が確認された。
(CuKα)を測定すると、グラファイト構造に特有の
(002)面の回折線が強く観察され、このピークは面
間隔d=3.35オングストローム、およびd=3.4
4オングストロームに対応する2つのピークから構成さ
れていることが判明した。したがって、得られたカーボ
ンチューブは少なくとも2つのグラファイト構造を採る
ことが理解される。
3.35オングストローム)は用いられた金属の触媒作
用により形成される結晶グラファイトに近似した構造で
あり、他方のグラファイト構造(d=3.44オングス
トローム)は成長したカーボンチューブの表面に付着し
たカーボンプラズマが熱的に再配向することにより形成
されるターボスタチックABC…構造のグラファイトで
あると考えられる。
に、20〜150nmの様々な太さのカーボンチューブ
の成長が存在するが、その成長点には、ハフニウムカー
バイドの微粒子が存在する。従来、炭化水素のピロリシ
スなどで得られていたVGCF(Vapour grouth carbon
fiber)などでは、図21(B)に示すように、鉄10
などの成長は、カーボンチューブ12の先端に位置し、
その太さにより、カーボンチューブ12の太さが規定さ
れていた。ところが、本実施例の方法で得られるカーボ
ンチューブでは、図12〜19および図21(A)に示
すように、カーボンチューブ14の内径は、ハフニウム
カーバイド16の太さとは、無関係である。この点が、
他の金属を用いたカーボンチューブの成長と異なる点で
ある。
トに内填する金属として、酸化ハフニウムを用い、酸化
ハフニウム :ピッチカーボンの混合比(重量比)を
1:5とし、チャンバー内のヘリウムガスの圧力を、1
00Torrとした以外は、前記実施例1と同様にして、1
0〜150nm程度の外径のカーボンチューブを製造し
た。
フニウムを用いた前記実施例4の場合と同様なカーボン
チューブが得られることが確認された。実施例6 本実施例では、ピッチカーボンと共に、電極グラファイ
トに内填する金属として、金属ガドリニウム(Gd)を
用い、金属ガドリニウム:ピッチカーボンの混合比(重
量比)を1:5とし、チャンバー内のヘリウムガスの圧
力を、100Torrとした以外は、前記実施例1と同様に
して、5〜200nm程度の外径のカーボンチューブを
製造した。
られたカーボンチューブのX線透過電子顕微鏡写真であ
る。これら図に示すように、カーボンチューブの長手方
向空洞内には結晶構造が確認された。カーボンチューブ
のX線回折(CuKα)を測定すると、グラファイト構
造に特有の(002)面の回折線が強く観察され、この
ピークは面間隔d=3.35オングストローム、および
d=3.44オングストロームに対応する2つのピーク
から構成されていることが判明した。したがって、得ら
れたカーボンチューブは少なくとも2つのグラファイト
構造を採ることが理解される。
3.35オングストローム)は用いられた金属の触媒作
用により形成される結晶グラファイトに近似した構造で
あり、他方のグラファイト構造(d=3.44オングス
トローム)は成長したカーボンチューブの表面に付着し
たカーボンプラズマが熱的に再配向することにより形成
されるターボスタチックABC…構造のグラファイトで
あると考えられる。
に、5〜200nm程度の様々な太さのカーボンチュー
ブの成長が存在するが、カーボンチューブの空洞内に
は、ガドリニウムカーバイド(Gd2 C3 またはα−G
dC2 (強磁性))が長手方向に沿って詰まっている。
これら2種類のカーバイドが存在することはX線回折に
より確認された。ただし、このガドリニウムカーバイド
は、長手方向途中で、一部切れていることもある。ま
た、図24に示すように、カーボンチューブに限らず、
ジャイアントフラーレンに内包されたガドリニウムカー
バイドも確認された。
ていたVGCF(Vapour grouth carbon fiber)などで
は、図21(B)に示すように、鉄10などの成長は、
カーボンチューブ12の先端に位置し、その太さによ
り、カーボンチューブ12の太さが規定されていた。と
ころが、本実施例の方法で得られるカーボンチューブで
は、図22〜24に示すように、カーボンチューブ内に
は、ガドリニウムカーバイドが長手方向に沿って詰まっ
ている。ただし、このガドリニウムカーバイドは、長手
方向途中で、一部切れていることもある。この点が、他
の金属を用いたカーボンチューブの成長と異なる点であ
る。
ジャイアントフラーレンは、論文レベルでは報告されて
いるが、磁性体として注目されているガドリニウムカー
バイドが詰まったカーボンチューブは、全く新規であ
り、その形状から期待できる特異な磁気特性が注目され
る。
トに内填する金属として、酸化ガドリニウムを用い、酸
化ガドリニウム:ピッチカーボンの混合比(重量比)を
1:9とし、チャンバー内のヘリウムガスの圧力を、1
00Torrとした以外は、前記実施例1と同様にして、5
〜150nm程度の外径のカーボンチューブを製造し
た。
ガドリニウムを用いた前記実施例6の場合と同様なカー
ボンチューブが得られることが確認された。なお、以上
説明した実施例は、本発明の理解を容易にするために記
載されたものであって、本発明を限定するために記載さ
れたものではない。したがって、上記の実施例に開示さ
れた各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計
変更や均等物をも含む趣旨である。
がマイクロサイズからナノサイズ、長さが数十μmにま
で及ぶ種々のカーボンチューブであって、しかも金属カ
ーバイドが内包されたカーボンチューブを、多量に、し
かも取り出し易く製造することができる。本発明の方法
により製造されたカーボンチューブは、磁性材料,超電
導材料,非線形光学材料,触媒など広い分野への応用が
期待できる。
す構成図である。
構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
回折パターンである。
構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
構造を示す走査電子顕微鏡写真(図5の拡大写真)であ
る。
構造を示す走査電子顕微鏡写真(図5の拡大写真)であ
る。
得られた堆積物の表面構造を示す透過電子顕微鏡写真で
ある。
回折パターンである。
面構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
面構造を示す走査電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブのX線回折パターンである。
ーボンチューブの概略断面図、(B)は参考例により得
られたカーボンチューブの概略断面図である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
ューブを示す透過電子顕微鏡写真である。
Claims (10)
- 【請求項1】金属若しくは金属化合物を単体で、または
金属若しくは金属化合物と易黒鉛化炭素とを混合して電
極グラファイトに内填し、これを焼成したのち、得られ
た電極を正極として減圧チャンバー内でアーク放電を行
い、負極への堆積物から目的とするカーボンチューブを
分離することを特徴とするカーボンチューブの製造方
法。 - 【請求項2】前記アーク放電を行う際の負極には、高純
度グラファイトを用いることを特徴とする請求項1に記
載のカーボンチューブの製造方法。 - 【請求項3】前記金属は遷移金属であることを特徴とす
る請求項1または2に記載のカーボンナノチューブの製
造方法。 - 【請求項4】前記目的とするカーボンチューブには金属
カーバイドが内包されていることを特徴とする請求項1
〜3の何れかに記載のカーボンチューブの製造方法。 - 【請求項5】前記金属カーバイドは、ランタンカーバイ
ドであることを特徴とする請求項4に記載のカーボンチ
ューブの製造方法。 - 【請求項6】前記金属カーバイドは、バナジウムカーバ
イドであることを特徴とする請求項4に記載のカーボン
チューブの製造方法。 - 【請求項7】前記金属カーバイドは、ハフニウムカーバ
イドであることを特徴とする請求項4に記載のカーボン
チューブの製造方法。 - 【請求項8】前記金属カーバイドは、ガドリニウムカー
バイドであることを特徴とする請求項4に記載のカーボ
ンチューブの製造方法。 - 【請求項9】前記目的とするカーボンチューブは、外径
が1μm〜5μm、長さが20μm以上のロッド状また
はニードル状であることを特徴とする請求項1〜8の何
れかに記載のカーボンチューブの製造方法。 - 【請求項10】前記目的とするカーボンチューブは、外
径が1nm〜10nmのカーボンチューブであることを
特徴とする請求項1〜8の何れかに記載のカーボンチュ
ーブの製造方法。
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