以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<画像処理システムの概要>
図1は、本発明に係る画像形成装置を備えた画像処理システムを示す概略図である。この画像処理システム1は、画像入力端末3および画像出力端末7を備える。
画像入力端末3は、デジタルドキュメント(以下単にドキュメントという)DOCを作成し、また編集などの処理をする、たとえばパソコン(PC;Personal Computer )3a、カラースキャナ3b、デジタルカメラ3c、またはハードディスク(HD;Hard Disk )装置や光磁気ディスク(MO;Magneto Optical Disk)装置あるいは光ディスク装置などのデータ格納装置3d、さらにFAX装置3eなど、任意数の画像入力ソースを含み得る。
画像入力端末3のそれぞれには、ドキュメントDOC作成用や画像取得用などのアプリケーションプログラムが組み込まれる。たとえば、画像入力端末3側にて用意されるドキュメントDOCを表す電子データは、画像出力端末7で処理可能な画像フォーマット(たとえば、JPEG、BMP、PNGなど)で記述される。
またたとえば、パソコン3aで作成された文書ファイルは、印刷ジョブデータとして、たとえばプリンタなどで印刷出力するために、画像、図形、文字などの拡大、回転、変形などが自由に制御できるページ記述言語(PDL:Page Description Language )で記載されたデータとして画像出力端末7に送られる。また、ここでは、印刷ジョブデータには、印刷時刻を指定する情報が印刷データの付加情報として添付されている印刷時刻指定付き印刷データであるものとする。
この印刷時刻指定付のPDLデータを受け取った画像出力端末7は、印字前に出力単位ごと(1ページごと)に画像データをレンダリング(描画展開)してから画像出力部(プリンタエンジン部)にラスターデータを出力する。
画像出力端末7は、画像形成装置の一例であって、たとえば複写機能、ページプリンタ機能、およびファクシミリ送受信機能を備えたいわゆる複合機(マルチファンクション機)で、デジタルプリント装置として構成されている。
この画像出力端末7は、画像入力端末3としてのクライアント端末とネットワーク接続可能なネットワーク端末として構成される。たとえば画像出力端末7は、大まかに、出力端末本体7aと、ネットワーク9に接続可能なパソコン(PC)ベースのプリンタサーバ8とで構成されている。なお、プリントの単一機能でよい場合、画像出力端末7を、複合機能を持つ出力端末本体7aに代えてプリンタ本体とすればよい。
出力端末本体7aは、大まかに、原稿を読み取る画像読取部10、入力された画像データに対して所望の画像処理を施す画像処理機能と出力端末本体7aの動作を制御する制御機能とを備えたコントローラ部20、およびコントローラ部20からの画像データに基づいて所定の記録媒体に可視画像を形成して出力する画像出力部30を備える。コントローラ部20は、画像読取部10と画像出力部30との境界部分に配された処理基板38上に設けられている。
画像出力端末7は、接続ケーブル90やネットワーク9を介して外部機器に接続可能になっている。たとえば、接続ケーブル90は、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)型LAN(Local Area Network;たとえばIEEE802.3)やギガビット(Giga Bit)ベースのLAN(以下纏めて有線LAN9aという)によりパソコン3aなどの画像入力端末3に接続される。
あるいは一般加入電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network )9bを介してFAX装置3eなどの画像入力端末3に接続される。なお、一般加入電話網PSTNに代えて、ISDN(Integrated Switched Digital Network )またはインターネットを含む他の通信媒体を利用してファクシミリデータをやり取りするようにしてもよい。
このような構成により、画像出力端末7は、前述のように、画像読取部10にて読み取った画像の印刷機能すなわち複写機能に限らず、接続ケーブル90を介してパソコン3aなどの画像入力端末から取得した文書データや画像ファイルなどに基づいて画像を印刷するいわゆるプリント機能や、電話回線やその他の通信インタフェースを介して取得したFAXデータやその他のあらゆる画像入力ソースから渡される画像データに基づいて印刷出力する機能を備えるようになる。
画像読取装置10は、プラテンカバーの機能も備え、原稿を図示しない読取台(プラテンガラス)上の読取位置まで搬送し排紙するドキュメントフィーダ(ADF;Automatic Document Feed ;自動原稿搬送装置)12と、装置使用のためのガイダンス情報や所定の情報処理結果や管理情報などを表示する操作パネル部15aやオペレータからの装置に対する種々の指示入力を受け付けるための操作キー部15bを有するユーザインタフェース部15とを有している。
ユーザインタフェース部15では、画像出力端末7をコピー機やプリンタやFAX装置などとして動作させるための種々の機能設定が可能になっており、機能設定キーとしては、用紙サイズを設定するサイズ指定キー、出力枚数や倍率などの置数を入力するテンキー、置数などを予め設定された標準値に戻すクリアキー、ユーザにより指示された設定を標準設定に戻すリセットキー、装置動作を開始させるスタートキー、あるいは装置動作を中止させるストップキー、その他の各種の機能設定キーを有する。たとえば、親展プリントなどのような場合、最終的な出力指示は、画像出力端末7側で指示することもできる。
なお、操作パネル部15aや操作キー部15bに代えて、あるいはこれらとともに使用される大型の表示デバイス16aによるユーザインタフェース画面とキーボードやマウスなどの指示入力デバイス16bとを有するユーザインタフェース装置16を設けてもよい。ユーザインタフェース装置16を使用することで、画像入力端末3における新規ジョブ作成以外の処理については、基本的に、ユーザインタフェース装置16で完結して操作することもできるようになっている。
プリンタサーバ8は、画像入力端末3との間で情報のやり取りをしたり、出力指示とともに画像入力端末3から受け取った印刷ジョブを描画展開処理(RIP;Raster Image Processor)し、処理済みデータ(印刷出力用データ)を出力端末本体7aに渡したりする。また、印刷ジョブや複写ジョブにおける描画展開処理に限らず、操作パネルやユーザインタフェース装置16を使用した印刷指示や条件入力なども受け付ける。なお、プリンタサーバ8は、出力端末本体7aと別体のものに限らず、出力端末本体7aのコントローラ部20に組み込んでもよい。
このような構成において、ユーザは、ネットワーク9に接続されたクライアントPCとしてのパソコン3aやその他の画像入力端末3からの印刷ジョブなどのドキュメントDOCをプリンタサーバ8に送信する。このとき、希望すれば、出力時刻を指定することもできる。
プリンタサーバ8は、そのドキュメントDOCに基づき描画展開処理を行ないRIP済みデータ(印刷出力用データ)を生成し、その印刷出力用データを出力端末本体7aに渡す。また、出力時刻の指定があるジョブの場合には、プリンタサーバ8は、指定された出力時刻にはジョブが完了するように出力処理開始時刻を調整する。この後、一旦、RIP済みデータ(印刷出力用データ)とそのジョブの出力処理開始時刻とを対応付けてデータ記憶装置に保持し、ジョブを保留する。そして、タイマ機能を用いて時刻を監視し、出力処理開始時刻になったら、データ記憶装置に保持しておいた印刷出力用データを読み出して、その印刷出力用データを出力端末本体7aに渡す。出力端末本体7aは、その印刷出力用データに基づき印刷用紙上に画像を形成して出力する。
色剤の消費量や消費度合い、色剤残量や用紙残量などの消耗品残量などの出力端末本体7aにおける印刷情報のユーザへの提示は、ネットワーク9を介してパソコン3aなどのモニター上に表示する形態や、画像出力端末7側のユーザインタフェース装置16のモニター上に表示する形態や、あるいは、出力端末本体7aに設けられる操作パネル部15a上に表示する形態などを採ることができる。
なお、プリンタサーバ8は、ネットワーク9に接続されないようなスタンドアロン(Stand-alone )のものでもよい。この場合、フレキシブルディスク(FD)5aや光磁気ディスク、あるいはCD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )5bを始めとする光ディスクなどの外部記憶媒体5の情報を読み書きする駆動装置(図示せず)をプリンタサーバ8に設け、記憶媒体挿入口8aから外部記憶媒体5を取り込んで所要のデータを受け渡しする形態を採る。
出力端末本体7aにおいて、画像読取部10は、画像入力端末の機能を備えており、たとえばCCD固体撮像素子の全幅アレイを使用して、読取位置へ送られた原稿に光を照射することで、原稿上の画像を読み取り、この読み取った画像を表す赤(R)、緑(G)、青(B)のアナログビデオ信号をデジタル信号へ変換し、たとえばコントローラ部20の画像処理機能部へ送る。
このようにして、読取りが完了すると、コントローラ部20の画像処理機能部は、画像読取部10からの赤、緑、青の画像データR,G,Bに基づいて、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の印刷出力用データを得、各印刷出力用データY,M,C,Kを画像出力部30に出力する。
画像出力部30は、画像形成ユニット32と、排紙ユニット36と、1枚もしくは複数枚(図は複数枚で例示)の処理基板38とを含む。画像形成ユニット32は、画像読取装置10にて得られた画像信号により表される画像を、トナーやインクなどの色剤を用いて、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式にて、あるいは同様な公知の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙上にトナーやインクなどの色剤を用いて可視画像を形成するする。
このため、画像形成ユニット32は、たとえば画像出力端末7をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスター出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備える。なお、プリントの単機能機とする場合には、画像出力端末7は、複合機でなくて、画像形成ユニット32を主要部とするプリンタとすればよい。
処理基板38には、画像出力部30用の処理部(特に画像処理部や制御部)だけでなく、コントローラ部20の画像処理機能部や出力端末本体7a全体の種々の処理をするための回路が搭載される。たとえば、出力端末本体7a内に構築された資源であるドキュメントフィーダ12、操作パネル部15a、画像読取部10の図示しない画像読取ユニット(スキャナ部)、画像形成ユニット32、排紙ユニット36、または図示しない給紙トレイなどを制御する回路が搭載される。この処理基板38には、半導体製の記憶媒体が搭載され、たとえば複写アプリケーション、プリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムが格納される。
画像出力部30の画像形成ユニット32は、画像読取装置10の読み取りに同期して、印刷用紙が図示しない給紙トレイから画像出力部30へ給紙されると、その印刷用紙の一方の面に、コントローラ部20の画像処理機能部から送られたK,Y,M,Cの印刷出力用データに基づいて可視画像を形成する。画像形成ユニット32から排出される印刷済みの用紙は、排紙ユニット36により、ページ順に連続的にあるいは1ページごとにソートされる。
また、画像出力端末7を構成するプリンタサーバ8は、内部のハードディスク装置などの不揮発性の記憶装置への処理済みデータの保持の他、本実施形態特有の機能である指定時刻出力機能を実現するための出力処理順の管理処理の一部または全ての機能などを実行する。
<指定時刻出力機能に着目した画像処理システムの構成>
図2は、指定時刻出力機能に着目した画像処理システムの構成を示す機能ブロック図である。本実施形態の画像処理システム1は、時刻指定のある印刷ジョブに対応したものであり、画像入力端末3としてのパソコン3aからPDL形式の印刷データや出力条件などに加えて出力時刻も示した印刷ジョブを受け取り、指定された出力時刻に応じた出力順制御処理を行なう点に特徴を有する。
本実施形態の画像処理システム1は、画像出力端末7が、クライアント(Client)端末とネットワーク接続可能なネットワークプリンタとして構成されている。クライアント端末から画像出力端末7へは、印刷ジョブデータとして、画像、図形、文字などの拡大、回転、変形などが自由に制御できるページ記述言語(PDL:Page Description Language )で記述されたデータ(PDLデータという)が送られる。
本実施形態の画像処理システム1において、クライアント側に配される画像入力端末3は、画像編集指示装置の機能を持つ。たとえば、図2に示すように、画像出力端末7に対して印刷指示を発する印刷指示部310と、その印刷指示を発する際の操作画面などをユーザ(クライアント)に表示もしくは印刷物で提示する印刷情報出力部320とを有している。印刷指示部310は、画像出力端末7に対して印刷の再出力を指示する機能も有する。本実施形態において、画像編集機能は、画像入力端末3に組み込まれている文書作成用や画像加工用などのアプリケーションソフトAPを利用する。アプリケーションソフトAPが組み込まれた機能部分が画像編集部の機能をなすことになる。
また、画像出力端末7側のコントローラ部20として機能するプリンタサーバ8は、画像入力端末3からジョブを受け付け、出力端末本体7aに出力処理をさせる画像出力端末7全体の機能を制御する出力処理制御部19を備えている。
本実施形態の出力処理制御部19は、ネットワーク接続されたクライアント端末である画像入力端末3(本例ではパソコン3a)から印刷用のジョブデータDJob を受け付けて印刷出力処理を制御する中央演算制御部(印刷制御部)710と、中央演算制御部710が受け付けた印刷ジョブ(PDLデータ)に基づき描画展開(RIP;Raster Image Process)する描画展開部714とを有している。
また出力処理制御部19は、描画展開部714により描画展開された画像データを画像出力部30側にて取扱い可能な色空間のデータ(印刷データ)に色変換する色変換部716と、中央演算制御部710が受け取ったPDLデータあるいは描画展開部714や色変換部716などにおける処理途中のデータを記憶するハードディスク装置(Hard Disk Drive )などからなるデータ記憶部718と、色変換係数を記憶する色変換係数記憶部764とを備えている。
描画展開部714は、中央演算制御部710を介して画像入力端末3から受け取ったジョブデータDJob に基づき画像入力端末3が取り扱う色空間(入力色空間;たとえばRGB空間)の画像データ(以下展開画像データという)DRip をページ単位で生成する。つまり、パーソナルコンピュータなどのクライアント端末から出力される様々な描画命令を処理し、出力単位(たとえば1ページ分)に合わせてレンダリング(描画展開、ラスタ化)することで、画素の並びで表現された画像データである印刷出力用データを生成する。そして、この生成した展開画像データDRip を中央演算制御部710に渡す。
色変換部716は、中央演算制御部710を介して受け取った入力色空間で表されている展開画像データ(本例ではRGBデータ)DRip を、画像出力部30が使用する色剤の色空間である出力色空間(たとえばCMYK空間)のデータ(印刷出力用データ)Dprntに変換する。つまり、画像出力部30で処理可能な画素の並びで表現された画像データである印刷出力用データを生成する。そして、この変換した印刷出力用データDprntを中央演算制御部710に渡す。
なお、色変換部716は、この色変換処理の際に、色変換係数記憶部764に格納してあるルックアップテーブルを利用する。すなわち、色変換部716は、RGBで表された処理対象データを取り込むと、色変換係数記憶部764にテーブル状に格納してある色変換係数を利用することで、入力値に対応した出力値を演算なしで得る。なお、この色変換係数の入力色空間は先に例にしたRGB色空間に限らず、たとえば、CMYK色空間やCIELab色空間などがある。
また、画像出力端末7は、画像入力端末3から出力指示された印刷ジョブの色剤消費量を、色剤ごと、およびジョブもしくは処理対象画像(ページ単位の画像)ごとに算出する色剤消費量算出部720を備えている。この色剤消費量算出部720は、ユーザが指定した出力サイズにおける標準の色剤消費量に対する色剤消費量の割合を示す消費度合いを算出する消費度合い算出部の機能を備えている。
本実施形態の出力処理制御部19はまた、色剤消費量算出部720が算出した色剤消費量とその時点の色剤残量と出力媒体としての印刷用紙残量とに基づき、残りの出力可能部数あるいは出力可能枚数(纏めて出力可能数ともいう)を算出する出力可能数算出部730と、色剤消費量算出部720や出力可能数算出部730が求めた色剤消費量や出力可能数、その他の出力情報をユーザに通知する出力情報通知部740とを有している。
さらに出力処理制御部19は、本実施形態特有の構成として、指定時刻に印刷出力する指定時刻印刷機能を実現するための主要部である指定時刻出力制御部750と、図示しないタイマ回路を含んで構成される時刻管理部758とを備えている。指定時刻出力制御部750は、画像出力時刻の設定がなされたジョブの場合の制御のために、現在時刻を管理する時刻管理部758と接続されている。指定時刻出力制御部750の詳細については後で説明する。
画像形成装置の主要部をなす出力端末本体7aは、画像を印刷用紙に形成する画像形成ユニット32の他に、画像出力部30(詳しくは画像形成ユニット32)のプリントエンジンが使用する各出力色(たとえばC,M,Y,K)の色剤の残量(たとえばトナー残量やインク残量)を管理する色剤残量管理部772および画像が形成される出力媒体(ここでは印刷用紙とする)の残量を管理する用紙残量管理部774を有する消耗品管理部770を備えている。なお、画像出力部30としては、2値(たとえば0,255)だけでなく、多値(たとえば0〜255)でマーキングすることができるものである。
色剤残量管理部772は、画像出力部30が使用するたとえばC,M,Y,Kの色剤の残量を検出する。また、前回のジョブ後の色剤残量を所定の図示しない色剤残量記憶部に記憶しておき、画像出力部30における出力処理の出力数をカウントする。また、個々の印刷ジョブの一連の処理が終了するごとにジョブにおける色剤消費量を算出し、その結果をカウント結果に基づき順に色剤カートリッジ(貯留槽)中の色剤の(既知の)元の量から減算することで、今回の処理後の各出力色について色剤残量を算出する。計算された色剤消費量を既知の残量から順次減算することで色剤残量を監視する構成としているので、色剤カートリッジ自体を所定のセンサで実際に感知したり調べたりすることなく“色剤切れ”を判定することができる。
用紙残量管理部780は、画像出力部30における出力処理の出力枚数をカウントし、そのカウント結果と、所定の図示しない用紙残量記憶部から読み出した前回のジョブ後の用紙残量とに基づき、今回の処理後の用紙残量を求める。出力される用紙数を既知の用紙残量から順次減算することで用紙残量を監視する構成としているので、給紙トレイ自体を所定のセンサで実際に感知したり調べたりすることなく用紙残量を把握することができる。なお、用紙がユーザによって抜かれるなど、出力処理に関わりなく給紙トレイの用紙数に変更が起こる場合への対処のため、用紙切れを検知するセンサと併用するのがよい。
色剤残量管理部772や用紙残量管理部774は、求めた色剤残量や用紙残量を中央演算制御部710や出力可能数算出部730に渡す。また、常時、あるいは必要に応じて(たとえばユーザからの要求に応じて)、この色剤残量や用紙残量の情報を操作パネル部15aやパソコン3aのモニター画面にてユーザに通知する。
なお、この例では、色剤残量管理部772や用紙残量管理部780を出力端末本体7a側に設けているが、プリンタサーバ8側に設けてもよい。
中央演算制御部710は、出力可能数算出部730が算出した結果に基づいて処理対象ジョブごとに出力可否を判定することで、その時点において画像出力端末7が受け取っている全体のジョブについての出力動作を制御する。必要に応じて、画像入力端末3側に色剤消費量や出力枚数が少なくなるようにジョブ編集を促し、再出力指示を受け付ける。
この際、出力情報通知部740は、出力可能数算出部730が算出した結果(残りの出力可能数)や中央演算制御部710が判定した個々の処理対象ジョブの出力可否などの出力情報を画像入力端末3に送って、画像入力端末3のモニター画面上に提示することでユーザに通知する。
また、中央演算制御部710は、画像入力端末3側からの描画展開部714へのジョブデータDJob の受け渡しや、描画展開部714と色変換部716との間のデータの受け渡しを担当する。なお、中央演算制御部710は、拡大もしくは縮小の指定がある場合や、Nアップ(出力用紙1ページに入力画像の複数ページを割り当てて出する態様)の指定などがある場合には、これらの処理後の印刷出力用データDprntを色剤消費量算出部720に渡す。
また、中央演算制御部710は、画像入力端末3から供給される印刷データを解析し、出力時刻情報を取得すると、出力時刻情報を指定時刻出力制御部750に渡すとともに、印刷データを描画展開部714や色変換部716に渡し、色変換部716から印刷出力用データを受け取ると、データ記憶部718に一旦保持して、指定時刻出力制御部750からの出力処理の再開指令を待つ。
また、中央演算制御部710は、色剤消費量算出部720や出力可能数算出部730、あるいは色剤残量管理部772から通知される各種の算出結果を受け取り、それを一旦データ記憶部718に保存して出力可否の判定を行なうとともに、出力可否の判定情報をユーザに通知する際に、これらの算出結果の情報をデータ記憶部718から読み出してユーザに通知する。
中央演算制御部710は、色変換部716から受け取った印刷出力用データDprntを色剤消費量算出部720に渡して色剤消費量を算出させるとともに、画像出力部30に渡して印刷出力処理を指示する。
なお、画像出力部30側においては、印刷出力用データDprntに対してさらに所望の信号処理を行なってもよいが、その場合の信号処理は、色剤の使用量に変化を与える処理は含まないものとする。つまり、色剤消費量算出部720が印刷出力用データDprntに基づき算出した色剤消費量は、その印刷出力用データDprntに基づき画像出力部30において印刷出力した際の色剤消費量と1対1に対応するようにする。
図示を割愛するが、画像出力部30側において印刷出力用データDprntに対してさらに色剤の使用量に変化を与える処理を行なう場合には、その処理後のデータを色剤消費量算出部720に渡すように構成する。こうすることで、色剤消費量算出部720は、画像出力部30において印刷出力した際の色剤消費量と1対1に対応する色剤消費量を算出することができる。
なお、色変換部716は、色変換後の画像データ(印刷出力用データDprnt)を中央演算制御部710に渡すので、色剤消費量算出部720は色変換後の印刷出力用データDprntを参照して色剤消費量を算出でき、結果として、中央演算制御部710は、色剤残量との関係での出力可否の判定を、色変換後の色剤消費量と色剤残量とに基づいて行なうことができるようになる。
たとえばR,G,Bの各データなど入力色の色空間上で算出すると、R,G,Bの各画像密度は、C,M,Y,Kの各データなど画像形成ユニット32が実際に使用する出力色の画像密度と1対1に整合しないので、出力可能数算出部730で算出される出力可能数の精度の問題を避けることができない。
これに対して、C,M,Y,Kの各データなど画像形成ユニット32が実際に使用する出力色の色空間上のデータに変換してから、各出力色についての色剤消費量を求めて出力可能数を算出することで、より実体に即した精度のよい出力可能数を求めることができるようになる。
色剤消費量算出部720は、プリンタサーバ8がパソコン3aから印刷ジョブデータを受け取ったことを検知すると処理を開始する。色剤消費量算出部720は、ジョブの画像信号に基づき、出力用紙サイズや画像の濃淡に基づいて色剤消費量を算出する。
そしてこの際には、色剤消費量算出部720は、ジョブの画像信号の色空間である入力色空間(たとえば赤R,青B,緑G)の画像データに基づいて色剤消費量を算出するのではなく、画像形成ユニット32が使用する出力色の色空間である出力色空間(たとえばC,M,Y,K)の画像データに基づいて色剤消費量を算出する。つまり、入力画像データを色変換した後の画像データである画像出力部30が使用する色空間のデータを用いて色剤消費量を算出する。
また、色剤消費量算出部720は、ページごと、またオブジェクトごとに色剤消費量を算出する。こうすることで、色剤消費量算出部720は、ページやオブジェクトごとに色剤消費の度合いを算出することができるし、後段の出力可能数算出部730や中央演算制御部710も、ページやオブジェクトごとに出力可能数の算出や出力可否の判定を行なうことができるようになる。
また、画像出力端末7が印刷ジョブを受け取る都度、画像出力端末7が受け取った処理対象ジョブごとに、色剤消費量の計算を行なうことで、現在のジョブの画像特性(たとえばページ画像の特性)も考慮して色剤残量を計算することができる。
具体的には、色剤消費量算出部720は、出力色空間(たとえばCMYK)で示された印刷出力用データDprntに基づき、画像ピクセル数だけでなく、個々の画像ピクセルの階調をも参照して、色剤の使用量をページ単位もしくはジョブ単位で算出する。
2値(たとえば0,255)でマーキングするプリンタの場合には、出力色空間で表された印刷出力用データDprntに基づき印字される画像のドット数(画像ピクセル数)を計数して画像密度を求めることで、ほぼ正確な色剤消費量を求めることができる。しかしながら、多値(たとえば0〜255)でマーキングするプリンタの場合には、画像密度を参照しただけでは正確な色剤消費量を求めることができない。たとえば、従来のように、画像密度を参照しただけでは、階調レベル“1”で印字したときと、階調レベル“255”で印字したときとでは、実際の色剤の使用量が異なるにも拘わらず、同じ使用量であると算出してしまう。
この問題を解消するため、本実施形態では、入力画像データを画像出力部30に応じた出力色空間に色変換した後の印刷出力用データDprntを用いるとともに、その印刷出力用データDprntの画像ピクセル数だけでなく、個々の画像ピクセルの階調をも参照して、色剤の使用量を求める。ここでは、その算出過程については説明を割愛する。
また、色剤消費量算出部720は、出力用紙1枚当たりのオブジェクトの該当色剤の消費度合いであるオブジェクト消費度合いや、ページの該当色剤の消費度合いであるページ消費度合いを求める。ここでは、その算出過程については説明を割愛する。
また、色剤消費量算出部720は、ページ単位で求めた色剤の使用量を参照して、ジョブ全体の該当色剤におけるジョブ消費量を算出する。また、色剤消費量算出部720は、ジョブ全体のジョブ消費量の消費度合いであるジョブ消費度合いを求める。ここでは、その算出過程については説明を割愛する。
以上のようにして、色剤消費量算出部720は、色剤消費量や消費度合いを、色剤ごと、オブジェクトごと、ページごと、あるいはジョブごとに算出すると、その算出結果を中央演算制御部710や出力可能数算出部730に渡す。
出力可能数算出部730は、色剤消費量算出部720が算出する色剤消費量と、色剤残量管理部772が検出する色剤残量と、用紙残量管理部774が求めた用紙残量とに基づき、ユーザ指定の出力用紙サイズでの出力可能数を計算して、その結果を中央演算制御部710に渡す。ここでは、その算出過程については説明を割愛する。
中央演算制御部710は、出力可能数算出部730が算出した出力可能数に基づき処理対象ジョブごとに出力可否を判定する。そして、その時点の色剤残量や用紙残量に応じ、その時点において画像出力端末7が受け取っている全体のジョブについて出力順を制御する。なお、時刻指定付きジョブの出力順制御は指定時刻出力制御部750が担当する。
中央演算制御部710は、出力可能と判定したジョブが時刻指定付きジョブである場合、色剤消費量算出部720が算出した色剤消費量分の色剤と、ジョブの総印刷出力ページ数Nj分の用紙を確保(予約)するように、消耗品管理部770に対して指示を出す。
この指示を出すタイミングは、当然のごとく、画像出力部30が出力処理を開始する以前であるとともに、指定時刻出力制御部750が処理開始時刻を決定した時点や時刻指定ジョブの予約設定を行なったことの通知を受けた時点にできるだけ近い時点が好ましい。他のジョブの処理の影響を受けないようにするためである。
こうすることで、時刻指定付きジョブの処理を実行するときに、それに先立って行なう他のジョブの実行により色剤や用紙が不足する事態を防止する。なお、計算精度の誤差を考慮して、計算値に対して多少の余裕を持って予約設定しておくとよい。
一方、出力不可と判定したジョブについては、中央演算制御部710は、その旨の他、色剤消費量算出部720や出力可能数算出部730や色剤残量管理部772や用紙残量管理部774が算出した種々の値を画像やジョブ条件の編集に資する出力情報としてユーザに提示し、この提示に基づく再出力指示を受け付けて再度同様のジョブ処理を行なう。
つまり、中央演算制御部710は、画像出力部30における出力処理に先立って、印刷ジョブの色剤消費量とその時点の色剤残量や用紙残量に基づき残り出力可能数を確認した上で、そのまま出力可能な場合には印刷処理を開始し、印刷不可な場合にはその旨や画像やジョブ条件の編集に資する出力情報を通知し、その通知に応じてユーザによって印刷可能に画像編集された後に出力処理をする。なお、出力可能な場合において、そのジョブに時刻指定情報が付加されている場合には、指定時刻出力制御部750に時刻指定情報を渡して処理開始時刻の制御を依頼する。
中央演算制御部710は、出力可否の判定に際しては、たとえば出力可能部数nj がジョブで指示されている出力指示部数Cj 以上の場合には出力可能と判定し、画像出力部30に対して出力処理を指示する。
また、中央演算制御部710は、出力可能部数nj が出力指示部数Cj 未満の場合には出力不可と判定し、その旨を示す判定情報J、用紙残量P、色剤残重量Wqc、オブジェクト消費重量wcpob、ページ消費重量wcp、ジョブ消費重量wcj、消費度合いwcpob%,wcp%,wcj%、出力可能部数nj などの、画像やジョブ条件の編集に資する出力情報を、出力情報通知部750を介してユーザに通知する。
このとき中央演算制御部710は、出力を保留するジョブデータをデータ記憶部718に保存しておく。そのジョブについて再出力指示を受けるときは、その指示のみや編集された特定ページのデータのみを受け取ることでネットワーク負荷を軽減するためである。
たとえば、出力情報通知部750は、色剤消費量に関しての警告を発する。このとき、複数ページに亘るジョブの場合、多くの色剤を消費している問題のページを容易に特定可能な情報も通知する。たとえば、確認のために通知画面上でページを捲っているときに、色剤消費量の多いページの表示時には、他の問題のないページと異なる表示態様を採るとよい。たとえば、警告欄を設けておき、色剤消費量の多いページの表示時には、その警告欄にチェックを入れる、あるいは、色剤消費量の多いページの表示時には、警告メッセージを表示(点滅させてもよい)もしくは音声で発する、などである。
なお、出力可能部数nj が出力指示部数Cj 以上であっても、出力可能部数nj が出力指示部数Cj とほぼ等しい場合“要注意”と判定し、ユーザへの確認を求めるようにしてもよい。色剤残量や用紙残量の計算上は出力可能であっても、誤差により、実際に出力すると色剤不足や用紙不足になることで出力処理が中断されることを回避可能にするためである。
また色剤消費量算出部720が、ページごとやオブジェクトごとに色剤消費量を算出することで、中央演算制御部710は、色剤消費量の多いページやオブジェクトを判定することができる。中央演算制御部710は、出力可否の情報を出力情報通知部750を介してユーザに通知する際、オブジェクト消費重量wcpob、ページ消費重量wcp、あるいはオブジェクト消費度合いwcpob%,wcp%などにより、この色剤消費量の多いページやオブジェクトの情報も通知することができる。
なお、この通知に際しては、色剤消費量が多いページにおいて、色剤消費量が多いオブジェクトの情報を、たとえば、低解像度で色剤消費が多い領域を警告色で塗り替えて表示するなどの手法を採るのがよい。
ユーザは、その通知をチェックし、問題のある該当ページのオブジェクト構成(色や濃度など)を、問題の色剤についてその消費量が少なくなるように画像情報を編集してから、再度印刷を指示する。あるいは、出力部数が少なくなるようにジョブ条件を変更してから、再度印刷を指示する。
色剤消費量の多いページや色剤消費量が多いオブジェクトの情報をユーザに通知することで、何れのページやオブジェクトを画像編集すれば出力可能になるかが直ぐに分かるので、画像編集作業(原稿再作成)の効率化を図ることが容易になる。
たとえば、大量印刷を行なう場合、事前に色剤残量と残り出力可能部数nj を確認した上で、出力可能な場合に大量印刷を開始する。また、色剤残量が少ないあるいは用紙が少ない場合や出力不可の場合は、多くの色剤を消費する問題のページの情報を出力情報通知部750を介してユーザに通知し、その通知に基づくユーザの再度の指示を受け付ける。
複数のジョブを受け付けている場合には、出力不可と判定したジョブに関しては出力処理を保留し、2番目以降のジョブの処理に移行する。そして、この2番目以降のジョブに関して出力可能なものがある場合、その出力可能なジョブを保留したジョブよりも優先させて出力処理する。これにより、複数のジョブを受け付けている場合には、受け付けたジョブ順に拘らず、その時点の色剤残量や用紙残量との関係で出力可能なジョブを優先して出力処理することにより、全体としての出力処理の効率化を図ることができる。
また、プリンタサーバ8は、好ましくは、その出力可能なジョブを優先させて出力処理をした後には、出力処理を保留したジョブに関して、出力可能部数や色剤残量や色剤消費量、あるいは用紙残量などの画像やジョブ条件の編集に資する出力情報を再計算して再度ユーザに通知するのがよい。先の通知時の色剤残量と現時点の色剤残量とが異なっているから、より実体に即した画像編集の指標として、更新後の残量などをユーザに通知するためである。
<指定時刻出力制御部の詳細>
図3は、指定時刻出力制御部750と時刻管理部758の一構成例を説明するブロック図である。また図4は、時刻指定付きジョブの処理順制御を説明する図である。
指定時刻出力制御部750は、 時刻指定印刷ジョブの制御を行なうものであり、先ず、画像入力端末3から受け取ったプリントジョブの量を計算するジョブ量算出部752と、画像出力部30の処理能力(特に処理速度)を特定する処理能力特定部754とを備えている。
また指定時刻出力制御部750は、ジョブ量算出部752が算出したジョブ量と、処理能力特定部754が特定した処理能力とに基づいて、画像入力端末3から受け取ったプリントジョブの処理に画像出力部30が要する処理時間を算出する処理時間算出部756と、処理時間算出部756が算出した処理時間とジョブで指定されている出力時刻とに基づいて画像出力部30における出力処理の処理開始時刻を特定する処理開始時刻特定部757とを備えている。処理開始時刻特定部757は、指定された時刻以前に画像出力部30が処理を開始すべき処理開始時刻Tsを特定する。
指定時刻出力制御部750は、計時機能を持つ時刻管理部758と接続されている。時刻管理部758は、その内部に、タイマ回路759と基準クロック信号発生部760とを有している。タイマ回路759は、基準クロック信号発生部760から発せられる基準クロックをカウントすることで、時間の計時を行なっている。時刻管理部758は、現在時刻を処理開始時刻特定部757に常時出力している。
ジョブ量算出部752は、たとえば画像入力端末3から受け取ったプリントジョブの総印刷出力ページ数Njに基づいてジョブ量を特定する。
また、画像出力部30の処理速度F(PPM;Page Per Minute )は予め分かるので、処理能力特定部754は、この個々の画像出力部30の処理速度を図示しない所定の記憶部に記憶しておく。こうすることで、画像出力部30が切り替えられた場合でも、個々の画像出力部30に合わせて、適切な処理開始時刻を特定することができるようになる。なお、画像出力部30の交換が想定されないシステムでは、装置製造時や出荷時に、処理速度の情報を固定値として登録しておいてもよい。
処理時間算出部756は、ジョブ量算出部752が特定した総印刷出力ページ数Njと処理能力特定部754が特定した処理速度Fとの積(=Nj・F)を取ることで、画像出力部30がその時刻指定ジョブについて画像形成処理に要する処理時間Tjを特定する。
処理開始時刻特定部757は、ジョブで指定されている出力時刻Toから、処理時間算出部756が特定した処理時間Tjを差し引く(=To−Tj)ことで、画像出力部30におけるそのジョブについての画像形成処理の開始時刻Tsを特定する。
処理開始時刻特定部757は、この特定した開始時刻Tsとジョブで指定されている出力時刻To(概ね処理終了時刻Ts)をジョブ番号と対応付けて、所定の記憶部のジョブ管理テーブルに登録する、すなわち、印刷開始時刻をジョブ管理テーブルに記憶して、予約動作を完了する(図4(A)参照)。
なお、ジョブ量が多く、算出された処理開始時刻Tsが現在時刻以前となる場合は適切な予約設定ができないので、本実施形態のような時刻指定処理ができない旨をユーザに通知する(図4(B)参照)。
この後、処理開始時刻特定部757は、タイマ処理を起動する。すなわち、処理開始時刻特定部757は、時刻管理部758により計時された時間情報と、ジョブ管理テーブルに登録した開始時刻Tsとが一致するかどうかを調べる。そして、一致するときに、中央演算制御部710に対してそのジョブの画像形成処理(出力処理)の再開を指示する。
つまり、本実施形態の構成においては、処理開始時刻特定部757と中央演算制御部710とは、協働して機能することで、時刻管理部758が計時した時刻が、自身が決定した処理開始時刻Tsになったときに、画像出力部30に対して画像形成処理の開始を指示する制御部として機能する。
中央演算制御部710は、保留しておいた時刻指定付きジョブについて、その指定された開始時刻に、印刷すべき印刷出力用データや用紙サイズなどの出力条件をデータ記憶部718から読み出して、画像出力部30によるプリント出力を開始させる。ジョブ完了後には、ジョブ管理テーブルに記憶した予約設定を解除する。
こうすることで、ジョブを投入した直後にプリント結果を得る必要はないが、所定の時刻にはプリント結果を得たい場合に、指定した時刻に出力結果を確実に得ることができる。ジョブ量に応じて処理開始時刻を調整するので、ジョブ量に拘わらず、指定した時刻に出力物を取りに行けば、その時刻にはプリント結果を確実に得ることができる。
なお、処理開始時刻特定部757は、予約動作の完了を中央演算制御部710に通知する。この通知を受けた中央演算制御部710は、予約期間内に他のジョブが割り込まれることを防止するように、全体のジョブの処理を調整する。たとえば、図4(A)に示すように、前述のようにして指定時刻出力制御部750にてジョブの予約が登録されている期間(Ts〜To)は、他のジョブを受け付けることが可能であるが、他のジョブを受け付けた場合には、時刻指定処理の予約ジョブがある旨を他のジョブを要求したユーザに通知する。
このとき、中央演算制御部710は、ジョブ管理テーブルに登録されている開始時刻Tsと出力時刻Toとを読み出して、何時の時点(開始時刻Ts)から何時の時点(出力時刻To)までに予約があるのかも通知するとよい。こうすることで、他のジョブを要求しようとするユーザは、自分が要求したジョブ量を考慮して、自分が要求したジョブ量が多く、予約ジョブの処理開示までに処理を完了させられないと判断すれば、ジョブをキャンセルすることもできる。一方、自分が要求したジョブ量が少なく、予約ジョブの処理開始時刻前に処理を完了させられると判断すれば、処理を継続させればよい。
また、図4(C)に示すように、他のジョブを開始した後に、時刻指定付きジョブの処理開始時刻になった場合には、時刻指定付きジョブの処理を優先させる。つまり、他のジョブを途中で保留し、時刻指定付きジョブの処理を完了させてから、保留しておいた他のジョブを再開する。
このように、ほぼ同じ時期に複数のジョブを取り扱う場合であっても、時刻指定付きジョブの処理を優先させることで、所定の時刻にはプリント結果を得たい場合に、指定した時刻に出力結果を確実に得ることができる。
なお、複数の時刻指定付きジョブがほぼ同じ時間帯に要求されることもある。このような場合、複数の時刻指定付きジョブの何れについても、指定した時刻に出力結果を確実に得ることができるように予約設定する。たとえば、図4(D)に示すように、先に受け付けた時刻指定付きジョブ1を通常通り予約設定し、その後に受け付けた時刻指定付きジョブ2の指示時刻To2が、ジョブ1の予約期間内になる場合、ジョブ1の開始時刻Ts1をジョブ2の終了時刻Te2を受け付けた指定時刻To2に置き換えて開始時刻Ts2を算出して予約設定するとよい。
このとき、図4(B)に示したと同じように、ジョブ2のジョブ量が多く、算出された処理開始時刻Ts2が現在時刻以前となる場合は適切な予約設定ができないので、本実施形態のような時刻指定処理ができない旨をユーザに通知する。
このように、指定時刻出力制御部750において前述のような予約設定処理を行なうことで、ジョブを投入した直後にプリント結果を得る必要はないが、所定の時刻にはプリント結果を得たい場合に、プリント処理時刻に関するユーザの要求に柔軟に対応することができるとともに、所定の時刻になってもプリント結果を得られない場合が生じるという問題を確実に解消することができる。時刻指定出力の要求に応えることができないときには前もってユーザに通知するので不都合が生じることもない。
<プリンタジョブのメニュー画面例>
図5は、クライアント端末としての画像入力端末3において印刷指示を発する際のメニュー画面(プリンタジョブのメニュー画面)の一例を示す図である。このメニュー画面は、プリンタドライバによりOS(Operating Systems )を介して所定の表示デバイスに表示処理されるものであり、このメニュー画面上で、ユーザはプリントに必要な情報を設定することができる。
たとえば、図5に表示されている情報や設定内容として、一意的に決められている現在利用可能なプリンタやプリントサーバとしての画像出力端末7の名称、同じく一意的に決められているユーザID、これからプリントを行なう原稿のジョブ(ファイル)名、プリントする用紙サイズ、印刷枚数、指定されたページ内のプリントが可能なように、印刷のページ範囲の指定を設定することができる。プリンタ名(画像出力端末7を含む)を指定するとともにプロパティボタンBT47を押下することで、拡大/縮小やカラー/モノクロなど、プリンタ側の詳細設定を行なうことができる。
加えて、本実施形態特有の部分として、用意した印刷データに対して時刻情報を付加する時刻入力欄BX41が用意されており、出力結果を得たい時刻を設定できるようになっている。すなわち、印刷出力時刻の指定を行なうことができる。たとえば、時刻入力欄BX41は通常は表示されていない。ここで、ユーザは時刻指定印刷を希望しないときには、通常印刷ボタンBT40を押下して、実行ボタンBT48を押下することで出力指示を発すればよい。一方、時刻指定印刷を希望するときには、ユーザは時刻指定印刷ボタンBT41を押下することで時刻入力欄BX41を表示させ、時刻入力欄BX41に出力結果を得たい時刻を入力した後に、実行ボタンBT48を押下することで出力指示を発すればよい。画像入力端末3は、この処理の後、プリンタドライバによってPDL形式に変換された印刷データを画像出力端末7に出力する。
図6は、中央演算制御部710が出力情報通知部740を介して画像やジョブ条件の編集に資する情報をユーザに提示するに当たって、画像出力端末7内のデータ記憶部718に管理する情報(画像やジョブ条件の編集に資する情報)を纏めたジョブ管理テーブルの一例を示す図である。
中央演算制御部710は、色剤消費量算出部720、出力可能数算出部730、色剤残量管理部772および用紙残量管理部774で算出もしくは検出された結果を、オブジェクトやページやジョブごとに、管理テーブルにジョブファイルと対応付けて管理する。図示した例では、C色について例示している。
たとえば、ジョブ管理テーブルT10には、出力ジョブのファイル名やそのジョブで指示されている出力指示部数Cj や総印刷出力ページ数Njなどの基本情報を格納する基本情報管理領域T10a、各色剤についての色剤使用状況を格納する色剤使用情報格納領域T10b、出力可能数格納領域T10c、および色剤残量格納領域T10dを用意する。 また、本実施形態特有の領域として、用紙残量格納領域T10eと、時刻指定の有無や時刻指定がある場合の処理開始時刻Tsや処理終了時刻Te(概ね指定時刻Toと同じ)を格納する時刻指定処理情報格納領域T10fが用意される。
中央演算制御部710は、個々のオブジェクトの色剤消費量であるオブジェクト消費量wcpobやその消費度合いであるオブジェクト消費度合いwcpob%と、オブジェクトグループごとのオブジェクトグループ消費量wcpgpやオブジェクトグループ消費度合いwcpgp%をページごとに、また、ページ単位での消費量であるページ消費量wcpやその消費度合いであるページ消費度合いwcp%を、さらにジョブ単位での消費量であるジョブ消費量wcjやその消費度合いであるジョブ消費度合いwcj%を色剤消費量算出部720から受け取ると、これらの算出結果を図6に示すジョブ管理テーブルT10の色剤使用情報格納領域T10bに格納する。
また、中央演算制御部710は、出力可能数算出部730から出力可能部数nj を受け取ると、この算出結果を図6に示すジョブ管理テーブルT10の出力可能数格納領域T10cに格納する。また、中央演算制御部710は、消耗品管理部770の色剤残量管理部772から、各色剤の色剤残重量Wqcj を受け取ると、この検出結果を図6に示すジョブ管理テーブルT10の色剤残量格納領域T10dに格納する。同様に、消耗品管理部770の用紙残量管理部774から、用紙残量Pを受け取ると、図6に示すジョブ管理テーブルT10の用紙残量格納領域T10eに格納する。
また、中央演算制御部710は、画像入力端末3から受け付けたジョブが時刻指定付きジョブである場合は、時刻指定処理情報格納領域T10fにその旨のフラグを立てる。また、指定時刻出力制御部750は、特定した処理開始時刻Tsやジョブで指定されている出力時刻To(あるいは処理終了時刻Ts)を格納する。
そして、中央演算制御部710は、出力情報通知部740を介して出力可否の判定結果をユーザに通知する際には、その判定結果を示す判定情報Jとともに、管理テーブルに格納しておいた、前述の出力可能部数nj ,オブジェクト消費量wcpob,オブジェクト消費度合いwcpob%,オブジェクトグループ消費量wcpgp,オブジェクトグループ消費度合いwcpgp%,ページ消費量wcp,ページ消費度合いwcp%,ジョブ消費量wcj,ジョブ消費度合いwcj%、用紙残量Pの各算出結果を画像やジョブ条件の編集に資する情報としてを出力情報通知部740に渡す。
<本実施形態の処理手順の概要>
図7は、本実施形態の画像処理システム1における処理手順の概要を示すフローチャートである。
画像入力端末3側において、ユーザは所定のアプリケーションソフトを用いて文書データを生成した後、図5に示したプリンタジョブのメニュー画面にてプリント部数や出力サイズなどの出力条件を指定して印刷ジョブを画像出力端末7側へ指示する(S114)。
なお、時刻指定印刷を希望する場合、すなわちある時刻にプリンタ機能を持つ画像出力端末7によるプリント出力を希望する場合は(S110−YES)、図5に示したプリンタジョブのメニュー画面にて出力希望時刻を入力した後に(S112)、印刷ジョブを画像出力端末7側へ指示する(S114)。つまり、任意の指定した時刻に所要データのプリント出力が完了しているようにプリント時刻を予約する。
この指示を受けたコントローラ側であるプリンタサーバ8において、中央演算制御部710は、印刷ジョブを受け取ると(S120)、この受け取った印刷ジョブをデータ記憶部718に保持するとともに、印刷ジョブを描画展開部714に渡し、描画展開部714にて描画展開してラスターイメージを生成する(S122)。描画展開部714は、生成したラスターイメージを中央演算制御部710に渡す。
中央演算制御部710は、描画展開部714から受け取ったラスターイメージを色変換部716に渡し、色変換部716にて画像データの色空間を、入力色空間から出力色空間に変換する(S124)。色変換部716は、色変換したラスターイメージを中央演算制御部710に渡す。中央演算制御部710は、この色変換後のラスターイメージを色剤消費量算出部720に渡すとともにデータ記憶部718に保存し、出力可能数算出部730からの出力可能部数nj などの入力を待つ(S154)。
色剤消費量算出部720は、出力色空間で示された印刷出力用データDprntを中央演算制御部710を介して取得するとともに、印刷ジョブで指示されている出力用紙サイズSpを取得し(S130)、RIP処理後の印刷出力用データDprntを元にピクセル単位で階調レベルをも参照することで、出力用紙1枚当たりの色剤消費量w(ページ単位の色剤消費量)やジョブ単位での色剤消費量、さらにページ単位やジョブ単位の色剤の消費度合いを色剤ごとに求め、その結果を出力可能数算出部730に渡す(S134)。
画像出力部30側においては、一連の出力処理が終了するごとに(S140−YES)、色剤残量管理部772は、トナー残重量算出処理を行なっており、新しいトナー残重量Wqcを求め(S142)、求めたトナー残重量Wqcを出力可能数算出部730や中央演算制御部710に通知するとともに、色剤残量記憶部に記憶する(S144)。
同様に、一連の出力処理が終了するごとに、用紙残量管理部774は、用紙残量算出処理を行なっており、新しい用紙残量Pを求め(S146)、求めた用紙残量Pを出力可能数算出部730や中央演算制御部710に通知するとともに、用紙残量記憶部に記憶する(S148)。
出力可能数算出部730は、色剤消費量算出部720から色剤消費量(wcjもしくはページごとのwcp)を、また色剤残量管理部772から色剤残量を、さらに用紙残量管理部774から用紙残量の入力を受け付けると、色剤消費量算出部720で求めた色剤消費量と、色剤残量管理部772からのトナー残重量Wqcと、用紙残量管理部774からの用紙残量Pとに基づき、出力可能数を算出し、その結果を中央演算制御部710に通知する(S152)。
たとえば、トナー残重量Wを色剤消費量wで割ることにより、出力可能部数を出力色ごとに算出し、全色剤について勘案することで最終的な出力可能部数を特定し、特定した出力可能部数nj を中央演算制御部710と出力情報通知部740とに通知する(S158)。なお、印刷ジョブが複数ページに亘るものである場合、上記処理を各ページについて行なうことで、その印刷ジョブ全体についての最終的な出力可能部数nj を特定する。
中央演算制御部710は、出力可能数算出部730が算出した出力可能部数nj を参照して、その時点のトナー残量や用紙残量に応じて、その時点において画像出力端末7が受け取っている全体の印刷ジョブを勘案して、処理対象の印刷ジョブごとに出力可否を判定する(S160)。たとえば、色剤や用紙などの消耗品に不足がなく、そのまま出力可能な場合には、直ちに印刷処理を開始する(S160−YES)。そして、次の印刷ジョブの入力を待つ。
このとき、中央演算制御部710は、先ずジョブに印刷時刻の指定があるか否かを判断する(S161)。時刻指定がある場合には、ジョブを保留するとともに、時刻指定の情報を指定時刻出力制御部750に通知し、指定時刻出力制御部750からの処理再開指示を待つ(S161−YES)。このとき、中央演算制御部710は、色剤消費量算出部720が算出した色剤消費量分の色剤と、ジョブの総印刷出力ページ数Nj分の用紙を、すなわちそのジョブ用の消耗品を確保しておくように、消耗品管理部770に対して指示を出す(S162)。
指定時刻出力制御部750は、ジョブの総印刷出力ページ数Njと画像出力部30の処理速度Fとに基づき、画像出力部30がその時刻指定ジョブについて画像形成処理に要する処理時間Tjを特定し、ジョブで指定されている時刻Toからその処理時間Tjを差し引いて処理開始時刻Tsを決定する(S163)。そして、指定時刻出力制御部750は、この開始時刻Tsをジョブ管理テーブルに記憶して予約設定を完了する(S164)。
この後、処理開始時刻特定部750は、タイマ処理を起動し、時刻管理部758により計時された時間情報と、ジョブ管理テーブルに登録した開始時刻Tsとが一致するかどうかを調べ(S165)、一致するときに、中央演算制御部710に対してそのジョブの画像形成処理の再開を指示する(S165−YES、S166)。
こうすることで、中央演算制御部710は、保留しておいた時刻指定付きジョブについて、その指定された開始時刻に、印刷すべき印刷出力用データや用紙サイズなどの出力条件をデータ記憶部718から読み出して、画像出力部30によるプリント出力を開始させる。画像入力端末3から受け取ったジョブデータを画像出力部30が取扱い可能な印刷出力用データDprntにしてデータ記憶部718に保存しておいているので、再開後の処理時には描画展開処理を省くことができる。
結果的には、処理開始時刻特定部757が特定すべき処理開始時刻Tsも、その分だけ遅くすることができる。複数の時間指定ジョブを受け付ける場合にも、個々のジョブにおける現時点と出力時刻(指定された時刻Toあるいは終了時刻Te)との時間を未実家得できるので、より多くの時間指定ジョブに対応できるようになる。
一方、印刷不可な場合にはそのジョブを保留してその旨を出力情報通知部740に通知する(S160−NO,S167)。出力情報通知部740は、その印刷不可な旨や出力可能部数や消費度合いなどの画像やジョブ条件の編集に資する出力情報を画像入力端末3に通知する(S168)。これを受けて、印刷情報出力部320は、モニター画面に画像やジョブ条件の編集に資する出力情報を、表示や印刷によってユーザに提示する(S169)。
また、その時点において画像出力端末7が複数の印刷ジョブを受け取っている場合、すなわち他のジョブが存在する場合、2番目以降のジョブについても上記と同様の処理を行ない、その2番目以降のジョブについて出力可能なものがあるか否かを同様に判定する(S110〜S160)。そして、他のジョブが存在しなければ、次のジョブ受付けを待機する(S170−NO)。
一方、2番目以降に出力可能なジョブがある場合、その出力可能なジョブを保留したジョブよりも優先させて出力処理する(S170−YES,S172)。このときも、中央演算制御部710は、その2番目以降のジョブに印刷時刻の指定があるか否かに応じて処理を行なう(S161〜S166)。
また、保留したジョブよりも優先させて他の印刷ジョブを出力処理したときには、出力処理を保留したジョブに関して、出力可能部数や色剤残量や消費度合いなどの画像やジョブ条件の編集に資する出力情報を上記と同様にして再計算して、画像入力端末3に通知する(S176)。これを受けて、印刷情報出力部320は、図4や図5に示したように、モニター画面に画像やジョブ条件の編集に資する更新後の情報を表示する(S178)。
以上のように、本実施形態の構成においては、中央演算制御部710が、処理対象ジョブとしての印刷ジョブごとに、トナー残量との関わりにおける出力可否を自動的に判定することで、ユーザの手を煩わせることなく(出力可否の判定をユーザが行なう必要がない)、複数のジョブを効率的に実行できるようになる。印刷可能なジョブを優先させることにより、作業の効率化を図ることができる。
トナー切れや用紙切れを起こさないようにジョブを実行させたければ、提示された出力情報を参照して、画像における色剤消費量の多い色成分が少なくなるように画像編集したり、出力部数が少なくなるように出力条件を変更したり、出力用紙サイズを変更してから再度出力指示を発することで、時刻指定要求ができるようになる、あるいは、プリントの途中で印刷が止まることなくプリントすることが可能になる。
なお、色剤消費量の多いページの情報を通知することで、ユーザは、提示された画面から、色剤消費量の多いページやオブジェクトを即時に判定することができる。ユーザは、問題のある該当ページのオブジェクト構成(色や濃度など)を、問題の色剤についてその消費量が少なくなるように変更してから、再度印刷を指示することができる。色剤消費量の多いページや色剤消費量が多いオブジェクトの情報を通知することで、何れのページやオブジェクトを画像編集すればよいかが直ぐに分かるので、画像編集作業(原稿再作成)の効率化を図ることが容易になる。
このような通知を受けて、ユーザは、印刷不可となったページにおける色剤消費量の多い色成分を、その色の色剤消費量が少なくなるようにそのページ画像を編集する。たとえばK色の色剤が少ない場合には墨量が少なく、逆にK色以外の色剤が少ない場合には墨量が多くなるように画像を編集する。あるいは、全体のトナー使用量が少なくなるように、薄い画像に編集してもよい。
一般的な印刷ジョブ画像では、イメージオブジェクトは面積が大きくトナー使用量はテキストオブジェクトやグラフィックオブジェクトよりも多いので、イメージオブジェクトの出力色属性を変更するのが有効である。あるいは、テキストオブジェクトやグラフィックオブジェクトでも情報量が多くて低解像度の場合には色剤消費が多くなることもあるから、オブジェクトに拘らず低解像度で色剤消費が多い領域を画像編集の対象としてもよい。何れにしても、色剤残量の少ない出力色の成分について、色剤消費量がより少なくなるように画像を編集すればよい。
再出力を指示する際には、画像入力端末3(本例ではパソコン3a)は、その編集した印刷ジョブの全体のデータを送付するのではなく、編集した印刷ジョブのファイル名を特定可能な識別子を付けて、編集した特定ページのジョブデータだけを送付するのがよい。プリンタサーバ8は、先の処理時にデータ記憶部718に保存しておいたデータ中の、編集済みの特定ページを差し替えてから、前述と同様の処理を行なう。こうすることで、データ転送量を少なくすることで、ネットワーク負荷を軽減することができる。
なお、プリント条件の変更に際しては、出力部数を少なくする態様もあるし、画像データとして色剤使用量が少なくなるように画像処理条件を変更する態様もある。
このような画像編集機能を持つ構成にするには、画像入力端末3は、画像処理条件を変更する画像編集指示を画像出力端末7に通知することで画像出力端末7に画像編集処理を指示する画像編集指示部を備えることにより、画像編集指示装置の機能を持つようにする。あるいは、画像入力端末3にて、画像入力端末3に組み込まれている文書作成用や画像加工用などのアプリケーションソフトAPを利用することもでき、アプリケーションソフトAPが組み込まれた機能部分が画像編集部の機能をなすようにすることもできる。
また、画像出力端末7では、画像編集指示を受けて、画像編集を行なう画像編集部を備えるようにすることもできる。たとえば、画像出力端末7は、中央演算制御部710、色変換部716、および色変換係数記憶部764にて、色剤消費量に関わる画像処理条件を切り替えて処理する画像編集部18の機能が実現されるようになる。
画像編集指示の態様の場合、墨量や墨量に対応した指標値をプリンタサーバ8にユーザが指示することで行なうか、あるいは、全体の色剤消費量の変更を指示することで行なう。あるいは、色変換係数の変更をプリンタサーバ8にユーザが指示してもよい。
墨量に対応した指標値としては、墨量調整係数を示すUCR(Under Colour Removal;下色除去処理)率を利用することができる。墨量やUCR率の変更指示を受け付ける場合、画像出力端末7側では、変更後の墨量やUCR率に対応するように図示しない色変換係数演算部にて色変換係数を算出し、この算出した色変換係数を色変換係数記憶部764のユーザ領域に格納する。色変換部716がジョブに対応した標準的な色変換係数からユーザ領域に格納した色変換係数に切り替えて色変換処理をすることで、画像出力端末7は、色変換係数を切り替えてから再出力処理を行なう。
このように、墨量やUCR率の指示を受けて色変換係数を切り替えることにより、同じ色剤残量に対してより多くプリントすることが可能となり、墨量や墨量に対応した指標値を設定することで、画像編集をプリンタサーバ8に指示することができ、編集作業が非常に簡単である。さらに、ユーザが墨量や墨量に対応した指標値を設定することで、ユーザが望む、好ましい色再現レベルで印刷出力(プリント)することができる。
また、ユーザ指示に基づき、他の色変換係数に変更して印刷処理を行なう場合、ユーザが墨量や墨量に対応した指標値を具体的に設定し、それを受けて図示しない色変換係数演算部にて色変換係数を算出するのではなく、予め色変換係数記憶部764に用意されている複数の色変換係数の中からユーザが選択指定するように構成するのがよい。
レベルの異なる色剤消費量と、それに対応する色変換係数を予め算出して、色剤消費量が高めから低めまでの複数の色変換係数を纏めたカラールックアップテーブルを事前に色変換係数記憶部764に格納しておき、レベルの異なる複数の色剤消費量の度合いの中からユーザが選択する構成とすることで、墨量や墨量に対応した指標値を具体的に設定する場合と同様の効果が得られる。たとえば、予算不足を起こさないようにジョブを実行させたければ、ユーザは、提示された情報を参照し、画像における色剤消費量の多い色成分が少なくなるように色変換係数を選択指示することで、プリントの途中で印刷が止まることなくプリントすることが可能になる。
加えて、変更指示を受けた都度の色変換係数の算出処理が不要になり色変換係数の編集作業が非常に簡単であるし、ユーザが望む、好ましい色再現レベルで印刷出力(プリント)することができる。
最初に要求したジョブ内容では時刻指定要求ができない場合でも、ジョブ内容を編集することで、時刻指定要求ができるようになる。希望する処理終了時刻までに、消耗品不足を起こさないように確実にジョブを実行させたければ、提示された出力情報を参照して、出力部数を削減するか、もしくは、画像における色剤消費量の多い色成分が少なくなるように画像編集してから再度出力指示を発することで、プリントの途中で印刷が止まることなくプリントすることが可能になる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、多値でマーキングする場合に、正確な色剤消費量や出力可能数を算出するために、処理対象画像の個々の画素の階調レベルに基づき単位出力当たりの色剤消費量を算出する構成は、本願発明の全ての実施形態として、必ずしも必須の要素ではない。
たとえば、上記実施形態では、印刷出力用データの階調をも参照して色剤消費量を求めていたが、画像出力部が2値出力用であるか多値出力用であるかを問わず、階調を参照することなくドット数を参照して色剤消費量を求めてもよい。
また、上記実施形態において色剤残量の検出に際しては、前回の色剤残量から今回の色剤消費量を差し引く処理を繰り返すことで、次回のジョブにおける色剤残量を求めるようにしていたが、これに限らず、色剤の残量を検知する手段として、たとえば圧力センサや透磁率センサなどの所定のセンサを使用し、色剤貯留槽(色剤カートリッジ)の変化の態様を常時監視し、この監視結果に基づいて色剤の残量を検知する構成としてもよい。
同様に、用紙残量の検出に際しては、前回の用紙残量から今回の用紙使用量を差し引く処理を繰り返すことで、次回のジョブにおける用紙残量を求めるようにしていたが、これに限らず、用紙の残量を検知する手段として、たとえば用紙堆積物の厚さを検出するセンサなどの所定のセンサを使用し、給紙トレイに載置されている用紙の変化の態様を常時監視し、この監視結果に基づいて用紙の残量を検知する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、クライアント端末から受け取った印刷データに基づいて画像形成処理を行なう一般的な印刷ジョブの場合における、時刻指定付きジョブの出力制御の仕組みについて詳しく説明したが、上記実施形態で説明した処理の適用範囲は、一般的な印刷ジョブに限らず、所定色の色剤を用いて所定の出力媒体上に画像を形成するあらゆるジョブに適用可能である。
たとえば、ネットワーク9を介して外部機器としてのWebサーバからダウンロードした画像に基づき所定の時刻に印刷出力する場合や、FAX装置3eから受信したFAX画像に基づき印刷出力する場合や、1394規格やUSB規格のデバイス3f,3gから受け取った画像に基づき所定の時刻に印刷出力する場合においても、上記実施形態で説明した仕組みを同様に適用できる。
1…画像処理システム、3…画像入力端末、5…外部記憶媒体、7…画像出力端末、7a…出力端末本体、8…プリンタサーバ、9…ネットワーク、10…画像読取装置、10…画像読取部、12…ドキュメントフィーダ、15…ユーザインタフェース部、16…ユーザインタフェース装置、18…画像編集部、19…出力処理制御部、20…コントローラ部、30…画像出力部、32…画像形成ユニット、310…印刷指示部、320…印刷情報出力部、710…中央演算制御部、714…描画展開部、716…色変換部、718…データ記憶部、720…色剤消費量算出部、730…出力可能数算出部、740…出力情報通知部、750…処理開始時刻特定部、750…出力情報通知部、750…指定時刻出力制御部、752…ジョブ量算出部、754…処理能力特定部、756…処理時間算出部、757…処理開始時刻特定部、758…時刻管理部、759…タイマ回路、760…基準クロック信号発生部、764…色変換係数記憶部、770…消耗品管理部、772…色剤残量管理部、774…用紙残量管理部、780…用紙残量管理部