JP4531324B2 - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各発光層どうしが絶縁層により電気的に有効に絶縁され、かつ発光層の平坦性が優れた有機EL(エレクトロルミネッセント)素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、比較的低電圧で駆動でき、自己発光型であること、および応答の速いことから、画像の視認性に優れ、また、動画の表示に適しており、据え置き型のディスプレイとしてのみならず、携帯用等の可搬のディスプレイとしても、用途が広まりつつある。
【0003】
一般的な有機EL素子は、ITO等の透明電極層(第1電極層)を形成したガラス基板上に、バッファー層および有機蛍光体層を順次積層した上に、金属電極層(第2電極層)を形成し、さらに保護層で被覆する等して構成されたものであり、文字や画像等の表示を行なわせるために、両電極層を微細な区域に分割して形成するのに加え、これに合わせて有機蛍光体層を分割して形成するか、もしくはバッファー層および有機蛍光体層の両層を分割して形成する等、発光層のパターン化を行なっている。
【0004】
バッファー層および有機蛍光体層のパターン化の方法としては、それらの層を基板上に一面に形成した上に、フォトレジストを用いてレジストパターンを形成し、レジストパターンを利用して、エッチングするフォトリソグラフィー法がある。(例えば、特許文献1参照。)。
また、基板上に画素を隔てるための隔壁を設け、隔壁間に正孔注入層および発光層をいずれもインクジェット方式で塗布することにより形成する方法もある。(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−170673号公報(請求項7、実施例1)
【特許文献2】
特開2000−323276号公報(請求項1および2、図4)
【0006】
しかし、フォトリソグラフィー法によるときは、パターン化されたバッファー層および有機蛍光体層はごく薄いため、パターンの端部において、下層の第1電極と、後に上層に設ける第2電極との間の絶縁性を確保しにくい。また、インクジェット方式で塗布するときは、隔壁の存在により、絶縁性の問題は生じないものの、隔壁の表面が撥水化されていると、適用された塗液の中央部が盛り上がったまま固化するので、塗膜が平坦化せず、隔壁に沿った厚みの薄い部分のみが発光する等の隔壁の存在に基づく欠点が生じる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、発光層を間にはさんだ第1電極層と第2電極層との間の絶縁性が確保され、しかも平坦な発光層を有する有機EL素子を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決する手段】
発明者の検討により、第1電極層が形成されていて、隔壁が形成されていない基板上に、発光層を一面に形成し、レジストパターンを利用して、エッチングするか、剥離性基材上に一様に形成した発光層を部分的に転写する等のインクジェット方式以外の方式により、発光層を形成することにより、発光層を平坦にすることができ、また、各画素電極層、各画素発光層の間、および各発光層上面の周縁部にわたって絶縁層を、感光性樹脂層のパターン状露光等により形成して、課題を解決することができ、本発明に到達することができた。
【0015】
第1の発明は、基板の上に、少なくとも第1電極層、発光層、および、第2電極層の各層が順に積層されており、前記第1電極層は、複数の画素電極が間隔を有して配列されて構成されており、前記発光層は、前記各画素電極上に積層された各画素発光層から構成されており、かつ、前記各画素電極の側面、前記各画素発光層の側面、および前記各画素発光層の上面の端からある幅を持った領域である周縁部を被覆する絶縁層が積層されており、前記第2電極層は、各画素発光層上、前記絶縁層が被覆された前記周縁部を除く領域に、前記第1電極層の各画素電極と対向して、積層され配されている有機EL素子を作製する有機EL素子の製造方法であって、前記基板上に複数の前記画素電極が間隔を有して配列されて構成される前記第1電極層を形成し、前記第1電極層を有する前記基板上に、全面にわたって一様な厚みを有し平坦であり、発光層形成用組成物からなる均一一様な塗膜を形成し、前記塗膜の形成後、前記塗膜を前記第1電極層の各画素電極上に積層されるように、エッチングして、前記第1電極層の前記各画素電極上に積層された各画素毎の前記発光層であり一様な厚みを有し平坦である前記画素発光層の集まりからなる前記発光層を形成し、前記発光層の形成後、前記各画素発光層の間、および前記発光層上を含めた全面に感光性の絶縁層形成用組成物を成膜し、成膜後の前記絶縁層形成用組成物の塗膜をエッチングして、少なくとも、前記各画素発光層の側面、および前記各画素発光層の上面の端からある幅を持った領域である前記周縁部を被覆する前記絶縁層を形成し、前記絶縁層を形成した後、前記第2電極層を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、前記第1電極層は複数の前記画素電極が間隔を有して配列したものであり、前記発光層の前記各画素発光層を、前記各画素電極と同じ形状に形成すること、および前記画素電極の側面を含めて被覆する前記絶縁層を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0017】
第3の発明は、第2の発明において、前記各画素電極の間、前記各画素発光層の間、および前記各画素発光層上の前記周縁部を被覆する前記絶縁層を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法に関するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の有機EL素子1の基本的な積層構造を示す断面図である。本発明の有機EL素子1は、例えば、図1(a)および図1(b)に示すように、基板2上に、第1電極層3、発光層4、および第2電極層5が順に積層され、いずれの層も基板2方向に間隔を有しており、積層された各層のうちの発光層4は、第1電極層側から、例えば、バッファー層4a、および有機蛍光体層4bが順に積層されたものであり、また、図1(c)に示すように、第1電極層3、発光層4、および第2電極層5の間には絶縁層6が充填され、かつ絶縁層6の上部は、発光層6の図中の上面側の周縁部を被覆するものである。発光層4は、原則的には、一方の電極から注入された電子と他方の電極から注入された正孔が再結合することにより発光し得る有機蛍光体からなるか、それを含む有機蛍光体層の単独であり得る。
【0019】
第1電極層3は、有機EL素子1が、一面に一様に発光させるよう意図されたものである場合には、基板2上に均一一様に積層されていることもあり得るが、有機EL素子1は、任意の文字や画像を表示させる目的で使用されることが多いから、複数の、実際には多数の画素電極が、間隔を有して配列されて構成されたものであることが好ましい。
また、発光層4も、第1電極層3を構成する画素電極の各々の上に、画素電極と同じ形状の画素発光層が位置を合わせて積層されているか、もしくは、画素電極とほぼ同じ形状の画素発光層が位置を合わせて積層されて構成されていることが好ましい。
【0020】
ここで、発光層4を構成する各画素発光層が、各画素電極と同じ大きさおよび形状を有して、位置を合わせて画素電極上を被覆していても、各画素電極の端面は露出しているから、そのままであると、後に第2電極層5を積層する際に、第2電極層5を構成する素材が所定の区域からはみ出したときに、下層の第1電極層3を構成する画素電極と電気的に導通して短絡することが懸念される。
そこで、各画素電極の側面および前記各画素発光層の側面を絶縁層6で被覆すれば、電気的な導通の危険を回避することが可能となる。
絶縁層6で、各画素電極の側面および前記各画素発光層の側面を被覆する際に、絶縁層6の形成位置がずれたり、部分的に欠損すると、第2電極層と第1電極層の画素電極との電気的な導通を完全に回避することが困難となり得るので、絶縁層6で被覆する際に、発光層4を構成する各画素発光層の第2電極側の周縁部、即ち画素発光層上面の周縁部(図1中の有機蛍光体層4bの上面の縁の部分)も含めて、絶縁層6で被覆することが好ましい。
【0021】
絶縁層6は、上記のように、各画素電極の側面、各画素発光層の側面、および各画素発光層上面の周縁部を被覆すれば足りるので、必ずしも、各画素電極の間の基板2の露出部が絶縁層で被覆される必要はないが、各画素電極の間の基板2の露出部も含めて絶縁層で被覆されていてもよい。
さらには、図中に示すように、絶縁層が、各画素電極の間、および各画素発光層の間を充填していてもよい。
【0022】
絶縁層6は、発光層4を構成する画素発光層上面の周縁部も含めて積層されていることが好ましく、画素発光層上に露出した部分の厚みが、一概には言えないが100nm以上であることが好ましい。
また、絶縁層6は、図1に示した例では、発光層から突出した部分の断面が、上すぼまりの台形状となっているが、これに限ることなく、断面形状が長方形状であっても、ほかの形状であってもよい。
【0023】
また、絶縁層6は、発光層4を構成する画素発光層上面の周縁部に、画素発光層の側面から、幅が200nm以上となるよう形成されていることが好ましく、ただし、画素発光層の絶縁層6で被覆された部分は発光しないから、各画素発光層の面積の80%未満になるよう形成されていることが好ましい。
なお、前段落に記載した画素発光層上面に露出した部分の絶縁層の厚み、およびこの段落における画素発光層上面の周縁部を被覆する部分の絶縁層6の幅は、画素発光層の大きさ(幅)が30μm〜100μmであるものを想定したもので、画素発光層の大きさが変われば、これらの厚みおよび幅も変わり得る。
【0024】
以上は、本発明の有機EL素子1の基本的な積層構造に関するものであるが、実際の有機EL素子1には、第2電極層5上も含めた全面に、保護層が積層されていることが好ましく、保護層は、無機質もしくは有機質で構成することができる。あるいは、保護層を伴なうか、もしくは伴なわないで、下層の基板2と同様な素材の板状物もしくはフィルム状物で、第2電極上も含めて被覆してもよく、必要に応じて、有機EL素子の端部もしくは端部のみならず全面で、封止を行なう。
【0025】
本発明の有機EL素子1は、単色の表示を行なわせるのみならず、画素発光層を発光色の異なる複数種類の発光層からなるものとして、多色の表示やフルカラーの表示を行なわせることができる。
【0026】
例えば、第1電極層3の画素電極毎に積層する画素発光層を、交互に赤色発光用および青色発光用として、赤色発光用の画素発光層で赤色発光用の発光層を、また、青色発光用の画素発光層で青色発光用の発光層を構成し、画素電極を任意に選択して通電させることにより、赤色の表示または/および青色の表示を行なうことができ、あるいは、両者の混色の表示を行なうことができる。
【0027】
あるいは、第1電極層3の画素電極毎に積層する画素発光層を、赤色発光用、青色発光用、および緑色発光用の各色発光用の画素発光層を繰り返し配列して、赤色発光用の発光層、青色発光用の画素発光層、および緑色発光用の画素発光層を構成し、画素電極を任意に選択して通電させることにより、赤色、青色、もしくは緑色の表示、または、それら選択し二種類、もしくは三種類による混色の表示を行なうことができ、いわゆるフルカラーの表示が可能となる。
【0028】
次に図2〜図4を引用して、本発明の有機EL素子1の代表的な製造方法について説明する。図2〜図4は、いずれも、本発明の有機EL素子1の製造方法における各過程を示した図である。
【0029】
まず、図2(a)に示すように、基板2上に、第1電極層3を形成する。第1電極層3は、各画素電極が互いに間隔を有して配列されたパターン状のものであることが好ましい。第1電極層3をパターン状に形成するには、電極形成用の材料を基板2上に一面に積層した後に、フォトレジスト(電離放射線硬化性樹脂組成物の一種である。)を塗布し、その後、パターン露光、およびエッチングを経てパターン化するか、所定の開孔部を有するマスクを介して、電極形成用の材料を蒸着等の気相法によりパターン状に形成するとよい。
【0030】
次に、図2(b)に示すように、第1電極層3が形成された基板2上の第1電極層3が設けられた側に、バッファー層4aを一面に積層し、続いて、図2(c)に示すように、有機蛍光体層4bを一面に積層して、これらバッファー層4aおよび有機蛍光体層4bの積層構造からなる発光層4を形成する。さらに、形成された発光層4をパターン化するために、図2(d)に示すように、発光層4上に一面にフォトレジスト層7を積層する。後述するように、バッファー層4a、有機蛍光体層4b、およびフォトレジスト層7の各層は、種々の方法で形成し得るが、これらを形成するための塗布用組成物を塗布することにより形成することが好ましい。
【0031】
フォトレジスト層7には、図3(a)に示すように、マスク8を介した紫外線9による露光等により、フォトレジスト層7にパターン状の露光を行なって、フォトレジスト層7の溶解性をパターン状に変化させる。その後、相対的に溶解性が低下した部分を現像液で溶解除去する現像を行なって、必要な箇所に、硬化したフォトレジスト7’を残留させる(図3(b))。フォトレジスト7’の形状(平面形状)は、現像条件によっても多少変化するものの、フォトレジスト層7へのパターン状の露光によりほぼ決まる。フォトレジスト7’の形状は、例えば、下層の第1電極層3を構成する各画素電極の形状と一致させた形状で、かつ、互いに間隔を有して配列されたものとすることが好ましい。
【0032】
このようにして形成されたフォトレジスト7’を利用して、次にエッチングを行ない、フォトレジスト7’が残留した部分の下層の発光層4を残し、そのほかの部分を除去する。その後、フォトレジスト7’も除去することにより、図3(c)に示すように、各画素電極上に同調した、画素発光層からなる発光層4を得ることができる。従って、好ましい例では、画素電極上に、画素発光層が同じ平面形状を有し、画素電極に同調して積層されており、各画素発光層の平坦性が高く、厚みの均一性も高い。
【0033】
画素電極上に画素発光層が積層された状態(図3(c))のものの画素発光層側の全面に、図4(a)に示すように、全面に絶縁層形成用組成物10を適用する。絶縁層形成用組成物10は、画素電極および画素発光層が積層した積層物の間を充填し、かつ、発光層4上を被覆して適用することが好ましい。
【0034】
絶縁層形成用組成物10には、図4(b)に示すように、マスク8’を介した紫外線9による露光等により、絶縁層形成用組成物10の溶解性をパターン状に変化させ、続いて、図4(c)に示すように、露光により、相対的に溶解性が低下した部分を現像液で溶解除去し、必要な箇所に、絶縁層形成用組成物10が硬化した絶縁層10’(図1(a)中の符号6で示す部分と同じである。)を残留させる。
絶縁層10’(6)の形状は、図4(c)もしくは図1(a)に示すように、画素電極および画素発光層が積層した積層物の間を充填し、かつ、隣接する各画素発光層の上部の周縁部を覆うため、発光層4よりも上の部分が発光層4の面方向に拡大した、断面がリベットの断面状の形状であることが好ましいが、少なくとも画素発光層の側面と画素発光層上面の周縁部を被覆するものであることが好ましく、より好ましくは画素電極の側面も含めて被覆するものであり、最も好ましくは、上記のように、画素電極および画素発光層が積層した積層物の間を充填し、かつ、画素発光層上面の周縁部を被覆するものであり、絶縁層による絶縁性が高い上、絶縁層自身が堅牢である。
【0035】
本発明の有機EL素子1の各層を構成する各層の素材、および上記の製造方法において使用する素材等は、次の通りである。
【0036】
基板2は、板状、もしくはフィルム状の素材で構成され、具体的な素材としては、ガラス(シート状の薄膜ガラスを含む。)、もしくは石英等の無機材料、または、樹脂板、もしくは樹脂フィルム等を挙げることができる。なお、「基板」の用語は、フィルム状の物も含む意味で使うので、基材と言い換えてもよい。基板が樹脂フィルムであれば、丸めたり曲げたりすることが可能な、フレキシブルな有機EL素子を得ることもできる。
【0037】
基板2を構成し得る樹脂板もしくは樹脂フィルムの樹脂としては、特に限定されないが、耐溶剤性、耐熱性の比較的高いものであることが好ましい。また、用途にもよるが、水蒸気、もしくは酸素等のガスを遮断するガスバリアー性を有する素材であることが好ましい。具体的な樹脂としては、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、もしくは非晶質ポリオレフィン等が挙げられるが、この他でも条件を満たす高分子材料であれば使用可能であり、また上記した樹脂の出発原料であるモノマーを2種類以上用いて共重合させて得られる共重合体であっても良い。
【0038】
有機EL素子1を作動させて得られる表示が観察者に見えるためには、観察側となる基板を透明性を有するものとすることが好ましい。有機EL素子1の両側に基板2を配置する場合には、一方もしくは両方を、透明性を有するものとすることが好ましい。
【0039】
基板2として、樹脂板もしくは樹脂フィルムを用いるときは、水蒸気、もしくは酸素等のガスを遮断するガスバリアー性を付与する意味で、バリア性層が積層されていてもよく、バリア性層として、酸化ケイ素、もしくは酸化アルミニウム、または窒化ケイ素等の薄膜を積層することが好ましい。
【0040】
基板2上には、第1電極層3が設けられ、第2電極層5は発光層4上に設けられる。第1および第2の呼称は、形成する順序に基づいており、通常は、第1電極が陽極である。陽極は、代表的には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、金、もしくはポリアニリン等を素材として構成されたものが例示され、通常は陰極である第2電極層5は、マグネシウム合金(MgAg他)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg他)、もしくは金属カルシウムを素材として構成される。第1電極層3および第2電極層5は、パターン化されることが多いが、パターン化の前には均一一様に、例えば、蒸着もしくはスパッタリング等の気相法等により形成される。なお、第2電極層5は、絶縁層6の形成後、もしくは形成前に形成することができる。
【0041】
バッファー層4aは、有機蛍光体層4bに電荷の注入が容易に行われるように、陽極と発光層との間(または陰極と発光層との間にも形成され得る。)に設けられる、有機物、特に有機導電対などを含む層であるが、例えば、発光層への正孔注入効率を高めて、電極などの凹凸を平坦化する機能を有する導電性高分子であり得る。発光層4は、有機蛍光体層4b単独でも構成し得るが、バッファー層4aを伴なうことが好ましい。
【0042】
バッファー層4aを形成する材料としては、具体的にはポリアルキルチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体、トリフェニルアミン等の正孔輸送性物質の重合体、無機酸化物のゾルゲル膜、トリフルオロメタン等の有機物の重合膜、ルイス酸を含む有機化合物膜等を挙げることができ、正孔注入バッファー層形成用組成物として市販されている、例えばポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;Baytron P AI 4083、水溶液として市販。)等を用いることもできる。これらの素材は、溶剤に溶解もしくは分散させて塗料化して、適宜な塗布方法により、均一一様なバッファー層4aとすることができる。また、一般に使用されているバッファー材料、正孔注入材料、正孔輸送材料を使用して、蒸着もしくはスパッタリング等の気相法によっても、均一一様なバッファー層4aとすることができる。
【0043】
発光層の発光を直接もたらす有機蛍光体層4bは、例えば、色素系、金属錯体系、もしくは高分子系の有機蛍光体で構成され得る。
【0044】
色素系のものとしては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、もしくはピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
【0045】
金属錯体系のものとしては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、もしくはキノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
【0046】
高分子系のものとしては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、もしくはポリビニルカルバゾール誘導体、または前記の色素系のもの、もしくは金属錯体系のものを高分子化したもの等を挙げることができる。
【0047】
上記した有機蛍光体には、発光効率の向上、もしくは発光波長を変化させる目的でドーピングを行うことができる。このドーピング材料としては例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィレン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等を挙げることができる。
【0048】
上記の有機蛍光体は、素材の性質に合わせて、蒸着もしくはスパッタリング等の気相法によるか、もしくは溶剤に溶解して得られる溶液を適宜な塗布方法により、均一一様な有機蛍光体層4bとすることができる。特に、高分子系のものは、塗布方法で有機蛍光体層4bを形成するのに適している。
【0049】
発光層4をパターン化させる際のフォトレジスト層7は、電子線や紫外線等の電離放射線の照射により硬化し得る、電離放射線硬化性組成物、好ましくは市販のフォトレジスト(ここではフォトレジスト層形成用組成物の意味である。)を用いて形成する。
【0050】
フォトレジストとしては、ポジ型フォトレジストである、例えば、光分解可溶型のキノンジアジド系感光性樹脂等を主成分とするもの、または、ネガ型フォトレジストである、例えば、光分解架橋型のアジド系感光性樹脂、光分解不溶型のジアゾ系感光性樹脂、光二量化型のシンナメート系感光性樹脂、光重合型の不飽和ポリエステル系感光性樹脂、光重合型のアクリレート樹脂、もしくはカチオン重合系樹脂等を成分とするものが挙げられる。これらの感光性樹脂に加えて、光重合開始剤、および増感色素等を必要に応じて配合した感光性樹脂組成物を、フォトレジストとして使用することができる。
【0051】
フォトレジストが、塗布、露光、および現像によりパターン状に形成されたレジスト7’を利用して行なうエッチングは、溶剤等を用いたエッチング液によるエッチングのほか、ドライエッチングによってもよい。
【0052】
以上の説明においては、発光層4を、基板2側から、バッファー層4aおよび有機蛍光体層4bが積層されたものであることを念頭に置いたが、発光層4は、種々の層の積層構造であり得る。
【0053】
例えば、発光層4は、正孔輸送材料からなる正孔輸送層を陽極側に伴ない、および/または、電子輸送材料からなる電子輸送層を陰極側に伴なった積層構造であり得る。
【0054】
有機蛍光体層が、正孔輸送層の性質を兼ね備えている場合、発光層4は、有機蛍光体層兼正孔輸送層の陰極側に電子輸送層が積層された積層構造であり得る。あるいは、有機蛍光体層が電子輸送層の性質を兼ね備えて居る場合には、発光層4は、電子輸送層兼有機蛍光体層の陽極側に正孔輸送層が積層された積層構造であり得る。
【0055】
また、発光層4は、正孔輸送材料と有機蛍光体の両方を少なくとも混合して形成された正孔輸送材料/有機蛍光体の混合層と電子輸送層との積層構造であってもよく、もしくは、正孔輸送層と、有機蛍光体と電子輸送材料との両方を少なくとも混合して形成された有機蛍光体/電子輸送材料の混合層との積層構造であり得る。さらに、発光層4は、正孔輸送材料、有機蛍光体、および電子輸送材料の三者が少なくとも混合された混合層からなっていてもよい。
【0056】
発光層4が種々の層の積層構造である場合、バッファー層4aを構成する素材、および有機蛍光体層4bを構成する素材以外に、次のような素材を使用して各層を構成する。
【0057】
電子輸送材料としては、アントラキノジメタン、フルオレニリデンメタン、テトラシアノエチレン、フルオレノン、ジフェノキノンオキサジアゾール、アントロン、チオピランジオキシド、ジフェノキノン、ベンゾキノン、マロノニトリル、ニジトロベンゼン、ニトロアントラキノン、無水マレイン酸、もしくはペリレンテトラカルボン酸、または、これらの誘導体を用いることができる。
【0058】
正孔輸送性材料としては、バッファー層を構成する素材として前記したものに加え、ポリフィリン、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、ピラゾリン、テトラヒドロイミダゾール、ヒドラゾン、スチルベン、もしくはブタジエン、または、これらの誘導体を用いることができる。
【0059】
発光層4がバッファー層4aおよび有機蛍光体層4b以外の層を含む場合も、好ましくは、それらの層を構成する素材を用いて、蒸着もしくはスパッタリング等の気相法によるか、もしくは溶剤に溶解して得られる溶液を適宜な塗布方法により、均一一様な層を形成し、発光層4がバッファー層4aおよび有機蛍光体層4bからなるときと同様にして、パターン状にエッチングすることができる。
【0060】
絶縁層6は、発光層4をパターン化させる際のフォトレジスト層7を形成する際に用いたのと同様な素材(フォトレジスト)を用いて形成することができ、絶縁層6が各画素発光層上の周縁部を被覆するようにするためには、絶縁層6を形成する際のパターン露光を調節して、画素発光層の間隔よりも、広い部分が現像によって残留するよう、例えば、ポジ型フォトレジストの場合であれば、画素発光層の間隔よりも広い幅の遮光パターンを有する露光用マスクを使用して、パターン状の露光を行なうとよい。フォトレジストを用いて行なう方法では、解像度や精度の面で優れたものが得られる利点がある。
【0061】
絶縁層6は、絶縁性を有するものである限り、フォトレジスト以外の素材を用いても形成することができ、感光性でない通常の樹脂や、SiO、SiO2、もしくはSiON等の無機物で形成することもできる。従って、絶縁層6の形成方法も、フォトレジストを用いたときのパターン露光および現像以外に、主に無機物を用いての蒸着法もしくはスパッタリング法においてマスクを用いて所望のパターン化を行なう方法や、必ずしも感光性でない樹脂をバインダとする塗工用組成物を用いての湿式法、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、もしくはオフセット印刷等の各種印刷法によってもよく、さらには、以上のような種々の方法で一旦、仮基材上に形成したものを転写することにより、対象面上に、パターン状の絶縁層6を形成することができる。
【0062】
なお、発光層が単色発光用であるとき、発光層は、第1電極層を構成する各画素電極毎に独立してなく、各画素電極に共通な一つの層であってもよく、パターンエッチングの工程を省くことができる。この場合、絶縁層は、各画素電極の端部、および各画素発光層の端部に直接に接触するものではなく、より厳密には、絶縁層は、各画素電極の端部の上方、各画素発光層の端部の上方、および前記各画素発光層の周縁部の上方を被覆するものであるが、実際には、ごく薄い発光層を介しているのみであり、また、第1電極層を構成する各画素電極の端部と第2電極層との短絡を防止する効果を有するので、このような場合でも、絶縁層は、各画素電極の端部、各画素発光層の端部、および各画素発光層上の周縁部を被覆するものとみなす。
【0063】
【実施例】
(実施例1)
透明ガラス板を基板とし、表面に酸化インジウム錫(ITO)薄膜のパターンからなる透明電極が積層されたITO基板(厚み1.1mm、縦横;約15cmの正方形)を準備し、透明電極側に、市販のバッファー層形成用水溶液(ポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;Baytron P AI 4083)を用いて、スピンコーティングを行ない、温度;150℃で5分間加熱して、厚みが800Åの第1のバッファー層を形成した。
【0064】
形成された第1のバッファー層上に、下記の組成からなる赤色発光用の有機蛍光体層形成用組成物を用い、やはり、スピンコーティングにより、厚みが800Åの赤色発光用の有機蛍光体層を形成し、バッファー層および赤色発光用の有機蛍光体層からなる発光層を形成した。
【0065】
(赤色発光用の有機蛍光体層形成用組成物)
・ポリビニルカルバゾール 70部
・オキサジアゾール 30部
・ジシアノメチレンピラン誘導体 1部
・モノクロロベンゼン 4900部
なお、以降も含めて、部数は質量基準である。
【0066】
第1の発光層上に、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業(株)製、品名;OFPR−800)をスピンコーティングにより塗布し、厚みが1μmのフォトレジスト塗膜を形成した後、80℃の温度で30秒間、プリベークを行った。プリベーク後、フォトレジスト塗膜上に露光用マスクを重ね、その上から紫外線露光を行なった。ただし、レジスト層形成用の露光用マスクとしては、遮光部分が、縦;250μm×横;80μmの長方形であり、遮光部分が縦方向に300μm、横方向に300μmのピッチで配列したものを用いた。露光後、現像液(東京応化工業(株)製、品名;NMD)を用いて現像し、露光用マスクの遮光部分の形状が再現されたレジストパターンを第1の発光層上に形成した。
【0067】
レジストパターンが形成された第1の発光層上からドライエッチングを施し、レジストパターンで被覆されていない部分の第1のバッファー層および第1の発光層を除去し、パターン状の第1のバッファー層および第1の発光層を得た後、基板ごと酢酸エチル浴中に浸漬してレジストパターンを除去し、パターン状の第1のバッファー層および第1の発光層を露出させた。
【0068】
パターン状の第1のバッファー層および第1の発光層が形成された基板上の全面に、レジストパターンを形成したときと同様に行なって、パターン状の絶縁層を形成した。ただし、絶縁層形成用の露光用マスクとしては、第1の発光層上に重ねたレジスト層形成用のマスクとは逆パターンのものを用い、非遮光部分が、縦;240μm×横;70μmの長方形であり、非遮光部分が縦方向に300μm、横方向に300μmのピッチで配列したものを用いた。現像後の絶縁層パターンは、先に形成したパターン状の第1のバッファー層および第1の発光層の各パターンどうしの間に位置すると共に、それらの各パターンの周縁部の上を端から5μmずつ被覆するものであった。
【0069】
絶縁層パターンの形成後、基板ごと、温度;100℃で1時間乾燥させ、乾燥後、第1の発光層パターン上に、厚みが500ÅのCa層からなる第2電極層、および厚みが2500ÅのAg層からなる金属保護層を、いずれも蒸着法により形成し、有機EL素子とした。得られた有機EL素子のITO電極側を正極、Ag電極側を負極に接続し、ソースメーターにより、10Vの直流電圧を印加したところ、各部分共、支障無く発光していることが確かめられた。
【0070】
(実施例2)
実施例1において、ドライエッチングを施して、パターン状の第1のバッファー層および第1の発光層を形成した後、それら二層が形成された面の全面に、第2のバッファー層の形成および第2の発光層の形成を、第1発光層の形成の際の赤色用の有機蛍光体層形成用組成物を下記の緑色発光用のものに変更した以外は、最初の第1のバッファー層の形成および第1の発光層の形成と同様にして行なった。
【0071】
(緑色発光用の有機蛍光体層形成用組成物)
・ポリビニルカルバゾール 70部
・オキサジアゾール 30部
・クマリン6 1部
・モノクロロベンゼン 4900部
【0072】
第2の発光層上に、第1の発光層上に行ったのと同様にして、ポジ型のフォトレジスト塗膜を形成した後、プリベーク、紫外線露光、および現像を行なった。ただし、レジスト層形成用の露光用マスクとしては、パターン状の第1のバッファー層および第1の発光層を形成するときと同様のものを、横方向の位相が1/3ピッチずれるようにして、配置して用いた。こうしてレジストパターンが形成された第2の発光層上からドライエッチングを施して、先に形成したパターン状の第1のバッファ層および第1の発光層と並べて、パターン状の第2のバッファー層および第2の発光層を形成した。
【0073】
さらに、赤色用の有機蛍光体層形成用組成物を下記の青色発光用のものに変更した以外は、最初の第1のバッファー層の形成および第1の発光層の形成と同様にして、第3のバッファー層および第3の発光層を形成し、やはり、ポジ型のフォトレジスト塗膜を形成した後、プリベーク、紫外線露光、および現像を行なった。ただし、レジスト層形成用の露光用マスクとしては、パターン状の第1のバッファー層および第1の発光層を形成するときと同様のものを、横方向の位相が2/3ピッチずれるようにして、配置して用いた。こうしてレジストパターンが形成された第3の発光層上からドライエッチングを施して、先に形成したパターン状の第1のバッファー層および第1の発光層、並びに第2のバッファー層および第2の発光層と並べて、パターン状の第3のバッファー層および第3の発光層を形成した。
【0074】
(青色発光用の有機蛍光体層形成用組成物)
・ポリビニルカルバゾール 70部
・オキサジアゾール 30部
・ペリレン 1部
・モノクロロベンゼン 4900部
【0075】
その後、基板ごと酢酸エチル浴中に浸漬してレジストパターンを除去し、いずれもパターン状の第1のバッファー層および第1の発光層、第2のバッファー層および第2の発光層、および第3のバッファー層および第3の発光層を露出させた。
【0076】
パターン状の第1のバッファー層および第1の発光層が形成された基板上の全面に、レジストパターンを形成したときと同様に行なって、パターン状の絶縁層を形成した。ただし、絶縁層形成用の露光用マスクとしては、第1〜第3の発光層上に重ねたレジスト層形成用のマスクを合成したものと逆パターンのものを作成して用い、各非遮光部分が、縦;240μm×横;70μmの長方形であり、各非遮光部分が縦方向に300μm、横方向に100μmのピッチで配列したものを用いた。現像後の絶縁層パターンは、先に形成したパターン状の第1のバッファー層および第1の発光層の各パターンどうしの間に位置すると共に、それらの各パターンの周縁部の上を端から5μmずつ被覆するものであった。
【0077】
絶縁層パターンの形成後、基板ごと、温度;100℃で1時間乾燥させ、乾燥後、第1の発光層パターン上に、厚みが500ÅのCa層からなる第2電極層、および厚みが2500ÅのAg層からなる金属保護層を、いずれも蒸着法により形成し、有機EL素子とした。得られた有機EL素子のITO電極側を正極、Ag電極側を負極に接続し、ソースメーターにより、10Vの直流電圧を印加したところ、各部分共、支障無く発光していることが確かめられた。
【0078】
(実施例3)
実施例1におけるのと同様にして、透明基板上にバッファー層および赤色発光用の有機蛍光体層を形成し、その上に、ポジ型フォトレジストを厚みが1μmになるよう塗布し、紫外線露光および現像を行った。ただし紫外線露光の際の露光用マスクとして、非遮光部分が、縦;240μm×横;70μmの長方形であり、遮光部分が縦方向に300μm、横方向に100μmのピッチで配列したものを用い、露光用マスクの遮光部分の形状が再現されたレジストパターンからなる絶縁層を形成した。この絶縁層は、各画素発光層上の周縁部を端から5μm被覆するものであった。
【0079】
絶縁層パターンの形成後、基板ごと、温度;100℃で1時間乾燥させ、乾燥後、第1の発光層パターン上に、厚みが500ÅのCa層からなる第2電極層、および厚みが2500ÅのAg層からなる金属保護層を、いずれも蒸着法により形成し、有機EL素子とした。得られた有機EL素子のITO電極側を正極、Ag電極側を負極に接続し、ソースメーターにより、10Vの直流電圧を印加したところ、各部分共、支障無く発光していることが確かめられた。
【0086】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、第1電極層上に、パターンエッチングにより発光層を形成した後、絶縁層形成用組成物を適用してパターンエッチングを行なうことにより、平坦性が高い発光層を有し、各画素発光層の端部、各画素発光層上の周縁部を被覆する絶縁層の形成を効率良く行なえる有機EL素子の製造方法を提供することができる。
【0087】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、第1電極層の画素電極と画素発光層が同じ形状をしており、絶縁層で画素電極の側面を含めて被覆するのに適した有機EL素子の製造方法を提供することができる。
【0088】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加え、各画素電極の間および各画素発光層の間、並びに前記各画素発光層上の周縁部を被覆する絶縁層を形成することが可能な有機EL素子の製造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機EL素子の積層構造を示す断面図である。
【図2】有機EL素子の発光層の形成工程を示す断面図である。
【図3】有機EL素子の発光層のパターン化工程を示す図である。
【図4】有機EL素子の絶縁層のパターン化工程を示す図である。
【符号の説明】
1 有機EL素子
2 基板
3 第1電極層
4 発光層(4a;バッファー層、4b;有機蛍光体層)
5 第2電極層
6 絶縁層
7 フォトレジスト層
8 マスク
9 紫外線
10 絶縁層形成用組成物

Claims (3)

  1. 基板の上に、少なくとも第1電極層、発光層、および、第2電極層の各層が順に積層されており、前記第1電極層は、複数の画素電極が間隔を有して配列されて構成されており、前記発光層は、前記各画素電極上に積層された各画素発光層から構成されており、かつ、前記各画素電極の側面、前記各画素発光層の側面、および前記各画素発光層の上面の端からある幅を持った領域である周縁部を被覆する絶縁層が積層されており、前記第2電極層は、各画素発光層上、前記絶縁層が被覆された前記周縁部を除く領域に、前記第1電極層の各画素電極と対向して、積層され配されている有機EL素子を作製する有機EL素子の製造方法であって、前記基板の上に複数の前記画素電極が間隔を有して配列されて構成される前記第1電極層を形成し、前記第1電極層を有する前記基板の上に、全面にわたって一様な厚みを有し平坦であり、発光層形成用組成物からなる均一一様な塗膜を形成し、前記塗膜の形成後、前記塗膜を前記第1電極層の各画素電極上に積層されるように、エッチングして、前記第1電極層の前記各画素電極上に積層された各画素毎の前記発光層であり一様な厚みを有し平坦である前記画素発光層の集まりからなる前記発光層を形成し、前記発光層の形成後、前記各画素発光層の間、および前記発光層上を含めた全面に感光性の絶縁層形成用組成物を成膜し、成膜後の前記絶縁層形成用組成物の塗膜をエッチングして、少なくとも、前記各画素発光層の側面、および前記各画素発光層の上面の端からある幅を持った領域である前記周縁部を被覆する前記絶縁層を形成し、前記絶縁層を形成した後、前記第2電極層を形成することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  2. 前記第1電極層は複数の前記画素電極が間隔を有して配列したものであり、前記発光層の前記各画素発光層を、前記各画素電極と同じ形状に形成すること、および前記画素電極の側面を含めて被覆する前記絶縁層を形成することを特徴とする請求項1記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記各画素電極の間、前記各画素発光層の間、および前記各画素発光層上の前記周縁部を被覆する前記絶縁層を形成することを特徴とする請求項2記載の有機EL素子の製造方法。
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