JP4530847B2 - リン酸基含有不飽和単量体及びビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーを共重合してなる固体高分子電解質膜並びにその用途 - Google Patents

リン酸基含有不飽和単量体及びビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーを共重合してなる固体高分子電解質膜並びにその用途 Download PDF

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Description

本発明は、一次電池、二次電池、燃料電池等の電解質膜、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜等に好適な固体高分子電解質膜に関し、特に耐溶剤性及び耐水性に優れており、広い温度範囲及び湿度範囲にわたり高いプロトン伝導性を示す固体高分子電解質膜及びその用途に関する。
固体高分子電解質材料として、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、パーフルオロスルホン酸ポリマー、パーフルオロカルボン酸ポリマー[Polymer Preprints, Japan Vol. 42, No. 7, pp. 2490〜2492 (1993), Polymer Preprints, Japan Vol. 43, No. 3, pp. 735〜736 (1994), Polymer Preprints, Japan Vol. 42, No. 3, p. 730 (1993)]等が報告されている。
特に側鎖にスルホン酸基を有する固体高分子材料は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過したりする性質を有しているので、粒子状、繊維状又は膜状に成形され、電気透析膜、拡散透析膜、電池隔膜等の各種用途に利用されている。中でもNafion(デュポン(株)製)の商標で知られるパーフルオロ骨格の側鎖にスルホン酸基を有するフッ素系高分子電解質膜は耐熱性及び耐薬品性に優れており、苛酷な条件下での使用に耐える電解質膜として実用化されている。しかし上記のようなフッ素系電解質膜は非常に高価であるという問題を抱えている。
このような状況下、特開2003-86021号は分子内に1個以上のリン酸基及び1個以上のエチレン性不飽和結合を有するリン酸基含有不飽和単量体と、分子内に1個以上のスルホン酸基及び1個以上のエチレン性不飽和結合を有するスルホン酸基含有不飽和単量体との共重合体からなる固体高分子電解質膜を提案している。特開2003-86021号の固体高分子電解質膜は比較的安価に製造できるだけでなく、伝導性が著しく高く、導電率の温度依存性が低く、耐熱性及び耐溶剤性に優れている点で従来の固体高分子材料と一線を画すものであった。
しかし固体高分子電解質膜を燃料電池、特に直接型メタノール固体高分子型燃料電池に用いる場合、固体高分子電解質膜の一面に設けられた燃料極に、メタノール及び水からなる燃料を直接供給するので、伝導性だけでなく、耐溶剤性及び耐水性が求められる。これに対して特開2003-138088号(特許文献1)はリン酸基含有不飽和単量体の重合体及びポリアミド樹脂を加熱処理してなる固体高分子電解質を開示している。特許文献1の固体高分子電解質は比較的安価に製造できるだけでなく、伝導性、耐溶剤性及び耐水性に優れている。
特開2003-138088号
しかし燃料電池用の固体高分子電解質膜には、伝導性、耐溶剤性及び耐水性の全てに対して一層の向上が求められている。
従って、本発明の目的は、比較的低コストで製造でき、幅広い温度領域及び湿度領域で高いプロトン伝導性を有し、かつ優れた耐溶剤性及び耐水性を有する固体高分子電解質膜及び用途を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、(a) 分子内に親水性の官能基であるリン酸基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するリン酸基含有不飽和単量体と、(b) 少なくとも各々疎水性の単位であるビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有するビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体とを共重合すると、幅広い温度領域及び湿度領域で高いプロトン伝導性を有し、かつ優れた耐溶剤性及び耐水性を有する固体高分子電解質膜が得られることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の固体高分子電解質膜は、(a) 分子内にリン酸基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するリン酸基含有不飽和単量体と、(b) 少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有し、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体とを少なくとも共重合してなり、
前記リン酸基含有不飽和単量体が、(a-1) 下記一般式(1):
Figure 0004530847

(ただしR 1 はH又はCH 3 であり、R 2 はH、CH 3 又はCH 2 Clであり、nは1〜6の整数である。)により表される化合物からなるか、
(a-2) 前記一般式(1)により表される化合物と、下記一般式(2):
Figure 0004530847

(ただしR 3 及びR 6 はそれぞれ独立にH又はCH 3 であり、R 4 及びR 5 はそれぞれ独立にH、CH 3 又はCH 2 Clであり、k及びpはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるリン酸基含有ジエステル系不飽和単量体、下記一般式(3):
Figure 0004530847

(ただしR 8 及びR 11 はそれぞれ独立にH又はCH 3 であり、R 9 及びR 10 はそれぞれ独立にH、CH 3 又はCH 2 Clであり、r及びsはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるピロリン酸基含有不飽和単量体、及び下記一般式(4):
Figure 0004530847

(ただしR 12 、R 15 及びR 17 はそれぞれ独立にH又はCH 3 であり、R 13 、R 14 及びR 16 はそれぞれ独立にH、CH 3 又はCH 2 Clであり、x、y及びzはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるリン酸基含有トリエステル系不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種との混合物からなり、
前記ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの誘導体が、(i) (メタ)アクリル基、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、スルホン酸基、エポキシ基、炭化水素基、ウレタン結合、エステル結合及びエーテル結合からなる群から選ばれた少なくとも一種を導入する処理、及び(ii) 水素添加処理のいずれか又はこれらの両方を前記ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーに施してなる化合物であることを特徴とする。
前記(a) リン酸基含有不飽和単量体と前記(b) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの配合割合は、式[(前記(a) リン酸基含有不飽和単量体)/(前記(b) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー)]により表される質量比が99/1〜40/60の範囲であるのが好ましい。
前記ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーは、スチレンとイソプレン及び/又は1,3-ブタジエンとの共重合体であるのが好ましい。
本発明の固体高分子電解質膜は、前記(a) リン酸基含有不飽和単量体及び前記(b) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーと共重合できる他の不飽和単量体を共重合してなるものであってもよい。前記他の不飽和単量体は、(c) 分子内に酸性基及びアミノ基のいずれかの官能基を少なくとも1つと、エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する不飽和単量体、並びに/又は(d) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基及びアミノ基のいずれの官能基も有しない不飽和単量体であるのが好ましい。前記官能基を有する不飽和単量体はスルホン酸基、カルボン酸基、アルコール性水酸基及びアミノ基からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を有するのが好ましい。前記官能基を有しない不飽和単量体は(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル類、置換又は無置換のスチレン類、ハロゲンビニル類、脂肪酸ビニルエステル類、及び分子内に1個以上のフッ素基と1個以上のエチレン性不飽和結合とを有するフッ素基含有不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種であるのが好ましい。
本発明の固体高分子電解質膜は燃料電池用途に好適である。
本発明の固体高分子電解質膜は、(a) 分子内にリン酸基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するリン酸基含有不飽和単量体と、(b) 少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有するビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体とを共重合してなるので、幅広い温度領域及び湿度領域で高いプロトン伝導性を有し、かつ優れた耐溶剤性及び耐水性を有する。本発明の固体高分子電解質膜は、(1) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー単位からなる疎水部と、(2) リン酸基含有不飽和単量体に由来するリン酸基、エステル結合及びアルキレンオキシド基の連鎖からなる親水部とを有するものであり、リン酸基等からなる親水部が効率的なプロトン伝導経路となるものと推測される。また本発明の固体高分子電解質膜は、上記疎水部の存在により、優れた耐溶剤性及び耐水性を発現する。
このような特性を有する本発明の固体高分子電解質膜は、一次電池用電解質膜、二次電池用電解質膜、燃料電池用電解質膜、表示素子膜、各種センサー膜、信号伝達媒体膜、固体コンデンサー膜、イオン交換膜などに好適に利用できる。特に直接型メタノール固体高分子型燃料電池の電解質膜として用いた場合に、優れたメタノールクロスオーバー抑止性(メタノールが固体高分子電解質膜を透過してしまうのを防止できる性能)を発現するものと推測される。
[1] リン酸基含有不飽和単量体
リン酸基含有不飽和単量体は下記一般式(1):
Figure 0004530847

(ただしR1は水素基又はアルキル基であり、R2は水素基又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、nは1〜6の整数である。)により表すことができる。R1はH又はCH3であり、R2はH、CH3又はCH2Clであるのが好ましい。
一般式(1)により表されるリン酸基含有不飽和単量体(リン酸基含有不飽和単量体(I))のうち代表的なものの構造式及び物性をそれぞれ表1及び表2に示す。これらの単量体はユニケミカル(株)から商品名Phosmer(登録商標)として販売されている。ただし本発明に使用できるリン酸基含有不飽和単量体はこれらに限定されるものではない。リン酸基含有不飽和単量体(I)は単独で用いてもよいし、その2種以上を併用しても良い。
Figure 0004530847
Figure 0004530847
リン酸基は解離していてもよいし、錯塩を形成していても良い。錯塩を形成する場合、電荷を中和させるため、例えば第1級、第2級、第3級又は第4級のアルキル基、アリル基、アラルキル基等を含有するアンモニウムイオンやモノ、ジ又はトリアルカノールアミン残基と錯塩を形成するのが好ましく、特にN+R7 4-f(OH)f(但しR7は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜12の芳香族基及び炭素数6〜12の脂環族基からなる群から選ばれた少なくとも一種を表し、fは1〜3の正の整数を表す。)が好ましい。
リン酸基含有不飽和単量体としては、下記一般式(2):
Figure 0004530847

(ただしR3及びR6はそれぞれ独立に水素基又はアルキル基であり、R4及びR5はそれぞれ独立に水素基又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、k及びpはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるリン酸基含有ジエステル系不飽和単量体(リン酸基含有不飽和単量体(II))、下記一般式(3):
Figure 0004530847

(ただしR8及びR11はそれぞれ独立に水素基又はアルキル基であり、R9及びR10はそれぞれ独立に水素基又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、r及びsはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるピロリン酸基含有不飽和単量体(リン酸基含有不飽和単量体(III))、及び下記一般式(4):
Figure 0004530847

(ただしR12、R15及びR17はそれぞれ独立に水素基又はアルキル基であり、R13、R14及びR16はそれぞれ独立に水素基又は置換もしくは無置換のアルキル基であり、x、y及びzはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるリン酸基含有トリエステル系不飽和単量体(リン酸基含有不飽和単量体(IV))も使用可能である。リン酸基含有不飽和単量体(II)において、R3及びR6はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R4及びR5はそれぞれ独立にH、CH3又はCH2Clであるのが好ましい。リン酸基含有不飽和単量体(III)において、R8及びR11はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R9及びR10はそれぞれ独立にH、CH3又はCH2Clであるのが好ましい。リン酸基含有不飽和単量体(IV)において、R12、R15及びR17はそれぞれ独立にH又はCH3であり、R13、R14及びR16はそれぞれ独立にH、CH3又はCH2Clであるのが好ましい。
リン酸基含有不飽和単量体(II)としては、ジ(メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート及びジ(アクリロイルオキシエチル)ホスフェートが好ましい。リン酸基含有不飽和単量体(III)としては、ジ(メタクリロイルオキシエチル)アシッド・ピロホスフェート及びジ(アクリロイルオキシエチル)アシッド・ピロホスフェートが好ましい。リン酸基含有不飽和単量体(IV)としては、トリ(メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート及びトリ(アクリロイルオキシエチル)ホスフェートが好ましい。
リン酸基含有不飽和単量体(I)はプロトン伝導性に優れており、リン酸基含有不飽和単量体(II)〜(IV)は架橋作用を有し成膜性に優れているので、リン酸基含有不飽和単量体(I)と、リン酸基含有不飽和単量体(II)〜(IV)からなる群から選ばれた少なくとも一種とを併用してもよい。このような併用により膜のプロトン伝導性と耐溶剤性と膜強度のバランスが向上する。中でもリン酸基含有不飽和単量体(I)及び(II)を併用するのが好ましい。リン酸基含有不飽和単量体(I)と、リン酸基含有不飽和単量体(II)〜(IV)からなる群から選ばれた少なくとも一種とを併用する場合、式[リン酸基含有不飽和単量体(I)]/[リン酸基含有不飽和単量体(II)〜(IV)の合計]により表される配合モル比は1/0.05〜1/2であるのが好ましい。
リン酸基含有重合体が上記のようなリン酸基含有不飽和単量体成分を含むことにより、固体高分子電解質に高い水保持能力を付与でき、高伝導性を有する膜が得られる。
[2] ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー
上記リン酸基含有不飽和単量体と共重合させるビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーは、少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有し、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する共重合体からなる。
ビニル芳香族成分としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、4-プロピルスチレン、t-ブチルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、1-ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、インデン、アセトナフチレン、モノフルオロスチレン、ジフルオロスチレン、モノクロロスチレン、メトキシスチレン等を挙げることができる。ビニル芳香族成分は一種でもよいし、二種以上であってもよい。ビニル芳香族成分としてはスチレンが好ましい。
共役ジエン成分としては、イソプレン(2-メチル-1,3-ブタジエン)、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、クロロプレン等を挙げることができる。共役ジエン成分は一種でもよいし、二種以上であってもよい。共役ジエン成分としてはイソプレン及び1,3-ブタジエンが好ましい。
ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの分子量に特に制限はないが、例えば重量平均分子量が1,000〜100,000であればよい。ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー中のビニル芳香族成分及び共役ジエン成分の割合は特に制限されず、固体高分子電解質膜に要求される靭性、可撓性、機械的強度等の物性に応じて適宜設定すればよい。
ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーはオレフィン等の他の不飽和単量体を共重合成分として含んでもよい。他の不飽和単量体の含有量は、ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー全体を100質量%として30質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの誘導体としては、官能基や他の原子団の導入、水素添加等の処理により変性されたものが挙げられる。官能基としては、(メタ)アクリル基、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、スルホン酸基、エポキシ基、炭化水素基等が挙げられる。他の原子団としては、ウレタン結合、エステル結合、エーテル結合等が挙げられる。
ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーは公知の重合方法により調製できる。重合方法として、例えば特開平2-300218号に記載の方法を採用すればよい。但しこの方法に限定する趣旨ではない。ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの水添物を調製する場合の水添方法としても、例えば特開平2-300218号に記載の方法を採用すればよい。
ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの市販品として、例えば「クラプレン LIR-310」(株式会社クラレ製)等がある。
固体高分子電解質膜が上記のようなビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーを含むことにより、リン酸基を有する親水性重合体に対して疎水性を付与し、その結果、耐水性及び耐溶剤性、特に耐メタノール性、メタノールクロスオーバー抑止性が向上する。
[3] 配合割合
固体高分子電解質膜中の(a) リン酸基含有不飽和単量体及び(b) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの配合割合は、式[((a) リン酸基含有不飽和単量体)/((b) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー)]により表される質量比が99/1〜40/60の範囲であるのが好ましく、95/5〜50/50の範囲であるのがより好ましい。この比が40/60未満だと、伝導性が不十分であり、一方99/1超だと耐溶剤性や耐水性が不十分である。
[4] 共重合できる他の不飽和単量体
固体高分子電解質膜は、リン酸基含有不飽和単量体及びビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーと共重合できる他の不飽和単量体を共重合してなるものであってもよい。共重合できる他の不飽和単量体は次の2群(1) 酸性基及びアミノ基のいずれかの官能基を含有するもの、及び(2) 酸性基及びアミノ基のいずれの官能基も含有しないものに大別できる。
(1) 酸性基及びアミノ基のいずれかの官能基を含有する不飽和単量体
酸性基及びアミノ基(アミド基も有するものも含む)のいずれかの官能基を含有する不飽和単量体は、分子内に少なくとも1つの上記官能基と、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物である。酸性基としてスルホン酸基、カルボン酸基及びアルコール性水酸基からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する骨格としては、(メタ)アクリレート骨格、(メタ)アリルエステル骨格等を挙げることができる。
(i) スルホン酸基含有不飽和単量体
スルホン酸基を含有する不飽和単量体の例示化合物としては、下記一般式(5):
Figure 0004530847

(ただしR18は水素基又はメチル基である。)により表される化合物、下記一般式(6):
Figure 0004530847

(ただしR19は水素基又はメチル基であり、Y1は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基である。)により表される化合物、及び下記一般式(7):
Figure 0004530847

(ただしR20は水素基又はメチル基であり、X1は−O−基又は−NH−基であり、Y2は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数6〜12のアリーレン基である。)により表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
上記一般式(5)〜(7)のいずれかにより表されるスルホン酸基含有不飽和単量体としては、アリルスルホン酸(allyl sulfonic acid)、メタアリルスルホン酸(methallyl sulfonic acid)、ビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸ブチル-4-スルホン酸、(メタ)アクリロオキシベンゼンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(ターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸)等が挙げられる。好ましくはビニルスルホン酸、p-スチレンスルホン酸及びターシャリーブチルアクリルアミドスルホン酸である。ただしアリルスルホン酸(allyl sulfonic acid)、メタアリルスルホン酸(methallyl sulfonic acid)は、そのアリル(allyl)基が、退化的連鎖移動(degradative chain transfer)を起こすので、使用量を僅少にするのが好ましい。具体的には、リン酸基含有不飽和単量体及び他の不飽和単量体の合計を100質量%として、多くても10質量%程度の使用量にする。
スルホン酸基は解離していてもよいし、錯塩を形成していても良い。錯塩を形成する場合、リン系酸残基含有不飽和単量体について上記したようなアンモニウムイオンもしくはアミン残基又はアルカリ金属と錯塩を形成するのが好ましい。
(ii) カルボン酸基を含有する不飽和単量体
カルボン酸基を含有する不飽和単量体の例示化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸無水物等が挙げられる。これらは単独でもよいし、2種以上を併用しても良い。
(iii) アルコール性水酸基を含有する不飽和単量体
アルコール性水酸基を含有する不飽和単量体としては、グリセロールジメタクリレート[例えば商品名「ブレンマーGMR」、「ブレンマーGMR-R」(以上日本油脂(株)製)等]、グリセロールメタクリレートアクリレート[例えば商品名「ブレンマーGAM」、「ブレンマーGAM-R」(以上日本油脂(株)製)等]、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-5521」(新中村化学工業(株)製)等]、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-5520」(新中村化学工業(株)製)等]、ビスフェノールA型エポキシアクリレート[例えば商品名「NK オリゴ EA-1020」(新中村化学工業(株)製)等]、及び2-ヒドロキシ(メタ)アクリレート類(例えば2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)が挙げられる。中でもグリセロールジメタクリレート、グリセロールメタクリレートアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルアクリレート及びビスフェノールA型エポキシアクリレートは、エチレン性不飽和基を分子内に2個有する観点から好ましい。
(iv) アミノ基含有不飽和単量体
アミノ基含有不飽和単量体としては、分子内に置換又は無置換のアミノ基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するものである限り特に制限はない。アミノ基含有不飽和単量体として、例えば(a) 下記一般式(8):
Figure 0004530847

(ただしR21は水素基又はメチル基であり、R22及びR23はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、X2は−O−基又は−NH−基であり、Y3は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基又は置換もしくは無置換の炭素数6〜16のアリーレン基である。)により表される化合物、(b) 下記一般式(9):
Figure 0004530847

(ただしR24は水素基又はメチル基であり、R25及びR26はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。)により表される化合物、(c) 下記一般式(10):
Figure 0004530847

(ただしR27は水素基又はメチル基であり、R28及びR29はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、Y4は置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基又は置換もしくは無置換の炭素数6〜16のアリーレン基である。)により表される化合物、(d) 下記一般式(11):
Figure 0004530847

(ただしR30は水素基又はメチル基であり、R31及びR32はそれぞれ独立に水素基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。)により表される化合物、(e) 下記一般式(12):
Figure 0004530847

(ただしR33及びR34はそれぞれ独立に水素基又はメチル基であり、R35は水素基、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、Y5及びY6はそれぞれ独立に置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基又は置換もしくは無置換の炭素数6〜16のアリーレン基である。)により表される化合物、及び(f) 1個以上のビニル基を有するヘテロ環状アミン化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種が挙げられる。
上記式(8)により表されるアミノ基含有不飽和単量体として、例えばN,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記式(9)により表されるアミノ基含有不飽和単量体として、例えばビニルアミン、N-ビニルジメチルアミン、N-ビニルジエチルアミン、N-ビニルジフェニルアミン等が挙げられる。
上記式(10)により表されるアミノ基含有不飽和単量体として、例えばアリルアミン、N,N-ジメチル-p-アミノスチレン 、N,N-ジエチル-p-アミノスチレン 、ジメチル(p-ビニルベンジル)アミン、ジエチル(p-ビニルベンジル)アミン、ジメチル(p-ビニルフェネチル)アミン、ジエチル(p-ビニルフェネチル)アミン、ジメチル(p-ビニルベンジルオキシメチル)アミン、ジメチル[2-(p-ビニルベンジルオキシ)エチル]アミン、ジエチル(p-ビニルベンジルオキシメチル)アミン、ジエチル[2-(p-ビニルベンジルオキシ)エチル]アミン、ジメチル(p-ビニルフェネチルオキシメチル)アミン、ジメチル[2-(p-ビニルフェネチルオキシ)エチル]アミン、ジエチル(p-ビニルフェネチルオキシメチル)アミン、ジエチル[2-(p-ビニルフェネチルオキシ)エチル]アミン等が挙げられる。
上記式(11)により表されるアミノ基含有不飽和単量体として、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
上記式(12)により表されるアミノ基含有不飽和単量体として、例えばジアリルメチルアミン等が挙げられる。
1個以上のビニル基を有するヘテロ環状アミン化合物として、例えば2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、1-ビニルイミダゾール、2-ビニルイミダゾール、4-ビニルイミダゾール、5-ビニルイミダゾール、1-ビニルピラゾール、3-ビニルピラゾール、4-ビニルピラゾール、1-ビニルトリアゾール、2-ビニルピリミジン、4-ビニルピリミジン、5-ビニルピリミジン、2-ビニルピラジン、3-ビニルピリダジン、4-ビニルピリダジン、2-ビニルトリアジン、N-ビニルピロール、N-ビニルインドール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-ε-カプロラクタム、N-ビニルスクシンイミド、N-ビニルグルタルイミド、N-ビニルフタルイミド等が挙げられる。
中でもアミノ基含有不飽和単量体としては、固体高分子電解質膜の耐溶剤性を良好にする観点から、上記式(8)、(10)及び(12)により表されるものが好ましく、上記式(8)により表されるものがより好ましい。
(2) 酸性基及びアミノ基のいずれの官能基も含有しない不飽和単量体
酸性基及びアミノ基のいずれの官能基も含有しない不飽和単量体としては、(1)に記載した以外の、常温で気体でない、分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有する不飽和単量体はすべて対象になるが、中でも(メタ)アクリロニトリル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;置換又は無置換のスチレン類;塩化ビニル等のハロゲンビニル類;酢酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類が好適に使用される。1分子内に複数個のエチレン性不飽和結合を含有するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンジオールジ(メタ)アクリレートやジビニルベンゼンなども共重合体の耐溶剤性を改良する目的をもって使用される。
またフッ素基含有不飽和単量体を共重合成分を含むことにより、固体高分子電解質膜の耐熱性及び耐水性が向上する。フッ素基含有不飽和単量体は、(イ)少なくとも1個のフッ素基を有するフッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル類、(ロ)少なくとも1個のフッ素基を有するフッ素基含有(メタ)アクリル酸類、(ハ)少なくとも1個のフッ素基を有するフッ素基含有アルキル基及び/又は少なくとも1個のフッ素基と1個のエチレン性不飽和結合とを有するフッ素基含有オレフィン系不飽和単量体、並びに(ニ)少なくとも1個のフッ素基を含有するフッ素基含有アルキレン基と2個のエチレン性不飽和結合とを有するフッ素基含有ジエン系不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種であるのが好ましい。
フッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、下記一般式(13):
Figure 0004530847

(ただしX3は水素基、フッ素基、少なくとも1個のフッ素基を有するフッ素基含有メチル基又はメチル基であり、R36は少なくとも1個のフッ素基を含有するフッ素基含有アルキル基又はアルキル基である。)により表されるものが好ましい。
上記一般式(13)において、R36の炭素数は1〜10であるのが好ましく、1〜5であるのがより好ましい。R36がフッ素基を含有するフッ素基含有アルキル基であり、かつその炭素数が2以上である場合、末端メチル基の水素基が全てフッ素基で置換されているのが好ましい。R36は直鎖構造であっても分岐構造であってもよい。R36はフッ素以外の他のハロゲン原子を有していてもよい。R36はヘテロ原子を有していてもよい。ヘテロ原子としては、R36中の炭素−炭素結合間に含まれるエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子等が挙げられる。
上記一般式(13)により表されるフッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリート、ターシャリーブチル-α-(トリフルオロメチル)アクリレート、トリフルオロエチル-α-(トリフルオロメチル)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもフッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリート及びターシャリーブチル-α-(トリフルオロメチル)アクリレートが好ましい。
フッ素基含有(メタ)アクリル酸類としては、下記一般式(14):
Figure 0004530847

(ただしX4は少なくとも1個のフッ素基を有するフッ素基含有メチル基又はフッ素基である。)により表されるものが好ましい。上記一般式(14)においてX4はパーフルオロメチル基又はフッ素基であるのがより好ましい。フッ素基含有(メタ)アクリル酸類としては、α-(トリフルオロメチル)アクリル酸が特に好ましい。
フッ素基含有オレフィン系不飽和単量体としては下記一般式(15):
Figure 0004530847

(ただしRf1は少なくとも1個のフッ素基を含有するフッ素基含有アルキル基であり、X5、X6及びX7はそれぞれ独立に水素基又はフッ素基である。)又は下記一般式(16):
Figure 0004530847

(ただしX8、X9及びX10はそれぞれ独立に少なくとも1個のフッ素基を有するフッ素基含有メチル基又はフッ素基であり、X11はフッ素基、その他のハロゲン、少なくとも1個のフッ素基を有するフッ素基含有メチル基、アルコキシ基、フッ素基含有アルコキシ基、アルキル基又は水素基である。)により表されるものが好ましい。
上記一般式(15)中のフッ素基を含有するフッ素基含有アルキル基Rf1はパーフルオロアルキル基であるのが好ましい。Rf1の炭素数は1〜20であるのが好ましく、1〜10であるのがより好ましい。Rf1は直鎖構造であっても分岐構造であってもよいが、直鎖構造であるのが好ましい。Rf1はフッ素以外の他のハロゲン原子を有していてもよい。Rf1はヘテロ原子を有していてもよい。ヘテロ原子としては、Rf1中の炭素−炭素結合間に含まれるエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子等が挙げられる。
上記一般式(15)により表されるフッ素基含有オレフィン系不飽和単量体としては、下記一般式(17):
Figure 0004530847

(但しRf1は上記式(15)と同じである。)により表されるものがより好ましい。
上記一般式(17)により表されるフッ素基含有オレフィン系不飽和単量体としては、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、(パーフルオロオクチル)エチレン、(パーフルオロデシル)エチレン等が挙げられる。中でもフッ素基含有オレフィン系不飽和単量体としては、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン及び(パーフルオロオクチル)エチレンが好ましい。
上記一般式(16)中のX8、X9及びX10としては、パーフルオロメチル基又はフッ素基が好ましい。上記一般式(16)中のX11がアルキル基、アルコキシ基又はフッ素基含有アルコキシ基である場合、それらの炭素数は1〜10であるのが好ましい。上記一般式(16)により表されるフッ素基含有オレフィン系不飽和単量体としては、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレン、1-メトキシ−(パーフルオロ-2-メチル-1-プロペン)等が挙げられる。
フッ素基含有ジエン系不飽和単量体としては、下記一般式(18):
Figure 0004530847

(ただしRf2は少なくとも1個のフッ素基を含有するフッ素基含有アルキレン基であり、X12、X13、X14、X15、X16及びX17はそれぞれ独立に水素基又はフッ素基である。)により表されるものが好ましい。
上記一般式(18)中の少なくとも1個のフッ素基を含有するフッ素基含有アルキレン基Rf2はパーフルオロアルキレン基であるのが好ましい。Rf2の炭素数は1〜20であるのが好ましく、1〜10であるのがより好ましい。Rf2は直鎖構造であっても分岐構造であってもよいが、直鎖構造であるのが好ましい。Rf2はフッ素以外の他のハロゲン原子を有していてもよい。Rf2はヘテロ原子及び/又はヘテロ原子団を有していてもよい。ヘテロ原子としては、Rf2中の炭素−炭素結合間に含まれるエーテル性酸素原子、チオエーテル性硫黄原子等が挙げられる。ヘテロ原子団としてはエステル結合等が挙げられる。
上記一般式(18)により表されるフッ素基含有オレフィン系不飽和単量体としては、下記一般式(19):
Figure 0004530847

(但しRf2は上記式(18)と同じである。)により表されるものが、より好ましい。
上記一般式(19)により表されるフッ素基含有ジエン系不飽和単量体としては、1,4-ジビニル(パーフルオロブチレン)(別名:1,4-ジビニルオクタフルオロブタン)、1,6-ジビニル(パーフルオロヘキシレン)(別名:1,6-ジビニルドデカフルオロヘキサン)及び1,8-ジビニル(パーフルオロオクチレン)(別名:1,8-ジビニルヘキサデカフルオロオクタン)が好ましい。
上記4種の各フッ素基含有不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。2種以上を併用する場合、例えばフッ素基含有オレフィン系不飽和単量体及び/又はフッ素基含有ジエン系不飽和単量体と、フッ素基含有(メタ)アクリル酸エステル類及び/又はフッ素基含有(メタ)アクリル酸類とを混合した組成等を挙げることができる。
[5] 各不飽和単量体の使用割合
固体高分子電解質膜のいずれにおいても、リン酸基含有不飽和単量体[1]と、他の不飽和単量体[4]との質量比[1]/[4]は、100/0〜20/80の範囲であるのが好ましく、[1]/[4] = 90/10〜40/60であるのがより好ましい。また他の不飽和単量体[4]の中で、官能基を含有する不飽和単量体(1) とそれ以外の不飽和単量体(2) の質量比は、プロトン伝導性にプラス効果をもたらす不飽和単量体(1)が支配的になるように、不飽和単量体(1)/不飽和単量体(2)=100/0〜50/50の範囲とするのが好ましい。
[6] 混合できる他の重合体
固体高分子電解質膜を製造する際の成膜性や、固体高分子電解質膜の強度、耐久性、耐溶剤性、耐水性等を一層向上させるために、固体高分子電解質膜を構成する共重合体を溶解する溶剤中で同時に溶解できるその他の重合体を混合することができる。
[7] 固体高分子電解質膜の製造方法
本発明の固体高分子電解質膜は、溶液重合により上記リン酸基含有不飽和単量体及び上記ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーを共重合させた固体高分子電解質を調製し、これを含む溶液を調製し、得られた溶液を流延した後、減圧・加熱することにより製造できる。以下本発明の固体高分子電解質膜の製造方法について、詳細に説明する。
(1) 固体高分子電解質の調製
(イ) 滴下法
まず(ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー+溶媒)からなる溶液(ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー含有溶液)に、[リン酸基含有不飽和単量体+重合開始剤+溶媒(+他の不飽和単量体)]からなる溶液(リン酸基含有不飽和単量体含有溶液:溶液(A))を滴下し、ラジカル重合する方法について説明する。溶媒としては、リン酸基含有不飽和単量体、ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー及び生成する共重合体が全て溶解する共通溶媒を用いる。そのような溶媒としてはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、テトラヒヒドロフラン(THF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、2, 2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2, 2'-アゾビス(2, 4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2, 2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、ジメチル2, 2'-アゾビスイソブチレート等のアゾ系開始剤、あるいはラウリルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド(BPO)、tert-ブチルパーオキシ・ピバレート等の過酸化物系開始剤等が挙げられる。
重合手順について述べる。まず攪拌器、添加器及び還流冷却器付き反応器にビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー含有溶液を入れるとともに、添加器にリン酸基含有不飽和単量体含有溶液(溶液(A))を入れる。溶液(A)の不飽和単量体成分の濃度は5〜50質量%とするのが好ましい。反応器内の気相部に窒素を流通させながら、反応器内を40℃〜100℃、好ましくは50℃〜90℃の温度に昇温する。所定温度到達直後に、添加器内の溶液(A)を所定の時間をかけて滴下する。
ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー含有溶液に、溶液(A)を全量添加した後、1〜10時間共重合する。溶液(A)をビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー含有溶液に全量添加した後に、必要に応じて再び重合開始剤を添加してもよい。共重合温度は最初から最後まで一定である必要はなく、共重合末期に温度を上げて未反応単量体を極力少なくする方法をとってもよい。
重合溶液は(不飽和単量体成分+ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー成分)の初期濃度が3〜30質量%であるのが好ましく、5〜20質量%であるのがより好ましい。重合溶液中の(不飽和単量体成分+ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー成分)の初期濃度が上記の好ましい範囲にないと、共重合体溶液がゲル化したり、共重合体が析出したり、沈殿したりして様々な溶媒に不溶となるので好ましくない。重合開始剤のトータル使用量は、不飽和単量体成分[リン酸基含有不飽和単量体(+他の不飽和単量体)]を100質量%として0.005〜1.0質量%であるのが好ましく、0.01〜0.5質量%であるのがより好ましい。
(ロ) 一括添加法
一括添加法は、(ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー+溶媒)からなる溶液に、上記溶液(A)を初期に一括添加すること以外は、上記滴下法と本質的に同じでよい。
滴下法又は一括添加法のいずれの方法により得られる固体高分子電解質も、その共重合構造に特に制限はないが、固体高分子電解質膜のプロトン伝導性、耐溶剤性及び耐水性を効果的に向上させる観点から、ブロック共重合体又はグラフト共重合体であるのが好ましい。
(2) 成膜法
溶液重合により調製した固体高分子電解質は、これを含む溶液を調製し、得られた溶液を流延した後、減圧・加熱することにより成膜する。減圧及び加熱は同時に行ってもよいし、いずれか一方から順に行ってもよい。減圧度は常圧〜10 mmHg(絶対圧)が好ましい。加熱温度は90〜150℃が好ましい。減圧及び加熱はいずれも1〜30分程度行うのが好ましい。
減圧・加熱により溶媒を蒸発させて得られた膜は、残留溶媒、単量体等の未反応成分等の不純物も含んでいるので、不純物を抽出するのが好ましい。抽出は膜を貧溶媒に浸漬した後、取り出すことにより行う。貧溶媒としては水、メタノール等が好ましい。
[8] 固体高分子電解質膜の特性
本発明の固体高分子電解質膜は、90%の相対湿度及び30〜80℃の温度条件下において導電率が10-4〜10-2 S・cm-1の優れたプロトン伝導性を有し、その温度依存性が小さい。ここで導電率とは、複素インピーダンス法により測定したデータを平面複素インピーダンス解析し、さらにcole-cole プロット図形処理をして得られた抵抗値から求めたものである。本発明の固体高分子電解質膜は、(1) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー単位からなる疎水部と、(2) リン酸基含有不飽和単量体に由来するリン酸基、エステル結合及びアルキレンオキシド基の連鎖からなる親水部とを有する構造をとるので、リン酸基等からなる親水部が効率的なプロトン伝導経路となり、疎水部が耐溶剤性(特に耐メタノール性)及び耐水性を向上する性能を与えるものと考えられる。
本発明の固体高分子電解質膜は、メタノール抽出率が10質量%以下であり、耐メタノール性及び耐水性に優れている。ここでメタノール抽出率は、膜を大過剰のメタノールに室温で24時間浸漬し、105℃で1時間乾燥した後の質量減少を測定したものであり、水抽出率は、膜を大過剰の水に室温で72時間浸漬し、105℃で1時間乾燥した後の質量減少を測定したものである。このような特性を有する本発明の固体高分子電解質膜は、直接型メタノール固体高分子型燃料電池に用いた場合に、メタノールクロスオーバー抑止性に優れていることが期待される。固体高分子電解質膜の厚さは通常30〜200μmである。
[9] 燃料電池
本発明の固体高分子電解質膜は10-4〜10-2S・cm-1の優れたプロトン伝導性を有し、その温度依存性が小さいので、燃料電池用電解質膜として好適である。
燃料電池の構造は公知のものでよい。通常燃料電池は複数個の単位燃料電池(膜・電極接合体)をセパレータを介して積層することにより形成することができる。単位燃料電池は、アノード及びカソード電極と電解質膜から構成される。電極は、ガス拡散層(多孔性の炭素系材料等)と触媒層(白金粒子等)とからなり、ガス拡散層上には、触媒粒子が塗布され、触媒層が形成される。電解質膜の両側に触媒層を対向するようにアノード電極とカソード電極を接合して単位燃料電池を構成する。
セパレータは、燃料ガス(水素、メタン、メタノール等)と酸化剤ガス(酸素又は空気)とを分離すると共に、燃料ガス及び酸化剤ガスの流路の流路を確保し、さらに燃料電池セルで発電した電気を外部へ伝達する役割を担う。従ってセパレータは、炭素材料、炭素複合材料(カーボンと熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂との複合材料等)、金属材料、金属複合材料(金属とカーボンとの複合材料等)等の導電性材料から形成される。またセパレータの表面には電極との接触部分に燃料ガス及び酸化剤ガスの流路をなす溝(反応ガス流路)が形成されている。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
実施例1〜9
表3に示す組成のアクリロニトリルを含むリン酸基含有不飽和単量体(Phosmer M)含有溶液、及び表4に示す濃度のスチレン−イソプレン液状オリゴマー(クラプレン LIR-310)含有溶液を、各溶質を全て溶解できる共通溶媒を用いて各々調製し、表5に示す配合質量比に従い、共重合体を調製した。還流冷却管、滴下漏斗、温度計及び窒素ガス導入管を接続した反応装置に、表4に示す濃度のスチレン−イソプレン液状オリゴマー含有溶液を入れ、気相部に窒素ガスを導入しながら攪拌し、重合温度80℃まで昇温した。内温が80℃に到達したことを確認後、滴下漏斗に入れたリン酸基含有不飽和単量体含有溶液を滴下した。その後3時間共重合させて、各共重合体を含む溶液を得た。冷却した後、各溶液を流延し、減圧するとともに加熱した後、さらに常圧で130℃で5分間加熱して固体高分子電解質膜を作製した。
Figure 0004530847
注:(1) メタクリロイルオキシエチルホスフェート(Phosmer M)を100質量%として0.2質量%の2, 2 ’ -アゾビスイソブチロニトリルを含む。
(2) メタクリロイルオキシエチルホスフェート(分子量:210)。
(3) アクリロニトリル(分子量:53)。
(4) アクリロイルオキシエチルホスフェート(分子量:196)とジ(アクリロイルオキシエチル)ホスフェート(分子量:294)を理論モル比約1:1で含む組成物、ユニケミカル(株)製。
Figure 0004530847
Figure 0004530847
表5(続き)
Figure 0004530847
表5(続き)
Figure 0004530847
表5(続き)
Figure 0004530847
注:(1) メタクリロイルオキシエチルホスフェート(分子量:210)。
(2) アクリロイルオキシエチルホスフェート(分子量:196)とジ(アクリロイルオキシエチル)ホスフェート(分子量:294)を理論モル比約1:1で含む組成物、ユニケミカル(株)製。
(3) 商品名「クラプレン LIR-310」、株式会社クラレ製。
(4) アクリロニトリル(分子量:53)。
(5) リン酸基含有不飽和単量体含有溶液を共役ジエン系液状オリゴマー含有溶液に滴下。
(6) Phosmer Mを100質量%とする。
(7) 膜を大過剰のメタノールに室温で24時間浸漬し、105℃で1時間乾燥した後の質量減少を測定。
(8) 2, 2 ’ -アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)。
(9) ベンゾイルパーオキシド(BPO)。
比較例1
表3に示す組成のアクリロニトリルを含むリン酸基含有不飽和単量体(Phosmer M)含有溶液を用いて、表5に示す重合条件に従い、共重合体を調製した。表5に示すように、スチレン−イソプレン液状オリゴマーを含まない以外、実施例6と同じである。得られた共重合体を含む溶液を実施例6と同様にして、減圧及び加熱し、固体高分子電解質膜を作製した。
比較例2
表3に示す組成のアクリロニトリルを含むリン酸基含有不飽和単量体(Phosmer M)含有溶液を用いて、表5に示す重合条件に従い、共重合体を調製した。表5に示すように、スチレン−イソプレン液状オリゴマーを含まない以外、実施例7と同じである。得られた共重合体を含む溶液を実施例7と同様にして、減圧及び加熱し、固体高分子電解質膜を作製した。
<メタノール抽出試験>
実施例1〜9の加熱処理した膜を、前処理としてメタノールに室温で24時間浸漬し、室温で真空乾燥した。膜の質量を測定した後、大過剰のメタノールに室温で24時間浸漬し、105℃で10分間乾燥した後の質量減少を測定した。表5から、いずれの膜でもメタノール抽出残率が90%を超えており、優れたメタノール抽出性を示した。
<水抽出試験>
実施例6、7及び比較例1、2の減圧及び加熱した膜を、大過剰のイオン交換水に室温で浸漬し、1日後、2日後、3日後に各々取り出し、105℃で10分間乾燥した後の質量減少を測定した。なおイオン交換水は毎日新しいものに交換した。結果を図4に示す。図4から、スチレン−イソプレン液状オリゴマーを含まない比較例1、2に比べて、実施例6、7では水への浸漬による質量減少が小さく、水抽出性が向上していることが分かる。
<プロトン伝導性の評価>
プロトン伝導性は複素インピーダンス法を用いて測定した。上記の方法により作製した実施例1〜9のメタノール抽出(室温×24時間)した膜から切り出した3cm×1cmの矩形状サンプルを、開放系インピーダンスセルに設置した。このセルを恒温恒湿器内に設置し、相対湿度:90%、測定温度範囲:30〜80℃でのインピーダンス測定を行った。得られたデータを平面複素インピーダンス解析し、その結果をcole-cole プロット図形処理をして得られたサンプルの抵抗値から導電率を求めた。結果を図1〜3に示す。
図1〜3に示す結果から、本発明の固体高分子電解質膜の導電率は、90%の相対湿度及び30〜80℃の温度範囲において、10-4〜10-2 S・cm-1のオーダーにあり、リン酸基を官能基とする高分子電解質としては良好な水準であり、かつ導電率の温度依存性が小さいことが分かる。
実施例1〜3の固体高分子電解質膜について、温度T(℃)と導電率log(σ/S・cm-1) との関係をcole-cole プロットにより示すグラフである。 実施例4〜7の固体高分子電解質膜について、温度T(℃)と導電率log(σ/S・cm-1) との関係をcole-cole プロットにより示すグラフである。 実施例8、9の固体高分子電解質膜について、温度T(℃)と導電率log(σ/S・cm-1) との関係をcole-cole プロットにより示すグラフである。 実施例6、7及び比較例1、2の固体高分子電解質膜について、水への浸漬による質量減少を示すグラフである。

Claims (5)

  1. (a) 分子内にリン酸基及びエチレン性不飽和結合を各々1個以上有するリン酸基含有不飽和単量体と、(b) 少なくともビニル芳香族単位及び共役ジエン単位を有し、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有するビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー又はその誘導体とを少なくとも共重合してなる固体高分子電解質膜であって、
    前記リン酸基含有不飽和単量体が、(a-1) 下記一般式(1):
    Figure 0004530847

    (ただしR 1 はH又はCH 3 であり、R 2 はH、CH 3 又はCH 2 Clであり、nは1〜6の整数である。)により表される化合物からなるか、
    (a-2) 前記一般式(1)により表される化合物と、下記一般式(2):
    Figure 0004530847

    (ただしR 3 及びR 6 はそれぞれ独立にH又はCH 3 であり、R 4 及びR 5 はそれぞれ独立にH、CH 3 又はCH 2 Clであり、k及びpはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるリン酸基含有ジエステル系不飽和単量体、下記一般式(3):
    Figure 0004530847

    (ただしR 8 及びR 11 はそれぞれ独立にH又はCH 3 であり、R 9 及びR 10 はそれぞれ独立にH、CH 3 又はCH 2 Clであり、r及びsはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるピロリン酸基含有不飽和単量体、及び下記一般式(4):
    Figure 0004530847

    (ただしR 12 、R 15 及びR 17 はそれぞれ独立にH又はCH 3 であり、R 13 、R 14 及びR 16 はそれぞれ独立にH、CH 3 又はCH 2 Clであり、x、y及びzはそれぞれ独立に1〜6の整数である。)により表されるリン酸基含有トリエステル系不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種との混合物からなり、
    前記ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの誘導体が、(i) (メタ)アクリル基、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、スルホン酸基、エポキシ基、炭化水素基、ウレタン結合、エステル結合及びエーテル結合からなる群から選ばれた少なくとも一種を導入する処理、及び(ii) 水素添加処理のいずれか又はこれらの両方を前記ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーに施してなる化合物であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  2. 請求項1に記載の固体高分子電解質膜において、前記(a) リン酸基含有不飽和単量体と前記(b) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーの配合割合は、式[(前記(a) リン酸基含有不飽和単量体)/(前記(b) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマー)]により表される質量比が99/1〜40/60の範囲であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  3. 請求項1又は2に記載の固体高分子電解質膜において、前記ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーは、スチレンとイソプレン及び/又は1,3-ブタジエンとの共重合体であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の固体高分子電解質膜において、前記(a) リン酸基含有不飽和単量体及び前記(b) ビニル芳香族−共役ジエン系液状オリゴマーと共重合できる他の不飽和単量体を共重合してなり、前記他の不飽和単量体が、(c) 分子内に酸性基及びアミノ基のいずれかの官能基を少なくとも1つと、エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する不飽和単量体、並びに/又は(d) 分子内に1個以上のエチレン性不飽和結合を有するが酸性基及びアミノ基のいずれの官能基も有しない不飽和単量体であり、前記(c)の官能基を有する不飽和単量体はスルホン酸基、カルボン酸基、アルコール性水酸基及びアミノ基からなる群から選ばれた少なくとも一種の官能基を有し、前記(d)の官能基を有しない不飽和単量体は(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル類、置換又は無置換のスチレン類、ハロゲンビニル類、脂肪酸ビニルエステル類、及び分子内に1個以上のフッ素基と1個以上のエチレン性不飽和結合とを有するフッ素基含有不飽和単量体からなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする固体高分子電解質膜。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の固体高分子電解質膜を用いたことを特徴とする燃料電池。
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