JP4530397B2 - 抗菌処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成、半合成、再生および天然繊維とそれらの混紡、交編織物、織物、編物、不織布等及び その製品(例、スポーツ衣料、医療用衣料、靴下、寝具、タオルおよびマット類)、木材、紙、コンクリート、プラスチック、金属、セラミック、ガラスなどを 含む各種材料抗菌処理する抗菌処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、身近な生活環境におけるカビ・細菌の繁殖抑制・死滅により衛生的生活環境を保つための抗菌剤・殺菌剤として、石炭酸、クレゾールや逆性石鹸(4級アンモニウム塩)などが知られている。しかし、石炭酸やクレゾールは皮膚刺激性や特有の悪臭がありさらにその有毒性から、直ちに清水でこれらを洗い落とす必要があり、一般に好まれない。
【0003】
また、逆性石鹸も皮膚をヌルヌルとさせ不快感があり、同様に好まれない。また、身近なところでは、台所、浴室、トイレなどのカビ防止には、塩素系薬剤が販売されているが、強い毒性ガスを発生させるだけに取り扱いには十分な注意が必要である。一方、カビや細菌に基づく皮膚糸状菌症は、靴を履く習慣と共に多くの人が感染するようになった一種の文明病である。水虫の治療には、軟膏や水性塗布液を使う外用療法と内服療法(飲み薬)があり、前者には、アメリカ陸軍が第2次世界大戦中に実用化したと言われるウンデシレン酸軟膏、その後開発されたイミダゾール系、トリアゾール系やトルナフタート系の薬剤の配合された軟膏があり、後者にはペニシリウム・グリセオフルブムから得られるグリセオフルビンとトリアゾール系のイトラコナゾールが使用されている。
【0004】
ところで、ウンデシレン酸またはその誘導体、例えばそのエステルおよび金属塩、特にアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩はその多様な特性で知られている。例えば、ウンデシレン酸またはその誘導体、特に低級アルキルエステル誘導体の有する殺シラミ(pediculicidal) 作用は特許第3127289号公報、特開平10−53522号公報などで報告されている。ウンデシレン酸の殺菌(fungicidal)作用についても特開平10−158162号公報などに報告されている。また、特公平7−116359号公報などでは脱臭作用、すなわち、このC11酸は空気から不快な匂いを除去することができるということが報告されている。この酸またはその誘導体を担持するマトリクスまたは担体があれば、例えば上記脱臭作用の場合には脱臭棒にして使い易くなる。フランス国特許(第FR−A−2,579,983 号公報)にはポリエーテルエステルアミド(PEEA)をベースとしたポリマー樹脂を香料の支持体にして、香料を除々に放出させる方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特許第3127289号公報
【特許文献2】
特開平10−53522号公報
【特許文献3】
特開平10−158162号公報
【特許文献4】
特公平7−116359号公報
【特許文献5】
フランス国特許(第FR−A−2,579,983号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上述したウンデシレン酸またはその誘導体のウンデセン基内に存在する二重結合に優れた抗菌作用があることを見出した。
しかし、上述したウンデシレン酸またはその誘導体をそのまま抗菌処理剤の有効成分として様々な工業製品に抗菌処理をした場合、たとえば、工業製品が樹脂製品であると、上述したウンデシレン酸またはその誘導体を樹脂骨格に組み入れようとしても、ウンデセン基以外の重合基がないため組み入れることができない。さらに、ウンデセン基における優れた抗菌性を示す部位である二重結合を重合基として使用すると、抗菌防カビ性が損なわれてしまう。
【0007】
一方、抗菌防カビ性を維持させるためにウンデセン基の二重結合を重合基として使用しないように、ウンデシレン酸またはその誘導体を樹脂に混合させることも考えられるが、この場合、混合させる量の調整が難しく、使用量を適切に調整しないと不純物となり異臭が生じる原因となったり、樹脂の濁りや樹脂成形体表面へのブリードが生じたりするという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みてなされ、ウンデセン基を有しているにもかかわらず、ウンデセン基内の二重結合を残したままで樹脂骨格に組み入れることを可能とすることで、抗菌防カビ性が損なれることなく、その結果、過剰に用いる必要がなくなり、樹脂の濁りを生じさせたり、悪臭を生じさせたりすることのない抗菌処理方法を提供することを目的としている
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、天然の産物であるひまし油を出発原料とし、熱分解されたウンデシレン酸、ウンデシレン酸を還元変性したウンデセノールを最終原料としている。この間、他の有機物との合成反応は全く無い。よって、天然産物により近い材料と言え、地球環境に対する負荷が非常に小さいといえる。
また、本発明者らは、ウンデシレン酸及びウンデセノールの抗菌活性を検討してゆく段階で、その抗菌活性部位が末端に不飽和基が存在するC11アルキル基に存在する事を見出した。これらの化合物と重合性不飽和基(ビニル基、アリル基、特にアクリロイル基など)を結合させる事で、容易に高分子化する事が出来ると共に、抗菌活性部位を固定化することができ、抗菌剤の気化、遊離、汚染などに伴う弊害が改善される事がみいだされた。また、一般の重合性不飽和基(ビニル基、アリル基、特にアクリロイル基など)を1つ以上保有するモノマー、オリゴマーなどと併用使用することができる非常に応用範囲の広い材料を提供する事が出来た。これらの材料と組み合わせて利用する事により、本発明の材料が基本的に保有する機能以外に、更に高機能な材料を提供する事が容易になり、前記の課題を解決できたのである。
【0010】
まず、本発明の請求項1にかかる抗菌処理剤(以下、「請求項1の抗菌処理剤」と記す。)は、ウンデシレン酸と、重合性不飽和基を有する化合物とをエステル化反応させたエステル化物を有効成分とする構成とした。
上記構成において、ウンデシレン酸とエステル化反応する重合性不飽和基を有する化合物としては、特に限定されないが、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類や、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ポリアルキレンオキサイド変性物、アリルアルコール、ポリアルキレンオキサイドモノアリルエーテル、ビニルアルコールなどが挙げられる。
【0011】
本発明の抗菌処理剤のエステル化反応に使用されるポリアルキレンオキサイド系化合物のアルキレンオキサイドの平均繰り返し単位数は1以上であるが、1〜30であることが望ましい。すなわち、繰り返し単位数が30以上になると、ウンデセン基の含有量が低下する為に抗菌性能が低下すると共に原料および反応生成物の結晶化がきつくなり、融点が高くなってハンドリング性が悪くなる。尚、アルキレンオキサイドの平均繰り返し単位数は、得られる個々の化合物において画一値とならない為、平均値を用いた。
【0012】
今後文章中の(メタ)アクリレートは、メタクリレートおよびアクリレートを示し、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸およびアクリル酸を示す。また、文章中の(メタ)アクリル酸ポリアルキレンオキサイド変性物とは、ポリエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド(メタ)アクリレート、ポリブチレンオキサイド(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイド(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドポリブチレンオキサイド(メタ)アクリレートなど、単独または複数のアルキレンオキサイド重合物のモノ(メタ)アクリル酸エステルを示す。
【0013】
また、本発明の請求項2にかかる抗菌処理剤(以下、「請求項2の抗菌処理剤」と記す。)は、ウンデセノールと、重合性不飽和基を有する化合物とをエステル化反応させたエステル化物を有効成分とする構成とした。
上記構成において、ウンデセノールとエステル化反応する重合性不飽和基を有する化合物としては、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、ビニル酢酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられる。
【0014】
なお、以後、本明細書中の「ウンデセノール」は、10−Undecen−1−olを代表とするUndecen−1−ol類を示すものとする。
また、本発明中のアクリル酸ダイマーとは、β―アクリロキシプロピオン酸(2量体)に代表されるアクリル酸の付加多量体(2〜7量体)をいう。
【0015】
また、本発明の請求項3にかかる抗菌処理剤(以下、「請求項3の抗菌処理剤」と記す。)は、ウンデセノール付加物と、重合性不飽和基を有する化合物とをエステル化反応させたエステル化物を有効成分とするとする構成とした。
上記構成において、ウンデセノールアルキレンオキサイド付加物とエステル化反応する重合性不飽和基を有する化合物としては、特に限定されないが、たとえば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、ビニル酢酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられる。
【0016】
なお、以後、本明細書中の「ウンデセノール付加物」は、ウンデセノールアルキレンオキサイド付加物を示し、ポリエチレンオキサイドウンデセニルエーテル、ポリプロピレンオキサイドウンデセニルエーテル、ポリブチレンオキサイドウンデセニルエーテル、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイドウンデセニルエーテル、ポリエチレンオキサイドポリブチレンオキサイドウンデセニルエーテルなど、単独または複数のアルキレンオキサイド重合物のウンデセニルモノエーテルを示す。
【0017】
また、本発明の請求項4にかかる抗菌処理剤(以下、「請求項4の抗菌処理剤」と記す。)は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の抗菌処理剤と、少なくとも二つ以上の重合性不飽和基を有する多官能性化合物とを混合してなる構成とした。
上記構成において、二つ以上の重合性不飽和基を有する多官能性化合物とは、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドグリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘキサ(メタ)アクリレートなどのアクリル系化合物や、ジアリル(イソ)フタレート、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリル系化合物、及びアジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニルなどのビニル化合物、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどのアミド化合物など不飽和基を2個以上有する化合物が挙げられる。
【0018】
このとき、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の抗菌処理剤に対する多官能性化合物の使用量は特に制限されず、また、上記多官能性化合物は単独使用であっても二種以上の使用であっても構わない。
【0019】
また、本発明の請求項5にかかる抗菌処理剤(以下、「請求項5の抗菌処理剤」と記す。)は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の抗菌処理剤と、一つの重合性不飽和基を有する単官能性化合物とを混合してなる構成とした。
上記構成において、一つの重合性不飽和基を有する単官能性化合物としては、高分子合成などに一般的に用いられるラジカル重合性のある単官能単量体を示す。
【0020】
本発明では、ウンデセン基を有する重合性単量体と併用できる単官能単量体として、目的に応じて親水性モノマーおよび/または疎水性モノマーを用いることができる。
【0021】
親水性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸などの有機カルボン酸類、及び有機カルボン酸類の塩類、アリルアルコール、クロトンアルコール等の不飽和アルコール類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類またはヒドロキシアルキルメタクリレート類、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのアセトアセトキシ基含有化合物類、(メタ)アクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミドなどのアミド化合物類、N−メチロールアクリルアミドなどのメチロール化合物類、2-(N,N-ジメチルアミノ) エチル(メタ)アクリレート、2-(N,N- ジエチルアミノ) エチル(メタ)アクリレートなどの3級アミン含有(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノメチルメタクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレートと塩化メチル等とで形成される四級塩等の(メタ)アクリレート類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有化合物類またはその塩類、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェートなどのリン酸基含有化合物類またはその塩類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコール部分含有化合物類、グルコシルエチルメタクリレートなどの糖鎖含有化合物類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのビニルスルホン酸類およびその塩類、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、N−ビニルアセトアミドなどを挙げることができる。
【0022】
ビニルスルホン酸の具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アリオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、ターシャリブチルアクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、シソプレンスルホン酸ナトリウム、スルホエチルメタクリレート、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウムなどを用いることができる。
【0023】
アクリルアミド類としては、具体的には、たとえば、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−置換アルキルアクリルアミド(該アルキル基または置換アルキル基としては、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基、または、置換アルキル基が挙げられ、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロヘキシル基などがある)、N−アリールアクリルアミド(該アリール基としては、たとえばフェニル基、トリル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、シアノフェニル基などがある)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(該アルキル基としては、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基、または、置換アルキル基が挙げられ、たとえばメチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などがある)、N,N−アリールアクリルアミド(該アリール基としては、たとえばフェニル基などがある)、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなどが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、または、2つ以上が併用されたりする。
【0024】
メタクリルアミド類としては、具体的には、たとえば、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N−置換アルキルメタクリルアミド(該アルキル基または置換アルキル基としては、炭素原子数1〜10の直鎖状、分岐状または脂環式アルキル基、または、置換アルキル基が挙げられ、たとえばメチル基、エチル基、t−ブチル基、エチルヘキシル基、シクロヘキシル基などがある)、N−アリールメタクリルアミド(該アリール基としては、たとえばフェニル基などがある)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(該アルキル基としては、たとえばエチル基、プロピル基、ブチル基などがある)、N,N−ジアリールメタクリルアミド(該アリール基としては、たとえばフェニル基などがある)、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0025】
一方、疎水性モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和モノカルボン酸のビニルエステル類;酢酸アリル、プロピオン酸アリル等の飽和脂肪族モノカルボン酸の(メタ)アリルエステル類;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマール酸エステル類などの不飽和カルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、グリシジルメタクリレートなどのグリシジル基含有モノマー類、トリフルオロエチルメタクリレートなどのフッ素含有化合物類、ビニルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン含有化合物類、2−(メタ)アクリロキシエチルイソシアネートなどのイソシア基含有化合物類などを挙げることができる。
【0026】
スチレン類としては、具体的には、たとえば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、テトラクロルスチレン、ペンタクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ヨードスチレン、フルオルスチレン、トリフルオルスチレン、2−ブロム−4−トリフルオルメチルスチレン、4−フルオル−3−トリフルオルメチルスチレン等が挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0027】
ビニルエステル類としては、具体的には、たとえば、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニルなどが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0028】
アリル化合物としては、具体的には、たとえば、アリルエステル類(たとえば、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリルなど)などが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0029】
ビニルエーテル類としては、具体的には、たとえば、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテルなどが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0030】
上記シラン化合物において、ラジカル重合性のものとしては、以下のようなものがある。
(メタ)アクリロキシアルキルアルコキシシランの具体的な例としては、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリシラノール、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどの如きシラン化合物が挙げられる。
【0031】
また、ビニルシランの具体例としては、例えばビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,ビニルトリス−(β−メトキシエトキシ)シラン,ビニルトリアセトキシシラン,アリルトリメトキシシラン,アリルトリアセトキシシラン,ビニルメチルジメトキシシラン,ビニルジメチルメトキシシラン,ビニルメチルジエトキシシラン,ビニルジメチルエトキシシラン,ビニルメチルジアセトキシシラン,ビニルジメチルアセトキシシラン,ビニルイソブチルジメトキシシラン,ビニルトリイソプロポキシシラン,ビニルトリブトキシシラン,ビニルトリヘキシロキシシラン,ビニルメトキシジヘキシロキシシラン,ビニルトリオクチロキシシラン,ビニルジメトキシオクチロキシシラン,ビニルメトキシジオクチロキシシラン,ビニルメトキシジラウリロキシシラン,ビニルジメトキシラウリロキシシラン,ビニルメトキシジオレイロキシシラン,ビニルジメトキシオレイロキシシラン、ポリエチレングリコール化シランなどがある。
【0032】
また、(メタ)アクリルアミド−アルキルシランの具体例としては、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン,3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラン,3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン,2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン,2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルエチルトリメトキシシラン,N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシラン,2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリメトキシシラン,1−(メタ)アクリルアミド−メチルトリメトキシシラン,3−(メタ)アクリルアミド−プロピルメチルジメトキシシラン,3−(メタ)アクリルアミド−プロピルジメチルメトキシシラン,3−(N−メチル−(メタ)アクリルアミド)プロピルトリメトキシシラン,3−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)−3−ハイドロキシプロピルトリメトキシシラン,3−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)−プロピルトリメトキシシラン;N,N−ジメチル−N−トリメトキシシリルプロピル−3−(メタ)アクリルアミド−プロピルアンモニウムクロライド;N,N−ジメチル−N−トリメトキシシリルプロピル−2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0033】
また、アクリル酸エステル類としては、具体的には、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、t−オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、クロルエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレートなどが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0034】
メタクリル酸エステル類としては、具体的には、たとえば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレートなどが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0035】
クロトン酸エステル類としては、具体的には、たとえば、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシルなどのクロトン酸アルキルエステル類などが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。イタコン酸エステル類としては、具体的には、たとえば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどのイタコン酸ジアルキルエステル類などが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0036】
マレイン酸エステル類としては、具体的には、たとえば、ジメチルマレエートなどのマレイン酸ジアルキルエステル類などが挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。フマール酸エステル類としては、具体的には、たとえば、ジブチルフマレートなどのフマール酸ジアルキルエステル類等が挙げられ、いずれか1つが使用されたり、2つ以上が併用されたりする。
【0037】
また、本発明の請求項6にかかる抗菌処理剤(以下、「請求項6の抗菌処理剤」と記す。)は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の抗菌処理剤と、少なくとも二つ以上の重合性不飽和基を有する多官能性化合物と、一つの重合性不飽和基を有する単官能性化合物とを混合してなる構成とした。
上記構成における多官能性化合物および単官能性化合物は、上述したものと同じである。
【0038】
本発明のエステル化反応とは、アルコ―ルとカルボン酸の反応であるため、ウンデセン基含有化合物と重合性不飽和基を有する化合物のいずれか一方をアルコール化合物、他方をカルボン酸化合物として用いる。使用するカルボン酸化合物の量は、エステル化に対応するアルコール化合物に対して理論的には1.0モル対1.0モルの反応であるが、どちらか一方を1.0モルに対して1.0〜10.0モル倍使用することが好ましい。さらには1.0〜3.0モル倍が、反応速度的にも経済的にも最も好ましい。1.0モル対1.0モルの反応の場合は、不純物ができる可能性があり、逆に10モル以上の場合は、経済的な損失が大きいなどの欠点がある。
【0039】
また、本発明に係るエステル化物を得る反応に使用する触媒は、エステル化、エステル交換、ウレタン化、またはエポキシ化などの反応に用いる公知のものを使用できる。具体的には、パラトルエンスルホン酸、フルオロ硫酸などの有機スルホン酸、硫酸、リン酸、過塩素酸などの無機酸、ナトリウムアルコラート、水酸化リチウム、アルミニウムアルコラート、水酸化ナトリウム、ピリジン、アミンなどの塩基類、オクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート、モノブチルスズオキシド、塩化第一スズなどのスズ化合物、テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネートなどのチタン化合物、あるいは四級アンモニウム塩などが用いられる。
【0040】
これら触媒のうち、エステル化またはエステル交換触媒については、反応速度を大きくする点で、パラトルエンスルホン酸などの有機スルホン酸類が望ましい。これらの触媒量は出発原料に対して1ppm〜10%、好ましくは5ppm〜1.0%である。触媒の使用量が1ppm以下では、反応速度が遅かったり収率が低いなどの不都合があり、逆に10%以上にすると生成物が着色したり、副反応によりゲル化物の発生などが起こるおそれがある。
【0041】
反応は無溶剤でも溶剤を用いても行うことができるが、エステル化反応の場合は反応の進行と共に水が生成するので、水を共沸除去できる溶剤を用いることが反応速度を高める上で有効である。かかる溶剤としては、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、メチルイソブチルケトンなどを用いることができる。これらの溶媒の使用量は反応原料に対して0.1〜10倍であり、好ましくは2〜5倍である。
【0042】
反応温度は、反応時間の短縮と重合防止の点から65〜150℃、好ましくは75〜120℃とするのが有利である。65℃以下であると反応速度が遅すぎ、収率が悪いなどの不都合を生じ、150℃以上であるとカルボン酸含有重合性単量体およびアルコール含有重合性単量体またはそのエステルの熱重合が起こるため望ましくない。
【0043】
本発明に係るエステル化物の合成反応において、反応途中は酸素の存在下で反応させることが望ましい。当該反応は常圧かあるいは若干減圧した状態で行うのが好適である。
また、反応に先立って、カルボン酸含有重合性単量体またはそのエステルの熱重合を防止するために重合禁止剤を添加しておくことが好ましい。
【0044】
使用される重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエ−テル、パラメトキシフェノール、2,4ージメチルー6ーtーブチルフェノール、3−ヒドロキシチオフェノール、パラベンゾキノン、2,5ージヒドロキシーパラキノン、銅塩などが挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、原料の重合性単量体またはそのエステルに対して0.001〜5.0wt%、好ましくは0.01〜1.0wt%である。添加量が0.001wt%未満の場合は重合禁止効果が小さすぎる反面、5.0wt%以上であっても効果は向上しないため不経済となる。
【0045】
反応で得られたエステル化反応粗液は、過剰のカルボン酸含有単量体または触媒などの不純物を含むため、反応粗液を水洗、あるいは中和して不純物成分を除去する方が好ましい。中和に用いるアルカリ水溶液としては、例えば、NaOH、KOH、K2CO3、Na2CO3、NaHCO3、KHCO3、NH3などのような塩基性化合物の水溶液を使用することができ、その際の濃度は広い範囲内で自由に選択できる。中和した後、水洗せずに低沸分を除去し製品化すると製品中に中和塩が残存することになるので、中和後に水洗することが好ましい。中和あるいは水洗を行った反応粗液から低沸分を除去するには薄膜式蒸発器などを用いるのが良い。
【0046】
本発明にかかる請求項1〜請求項6の抗菌処理剤は、抗菌処理を行う工業製品(以下、「基材」とのみ記す。)に使用するとき、刷け塗り、スプレイ法、ディッピング法、浸漬法、コーティング法など、どのような方法で抗菌処理を行ってもよく、特に限定されない。
また、本発明において、抗菌処理剤を基材に固着させる具体的な方法としては、ラジカル重合に用いられる方法であれば、あらゆる手段を用いることができる。例えば、乾熱処理、スチーム処理、浸漬法、コールドバッチ法、マイクロ波処理、紫外線処理、電子線処理などを用いることができる。
【0047】
上述したこれらの手段は、単独で適用してもよいし、重合効率を高めるために、例えば、スチーム処理または乾熱処理時にマイクロ波処理、または紫外線処理を併用するなどしてもよい。なお、空気中の酸素が存在すると重合が進みにくくなるので、乾熱処理、マイクロ波処理、紫外線処理の場合には、不活性ガス雰囲気下で処理するのが好ましく、コールドバッチ法の場合にも、シール剤で密閉するのが好ましい。
【0048】
これらのラジカル重合方法の中では、繊維及び繊維製品の固着方法としてはスチーム処理が重合効率および処理の安定性の観点から好ましい。スチーム処理は、常圧スチーム、過熱スチーム、高圧スチームのいずれでもよいが、コスト面からは、常圧スチーム、過熱スチームが好ましい。スチーム処理温度は、好ましくは80〜180℃、さらに好ましくは100〜150℃である。スチーム処理時間は、1〜10分程度でよい。なお、本発明においては、モノマーを重合させる前に、風乾あるいは乾燥機などで予備乾燥してもさしつかえない。
【0049】
また、本発明の抗菌処理剤には、開始剤や界面活性剤などが含有されていてもよい。
この際使用する界面活性剤としては、重合性モノマーや開始剤が希釈する溶媒に溶解しにくい場合に、その溶解性や分散性などを助長するものであれば、特に限定されずに用いることができる。具体例としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、プルロニック型界面活性剤、脂肪族系界面活性剤などで、アニオン、ノニオン、カチオンなどのイオン性についても、特に限定されずに用いることができる。
【0050】
また、本発明に用いる重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を使用できる。開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ系開始剤、無機過酸化物などがあげられるが、使用条件等によってそれぞれを使い分けるのが望ましい。また、此処の種類の開始剤を個別に使用しても良いし、2種類以上の開始剤を混合して使用しても良い。
また、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチルニトリルなどの水不溶性重合開始剤をアニオン、ノニオンなどの界面活性剤で乳化させて用いてもよい。
【0051】
コスト、取り扱いの容易さに優れた重合開始剤としては、過硫酸アンモニウムなどが好ましく用いられる。しかし、蛍光染料や着色染料などで染色された基質を処理する場合は変色の少ないアゾ化合物が望ましい。さらに、重合効率を高めるために、重合開始剤としての過酸化物と還元性物質を併用するいわゆるレドックス系重合開始剤を用いてもよい。
また、無機系重合開始剤としては、たとえば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素などが挙げられる。
【0052】
また、上記有機過酸化物とは、一般に過酸化水素(H22)の誘導体とみなされるものであり、H−O−O−Hの中の1個または2個の水素原子を有機原子団で置換することにより得られるものである。
【0053】
有機過酸化物は、熱分解あるいは還元性物質との反応などにより遊離ラジカルを生成し、不飽和2重結合をもつ有機化合物のラジカル重合反応や、有機化合物からの水素引き抜き反応などを誘起する。具体例としては、化学構造の系統としてケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド(ジアシルパーオキサイド)、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートなどを挙げることができる。さらに化合物の具体名としては、ケトンパーオキサイドとしてメチルエチルケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドとしてクメンハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイドとしてジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイドとしてイソブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド、パーオキシエステルとしてt-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシベンゾエートなどを挙げることができる。
【0054】
本発明においてはこれらの有機過酸化物を単独あるいは複数の組み合わせで用いることができる。またこれらの有機過酸化物の反応を促進するアミン類や還元剤などと併用することもできる。
【0055】
アゾ化合物としては、具体的には、たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカーボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ〕プロパン}2塩酸塩、2,2’−アゾビス〔N−(4−アミノフェニル)−2−メチル−プロピオンアミジン〕4塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕などが挙げられ、いずれか1つが単独で使用されたり、または、2つ以上を用したりされる。
【0056】
また、本発明の抗菌処理剤は、以下に示す紫外線硬化を行うことにより重合させるようにしてもよい。以下、紫外線硬化(フィルム化方法)について示す。
紫外光ラジカル重合開始剤としては紫外光の照射により、励起されてラジカルを発生するタイプの通常の光重合開始剤が用いられる。
一般にベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、グリオキシエステル系化合物や、アシルホスフィンオキサイド系化合物のようにP1型光開始剤と呼ばれる化合物は、それ単独でも使用可能であるが、P2型光開始剤であるベンゾフェノン系等の紫外光ラジカル重合開始剤は水素供与性化合物と併用して用いられる。
【0057】
紫外光ラジカル重合開始剤は単独または2種類以上を混合して用いることもできる。
紫外光ラジカル重合開始剤は、エチレン性不飽和結合を有する化合物100重量部に対し0.01〜10重量部用いることにより本発明を達成することができる。0.01重量部以下であると空気中での硬化が不可能になり、10重量部を越えると硬化物の物性の低下、残留紫外光ラジカル重合開始剤による硬化物の劣化、黄変が起こるので好ましくない。特に好ましいのは、0.1〜5重量部の範囲である。
【0058】
本発明の光硬化性材料は、保存時の重合を防止する目的で、熱重合防止剤を添加することが可能である。本発明の光硬化性材料に添加可能な熱重合防止剤の具体例としては、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル置換ハイドロキノン、カテコール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等をあげることができる。
【0059】
400〜740nmの可視光を発する光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ショートアークメタルハライドランプ、キセノンランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、白熱電球、太陽光、半導体レーザー等が例示される。高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ショートアークメタルハライドランプ、キセノンランプ等のように200〜400nmの紫外光と400〜740nmの可視光を高出力で同時に発する光源を用いる場合、1種の光源で完全に硬化することも可能である。
【0060】
上記光源のうち、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ショートアークメタルハライドランプ、キセノンランプは電球、もしくは発光管中に光等の電磁波を放射しやすい原子構造をもつ物質を加熱して蒸気状にし、外部から放電等により大きなエネルギーを与えることにより光を発生する光源である。詳しくは「紫外線硬化システム」(加藤 清視著 学会出版センター 1989年刊)p375〜394、「光工学ハンドブック」(朝倉書店 1986年刊)p465〜469に記載されている。
【0061】
一方白熱電球、ハロゲンランプは電球、もしくは発光管中の発熱体を電流によって白熱状態に加熱して光を放射するタイプの光源である。通常前記発熱体としてはタングステンフィラメントが使用されている。詳しくは「光工学ハンドブック」(朝倉書店 1986年刊)p462〜463に記載されている。
【0062】
本発明の光硬化性材料及び光硬化方法は、塗料、接着剤、粘着剤はもちろんのこと、バインダーその他とともに基板上に塗布して各種インキ、電子写真、ホログラム材料等の感光材料やマイクロカプセル等の各種記録媒体にも使用することができる。
【0063】
また、本発明において、抗菌処理剤を希釈して使用する場合には、溶媒を使用する。
溶媒としては、水やアルコールなどの極性有機溶媒または、n−ヘキサン、トルエンなどの非極性有機溶媒を使用する事ができる。特に、繊維類などの加工においては、作業環境や安全性の面から水を溶媒として使用する事が最も望ましいが、加工条件や被着体の違いなどによっては、脂肪族系溶媒や芳香族系溶媒を使用しても問題は無い。
【0064】
また、光硬化やEB硬化などの硬化方法で樹脂化する場合には、溶媒を必要としない事もある。
水性溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のC1-4アルコールなど)、ケトン類(アセトンなどのC1-4ケトンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)や、N−メチルピロリドンなど、これらの混合溶媒を使用できる。
【0065】
また、本発明の抗菌処理剤は、上述した各種ラジカル重合性単量体の共重合体に加えて、バインダー等で固着させる方法を採用することもできる。
かかるバインダーは、特に限定されないが、加工法や対象基材により、用途に応じて広い範囲から樹脂は選択できる。添加方法としては、抗菌処理剤と同じ処理浴中に添加しても良いし、抗菌処理剤をポリマー化した後に後加工することで、固着効果を補助しても良い。
【0066】
また、使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂[オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリC1-4オレフィン、カルボキシル基や酸無水物基、エポキシ基等で変性されたポリエチレン又はポリプロピレン等)、アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステル、カルボキシル基含有アクリル樹脂、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂等の変性アクリル樹脂)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体等)、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体等)、ビニルアルコール系重合体(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなど)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート、共重合ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂等)、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、ゴム(ブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリルゴム等)等]、熱硬化性樹脂[エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂等)等]、光硬化性樹脂[エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の光硬化性オリゴマー、多官能性(メタ)アクリレート、窒素含有単量体等の光硬化性単量体]等が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0067】
また、樹脂としては、水溶性樹脂や有機溶媒可溶性樹脂であってもよい。さらに、樹脂は、水性分散体(エマルジョン、ラテックス等)、非水性分散体(オルガノゾルなど)としても使用できる。
【0068】
また、本発明の抗菌性処理剤は、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等)、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、界面活性剤、充填剤、着色剤、粘度調整剤、防腐剤、防黴剤、レべリング剤、染色助剤(濃染剤、染色キャリヤー、染料定着剤など)等の添加剤を含んでいてもよい。
【0069】
【作用】
本発明にかかる抗菌処理剤は、この有効成分が、抗菌性のあるウンデシレン酸、ウンデセノールまたはその付加物を原料として、重合性不飽和基を有する化合物との間で、新規なエステルを合成することで、ウンデセン基以外の重合性不飽和基の高反応性を利用することにより、ウンデシレン酸、ウンデセノールを添加した時に不純物となって臭いなどを生じるといった従来の実用上の問題点が改善された安定した抗菌性効果を持つ抗菌処理剤となる。
【0070】
【合成例】
以下に合成例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの合成例によって限定されるものでない。
なお、各合成例によって得られた合成物のいくつかについては、以下に示す機器分析により分子構造を同定した。
(1)NMR:
機器は、UNITY−plus400(VARIAN製)を使用した。測定条件としては、カラムクロマトグラフィにて精製した後CDCl3に溶解させ、H1−NMR、C13−NMR測定をした。
(2)赤外吸収スペクトル(IR):
機器はFTIR−8400(島津製作所株式会社製)を用い、データ処理機はHYPER IRを用いた。測定条件は、分解能:4.0、ミラー速度:2.8(low)とした。
(3)元素分析(CHN):
機器はPE−2400シリーズIIのCHNS/Oアナライザー(PERKINELMER製)を用いた。
【0071】
[合成例1]ウンデシレン酸オキシエチルメタクリレート
今後、ウンデシレン酸オキシエチルメタクリレートをUD−HEMAの省略記述で表記する。
攪拌機、空気バブリング管、脱水管、および冷却管を備えた2L容の四つ口フラスコに2−ヒドロキシエチルメタクリレート(分子量130)(ブレンマ―E、日本油脂(株)製)92gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油(株)製)108gを入れ、さらにトルエン1000g、パラトルエンスルホン酸6g、ハイドロキノンモノメチルエ−テル0.4gを加え、130〜140℃で脱水反応を行った。反応は約2時間で終了した。反応粗液をアルカリ水溶液で洗浄し、さらに水洗を2回行った後、空気をバブリングしながらエバポレーターで脱溶剤化した。これにより、収量195g(理論分子量296、収率93%)の精製物を得た。この合成物を分析したところ臭素価は105gBr/100gで、ケン化価は274mgKOH/gであった。
【0072】
このように得られた精製物を1H−NMR、13C−NMR、IR、元素分析により組成分析した結果を以下に示す。
Figure 0004530397
元素分析:理論値 C17284=68.9%:9.5%:22.4%
測定値 C17284=68.2%:9.4%:21.6%
以上の組成分析結果から、合成例1による反応生成物は次の化1に示す構造のメタクリル酸オキシエチルウンデシレートであることが判る。
【0073】
【化1】
Figure 0004530397
【0074】
[合成例2]ウンデシレン酸ポリエチレンオキサイド(5モル)アクリレート
今後、ウンデシレン酸ポリエチレンオキサイドアクリレートをUD−AE・200の省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH2)8COO−(CH2CH2O)n−OCCH=CH2(n≒5)
【0075】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドモノアクリレート(分子量322、水酸基価174)(ブレンマ―AE−200、日本油脂(株)製)212gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油(株)製)101gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量260g(理論分子量488、 収率97%)の精製物を得た。また、精製物のケン化価は218mgKOH/g、臭素価は61gBr/100gであった。
【0076】
[合成例3]ウンデシレン酸ポリエチレンオキサイド(10モル)メタクリレート
今後、ウンデシレン酸ポリエチレンオキサイド(10モル)メタクリレートをUD−MA・100Aの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH2)8COO−(CH2CH2O)n−OCC(CH3)=CH2 (n≒10)
【0077】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドモノメタクリレート(分子量530、水酸基価105.8)(MA―100−A、日本乳化剤(株)製)240gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油(株)製)55gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量219g(理論分子量696、 収率99%)の精製物を得た。このように得られた精製物のケン化価は165mgKOH/g及び臭素価は48gBr/100gであった。
【0078】
[合成例4]ウンデシレン酸ポリエチレンオキサイド(1.5モル)アリルエーテル
今後、ウンデシレン酸ポリエチレンオキサイドアリルエーテルをUD−AG−Hの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH28COO−(CH2CH2O)n−CH2−CH=CH2 (n≒1.5)
【0079】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドモノアリルエーテル(分子量110、水酸基価508)(AG−H、日本乳化剤(株)製)119gとウンデシレン酸(分子量184)(ウンデシレン酸、豊国製油(株)製)165gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量197g(理論分子量277、 収率79%)の精製物を得た。このように得られた精製物はケン化価が198mgKOH/g及び臭素価が114gBr/100gであった。
【0080】
[合成例5]ウンデセノールビニル酢酸エステル
今後、ウンデセノールビニル酢酸エステルをUA−VAAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH29O−OC−CH2−CH=CH2
【0081】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ウンデセノール(分子量170)(ウンデセノール、豊国製油(株)製)165gとビニル酢酸(分子量86)(シグマアルドリッチジャパン(株)製試薬)100gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量208g(理論分子量238、収率90%)の精製物を得た。
このように得られた精製物はケン化価が235mgKOH/g及び臭素価が134gBr/100gであった。
【0082】
[合成例6]ウンデセノールエチレンオキサイド12モル付加物ビニル酢酸エステル
今後、ウンデセノールエチレンオキサイド12モル付加物ビニル酢酸エステルをUA・12EO−VAAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH29O−(CH2CH2O)n−OC−CH2−CH=CH2 (n≒12)
【0083】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドウンデセニルエーテル(分子量687、水酸基価81.7)(ウンデセノールEO12、青木油脂(株)製)206gとビニル酢酸(分子量86)(シグマアルドリッチジャパン(株)製試薬)50gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量209g(理論分子量755、 収率92%)の精製物を得た。このように得られた精製物はケン化価が76mgKOH/g及び臭素価が43gBr/100gであった。
【0084】
[合成例7]ウンデセノールメタクリル酸エステル
今後、ウンデセノールメタクリル酸エステルをUA−MAAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH29O−OC−C(CH3)=CH2
【0085】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ウンデセノール(分子量170)(ウンデセノール、豊国製油(株)製)170gとメタクリル酸(分子量86)(三菱レーヨン(株)製)103gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量220g(理論分子量238、 収率92%)の精製物を得た。このように得られた精製物はケン化価が232mgKOH/g及び臭素価が132gBr/100gであった。
【0086】
[合成例8]ウンデセノールエチレンオキサイド4モル付加物アクリル酸エステル
今後、ウンデセノールエチレンオキサイド4モル付加物アクリル酸エステルをUA・4EO−AAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH2)9O−(CH2CH2O)n−OC−CH=CH2 (n≒4)
【0087】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドウンデセニルエーテル(分子量344、水酸基価163)(ウンデセノールEO4、青木油脂(株)製)206gとアクリル酸(分子量72)(東亜合成(株)製)65gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量215g(理論分子量398、 収率90%)の精製物を得た。このように得られた精製物はケン化価が141mgKOH/g及び臭素価が80gBr/100gであった。
【0088】
[合成例9]ウンデセノールエチレンオキサイド8モル付加物アクリル酸エステル
今後、ウンデセノールエチレンオキサイド8モル付加物メタクリル酸エステルをUA・8EO−AAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH2)9O−(CH2CH2O)n−OC−CH=CH2 (n≒8)
【0089】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドウンデセニルエーテル(分子量515、水酸基価108.9)(ウンデセノールEO8、青木油脂(株)製)206gアクリル酸(分子量72)(三菱レーヨン(株)製)58gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量187g(理論分子量569、 収率82%)の精製物を得た。このように得られた精製物はケン化価が97mgKOH/g及び臭素価が55gBr/100gであった。
【0090】
[合成例10]ウンデセノールエチレンオキサイド8モル付加物メタクリル酸エステル
今後、ウンデセノールエチレンオキサイド8モル付加物メタクリル酸エステルをUA・8EO−MAAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH2)9O−(CH2CH2O)n−OC−C(CH3)=CH2(n≒8)
【0091】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドウンデセニルエーテル(分子量515、水酸基価108.9)(ウンデセノールEO8、青木油脂(株)製)206gメタクリル酸(分子量86)(三菱レーヨン(株)製)69gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量198g(理論分子量583、 収率85%)の精製物を得た。このように得られた精製物のケン化価は95mgKOH/g及び臭素価は53gBr/100gであった。
【0092】
[合成例11]ウンデセノールエチレンオキサイド12モル付加物メタクリル酸エステル
今後、ウンデセノールエチレンオキサイド12モル付加物メタクリル酸エステルをUA・12EO−MAAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH29O−(CH2CH2O)n−OC−C(CH3)=CH2 (n≒12)
【0093】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドウンデセニルエーテル(分子量687、水酸基価81.7)(ウンデセノールEO12、青木油脂(株)製)206gメタクリル酸(分子量86)(三菱レーヨン(株)製)65gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量183g(理論分子量755、 収率81%)の精製物を得た。このように得られた精製物のケン化価は75mgKOH/g及び臭素価は42gBr/100gであった。
【0094】
[合成例12]ウンデセノールエチレンオキサイド24モル付加物メタクリル酸エステル
今後、ウンデセノールエチレンオキサイド24モル付加物メタクリル酸エステルをUA・24EO−MAAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH29O−(CH2CH2O)n−OC−C(CH3)=CH2 (n≒24)
【0095】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドウンデセニルエーテル(分子量1094、水酸基価51.3)(UN−240X、明成化学工業(株)製)218gメタクリル酸(分子量86)(三菱レーヨン(株)製)26gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量193g(理論分子量1162、 収率81%)の精製物を得た。このように得られた精製物のケン化価は43mgKOH/g及び臭素価は25gBr/100gであった。
【0096】
[合成例13]ウンデセノールエチレンオキサイド12モル付加物アクリル酸ダイマーエステル
今後、ウンデセノールエチレンオキサイド12モル付加物アクリル酸ダイマーエステルをUA・12EO−DAAの省略記述で表記する。
CH2=CH−(CH2)9O−(CH2CH2O)n−(OCH2CH2mOOC−CH=CH2
(n≒12) (m≧1)
【0097】
合成例1における2−ヒドロキシエチルメタクリレートとウンデシレン酸に替えて、ポリエチレンオキサイドウンデセニルエーテル(分子量687、水酸基価81.7)(ウンデセノール12EO、青木油脂(株)製)206gとアクリル酸ダイマー(アロニックスM−5600 分子量154、酸価365)(東亜合成(株)製)92gを用いたことを除いて、合成例1と同様の操作を行った。
これにより、収量202g(理論分子量823、 収率82%)の精製物を得た。このように得られた精製物のケン化価は137mgKOH/g及び臭素価は38gBr/100gであった。
【0098】
【実施例】
(実施例1)抗菌処理剤の有効成分として(合成例1)で合成したUD−HEMAを使用した。
UD−HEMA50grと重合開始剤としてVA−086(アゾ系触媒:2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、和光純薬(株)製)5grをイソプロピルアルコール800grに溶解した。処理液が合計855grになるように秤量し、均一になるように溶解、攪拌した。固着処理は、105℃で5分間スチーミングした。
【0099】
(実施例2)抗菌処理剤の有効成分として(合成例2)で合成したUD−AE・200を使用した。
UD−AE・200を50grと重合開始剤としてVA−086(アゾ系触媒、和光純薬(株)製)3grをイオン交換水947grに溶解した。処理液が合計1000grになるように秤量し、均一になるように溶解、攪拌して抗菌処理剤を得た。固着処理は、105℃で5分間スチーミングした。
【0100】
(実施例3)抗菌処理剤の有効成分として(合成例7)で合成したUA−MAAを使用した。
UA−MAA50grと重合開始剤としてVA−086(アゾ系触媒、和光純薬(株)製)5grをイソプロピルアルコール800grに溶解したことを除いて、実施例1と同様の操作を行い抗菌処理剤を得た。
固着処理は、105℃で5分間スチーミングした。
【0101】
(実施例4)抗菌処理剤の有効成分として(合成例8)で合成したUA・4EO−AAを使用した。
UA・4EO−AAを50grと重合開始剤としてVA−086(アゾ系触媒、和光純薬(株)製)3grをイオン交換水947grに溶解したことを除いて実施例2と同様の操作を行い抗菌処理剤を得た。
【0102】
(実施例5)抗菌処理剤の有効成分として(合成例11)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
上記のUA・12EO−MAAを50grと重合開始剤として過硫酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)3grをイオン交換水947grに溶解した。処理液が合計1000grになるように秤量し、均一になるように溶解、攪拌して抗菌処理剤を得た。
【0103】
以上の実施例1〜5の処理液は、以下に示した処理をして生地に担持させた。
パディング装置にて上記の実施例1〜5の処理液で生地を1ディップ1ニップで絞り、ついで110℃で約2分間予備乾燥をした。固着処理は、105℃で5分間または115℃(蒸気圧 0.5Kg/cm2)で5分間スチーミングした。ついで、加工布を湯洗浄、水洗浄、脱水、乾燥しセットして試験布とした。原布は染色試験用の綿ブロードを使用した。
【0104】
(実施例1)から(実施例5)の抗菌処理剤の生地に対する付着結果を以下の表1に示す。
【0105】
【表1】
Figure 0004530397
【0106】
以上の試験結果から、それぞれの実施例における抗菌処理剤は、繊維に固着可能であることが分かった。
【0107】
次に、上記実施例により得られた抗菌処理布について、『繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果』JIS L 1902:2002(JAFET/JAS)の10.定量試験 10.1菌液吸収法に準じた方法にて、抗菌性、抗カビ性の評価を実施した。その結果を表2に記した。
試験方法:SEK菌数測定法(n=3)
供試品0.4grをオートクレープで滅菌後、約105CFU/mlになるように1/20ニュートリエント培地で調整した菌液0.2mlを供試品に接種し、37℃で保存後、経時的に菌数を測定した。
使用菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus IFO-12732
白癬菌 Tricophyton mentagrophytes IFO-6124
【0108】
【表2】
Figure 0004530397
【0109】
次に、上記の実施例1〜5の抗菌処理布について、『繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果』JIS L 1902:2002(JAFET/JAS)の10.定量試験 10.1菌液吸収法に準じた方法にて、洗濯前と洗濯試験後の抗菌性の評価を実施し、その結果を表3に記した。
【0110】
試験方法は、統一試験方法(JAFET法)によって行った。
但し、洗濯試験方法はJIS L 0217 103号の試験方法によって行った。(洗剤はJAFET標準洗剤を使用する)
《試験結果判定についての説明》
試験成立の判定
▲1▼ 増殖値 F>1.5・・・試験成立
F=Mb−Ma
Mb:標準布の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Ma:標準布の試験菌種接種直後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
▲2▼ 活性値の計算
静菌活性値:S S=Mb−Mc S≧2.2
殺菌活性値:L L=Ma−Mc L≧0.0
Ma:標準布の試験菌種接種直後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mb:標準布の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
Mc:抗菌加工試料の18時間培養後の3検体の生菌数の常用対数値の平均値
【0111】
【表3】
Figure 0004530397
【0112】
以上の結果から実施例1から5の綿ブロード加工布は、黄色ブドウ球菌に対し洗濯前及び洗濯後について樹脂付着量の差による若干のレベルの違いはあるが非常に安定した抗菌性能を示していることが明らかになった。
【0113】
(実施例6)抗菌処理剤の有効成分として(合成例10)で合成したUA・8EO−MAAを使用した。
UA・8EO−MAA100grとNK ESTER 9G(新中村化学工業(株)製:ポリエチレングリコール(9モル)ジメタクリレートCH2=C(CH3)COO−(CH2CH2O)n−OCC(CH3)=CH2)25grをメタノール300mlとイオン交換水の混合物に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌して抗菌処理剤を得た。
【0114】
(実施例7)抗菌処理剤の有効成分として(合成例11)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
UA・12EO−MAA100grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製:ポリエチレングリコール(14モル)ジメタクリレート、CH2=C(CH3)COO−(CH2CH2O)n−OCC(CH3)=CH2 (n≒14))25grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌して抗菌処理剤を得た。
【0115】
以上の実施例6,7の抗菌処理剤は、以下に示した処理をして生地に担持させた。パディング装置にて上記の実施例1〜5の処理液で生地を1ディップ1ニップで絞り、ついで110℃で約2分間予備乾燥をした。固着処理は、115℃(蒸気圧 0.5Kg/cm2)で5分間スチーミングした。
ついで、加工布を湯洗浄、水洗浄、脱水、乾燥しセットして試験布とした。原布は染色試験用の綿ブロード、ポリエステル/綿(65/35)ブロード、ポリエステルタフタを使用した。
【0116】
(実施例6)及び(実施例7)の生地への付着具合の結果を以下の表4〜6に示す。
【0117】
【表4】
Figure 0004530397
【0118】
【表5】
Figure 0004530397
【0119】
【表6】
Figure 0004530397
以上の試験結果から、実施例6および実施例7の抗菌処理剤は、各種生地に高効率で固着可能であることが分かった。
【0120】
次に、抗菌性、抗カビ性の評価を上述したSEK菌数測定法で行い、その結果を表7に記した。このとき、イオン交換水のみでパディングし、他の操作は他の実施例と同様にして比較試験布を作成した綿ブロード生地を比較例1とした。
【0121】
【表7】
Figure 0004530397
【0122】
次に同一の試験方法で、抗菌性が作用するのに必要な時間を経時的に観察し、その結果を表8、表9に示した。
【0123】
【表8】
Figure 0004530397
【0124】
【表9】
Figure 0004530397
【0125】
以上のように本発明の実施例6及び実施例7で加工した抗菌加工布は、いずれの生地の種類においても非常に良好な抗菌効果を示した。更に時間の経過に伴う抗菌性の効果について試験を実施したところ、白癬菌については1時間で効果を示す事が判明した。更に、黄色ブドウ球菌に対しても1時間で静菌性を示すと共に、3時間で殺菌性を示す事が判明した。上記の結果から、本発明の抗菌性樹脂は、菌類、カビ類のどちらに対しても非常に良好な抗菌活性が認められた。
【0126】
(実施例8)抗菌処理剤の有効成分として(合成例11)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
UA・12EO−MAA100grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)30grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌して抗菌処理剤を得た。
【0127】
(実施例9)抗菌処理剤の有効成分として(合成例9)で合成したUA・8EO−AAを使用した。
UA・8EO−AA100grとNK ESTER A−GLY−9E(新中村化学工業(株)製)50grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌して抗菌処理剤を得た。
上記NK ESTER A−GLY−9Eは、ポリオキシエチレン(9モル)グリセロールトリアクリレートであり、以下の式で表される。
【0128】
【化2】
Figure 0004530397
【0129】
(実施例10)UA・12EO−MAAを100grとNK OLIGO UA−7000(新中村化学工業(株)製:脂肪族系ウレタンアクリルオリゴマー(平均分子量 1000)、2官能アクリル)50grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌して抗菌処理剤を得た。
【0130】
(実施例11)UA・12EO−MAAを100grとNK OLIGO UA−W−2A(新中村化学工業(株)製:脂肪族系ウレタンアクリルオリゴマー(平均分子量 4500)、2官能アクリル。)50grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌して抗菌処理剤を得た。
【0131】
(実施例12)UA・12EO−MAAを100grとNK エステル BPE−1300(新中村化学工業(株)製)50grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌して抗菌処理剤を得た。
上記NK エステル BPE−1300は、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシ・ポリメトキシ)フェニル〕プロパンであり、以下の式で表される。
【0132】
CH2=C(CH3)COO−(CH2CH2O)m−Φ−C(CH32−Φ−CH2CH2O)nOCC(CH3)=CH2式中のΦはベンゼン環を示し、m+n≒30である。
【0133】
以上の実施例8〜12の抗菌処理剤は、以下に示した処理をして生地に担持させた。パディング装置にて上記の実施例1〜5の処理液で生地を1ディップ1ニップで絞り、ついで110℃で約2分間予備乾燥をした。固着処理は、115℃(蒸気圧 0.5Kg/cm2)で5分間スチーミングした。
ついで、加工布を湯洗浄、水洗浄、脱水、乾燥しセットして試験布とした。原布は染色試験用の生地を使用した。生地の種類は、実施例8〜10が綿ブロードおよびポリエステルタフタを使用し、実施例11および12が綿ブロードを使用した。
【0134】
次に、実施例8から実施例12における抗菌処理剤の生地への付着具合の結果を以下の表10,11に示す。
【0135】
【表10】
Figure 0004530397
【0136】
【表11】
Figure 0004530397
【0137】
以上のように実施例11が若干の付着量減を示した以外は、すべて良好な加工結果であった。
【0138】
つぎに上記の実施例8〜12の抗菌処理布について、上述したのと同様にSEK菌数測定法を行い抗菌性、抗カビ性の評価を実施した。その結果を表12に記した。
使用菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus IFO-12732
白癬菌 Tricophyton mentagrophytes IFO-6124
【0139】
【表12】
Figure 0004530397
【0140】
つぎに上記の実施例8〜9の抗菌処理布について、上述した統一試験方法(JAFET法)で、洗濯前と洗濯試験後の抗菌性の評価を実施した。その結果を表13〜14に記した。
試験菌株 :黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC 6538P
【0141】
【表13】
Figure 0004530397
【0142】
以上の結果から実施例8及び9の綿ブロード加工布は、黄色ブドウ球菌に対し洗濯前及び洗濯後について差異の無い非常に安定した抗菌性能を示していることが分かった。
【0143】
つぎに上記の実施例8の抗菌処理を施した綿ブロード加工布について、上述したのと同様の方法で、異なる4菌種について洗濯前と洗濯後の抗菌性を試験した。その結果を表14に示す。
【0144】
【表14】
Figure 0004530397
【0145】
以上の結果から本発明の抗菌処理剤で抗菌加工された生地は、他の菌類に対しても黄色ブドウ球菌に対するのと同様に抗菌性を示すと共に、MRSAのように院内感染で問題となっている菌に対しても非常に優秀な抗菌性を示す事が判明した。更に、このような高レベルの抗菌性が洗濯を10回繰り返した後も変わらず維持されている事も判明した。
【0146】
つぎに上記の実施例8の綿ブロード加工布について、上述したSEK菌数測定法と同様の方法にて、抗菌性、抗カビ性の評価を実施し、その結果を表15に記した。
使用菌株:鵞口瘡カンジタ Candida albicans IFO−1060
黒コウジカビ Aspergillus niger IFO−6342
青カビ Penicillium funiculosum IFO−6345
レジオネラ菌 Legionella pneummophila KB−1011
サルモネラ菌 Salmonella enteritidis IFO−3313
腸炎ビブリオ菌 Vibrio parahaemolyticus IFO−12711
枯草菌 Bacillus subtilis IFO−3134
【0147】
【表15】
Figure 0004530397
【0148】
以上の結果のように、本発明の抗菌処理剤で処理された抗菌加工布は、一般的な抗菌剤、抗カビ剤に観られるような偏った抗菌性では無く、真正細菌のグラム陽性菌およびグラム陰性菌、さらに真菌類の酵母および糸状菌と通常病原体と言われる全てのスペクトルに対して、優秀な抗菌活性を示す事が判明した。
【0149】
抗菌防臭加工とは黄色ブドウ球菌を静菌することでできる加工を言うが、環境中に存在する悪臭と言われるいろいろな臭気成分を吸収する消臭性能が最近注目をあつめている。繊維製品新機能評価協議会(JAFET)では、この消臭性能の試験方法について検討をしている。そこで、上記の実施例8の綿ブロード加工布について、JAFETの試験方法で消臭性を試験してみるとともに、その結果を表16に示した。
試験項目:消臭性能試験
試験方法:JAFET消臭加工繊維製品の試験方法に準じた方法
1)洗濯方法 : JIS L 0217 103法、JAFET標準洗剤使用
2)消臭性能試験方法 : 機器分析実施マニュアル
(検知管法またはガスクロマトグラフィー法)
試験試料:実施例8の綿ブロード加工布
樹脂付着量11.9g/m2、樹脂付着率10.1%owf
【0150】
【表16】
Figure 0004530397
【0151】
以上のような試験結果から、汗臭(アンモニア、酢酸、イソ吉草酸)や加齢臭(アンモニア、酢酸、イソ吉草酸、ノネナール)などについて、洗濯前および洗濯後で良好な消臭性能を発揮すると思われる。これらの結果から他の臭気成分についても効果が期待される。
【0152】
次に、本発明の抗菌処理剤で加工したポリエステルタフタについて帯電防止効果の性能について試験してみた。成型用プラスチックやフィルムなどの帯電防止加工用には、高級アルコール系エチレンオキサイド付加物が汎用品として使用されているので、化学構造が同様であることから帯電防止効果が期待された。
ポリエステル抗菌加工布の帯電防止性試験
試験布:実施例6および実施例8〜10でのポリエステルタフタ加工布、
比較例2 イオン交換水のみで加工したポリエステルタフタ
試験方法 :摩擦帯電圧測定法(JIS−L−1094)
測定試験機:ロータリースタチックテスター RS−101D (大栄化学精器製作所製)
摩擦布 :毛
測定条件 :20℃ 湿度40%
【0153】
【表17】
Figure 0004530397
【0154】
以上の結果から、帯電防止性能の基準であるテスト開始1分後の帯電圧が2000V以下、機械停止1分後の帯電圧が500V以下と言う数値を実施例で抗菌処理された加工布は、すべてクリヤーしている。比較例の測定結果と比較しても非常に数値が低いことからも、抗菌効果と共に帯電防止効果についても非常に優秀な性能を持っていることが判明した。
【0155】
以下の実施例13〜17では実施例8と同様の組成で抗菌性モノマーの含有量を減量し、抗菌性モノマー UA・12EO−MAAがどの程度含まれていれば抗菌性を発揮するのかについて検討した。
【0156】
(比較例3)抗菌性モノマーを加えず、イオン交換水のみを成分とした。
【0157】
(実施例13)UA・12EO−MAAを50grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)15grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを2.5gr添加した。処理液が合計1Kgになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌した。
【0158】
(実施例14)UA・12EO−MAA25grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)7.5grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを1.25gr添加した。処理液が合計1Kgになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌した。
【0159】
(実施例15)UA・12EO−MAA12.5grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)3.8grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを0.65gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌した。
【0160】
(実施例16)UA・12EO−MAA6.0grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)2.0grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを0.3gr添加した。処理液が合計1Kgになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌した。
【0161】
(実施例17)UA・12EO−MAA3.0grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)1.0grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを0.15gr添加した。処理液が合計1Kgになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌した。
【0162】
以上の実施例13〜17の処理液は、パディング装置にて上記の処理液で生地を1ディップ1ニップで絞り、ついで110℃で約2分間予備乾燥をした。固着処理は、115℃(蒸気圧 0.5Kg/cm2)で5分間スチーミングした。ついで、加工布を湯洗浄、水洗浄、脱水、乾燥しセットして試験布とした。原布は染色試験用の綿ブロードを使用した。
【0163】
表18に実施例13〜17の結果を示す。
【0164】
【表18】
Figure 0004530397
【0165】
以上のように触媒の不足の為か、全体的に若干であるが、樹脂の付着量が低下している。段階的に減量している抗菌性樹脂について、その効果を検討した。
【0166】
つぎに上記の抗菌処理布について、SEK菌数測定法により、抗菌性、抗カビ性の評価を実施した。その結果を表19に記した。
使用菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus IFO-12732
白癬菌 Tricophyton mentagrophytes IFO-6124
【0167】
【表19】
Figure 0004530397
【0168】
以上のように本発明の抗菌性樹脂は、平米あたり1グラム以下及び繊維重量に対して1%以下でも安定した良好な抗菌性を示しており、非常に少量の抗菌剤でも抗菌性能を発揮する事が判明した。
【0169】
つぎに上記の実施例13〜17の綿ブロード加工布について、上述したのと同様にJIS L 0217 103号の洗濯試験方法により、洗濯前と洗濯試験後の抗菌性の評価を実施した。その結果を表20に記した。
試験菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC 6538P
【0170】
【表20】
Figure 0004530397
【0171】
以上の結果から、実施例17の樹脂の付着量では、抗菌性は少し弱くなる傾向が観られる。しかし、実施例16以上の樹脂付着量が有れば、洗濯後においても安定した抗菌活性が得られる事が判明した。特に実施例15ように、樹脂付着量で1.0g/m2以上、樹脂付着率で1.0%owf以上あれば非常に優秀な抗菌性があり、その性能は家庭洗濯10回後であっても全く変わらない事が示されている。よって、本発明の抗菌処理剤が少量であっても性能を発揮する事が判明した。
【0172】
(実施例18)抗菌処理剤の有効成分として(合成例3)で合成したUD−MA・100Aを使用した。
UD−MA・100Aを100grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)30grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウム(三菱瓦斯化学(株)製)を5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌して抗菌処理剤を得た。
【0173】
(実施例19)抗菌処理剤の有効成分として(合成例6)で合成したUA・12EO−VAAを使用した。
UA・12EO−VAAを100grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)30grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0174】
(実施例20)抗菌処理剤の有効成分として(合成例4)で合成したUD−AG−Hを使用した。
UD−AG−Hを100grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)30grをイソプロピルアルコール350grに溶解し、重合開始剤として過流酸アンモニウムを5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。固着処理は105℃で5分間スチーミングした。
【0175】
(実施例21)抗菌処理剤の有効成分として(合成例11)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
UA・12EO−MAAを50grとメチレンビスアクリルアマイド(MBAA(CH2=CH−CONH−CH2−NHCO−CH=CH2) MRCユニテック(株)製)15grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)を3gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0176】
(実施例22)抗菌処理剤の有効成分として(合成例12)で合成したUA・24EO−MAAを使用した。
UA・24EO−MAAを50grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)15grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)を3gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0177】
(実施例23)抗菌処理剤の有効成分として(合成例5)で合成したUA−VAAを使用した。
UA−VAAを50grとアジピン酸ジビニル(日本酢ビ・ポバール(株)製)15grをトルエンに溶解し、重合開始剤としてV−59(2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル):和光純薬(株)製)を3gr添加した。処理液が合計1000grになるようにトルエンを追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。固着処理は105℃で5分間スチーミングした。
【0178】
(実施例24)抗菌処理剤の有効成分として(合成例13)で合成したUA・12EO−DAAを使用した。
UA・12EO−DAAを50grとNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)15grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤としてVA−061(2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]:和光純薬(株)製)を3gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0179】
上述した実施例18〜24の実施例により得られた抗菌処理剤は、生地への付着度を確認するため、パディング装置にて抗菌処理剤で生地を1ディップ1ニップで絞り、ついで110℃で約2分間予備乾燥をした。固着処理は、105℃または115℃(蒸気圧 0.5Kg/cm2)で5分間スチーミングした。
ついで、加工布を湯洗浄、水洗浄、脱水、乾燥しセットして試験布とした。原布は染色試験用の綿ブロードを使用した。
【0180】
以下の表21に実施例18〜24の生地への付着度の結果を示す。
【0181】
【表21】
Figure 0004530397
【0182】
以上のように、全てある程度の付着量を示していることが分かる。特に実施例18、21、22、24の抗菌処理剤が良好な付着量を示した。
【0183】
次に、上記抗菌処理布の抗菌性、抗カビ性の評価を上述したSEK菌数測定法により行った。その結果を表22に記した。
使用菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus IFO-12732
白癬菌 Tricophyton mentagrophytes IFO-6124
【0184】
【表22】
Figure 0004530397
【0185】
次に、実施例18〜24の抗菌処理布について、洗濯前と洗濯試験後の抗菌性の評価を上述したのと同様の洗濯試験方法(JIS L 0217 103号(洗剤はJAFET標準洗剤))にて行い、その結果を表23に示した。
試験菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC 6538P
【0186】
【表23】
Figure 0004530397
【0187】
以上のように実施例19、実施例20、実施例23は抗菌性樹脂の付着量が少ないにもかかわらず、実施例24と同様に抗菌性および抗カビ性で良好な結果が得られた。更に洗濯耐久性においても実施例23で若干性能が劣るものの実用的には特に問題は無い。よって、本発明における重合性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などの、ラジカル重合性があればどのようなものでも使用できると考えられた。
【0188】
(実施例25)抗菌処理剤の有効成分として(合成例11)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
UA・12EO−MAAを50grとビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン(A−172:(CH2=CH−Si(OCH2CH2OCH3)3)日本ユニカー(株)製)10grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)を2.5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0189】
(実施例26)抗菌処理剤の有効成分として(合成例11)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
UA・12EO−MAAを20grとNK ESTER M−130G(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(CH2=C(CH3)COO−(CH2CH2O)n−CH3 (n≒13):新中村化学工業(株)製)30grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)を2.5gr添加した。処理液が合計1Kgになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0190】
実施例25および実施例26で得られた抗菌処理剤は、何れもパディング装置にて抗菌処理剤で生地を1ディップ1ニップで絞り、ついで110℃で約2分間予備乾燥をした。固着処理は、115℃(蒸気圧 0.5Kg/cm2)で5分間スチーミングした。
ついで、加工布を湯洗浄、水洗浄、脱水、乾燥しセットして試験布とした。原布は染色試験用の綿ブロード、ポリエステルアムンゼンを使用した。
【0191】
以下の表24にポリエステルアムンゼンに対する結果、表25に綿ブロードに対する結果を示す。
【0192】
【表24】
Figure 0004530397
【0193】
【表25】
Figure 0004530397
【0194】
次に、上記抗菌処理布の抗菌性、抗カビ性の評価を上述したSEK菌数測定法により行った。その結果を表26に記した。
使用菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus IFO-12732
白癬菌 Tricophyton mentagrophytes IFO-6124
【0195】
【表26】
Figure 0004530397
【0196】
次に、実施例25、26の抗菌処理布について、洗濯前と洗濯試験後の抗菌性の評価を上述したのと同様の洗濯試験方法(JIS L 0217 103号(洗剤はJAFET標準洗剤))にて行い、その結果を表27に示した。
試験菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC 6538P
【0197】
【表27】
Figure 0004530397
【0198】
以上のように実施例25、実施例26で得られた抗菌処理剤は、多官能重合性単量体を使用していないが、抗菌性樹脂の付着量も事例の差があるものの十分満足のいく範囲であり、抗菌性および抗カビ性で良好な結果が得られた。更に、洗濯耐久性についても、特に問題点も無く、良好な結果が得られた。
【0199】
(実施例27)抗菌処理剤の有効成分として(合成例9)で合成したUA・8EO−AAを使用した。
UA・8EO−AAを50grとビニルトリメトキシシラン(S−210(CH2=CH−Si(OCH33:チッソ(株)製)2.5grさらにNK ESTER A−GLY−9E(新中村化学工業(株)製)20grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)を2.5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し、抗菌処理剤を得た。
【0200】
(実施例28)抗菌処理剤の有効成分として(合成例9)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
UA・12EO−MAAを50grとγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A−174(CH2=C(CH3)COOCH2CH2CH2−Si(OCH33:日本ユニカー(株)製)2.5grさらにNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)20grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)を2.5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0201】
実施例27および実施例28で得られた抗菌処理剤は、何れもパディング装置にて抗菌処理剤で生地を1ディップ1ニップで絞り、ついで110℃で約2分間予備乾燥をした。固着処理は、115℃(蒸気圧 0.5Kg/cm2)で5分間スチーミングした。
ついで、加工布を湯洗浄、水洗浄、脱水、乾燥しセットして試験布とした。原布は染色試験用の綿ブロード、ポリエステルアムンゼンを使用した。
【0202】
以下の表28にポリエステルアムンゼンに対する結果、表29に綿ブロードに対する結果を示す。
【0203】
【表28】
Figure 0004530397
【0204】
【表29】
Figure 0004530397
【0205】
次に、上記抗菌処理布の抗菌性、抗カビ性の評価を上述したSEK菌数測定法により行った。試験生地として、ポリエステルアムンゼン(目付け 148.5g/m2)を使用し、その結果を表30に記した。
使用菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus IFO-12732
白癬菌 Tricophyton mentagrophytes IFO-6124
【0206】
【表30】
Figure 0004530397
【0207】
次に、実施例27、28の抗菌処理布について、洗濯前と洗濯試験後の抗菌性の評価を上述したのと同様の洗濯試験方法(JIS L 0217 103号(洗剤はJAFET標準洗剤))にて行い、その結果を表27に示した。
試験菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC 6538P
【0208】
【表31】
Figure 0004530397
【0209】
以上のように実施例27、実施例28で得られた抗菌処理剤は、重合性単量体の組成に関係なく抗菌性および抗カビ性で良好な結果が得られた。
【0210】
(実施例29)抗菌処理剤の有効成分として(合成例11)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
UA・12EO−MAAを10grと4−ヒドロキシブチルアクリレート(4H−BA(HO−CH2CH2CH2CH2−O−CO−CH=CH2):三菱化学(株)製)40grさらにNK ESTER 14G(新中村化学工業(株)製)15grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)を2.5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0211】
(実施例30)抗菌処理剤の有効成分として(合成例11)で合成したUA・12EO−MAAを使用した。
上記のUA・12EO−MAAを5grとポリエチレングリコールモノメタクリレート(MA−50A(H−(CH2CH2O)n−CO−C(CH3)=CH2(n≒5)):日本乳化剤(株)製)45grさらにNK ESTER A−GLY−9E(新中村化学工業(株)製)15grをイオン交換水に溶解し、重合開始剤として過流酸ナトリウム(三菱瓦斯化学(株)製)を2.5gr添加した。処理液が合計1000grになるようにイオン交換水を追加して秤量し、均一になるように攪拌し抗菌処理剤を得た。
【0212】
実施例29および実施例30で得られた抗菌処理剤は、何れもパディング装置にて抗菌処理剤で生地を1ディップ1ニップで絞り、ついで110℃で約2分間予備乾燥をした。固着処理は、115℃(蒸気圧 0.5Kg/cm2)で5分間スチーミングした。
ついで、加工布を湯洗浄、水洗浄、脱水、乾燥しセットして試験布とした。原布は染色試験用の綿ブロードを使用した。
【0213】
以下の表32に綿ブロードに対する付着結果を示す。
【0214】
【表32】
Figure 0004530397
【0215】
次に、上記抗菌処理布の抗菌性、抗カビ性の評価を上述したSEK菌数測定法により行った。その結果を表33に記した。
使用菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus IFO-12732
白癬菌 Tricophyton mentagrophytes IFO-6124
【0216】
【表33】
Figure 0004530397
【0217】
次に、実施例29、30の抗菌処理布について、洗濯前と洗濯試験後の抗菌性の評価を上述したのと同様の洗濯試験方法(JIS L 0217 103号(洗剤はJAFET標準洗剤))にて行い、その結果を表34に示した。
試験菌株:黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC 6538P
【0218】
【表34】
Figure 0004530397
【0219】
以上のように実施例29、実施例30は抗菌性樹脂の含有量が少ないにもかかわらず、他の実施例と同様に抗菌性および抗カビ性で良好な結果が得られた。実施例30の抗菌性樹脂の含有量は理論的には0.4grで非常に少量であるが、洗濯耐久性においてもその性能は全く安定している。よって、本発明においては、抗菌性樹脂の含有量は非常に少量でも効果があると言える。
【0220】
最後に今まで行ってきた実施例1〜30の綿ブロード加工布の中から抜粋して、繊維製品新機能評価協議会(JAFET)の『SEK』マークの最高難度である(特定用途)に採用されている洗濯耐久試験方法である「高温加速洗濯法」で試験を行い、洗濯前と50回洗濯試験後の抗菌性の評価を表35に記した。
試験方法 :統一試験方法(JAFET法)による。
洗濯試験方法:高温加速洗濯法(洗剤はJAFET標準配合洗剤を使用する、洗濯温度80℃)
洗濯試験機 :ワッシャー試験機
試験試料 :実施例9,10,11,12,13,14,15,21,27,28の綿ブロード加工布
試験菌株 :黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus ATCC 6538P
洗濯温度 :80℃
【0221】
【表35】
Figure 0004530397
【0222】
以上の結果のように本発明の抗菌処理剤によって抗菌処理された繊維は、樹脂量の付着量の大小にかかわらず、また組成の種類の差異によってもその洗濯耐久性の差はほとんど無く、非常に優秀な試験結果が得られた。
【0223】
【発明の効果】
本発明によれば、抗菌活性(抗菌性、抗黴性)が高く、かつその持続性に優れているウンデセン基含有重合性化合物は、その重合反応により高分子化することで、繊維表面等の被処理物に固定化され、抗菌活性な部分構造(ウンデセン基)が処理物(基材)から遊離したり飛散したりする事が無い。
よって抗菌処理剤として基材に担持させたとしても抗菌活性な部分の遊離や飛散による環境汚染や人体への浸透による弊害などが生じず非常に安全性に優れた抗菌処理加工物を加工することが可能となる。
【0224】
また、本発明の抗菌処理剤は、繊維などに加工した時、抗菌スペクトルが真正菌類から真菌類まで広くかつその抗菌活性は著しく高い、しかも高分子中に固定される事から長期にわたって持続するという特徴を有し、かつ極少量の樹脂量でも使用でき、毒性もないため、適用範囲が広い。
即ち、本発明の抗菌処理剤は、ごく少量の適用で多様な材料に長期間に及ぶ抗菌効果を付与できる点で顕著な効果を発揮するものである。
さらに、本発明の抗菌処理剤は、本抗菌処理剤自身が樹脂化する為に、従来の添加型のように接着成分を併用する必要も無く、洗濯耐久性などを維持しながら、洗濯耐久性に優れた抗菌性、抗カビ性、消臭性、制電性などの複合機能を付与することにより、着用感の快適な各種繊維の織編物が提供することができる。加えて、本発明の抗菌剤は、ラジカル重合性の高反応基を保有しているので、従来から工業生産されているモノマー類を組み合わせる事で、新しい機能を付与する事が容易にできる為に、今後さらに人類に寄与できる機能を持つ物であると考えられる。

Claims (6)

  1. ウンデシレン酸と、ウンデシレン酸とエステル化反応し、重合性不飽和基を有する化合物とのエステル化物を有効成分とする抗菌処理剤を基材に付着させる工程と、
    抗菌処理剤を基材に固着させる工程と、
    を含む抗菌処理方法。
  2. ウンデセノールと、ウンデセノールとエステル化反応し、重合性不飽和基を有する化合物とのエステル化物を有効成分とする抗菌処理剤を基材に付着させる工程と、
    抗菌処理剤を基材に固着させる工程と、
    を含む抗菌処理方法。
  3. ウンデセノール付加物と、ウンデセノール付加物とエステル化反応し、重合性不飽和基を有する化合物とのエステル化物を有効成分とする抗菌処理剤を基材に付着させる工程と、
    抗菌処理剤を基材に固着させる工程と、
    を含む抗菌処理方法。
  4. 抗菌処理剤が、少なくとも二つ以上の重合性不飽和基を有する多官能性化合物を含んでいる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の抗菌処理方法。
  5. 抗菌処理剤が、一つの重合性不飽和基を有する単官能性化合物を含んでいる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の抗菌処理方法。
  6. 抗菌処理剤が、少なくとも二つ以上の重合性不飽和基を有する多官能性化合物と、一つの重合性不飽和基を有する単官能性化合物とを含んでいる請求項1〜請求項3のいずれかに記載の抗菌処理方法。
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