JP4530037B2 - 内燃機関の吸気制御装置 - Google Patents
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Description
従来より、内燃機関の吸気制御装置として、内燃機関(エンジン)の燃焼室に連通する吸気通路の通路断面積を絞ることで、エンジンの燃焼室内に混合気のスワール流やタンブル流等の旋回流(吸気渦流)を発生させて燃焼効率の向上を図るようにした吸気渦流発生装置が公知である(例えば、特許文献1及び2参照)。この吸気渦流発生装置は、エンジンの吸気通路を形成するダクトと、エンジンの吸気通路を開閉する吸気流制御弁(SCVまたはTGV)と、この吸気流制御弁の弁体(バルブ)を支持する回転軸とを備えている。
ここで、吸気渦流発生装置は、一般的に、エンジン始動時やアイドル運転時に、バルブ開度が、吸気流制御弁のバルブを全閉した全閉開度の状態となるようにモータを通電制御して、エンジンの燃焼室内において旋回流(タンブル流、スワール流)を発生させ、エンジンの通常運転時には、バルブ開度が、吸気流制御弁のバルブを全開した全開開度の状態となるようにモータを通電制御して、吸入空気を吸気通路内においてストレートに通過させ、旋回流の発生を停止するように吸気制御を行っている。
しかし、スロットルバルブが全閉位置に突き当たった後は、スロットルバルブを閉じ側に駆動し続けても、実スロットル開度と目標スロットル開度との偏差がそれ以上縮まらないため、モータの駆動デューティ比が最大デューティ比(100%デューティ比)まで急増し、モータの巻線が焼損する可能性がある。
このモータの故障を防止するという目的で、モータの駆動デューティ比が、100%の状態が所定時間以上継続したときに、異常と判断するようにしている。
ところが、特許文献1及び2に記載の吸気渦流発生装置においては、SCVまたはTGVのバルブが、エンジンのピストンの昇降および吸気バルブの開閉に伴って大きな吸気負圧と小さな大気圧とが繰り返し作用する吸気通路内に設置されている。すなわち、吸気通路内に設置されたSCVまたはTGVのバルブには、エンジンのピストンの昇降および吸気バルブの開閉に伴う吸気脈動トルクが作用する。
この状態は、回転軸がバルブ中央部よりもバルブ面方向の一方側にズレた片持ち式のバルブの場合に、回転軸がバルブ中央部に設置される両持ち式のバルブと比べてより顕著に表れる。
このバルブ開度センサは、入力用スパーギヤ115に保持固定されたマグネット116、このマグネット116に対向配置されて、マグネット116の磁力により磁化される一対のヨーク、およびこれらのヨークの対向部間に形成される磁気検出ギャップに配置されたホールIC117等を有している。なお、119は、全開ストッパである。
これにより、特許文献3に記載の基準位置学習(全閉位置学習)を特許文献4及び5に記載の吸気渦流発生装置に採用した場合には、目標バルブ開度を全閉位置に設定すると、TCVのバルブが全閉位置に突き当たった後も、モータの駆動力によってバルブを閉じ側に駆動し続けることになる。
そして、モータへの駆動デューティ比が100%デューティ比まで急増し、この状態が所定時間以上継続することになるので、バルブ開度センサが異常(故障)であると誤検出(誤診断)してしまうという可能性がある。
したがって、非接触式の磁気検出素子を有するセンサの出力変動が少ない、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中に取り込んだセンサの出力からバルブの開度を検出しているので、モータへの通電の有無によらず、バルブの開度を精度良く検出することができる。
ここで、目標開度は、例えばアクセル開度、吸気温度、機関温度、クランク角度、エンジン回転速度等の内燃機関の運転状態(運転状況)に対応して設定される。
これによって、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみ取り込んだセンサの出力に基づいて基準位置学習を実行することができるので、制御上の基準位置の誤学習を防止することができる。
これによって、パルス信号の発生周期における通電オフ期間中にのみ取り込んだセンサの出力に基づいてセンサ故障診断を実行することができるので、正常なセンサを異常(故障)と誤診断してしまうことを未然に防止することができる。
図1ないし図12は本発明の実施例を示したもので、図1は内燃機関の吸気制御装置を示し図で、図2(a)は吸気流制御バルブの全閉位置を示した図で、図2(b)は吸気流制御バルブの全開位置を示した図で、図3はバルブユニット(カートリッジ)を示した図で、図4は吸気渦流発生装置を示した図で、図5はエンジン制御システムを示した図で、図6はHブリッジ回路およびマイクロコンピュータを示した図である。
また、シリンダヘッドには、先端部が各気筒毎の燃焼室内に露出するようにスパークプラグ15が取り付けられている。
そして、シリンダヘッドの内部に形成されるシリンダボア内には、連接棒を介して、クランクシャフトに連結されたピストン20が摺動自在に支持されている。また、シリンダブロックには、エンジンのウォータジャケット21に循環供給されるエンジン冷却水の温度(冷却水温)を検出する冷却水温センサ22が搭載されている。
また、本実施例の吸気管には、エンジンの各気筒毎の燃焼室に吸い込まれる吸入空気量を検出するエアフローメータ23が搭載されている。なお、インテークマニホールド1よりも吸気流方向の上流側の吸気管の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室に連通する1つの共通吸気通路(内燃機関の吸気通路)24が形成されている。
エンジンの排気管は、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出する排気ガスを排気浄化装置25を経由して外部に排出するための排気通路を形成するケーシング(エキゾーストダクト、排気導出ダクト)である。本実施例では、排気浄化装置25として、例えば排気ガス中のCO、HC、NOx等を浄化する三元触媒等の触媒が採用されている。
また、本実施例の排気管には、排気ガスセンサ26が搭載されている。
電子スロットル制御装置は、エンジンの吸気管の途中に設置されたスロットルボディ、吸気管の内部(共通吸気通路24)を流れる吸入空気量を可変するバタフライ型のスロットルバルブ2、およびこのスロットルバルブ2を閉弁作動方向(または開弁作動方向)に付勢するリターンスプリング(またはデフォルトスプリング)等によって構成されている。
ここで、スロットルバルブ2を駆動するモータ11は、エンジン制御ユニット(エンジン制御装置:以下ECUと言う)6によって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
この吸気渦流発生装置は、電子スロットル制御装置と共に、エンジンの吸気系統に組み込まれている。そして、吸気渦流発生装置は、バルブユニットを、インテークマニホールド1の内部(ハウジング格納室)にピンロッド(回転軸、シャフト)4の軸線方向(回転軸方向)に一定の間隔で並列的に複数配置した多連一体型の吸気通路開閉装置(バルブ開閉装置)である。
このインテークマニホールド1の内部には、断面方形状の第1吸気通路31および断面方形状のハウジング格納室33が気筒数に対応した個数形成されている。各第1吸気通路31は、シリンダヘッドの各吸気ポート16に互いに独立して接続されている。各ハウジング格納室33の内部には、それぞれ対応したTCV(バルブユニット)、特にハウジング35が嵌合保持されている。
各ハウジング35は、各吸気流制御バルブ3を開閉自在に収容している。
なお、吸気流制御バルブ3の全閉位置とは、吸気流制御バルブ3(または第2吸気通路32)を全閉した全閉開度の状態のことである。そして、全閉位置は、吸気流制御バルブ3の作動可能範囲の他方側の限界位置、つまりジョイントシャフト43の外周に嵌合固定されたストッパレバー45の全閉ストッパ部が全閉ストッパ(図示せず)に突き当たって、これ以上の吸気流制御バルブ3の全閉作動が規制される全閉側規制位置である。
なお、吸気流制御バルブ3の全開位置とは、吸気流制御バルブ3(または第2吸気通路32)を全開した全開開度の状態のことである。そして、全開位置は、吸気流制御バルブ3の作動可能範囲の一方側の限界位置、つまりストッパレバー45の全開ストッパ部が全開ストッパに突き当たって、これ以上の吸気流制御バルブ3の全開作動が規制される全開側規制位置である。
また、複数の吸気流制御バルブ3は、エンジン停止時にモータへの電力の供給が停止されると、例えばスプリング等の付勢力によって全開位置(または全開位置より僅かに閉じた中間開度の状態(中間位置))に戻される。
また、複数の吸気流制御バルブ3は、その回転中心を成すバルブ軸41が、吸気流制御バルブ3のバルブ中心部よりも、吸気流制御バルブ3の板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の片側(図示下方側)に偏った位置に設置されている。したがって、吸気流制御バルブ3は、片持ち式のバルブを構成している。
また、本実施例では、吸気流制御バルブ3のバルブ上端面の一部(中央部)、つまりバルブ軸側に対して反対側のバルブ上端面を切り欠くことで、エンジンの各気筒毎の燃焼室内においてタンブル流を発生させるための長方形状の開口部(切欠き部、スリット)42を形成している。なお、この開口部42は設けなくても良い。また、本実施例では、吸気流制御バルブ3のバルブ左右側面の一部を切り欠くことで、開口部(主開口部)42よりも開口面積が小さい副開口部を形成しても良い。
また、ピンロッド4は、その回転軸方向に垂直な断面が多角形状(例えば四角形状)に形成された多角断面シャフト(角形鋼製シャフト)であって、金属材料によって一体的に形成されている。
本実施例のジョイントシャフト43は、ピンロッド4の外周に嵌合保持されて、アクチュエータの最終減速ギヤ44およびこの最終減速ギヤ44を保持固定するストッパレバー45をピンロッド4に連結する部品である。
動力伝達機構は、モータ12の回転速度を所定の減速比となるように減速すると共に、モータ12の駆動力(モータトルク)を増大させる歯車減速機構によって構成されている。
この歯車減速機構は、モータ12のモータシャフトに固定されたモータギヤ、このモータギヤに噛み合う中間減速ギヤ、およびこの中間減速ギヤに噛み合う最終減速ギヤ44を有している。これらの各ギヤは、アクチュエータ本体5、特にアクチュエータケースの内部に回転自在に収容されている。ここで、ピンロッド4または最終減速ギヤ44に、全ての吸気流制御バルブ3を開弁作動方向または閉弁作動方向に付勢するスプリングを組み付けても良い。
ストッパレバー45の折り曲げ部46の回転方向の一方側(開弁作動方向)には、全開ストッパに係止される全開ストッパ部が設けられている。これにより、ストッパレバー45の全開ストッパ部が全開ストッパに突き当たると、TCVのバルブ開度が全開開度の状態(全開位置)となるように規制される。
また、ストッパレバー45の折り曲げ部46の回転方向の他方側(閉弁作動方向)には、全閉ストッパに係止される全閉ストッパ部が設けられている。これにより、ストッパレバー45の全閉ストッパ部が全閉ストッパに突き当たると、TCVのバルブ開度が全閉開度の状態(全閉位置)となるように規制される。
そして、モータ12のロータは、コイルが巻装されたコアを有している。また、モータ12のステータは、内周に複数の永久磁石(マグネット)を保持したモータヨーク(磁性体)またはモータフレームを有している。
なお、ブラシ付きのDCモータの代わりに、ブラシレスDCモータや、誘導電動機または同期電動機等の交流(AC)モータを用いても良い。
なお、Hブリッジ回路47は、4つのMOS−FET(以下第1〜第4半導体スイッチング素子と言う)51〜54をブリッジ接続して構成されている。そして、第1、第3半導体スイッチング素子51、53のドレインは、バッテリの+側に接続されている。また、第2、第4半導体スイッチング素子52、54のソースは、接地(バッテリの−側に接続)されている。また、第1半導体スイッチング素子51のソースと第2半導体スイッチング素子52のドレインとを結ぶ第1導電線(結線)の中点と、第3半導体スイッチング素子53のソースと第4半導体スイッチング素子54のドレインとを結ぶ第2導電線(結線)の中点とを接続する電流路の途中にモータ12のコイルが接続されている。
そして、これらの冷却水温センサ22、エアフローメータ23、クランク角度センサ61、アクセル開度センサ62、スロットル開度センサ63、吸気温センサ64、バッテリ電圧センサおよび車速センサ等の各種センサからのセンサ信号は、マイクロコンピュータ50のメモリに格納された制御プログラムまたは制御ロジックの制御周期毎に繰り返し読み込まれる。
なお、クランク角度センサ61は、エンジンのクランクシャフトの回転角度を電気信号に変換するピックアップコイルよりなり、例えば30°CA(クランク角度)毎にNEパルス信号が出力される。
そして、ホールIC72からの出力信号(バルブ開度信号、アナログ信号)は、後述する所定のサンプリング周期毎に繰り返しA/D変換回路48を介して取り込まれる。
また、ECU6は、吸気渦流発生装置のモータ12を流れるモータ駆動電流の電流値を検出する電流検出手段としての機能を有している。また、ECU6の電流検出手段の代わりに、モータ12を流れるモータ駆動電流の電流値を検出する電流センサを設けても良い。
また、A/D変換回路48は、バルブ開度センサ7の出力信号であるアナログ信号からデジタル信号に変換(A/D変換)するためにサンプリングする周期(サンプリング周期)が、PWM周期の整数倍(1倍、2倍、3倍以上の整数倍等)に設定されている。本実施例では、サンプリング周期が、PWM周期と同期している。そして、通電OFF期間中にのみバルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号を取り込むようにしている。
また、マイクロコンピュータ50は、クランク角度センサ61より出力されたNEパルス信号の間隔時間を計測することによってエンジン回転速度(エンジン回転数:NE)を検出するための回転速度検出手段として機能する。
次に、本実施例の内燃機関の吸気制御装置(吸気渦流発生装置)の制御方法を図1ないし図12に基づいて簡単に説明する。ここで、図7ないし図9はECU(マイクロコンピュータ)によるHブリッジ回路の駆動制御を示したフローチャートで、図10はモータへの通電パターンおよびバルブ開度センサの出力信号のAD取込タイミングを示したタイミングチャートである。
このステップS1の判定結果がYESの場合には、基準位置学習が完了していることを表す学習完了フラグがONしているか否かを判定する(ステップS2)。この判定結果がNOの場合には、図7の制御ルーチンを終了する。
また、ステップS2の判定結果がYESの場合には、バルブ開度センサ7のホールIC72より出力されるバルブ開度信号(以下バルブ開度センサ7の出力信号と言う)をA/D変換のためにサンプリングする周期(サンプリング周期:バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミング)になっているか否かを判定する(ステップS3)。この判定結果がNOの場合には、図7の制御ルーチンを終了する。
なお、サンプリング周期は、100%デューティ比時には使えないが、できるだけ高デューティ比でも使えるタイミングにバルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを設定する。
例えばPWM周期が10×α(msec)の場合に、PWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングからカウンターを作動させて、9カウントした時(通電開始タイミングから所定時間9×α(msec)が経過した時)に、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換回路48に取り込むようにしても良い。あるいは、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、次回のPWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングの直前に設定しても良い。
次に、アクセルペダルが踏み込まれているか否かを判定する。すなわち、アクセル開度センサ62より出力されるアクセル開度信号から算出したアクセル開度が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS6)。この判定結果がYESの場合には、図8の制御ルーチンに進んで、マイクロコンピュータ50のメモリに格納されている基準位置学習値(全閉位置学習値)を制御上の全閉ポイントとして読み込む(ステップS11)。
次に、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全閉ポイント)との偏差に基づいて、Hブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に与える、パルス信号(PWM信号:パルス幅変調信号)のデューティ比を設定する。つまり複数の吸気流制御バルブ3を閉弁作動方向に動作させる駆動デューティ比(DUTY比)を設定(算出)する(ステップS15)。
このとき、マイクロコンピュータ50のPWM信号発生手段では、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全閉ポイント)との偏差に基づいて制御された所定のデューティ比のPWM信号を所定の周期で発生する(パルス信号発生手段)。
なお、図10(a)は、PWM周期におけるPWM信号のデューティ比が低DUTY比時を示し、また、図10(b)は、PWM周期におけるPWM信号のデューティ比が高DUTY比時を示す。これらの低DUTY比、高DUTY比は、車種やエンジン毎に適合させる固定値である。
特に、Hブリッジ回路47の第3半導体スイッチング素子53のベースには、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全閉ポイント)との偏差に基づいてPWM制御されたPWM信号が入力される。これにより、吸気渦流発生装置のモータ12のコイルにPWM信号のデューティ比に対応したモータ印加電圧が印加され、モータ12のコイルに閉弁作動方向(正方向)のモータ駆動電流が流れる。
そして、吸気ポート16の上層部の天壁面に沿って流れる吸気流は、吸気ポート16のポート開口部から燃焼室内に供給される。このとき、エンジンの各気筒毎の燃焼室内においてタンブル流が発生するため、エンジン始動時またはアイドル運転時における燃焼室内での燃焼効率が向上し、燃費やエミッション(例えばHC低減効果)等が改善される。
次に、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全開ポイント)との偏差に基づいて、Hブリッジ回路47(特に第2半導体スイッチング素子52のベース)に与える、PWM信号のデューティ比を設定する。つまり複数の吸気流制御バルブ3を開弁作動方向に動作させる駆動デューティ比(DUTY比)を設定(算出)する(ステップS25)。
このとき、マイクロコンピュータ50のPWM信号発生手段では、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全開ポイント)との偏差に基づいて制御された所定のデューティ比のPWM信号を所定の周期で発生する(パルス信号発生手段)。
また、マイクロコンピュータ50からHブリッジ回路47(特に第2半導体スイッチング素子52のベース)に出力されるPWM信号のデューティ比が増加する程、モータ12のコイルを流れるモータ駆動電流も増加する。
特に、Hブリッジ回路47の第2半導体スイッチング素子52のベースには、TCVの実バルブ開度と目標バルブ開度(制御上の全開ポイント)との偏差に基づいてPWM制御されたPWM信号が入力される。これにより、吸気渦流発生装置のモータ12のコイルにPWM信号のデューティ比に対応したモータ印加電圧が印加され、モータ12のコイルに開弁作動方向(閉弁作動方向に対して逆方向)のモータ駆動電流が流れる。
そして、吸気ポート16を通過した吸気流は、吸気ポート16のポート開口部から燃焼室内に供給される。このとき、エンジンの各気筒毎の燃焼室内において縦方向の吸気渦流(タンブル流)は発生しない。
先ず、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されているか否かを判定する(ステップS31)。この判定結果がNOの場合には、図11の制御ルーチンを終了する。
また、ステップS32の判定結果がNOの場合には、アクセルペダルが踏み込まれているか否かを判定する。すなわち、アクセル開度センサ62より出力されるアクセル開度信号から算出したアクセル開度が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS33)。この判定結果がNOの場合には、図11の制御ルーチンを終了する。
次に、モータ12のコイルへの通電開始タイミングから所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS36)。この判定結果がNOの場合には、ステップS36の判定処理を繰り返す。
また、ステップS41の判定結果がYESの場合には、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換回路48に取り込む(ステップS42)。次に、A/D変換回路48でアナログ信号からデジタル信号に変換された、バルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいてTCVの実バルブ開度を検出(算出)する(バルブ開度演算手段:ステップS43)。
次に、学習完了フラグをONする(ステップS45)。その後、図12の制御ルーチンを終了する。なお、学習完了フラグは、一旦イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、OFFされる。
そして、マイクロコンピュータ50は、算出されたDUTY比に対応したPWM信号を、Hブリッジ回路47に与える。複数の吸気流制御バルブ3の全開作動時には、第1半導体スイッチング素子51をOFF/ONし、第2半導体スイッチング素子52をON/OFFし、第3半導体スイッチング素子53をONし、第4半導体スイッチング素子54をOFFする。これにより、Hブリッジ回路47の第1、第2半導体スイッチング素子51、52がPWM制御される。
ここで、吸気渦流発生装置において、バルブ開度センサ7のホールIC72の個体差や誤組付によってバルブ開度センサ7の出力信号に基づく基準位置学習値(全閉位置学習値または全開位置学習値)が実際の基準位置(全閉位置または全開位置)よりも閉じ側または開き側にズレることがある。この場合、エンジン運転中のバルブ開度制御において目標バルブ開度を制御上の全閉ポイントまたは制御上の全開ポイントに設定すると、ストッパレバー45の全閉ストッパ部または全開ストッパ部が全閉ストッパまたは全開ストッパに突き当たった後も、バルブ開度制御手段によって複数の吸気流制御バルブ3を閉じ側または開き側に駆動し続けることになる。
そこで、マイクロコンピュータ50は、吸気渦流発生装置のモータ12の故障を防止するという目的で、モータ12のDUTY比が、100%の状態が所定時間以上継続したときに、センサ異常ダイアグフラグ(FDIAG)をONし、バルブ開度センサ7の異常(故障)をマイクロコンピュータ50のメモリに記憶したり、インジケータランプ等の警告灯を点灯したり、音声等で知らせたりするダイアグ出力を発信するように構成されている。
以上のように、本実施例の内燃機関の吸気制御装置(吸気渦流発生装置)においては、複数の吸気流制御バルブ3として片持ち式のバルブを採用している。そして、ECU6は、第1、第2吸気通路31、32内の吸気脈動トルクに対抗するため、複数の吸気流制御バルブ3をその作動可能範囲の限界位置(全閉位置または全開位置)に突き当てた状態で保持することが可能なモータ印加電圧またはモータ駆動電流をモータ12のコイルに供給している。このとき、図10(a)、(b)に示したように、バルブ開度センサ7の出力信号のAD取込タイミングを、Hブリッジ回路47(特に第3半導体スイッチング素子53のベース)に与えるPWM信号のPWM周期におけるモータ12への通電開始タイミングの整数倍に設定し、且つPWM周期における通電OFF期間中にのみバルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号を取り込むようにしている。
また、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換するためにサンプリング周期が、PWM周期の整数倍に設定されている。本実施例では、サンプリング周期が、PWM周期と同期している。そして、PWM周期における通電OFF期間中にのみバルブ開度センサ7より出力されたバルブ開度信号を取り込むようにしている。
これによって、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいて基準位置学習(全閉位置学習または全開位置学習)を実行することができるので、制御上の基準位置(制御上の全閉ポイントまたは制御上の全開ポイント)の誤学習を防止することができる。
また、PWM周期における通電OFF期間中にのみ取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいてセンサ故障診断を実行することができるので、正常なバルブ開度センサ7、特にホールIC72を異常(故障)と誤診断してセンサ異常ダイアグフラグ(FDIAG)をONしてしまうことを未然に防止することができる。
図13は参考例を示したもので、ECU(マイクロコンピュータ)による基準位置学習を示したフローチャートである。この図13の制御ルーチンは、図11の制御ルーチンのステップS36の判定結果がYESの場合に実行される。
また、ステップS51の判定結果がYESの場合には、バルブ開度センサ7の出力信号をA/D変換回路48に取り込む(ステップS52)。次に、A/D変換回路48でアナログ信号からデジタル信号に変換された、バルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づいてTCVの実バルブ開度を検出(算出)する(バルブ開度演算手段:ステップS53)。
また、ステップS54の判定結果がNOの場合には、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づく基準位置学習およびセンサ故障診断の実行を許可する(ステップS56)。
次に、学習完了フラグをONする(ステップS58)。その後、図13の制御ルーチンを終了する。なお、学習完了フラグは、一旦イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、OFFされる。
これによって、複数の吸気流制御バルブ3を基準位置(全閉位置または全開位置)まで駆動した後も継続してモータ12を通電することにより、ホールIC72を有するバルブ開度センサ7の周辺磁場が変化し、バルブ開度センサ7の出力変動が生じた場合でも、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値を無視する。
したがって、バルブ開度センサ7の出力変動が少ない、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値からTCVの実バルブ開度を検出(算出)しているので、モータ12のコイルへの通電の有無によらず、TCVの実バルブ開度を精度良く検出することができる。
また、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値を無視するとは、PWM周期における通電ON期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づくセンサ故障診断の実行を禁止することである。この場合には、PWM周期における通電OFF期間中に取り込んだバルブ開度センサ7の出力信号のA/D変換値に基づくセンサ故障診断の実行のみを許可することで、正常なバルブ開度センサ7を異常(故障)と誤診断してしまうことを未然に防止することができる。
本実施例では、内燃機関の吸気制御装置を、吸気渦流発生装置を備えた内燃機関の吸気制御装置に適用しているが、内燃機関の吸気制御装置を、内燃機関の吸気通路を開閉して吸入空気の流量を制御する内燃機関の電子スロットル制御装置、内燃機関の吸気通路を開閉して吸気通路の通路長や通路断面積を変更する内燃機関の可変吸気制御装置に適用しても良い。
また、本実施例では、動力源としてのモータにより駆動される吸気制御バルブとして、その回転中心を成す回転軸(バルブ軸)が、吸気流制御バルブ3の板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の片側に設置される片持ち式の吸気流制御バルブ3を採用しているが、動力源としてのモータにより駆動される吸気制御バルブとして、その回転中心を成す回転軸(バルブ軸)が、吸気制御バルブの板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の略中央部に設置される両持ち式の吸気制御バルブ(バタフライ型バルブ)を採用しても良い。
また、全開ストッパに対するストッパレバー45の突き当てによる衝撃音を低減するという目的で、複数の吸気流制御バルブ3を全開作動させる際に、基準位置学習で学習した制御上の基準位置(制御上の全開ポイント)の直前のある中間位置に到達した段階で、複数の吸気流制御バルブ3の作動速度を減速する減速制御を実行するようにしても良い。
2 スロットルバルブ
3 吸気流制御バルブ
4 ピンロッド(バルブの回転軸、シャフト)
5 アクチュエータ本体
6 ECU(エンジン制御ユニット)
7 バルブ開度センサ
11 電子スロットル制御装置のモータ
12 吸気渦流発生装置のモータ
31 インテークマニホールドの第1吸気通路
32 ハウジングの第2吸気通路
47 Hブリッジ回路
48 A/D変換回路(サンプリング手段)
50 マイクロコンピュータ
51 第1半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
52 第2半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
53 第3半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
54 第4半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
71 マグネット(磁石)
72 非接触式の磁気検出素子を有するホールIC
Claims (8)
- (a)内燃機関の燃焼室に連通する吸気通路を形成するダクトと、
(b)前記内燃機関の吸気通路に設置されたバルブと、
(c)電力の供給を受けると、前記バルブの回転軸を駆動する駆動力を発生するモータと、
(d)前記バルブの回転軸に固定された磁石より放出される磁束を検出する非接触式の磁気検出素子を有し、前記バルブの開度に対応して出力を発生するセンサと、
(e)このセンサの出力を取り込んで前記バルブの開度を検出し、
前記バルブの開度が目標開度になるように、パルス信号の発生周期における、前記モータを通電する通電オン期間と前記モータへの通電を停止する通電オフ期間との比率を変更して、前記モータへの供給電力を可変制御する制御ユニットと
を備えた内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記センサの出力の取込タイミングを前記モータへの通電開始タイミングの整数倍に設定すると共に、前記通電オフ期間中にのみ前記センサの出力を取り込むことを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記センサの出力を所定の周期で取り込むサンプリング手段、
このサンプリング手段で取り込んだ前記センサの出力から前記バルブの実開度を算出するバルブ開度演算手段、
所定のデューティ比のパルス信号を所定の周期で発生するパルス信号発生手段、
および前記バルブの実開度と前記目標開度との偏差に基づいて、前記パルス信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段
を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。 - 請求項2に記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記サンプリング手段は、前記センサの出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するためにサンプリングする周期が、前記パルス信号の発生周期の整数倍に設定されている、あるいは前記パルス信号の発生周期と同期していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記バルブが基準位置にあるときの前記センサの出力から制御上の基準位置を求め、この制御上の基準位置を基準位置学習値として記憶する基準位置学習を行う学習制御手段、および前記基準位置学習値に基づいて前記バルブの開度を制御するバルブ開度制御手段を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、前記センサが異常であるか否かを判定するセンサ故障診断を行うセンサ異常判定手段を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記制御ユニットは、
前記モータに対してHブリッジ型に接続された4つのスイッチング素子を有するHブリッジ回路、
所定のデューティ比のパルス幅変調信号を所定の周期で発生するパルス幅変調信号発生手段、
前記センサの出力を所定の周期で取り込むサンプリング手段、
このサンプリング手段で取り込んだ前記センサの出力から前記バルブの実開度を算出するバルブ開度演算手段、
および前記バルブの開度が目標開度になるように、前記パルス幅変調信号のデューティ比を設定するデューティ比設定手段を有していることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記バルブは、前記内燃機関の燃焼室内に吸気渦流を発生させる吸気流制御バルブであることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。 - 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気制御装置において、
前記バルブは、前記回転軸が、前記バルブの板厚方向に対して垂直なバルブ面方向の一方側に偏った片持ち式のバルブであることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
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