JP4529358B2 - セラミックグリーンシート - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、積層セラミックコンデンサの製造において用いられるセラミックグリーンシートに関するもので、特に、セラミックグリーンシートの一層の薄層化を図り得るようにするための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックコンデンサの製造において用いられるセラミックスラリーあるいはセラミックグリーンシートは、一般に、誘電体セラミック粉末、ポリビニルブチラール樹脂のようなバインダ、ジオクチルフタレートのような可塑剤などを含んでいる(たとえば、特許文献1参照)。また、帯電防止剤などの添加物が微量添加されることもある。
【0003】
近年、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化の要望に応えるため、上述のセラミックグリーンシートによって与えられる誘電体セラミック層がより薄層化され、この薄層化に伴い、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体セラミック粉末の平均粒径は、1μm以下と小さくなってきている。他方、所望の電気的特性を発揮させるためには、セラミックグリーンシート中の誘電体セラミック粉末の平均粒径は、通常、0.1μm以上である。
【0004】
また、微小な粉末を用いて緻密な焼結体を得ようとする場合、一般的には、比較的粒径の揃った粉末が用いられる(たとえば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、セラミックスラリーあるいはセラミックグリーンシートにおいて、バインダは、セラミックグリーンシートの強度、接着性、脱脂性および収縮性などを考慮して、通常、誘電体セラミック粉末100重量部に対して、2〜15重量部含むようにされる(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
また、積層セラミックコンデンサのさらなる小型化かつ大容量化にとって、内部電極の薄層化も重要である。内部電極は、通常、セラミックグリーンシート上に、導電性金属粉末を含む導電性ペーストをスクリーン印刷することによって形成される(たとえば、特許文献2参照)。また、内部電極の薄層化にとって有利な方法として、支持体上に形成された金属箔を支持体から剥離してセラミックグリーンシート上に積層する方法(たとえば、特許文献3参照)や、セラミックグリーンシート上に、直接、薄膜形成法によって金属膜を形成する方法(たとえば、特許文献4参照)が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−358036号公報
【特許文献2】
特開2001−316176号公報
【特許文献3】
特開平1−42809号公報
【特許文献4】
特開平8−124787号公報
【非特許文献1】
浜野健、外著,「ファインセラミックハンドブック」,朝倉書店,1984年発行,第95ページ
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
積層セラミックコンデンサのさらなる小型化かつ大容量化を図るため、前述したように、誘電体セラミック層の薄層化が進められ、そのため、誘電体セラミック層となるセラミックグリーンシートの薄層化が図られる。
【0009】
しかしながら、どれほど高分散状態のセラミックスラリーから平滑なセラミックグリーンシートを作製したとしても、セラミックグリーンシートの表面には、誘電体セラミック粉末の粒径に起因する凹凸が生じてしまう。このような凹凸は、誘電体セラミック層の厚みのばらつきを引き起こし、誘電体セラミック層をより薄層化すればするほど、ショート不良を生じやすくしたり、絶縁抵抗をより低下させたりする原因となる。
【0010】
また、上述のようなセラミックグリーンシートの表面状態は、その上に形成される内部電極の状態にも影響を及ぼす。たとえば、セラミックグリーンシートの表面平滑性が悪いと、内部電極にうねりが生じたり、内部電極の厚みが不均一になったり、内部電極の表面平滑性が損なわれたりする。特に、内部電極を薄層化した場合、焼成時において、内部電極の一部が切れたり玉状になったりすることがあり、これが原因となって、内部電極被覆率が低下し、その結果、積層セラミックコンデンサの容量の低下を招いてしまう。
【0011】
前述した内部電極の形成方法のうち、特に、特許文献2に記載される導電性ペーストの印刷方法を適用する場合や、特許文献4に記載される薄膜形成法を適用する場合には、セラミックグリーンシートの表面状態の影響を受けやすい。
【0012】
中でも、薄膜形成法によって内部電極を形成する場合、内部電極がより薄層化されるので、上述の問題がより顕著になる。すなわち、図3に示すように、セラミックグリーンシート31の表面には、誘電体セラミック粉末32の粒径に起因する凹凸が生じ、薄膜形成法によって、この表面上に薄膜形成法によって形成される金属膜33は、セラミックグリーンシート31の表面形状をトレースした形状となる。
【0013】
これに加えて、内部電極を薄膜形成法により形成する場合には、内部電極の成膜時に、セラミックグリーンシートに含まれる誘電体セラミック粒子間に金属が入り込むことがあり、このことが原因となって、セラミックグリーンシートがより薄層化されるに従って、ショート不良や絶縁抵抗の低下の問題がより生じやすくなる。
【0014】
以上のような問題は、誘電体セラミック層の厚みが1.5μm以下であり、かつ内部電極の厚みが0.6μm以下であるというように、誘電体セラミック層および内部電極の薄層化が図られたとき、より深刻なものとなり、その結果、誘電体セラミック層および内部電極の薄層化ひいては多層化、すなわち、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化の妨げとなっている。
【0015】
そこで、この発明の目的は、上述のような問題を解決し得るセラミックグリーンシートを提供しようとすることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数の積層された誘電体セラミック層および複数の誘電体セラミック層間の特定の界面に沿いかつ積層方向に重なり合った状態で形成された複数の内部電極を含む、積層体と、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように積層体の外表面上に形成された外部電極とを備え、焼成後の誘電体セラミック層の厚みが1.5μm以下であり、かつ内部電極の厚みが0.6μm以下である、積層セラミックコンデンサを製造するにあたって、誘電体セラミック層を構成するために用いられるセラミックグリーンシートに向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0018】
このセラミックグリーンシートは、焼結して誘電体セラミックとなる無機粉末とバインダとを含んでいる。無機粉末は、ペロブスカイト系誘電体セラミック材料からなる、粒径の互いに異なる第1および第2の無機粉末を含み、これら第1および第2の無機粉末についての平均粒径および体積割合に関して、次のように選ばれることを特徴としている。
【0019】
第1の無機粉末の平均粒径をrA[nm]、第2の無機粉末の平均粒径をrB[nm]、前記第1および第2の無機粉末の合計体積に対する前記第2の無機粉末の体積割合をVB[体積%]で表わしたとき、
A が100〜300であり、r B が20以上であるとともに、
0.3≦rB/rA≦0.4、かつ(40×rB/rA)−10≦VB≦25の条件、または
0.2<rB/rA<0.3、かつ2≦VB≦25の条件、または
0.1≦rB/rA≦0.2、かつ6−(20×rB/rA)≦VB≦25の条件を満足し、
B<30のときは、さらにVB≦20の条件を満足することを特徴としている。
【0020】
なお、この明細書において、無機粉末の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察画像における等価円直径により求めた値に基づいている。
【0021】
この発明に係るセラミックグリーンシートにおいて、好ましくは、VB ≦20の条件を満足し、より好ましくは、VB ≦10の条件を満足するようにされる。
【0023】
また、この発明に係るセラミックグリーンシートにおいて、第2の無機粉末が、第1の無機粉末の主成分である誘電体材料と実質的に同じ組成の誘電体材料を主成分とすることが好ましい。
【0024】
この発明に係るセラミックグリーンシートは、積層セラミックコンデンサの製造に用いられるとき、好ましくは、その一方主面上に薄膜形成法によって金属膜が形成された状態とされることが好ましく、上記金属膜によって内部電極が与えられる。
【0026】
この発明に係る積層セラミックコンデンサは、各々の厚みが1.5μm以下の複数の積層された誘電体セラミック層および複数の誘電体セラミック層間の特定の界面に沿いかつ積層方向に重なり合った状態で形成された各々の厚みが0.6μm以下の複数の内部電極を含む、積層体と、内部電極の特定のものに電気的に接続されるように積層体の外表面上に形成された外部電極とを備え、上記誘電体セラミック層が、この発明に係るセラミックグリーンシートを焼結させたものからなることを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
【0028】
積層セラミックコンデンサ1は、積層体2を備えている。積層体2は、積層される複数の誘電体セラミック層3と、複数の誘電体セラミック層3の間の特定の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極4および5とをもって構成される。内部電極4および5は、積層体2の外表面にまで到達するように形成されるが、積層体2の一方の端面6にまで引き出される内部電極4と他方の端面7にまで引き出される内部電極5とが、積層体2の内部において交互に配置されている。
【0029】
積層体2の外表面上であって、端面6および7上には、導電性ペーストを塗布し、次いで焼き付けることによって、外部電極8および9がそれぞれ形成されている。また、外部電極8および9上には、必要に応じて、第1のめっき層10および11がそれぞれ形成され、さらにその上には、第2のめっき層12および13がそれぞれ形成されている。
【0030】
このようにして、積層セラミックコンデンサ1において、複数の内部電極4および5は、積層体2の積層方向に互いに重なり合った状態で形成され、それによって、隣り合う内部電極4および5間で静電容量を形成する。また、内部電極4と外部電極8とが電気的に接続されるとともに、内部電極5と外部電極9とが電気的に接続され、それによって、これら外部電極8および9を介して、上述の静電容量が取り出される。
【0031】
このような構造を有する積層セラミックコンデンサ1において、この発明が向けられる対象となるものは、誘電体セラミック層3の各々の厚みが1.5μm以下であり、かつ内部電極4および5の各々の厚みが0.6μm以下である。
【0032】
積層セラミックコンデンサ1に備える積層体2は、その一方主面上に内部導体4または5が形成されたセラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートが積層され、熱圧着され、それによって、一体化された生の積層体が作製され、この生の積層体が焼成されることによって得られるものである。上述のセラミックグリーンシートは、これが焼結されることによって、誘電体セラミック層3となる。
【0033】
セラミックグリーンシートは、基材となるフィルム上で、ドクターブレード法などを用いて、セラミックスラリーをシート状に成形することによって作製される。セラミックスラリーには、焼結して誘電体セラミックとなる無機粉末、ポリビニルブチラールなどのバインダ、エタノールやトルエンなどの有機溶剤、可塑剤およびその他の添加物が含まれている。
【0034】
上記基材となるフィルムとしては、たとえば、必要に応じて表面を離型処理したポリエチレンテレフタレートなどからなる有機樹脂フィルムが有利に用いられる。
【0035】
この発明において、前述の無機粉末に関しては、次のような特徴を有している。
【0036】
すなわち、無機粉末としては、粒径の比較的大きい第1の無機粉末と粒径の比較的小さい第2の無機粉末とが用いられる。そして、第1の無機粉末の平均粒径をrA [nm]、第2の無機粉末の平均粒径をrB [nm]、第1および第2の無機粉末の合計体積に対する第2の無機粉末の体積割合をVB [体積%]で表わしたとき、
(1)0.3≦rB /rA ≦0.4、かつ(40×rB /rA )−10≦VB ≦25の条件、
(2)0.2<rB /rA <0.3、かつ2≦VB ≦25の条件、および
(3)0.1≦rB /rA ≦0.2、かつ6−(20×rB /rA )≦VB ≦25の条件
のいずれかを満足し、
(4)rB <30のときは、さらにVB ≦20の条件を満足するようにされる。
【0037】
第1の無機粉末としては、たとえば、チタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチウムのようなペロブスカイト系誘電体セラミック材料からなるものが用いられる。また、誘電体セラミック材料は、焼結性や電気的特性の向上を目的とした添加成分によって予め表面処理または拡散処理されたものであってもよい。
【0038】
この発明が適用される積層セラミックコンデンサ1にあっては、誘電体セラミック層3の厚みが1.5μm以下というように薄層であるため、これを得るためのセラミックグリーンシートの特性および積層セラミックコンデンサ1が与える容量や信頼性を満足させるためには、第1の無機粉末の平均粒径rAは、100nm以上かつ300nm以下とされる。第1の無機粉末の平均粒径rAが300nmよりも大きい場合、誘電体セラミック層3の厚みが1.5μm以下となる厚みをもってセラミックグリーンシートを作製し、これを用いて積層セラミックコンデンサ1を製造した場合、ショート不良が多発し、信頼性についても十分なものが得られないことがある。
【0039】
他方、第2の無機粉末としては、第1の無機粉末と実質的に同じ組成のものを用いることができる。この場合には、無機粉末中における第2の無機粉末の割合をある程度自由に設定できるという利点がある。しかしながら、このような利点を特に望まないならば、焼結性や電気的特性の制御を目的として、第1の無機粉末とは異なる組成のペロブスカイト系誘電体セラミック粉末を第2の無機粉末として用いてもよい。
【0040】
いずれにしても、第2の無機粉末の平均粒径rBは、20nm以上とされる。この平均粒径rBが20nm未満では、第2の無機粉末の付着力が大きくなるため、セラミックグリーンシートを作製するためのセラミックスラリー中に第2の無機粉末を良好に分散させることが困難となり、また、セラミックグリーンシート中においても、第2の無機粉末同士の凝集が強くなり、均一なセラミックグリーンシートが得られにくくなる。さらに、セラミックグリーンシートを焼成することによって得られた誘電体セラミック層3における結晶粒子径にばらつきが生じたり、ポアを形成しやすくなるなどの問題を招く。このようなことから、平均粒径rBが20nm未満の第2の無機粉末は、その取扱いが困難である。
【0041】
以上のような条件を満足するセラミックグリーンシートにおいて、第1および第2の無機粉末の合計体積に対する第2の無機粉末の体積割合VB に関して、さらにVB ≦20の条件を満足することが好ましく、VB ≦10の条件を満足することがより好ましい。
【0042】
セラミックグリーンシートにおいて、第2の無機粉末の体積割合VB は、前述した条件(1)〜(4)からわかるように、いずれにしても、25体積%以下であることが必要である。
【0043】
セラミックグリーンシートを積層して得られた生の積層体を焼成する場合、この焼成に先だって、セラミックグリーンシート中に含まれるバインダや可塑剤、その他の添加物などの有機成分を、熱処理することによって分解および揮発させるための脱脂処理が施される。第2の無機粉末を25体積%より多く含ませた場合、この脱脂過程においてデラミネーションが多発し、得られた積層セラミックコンデンサ1の良品率が著しく低下してしまう。これは、おそらく、揮発した有機成分によってもたらされた気体の通り道となるべき部分が第2の無機粉末によって塞がれ、そのため、この気体の圧力によりデラミネーションが生じやすくなるためであると考えられる。
【0044】
なお、第2の無機粉末の平均粒径rB が100nmより大きい場合には、上述した脱脂過程におけるデラミネーションによる不良率は減少するものの、得られた積層セラミックコンデンサ1の電気的特性がばらつきやすく、所望の信頼性や容量温度特性などが得られにくくなる。したがって、第2の無機粉末の平均粒径rB は100nm以下とされることが好ましい。
【0045】
また、セラミックグリーンシートにおいて、第1および第2の無機粉末の合計体積に対する第2の無機粉末の体積割合VB は、前述した条件(1)〜(4)からわかるように、第1の無機粉末の平均粒径rA と第2の無機粉末の平均粒径rB との比rB /rA または第2の無機粉末の平均粒径rB によって決まる。
【0046】
すなわち、条件(1)のように、0. 3≦rB /rA ≦0. 4の場合には、第2の無機粉末の体積割合VB は、[(40×rB /rA )−10]体積%以上であり、条件(2)のように、0. 2<rB /rA <0. 3の場合には、第2の無機粉末の体積割合VB は、2体積%以上であり、条件(3)のように、0. 1≦rB /rA ≦0. 2の場合には、第2の無機粉末の体積割合VB は、[6−(20×rB /rA )]体積%以上である。また、条件(4)のように、第2の無機粉末の平均粒径rB が30nm未満の場合には、第2の無機粉末の体積割合VB は20体積%以下とされる。
【0047】
上述のように、条件(1)〜(4)を満足する場合、図2に示すように、セラミックグリーンシート21の表面において、第1の無機粉末22間に形成される窪みに第2の無機粉末23が入り込むことと、それに伴い充填されるバインダ(図示せず。)との相互作用により、セラミックグリーンシート21の表面を平滑なものとすることができる。
【0048】
これに対して、第2の無機粉末23の体積割合が、条件(1)〜(3)で規定された数値より少ない場合には、セラミックグリーンシート21の表面の窪みを十分に埋めることができず、そのため、セラミックグリーンシート21の表面を十分に平滑にすることはできない。その結果、図3を参照して説明したような問題を引き起こす。
【0049】
第2の無機粉末の体積割合は、第1および第2の無機粉末の平均粒径rA およびrB に関わらず、20体積%以下であることが好ましい。第2の無機粉末の体積割合VB が20体積%より多い場合には、焼成条件により緻密な焼結体ができなかったり、特性が大きく変化してしまうなど、焼成条件に敏感になるため、量産工程の管理を厳しくしなければならない。また、所望の電気的特性を得るためのセラミックの設計も困難となる。これに対して、第2の無機粉末の体積割合VB が20体積%以下にされると、焼成条件をある程度選べば、所望の電気的特性を得ることが容易になる。また、焼成条件の変動に対する電気的特性の変化も穏やかになり、量産工程での管理が容易になる。
【0050】
なお、第2の無機粉末の体積割合VB は、より好ましくは、10体積%以下に選ばれる。このように、10体積%以下にすることによって、添加元素の拡散および固溶量ならびに粒径を精密に制御することが必要なEIA規格のX7R特性のような厳しい容量温度特性を満たし得る積層セラミックコンデンサのための誘電体材料としても適用可能となる。
【0051】
セラミックグリーンシートを成形するために用いられるセラミックスラリーを作製するにするにあたっては、無機粉末を十分に分散させることが重要である。この場合、平均粒径のより小さい第2の無機粉末については、特に、良好な分散状態を得るための配慮が必要である。そのため、第2の無機粉末を、分散媒中に予め分散させておく方法などが有効である。また、分散処理には、たとえば、ボールミルや高圧ホモジナイザーなどを用いることが好ましい。
【0052】
成形されたセラミックグリーンシートの表面平滑性をより向上させるため、セラミックグリーンシートの表面にカレンダーロールなどで圧力を加えて、より平滑に変形させる処理を施してもよい。
【0053】
なお、セラミックグリーンシートをセラミックスラリーから成形するための方法は、前述したように、ドクターブレード法などによって、セラミックスラリーを基材上に展開する方法に限定されるものではなく、たとえば、ポリエチレンなどをバインダとして用いて、押し出し成形や2軸延伸による方法などであってもよい。
【0054】
積層セラミックコンデンサ1に備える積層体2を得るため、セラミックグリーンシート上に、内部電極4および5が形成される。内部電極4および5の形成には、種々の方法を適用することができる。たとえば、導電性金属粉末を含む導電性ペーストを印刷する方法を適用することができるが、内部電極4および5のより薄層化のためには、好ましくは、セラミックグリーンシート上に、直接、薄膜形成法によって金属膜を成膜する方法が用いられる。
【0055】
薄膜形成法としては、蒸着、スパッタリング、湿式めっきなどを用いることができる。これらのうち、特に、蒸着およびスパッタリングを適用することがより好ましい。なぜなら、蒸着およびスパッタリングでは、セラミックグリーンシートをめっき液に浸漬する必要がなく、そのため、残留イオンなどによる不良を考慮する必要がないからである。
【0056】
上述のように薄膜形成法で内部電極4および5を形成するとき、内部電極4および5にとって必要なパターンを与えるためのパターニング方法としては、マスクを介して成膜する方法が有効であるが、より高い精度を求める場合には、フォトレジスト法などを用いることも可能である。また、特開平6−283371号公報に記載されているように、積層した後にエッチングなどの方法を用いて、成膜後の金属膜にギャップを形成するようにしてもよい。
【0057】
なお、この発明に係るセラミックグリーンシートにおいて、無機粉末として、第1および第2の無機粉末以外の無機粉末が含まれていてもよい。このような第1および第2の無機粉末以外の無機粉末としては、たとえば、意図せずに不純物または汚染物として含まれてしまう無機粉末があり、また、焼結性や電気的特性の改善などを目的として意図的に含まれる無機粉末もある。いずれにしても、セラミックグリーンシートの特性に実質的な影響を与えない範囲であれば、第1および第2の無機粉末以外の第3の無機粉末が含まれていてもよい。より具体的には、このような第3の無機粉末は、第2の無機粉末の量を超えない量であって、第1の無機粉末の平均粒径よりも小さいものであることが必要であろう。
【0058】
この発明に係るセラミックグリーンシートに含まれ第1および第2の無機粉末の材料として、前述したように、たとえばチタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチウムを例示したが、これら第1および第2の無機粉末の材料については、特に限定されるものではないことに注目すべきである。要するに、セラミックグリーンシートの表面の平滑性の向上は、第1および第2の無機粉末の材料とは特に関連していない。そのため、たとえば、第1の無機粉末をチタン酸バリウムからなるものとしながら、第2の無機粉末をチタン酸ストロンチウムからなるものとしてもよい。
【0059】
次に、この発明によって規定されるセラミックグリーンシートに関する条件を求めるために実施した実験例について説明する。
【0060】
【実験例】
(実験例1)
第1の無機粉末として、チタン酸バリウムに希土類元素化合物および焼結助剤成分を加えて熱処理を施した、表1に示すような平均粒径rA を有する粉末を用意するとともに、第2の無機粉末として、加水分解法によって合成された、表1に示すような平均粒径rB を有するチタン酸バリウム粉末を用意した。表1には、これら第1および第2の無機粉末の平均粒径の比、すなわちrB /rA も示されている。
【0061】
次に、第2の無機粉末を少量の分散剤とともにエタノール中へボールミルにより分散させ、予備スラリーを得た。
【0062】
次に、第1および第2の無機粉末の合計体積に対する第2の無機粉末の体積割合VB が、表1に示す数値となるように、上述の予備スラリーに、第1の無機粉末を加えるとともに、エタノール、トルエン、ブチラール樹脂、ジオクチルフタレートおよび分散剤を加え、ボールミルによって混合および分散処理し、各試料に係るセラミックスラリーを作製した。
【0063】
【表1】
Figure 0004529358
【0064】
なお、表1に示すように、試料1〜4については、VB が特定の数値範囲をもって示されているが、これは、この数値範囲内で複数種類のVB を有する試料を作製したことを意味している。
【0065】
次に、上述のようにして得られたセラミックスラリーを、グラビアコーターを用いて、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム上にシート状に成形し、各試料に係るセラミックグリーンシートを得た。
【0066】
このようにして得られたセラミックグリーンシートの表面の20μm□の領域を、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてタッピングモードで測定し、そのときの平均表面粗さ(Ra)を平滑性の指標とした。そして、第1の無機粉末を100体積%とした比較例としてのセラミックグリーンシートの表面粗さと比較して、Ra値が半減したものについて、平滑性改善効果があったものとして、図4において、「○」でプロットした。なお、Raが半減しなかったものについては、図4において、「×」でプロットした。
【0067】
第2の無機粉末を加えることによりセラミックグリーンシートの表面平滑性が改善されているのは、図4において、「○」が分布する領域である。
【0068】
この図4に示した結果から、セラミックグリーンシートの表面平滑性が改善されるのは、rB /rA =0. 1において、VB が4体積%以上の場合、rB /rA =0. 2において、VB が2体積%以上の場合、rB /rA =0. 3において、VB が2体積%以上の場合、および、rB /rA =0. 4において、VB が6体積%以上の場合であることがわかる。
【0069】
このことから、前述したこの発明の範囲を規定する条件(1)〜(3)の各一部である、
(1)0. 3≦rB /rA ≦0. 4、かつ(40×rB /rA )−10≦VB の条件、
(2)0. 2<rB /rA <0. 3、かつ2≦VB の条件、および、
(3)0. 1≦rB /rA ≦0. 2、かつ6−(20×rB /rA )≦VB の条件を導き出すことができる。
【0070】
なお、表1に示した試料7については、第2の無機粉末を予備分散したスラリーの流動性が著しく低く、これを用いてのセラミックスラリーの作製は不可能であった。これは、第2の無機粉末の平均粒径rB が18nmというように小さすぎるために、これを十分に分散させることができなかったことが原因と考えられる。このことから、第2の無機粉末の平均粒径rB は、試料1〜6のように、20nm以上であることが好ましいことがわかる。
【0071】
(実験例2)
実験例1において作製したセラミックグリーンシートを用いて、以下の方法により積層セラミックコンデンサを製造した。
【0072】
まず、セラミックグリーンシート上に内部電極となる金属膜を形成するため、メタルマスクを介して、厚み0. 25μmのニッケル膜を蒸着により形成した。
【0073】
次に、上述のセラミックグリーンシートを用いて、周知のように、積層工程、圧着工程、カット工程、脱脂工程、焼成工程および外部電極形成工程を実施し、試料となる積層セラミックコンデンサを作製した。この積層セラミックコンデンサにおいて、焼成後の誘電体セラミック層のねらい厚みは1. 2μmとし、内部電極のねらい厚みは0. 4μmとした。
【0074】
このようにして作製された積層セラミックコンデンサについて、次のような項目を評価した。
【0075】
(1)脱脂不良
脱脂工程の後デラミネーションンなどの不良が10%以上発生したものは、「脱脂不良」とした。
【0076】
(2)焼結体不良
焼成後の誘電体セラミック層においてポアの存在などが認められ、十分に緻密な焼結体が得られなかったものは、「焼結体不良」とした。
【0077】
(3)ショート不良
得られた積層セラミックコンデンサにおいて、ショート率が10%を超えたものは、「ショート不良」とした。
【0078】
(4)B特性満足
セラミックグリーンシートの組成として、JIS規格のB特性を与え得るものを用い、かつ焼成工程での炉内への生の積層体チップの充填量を処理能力の半分に減らしたとき、95%以上の積層セラミックコンデンサについて、このB特性を満足した場合には、「B特性満足」とした。
【0079】
(5)大量生産B特性満足
上記(4)の場合において、焼成工程での炉内への生の積層体チップの充填量を減らさなくても、95%以上の積層セラミックコンデンサについて、B特性を満足した場合には、「大量生産B特性満足」とした。
【0080】
(6)大量生産X7R特性満足
セラミックグリーンシートの組成としてEIA規格のX7R特性を与え得るものを用い、かつ焼成工程での炉内への生の積層体チップの充填量を処理能力どおりにしながら、95%以上の積層セラミックコンデンサについて、このX7R特性を満足した場合には、「大量生産X7R特性満足」とした。
【0081】
なお、一般的に、チタン酸バリウムを主原料とした誘電体セラミック層を備える積層セラミックコンデンサにおいて、B特性を達成するためには、焼結体としての誘電体セラミック層中の結晶粒径や添加元素の固溶拡散量が制御されなければならず、また、X7R特性を達成するためには、上述の制御をより厳しくしなければならない。
【0082】
上記項目(1)〜(6)についての評価結果が図5に示されている。図5に示した評価結果から、次のようなことがわかる。
【0083】
まず、第2の無機粉末の体積割合VB が30体積%以上では、脱脂時にデラミネーションが発生したり、焼結体においてポアなどの不良が発生したりしている。
【0084】
第2の無機粉末の体積割合VB が25体積%の場合、焼結体においてポアなどの不良が発生せず、また、rB /rA が0. 2以上であれば、脱脂時に不良は発生していない。このことから、前述した条件(1)〜(3)の各々の一部としてのVB ≦25[nm]の条件を導き出すことができる。
【0085】
なお、第2の無機粉末の体積割合VB が25体積%の場合、rB /rA を0. 1としたときには、脱脂時に不良が発生するものがある。このようにVB が25体積%であり、かつrB /rA が0. 1である試料は、表1に示す試料4の一部および試料5であるが、因みに、上述のように脱脂時に不良が発生した試料は、表1に示した試料4の一部、すなわち、rB が25nmのものであった。これに対して、rB が30nmであり、rA が300nmであり、VB が25体積%である試料5では、脱脂時の不良が発生せず、また、焼結体における不良も発生せず、さらには、B特性を満足する積層セラミックコンデンサを得ることができた。
【0086】
このことから、rB <30nmの場合には、前述した条件(4)のように、VB ≦20体積%の条件を満足しなければならないことがわかる。
【0087】
また、VB が20体積%以下の場合には、図5に示すように、焼成時に炉への生の積層体チップの充填量を減らさなくても、B特性を満足する積層セラミックコンデンサを製造することができる。このことは、VB が25体積%の場合に比べて、VB が20体積%以下の場合の方が、焼成雰囲気に対して鈍感となり、所望の特性を有する積層セラミックコンデンサを製造しやすいことを示している。また、VB が10体積%以下になれば、より精密な制御が必要なX7R特性の材料においても、このような特性を満たす積層セラミックコンデンサを容易に製造できることがわかる。
【0088】
なお、表1に示した試料3および4の各一部のように、VB が2体積%の試料において、rB /rA =0.1またはrB /rA =0.4となるものでは、図5に示すように、ショート不良が10%を超えて発生している。これらは、図4に示した表面平滑性の改善効果が十分でないものに対応している。
【0089】
(実験例3)
表2にそれぞれ示すような、第1の無機粉末の平均粒径rA 、第2の無機粉末の平均粒径rB および第2の無機粉末の体積割合VB をもってセラミックグリーンシートを作製し、同じく表2にそれぞれ示すような誘電体セラミック層厚みおよび内部電極ねらい厚みを有する積層セラミックコンデンサを作製した。
【0090】
このように作製された各試料に係る積層セラミックコンデンサについて、表2にそれぞれ示すような、ショート率、ショートしていないものの絶縁抵抗(logIR)、内部電極被覆率および内部電極厚みをそれぞれ求めた。なお、内部電極被覆率は、内部電極とほぼ直角関係となる研磨面で観察される1次元における電極の存在割合により求めた。
【0091】
【表2】
Figure 0004529358
【0092】
表2において、試料11〜15は、第2の無機粉末を含まず、この発明の範囲外のものである。試料16、17および9は、この発明の範囲内のものである。なお、試料18は、誘電体セラミック層の厚みが1.5μmを超える2.4μmであり、この点において、この発明の範囲外のものである。試料20は、第1の無機粉末の平均粒径r A が300nmを超える350nmであり、この点において、この発明の範囲外のものである。
【0093】
まず、この発明の範囲外にある試料11〜15の間で比較する。これら試料11〜15では、セラミックグリーンシートに含まれる無機粉末の平均粒径が250nmというように比較的小さい。
【0094】
このような状況の下、試料14および15のように、誘電体セラミック層の厚みが2. 4μm以上と比較的厚くされた場合には、ショート率および絶縁抵抗に関して良好な結果を示しているが、試料11〜13のように、誘電体セラミック層の厚みが1. 2μmと比較的薄くされた場合には、ショート率が高くなり、絶縁抵抗が低くなっている。また、試料11のように内部電極ねらい厚みが0. 35μmと比較的薄くされた場合には、内部電極被覆率が低下している。
【0095】
これらに対して、試料16、17、19および20ならびに誘電体セラミック層の厚みが1.5μmを超える試料18では、上述した試料11〜13と比較して、全体的に、ショート率が低く、絶縁抵抗が高く、内部電極被覆率が高いことがわかる。
【0096】
試料16〜20の間で比較すると、誘電体セラミック層の厚みが2. 4μmと厚い試料18では、なるほど、ショート率、絶縁抵抗および内部電極被覆率の各々について優れた結果が得られているが、この試料18に比べて、誘電体セラミック層の厚みのみが異なり、この厚みが1. 2μmと薄くされた試料17であっても、rB 、rA およびVB について、この発明の範囲内にあるため、試料18に匹敵するショート率、絶縁抵抗および内部電極被覆率を示していることがわかる。
【0097】
また、試料16および19では、試料18に比べて、誘電体セラミック層の厚みおよび内部電極ねらい厚みがともに薄いにもかかわらず、rA 、rB およびVB がこの発明の範囲内にあるため、ショート率、絶縁抵抗および内部電極被覆率の各々において、試料18に比べて、それほど劣っていないことが注目される。
【0098】
また、試料20は、第1の無機粉末の平均粒径rAが300nmを超える350nmであるため、誘電体セラミック層の厚みが1. 5μmと薄くされると、ショート率、絶縁抵抗および内部電極被覆率の各々が比較的悪い値を示している。このことから、第1の無機粉末の平均粒径rAは300nm以下でないと、ショート率、絶縁抵抗および内部電極被覆率を良好に保ちながら、誘電体セラミック層の厚みを1.5μm以下と薄くすることが困難であることがわかる。
【0099】
また、研磨断面の観察に関して、試料14と試料18とを比較すると、試料18では、内部電極が微視的に直線的で平坦であったのに対し、試料14では、内部電極に250nm程度の周期を持った細かいうねりが観察された。これは、試料18では、第2の無機粉末によるセラミックグリーンシートの表面の平滑化効果が現れていることを裏付けるものである。
【0100】
【発明の効果】
以上のように、この発明に係るセラミックグリーンシートによれば、粒径の互いに異なる第1および第2の無機粉末を含み、第1の無機粉末の平均粒径をrA [nm]、第2の無機粉末の平均粒径をrB [nm]、第1および第2の無機粉末の合計体積に対する第2の無機粉末の体積割合をVB [体積%]で表わしたとき、(1)0. 3≦rB /rA ≦0.4、かつ(40×rB /rA )−10≦VB ≦25の条件、または(2)0. 2<rB /rA <0. 3、かつ2≦VB ≦25の条件、または(3)0.1≦rB /rA ≦0. 2、かつ6−(20×rB /rA )≦VB ≦25の条件を満足し、(4)rB <30のときは、さらにVB ≦20の条件を満足するようにすることによって、セラミックグリーンシートの表面において、第1の無機粉末間の窪みに、より小さい粒径の第2の無機粉末が入り込むようにしているので、表面の平滑性を高めることができる。
【0101】
したがって、セラミックグリーンシートの薄層化を問題なく進めることができるとともに、このような表面が平滑なセラミックグリーンシートを用いることにより、セラミックグリーンシート上に薄膜形成法によって金属膜を良好な状態で形成することができる。
【0102】
その結果、積層セラミックコンデンサにおいて、誘電体セラミック層および内部電極の薄層化を進めた場合に生じ得る、ショート不良の多発、絶縁抵抗の低下および内部電極被覆率の低下を抑制することができ、積層セラミックコンデンサの小型化かつ大容量化を有利に図ることができる。また、内部電極を直線的で平坦な状態で形成することができるので、積層セラミックコンデンサの等価直列抵抗の低減を期待できる。
【0103】
この発明に係るセラミックグリーンシートにおいて、第2の無機粉末の体積割合VB を20体積%以下としたり、より好ましくは10体積%以下としたりすれば、焼成条件変動による特性への影響を低減でき、積層セラミックコンデンサの量産工程での管理が容易になる。
【0104】
また、この発明によれば、第1の無機粉末の平均粒径rAが100〜300nmに選ばれるので、積層セラミックコンデンサの誘電体セラミック層の厚みを1.5μm以下と薄くしても、ショート不良をより生じにくくすることができ、信頼性をより向上させることができる。
【0105】
また、この発明に係るセラミックグリーンシートによれば、第2の無機粉末の平均粒径rBが20nm以上に選ばれるので、セラミックグリーンシートを作製するために用意されるセラミックスラリー中に第2の無機粉末を分散させることが容易になり、均一なセラミックグリーンシートを得ることが容易になり、また、焼成後において、結晶粒子径にばらつきが生じたり、ポアが形成されたりするなどの問題をより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
【図2】この発明に係るセラミックグリーンシート21の一部を拡大して図解的に示す断面図である。
【図3】従来のセラミックグリーンシート31およびその上に形成された金属膜33の各一部を拡大して図解的に示す断面図である。
【図4】表1に示した各試料に係るセラミックグリーンシートの表面平滑性の改善効果を示す図である。
【図5】表1に示した各試料に係るセラミックグリーンシートを用いて製造された積層セラミックコンデンサの脱脂性、焼結性、容量温度特性およびショート率についての評価結果を示す図である。
【符号の説明】
1 積層セラミックコンデンサ
2 積層体
3 誘電体セラミック層
4,5 内部電極
8,9 外部電極
21 セラミックグリーンシート
22 第1の無機粉末
23 第2無機粉末

Claims (5)

  1. 複数の積層された誘電体セラミック層および複数の前記誘電体セラミック層間の特定の界面に沿いかつ積層方向に重なり合った状態で形成された複数の内部電極を含む、積層体と、前記内部電極の特定のものに電気的に接続されるように前記積層体の外表面上に形成された外部電極とを備え、焼成後の前記誘電体セラミック層の厚みが1.5μm以下であり、かつ前記内部電極の厚みが0.6μm以下である、積層セラミックコンデンサを製造するにあたって、前記誘電体セラミック層を構成するために用いられるセラミックグリーンシートであって、
    焼結して誘電体セラミックとなる無機粉末とバインダとを含み、
    前記無機粉末は、ペロブスカイト系誘電体セラミック材料からなる、粒径の互いに異なる第1および第2の無機粉末を含み、前記第1の無機粉末の平均粒径をrA[nm]、前記第2の無機粉末の平均粒径をrB[nm]、前記第1および第2の無機粉末の合計体積に対する前記第2の無機粉末の体積割合をVB[体積%]で表わしたとき、
    Aが100〜300であり、rBが20以上であるとともに、
    0.3≦rB/rA≦0.4、かつ(40×rB/rA)−10≦VB≦25の条件、または
    0.2<rB/rA<0.3、かつ2≦VB≦25の条件、または
    0.1≦rB/rA≦0.2、かつ6−(20×rB/rA)≦VB≦25の条件を満足し、
    B<30のときは、さらにVB≦20の条件を満足する、
    セラミックグリーンシート。
  2. さらにVB≦20の条件を満足する、請求項1に記載のセラミックグリーンシート。
  3. さらにVB≦10の条件を満足する、請求項1に記載のセラミックグリーンシート
  4. 前記第2の無機粉末が、前記第1の無機粉末の主成分である誘電体材料と実質的に同じ組成の誘電体材料を主成分とする、請求項1ないしのいずれかに記載のセラミックグリーンシート。
  5. その一方主面上に薄膜形成法によって金属膜が形成されている、請求項1ないしのいずれかに記載のセラミックグリーンシート
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