JP4528926B2 - 電界放出型素子の駆動装置及びその駆動方法 - Google Patents

電界放出型素子の駆動装置及びその駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は、電界放出型素子の駆動装置及びその駆動方法、特に電界放出型蛍光管の駆動装置及び駆動方法に関する。
一般に冷陰極蛍光管とは、いわゆる放電蛍光管であり、一対の電極をアルゴン等の希ガス及び水銀が封入されたガラス管内に配置させた構造である。これら電極は冷陰極と呼ばれ、強電界が印加されると表面から電界放出を生じ、飛び出した高エネルギー状態の電子が管内で衝突することにより二次電子が飛躍的に発生しグロー放電が発生する。数が増大した電子は水銀と衝突する際に紫外線を放射させ、この紫外線が管内壁の蛍光体を励起させて、より長波長の蛍光をもたらす。このような放電蛍光管は、液晶表示装置のバックライトに適用されている。
一方、FED(Field Emission Display)で知られる蛍光パネルでは、上記放電蛍光管とは異なって加速された高エネルギー状態の電子を直接蛍光体に衝突させて発光させるものである。したがって放電を生じない分、真空雰囲気で強電界を印加されて電界放射される冷陰極は、電子を効率的に表面から放出させなければならない。そのため、冷陰極を円錐形状としたり、或いは引き出しゲート電極を設けて電界を集中しやすい構造にしたり、単位面積あたりの電子放出効率を向上するためにカーボンナノチューブを用いることが試みられてきた。蛍光パネルの冷陰極に要求される特性は、放電管の冷陰極と異なっている。
このような放電することなく、電界放出によって発光する機構を持つ蛍光管として、特許文献1の電界放出型蛍光管には、導電性の繊維体を複数本のワイヤーで支持した構成の陰極が用いられている。また特許文献1の電界放出型蛍光管では、陰極と引き出し電極として機能する変調電極との間の電圧、並びに陰極と陽極との間の電圧は、用いられている材料や陰極、変調電極の構造に依存して設定されている。すなわち、発光時に、陰極と変調電極との間の電圧並びに陰極と陽極との間の電圧が固定電位となっている。
特表2002−504260号公報
ところで、特許文献1の陰極は、繊維体を複数のワイヤで挟みワイヤーを撚りあわせるので、ランプの長手方向に対して繊維体の先端が螺旋を描くことになる。そのため、繊維体の先端と変調電極又は陽極との距離にバラツキが生じてしまう。陰極と陽極との間の電位差が一定であれば、陽極との距離が最も近い陰極の部位から電子が最も放出されやすくなり、この間に位置する蛍光体の発光輝度は高くなるのに対して、陽極との距離が遠い陰極の部位では電子が放出されにくく、この間に位置する蛍光体の発光輝度は低くなってしまう。したがって、蛍光管の部位によって輝度のバラツキが生じてしまう。また、この輝度バラツキを補正することを目的として、陽極との距離が相対的に遠い陰極からも多量の冷電子を放出するために陰極と陽極との間にさらに高い定電圧をかけ続けると、高エネルギー状態の電子の衝突が増大し、蛍光体で放射光に変換されないエネルギーが熱エネルギーとなって蛍光体の構造に損傷を与えやすく、劣化を促進してしまう。
本発明は、以上のような現状に鑑みてなされた発明であり、輝度のばらつきの少ない安定した電界放出型素子の駆動装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る電界放出型素子の駆動装置は、電界放出型素子の陰極及び陽極の間に、印加電圧に対して一次関数的に電流が増大する線形領域と電流の増加がなだらかになる非線形領域との間の閾値電圧である非線形閾値電圧以上の電圧と、電流密度10μA/cm を越える閾値電圧以上であって且つ前記非線形閾値電圧未満の電圧と、を交互に出力することを特徴とする。
尚、前記非線形閾値電圧以上の電圧は周期的に出力されてもよい。
又、前記電界放出型素子は、管内が真空雰囲気の電界放出型蛍光管であってもよい。
又、前記電界放出型素子の前記陰極は、炭素材料からなる電界放出部を有してもよい。
又、前記電界放出型素子の前記電界放出部は、基体に設けられた複数の突起部と前記突起部の表面に形成された花弁状の炭素薄片群とを有してもよい。
又、前記花弁状の炭素薄片群は、複数の層のグラフェンシートで構成されてもよい。
又、駆動パルス周期が1m秒以下で駆動されてもよい。
本発明の第2の観点に係る電界放出型素子の駆動方法は、電界放出型素子の陰極及び陽極の間に、印加電圧に対して一次関数的に電流が増大する線形領域と電流の増加がなだらかになる非線形領域との間の閾値電圧である非線形閾値電圧以上の電圧と、電流密度10μA/cm を越える閾値電圧以上であって且つ前記非線形閾値電圧未満の電圧と、を交互に出力することを特徴とする。
尚、駆動パルス周期が1m秒以下で駆動されてもよい。
このように、常時、非線形閾値電圧以上の電圧を電界放出型素子の陰極及び陽極の間に出力しないことにより、非線形閾値電圧以上の電圧による悪影響を緩和するとともに高い電界放出特性を得ることができる。
本発明によれば、電界放出型素子特性のばらつきを抑制できる。
図1は、本発明の実施形態に係る電界放出型素子としての電界放出型ランプ10の要部断面図及び電界放出型素子の駆動装置1の回路構成を示す図である。
この電界放出型ランプ10は、棒状の陰極11と、陰極11との間隔を例えば0.1mm〜6mm空けて対向する陽極12,12と、これらを10−6Torr程度に真空封止する硝子管13とを備えている。陽極12の陰極11との対向面には、蛍光体14,14が塗料されている。輝度を均一化するように、陽極12の陰極11との距離が等間隔であることが望ましい。硝子管13の両端には、陰極11に導通する陰極導通配線15と、陽極12に導通する陽極導通配線16とが、形成されている。
一方、電界放出型素子の駆動装置1は、直流電源2の正極に一次巻線の一端が接続されたトランス3と、その一次巻線の他端とグランドとの間に接続された切替スイッチであるNチャネル型MOSトランジスタ4と、MOSトランジスタ4のゲートを駆動する制御回路5としてのPチャネル型MOSトランジスタ5a及びNチャネル型MOSトランジスタ5bと、切替信号出力回路6とを備えている。
トランス3の二次巻線の一端が陰極導通配線15に接続され、トランス3の二次巻線の他端が、グランドに接続されている。Pチャネル型MOSトランジスタ5aのソースは、直流電源2の正極に接続され、Pチャネル型MOSトランジスタ5aのドレインが、Nチャネル型MOSトランジスタ4のゲートとNチャネル型MOSトランジスタ5bのドレインとに接続されている。Nチャネル型MOSトランジスタ5bのソースは、グランドに接続されている。Pチャネル型MOSトランジスタ5a及びNチャネル型MOSトランジスタ5bのゲートに、切替信号出力回路6が接続されている。
直流電源2の負極は、グランドに接続されている。また、電界放出型素子の駆動装置1は、基準電圧Vssを発生する機能を有し、基準電圧Vssを陽極導通配線16に与える構成になっている。
電界放出型ランプ10の陰極11は、電界放出特性に優れた炭素薄膜を備えた電界放出型電極である。陰極11の構造を図2〜図4を用いて説明する。
図2は、陰極11の部分拡大断面図である。
図3(a)は、複数の花弁状炭素薄膜集合体のコロニーのSEM写真であり、図3(b)は、花弁状炭素薄膜集合体単体を示す模式図であり、図3(c)は、花弁状炭素薄膜集合体を拡大したSEM写真である。
図4は、花弁状炭素薄膜集合体を示す断面図である。
電界放出型電極においては、電子が放出される電界放出部は、その先端部付近に電子を引き出す強い電界集中が生じるので、低い印加電圧で電界放出が可能になる。そのため、カーボンナノチューブ(以下、CNTという)が発見されてより、ナノメートルオーダーのCNTを電界放出型電極に採用する技術が多数開発されている。
しかしながら、CNTを用いる電界放出型電極の製法では、例えば、CNTを気相で成長させた場合に反応炉壁にCNTを付着させると、付着したCNTをかき集める際に破損する恐れがあった。また、線状の複数のCNTを有機溶媒で分散させて電解質を加えた溶液に金属基板を浸漬し、電気泳動によりCNTを金属基板に付着させると、CNTはナノメータレベルの直径のため、外的な応力に対する機械的強度が脆弱で、溶液中に分散させたり、電気泳動することによる液相中の流体抵抗により破損してしまう恐れがある。このようにCNTを陰極となる金属基板とは別のところで生成したり、その後電気泳動を行ったり、導電体を溶解させてCNTを固着させたりするので、CNTが生成されてからの工程が煩雑になり、CNTのチューブ構造が破壊されやすい要因が増えてしまうといった問題があった。
特に、電界放出型ランプは、放電管と異なって放電による二次電子なしに蛍光体を励起しなければならないので、高い電流密度を可能にするには、冷陰極における電子を放出する箇所が多い程好ましい。ところが、ランダムに生成されたCNTは微細な構造のために、金属基板上に選択的に密集させ且つ比較的陽極との距離を均等化することが難しく、このため電界放出特性が不十分であった。
そこで、本実施形態の陰極11には、CNTを用いずに、良好な電界放出特性の炭素材料を適用している。
陰極11は、図2のように、導電性の基体20と基体20上の所定位置に固着された複数の粒状の突起物21とから構成された基材22と、粒状の突起物21上に花弁状の炭素薄片を高密度に密集してなる花弁状炭素薄片群23と、基体20上に形成させた平面状炭素薄片集合膜24と、から構成されている。
基材22を構成する導電性の基体20は、ニッケルやシリコン基板等の約950℃以上の温度に耐えうる導電性材料から構成されている。
基材22を構成する粒状の突起物21は、グラファイトが成長可能で且つ約950℃以上の温度(製造時の熱処理温度)に耐えうるダイヤモンド、モリブデン、SiC,SiN等の材料の微粒子から構成されている。突起物21の粒径は、5μm〜30μm程度である。また、基体20上の突起物21の配置密度は、例えば、10個/cm〜10個/cm程度である。
なお、突起物21は、後述するように、成長した花弁状炭素薄片群23のグラファイト結晶が、製造過程の熱膨張の差、並びに製造終了後の熱降下による収縮の差によって損壊しないように熱膨張率或いは熱膨張係数が花弁状炭素薄片群23に近似している材料であることが好ましい。
典型的な花弁状炭素薄片集合群23は、粒状の突起物21の表面を核として成長し、曲面をなす花弁状の複数の炭素薄片23aが、突起物21の表面に対して起立しながらも、図3(a)のように、互いにランダムな方向に繋がりあって構成されている。各炭素薄片23aは、格子間隔が0.34nmの数層〜数十層のグラフェンシートから構成され、高さ、長さがともに平均1〜5μmで、厚さが7nm以下であり、外辺開口部における薄片同士の間隔が例えば3μm以下である。
1つの花弁状炭素薄片群23は、基体20の表面又は基体20上に形成された平面状炭素薄片集合膜24に対し、炭素薄片23aがより密集しており、突起物21の高さに相当する5μm〜30μmの高さを有している。このため、陽極12に対して基体20表面よりも接近しており、突起物21を内包する花弁状構造による電界集中がおこる。
前記構造をとることにより、各炭素薄片23aの形状による電界集中と、花弁状炭素薄片集合群23の形状による電界集中の相乗効果が発生する。対して粒状の突起物21が形成されていない基材の場合、突起物21の表面に相当する位置に花弁状炭素薄片集合群23が形成されず、基材の平滑な表面に平坦な平面状炭素薄片集合膜24が形成されるだけである。突起物21及び花弁状炭素薄片集合群23を備えた電界放出型電極は、突起物21及び花弁状炭素薄片集合群23のない平面状炭素薄片集合膜24で電子を放出する電界放出型電極に比べて凹凸に富み、容易に電子の放出が可能となり、所定値の電界放出電流に達するまでの閾値電圧を引き下げることができる。
このような構成の陰極11においては、各炭素薄片23aは、基材22と接する部分が曲線状で、垂直配向したカーボンナノチューブにおける点状接触と比較して、大面積で接触しているので、基材22との密着強度は点状接触のCNTよりも非常に高い。
ここで、上記構成を有する陰極11の製造方法を説明する。
まず、基体30をエタノールとアセトンで、それぞれ10分間超音波洗浄する。続いて、粒径10μm〜30μmの窒化ケイ素等のセラミック粒子、ダイヤモンド、炭化珪素の少なくとも何れかを含む微粒子(砥粒)1gを有機溶剤(エタノール)25mlに加えた懸濁液を作成し、十分に攪拌する。有機溶剤には、微粒子が有機溶剤内で均等に分散されるように、有機溶剤の比重を微粒子の比重に近似させるような添加剤を加えてもよい。
続いて、洗浄後の基体20を、この混濁液に浸漬させ、43kHzの超音波を10分間印加する。
その後、基体20を取り出し、エタノールとアセトンで、それぞれ10分間超音波洗浄を施す。以上の工程により、基体20の表面にダイヤモンドからなる粒状の突起物21が固着した基材22が形成される。
この基材22を、DC(直流)プラズマCVD装置の処理容器内の下部電極上に載置する。
このDCプラズマCVD装置は、下部電極と上部電極を有する汎用的な処理装置でよい。基材22の載置が完了すると、次に、処理容器内を1Pa程度に減圧する。続いて、処理容器内に92vol%の水素ガスと8vol%のメタン等の炭素含有ガスとを導き、50cm離した上部電極と下部電極との間に700Vの電圧を印加し、流れる電流を制御することにより、プラズマ状態及び基材22の温度を制御する。基材22の温度を950℃以上1200℃以下に制御することが望ましい。この処理を40〜180分程度継続して、突起物21を核とした花弁状炭素薄片群23を結晶成長させる。
処理を一定時間実行したのち、電圧の印加を停止し、続いて、処理ガスの供給を停止し、処理容器内に窒素ガスを供給して常圧に復帰した後、基材22を取り出す。このようにすると、比較的簡易な工程により、電界放出特性に優れた電界放出型の陰極11を製造することができる。
突起物21を核として結晶成長された花弁状炭素薄片群23は最も電界放出しやすい箇所であり、この部位を多くすることが高い電流密度を可能とする。高密度に密集した炭素薄片群である花弁状炭素薄片群23は突起物21上に選択的に形成されるので、花弁状炭素薄片群23が基体20上にムラなく均等且つ高密度に分布されるために、突起物21を基材22に均等且つ高密度に分布させることが好ましい。このため、基体20の表面の所定の位置に、突起物21の一部が埋没するような窪みを設けて突起物21を含む懸濁液を基体20上に散布して窪みに突起物21を入り込ませ、この後、上述のように突起物21上に花弁状炭素薄片群23を生長させれば、所定の位置に選択的に花弁状炭素薄片群23を形成することができる。
次に、電界放出型ランプ10の駆動方法を、図5、図6を参照しつつ説明する。
図5は、花弁状炭素薄片群23を有する陰極11を備えた炭素系電界放出素子の電流電圧特性を示す特性図である。
図6は、電界放出型ランプ10に印加する電圧を示す図である。
一般的な炭素系電界放出素子の陰極と陽極との間に電圧を印加し、その電流電圧特性を調べると、その電流電圧特性がトンネル効果に依存することから、図5のように、ファウラー・ノルドハイムの式に近似した大きな非線形を持つ。
陰極及び陽極間に印加する電圧を上昇させると、電流密度10μA/cmを超えて急激に電流が増大し始める閾値電圧V0がある。また、陰極及び陽極間に印加する電圧を、閾値電圧V0よりも更に高くしていくと、電流がファウラー・ノルドハイムの式からずれて飽和し、印加電圧に対して一時関数的に電流が増大する線形領域と電流の増加がなだらかになる非線形領域との間の閾値電圧である非線形閾値電圧V1になる。
電界放出型ランプ10では、各炭素薄片23aの高さは概ね均等なので花弁状炭素薄片集合群23の先端と陽極12との距離は、均等な径の突起物21を用いることによって概ね均等になる。このため花弁状炭素薄片集合群23の各所から比較的電界放出しやすい。しかし、微視的にみると、陰極と陽極との距離は完全に一定ではない。このような状態で閾値電圧V0を越えた定電圧を印加し続けると、電界集中に不均衡が生じ、蛍光体14で輝度ムラが生じてしまいやすい。
また、輝度ムラを解消するために電流密度の低い部位にも十分な電流を流そうと常時、非線形閾値電圧V1以上の電圧を印加し続けると、蛍光体14に電子の衝突による熱が蓄積され蛍光体14の結晶構造に著しく悪影響を及ぼす恐れがある。
また、このような駆動方法では、蛍光体14の位置的な輝度ムラに加え、時間的に輝度が変化する場合がある。輝度逓減には、種々の原因が考えられる。その一つとして、真空封止された硝子管13内でイオン化したガス種の電界放出部への吸着及び脱離がある。
電界放出型ランプ10は製造時に真空封止されるため、一旦硝子管13内で生成されたガスを外に排気することができない。硝子管13内で蛍光体14や封止材から発生した脱ガスは、発光時の電子衝突によりイオン化され、陰極11の電界放出部に引き寄せられる。
陰極11及び陽極12間に閾値電圧V0より十分高く非線形閾値電圧V1より十分低い電圧を印加する場合、陰極11の電界放出部の温度が初期にはあまり高くならないので、蛍光体14の劣化を抑える代わりにその電界放出部にガス種が吸着したまま脱離せずに電界放出を阻害する。その後、電界放出型ランプ10の周囲環境の温度上昇或いは陰極における温度の緩やかな上昇により、ガス種が電界放出部から脱離して電界放出が回復し、また周囲環境の温度の低下によって吸着を繰り返すようになる。このようなイオン化したガス種の振る舞いにより、電界放出特性が経時的に変化し、ちらつきとなる。
また、他の原因として、陽極12の表面の蛍光体に電荷がチャージアップされて、陰極11と蛍光体14との間の電場を歪ませ、電界放出部から放出される電子線の起動を揺らすことが考えられる。蛍光体14は、その電気特性が絶縁性である場合が多いためキャパシタとして機能してしまい、チャージアップした蛍光体14から電荷を放出させるためには、数秒オーダの時定数が必要であるが、陰極11及び陽極12間に閾値電圧V0より十分高い電圧を印加し続けると、蛍光体14に蓄積された電荷を放出できずに、視認できる周期での輝度のちらつきが発生する。
本実施形態の駆動装置1では、陽極12を基準電圧Vssに固定し、切替信号出力回路6が交互に制御回路のPチャネル型MOSトランジスタ5a及びNチャネル型MOSトランジスタ5bをオン、オフさせ、切替スイッチのNチャネル型MOSトランジスタ4を繰り返してオン、オフさせることによって、トランス3からの出力を変位させて、図6に示す波形の出力信号Sを電界放出型ランプ10の陰極11と陽極12との間に出力する。則ち、非線形閾値電圧V1未満の電圧と非線形閾値電圧V1以上の電圧とを、切替信号出力回路6の出力によって断続的且つ交互に繰り返して出力するパルス駆動を行う。なお、基準電位Vssは接地電位、負電位、正電位のいずれであってもよい。
出力信号Sが、非線形閾値電圧V1以上の期間には次のような作用効果を奏する。
陰極11の電界放出部の花弁状炭素薄片群23から電子が放出され、その電子が加速されて陽極12表面に塗布された蛍光体14に入り、蛍光体14が起されて発光する。このとき、放出された電子は高電圧によって十分加速されているので、比較的発光効率の低い蛍光体14の表面のみにとどまることなく蛍光体14の深さ方向に進入することができるため、効率的に電子の持つ運動エネルギーによって蛍光体14を励起することができ発光効率を向上できる。
また陰極11と陽極12との間の距離が比較的長いために低い電圧下で輝度の低い部位があった場合でも十分高い輝度で発光するので位置的な輝度ムラを著しく改善できる。さらにこのような高電圧時には、表面積が大きい花弁状炭素薄片群23に吸着されていたガス(特に駆動前に吸着されていたガス)が、花弁状炭素薄片群23に形成された強電界によって吹き飛ばされ電界放出特性を損なうことがない。加えて出力信号Sでは高電圧時を短い周期で断続的に繰り返すことによって駆動時のガスの吸着を抑制することができる。
出力信号Sの電圧が非線形閾値電圧V1未満の期間には、次のような作用効果を奏する。
出力信号Sを非線形閾値電圧V1以上の電位から低くしているため電子の放出は低減もしくはなくなるが、駆動装置1では、この周期を人の視覚的分解能を越えるように1m秒以下と短い駆動パルス周期に設定しているので、再び非線形閾値電圧V1以上にして電流密度を増大するまでの短い低電圧期間、蛍光体14の残光でランプの輝度は継続して維持され、ちらつきを生じることはない。
そして、出力信号Sが常時非線形閾値電圧V1以上であるのに比べて、蛍光体14における電子の衝突を低減もしくは消失させているので、衝突による蛍光体14の加熱を抑えて蛍光体14の寿命を長くすることができ、さらに印加電圧が非線形閾値電圧V1より低い期間が長い程、消費電力を抑えることができる。また蛍光体14での電荷の経時的な蓄積を抑制でき、特に、非線形閾値電圧V1よりも低い期間の陰極11と陽極12との間の電圧が0ボルト若しくは負電界になるほど蓄積を阻害して、よりちらつきの少ない発光を実現できる。
以上のように、駆動装置1は、出力信号Sとして周期的に非線形閾値電圧V1以上の電圧と非線形閾値電圧V1未満の電圧とを繰り返して出力することによって、相互の電圧時のメリットを維持するとともに、一方の電圧時のデメリットを他方の電圧時に緩和させることができる。
さらに、本実施形態の電界放出型ランプ10は、次のような作用効果を奏する。
(1) 陰極11に、ナノ構造の複数の花弁状炭素薄片群23を所定位置に選択的に設けることができ、また花弁状炭素薄片群23の炭素薄片23aが密集しているために電界放出部の単位面積当たりの数が多いので、電流密度を高くすることができる。
(2) CNTではその高さが揃えにくいが、花弁状炭素薄片群23は、高さをほぼ均等にできるので、輝度の場所的なばらつき(輝度の不均一による斑模様)を解消できる。
図7は、蛍光体の発光状態を示す説明図であり、同図(a)は直流電圧を印加した場合の発光状態であり、同図(b)は、図7(a)と同程度の輝度を得るために本発明のパルス駆動を行った場合の発光状態である。
例えば2300cd/mの輝度を得るために、電界放出型ランプ10を直流駆動する場合、直流7.4ボルトを印加すると、図7(a)のように蛍光体14が発光し、輝度の部分的なばらつきも生じやすい。これに対し、電子の放出を停止する期間を設けることにより、同じ2300cd/mの輝度を得る場合でも。図7(b)のように、輝度の場所によるばらつきが低減される。
図8は、輝度の時間方向のばらつき(ちらつき)を示す図であり、同図8(a)は、図7(a)と同様に直流駆動の場合を示し、同図8(b)は、図7(b)と同様に本発明におけるパルス駆動の場合を示す。
蛍光体14の表面を動画像として5秒間撮影し、蛍光体14の各位置における輝度の標準偏差σ1を求め、グレースケールで示す(標準偏差が高い方を白、低い方を黒とする)と、直流駆動の場合は、図8(a)のように、256階調での標準偏差σ1が50となり、パルス駆動の場合には図8(b)のように、標準偏差σ1が5となる。則ち、パルス駆動を行うことで、各場所での輝度のばらつきと、時間方向の輝度のばらつきの両方が低減されていることが確認された。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、電界放出型ランプ10の形状について、用途に応じて変形が可能である。また、出力信号Sにおいて、非線形閾値電圧V1以上の電圧の割合は、図6に限定されるものではなく、これを変化させて輝度を調整するようにしてもよい。
本発明の実施形態に係る電界放出型ランプの要部断面図及び電界放出型素子の駆動装置1の回路構成を示す図である。 陰極の部分拡大断面図である。 花弁状炭素薄膜集合体を示す図である。 花弁状炭素薄膜集合体を示す断面図である 炭素系電界放出素子の電流電圧特性を示す特性図である。 電界放出型ランプに印加する電圧を示す図である。 蛍光体の発光状態を示す説明図であ。 輝度の時間方向のばらつきを示す図である。
符号の説明
10……電界放出型ランプ、11……陰極、12……陽極、13……硝子管、14……蛍光体、20……基体、21……突起物、23……花弁状炭素薄片群、V0……閾値電圧、V1……非線形閾値電圧

Claims (9)

  1. 電界放出型素子の陰極及び陽極の間に、印加電圧に対して一次関数的に電流が増大する線形領域と電流の増加がなだらかになる非線形領域との間の閾値電圧である非線形閾値電圧以上の電圧と、電流密度10μA/cmを越える閾値電圧以上であって且つ前記非線形閾値電圧未満の電圧と、を交互に出力することを特徴とする電界放出型素子の駆動装置。
  2. 前記非線形閾値電圧以上の電圧は周期的に出力されることを特徴とする請求項1に記載の電界放出型素子の駆動装置。
  3. 前記電界放出型素子は、管内が真空雰囲気の電界放出型蛍光管であることを特徴とする請求項1又2に記載の電界放出型素子の駆動装置。
  4. 前記電界放出型素子の前記陰極は、炭素材料からなる電界放出部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電界放出型素子の駆動装置。
  5. 前記電界放出型素子の前記電界放出部は、基体に設けられた複数の突起部と前記突起部の表面に形成された花弁状の炭素薄片群とを有することを特徴とする請求項4に記載の電界放出型素子の駆動装置。
  6. 前記花弁状の炭素薄片群は、複数の層のグラフェンシートで構成されていることを特徴とする請求項5に記載の電界放出型素子の駆動装置。
  7. 駆動パルス周期が1m秒以下で駆動されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電界放出型素子の駆動装置。
  8. 電界放出型素子の陰極及び陽極の間に、印加電圧に対して一次関数的に電流が増大する線形領域と電流の増加がなだらかになる非線形領域との間の閾値電圧である非線形閾値電圧以上の電圧と、電流密度10μA/cmを越える閾値電圧以上であって且つ前記非線形閾値電圧未満の電圧と、を交互に出力することを特徴とする電界放出型素子の駆動方法。
  9. 駆動パルス周期が1m秒以下で駆動されることを特徴とする請求項8に記載の電界放出型素子の駆動方法。
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