JP4527936B2 - ゴム付き車輪 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム部の剥離を防ぎつつ軽量化及び低コスト化を図った農業機械用車輪等のゴム付き車輪に関し、特に田植機用車輪及び乗用管理機用車輪等に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、農業機械に装着されるようなゴム付き車輪として、例えば図9に示すボスタイプの機体取付部102と、ゴム部108が一体的に成形される円環状のリム104とを有するだけでなく、これらの両者を連接するスポーク部106を有した第1の従来技術に係るゴム付き車輪が考えられる。また、図10に示すボスタイプの機体取付部112と、円盤状のリム114とを有した第2の従来技術に係るゴム付き車輪も考えられる。
【0003】
一方、図11に示す赤道CLに対してオフセットされた円盤状のリム122を使用した第3の従来技術に係るゴム付き車輪や、図12に示す同じくオフセットされ且つ傾斜した円盤状のリム132を使用した第4の従来技術に係るゴム付き車輪も考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図10から図12に示された円盤状のリムは、図9に示す従来のスポークタイプリムと比較してリムとゴム部との間の境界線が長くなる為、この境界部分からゴム部の剥離が発生し易い欠点を有していた。
また、円盤状のリムを用いた構造では、サイドフォースに対する強度が低くなり、リムの板厚を厚くしなければならなかった。その為、円盤状のリムを用いた構造では、図9に示すスポークタイプのゴム付き車輪と同様に、重量が増大したり製造コストが下がらなかったりする等の欠点を有していた。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、ゴム部の剥離を防ぎつつ軽量化及び低コスト化を図り得るゴム付き車輪を提供することが目的である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1によるゴム付き車輪は、ゴム組付部を外周側寄りの部分に有する円盤状のリムが備えられ、このゴム組付部の周囲にゴム部が一体的に加硫成形されて形成されたゴム付き車輪であって、
このゴム組付部は、先端側をリムの外周側一周にわたって屈曲した略L字形の断面形状を有し、ゴム部の踏面部の中心に沿って円環状に延びる赤道を左右に越えて延びる水平部分と、この水平部分の径方向内側の、このゴム組付部の表裏面にそれぞれ存在するゴム部間を繋ぐ貫通穴が、所定間隔で円環状に配置されている部分とからなり、
ゴム部の内周端から外周側へ向かって傾斜しつつ幅が広がる形状にゴム部が形成され、
ゴム部に隣接したリムの部分に、リムの面を屈折して形成した外周側屈折部が少なくとも一箇所設けられたことを特徴とした。
【0007】
請求項1に係るゴム付き車輪の作用を以下に説明する。
本請求項のゴム付き車輪には、ゴム部が一体的に加硫成形されて周囲に形成されたゴム組付部を外周側寄りの部分に設けた円盤状のリムが、備えられている。このゴム組付部は、先端側をリムの外周側一周にわたって屈曲した略L字形の断面形状を有し、ゴム部の踏面部の中心に沿って円環状に延びる赤道を左右に越えて延びる水平部分と、この水平部分の径方向内側の、このゴム組付部の表裏面にそれぞれ存在するゴム部間を繋ぐ貫通穴が、所定間隔で円環状に配置されている部分とからなる。つまり、リムのゴム組付部には貫通穴が設けられており、この貫通穴によりリムの左右面側間でゴム部が繋がる構造となっている。
【0008】
従って、外部からのサイドフォース等の入力によるゴム部の変形が、ゴム組付部の貫通穴で繋がれたゴム部の部分により抑制される為、リムとゴム部との間の接着が確保されてゴム部の剥離を防ぐことができる。この結果として、製造時における接着不良の発生率を削減可能になると共に、ゴム付き車輪の耐久性の向上を図ることが可能になった。また、ゴム組付部に貫通穴を設けた事により、リムの体積を減少させ、ゴム付き車輪の軽量化を図ることも可能となった。
【0009】
一方、本請求項では、ゴム部の内周端から外周側へ向かって幅が広がる形状に、ゴム部が形成されている。これにより、泥濘地においてゴム部が沈下した場合、ゴム部に寄ってくる泥がこのゴム部に乗ってくるが、旋回に伴って内周側が傾斜した形状のゴム部から泥が確実に流れ落ちるので、ゴム部に付着して溜まり難くなる。
【0010】
さらに、このリムによって泥を押さえつつ、円盤状のリムが旋回するので、リムの上部に泥が上昇し難くなる。従って、主にスポーク部の旋回時においてこのスポーク部に泥の塊を乗せて運んで落とすという従来のスポークタイプのゴム付き車輪における問題点を解消できた。
【0011】
他方、本請求項では、ゴム部に隣接したリムの部分に、リムの面を屈折して形成した外周側屈折部が少なくとも一箇所設けられている。つまり、この外周側屈折部の存在によりリムの強度が高まって、リムの材料として薄肉の材料を使用できるようになるので、軽量で低コストにゴム付き車輪を製造することが可能となる。
【0012】
請求項2に係るゴム付き車輪の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項1と同様に作用するが、さらに本請求項は、ゴム部の踏面部の赤道部分から最大幅付近まで外側に延びる突起状のラグが、周方向略等間隔で左右交互にゴム部に配置されるという構成を有している。この為、泥濘地においても突起状のラグが確実に路面を捉えるので、本請求項のゴム付き車輪によれば、泥濘地でのより確実な走行が可能となる。
【0013】
請求項3に係るゴム付き車輪の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項2と同様に作用するが、さらに本請求項は、ラグの中心線が赤道に対する垂線とされ、赤道と平行に切断した何れのラグの断面においても、この中心線に対してラグが線対称に形成されるという構成を有している。
【0014】
従って、ゴム付き車輪の方向性が無くなり、機体の左右何れにこのゴム付き車輪を付けても同じ形となる結果として、従来左右別々に必要であったゴム付き車輪を共用化でき、部品の削減が可能となった。また、ゴム付き車輪の製造に際しては、共用化に伴う管理工数の削減により製造コストの低減が可能となった。
【0015】
請求項4に係るゴム付き車輪の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項3と同様に作用するが、さらに本請求項は、ラグを形作る稜線がラグの中心線に対して傾斜する形で、赤道部分から外側に向かってこのラグが徐々に狭くなるように形成されるという構成を有している。従って、走行時において、踏面部の中心部側のラグ間に入った泥が、ラグの傾斜により踏面部の中心側より外側に流出し易くなり、泥詰まりを減らして走破性を向上させることができる。
【0016】
請求項5に係るゴム付き車輪の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項2と同様に作用するが、さらに本請求項は、ラグの赤道側の部分が、踏面部の周方向に沿って伸びる突起部に繋がるという構成を有している。従って、この突起の存在により旋回時の横流れを防止して、ゴム付き車輪の直進性を向上できるようになる。
【0017】
請求項6に係るゴム付き車輪の作用を以下に説明する。
本請求項では請求項1から請求項5と同様に作用するが、さらに本請求項は、リムを車両の機体に取り付ける機体取付部が、内周側屈折部を介して機体側に窪んだリムの位置に、平面状に形成されるという構成を有している。
【0018】
つまり、リムを車両の機体に取り付ける為の機体取付部は、最も大きなトルクが加わる部分となる。従って、内周側屈折部を介してこの機体取付部を機体側に窪ませる形状にすることによって、応力を分散させるようにした。これによって本請求項のゴム付き車輪を構成するリムは、故障し難くなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に係るゴム付き車輪を図1から図4に示し、これらの図に基づき説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係るゴム付き車輪10の骨格を構成する円盤状のリム12の中心部は、このリム12の面をS字形に屈折した内周側屈折部14を介して車両の機体側に平面状に窪んで形成され且つ、リム12を車両の機体に取り付ける為の機体取付部16とされている。つまり、この内周側屈折部14によってリム12の強度が得られるようになっている。
【0020】
この機体取付部16の中心の位置には、図示しない機体側の回転軸と嵌合する為の嵌合穴18が貫通して設けられており、また、この回転軸の外周側に設けられているディスク部分にボルトにより機体取付部16を締付ける為の穴部20が、この嵌合穴18の周りに一定間隔で複数配置されている。
【0021】
この円盤状のリム12の外周側寄りの部分には、ドラム面状に先端側をリム12の外周側一周にわたって屈曲して断面を略L字形とされたゴム組付部24が、設けられている。さらに、このゴム組付部24の周囲には、ゴム材により構成されるゴム部28が、一体的に加硫成形されてゴム組付部24に沿ってリング状に延びるように、接着されている。そして、図1(B)に示すようにこのゴム部28は、その内周端から外周側へ向かって傾斜しつつ幅が広がる形状に、形成されている。
【0022】
このゴム組付部24には、このゴム組付部24の表裏面にそれぞれ存在するゴム部28間を繋ぐ貫通穴26が、所定間隔で円環状に複数配置されており、このゴム部28の内周側部分であってゴム部28に隣接したリム12の箇所には、リム12の外周端と同軸状にこのリム12の面をS字形に屈折して形成した外周側屈折部22が、設けられている。つまり、この外周側屈折部22によってもリム12の強度が得られるようになっている。
【0023】
一方、このリング状に形成されるゴム部28の外周側は、路面と対向して接し得る踏面部30とされていて、図3に示すように、このゴム部28の外周側を形成する踏面部30の赤道CL上には、その周方向に沿ってそれぞれ伸びる突起部34が不連続に複数配置されている。また、この踏面部30の赤道CL部分から最大幅付近まで外側に延びる突起状のラグ32が、周方向略等間隔で踏面部30に左右交互に配置されており、このラグ32の赤道CL側がそれぞれ突起部34に繋がっている。この為、赤道CLから外側に伸びる突起状のラグ32の数に対応してこの突起部34が存在していることになる。
【0024】
そして、図3に示すようにこのラグ32は赤道CL側が太くされていて、この赤道CL側から外側に向かって徐々に狭くなるように、ラグ32は形成されている。また、図3に示すようにこのラグ32の中心線Vは、踏面部30の中心に沿って円環状に延びるこの赤道CLに対する垂線とされている。そして、図3及び図4に示すように、赤道CLと平行に切断した何れのラグ32の断面においても、この中心線Vに対してラグ32を形作る左右の稜線32Aは、線対称に形成されつつラグ32の中心線Vに対してそれぞれ傾斜した形になっている。
【0025】
尚、ここで赤道CLとは、この踏面部30の中心に沿って円環状に延びる線を言い、また、ゴム組付部24は、この赤道CLを図1(B)において左右に越える長さを有しており、このゴム組付部24によってゴム部28を均等に支えることが可能となっている。
【0026】
次に、本実施の形態に係るゴム付き車輪10の作用を以下に説明する。
本実施の形態に係るゴム付き車輪10には、ゴム部28が一体的に加硫成形されて周囲に形成されたゴム組付部24を、外周側寄りの部分に設けた円盤状のリム12が、備えられている。このゴム組付部24には、その表裏面にそれぞれ存在するゴム部28間を繋ぐ貫通穴26が、所定間隔で複数配置されている。つまり、リム12のゴム組付部24には貫通穴26が設けられており、この貫通穴26によりリム12の左右面側間でゴム部28が繋がる構造となっている。
【0027】
以上より、外部からのサイドフォース等の入力によるゴム部28の変形が、ゴム組付部24の貫通穴26で繋がれたゴム部28の部分によって抑制される為、リム12とゴム部28との間の接着が確保されて、リム12からのゴム部28の剥離を防ぐことができる。この結果として、製造時における接着不良の発生率を削減可能になると共に、ゴム付き車輪10の耐久性の向上を図ることが可能になった。さらに、ゴム組付部24に貫通穴26を設けたのに伴って、リム12の体積を減少させ、ゴム付き車輪10の軽量化を図ることも可能となった。
【0028】
また、本実施の形態では、図1(B)に示すように、ゴム部28の内周端から外周側へ向かって傾斜しつつ幅が広がる形状に、ゴム部28が形成されている。この為、泥濘地においてゴム部28が泥内に沈下した場合、ゴム部28に寄ってくる泥がこのゴム部28に乗ってくるが、旋回に伴って内周側が傾斜した形状のゴム部28から泥が確実に流れ落ちるので、ゴム部28に付着して溜まり難くなる。
【0029】
さらに、本実施の形態では、円盤状のリム12によって泥を押さえつつこのリム12が旋回するので、リム12の上部に泥が上昇し難くなる。従って、主にスポーク部の旋回時においてこのスポーク部に泥の塊を乗せて運んで落とすという従来のスポークタイプのゴム付き車輪における問題点をも解消できた。
【0030】
そして、ゴム部28に隣接したリム12の部分に、リム12の面を屈折して形成した外周側屈折部22が一箇所設けられている為、この外周側屈折部22の存在によりリム12の強度が高まって、リム12の材料として薄肉の材料を使用できるようになり、これに伴って、軽量で低コストにゴム付き車輪10を製造することが可能となる。
【0031】
この一方、本実施の形態では、図3に示すように、踏面部30の赤道CL部分から最大幅付近まで外側に延びる突起状のラグ32が、周方向略等間隔で左右交互にゴム部28に配置されている。従って、泥濘地においても突起状のラグ32が確実に路面を捉えるので、本実施の形態のゴム付き車輪10によれば、泥濘地でのより確実な走行が可能となる。
【0032】
また、本実施の形態では、ラグ32の中心線Vが赤道CLに対する垂線とされ、赤道CLと平行に切断した何れのラグ32の図4に示すような断面においても、この中心線Vに対してラグ32の左右の稜線32Aが線対称に形成されている。この為、ゴム付き車輪10の方向性が無くなり、機体の左右何れにこのゴム付き車輪10を付けても同じ形となる結果として、従来左右別々に必要であったゴム付き車輪10を共用化でき、部品の削減が可能となった。また、ゴム付き車輪10の製造に際しては、共用化に伴う管理工数の削減により製造コストの低減が可能となった。
【0033】
さらに、ラグ32の赤道CL側が、踏面部30の周方向に沿って伸びる突起部34に繋がっており、このラグ32を形作る稜線32Aがラグ32の中心線Vに対して傾斜する形で、赤道CL部分から外側に向かってこのラグ32が徐々に狭くなるように形成されている。
【0034】
従って、この突起部34の存在により、機体の旋回時の横流れを防止して、ゴム付き車輪10の直進性を向上できるようになるだけでなく、走行時において、踏面部30の中心部側のラグ32間に入った泥が、ラグ32の傾斜により中心側より外側に流出し易くなり、泥詰まりを減らして走破性を向上させることができるようになった。
【0035】
他方、本実施の形態では、リム12を車両の機体に取り付ける機体取付部16が、内周側屈折部14を介して機体側に窪んだリム12の位置に、平面状に形成されている。つまり、リム12を車両の機体に取り付ける為の機体取付部16は、最も大きなトルクが加わる部分となるので、内周側屈折部14を介してこの機体取付部16を機体側に窪ませる形状にすることによって、応力を分散させるようにした。これによって本実施の形態のゴム付き車輪10を構成するリム12は、故障し難くなる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るゴム付き車輪を図5に示し、これらの図に基づき説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
本実施の形態も第1の実施の形態と同様に、ゴム組付部24に貫通穴26が所定間隔で円環状に複数配置されている。但し、本実施の形態では貫通穴26が第1の実施の形態のものよりも小さく形成されている。
【0037】
さらに、図5に示すように本実施の形態では、この貫通穴26が設けられた部分の外周側のドラム状とされた箇所における貫通穴26間の中間部分に、それぞれ貫通穴40が配置されており、また、貫通穴26が設けられた部分の内周側であって貫通穴26間の中間部分にも、それぞれ貫通穴42が配置されている。つまり、貫通穴26だけでなく、貫通穴40及び貫通穴42がゴム組付部24に円環状に貫通穴26とそれぞれ同数配置されており、これら各貫通穴40、42によっても、ゴム組付部24の表裏面にそれぞれ存在する図1のゴム部28間を繋いでいる。
【0038】
以上より、外部からのサイドフォース等の入力によるゴム部28の変形が、貫通穴26、40、42をそれぞれ有したゴム組付部24によって、第1の実施の形態よりも一層確実に抑制される為、リム12からのゴム部28の剥離を確実に防げ、第1の実施の形態と同様に接着不良の発生率を削減可能になると共に、ゴム付き車輪10の耐久性の向上を図ることが可能になった。
【0039】
さらに、ゴム組付部24に貫通穴26だけでなく貫通穴40、42を設けたのに伴って、ゴム付き車輪10の軽量化をより一層図ることも可能となった。尚、本実施の形態では、貫通穴40及び貫通穴42をゴム組付部24にそれぞれ配置したが、これらの何れか一方のみ配置するようにしても良い。
【0040】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るゴム付き車輪を図6に示し、この図に基づき説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
図6に示すように本実施の形態では、第2の実施の形態と同様にゴム組付部24に、貫通穴44、46がそれぞれ円環状で内外周二列となるように、複数づつ配置されている。
【0041】
但し、本実施の形態においては、外周側に位置する貫通穴44が大径に形成され、内周側に位置する貫通穴46が小径に形成されるだけでなく、外周側の貫通穴44間のピッチより内周側の貫通穴46間のピッチが小さくされるのに伴って、外周側の貫通穴44の数より内周側の貫通穴46の数が多くゴム組付部24に配置されている。以上より、第2の実施の形態と同様に貫通穴を複数列有していることから、本実施の形態も第2の実施の形態と同様の作用効果を奏することになる。
【0042】
次に、本発明の第4の実施の形態に係るゴム付き車輪を図7に示し、第5の実施の形態に係るゴム付き車輪を図8に示し、これらの図に基づき各実施の形態をそれぞれ説明する。尚、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。
【0043】
図7に示す第4の実施の形態では、ゴム組付部24に貫通穴48が、第1の実施の形態と同様に一列で複数個配置されているが、本実施の形態ではこれら貫通穴48が正方形に形成されている。また、図8に示す第5の実施の形態では、ゴム組付部24に貫通穴50が、第1の実施の形態と同様に一列で複数個配置されているが、本実施の形態ではこれら貫通穴50が楕円形に形成されている。以上より、これら実施の形態も第1の実施の形態と同様に貫通穴をそれぞれ複数づつ配置していることから、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することになる。
【0044】
次に、本発明に係る実施例を従来例と比較する評価テストを施した結果を説明する。
先ずサンプルとして、図9に示す第1の従来技術に係るゴム付き車輪を従来例1とし、図10に示す第2の従来技術に係るゴム付き車輪を従来例2とし、図11に示す第3の従来技術に係るゴム付き車輪を従来例3とし、図12に示す第4の従来技術に係るゴム付き車輪を従来例4とする。また、上記実施の形態で説明した図1に示すゴム付き車輪10を実施例とする。
【0045】
そして、これら実施例及び従来例にそれぞれ評価テストを実施した結果を、以下の表1に表す。ここで評価項目としては、ロングランドラム耐久テスト、実車テスト及び、リム−ゴム間剥離である。
【0046】
【表1】
Figure 0004527936
【0047】
尚、この表1において、「部品の数」としてゴム部を一つとして数える。「その他」というのは、オイルシールリング及び平ワッシヤーである。また、「ディスク」とはリムを意味する。
【0048】
一方、評価テストの内のロングランドラム耐久テストとは、室内ドラム試験機を用い、規定荷重を加えた状態で車輪を目標走行距離を越えて走行させるテストである。リム−ゴム間剥離とは、製造時におけるリムとゴム部との間の剥離が補修可能か否かのテストである。また、実車テストとは、代掻きをした圃場で6条植え田植え機にて田植えを行った際に、上記の各サンプルを前輪に装着して評価したものである。
【0049】
上記の表1より、ロングランドラム耐久テストにおいて、実施例は、目標完走後、目標距離150%走行継続しても故障が無く、従来例1から従来例4よりも優れていることが確認された。また、リム−ゴム間剥離においても実施例は、製造時の剥離の補修が可能で、従来例2から従来例4よりも優れていることが確認された。
【0050】
他方、実車テストの泥付着性では、実施例が最も良く従来例4、従来例3、従来例2、従来例1の順に悪くなっており、また実車テストのリム剛性では、実施例及び従来例1が最も良く従来例2、従来例3、従来例4の順に悪くなっていた。尚、この実車テストの泥付着性及びリム剛性の評価点は、点数が高い程、良好であることを示す。
つまり、この表1から実施例が従来例1〜4よりも全体的に評価が高く、従来例よりも実施例が優れていることが理解できる。
【0051】
尚、本実施の形態では、外周側屈折部及び内周側屈折部をそれぞれ屈折部として形成したが、他に屈折部を設けても良い。また、本実施の形態では、貫通穴を1列から3列配置したが、4列以上配置しても良い。
【0052】
【発明の効果】
本発明のゴム付き車輪は上記構成としたので、ゴム部の剥離を防ぎつつ軽量化及び低コスト化を図ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るゴム付き車輪を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は(A)のB−B矢視線断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るゴム付き車輪に適用されるリムを示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は(A)のB−B矢視線断面図であり、(C)は側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るゴム付き車輪の踏面部を展開して表す図である。
【図4】図3の4−4矢視線断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るゴム付き車輪を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は側面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係るゴム付き車輪を示す正面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るゴム付き車輪を示す正面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係るゴム付き車輪を示す正面図である。
【図9】第1の従来技術に係るゴム付き車輪を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は(A)のB−B矢視線断面図である。
【図10】第2の従来技術に係るゴム付き車輪を示す図であって、(A)は正面図であり、(B)は(A)のB−B矢視線断面図である。
【図11】第3の従来技術に係るゴム付き車輪を示す横断面図である。
【図12】第4の従来技術に係るゴム付き車輪を示す横断面図である。
【符号の説明】
10 ゴム付き車輪
12 リム
14 内周側屈折部
16 機体取付部
22 外周側屈折部
24 ゴム組付部
26 貫通穴
28 ゴム部
32 ラグ

Claims (6)

  1. ゴム組付部を外周側寄りの部分に有する円盤状のリムが備えられ、このゴム組付部の周囲にゴム部が一体的に加硫成形されて形成されたゴム付き車輪であって、
    このゴム組付部は、先端側をリムの外周側一周にわたって屈曲した略L字形の断面形状を有し、ゴム部の踏面部の中心に沿って円環状に延びる赤道を左右に越えて延びる水平部分と、この水平部分の径方向内側の、このゴム組付部の表裏面にそれぞれ存在するゴム部間を繋ぐ貫通穴が、所定間隔で円環状に配置されている部分とからなり、
    ゴム部の内周端から外周側へ向かって傾斜しつつ幅が広がる形状にゴム部が形成され、
    ゴム部に隣接したリムの部分に、リムの面を屈折して形成した外周側屈折部が少なくとも一箇所設けられたことを特徴としたゴム付き車輪。
  2. ゴム部の踏面部の赤道部分から最大幅付近まで外側に延びる突起状のラグが、周方向略等間隔で左右交互にゴム部に配置されることを特徴とした請求項1記載のゴム付き車輪。
  3. ラグの中心線が赤道に対する垂線とされ、赤道と平行に切断した何れのラグの断面においても、この中心線に対してラグが線対称に形成されることを特徴とした請求項2記載のゴム付き車輪。
  4. ラグを形作る稜線がラグの中心線に対して傾斜する形で、赤道部分から外側に向か ってこのラグが徐々に狭くなるように形成されることを特徴とした請求項3記載のゴム付き車輪。
  5. ラグの赤道側の部分が、踏面部の周方向に沿って伸びる突起部に繋がることを特徴とした請求項2記載のゴム付き車輪。
  6. リムを車両の機体に取り付ける機体取付部が、内周側屈折部を介して機体側に窪んだリムの位置に、平面状に形成されることを特徴とした請求項1から請求項5の何れかに記載のゴム付き車輪。
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