本発明の実施の一形態について図1ないし図24に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置の転写ベルトユニット8(転写担持体装置、当接部材)を感光体ドラム3a〜3d(像担持体、担持体)に対して離接する離接機構の要部の構成を示す。同図に示すように、本離接機構は転写ベルトユニット8を、画像形成位置と、いずれの感光体ドラム3a〜3dからも離間し、かつ、フリーな状態となるフリー位置とのいずれかに保持する。また、本離接機構は、レール部材201(支持部材、位置決め部材)と、画像形成装置の側面カバー35(外装の一部)に連動するスライド部18(付勢部材)とを備えている。
ここで、画像形成装置の外装は、図15に示すように、操作側の前フレーム205、リア側(後面側)の後フレーム206、および、開閉可能な側面カバー35を備えている。前後フレーム205・206(フレーム部材、フレーム)は、画像形成装置の主フレーム部材である。なお、本実施の形態において、側面カバー35は画像形成装置における側面の一部を構成するものであり、側面カバー35が閉状態の場合は、側面上部カバー28(図1・2参照)とともに、画像形成装置の外装における側面を構成する。
前フレーム205および後フレーム206は、転写ベルトユニット8における後述する転写ベルト7(転写担持体、当接部材)を支持するためのローラ部材(例えば、後述する駆動ローラ71やテンションローラ73等)の軸に直交し、かつ、シートの搬送方向に平行な側面にそれぞれ設けられている。この前後フレーム205・206を基準に、画像形成プロセス等を実行する各機能ユニットが位置決めされ配置されている。
また、転写ベルトユニット8の下方には、図23に示すように、固定部17およびスライド部18を備えたスライド板が配されている。このスライド板は、側面カバー35と連動するものであり、側面カバー35が引き出される際には共に引き出される。なお、ここでは、スライド板は、アキュライド(登録商標)からなり、前フレーム205側と後フレーム206側とに、2つ配されている。
画像形成装置内において、転写ベルトユニット8は、前フレーム205および後フレーム206(図15参照)の内側にそれぞれ固定された、レール部材201・201に支持されている。
また、転写ベルトユニット8は、図3に示すように、支持軸78a・78b、および、支持部材50を備えている。
レール部材201(支持部材、位置決め部材)は、図2に示すように、ユニットリフトアーム211とストップ部材リフトアーム233とを備えるとともに、転写ベルトユニット8が配される側の表面203には、レール溝202を有している。レール溝202は、画像形成装置内への転写ベルトユニット8の着脱のために、転写ベルトユニット8の支持軸78a・78bを案内するためのものである。
また、レール溝202は、画像形成装置の上下方向に対向する凹部202a・202c、および、位置決め穴202bを有している。
位置決め穴(位置決め手段)202bは、支持軸78bの位置決めを行い、転写ベルトユニット8を回転可能に支持する。凹部(位置決め手段)202aは、転写ベルトユニット8における回転移動側の位置決めを行う。即ち、支持軸78aは、凹部202aに押し当てられることにより、画像形成位置に配される。
また、凹部202aと対向する位置には、凹部(位置規制手段)202cと凸部(位置規制手段)203aとが配されている。凹部202cおよび凸部203aは、転写ベルトユニット8がフリーな状態にある場合に、支持軸78aの位置ずれを防止する。ここで、フリーな状態とは、転写ベルトユニット8の支持が解除され、転写ベルトユニット8の支持軸78a・78bが、レール溝202の下面に接触した状態で載置されている状態をいう。
凸部203aは、凹部202aより、転写ベルトユニット8の画像形成装置への挿入口側(側面カバー35側)に配されている。これら、凹部202aおよび凸部203aは、転写ベルトユニット8がフリーな状態のときに、転写ベルトユニット8が挿入口側に不用意に移動して位置がずれないようにするために設けられていると共に、転写ベルトユニット8の挿入操作を行った際に感じることができる感覚により転写ベルト7が確実に挿入されたことを認識できるように設けられている。
なお、凹部202aおよび凸部203aは、両方設けられていてもよいが、これに限定されるものではなく、いずれか一方のみとしても上記の機能を果たすことは可能である。
ユニットリフトアーム211およびストップ部材リフトアーム233は、レール部材201において、回動可能に支持されている。
ユニットリフトアーム211は、図5に示すように、リフトブロック212、圧縮コイルスプリング(弾性部材)213、リフトコロ214を備えている。
リフトブロック212は、圧縮コイルスプリング213により図中矢印方向(感光体ドラム3a〜3dが配されている方向)に付勢されているとともに、スライド可能に支持されている。
リフトコロ214は、ユニットリフトアームに対して回転可能に取り付けられている。
一方、ユニットリフトアーム211の下方には、スライド部18が配されている。スライド部18は、図3に示すように、スライドカム18a・18bを備えている。
リフトコロ214は、図3に示すように、スライドカム18bの上面に係合する。また、図2に示すように、スライドカム18aは、その上面であるフラット部183において、ストップ部材リフトアーム233と係合し、その下部にあるスロープ部181で離接制御部38と係合する。
リフトコロ214、ストップ部材リフトアーム233、および、離接制御部38は、側面カバー35の開閉に応じて、それぞれ回転するように構成されている。
なお、対向するスライド部18に取り付けられたときに下部のスロープ部181と同じ位置になるよう、スライドカム18aの上部には、スロープ部182を設けていてもかまわない。このように、対称形に形成することにより、同一の部品を用いることができる。従って、製作時に使用する金型を共通にすることができ、量産効果を得て部品コストを低減させることができる。
以下、転写ベルトユニット8の画像形成装置への挿入について説明する。
図2に示すように、側面カバー35を開放した(引き出した)後、図中矢印で示すように、広く開口した部分から転写ベルトユニット8を挿入する。このとき、転写ベルトユニット8を斜めにして、支持軸78bをまずレール部材201のレール溝202に嵌める。そして、支持軸78bをレール溝202に滑らせながら転写ベルトユニット8を画像形成装置内に挿入する。
なお、このとき、側面カバー35と共に引き出される定着装置12を取り外して行ってもかまわない。これにより、転写ベルトユニット8を挿入させるときに開口する部分(画像形成装置への挿入口)を広くすることができる。
また、転写ベルトユニット8を挿入するにしたがい、転写ベルトユニット8を水平状態にする。
そして、支持軸78aが、凸部203aを乗り越え、凹部202aに位置したとき、転写ベルトユニット8は、完全に画像形成装置内に挿入されたこととなる。
なお、転写ベルトユニット8を挿入しているユーザは、支持軸78aが凸部203aから凹部202aに落下するときに得られる感覚により、転写ベルトユニット8が完全に挿入されたことを認識することができる。
このとき、転写ベルトユニット8は、フリーの状態(支持が解除された状態)であり、感光体ドラム3と転写ベルト7との間隔も充分に保たれている。
次に、この挿入された転写ベルトユニット8の位置決めをレール部材201により行う(転写ベルトユニット8を支持する)。この位置決めは、側面カバー35を閉めることにより行われる。
即ち、転写ベルトユニット8を挿入した後、側面カバー35を閉めることにより、スライド部18が固定部17に案内され、画像形成装置内をスライド移動する。
このとき、スライドカム18bがユニットリフトアーム211と係合(付勢)することにより、ユニットリフトアーム211は上方側に回転する。これにより、リフトブロック212は支持軸78bを押し上げることとなり、支持軸78bは、位置決め穴202bに案内される。また、圧縮コイルスプリング213の押圧力により、支持軸78bは位置決め穴202bに支持される。このように、支持軸78bは、側面カバー35を閉めることにより、位置決め穴202bに位置決めされる。
なお、この位置決めされ支持された状態で、支持軸78bは転写ベルトユニット8の回転支点となる。従って、リフトブロック212は、支持軸78bの回転の妨げにならないように、滑り性の良好な自己潤滑性の、例えばPON等によって形成されていることが好ましい。
一方、側面カバー35を閉めることにより、支持軸78aも、支持軸78bと略同時に離接制御部38によって上方に押し上げられ、凹部202aに接触した状態で支持(位置決め)される。
即ち、このような動作は、側面カバー35を閉める動作によって離接制御部38全体を上方に回転させることにより、カム部43・43を転写ベルトユニット8の支持部材50・50に接触させ押し上げることにより行われる。
このとき、支持部材50とハウジング70との間に備えられた弾性部材50aの押圧力により、転写ベルトユニット8の支持軸78aは、凹部202aに押し付けられて支持される。
ここで、例えば、多色モードを画像形成モードのデフォルトの状態として設定している場合、カム部43は図14に示す状態となるが、単色モードの場合は、カム部43は図13に示す状態となる。
図3に示すように、離接制御部38全体の回転移動は、後述する離接制御部38のフレーム部材49・49(図9参照)に設けられた回転ボス51・51をレール部材201・201から下側に伸びた離接手段支持部204・204に設けた穴によって回転可能に支持すると共に、離接制御部38の回転軸48の両端の外周に設けたスリーブ52・52を介してスライドカム18a・18aの下部のスロープ部181・181と係合させることで行う。
なお、離接制御部38に設けられた回転ボス51・51と、レール部材201・201から下側に伸びた離接手段支持部204・204の穴には、それぞれ切欠きを設けている。これにより、離接制御部38の着脱を側面カバー35側から容易にできるようになっており、組立て時間の短縮を図り組立てコストを低減させている。
また、転写ベルトユニット8の支持の解除は、側面カバー35を開放する(引き出す)ことで上記した逆の動きとなる。即ち、転写ベルトユニット8の支持軸78b・78aがレール部材201・201のレール溝203・203において落下することにより行うことができる。
これは、外装を開放した後に転写ベルトユニットの位置決めを解除するレバーの操作や、転写ベルトユニットを支持する引き出しユニット等を画像形成装置から引き出した後に、転写ベルトユニットを引き出しユニットから外して取り出す等の操作や機構部を用いないで行えるようになっている。
即ち、側面カバー35を開放することのみで、転写ベルトユニット8の支持が解除され、感光体ドラム3に対して充分に離間したフリーな状態とすることができる。これにより、工具等により締結状態を解除することなくそのまま画像装置外へ取り出すことや、ジャム等により転写ベルト7上に滞留しているシートを取り除くことができる。
従って、画像形成装置の小型化および軽量化を図ることができ、容易なメンテナンスおよびコストの低減を実現することができる。
以下、感光体ドラム3を転写ベルトユニット8に係止するためのストップ部材(阻止部材)について、図5、図11、図12を用いて説明する。
画像形成装置は、さらに、ストップ部材231を備えている。ストップ部材231は、鋼板等の薄板にて形成され前フレーム205の内側とレール部材201との間に位置し、レール部材201の複数の案内部材により上下方向にスライド移動できるようになっている。また、ストップ部材231は、常に引張コイルスプリング等よりなる弾性部材232…により下側に付勢されている。
上述したように、側面カバー35を閉めることにより、スライドカム18aがユニットリフトアーム211と、スライドカム18bがストップ部材リフトアーム233と係合する(図11参照)。これにより、ユニットリフトアーム211とストップ部材リフトアーム233とが上面側に回転移動し、ストップ部材231を押し上げ、レール部材201よりストップ部材231を突出させることとなる。
従って、図12に示すように、感光体ドラム3を含むプロセスユニット303(303a,303b,303c,303d)に設けられている誤引き出し防止のための凸部304(304a,304b,304c,304d)に、ストップ部材231の上記突出した部分を干渉させることにより、画像形成装置内からの感光体ドラム3の引き出しを阻止する状態とすることができる。即ち、感光体ドラム3を含むプロセスユニット303が画像形成装置から引出せないようにプロテクトする。
これにより、側面カバー35を開放せずに、即ち、転写ベルトユニット8が支持を解除され感光体ドラム3と転写ベルト7とが完全に離間した状態となっていないときに、プロセスユニット303を引出せないようにプロテクトしている。
この結果、転写ベルト7と感光体ドラム3とが接触した状態でのプロセスユニット303の引き出し動作を防止することができ、感光体ドラム3や転写ベルト7に傷が付くことを防止している。
一方、側面カバー35を開放することにより、図11に示すように、スライドカム18a・18bが対応するユニットリフトアーム211・ストップ部材リフトアーム233との係合が解除されることになる。これにより、ユニットリフトアーム211とストップ部材リフトアーム233とが下面側に回転移動し、ストップ部材231の押し上げが解除され、下側に向かって付勢する弾性部材232によりストップ部材231の先端(上端)がレール部材201の上端より低くなる。
従って、感光体ドラム3を含むプロセスユニット303の誤引き出し防止のための凸部304に対して施されている画像形成装置内からの引き出し阻止が解除され、感光体ドラム3を含むプロセスユニット303を引き出すことが可能となる。
このように、転写ベルト7と感光体ドラム3とが接触状態にあるときには、誤って感光体ドラム3を含むプロセスユニットを引き出すことができない。従って、感光体ドラム3や転写ベルト7に傷が付くのを防止できる。
なお、画像形成装置に対して着脱可能であり、離接機構を備えた転写担持体装置としては、転写ベルトユニット8に限定されるものではなく、感光体ベルトや、原稿やシート等を搬送するためのシート搬送ベルト等にも適用することが可能である。
以上のように、離接機構は、感光体ドラム3(担持体)に対して、転写ベルトユニット8(当接部材)を離接可能に支持する離接機構において、転写ベルトユニット8を支持するレール部材201(支持部材)と、転写ベルトユニット8が感光体ドラム3に当接するように、転写ベルトユニット8を感光体ドラム3の方向にレール部材201を介して付勢するスライド部18・離接制御部38(付勢部材)とを備える。レール部材201は、さらに、転写ベルトユニット8と感光体ドラム3との当接時における転写ベルトユニット8の位置決めを行うための凹部202a・位置決め穴202b(位置決め手段)を備える。また、スライド部18・離接制御部38を一方向に移動させることにより、凹部202a・位置決め穴202bによる転写ベルトユニット8の支持を解除し、転写ベルトユニット8を感光体ドラム3から離間させることができる。
これにより、スライド部18・離接制御部38を一方向に移動させるだけで、簡単に、転写ベルトユニット8をフリーな状態にすることができる。従って、転写ベルトユニット8を簡単に交換することができる。
また、離接機構は、感光体ドラム3(担持体)に対して、転写ベルトユニット8(当接部材)を離接可能に支持する離接機構において、転写ベルトユニット8を支持するレール部材201(支持部材)と、転写ベルトユニット8が感光体ドラム3に当接するように、転写ベルトユニット8を感光体ドラム3の方向にレール部材201を介して付勢するスライド部18・離接制御部38(付勢部材)とを備える。レール部材201は、転写ベルトユニット8と感光体ドラム3との当接時における当接部材の位置決めを行うための位置決め手段(凹部202a・位置決め穴202b)と、転写ベルトユニット8と感光体ドラム3との離間時における転写ベルトユニット8のレール部材201に対する位置ずれを規制するための凹部202c・凸部203a(位置規制手段)とを備えると共に、当接時にはスライド部18・離接制御部38により付勢された転写ベルトユニットを凹部202a・位置決め穴202bにより支持する一方、離間時には転写ベルトユニット8を載置することで支持する。
これにより、レール部材201は、離間時には転写ベルトユニット8を載置するのみである(レール部材201による支持が解除されている)ため、転写ベルトユニット8をフリーな状態にすることができる。従って、転写ベルトユニット8を簡単に交換することができる。
また、凹部202c・凸部203aにより、転写ベルトユニット8が位置決めのための支持を解除され、フリーな状態となった場合に、転写ベルトユニット8が不用意に位置ずれを起こさないようにすることができる。
さらに、例えば、凹部202a・位置決め穴202bのいずれかと凹部202c・凸部203aとを対向させることにより、フリーな状態からでもスムーズに位置決めを行うことができる。
また、上記離接機構は、レール部材201(支持部材)が、転写ベルトユニット8(当接部材)を着脱可能とするレール溝202(案内溝)を備えていることが好ましい。
これにより、転写ベルトユニット8を簡単に交換することができる。
即ち、上記離接機構を備えた画像形成装置は、画像データに基づき画像が形成される感光体ドラム3(像担持体)と、該感光体ドラム3に対して離接可能であり感光体ドラム3と接することにより上記画像を転写する転写ベルト7(転写担持体)を有する転写ベルトユニット8(転写担持体装置)とを備える。
そして、転写ベルトユニット8は、画像形成装置の側面カバー35(外装の一部)が開放される動作により、感光体ドラム3から離間される。あるいは、転写ベルトユニット8は、上記画像形成装置の側面カバー35(外装の一部)が開放される動作により、上記画像形成装置本体に対する支持が解除される。
従って、感光体ドラム3から転写ベルトユニット8に備えられた転写ベルト7が完全に離間され、ジャムなどで転写ベルトユニット8上に滞留しているシートを容易に取り出せる。
また、このとき転写ベルトユニット8がフリーな状態としてもよく、フリーな状態であればそのままの状態で転写ベルトユニット8だけを画像形成装置より簡単に取り出すこともできる。
従って、通常備えられている感光体ドラム3から転写ベルトユニット8を離間させる解除レバーを外装の解放後に操作することなく、また、解除レバーを操作後に転写ベルトユニット8を離間機構と共に外部へ引き出さずに済む。これにより、ジャム処理作業やメンテナンスのための転写ベルトユニット8の取り出し手順が少なくて済みスピーディーな作業が行える。
また、解除レバーや離間機構ごと転写ベルトユニット8を画像形成装置内より引き出さないので、画像形成装置の小型化および軽量化を図ることができると共に、製造コストの低減およびメンテナンスコストの低減も実現することができる。
さらに側面カバー35は、画像形成装置の外装のうち、転写ベルトユニット8の転写ベルト7を回転可能に支持する駆動ローラ73・テンションローラ71(ローラ部材)の軸に平行な外装であり、その軸と直交する方向に開放される。
即ち、側面カバー35は、画像形成装置におけるフレーム205・206を除く4面のうちいずれかに平行な外装である。従って、フレーム205・206に転写ベルトユニット8を着脱するための開口を設ける必要がないため、フレーム205・206の強度低下を引き起こすことがない。このため、フレーム205・206の厚さ等を増やしてその強度をアップさせずに済むので、画像形成装置の軽量化を図ることができる。
また、通常、駆動ローラ73・テンションローラ71の軸と平行な方向に外装を開放するとすると、特にタンデム型の画像表示装置の場合、開口が大きくなり、フレーム205・206の強度低下を引き起こすこととなる。
しかしながら、転写ベルトユニット8に対して、外装を駆動ローラ73・テンションローラ71の軸と直交する方向に移動させることにより、駆動ローラ73・テンションローラ71の軸と平行に移動させるときと比較すると、転写ベルトユニット8を画像形成装置本体に対して位置決め支持する機構をコンパクトに形成することができる。
また、転写ベルトユニット8を支持する駆動ローラ73・テンションローラ71の軸に直交する方向に外装を開放することは、シートの搬送方向の上流側または下流側に向かって外装を開放することとなる。
従って、ジャム等が発生した場合に、シートの先端または後端をつかんで、ジャムしたシートを搬送方向上流側または下流側に引き出すことが容易にできる。この結果、引き出す際にシートを破ってしまい、シートの破れた小片が手を差し入れることができない狭い箇所に残してしまうことを防ぐことができる。
以下、転写ベルトユニット8の構成について、図4、図16〜図19を用いて詳細に説明する。
転写ベルトユニット8は、図16に示すように、無端状ベルトである転写ベルト7と、ベルトユニットである転写ベルト支持ユニット(以下、支持ユニットと称する)81と、ベルトユニットである転写ベルト支持ユニット(以下、支持ユニットと称する)82とを備えている。
支持ユニット81と支持ユニット82とは、後述する連結部86にて互いに連結される。このように連結されて、支持ユニット81と支持ユニット82とが一直線状となった場合に、支持ユニット81・82上にて、転写ベルト7が張架された状態となる。
また、図17(a)(b)に示すように、支持ユニット81と支持ユニット82とは、ともに基台として同一のハウジング(基礎部材)70を有している。
また、ハウジング70は、図17(a)(b)に示すように、ネジやピン等の締結部材が貫通する穴を備えた連結部86と、ベルト張架用のローラ取付部であるベルト張架用ローラ取付部75…と、支点部や支持部として機能する支持軸78とを備えている。ここで、図16に示すように、支持軸78のうち、支持ユニット81の支持軸を支持軸78aとし、支持ユニット82の支持軸を支持軸78bとする。
また、図17(a)(b)に示すように、ハウジング70において、ベルト張架用ローラ取付部75の1つは、ハウジング70の一端に配され、後述する転写ベルト駆動ローラ71(図18(b))、又は、転写ベルトテンションローラ73(図18(a))が取り付けられる。
さらに、後述する画像形成ステーション(図4参照)に対向する側(上面(表面)側)であるハウジング70の表面には、図17(b)に示すように、転写ローラを取り付ける部分である転写ローラ取付部76a・76bが備えられている。
一方、画像形成ステーションと対向する側とは反対側であるハウジング70の裏面(下面)には、図17(a)に示すように、転写ベルト従動ローラ72,74(図4参照)が取り付けられる転写ベルト従動ローラ取付部77と転写ベルト駆動ローラ71および転写ベルトテンションローラ73(図18、22参照)が取り付けられるベルト張架用ローラ取付部75とが備えられている。
従って、同一のハウジング70・70に対して、複数の部品を組み合わせることによって、支持ユニット81および支持ユニット82を形成することができる。
即ち、支持ユニット82は、図18(a)に示すように、ハウジング70の上記表面に、ローラ部材である転写ベルトテンションローラ(以下、テンションローラと称する)73と、ローラ部材である転写ローラ6a・6bと、連結部材である固定板85とを備えている。
固定板85は、連結部86の一方の側に備えられ、締結部材等が貫通する穴あるいは螺合し締着されるネジ穴を有している。
テンションローラ73は、ハウジング70の一端に位置する上記ベルト張架用ローラ取付部75に取り付けられ(図17(a))、転写ローラ6a・6bは、それぞれ転写ローラ取付部76a・76bに軸受762(図22参照)を介して取り付けられ、例えば、軸方向と直角に上下方向に移動可能にされ、例えば圧縮コイルスプリング(弾性部材)763により上方向(画像形成ステーション側)に付勢されている。
また、支持ユニット81は、図18(b)に示すように、ハウジング70の上記表面に、ローラ部材である転写ベルト駆動ローラ(以下、駆動ローラと称する)71と、転写ローラ6c・6dと、固定板85とを備えている。固定板85は、上記と同様、上記支持ユニット82のハウジング70の連結部86と同じ側に備えられ、締結部材等が貫通する穴あるいは螺合し締着されるネジ穴を有している。
そして、駆動ローラ71は、ハウジング70の一端に位置する上記ベルト張架用ローラ取付部75に取り付けられ(図17(b))、転写ローラ6c・6dは、それぞれ転写ローラ取付部76b・76aに上記支持ユニット82と同様に取り付けられている。
さらに、支持ユニット81・82のハウジング70・70の裏面には、転写ベルト従動ローラ取付部77にて、後述する転写ベルト従動ローラ72・74(図4参照)が取り付けられている。なお、本実施の形態では、上記テンションローラ73と駆動ローラ71とは、転写ベルト7を張架するベルト張架用ローラとしての機能を兼ね備えている。
これらの支持ユニット81・82は、図17(a)(b)に示すハウジング70の端部にある連結部86にて、互いに連結されている(図19(a))。このとき、支持ユニット81と支持ユニット82とは、図19(a)に示すように、それぞれの支持ユニット81・82のハウジング70・70の上記した表面が1つの平面を構成し、ハウジング70・70の上記した裏面が1つの平面を構成している。
即ち、支持ユニット81のハウジング70は、図18(a)(b)に示すように、支持ユニット82のハウジング70を面内にて180度回転させた状態となって連結されている。
これにより、支持ユニット81に備えられた固定板85が、支持ユニット82において固定板85が備えられていない側の連結部86と連結される一方、支持ユニット82の固定板85が、支持ユニット81において固定板85が備えられていない側の連結部86に連結される。
より具体的には、図19(b)(c)の矢印にて示すように、固定板85を備えた支持ユニット81の連結部86が、固定板85を備えていない支持ユニット82の連結部86(図19(b))よりも内側になるように重なり、固定板85を備えた支持ユニット82が、固定板85を備えていない支持ユニット81の連結部86(図19(c))よりも内側になるように重なって、2つの支持ユニット81・82が連結される。
そして、この2つの支持ユニット81・82は、図19(b)(c)に示すうに、固定板85と連結部86とが、それぞれの穴を介して、支持締結部材(以下、支持部材と記載する)である段ビス83および支持固定部材(以下、固定部材と記載する)である段ビス84によって締結される。
また、段ビス84を取り去り段ビス83の締結状態を緩めることによって、上記各支持ユニット81・82は、この段ビス83を支点として回動することができる。
本実施の形態では、段ビス83が、支持ユニット81・82のハウジング70・70の上記表面側(図中、上側)に設けられている。そのため、支持ユニット81・82は、段ビス83を支点として、それぞれのハウジング70の表面が互いに接近するように回動するので、略V字型に折り曲がった状態を形成することが可能になっている。
そして、図19(a)に示すように、支持ユニット81と支持ユニット82とが一直線状に保つ場合には、ハウジング70の裏面側(図19(c)の下側)にて、支持ユニット81・82の固定板85と連結部86とを、段ビス84を差込みねじることにより固定する。さらに、段ビス83をねじって固定することにより確実に一直線状に維持させることができるようになっている。
なお、段ビス83と段ビス84とは、同一の締結部材となっている。これにより、部品種類を低減し、製造時の量産性を向上することができる。さらに、段ビス83・84をピン等の軸部材に置き換える場合は、固定板85や連結部86に設けられた穴をネジ穴ではなくピン等の軸部材の軸径とほぼ同一の穴径の穴にすればよい。
また、連結部86に設けられた穴は、段ビス83・84の段部の外径とほぼ同一の内径の穴であるため、精度の高い連結を行うことができる。段ビス83・84を強い締結状態とすることにより、固定板85と連結部86とをしっかりと固定することができる一方、締結状態を緩めて一方の段ビスを取り外すことにより、支持ユニット81・82を回動可能とすることができる。
なお、段ビス83・84は、同一の締結部材ではなく、異なる締結部材であってもよく、また、段ビスではなく通常のネジ等の締結部材を用いてもよい。
また、段ビス83は、ハウジング70の表面側の連結部86に設けることに限定されるものではなく、この2つの支持ユニット81・82をV字型とする際に、支点となる位置に段ビス83を設ければよい。
即ち、各支持ユニット81・82の各ハウジング70の裏面どうしが対向するように折り曲げた状態とする場合には、上述した段ビス84を設置した位置に、段ビス83を設けてもよい。
なお、本実施の形態では、ベルト張架用ローラ取付部75に取り付けられるテンションローラ73にテンション機能を持たせているが、これに限らずベルト従動ローラ取付部77に取り付けられる後述する転写ベルト従動ローラ72にテンション機能を持たせてもよい。
また、転写ベルトユニット8は、図16に示すように、転写ベルト7の着脱に支障が無く、画像形成モードの切換時に移動が小さい支持軸78bが位置する側に送受信および受電を行うための受電コネクタ240を備えている。
以上のように、支持ユニット81と支持ユニット82とは、同一のハウジング70・70を基礎部材としているため、両者の大きさは実質的に同一となっている。
このため、図16に示すように、支持ユニット81・82の連結部86の支点である段ビス83から、支持ユニット81の先端であるテンションローラ73(図18(a)参照)までの距離L2と、段ビス83から、支持ユニット82の先端である駆動ローラ71までの距離L1とが実質的に等しくなっている。
また、転写ベルトユニット8は、図16に示すように、上記距離L1およびL2が等しい2つの支持ユニット81・82を組み合わせて一直線状とし、両支持ユニット81・82の周囲を転写ベルト7が取り囲む構造となっている。さらに、転写ベルト7は、転写ベルトユニット8の両端に位置する駆動ローラ71とテンションローラ73とによって、張架されている。
以下、転写ベルト7の交換の際に行われる、支持ユニット81・82に対する転写ベルト7の装着または脱離の動作について、図16、20、21を用いて説明する。
転写ベルトユニット8は、図16に示すように、転写ベルト7が支持ユニット81・82に対して張架されて支持された状態にて作動する。従って、転写ベルト7が張架された状態とするためには、まず、支持ユニット81・82を固定している段ビス84(図19(c)参照)を取り外し、さらに段ビス83を緩める。その後、図20に示すように、段ビス83を支点として支持ユニット81・82を略V字型に折り曲げる。
このとき、段ビス83は、支持ユニット81・82のハウジング70の表面側に設けられているので、支持ユニット81と支持ユニット82とは、互いに、表面が接近するように折り曲げられる。
次いで、略V字型となった支持ユニット81・82に、図20に示すように、転写ベルト7を周囲を覆うように矢印で示す方向から被せる。このとき、支持ユニット81・82は、折り畳まれているので、転写ベルト7が形成する円内に収まる。
そして、段ビス83を支点として、支持ユニット81・82の表面が遠ざかる方向(折り曲げる方向とは逆の方向)へ回動させる。これにより、支持ユニット81・82が一直線状となり、図16に示すように、転写ベルト7が支持ユニット81・82に対して張架されて支持された状態となる。
このとき、転写ベルトユニット8の両端に、駆動ローラ71とテンションローラ73とが位置する。そして、テンションローラ73に設けられたコイルスプリング等からなるテンション部材79(図4参照)により、転写ベルト7に対してテンションを与え、転写ベルト7を張架することができる。
さらに、支持ユニット81・82が一直線状となった時に、段ビス84にて、これら2つの支持ユニット81・82を固定し、転写ベルト7が張架された状態の保持を可能にしている。
さらに、このとき転写ローラ6a,6b,6c,6d(図19(a)参照)が転写ベルト7を押し上げるが、6bと6cとは駆動ローラ71とテンションローラ73の上面を結ぶラインよりもわずかに高く、6aと6dとは6bおよび6cよりもさらに転写ベルト7を高く押し上げる。従って、6bと6cとは転写ベルト7の裏面とは非接触となる。
これは、転写ローラ6a〜6dを回転可能に支持する軸受762を取り付ける転写ローラ取付部76b・76aの軸受規制部の高さを異ならせているためである(図22参照)。この軸受規制部の高さについては後に詳述する。
このように、支持ユニット81・82において、図16および図20に示すL1・L2を実質的に同じ長さとすることにより、支持ユニット81・82に対する転写ベルト7の装着または脱離を容易となっている。これは、支持ユニット81・82を略V字型とした場合に、支持ユニット81・82の周りを囲む円の周囲の長さは、上記L1・L2が等しい場合に最小となるためである。
即ち、本実施の形態では、上記L1・L2が実質的に同じ長さであるため、支持ユニット81・82を略V字型となった場合に形成される、支持ユニット81・82の周りを囲む円の周囲の長さ(以下、支持ユニット81・82の略外周と称する)を最小とすることができる。
従って、転写ベルト7の周長と、支持ユニット81・82の略外周との差が大きくなり、転写ベルト7の着脱を容易に行うことが可能になる。
転写ベルト7の周長と、支持ユニット81・82の略外周との差を具体的に示すため、以下に、上記L1・L2が約165mmである支持ユニット81・82と、周長が730mmである転写ベルト7とを用いた場合を例に挙げ、図21を用いて説明する。なお、図21中のWにて示す支持ユニット81・82の厚さは、約35mmであるとする。
図16に示すように、支持ユニット81・82が一直線状となった場合、支持ユニット81・82上にて転写ベルト7が移動可能となるように、その外周は転写ベルト7の周長に一致し、転写ベルト7が張架された状態となる。
これに対し、図20に示すように、支持ユニット81・82が略V字型となると、転写ベルト7のテンションが緩和される。これにより、図21に示すように、転写ベルト7が円状になると、転写ベルト7の直径Dは約233mmとなる。
このとき、図21に示すように、支持ユニット81と支持ユニット82とがなす内角αが60度であるとすると、支持ユニット81・82の長さL1・L2は、正三角形の2辺をなす。即ち、図21中のL1,L2,L3は全て同じ長さとなる。従って、この正三角形は、一辺の長さが165mmであるので、図21の一点鎖線にて示す正三角形の外接円の直径は約190.5mmとなる。ここで、L3は、支持ユニット81・82を三角形の2辺とする、残りの一辺を示す。
一方、支持ユニット81・82は、駆動ローラ71やテンションローラ73(図18(a)(b)参照)を備えているため、実際には、約190.5mmよりも若干大きくなると考えられる。
そこで、駆動ローラ71やテンションローラ73の外形や、支持ユニット81・82の厚さW(図21)を考慮して、支持ユニット81・82が形成する略外周を算出すると、略外周は最大でも220mm程度となると考えられる。
上記したように、転写ベルト7の直径Dは、約233mmであり、支持ユニット81・82が形成する略外周(220mm)に比べて十分に大きい。それゆえ、折り畳まれた支持ユニット81・82を、図20に示すように、転写ベルト7の内部に収めることができるため、転写ベルト7の着脱が簡便になり、転写ベルト7の交換時の操作性が向上する。
なお、支持ユニット81と支持ユニット82とが折り畳まれてなす内角αは、小さいほど好ましい。しかしながら、αを0度にするためには、支持ユニット81・82が一直線状になった際に、連結部86が支持ユニット81・82の裏面側へ突出するように設けなければならない。
このため、本実施の形態では、支持ユニット81・82が一直線状になった際に、連結部86を突出させる必要のない角度として、αを60度程度に設定している。
以下、上述した転写ベルトユニット8を備えた画像形成装置の構成について、図4に基づいて説明する。
ここで、図4に示す画像形成装置は、一般に、図23に示す画像形成装置と給紙装置とを備える複写機等に備えられている。
本画像形成装置は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(記録媒体)に対して多色および単色の画像を形成するものである。また、本画像形成装置は、露光ユニット1(1a〜1d)、現像器2(2a〜2d)、感光体ドラム3(3a〜3d)、帯電器5(5a〜5d)、クリーナユニット4(4a〜4d)、転写ベルトユニット8、定着ユニット12、シート搬送路S、給紙トレイ10および排紙トレイ15・33等を備えている
なお、本画像形成装置において扱われる画像データは、ブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。
従って、露光ユニット1(1a,1b,1c,1d),現像器2(2a,2b,2c,2d),感光体ドラム3(3a,3b,3c,3d),帯電器5(5a,5b,5c,5d),クリーナユニット4(4a,4b,4c,3d)は各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれaがブラックに、bがシアンに、cがマゼンタに、dがイエローに設定され4つの画像形成ステーションが構成されている。
感光体ドラム3は、本画像形成装置のほぼ中心部に配置(装着)されており、その表面に感光体を有する。また、感光体ドラム3はドラム形状を有し、回転駆動されている。感光体ドラム3の周りには、回転方向に沿って、帯電器5、現像器2、転写ローラ6およびクリーナユニット4が配されている。
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための、帯電手段であり、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器のほか、図4に示すようにチャージャー型の帯電器が用いられる。
露光ユニット1としては、LED書き込みヘッドを用いているが、これに限定されるものではなく、発光素子をアレイ状に並べた例えばEL(エレクトロルミネッセンス)や、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)等を用いてもかまわない。
また、露光ユニット1は、入力される画像データに応じて、帯電された感光体ドラム3を露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。
現像器2はそれぞれの感光体ドラム上に形成された静電潜像を(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化する。
クリーナユニット4は、現像・画像転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収する。
感光体ドラム3の下方に配置されている転写ベルトユニット8は、上記したように、2つの支持ユニット81・82を備えている(図16参照)。即ち、上記転写ベルトユニット8は、転写ベルト7、駆動ローラ71、テンションローラ73、転写ベルト従動ローラ72・74、および、転写ローラ6(6a,6b,6c,6d)を備えている。また、転写ベルトユニット8に隣接して、転写ベルトクリーニングユニット9が備えられている。
駆動ローラ71、テンションローラ73、転写ローラ6、転写ベルト従動ローラ72,74等は、転写ベルト7を張架し、転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させるものである。
転写ローラ6は、転写ベルトユニット8のハウジング70の転写ローラ取付部76a,76bに回転可能に支持されており、感光体ドラム3のトナー像(画像)を、転写ベルト7上に吸着されて搬送されるシート(記録部材)に転写するための転写バイアスを与えるものである。
転写ベルト7は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されており、各感光体ドラム3に接触するように設けられている、そして、感光体ドラム3に形成された各色のトナー像をシートに順次重ねて転写することによって、カラーのトナー像(多色トナー像)を形成する機能を有している。
感光体ドラム3からシートへのトナー像の転写は、転写ベルト7の裏側に接触している転写ローラ6によって行われる。転写ローラ6には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面は、導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、シートに対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では転写電極として転写ローラ6を使用しているが、それ以外にブラシなども用いてもかまわない。
また、感光体ドラム3との接触により転写ベルト7に付着したトナーは、記録紙の裏面を汚す原因となるために、転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるように設定されている。転写ベルトクリーニングユニット9には、転写ベルト7に接触する例えばクリーニング部材としてクリーニングブレードが備えられており、クリーニングブレードが接触する転写ベルト7は、裏側から転写ベルト従動ローラ74で支持されている。
給紙トレイ10は、画像形成に使用するシートを蓄積しておくためのトレイであり、本画像形成装置の画像形成部の下側に設けられている。また、本画像形成装置の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みのシートをフェイスダウンで載置するためのトレイであり、本画像形成装置の側部に設けられている排紙トレイ33は、画像形成済みのシートをフェイスアップで載置するためのトレイである。
また、本画像形成装置には、給紙トレイ10のシートを転写搬送ユニット8や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、Sの字形状のシート搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10から排紙トレイ15および排紙トレイ33までのシート搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16、給紙搬送ローラ23、レジストローラ14、定着ユニット12、搬送方向切換えガイド34、シートを搬送する搬送ローラ26・24・27、および、排紙ローラ25等が配されている。
ピックアップローラ16は、給紙トレイ10の端部に備えられ、給紙トレイ10から、シートを1枚毎にシート搬送路Sの給紙搬送ローラ23に向かって供給する呼び込みローラである。
搬送方向切換えガイド34は、側面カバー35に回転可能に設けられており、実線で示す状態から破線で示す状態にすることにより搬送路Sの途中からシートを分離し排紙トレイ33にシートを排出できるようになっている。実線で示す状態の場合には、シートは定着ユニット12と側面カバー35と搬送切換えガイド34との間に形成される搬送部S´(シート搬送路Sの一部)を通り上部の排紙トレイ15に排紙ローラ25によって排出される。
また、レジストローラ14は、シート搬送路Sを搬送されているシートをいったん保持するものである。そして、感光体ドラム3上のトナー像をシートに良好に多重転写できるように、感光体ドラム3の回転にあわせて、シートをタイミングよく搬送する機能を有している。
即ち、レジストローラ14は、図示しないレジスト前検知スイッチの出力した検知信号に基づいて、各感光体ドラム3上のトナー像の先端をシートにおける画像形成範囲の先端に合わせるように、シートを搬送するように設定されている。
定着ユニット12は、ヒートローラ31、および、加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、シートを挟んで回転するようになっている。
また、ヒートローラ31は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて制御部によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ32とともにシートを熱圧着することにより、シートに転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接し、シートに対して熱定着させる機能を有している。
なお、多色トナー像の定着後のシートは、搬送ローラ26・27・24によりシート搬送路Sの反転排紙経路を搬送され、反転された状態で(多色トナー像を下側に向けて)排紙ローラ25によって、排紙トレイ15上に排出されるようになっている。
以下、転写ベルトユニット8の画像形成ステーションに対する離接動作について説明する。
まず、離接動作と転写ローラ6との関係について説明する。
図17に示す支持軸78(78a・78b)は、転写ベルトユニット8の画像形成ステーションに対する離接動作の際に回転軸や位置決め部材として機能するものである。図17、図18に示すように、支持軸78はハウジング70に形成されており、転写ローラ6aの軸心のほぼ延長上にある。支持軸78は支持ユニット81および支持ユニット82それぞれの両サイドに1個ずつ、即ち、それぞれのユニットに2個ずつ形成されている。
支持軸78a・78bは、図3に示すように、画像形成装置の本体のフレーム部材(図15参照)である前フレーム205・後フレーム206の内側に設けられたレール部材201・201に備えられる。即ち、支持軸78bは、回動支点となる位置にある位置決め穴202bに嵌合され、支持軸78aは位置決めのための凹部202aに押し当てられる。
これにより、転写ベルトユニット8がレール部材201・201に対して位置決めされ、支持軸78bが位置決め穴202b・202bにおいて回転軸となる。このように、転写ベルトユニット8は位置決め穴202b・202bに支えられ支持軸78bを回転軸として回転可能になっている。
図22は、図18(a)に示すF−Fの部分断面とG−Gの部分断面に転写ベルト7を加えて記載した拡大図である。図22に示すように、転写ローラ6aは、支持ユニット82のハウジング70に形成された転写ローラ取付部76a・76aの軸受支持部761・761に上下移動可能に備えられた軸受762・762によって回転可能および上下移動可能に支持されている。
また、転写ローラ取付部76aは、転写ベルト7に向かって(上方向に)例えば圧縮コイルスプリング763により付勢されている。従って、転写ローラ取付部76a・76aは、転写ローラ6aの軸心が遊嵌されるようになっており、転写ローラ6aの軸心が上下に移動することができるようになっている。
これにより、転写ベルトユニット8が画像形成モードを切換える離接動作を行ったとしても、転写ローラ6aは支持軸78bとは独立に上下に移動可能となり、転写ベルト7と感光体ドラム3aとの接触状態を常に安定に維持し所定のニップ幅および所定の押圧力を維持することができるようになっている。
また、このとき、転写ローラ6aの軸心を延長したラインとほぼ等しいラインに支持軸78b・78bの軸心が位置するようになっており、転写ベルトユニット8が画像形成モードを切換える離接動作を行った場合でも転写ローラ6aの機能が損なわないようになっている(図5参照)。
一方、他の転写ローラ6b・6c・6dも、転写ローラ取付部76b・76bまたは転写ローラ取付部76a・76aに対して転写ローラ6aと同様に独立に上下に移動可能となっている。
これにより、図6(b)に示すように、感光体ドラム3a〜3dに転写ベルト7が接触した状態となる画像形成モード(多色モード)時には、転写ベルト7と全感光体ドラム3a〜3dとの接触状態を所定のニップ幅および所定の押圧力で維持できるようになっている。
また、図22に示すように、転写ローラ取付部76a・76bには、転写ローラ6の自由高さを規制する規制部材764aと764bとがそれぞれ設けられている。転写ローラ6を、回転および上下移動可能に軸支する軸受762の引掛け部765と係合することにより、感光体ドラム3と転写ベルト7とが非接触の状態となった場合に、転写ローラ6の自由高さを規制している。この規制部材764は転写ローラ取付部76aと76bで規制量が異なるように形成されている。
即ち、転写ローラ取付部76aに形成された規制部材764aの自由高さは、転写ローラ取付部76bに形成された規制部材764bの自由高さよりも高くなるように設定されていると共に、転写ローラ6a,6dが転写ベルトユニット8の両端に位置する駆動ローラ71・テンションローラ73よりも高くなるように設定されている。
ここでは、転写ローラ6a・6dと転写ローラ6b・6cとの自由高さの差Dは、1.5〜3mmに設定しているが、これに限定されるものではなく、転写ベルト7と転写ローラ6b・6cとが接触しない差にすればよい。
これにより、図6(a)のように、転写ベルトユニット8の支持が解除された時に、転写ローラ6a・6dが両端部に位置する駆動ローラ71・テンションローラ73よりも高い位置となり、転写ローラ6b・6cは転写ローラ6a,6dよりも低い位置となり、感光体ドラム3は転写ベルト7と非接触状態となる。
このとき、転写ベルト7と感光体ドラム3の表面との間隔は、ここでは約12mmとし、感光体ドラム3の表面と転写ベルト7の表面とが充分に離間するようになっている。従って、感光体ドラム3を交換する場合や転写ベルト7を交換する場合に、それぞれを含むユニットを干渉することなく引き出すことが可能になっている。
このように、転写ローラ6a〜6dの自由高さに差を設けるのは、図6(c)に示すように、感光体ドラム3b・3c・3dを使用しない画像形成モード(単色モード)時に、画像形成に使用していない感光体ドラム3b〜3dに対応する転写ローラ6b〜6dと転写ベルト7との接触力が低下し、特に転写ベルトユニット8の中央部に位置する転写ローラ6b・6cの転写ベルト7に対する接触力が極端に低下するからである。
例えば、転写ローラ6a〜6dの高さを同一にすると、転写ベルト7の回転時に転写ローラ6b・6cが転写ベルト7との摩擦力では回転できなくなる。これにより、転写ローラ6b・6cの偏磨耗が発生し、転写ローラ6b・6cの寿命低下や転写ムラなどのトラブルの原因となる。
また、単色モードのように動作しない画像形成部(画像形成ステーション)が存在する画像形成モード時には、転写ベルトユニット8の離接にともない、転写ベルトユニットの中央部に位置する転写ローラ6b,6cと転写ベルト7との接触が解除されるため、転写ローラ6の異常磨耗(偏磨耗)を防止でき、転写ローラ6の寿命を長くでき良好な画像形成を長期間にわたって維持できるなどの効果がある。
このように、画像形成装置は、上記の課題を解決するために、画像データに基づき画像が形成される感光体ドラム3と、該感光体ドラム3に対して離接可能であり、転写ローラ(転写部材)により電圧が印加されると共に上記画像を転写する転写ベルト7を有する転写ベルトユニット8とを備える。また、転写ベルト7を回転可能に支持する駆動ローラ71・テンションローラ73(ローラ部材)の軸と直交する方向に感光体ドラム3が複数配され、複数の感光体ドラム3全てを転写ベルト7に接触させて使用する画像形成モード(多色モード)と、複数の感光体ドラム3のうちいずれかの特定の感光体ドラム3を転写ベルト7に接触させて使用する画像形成モード(単色モード)とを有する。そして、単色モードが選択された場合に、使用されない感光体ドラム3に対応し、かつ、少なくとも端部に位置する転写ローラ6a・6dを除く転写ローラ6b・6cは、上記転写ベルト7に非接触な状態となるように構成されている。
通常、特定の感光体ドラム3(ここでは感光体ドラム3a)を使用する画像形成モード(単色モード)時には、画像形成に使用していない感光体ドラム3b〜3dに対応する転写ローラ6b〜6dと転写ベルト7との接触力が低下し、特に端部に位置する転写ローラ6dを除く転写ローラ6b・6cと転写ベルト7との接触力が極端に低下する。このため、使用されない感光体ドラム3に対応し、かつ、少なくとも端部に位置する転写ローラ6a・6dを除く転写ローラ6b・6cは、転写ベルト7との摩擦力では回転できなくなる。この場合、回転できない転写ローラ6の偏磨耗が発生し、その結果、転写ローラ6の寿命低下や転写ムラなどのトラブルの原因となることが起こる。
しかしながら、上記の構成によれば、このような転写ローラ6b・6cを転写ベルト7に対して非接触とすることにより、これらの問題発生を防ぐことができ、長時間良好な画像形成を維持することができる。
また、転写ローラ6b、あるいは、転写ローラ6b・6cを駆動ローラ71よりも低くして転写ベルト7と非接触になるように構成してもかまわない。
なお、端部に位置する転写ローラ6dは、駆動ローラ71に近接すると共に自由高さを高くしているため、転写ベルト7を押し上げるため転写ベルト7との接触力をある程度維持できる。従って、感光体ドラム3dに圧接されなくとも転写ベルト7との摩擦による回転動作をほぼ正常に得ることができる。
ここで、転写ベルトユニット8の多色モード時と単色モード時の角度差(離接角度範囲)θ(図8参照)は、単色モードの場合、使用しない転写ローラ6bに対応する画像形成ステーションの感光体ドラム3bと転写ベルト7との離間距離は約2.5〜4mmになるように設定している。この角度θは、感光体ドラム3の間隔からの離間距離の設定により異なり、ここでは2〜3度になるように設定されている。
なお、この角度θは、特に限定されるものではないが、単色モードにおいて転写ベルトユニット7と接触する感光体ドラム3aに隣接する感光体ドラム3bと転写ベルト7との離間距離が記録画像を乱さない距離や、搬送されるシート端部等が感光体ドラム3bに非接触であればよい。
また、この角度θは、画像形成モードの切換え時間が短く、また、搬送されるシートの受渡を行う隣接する機能部分(本実施の形態では定着ユニット12やレジストローラ14)とのシートの受渡をスムーズに行わせることができるので、できる限り小さい方が好ましい。
ただし、好ましくはできるだけ角度θは小さい方がよいが、転写ベルト7にシートを搬送させて転写を行う方式では、転写ベルト7からシートが離間する時、あるいは逆に転写ベルト7にシートを供給するときに、各モードでシートの高さが大きく異なるとシートの搬送に支障をきたすことがあるので、注意が必要である。
ここで、感光体ドラム3bと転写ベルト7との離間距離と、転写ローラ6bに対応する感光体ドラム3bとシートの端部との擦れや転写不良(再転写)との関係を、以下の表1に示す。これにより、上記離間距離は2.5〜4mmとすることが好ましい。ここで、表1中「○」は常に良好、「△」は時に不良、「×」は常に不良を表している。また、普通のシートにおいて坪量は81〜105g/m2である。
即ち、表1に示すように、感光体ドラム3bと転写ベルト7との距離が2.5mm以上では何れのシートにおいても、シートの端部との擦れおよび転写不良(再転写)に対して問題が無いことが分かった。
また、表1に示す実験結果では、4mmを超える条件設定での実験は行っていないが、4mmを超えて上記の項目に対しては問題が無いことが予測できる。しかしながら、転写ベルト7から次の工程にシートを搬送する場合に支障を来たすことや画像形成装置のサイズが大きくなること等が考えられ、離間距離は4mm以下とすることが好ましい。
次に、転写ベルトユニット8における離接動作の制御について説明する。
画像形成モード(多色モードと単色モードと)の変換時に、回転している感光体ドラム3から転写ベルト7を離間させる際には、両者を一定速度で回転させつつ離間動作を行い、感光体ドラム3の回転停止は、転写ベルトユニット8が下降を完了し、転写ベルト7が感光体ドラム3(3b〜3d)から完全に離間してから行うようにしている。また、画像形成モードの切換えは双方の動作が停止している場合にも行うことができる。
転写ベルトユニット8を、感光体ドラム3に対して離接動作させるための離接制御部38の構成を、図7〜図10に示す。
離接制御部38は、図10に示すように、駆動源(離接駆動モータ)39と、その駆動源39からの駆動力を伝達するための歯車伝動機構40と、その歯車伝動機構40によって回転駆動され、かつ、転写ベルトユニット8の下流側部位の両側下部に固定された支持部材50(図9参照)を摺接・乗載させるカム部43を有するカムギア41とからなる。また、駆動源39と歯車伝動機構40との間には、フレーム部材49が配されている。
歯車伝動機構40はフレーム部材49に付設され、駆動源39の出力軸に固定された駆動ギア44と、その駆動ギア44に噛み合う中間ギア45と、その中間ギア45に噛み合う被動ギア46とを備えている。なお、歯車伝動機構40に代えて、ベルトやプーリ等からなる巻き掛け伝動機構を用いてもよい。
被動ギア46は、図9に示す一方向クラッチ(ワンウエイクラッチ)47を介して回転軸48に被嵌装着されている。回転軸48の両側部は、離接制御部38本体のフレーム部材49・49に回転自在に枢支されており、その回転軸48の両フレーム部材49・49の内側部に一対のカムギア41・41が固定されている。
カムギア41は、自己潤滑性を有するPOM(ポリアセタール)等の樹脂で形成されている。また、カムギア41は、図7・図8に示すように、扇形状に形成された部分ギア42とカム部43とが一体化されてなる。部分ギア42に噛み合うトルクリミッタ53が一方のフレーム部材49に設けられており、そのカム部43には、転写ベルトユニット8の下流側部位の両側下部に下向きに突設された支持部材50・50が摺接・乗載している。
この支持部材50は、転写ベルトユニット8を構成する支持ユニット81のハウジング70に上下移動可能に支持され、圧縮コイルスプリング等からなる弾性部材50aにより転写ベルトユニット8を押し上げるように付勢されている(図3参照)。
また、図10に示すように、その一方のカムギア41には、センサ羽根41aが一体的に形成されており、画像形成装置本体側に設けられた検出器41bによって、その位置状態が検出されるようになっている。
図10に示すトルクリミッタ53は、樹脂製の平ワッシャ(ポリスライダー)等の滑り性が優れた座金2枚、その両座金に挟まれた圧縮スプリング53a、ブレーキギア53b等からなり、転写ベルトユニット8の下降動作を緩衝・規制し、かつ、その最下点での位置状態を安定に保持するために設けられている。
カムギア41の回転軸48での負荷トルクは6.5kgfcmであり、トルクリミッタ53のブレーキ力は、カムギア41の回転軸48で1.2〜1.6kgfcmになるように設定されている。
このように、ブレーキ力を小さめに設定しているのは駆動源39に対してブレーキ力が働かないようにするためであり、一方向クラッチ47(図9参照)により被動ギア46の実線矢印方向への遊転が許容されることから、カム部43にかかる荷重によってカムギア41が駆動源39の回転より若干先回りするような設定にしている。
以上のような構成により、例えば当初、図7に示すように、全感光体ドラム3a〜3dと当接する上方位置(多色モード)にあった転写ベルトユニット8が、駆動源39の正回転(実線の矢印方向)により、カムギア41が180度回転する。これにより、図8に示すように、支持軸78bの軸心を回転の中心として転写ベルトユニット8の下流側が下方に移動し、感光体ドラム3b〜3dから離間する。即ち、感光体ドラム3aのみが転写ベルトユニット8と接する単色モードとすることができる。
このとき、カムギア41の部分ギア42が、トルクリミッタ53のブレーキギア53bに噛み合うことにより、ブレーキ力が作用する。これにより、カムギア41の先回りを緩衝・規制し、転写ベルトユニット8の下降動作が緩衝され、スムーズに最下点の位置に誘導される。
また、単色モードをデフォルトの状態として設定している場合、カム部43が最上点にあるときには、部分ギア42はトルクリミッタ53のブレーキギア53bとは噛み合わない。一方、カム部43が最下点にあるときには、部分ギア42の一歯だけが、トルクリミッタ53のブレーキギア53bと噛み合い、転写ベルトユニット8のデフォルトの状態にて不用意に転写ベルト7が浮動することのないように制動力が作用し転写ベルト7が安定に保持される。
転写ベルトユニット8の荷重は、カムギア41の回転軸心の方向(鉛直下方)に向かうように構成されているため、カムギア41のカム部43が最上点にある場合(多色モード)でも、転写ベルトユニット8の荷重によってカムギア41を回転させる力が発生することはなく、転写ベルトユニット8が安定に保持される。
なお、このような転写ベルトユニット8の離接動作をおこなうための駆動源39、および、感光体ドラム3や転写ベルト7を転動させるための駆動源にステッピングモータを採用することにより、速度制御および位置制御をオープンループで高精度に行うことができ、各動作のタイミングを容易かつ適切に取ることができる。
また、特に、本実施の形態では、その駆動源39からの駆動力を、別の歯車列55を介してオーガ37に伝達し、転写ベルト7から転写ベルトクリーニングユニット9(図4参照)によって回収したトナーを、トナー回収容36に搬送・回収できるようにしている。
歯車列55は、図9に示すように、駆動源39の駆動ギア44に噛み合う伝動ギア56と、その伝動ギア56に噛み合う中間ギア57と、オーガ37の一端に取り付けられた被動ギア58とからなる。伝動ギア56と中間ギア57とは、フレーム部材49に枢支された連結可動アーム60に支持されており、図示しない付勢部材により、常時、噛み合い方向に付勢されている。
これにより、転写ベルトユニット8の上下移動に伴って上下動する被動ギア58と中間ギア57との噛み合い状態が確保される。
ここでは、各カムギア41のカム部43にかかる荷重をそれぞれ5kgfとし、総合して10kgfの転写ベルトユニット8による荷重を、左右のカムギア41のカム部43で分担して支えるようにしている。また、カムギア41の部分ギア42の歯が形成されている範囲は、ここでは、150度としているが、設計条件に応じて適宜に変更してもかまわない。
以上のような構成により、転写ベルトユニット8を下降させる際に、時計回り(図10中点線で示す矢印方向)に回転する駆動源39の駆動力により、図9で示す駆動ギア44を介して被動ギア58が反時計回り(図10中点線で示す矢印方向)に回転する。これにより、被動ギア58と一体のオーガ37を同方向に回転させ、転写ベルト7から回収したトナーをトナー回収容器36に向けて搬送・回収することができる。即ち、駆動源39の駆動力を、オーガ37を回転させるための駆動力としても使用し、その有効利用を図っている。
転写ベルト7上に残留するトナーは、シートの搬送ジャム等のトラブルにより付着したものや、画像品質維持のために行われる画像形成プロセス制御用に転写ベルト7上に感光体ドラム3から直接転写されたパッチ画像のトナー、あるいは多色画像形成装置内に浮遊する飛散トナーが転写ベルトに付着したもの等がある。これらのトナーを、上述のように、適切なタイミングで(画像形成モードの変更時に)除去しておくことにより、安定した画像品位の確保が可能となる。
なお、本実施の形態では、オーガ37を螺旋形状の部材で形成しているため、トナーを軸方向に搬送しているが、軸方向に羽根を取り付け軸方向に対して直角の方向にトナーを掻き出す構造としてもよい。この場合には単なる角材等を用いることもできる。
また、転写ベルトユニット8を離接する場合の回転動作時には、オーガ37は逆回転となるが、この逆回転動作の頻度は少なく短時間であるため、本実施の形態では、オーガ37の逆回転動作が許容される構造にしている。
しかしながら、オーガ37の逆回転動作が問題となる場合には、オーガ37の回転軸48に一方向クラッチ(ワンウエイクラッチ)を介して被動ギア58を取り付ければよい。装置のコスト増加を抑するためには、オーガ37の逆回転動作を許容する構造にすればよい。
これにより、離接制御部38の駆動源39は、感光体ドラム3に対して転写ベルトユニット8(転写ベルト7)を離接動作させるだけでなく、オーガ37をも駆動させ、回収トナーを搬送するので、駆動源の駆動力を有効に活用することができ、経済性に優れたコストパフォーマンスを実現することができる。
以下、転写ベルトユニット8への給電および通信について、図1、図2、図13、図14を用いて説明する。
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ71を回転させ転写ベルト7を回転移動させるステッピングモータなどの駆動源や、形成する画像の画質が常に良好な画質になるように、転写ベルト7上に形成するテストパッチの濃度を検出してプロセスコントロールを行うための検出器や、各画像ステーションで形成する画像の位置を合わせ多色モード時に色ずれの無い良好な画像を形成できるように、基準となる画像形成ステーションの画像に対して他の画像ステーションの画像を形成するタイミングを補正する補正値を求めるために転写ベルト7上に形成されるテスト画像を検出する検出器(先のプロセス制御用の検出器と兼用しても良い)や、図示しない高圧電源より転写バイアスが印加される転写ローラ6や、接地を必要とする転写ベルトに接触する転写ローラ6以外の例えばテンションローラ73等のローラ部材を有している。
このため、各種電源からの給電や制御部等との通信を行うための電気的な接続が必要となる。この電気的な接続を行うため、図1・2に示すように、画像形成装置には、画像形成装置本体側に送受信および給電を行うための給電コネクタ241が備えられている。
一方、転写ベルトユニット8には、転写ベルト7の着脱に支障が無く、画像形成モード切換時に移動が小さい支持軸78bが位置する側に送受信および受電を行うための受電コネクタ240を備えている。
給電コネクタ241は、コネクタ部とコネクタ支持部とからなる。スライド軸242に対してスライド移動を可能とするスライド軸の太さよりも大きく、コネクティングを許容できる大きさのスライド穴241aがコネクタ支持部に設けられている。即ち、画像形成モードに応じて転写ベルトユニット8は傾くため、この傾きに対応できるように、スライド穴241aは設けられている。
また、給電コネクタ241は、圧縮コイルスプリング等よりなる弾性部材243により、下側即ち転写ベルトユニット8の支持が解除されたフリー状態時の受電コネクタ240の高さに合う位置になるように付勢されている。
転写ベルトユニット8が画像形成装置内に完全に挿入されると、給電コネクタ241に受電コネクタ240が挿入連結されコネクティングが完了する(図1参照)。
この状態で、転写ベルトユニット8が上方に移動され、位置決めに対して押圧されると、図13または図14で示す状態となり、即ち、多色モード時では図14の状態、単色モード時では図13の状態となる。多色モード時には給電コネクタ241は図13の矢印で示すように上方へ転写ベルトユニット8と共に移動する。
単色モード時には、スライド軸242の太さに対するスライド穴241aの大きさに余裕を設けていることにより、給電コネクタ241が上昇した位置で、転写ベルトユニット8の傾きに応じて傾くことができるようになっており、常に正常な通信や電源供給ができるようになっている。
これにより、コネクタをサービスマン等が手で着脱する必要がなく、側面カバー35を開閉するだけで自動的にコネクタの着脱が行われ、コネクティングミス等が起こらなく、メンテなどの作業性が向上し作業時間が短くなりメンテコストを低減できる。
また、側面カバー35を開放した状態では、転写ベルトユニット8への電源供給は安全のために切断されていることはいうまでもない。
なお、本実施の形態では、転写担持体を転写ベルト7として説明したが、ベルト状の転写ベルトに限らず、ドラム状の転写ドラム等を用いた転写担持体でも同一の効果を得ることができる。
また、転写担持体に限らずに記録部材等を搬送する機能のみを有する搬送ベルト装置においても転写ベルトと略同様な構造となるため、上述した転写ベルトユニット8の同様な構成として実施可能であることはいうまでもない。
なお、上述した本実施の形態においては、転写ベルト7上にシートを担持させてシートに直接転写する方式の画像形成装置を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、中間転写ベルトに感光体ドラムで形成された画像を一旦転写し、中間転写ベルト上で画像を重ねた後、搬送されてくるシートに一括転写を行う中間転写方式の画像形成装置にも適用可能である。
図24は、中間転写方式の画像形成装置の構成を示す図である。図24においては、図4に示す画像形成装置と同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明および作用効果の説明を省略する。
この画像形成装置は、上記転写ベルトユニット8の転写ベルト7を中間転写ベルト7aとしてあり、上記駆動ローラ71に対応するローラ部材71aに対向して設けられた二次転写部材(二次転写ローラ)90を備えている。
各感光体ドラム(像担持体)3に形成されたトナー像が一旦中間転写ベルト7aに転写された後、この中間転写ベルト7aと2次転写部材90が圧接された所に向かって搬送されるシートに、二次転写部材(転写ローラ)90によって画像の再転写を行うように構成されている。