JP4526777B2 - 水性コンディショニング液およびコンディショニング法 - Google Patents
水性コンディショニング液およびコンディショニング法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性コンディショニング液およびコンディショニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CMP(Chemical Mechanical Polishing)は、ウェハの表面に形成された金属膜、酸化膜などの層間絶縁膜の平坦化、ウェハ表面における銅などからなる金属配線の形成などを行う技術であり、半導体の一層の高性能化および高集積化を達成する上で、必要不可欠なものになっている。
【0003】
CMP工程では、図5aに示すように、研磨定盤1に貼着されたパッド2の表面2aに被研磨面が接するようにウェハ3を載置し、加圧ヘッド4によりウェハ3に圧力をかけ、かつ研磨スラリー5を供給しながら、パッド2とウェハ3とを回転させることによって、ウェハ3の研磨(平坦化)が行われる。研磨後、図3bに示すように、コンディショニング液6を供給しながら、パッド2とドレッサー7とを回転させることによって、パッド表面2aのコンディショニングが行われる。
【0004】
コンディショニングは、主に、パッド表面の粗度調整およびパッド表面の付着物(研磨スラリーに含まれる研磨材の凝集物、ウェハから発生する研磨屑、パッドの破片など)の除去を行うものであり、パッドの表面物性の変化に伴うウェハ研磨速度の低下を防止し、かつ所望の平坦度を有するウェハを連続して製造する上で、非常に重要な工程である。
【0005】
コンディショニングは、パッドと接する面にダイヤモンド微粒子を含む層が形成されたドレッサー(ダイヤモンドドレッサー)を用い、コンディショニング液には水を用いるのが一般的である。水以外のコンディショニング液としては、ダイヤモンド、シリカ、アルミナ、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどの無機微粒子(研磨材)を含む水性コンディショニング液が用いられている。しかしながら、従来のコンディショニング液は、金属膜、特にタングステン膜を研磨した後のパッドのコンディショニングには適していない。その理由は、金属膜の研磨に使用する研磨用スラリーにある。
【0006】
金属膜の研磨に際しては、主に、シリカ、アルミナ、チタニアなどの研磨材および酸化剤であるヨウ素酸カリウムを含む研磨用水性スラリーが使用される。ヨウ素酸カリウムは、金属膜特にタングステン膜に対して強い酸化作用を示し、金属膜の研磨除去に極めて有効である。ところが、ヨウ素酸カリウムは金属と反応してヨウ素を生成し、生成したヨウ素はパッド表面を変色させるとともに、表面粗度などの表面物性にも深刻な影響を及ぼす。このようなパッド表面の変性は、多くの場合研磨速度の低下をもたらし、ウェハの研磨に要する時間が長くなって生産性が低くなる。また、ウェハの研磨面の平坦度が徐々に低下し、同程度の平坦度を有するウェハを連続して得ることができないという問題も生じる。従来のコンディショニング液を用いても、パッドに悪影響をおよぼさない程度までヨウ素を除去することはできない。
【0007】
また、金属イオンを含む水不溶性化合物を水溶化する成分と、水溶化されて生成する金属イオンと錯体を形成する成分とを含む水性コンディショニング液(たとえば、特許文献1参照)が提案され、金属イオンと錯体を形成する成分として、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マロン酸などのカルボン酸が例示されている。しかしながら、このコンディショニング液は金属イオンを除去することを目的とするものであり、ヨウ素を除去するためのものでもない。さらに、特許文献1には、カルボン酸を単独で用いること、特にヨウ素を除去するために用いること、およびそれによって顕著な効果が得られることについての記載は一切ない。
【0008】
また、一般式−COOR1および/または一般式−SO3R1(式中R1は水素原子、無機塩基または有機塩基を示す)で表わされる基を有するアニオン性界面活性剤を含む水性コンディショニング液(たとえば、特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、このコンディショニング液を用いても、従来と同様に、ヨウ素を充分に除去することはできない。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−371300号公報
【特許文献2】
特開2000−309796号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、パッド表面に残留するヨウ素を、少なくとも、パッドの表面物性に悪影響をおよぼさない程度まで除去することができ、ひいてはウェハの研磨速度が低下するのを防止し、同程度の平坦化度を有するウェハを連続して製造するのに有効なコンディショニング液を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物を含むことを特徴とする水性コンディショニング液である。
【0012】
本発明に従えば、ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物を用いることによって、そのままでは除去し難いヨウ素を、水洗などにより比較的簡単に除去できるヨウ素化合物に変換することができる。したがって、パッドに付着するヨウ素を容易に除去でき、パッド表面の変色および物性変化が防止されるので、ウェハの研磨速度が低下することがなく、同程度の平坦度を有するウェハを連続して製造することができる。
【0013】
このコンディショニング液は、金属膜特にタングステン膜を研磨した後のパッドをコンディショニングするのに有効である。
【0014】
本明細書において、ヨウ素化合物とは、その分子中にヨウ素を含む有機化合物または無機化合物を意味し、その具体例としては、たとえば、ヨウ素塩、ヨウ素を含むエーテル、ヨウ素を含むエステルなどが挙げられる。
【0015】
また本発明の水性コンディショニング液は、前述の、ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物が、チオ硫酸塩、低級アルコールおよびカルボン酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物として、チオ硫酸塩、低級アルコールおよびカルボン酸から選ばれるものが好ましい。たとえば、ヨウ素とチオ硫酸塩とは、下記に示す反応式に従って反応し、水溶性のヨウ素塩を生成する。このヨウ素塩はコンディショニング液に含まれる水に溶解される。これによって、パッド表面に残留するヨウ素を、一層確実に除去することができる。たとえば、
I2+2R2S2O3→2RS2O3・RI
〔式中、Rは1価のカチオンを示す。〕
上記において、Rで示される1価のカチオンとしては、たとえば、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
【0017】
また本発明の水性コンディショニング液は、前述のチオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムおよびチオ硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0018】
また本発明の水性コンディショニング液は、前述の低級アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0019】
また本発明の水性コンディショニング液は、前述のカルボン酸が、炭素数2〜5の飽和モノカルボン酸、炭素数3〜6の飽和ジカルボン酸および芳香族カルボン酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、チオ硫酸塩、低級アルコールおよびカルボン酸の中でも、前述の特定のものが好ましい。これらは、ヨウ素を除去する効果が高い。
【0023】
本発明は、ウェハを研磨したのちの研磨用パッドをコンディショニングする方法において、前述のうちのいずれかの水性コンディショニング液を用いることを特徴とするコンディショニング方法である。
【0024】
本発明に従えば、本発明の水性コンディショニング液を用いるコンディショニング方法が提供される。この方法は、金属膜特にタングステン膜を研磨した後のパッドをコンディショニングするのに有効である。この方法によって、CMP工程において、ウェハの研磨速度を低下させることなく、同程度の高い平坦度の研磨面を有するウェハを連続して製造することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の水性コンディショニング液は、ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物を含み、残部が水である組成物である。
【0026】
ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物としては、このような特性を有する公知のものを使用できる。その中でも、ヨウ素除去効果を考慮すると、チオ硫酸塩、低級アルコール、カルボン酸などが好ましい。
【0027】
チオ硫酸塩としては公知のものを使用でき、たとえば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウムなどが挙げられる。チオ硫酸塩は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0028】
低級アルコールとしては公知のものを使用でき、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。低級アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0029】
カルボン酸としては公知のものを使用でき、たとえば、酢酸、酪酸、吉草酸などの炭素数2〜5の飽和モノカルボン酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸などの炭素数3〜6の飽和ジカルボン酸、没食子酸などの芳香族カルボン酸などが挙げられる。カルボン酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0030】
これらの中でも、ヨウ素を除去する能力が高く、かつパッドの表面物性に与える影響が少ないことを考慮すれば、チオ硫酸塩、炭素数3〜6の飽和ジカルボン酸(特にカルボキシル基中の水酸基以外の水酸基を有する炭素数3〜6の飽和ジカルボン酸)などが好ましく、チオ硫酸塩が特に好ましい。
【0031】
ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物は、1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0032】
ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物の含有量は特に制限されず、水溶性化合物の種類、得られるコンディショニング液に要求される特性、コンディショニング液が適用されるパッドの種類などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、通常はコンディショニング液全量の0.01〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。0.01重量%を下回ると、ヨウ素除去効果が充分に発揮されない可能性がある。30重量%を大幅に超えると、コンディショニング液の粘度が高くなりすぎ、コンディショニングの作業性が低下するおそれがある。
【0033】
本発明の水性コンディショニング液は、その好ましい特性を損なわない範囲で、金属、特に銅、アルミニウム、タングステン、タンタルなどと化合し、金属含有水溶性化合物を形成することができる化合物を含んでいてもよい。化合物としては、たとえば、アンモニア、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド、メチルトリヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド、ジメチルジヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキサイドなどの水酸化第4級アンモニウムなどのアルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ性化合物は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0034】
また本発明の水性コンディショニング液は、その好ましい特性を損なわない範囲で、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては公知のものを使用でき、たとえば、脂肪族アミン塩、脂肪族アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0035】
また本発明の水性コンディショニング液は、その好ましい特性を損なわない範囲で、キレート剤を含んでいてもよい。キレート剤としては、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸などのホスホン酸系キレート剤、エチレンジアミン四酢酸塩、ニトリロトリ酢酸塩などのアミノカルボキシレート系キレート剤、ジヒドロキシエチルグリシンなどのヒドロキシアミノカルボキシレート系キレート剤などが挙げられる。キレート剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0036】
また本発明の水性コンディショニング液は、その好ましい特性を損なわない範囲で、研磨材を含んでいてもよい。研磨材としては公知のものを使用でき、たとえば、ダイヤモンド、シリカ、アルミナ、酸化セリウム、酸化ジルコニウムなどの無機微粒子が挙げられる。研磨材は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0037】
本発明の水性コンディショニング液は、ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物の適量、および必要に応じてアルカリ性化合物、界面活性剤、キレート剤、研磨材、その他の添加剤などの適量を水に溶解および/または分散させることによって製造することができる。ここで使用される水は特に制限されないけれども、用途を考慮すると、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水などが好ましい。
【0038】
このようにして得られる本発明の水性コンディショニング液のpHは特に制限されず、広い範囲から適宜選択できるけれども、通常は1.0〜6.0程度、好ましくは2.0〜4.0程度である。pHの調整には、一般的なpH調整剤である酸および/またはアルカリを使用できる。
【0039】
本発明の水性コンディショニング液は、ウェハを研磨するパッドのコンディショニングに好適に使用できる。好ましくは金属膜、より好ましくはタングステン、銅、バリア基板(窒化タンタル、タンタル、窒化チタン、チタンなど)などからなる金属膜、特に好ましくはタングステン膜を研磨するパッドのコンディショニングに極めて好適に使用できる。
【0040】
本発明の水性コンディショニング液を用いてパッドをコンディショニングするに際しては、水性コンディショニング液を用いる以外は、従来の方法と同様に実施できる。
【0041】
たとえば、滴下、噴射、スプレー噴射などによって水性コンディショニング液をパッド表面に供給し、必要に応じて、ドレッサー、ベアウェハなどをパッド表面で摺動させてもよい。その時、ドレッサー、ベアウェハなどに超音波を印加することもできる。または、ブラシなどを用いて、パッド表面を掃拭しても構わない。
【0042】
また、パッドを水性コンディショニング液中に浸漬し、必要に応じて、液中噴流および/または超音波を加えることもできる。
【0043】
温度条件およびコンディショニング時間は特に制限されず、パッドそのものの材質、コンディショニング方法などの各種条件に応じて、広い範囲から適宜選択できる。しかしながら、本発明のコンディショニング方法は、通常は10〜80℃程度、好ましくは20〜60℃程度の温度下に行われ、通常は10秒〜5分程度、好ましくは20秒〜3分程度で終了する。
【0044】
[実施例]
以下に実施例、比較例および試験例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
【0045】
実施例1
チオ硫酸ナトリウム100gを純水900gに溶解し、10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液である本発明の水性コンディショニング液を調製した。
【0046】
実施例2
チオ硫酸ナトリウムに代えてマロン酸を使用する以外は、実施例1と同様にして、10重量%マロン酸水溶液である本発明の水性コンディショニング液を調製した。
【0047】
比較例1
純水をコンディショニング液として用いた。
【0048】
試験例1
CMP研磨装置(商品名:Ecomet 3、Buehler社製)を用い、パッド上にコロイダルシリカ(研磨材)6重量%およびヨウ素酸カリウム3.75重量%を含有する研磨用水性スラリーを10ml/分の割合で滴下しながら、3×2.5cmの長方形状タングステンウェハに5psiの圧力をかけ、研磨定盤および加圧ヘッドを回転させ(130rpm)、120秒間研磨し、研磨速度(A/分)を測定した。研磨速度の測定方法は下記のとおりである。研磨速度の測定結果を、図1〜3に示す。
【0049】
引き続き、Ex−situ コンディショニングを行った。すなわち、研磨後のヨウ素が付着している径20cmのパッドの表面に、実施例1〜2および比較例1のコンディショニング液を約100ml/分の割合で滴下し、ダイヤモンドドレッサー(パッドへの負荷圧力2.76kg、回転数130rpm)を用い、30秒間コンディショニングを行った。
【0050】
さらに、実施例1〜2および比較例1のコンディショニング液に代えて、純水を用いる以外は、上記と同様に操作し、パッドのコンディショニングを行った。
【0051】
この研磨およびコンディショニング操作を10回繰り返した。タングステンウェハは1回ごとに未研磨のものに取り替え、パッドは同一のものを用いた。
【0052】
その後、実施例1および比較例1のコンディショニング液を用いてコンディショニングを行ったパッドについて、物性変化を起こしているか否かを調べるため、ゼータ電位(mV)を測定した。比較のため、上記の研磨およびコンディショニング操作を10回実施する前の新品状態のパッドについてもゼータ電位(mV)を測定した。ゼータ電位の測定方法は下記のとおりである。結果を図4に示す。
【0053】
〔研磨速度(A/分)〕
抵抗測定器(商品名:OmuiMap RS35C、PROMETRIX社製)を用い、タングステン膜上の49の地点での膜除去量を測定し、それらの1分間平均除去量を算出して研磨速度とした。研磨速度の測定は、タングステンウェハを1枚研磨するたびに行った。
【0054】
〔ゼータ電位〕
タングステン膜上に電解液を流し、ゼータ電位測定計(商品名:EKA300、フィジカ社製、ドイツ)を用いて測定した。
【0055】
図1〜3は、それぞれ、実施例1、実施例2および比較例1のコンディショニング液を用いてパッドをコンディショニングした場合の、研磨時間(研磨を行った時間)と研磨速度との関係を示すグラフである。
【0056】
図1(実施例1)から、10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いると、研磨速度は1400A/分前後で安定し、研磨時間が長くなってもほとんど低下しないことがわかる。図2(実施例2)から、10重量%マロン酸水溶液を用いると、研磨速度は1200A/分前後で、研磨時間が長くなるとわずかに低下するものの、高い研磨速度を有していることが判る。
【0057】
これに対し、図3(比較例1)から明らかなように、従来の方法では、研磨時間が長くなるにつれて、研磨速度が著しく低下する。
【0058】
図4は、研磨およびコンディショニング操作を行う前の新品状態のパッド、ならびに実施例1および比較例1のコンディショニング液を用いて上記操作を行った後のパッドの、ゼータ電位とpHとの関係を示すグラフである。図4から、実施例1のコンディショング液を用いると、研磨を10回行った後のパッドでも、ほぼ新品と同程度の表面状態(表面粗度)を有することが明らかである。これに対し、比較例1のものを用いると、パッドの表面粗度が劣化していることが明らかである。
【0059】
さらに、実施例1のコンディショニング液を用いたパッドの表面は、ウェハが摺動した部分がわずかに薄く変色しているだけである。これに対し、比較例1のコンディショニング液を用いたパッドの表面は、ウェハの摺動部分およびその周辺に、非常に濃い変色が認められた。
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物を用いることによって、そのままでは除去し難いヨウ素を、水洗などにより比較的簡単に除去できるヨウ素化合物に変換することができる。したがって、パッドに付着するヨウ素を容易に除去でき、パッド表面の変色および物性変化が防止されるので、ウェハの研磨速度が低下することがなく、同程度の平坦度を有するウェハを連続して製造することができる。このコンディショニング液は、金属膜特にタングステン膜を研磨した後のパッドをコンディショニングするのに有効である。
【0061】
本発明によれば、ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物として、チオ硫酸塩、低級アルコールおよびカルボン酸から選ばれるものが好ましい。
【0062】
本発明によれば、チオ硫酸塩、低級アルコールおよびカルボン酸の中でも、前述の特定のものが、高いヨウ素除去効果を有し、好ましく用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のコンディショニング液を用いた場合の、研磨時間と研磨速度との関係を示すグラフである。
【図2】実施例2のコンディショニング液を用いた場合の、研磨時間と研磨速度との関係を示すグラフである。
【図3】比較例1のコンディショニング液を用いた場合の、研磨時間と研磨速度との関係を示すグラフである。
【図4】パッドのゼータ電位を示すグラフである。
【図5】CMP工程を簡略的に示す図面である。
Claims (6)
- ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物を含むことを特徴とする水性コンディショニング液。
- ヨウ素と反応してヨウ素化合物を生成する水溶性化合物が、チオ硫酸塩、低級アルコールおよびカルボン酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の水性コンディショニング液。
- チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムおよびチオ硫酸アンモニウムから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項2記載のコンディショニング液。
- 低級アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項2記載の水性コンディショニング液。
- カルボン酸が、炭素数2〜5の飽和モノカルボン酸、炭素数3〜6の飽和ジカルボン酸および芳香族カルボン酸から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項2記載の水性コンディショニング液。
- ウェハを研磨したのちの研磨用パッドをコンディショニングする方法において、請求項1〜5のうちのいずれかの水性コンディショニング液を用いることを特徴とするコンディショニング方法。
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