以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1にかかるスマートキーレスシステムAの全体構成を示す。このシステムAは、複数の乗員がそれぞれ携帯する携帯機2,3と、車両V,V’にそれぞれ搭載された車載機4,5(車両用スマートキーレス装置)と、からなるもので、詳しくは後述するように、前記携帯機2,3と車載機4,5との間で信号の授受を行って(図において、実線が車載機4との信号の授受を、点線が車載機5との信号の授受を、それぞれ示す)、ドアロックやエンジン始動等の各種制御を行うようになっている。ここで、前記携帯機2,3は、それぞれ、独自のIDコードを含むID信号iを送信するように構成されていて、車載機4,5において、IDコードの認証が成立した場合にのみ各種制御を行えるようになっている。
なお、以下の説明において、前記携帯機2,3及び車載機4,5は、図2に示すような位置関係にあるものとする。すなわち、車両V’(周辺車両)は車両Vの周囲の所定範囲内に停車(駐車も含む)した状態にあり、該車両V,V’には、それぞれ、車載機4,5が搭載されている。そして、該車載機4にのみIDコードの登録された携帯機2が車両Vの車外に位置する一方、前記車載機5(周辺車両車載機)にのみIDコードの登録された携帯機3(周辺車両携帯機)が車両V’の車室内に位置している。ここで、前記所定範囲とは、車両V,V’の車載機4,5から信号を送信する場合に、その信号の送信可能範囲を意味する。
前記携帯機2,3は、図1に示すように同じ構成を有しており、それぞれ、CPUからなる携帯機制御ユニット20,30を有する。この携帯機制御ユニット20,30は、それぞれ、後述する車載機4,5からのリクエスト信号rを受信する受信アンテナ21,31と、IDコード(ID、認証用コード)を含むID信号i、ドアロック若しくはドアアンロックのためのロック信号Lやアンロック信号U、運転席側及び助手席側のウィンドウガラス12a,12bの開閉動作のためのウィンドウ開閉信号P,Sを無線送信する送信アンテナ22,32と、が信号の授受可能に接続されている。すなわち、例えば、前記携帯機2において、受信アンテナ21が前記車載機4からのリクエスト信号rを受信すると、このリクエスト信号rを受けて携帯機制御ユニット20がIDコードを含むID信号iを送信アンテナ22から送信するように構成されている。なお、前記ID信号i、ロック信号L、アンロック信号U及びウィンドウ開閉信号P,Sは、すべて同じ周波数帯の信号である。
また、前記携帯機制御ユニット20,30には、それぞれ、電力を供給するための電池23,33と、前記IDコード等を記憶しておくためのメモリ24,34と、ドアロックする際のスイッチであるロックスイッチ25,35と、ドアロックを解除する際のスイッチであるアンロックスイッチ26,36と、が接続されていて、前記ロックスイッチ25,35及びアンロックスイッチ26,36によってドアロックを遠隔操作可能なキーレスエントリシステムが構成されている。
なお、詳しくは後述するように、前記ロックスイッチ25,35は、ドアロック後も継続して押圧することで、運転席側及び助手席側の少なくとも一方のウィンドウガラス12a,12bを閉動作させるウィンドウ閉スイッチを兼ねる一方、前記アンロックスイッチ26,36は、ドアロック解除後も継続して押圧することで、運転席側及び助手席側の少なくとも一方のウィンドウガラス12a,12bを開動作させるウィンドウ開スイッチを兼ねるように構成されている。
前記車載機4,5は、上述の携帯機2,3と同様、同じ構成を有しているため、以下では、車載機4を中心に説明する(図1でも、車載機5の構成は一部のみを記載して残りは省略する)。該車載機4には、制御手段としての、CPUを有するスマートキーレス制御ユニット40が設けられている。このスマートキーレス制御ユニット40には、前記携帯機2にリクエスト信号rを送信するための室内送信アンテナ41及び室外送信アンテナ42(車載送信機)と、該携帯機2からのID信号i等を受信するための車載受信アンテナ43(車載受信機)と、携帯機2のIDコードを記憶しておくためのメモリ44と、が信号の授受可能に接続されていて、上述のように、リクエスト信号rに対して前記携帯機2から送信されるID信号iを前記車載受信アンテナ43で受信すると、そのID信号iに含まれるIDコードが、前記メモリ44に登録されているかどうかを判定し、登録されていれば、該IDコードを認証し、車両Vにおける各種操作(具体的には後述の各制御を参照)が可能となるように構成されている。
前記室外送信アンテナ42は、図3に示すように、運転席側及び助手席側ドア11a,11b、テールゲート11c(セダンタイプの場合には、リヤエンドパネルの車室内側)の3箇所にそれぞれ設けられた、運転席側送信アンテナ42a、助手席側送信アンテナ42b及びテールゲート送信アンテナ42cからなる一方、前記室内送信アンテナ41は、助手席の車両前方に位置するインストルメントパネル13の車両前方側及び後部座席の車両後方側の2箇所にそれぞれ設けられたフロント送信アンテナ41a及びリヤ送信アンテナ41bからなる。なお、前記室外送信アンテナ42のうち、運転席側送信アンテナ42a及び助手席側送信アンテナ42bは、車室内にも電波が送信されるようになっている。前記車載受信アンテナ43は、車室内の全域をカバーできるようにヘッダー14に設けられている。
上述のように送信アンテナ41a〜41c,42a,42bを配置することによって、携帯機2が車室内外のどこに位置しているかを把握できるようになっている。
すなわち、前記送信アンテナ41a〜41c,42a,42bは、それぞれ、該送信アンテナ41a〜41c,42a,42bを中心に略球状の範囲内にリクエスト信号rを送信するとともに、それらの範囲がオーバーラップするように構成されている。そして、リクエスト信号rは、前記送信アンテナ41a〜41c,42a,42bから順に送信されるようになっていて、それに対して携帯機2から送信されるID信号iは、前記車載受信アンテナ43によって受信されるようになっている。
以上の構成において、リクエスト信号rに対して携帯機2から送信されるID信号iの応答のタイミングを検出することで、該携帯機2の位置を推測することが可能となる。例えば、運転席側又は助手席側送信アンテナ42a,42bの何れか一方のリクエスト信号rに対してのみ、携帯機2の返信するID信号iが車載受信アンテナ43によって受信されたときは、該携帯機2は運転席側ドア11a近傍の車外又は助手席側ドア11b近傍の車外に存在すると判定することができ、運転席側及び助手席側送信アンテナ42a,42bの両方のリクエスト信号rに対して携帯機2の返信するID信号iが車載受信アンテナ43によって受信されたときは、該携帯機2は車室内の運転席若しくは助手席に位置すると判定することができる。さらに、フロント送信アンテナ41aからのリクエスト信号rに対応して携帯機2の返信するID信号iが、車載受信アンテナ43によって受信された場合には、該携帯機2が助手席に位置していると判定される。
また、前記スマートキーレス制御ユニット40には、運転席側及び助手席側ドア11a,11bのドアノブにそれぞれ設けられたドアリクエストスイッチ45、45及びドアキーシリンダ46,46と、該各ドア11a、11bにそれぞれ設けられ、該各ドア11a,11bをロック状態又はアンロック状態に切り換えるドアロックアクチュエータ47、47と、該各ドア11a,11bに設けられたウィンドウガラス12a,12bを上下動させるためのウィンドウ駆動モータ48,48と、が接続されている。これにより、例えばドアロックされている状態で前記携帯機2を携帯した利用者がドアリクエストスイッチ45を押すと、前記送信アンテナ41,42からリクエスト信号rを送信して、それに対応して携帯機2の送信アンテナ22から送信されるID信号iを車載受信アンテナ43で受信し、該ID信号iの認証を行った後、前記ドアロックアクチュエータ47によってドアロックが解除される、いわゆるスマートエントリシステムが構成されるようになっている。
なお、ドアロック若しくはドアロック解除は、上述のようなスマートエントリシステムを利用する方法だけでなく、前記ドアキーシリンダ46にキーを差し込んで回すことによってドアロック若しくはドアロック解除を行ったり、前記携帯機2のロックスイッチ25やアンロックスイッチ26を押圧操作することで前記ドアロックアクチュエータ47を遠隔操作してドアロック若しくはドアロック解除を行うようにしてもよい。このように、前記携帯機2のロックスイッチ25またはアンロックスイッチ26を利用してドアロック若しくはドアロック解除を行う場合には、該ロックスイッチ25を継続して一定時間押すことで、該携帯機2の送信アンテナ22から送信されるウィンドウ閉信号Sによって、車載機4側ではウィンドウ駆動モータ48が作動して、ウィンドウガラス12a,12bの閉動作が行われる一方、前記アンロックスイッチ26を継続して一定時間押すことで、携帯機2の送信アンテナ22から送信されるウィンドウ開信号Pによって、車載機4側ではウィンドウ駆動モータ48が作動して、ウィンドウガラス12a,12bの開動作が行われるようになっている。
また、前記スマートキーレス制御ユニット40には、ステアリングホイール近傍に設けられ、車両Vのエンジンの始動操作を行うためのイグニッションノブ49と、該イグニッションノブ49の操作によってエンジンを始動させるエンジン制御ユニット50(ECU)と、が接続されている。これにより、前記携帯機2を所持した利用者が車両Vに乗車し、該携帯機2のIDコードが認証されれば、該利用者が前記イグニッションノブ49を操作することで、前記スマートキーレス制御ユニット40からエンジン制御ユニット50に始動許可信号が出力されて、該エンジン制御ユニット50によってエンジンの始動が行われるようになっている。
ここで、前記イグニッションノブ49は、アクセサリOFFの位置からアクセサリON、イグニッションON及びイグニッションSTARTの各位置まで回動するように構成されていて、該各位置まで操作された場合には、それぞれの位置に対応した操作信号をスマートキーレス制御ユニット40に出力するように構成されている。
さらに、前記スマートキーレス制御ユニット40には、後述するようにイグニッションノブ49がアクセサリOFFの位置にあるときに車室内から携帯機が持ち出されたと判定された場合に、乗員にその旨を報知するための報知手段としての警報ランプ51及びブザー52が接続されており、これにより、車外への携帯機の持ち出しを防止できるようになっている。
なお、前記スマートキーレス制御ユニット40には、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出センサ53、車両Vの車速を検出する車速検出センサ54、各ドア11a、11bが開き状態であることを検出するドア開検出センサ55、55、車両の各ドア11a、11bがロック又はアンロックされていることを検出するドアロック検出センサ56、56も接続されている。
そして、上述のような構成を備えた前記スマートキーレス制御ユニット40は、以下のような各制御が行われるように構成されている。
前記スマートキーレス制御ユニット40は、ドアロック制御を行うように構成されている。このドアロック制御とは、キーをドア11a,11bのキーシリンダ46,46に差し込んで操作することなく、ドア11a,11bのアンロック若しくはロック操作を行うとともに、携帯機2のスイッチ25,26の押圧操作によってドアロックまたはドアロックの解除を行った場合に、該スイッチ25,26を継続して一定時間、押圧操作することで、ウィンドウガラス12a,12bの開閉を行う制御である。
すなわち、車両Vのエンジン停止時において、前記携帯機2を所持した運転者が前記ドアリクエストスイッチ45を押圧操作すると、車両Vの送信アンテナ41,42からリクエスト信号rを送信する。そして、このリクエスト信号rを受信した携帯機2が返信するID信号iを車載受信アンテナ43で受信すると、該ID信号iに含まれるIDコードの照合を行う。該IDコードの認証が得られた場合、ドア11a、11bがドアロックされている状態ではアンロックを行い、アンロックされている状態ではドアロックを行う。このドア11a、11bのロックまたはアンロック状態の検出は、前記ドアロック検出センサ56によって行う。また、ドア11a、11bのアンロックまたはロックは、スマートキーレス制御ユニット40が、各ドアロックアクチュエータ47にアンロック信号またはロック信号を出力することによって行われる。
上述の制御は、ドアリクエストスイッチ45の操作だけでなく、携帯機2に設けられたロックスイッチ25及びアンロックスイッチ26の操作によっても行われる。すなわち、例えば、該ロックスイッチ25を押圧操作すると、携帯機2の送信アンテナ22からロック信号L及び該携帯機2のID信号iが送信され、それを受信した車載機4のスマートキーレス制御ユニット40では、IDコードの照合を行って、認証が得られれば、ドアロックを行う。
そして、このように、携帯機2のスイッチ25,26の操作によってドアロック制御を行った場合、該スイッチ25,26を継続して押圧することで、携帯機2からはウィンドウ閉信号S若しくはウィンドウ開信号Pが送信されるようになっている。これらの信号P,Sを車載機4が受信すると、スマートキーレス制御ユニット40は、ウィンドウ駆動モータ48を駆動させて、運転席側若しくは助手席側のウィンドウガラス12a,12bの開閉動作を行うようになっている。これにより、例えば、ドアロック時に運転席側のウィンドウガラス12aが開いた状態であれば、携帯機2のロックスイッチ25を継続して押圧操作することで、前記ウィンドウガラス12aを閉めることができ、利便性を向上することができる。一方、ドアロック解除時に運転席側のウィンドウガラス12aが閉まった状態であれば、携帯機2のアンロックスイッチ26を継続して押圧操作することで、運転席側のウィンドウガラス12aを開けることができ、車室内の換気等を迅速に行うことができる。
ここで、ウィンドウガラス12a,12bを閉める場合、携帯機2からウィンドウ閉信号Sが断続的にパルス状に送信されいて、該ウィンドウ閉信号Sが受信されない場合には、応答性良くウィンドウガラス12a,12bの閉動作を中止するようになっている。これにより、ウィンドウガラス12a,12bの閉動作による挟み込みを防止することができ、安全性を向上することができる。一方、ウィンドウガラス12a,12bを開ける場合には、携帯機2からのウィンドウ開信号Pが一度受信されれば、全開状態になるまで、該ウィンドウガラス12a,12bの開動作が行われるようになっている。なお、この場合には、前記携帯機2のスイッチ25,26のいずれかを再操作することで、ウィンドウガラス12a,12bの開動作は停止するようになっている。
さらに、本願の第1の発明の特徴部分であるが、上述のように携帯機2からのウィンドウ閉信号Sを受信してウィンドウ閉動作を行う場合において、詳しくは後述するように、車両Vに隣接して停車している車両V’の車載機5が、該車両V’の車室内に位置する携帯機3に対して車外に持ち出されたかどうかを検出する携帯機持ち出し警報制御を行っている場合には、その際に該携帯機3から送信されるID信号iを車載機4で受信する受信タイミングを予測し、その受信タイミングに対して前記ウィンドウ閉信号Sの送信タイミングが重ならないように前記携帯機2にウィンドウ閉信号Sを送信させるようになっている。
また、前記スマートキーレス制御ユニット40は、ステアリングのロック解除制御を行うように構成されている。車両が駐車している状態では、イグニッションノブ49はアクセサリOFFに位置しており、ステアリングがロックされた状態となっている。ステアリングのロック解除制御とは、このステアリングのロック状態を解除して操作可能にする制御である。すなわち、車両に乗車した利用者がイグニッションノブ49を押圧操作すると、送信アンテナ41,42からリクエスト信号rを送信するようになっている。そして、該リクエスト信号rに対応して携帯機2から送信されるID信号iを受信して、該ID信号iに含まれるIDコードの照合を行うようになっている。このIDコードの認証が得られると、ステアリングのロックが解除される。
また、前記スマートキーレス制御ユニット40は、エンジン制御ユニット50に対してエンジン始動を許可するエンジン始動制御を行うように構成されている。エンジン始動制御とは、イグニッションノブ49をイグニッションSTARTの位置まで回動させることで、エンジンを始動させる制御をいう。すなわち、運転者がイグニッションノブ49をイグニッションSTARTの位置まで回動させると、送信アンテナ41,42からリクエスト信号rを送信するようになっている。そして、該リクエスト信号rに対応して携帯機2から送信されるID信号iを受信して、該ID信号iに含まれるIDコードの照合を行うようになっている。このIDコードの認証が得られると、前記エンジン制御ユニット50に始動許可信号を出力し、該エンジン制御ユニット50によってエンジンの始動が行われる。
さらに、前記スマートキーレス制御ユニット40は、車室内から携帯機が持ち出されたかどうかを確認して、持ち出されたことが検出された場合には警報を行う、携帯機持ち出し警報制御を行うように構成されている。すなわち、携帯機が車室内から持ち出される可能性のある場合、例えば、イグニッションノブ49がアクセサリOFFの位置ではなく、車両が停車していると判定される場合などには、送信アンテナ41a,41b,42a,42bから車室内に向かってリクエスト信号r(以下、持ち出し確認信号ともいう)を送信するようになっている。そして、メモリ44にIDコードが登録されており、車室内に存在していた携帯機から、前記リクエスト信号rに対してID信号iが送信されなかったり、IDコードの認証が得られなかったりした場合には、該携帯機が車室内から車外に持ち出されたとして、警報ランプ51やブザー52によって利用者に報知する。これにより、携帯機の車外への持ち出しを防止することができる。
ここで、車両V,V’が隣接して停車しており、該車両Vで携帯機2によるウィンドウ閉操作が行われ、該車両V’で車室内の携帯機3に対して携帯機持ち出し警報制御が行われている場合、車両V’の車室内の携帯機3から送信されるID信号iは、ウィンドウ閉動作の際に前記携帯機2から送信されるウィンドウ閉信号Sと同じ周波数帯であって、該ウィンドウ閉信号Sと干渉する可能性があるため、車両Vの車載機4でウィンドウ閉信号Sが正常に受信されず、該車両Vにおけるウィンドウ閉動作を中断させる恐れがある。そのため、前記携帯機2から送信されるウィンドウ閉信号Sの送信タイミングは、前記ID信号iと干渉しないタイミングになるように決められる。より詳しくは、前記ID信号iは、所定時間間隔(例えばドア開状態で1秒毎、ドア閉状態で3秒毎)で送信されるリクエスト信号rに対応して携帯機3から送信されるため、これに基づいて該ID信号iの車載受信アンテナ43での受信タイミングを推定することができる。そのため、この受信タイミングと、携帯機2から送信されるウィンドウ閉信号Sの送信タイミングとが重ならないように、該ウィンドウ閉信号Sを遅いタイミングで送信するようになっている。なお、前記ID信号iの受信タイミングを推定する場合、同一車種であれば前記所定時間間隔を予め把握できるので、それを利用すればよいが、異なる車種で所定時間間隔が分からない場合には、過去数回に受信したID信号iに基づいて、その周期から所定時間間隔を把握することもできる。
具体的に、図4の例で説明する。携帯機2のロックスイッチ25を操作すると、該携帯機2からロック信号Lが送信され、該ロック信号Lを受信した車両Vの車載機4でドアロックが行われる。そして、そのまま前記ロックスイッチ25の操作を続けると、前記携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信され、該ウィンドウ閉信号Sを受信した車載機4でウィンドウ閉動作が行われる。一方、前記車両Vに隣接して停車している車両V’では、車載機5から一定間隔で持ち出し確認信号(リクエスト信号r)が送信され、該持ち出し確認信号に対して、携帯機3からID信号iが送信される。このとき、前記車載機4のスマートキーレス制御ユニット40は、携帯機3から送信されるID信号iの受信タイミングを推測して、その受信タイミングから外れるように、携帯機2に対してウィンドウ閉信号Sを通常のタイミング(例えば0.5秒間隔)より少し遅いタイミングで送信させる。これにより、ウィンドウ閉信号Sは携帯機3から送信されるID信号iの影響を受けることなく確実に車載機4に受信される。したがって、操作者がウィンドウ閉動作の操作を行っている場合に、その途中でウィンドウ閉動作が中断されるのを防止することができ、該操作者に違和感を与えることがない。
以上の構成を備えた携帯機制御ユニット20及びスマートキーレス制御ユニット40において、上述の各制御は図5に示すようなフローによって実行される。具体的には、車載機4側では、図5の左側に示すように、フローがスタートすると、まず、ステップS1でドアロック若しくはドアロックの解除を行うドアロック制御を行い、続くステップS2でステアリングロックを解除するステアリングロック制御を行う。その後、ステップS3でエンジンを始動する際のエンジン始動制御を行うとともに、ステップS4で携帯機持ち出し警報制御を行って、再びこのフローを開始する(リターン)ようになっている。なお、携帯機2側は、図5の右側に示すように、上述のフローと同様であるため、説明は省略する。また、車両V’の車載機5及び携帯機3でも図5と同様の制御が行われているものとする。
以下で、図5に示す各制御の具体的なフローについて詳細に説明する。
<ドアロック制御>
前記車載機4及び携帯機2で行われるドアロック制御のフローを図6〜図8に示す。以下の説明では、まず、車載機4で行われるドアロック制御について説明した後、携帯機2で行われるドアロック制御について説明する。
−車載機−
図6の左側に示すフローがスタートすると、まず、ステップSA1で、エンジンが回転しているかどうかをエンジン回転数検出センサ53からの出力信号に基づいて判定する。エンジンが回転していると判定された場合(YESの場合)には、ドアロック制御は不要として、このフローを終了する(エンド)。一方、エンジンが回転していないと判定された場合(NOの場合)には、続くステップSA2以降に進んで、スマートエントリシステムを利用したドアロック若しくはドアロックの解除等のドアロック制御を行う。
前記ステップSA1でエンジンが回転していないと判定された場合(NOの場合)に進むステップSA2では、ドアリクエストスイッチ45が操作されたかどうかを判定する。ドアリクエストスイッチ45が操作されていないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSA10以降に進んで、携帯機2から無線通信を介してアンロック信号Uが送信されたかどうかの判定を行う。一方、前記ステップSA2でドアリクエストスイッチ45が操作されたと判定された場合(YESの場合)には、ステップSA3へ進んで、携帯機2へリクエスト信号rを送信する。
そして、ステップSA4で、リクエスト信号rを送信してから所定時間以内に携帯機2からID信号iを受信したかどうかについて判定し、ID信号iを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、ドアリクエストスイッチ45による操作は不可として、ステップSA10以降に進む。一方、ID信号iを受信したと判定された場合(YESの場合)には、受信したID信号iのIDコードの照合を行い、該IDコードがメモリ44に記憶されているIDコードと一致しているか(認証が得られたか)どうかを判定する(ステップSA5、SA6)。なお、前記ステップSA4における所定時間は、リクエスト信号rを携帯機2に送信してから、該携帯機2から送信されるID信号iを車載受信アンテナ43で受信するのに十分な時間に設定される。
前記携帯機2から受信したID信号iに含まれるIDコードの認証が得られなかった場合(ステップSA6においてNOの場合)には、ステップSA10以降に進む一方、認証が得られた場合(YESの場合)には、続くステップSA7で、ドアロック検出センサ56からの出力信号に基づいてドアがロックされている状態かどうかを判定する。このステップSA7で、ドアがロック状態であると判定された場合(YESの場合)には、ステップSA8でドアアンロック制御を行って、ドアロックを解除し、ステップSA10に進む。
一方、前記ステップSA7でドアがロック状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSA9でドアロック制御を行ってドアをロック状態にした後、ステップSA10以降へ進む。
前記ステップA10では、携帯機2からアンロック信号Uを受信したかどうかの判定を行う。このステップSA10でアンロック信号Uを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSA14以降に進む一方、アンロック信号Uを受信したと判定された場合(YESの場合)には、該アンロック信号Uとともに携帯機2から送信されるID信号iのIDコードの照合を行って、該IDコードがメモリ44に記憶されたIDコードと一致していて認証が得られたかどうかを判定する(ステップSA11、SA12)。認証が得られなかった場合(NOの場合)には、ステップSA14以降に進む一方、認証が得られた場合(YESの場合)には、ステップSA13でドアアンロック制御を行って、ステップSA14以降に進む。
前記ステップSA14では、ウィンドウ開信号Pを受信したかどうかの判定を行う。このステップSA14でウィンドウ開信号Pを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSA18以降に進む一方、ウィンドウ開信号Pを受信したと判定された場合(YESの場合)には、該ウィンドウ開信号Pとともに携帯機2から送信されるID信号iのIDコードの照合を行って、該IDコードの認証が得られたかどうかを判定する(ステップSA15、SA16)。認証が得られなかった場合(NOの場合)には、ステップSA18以降に進む一方、認証が得られた場合(YESの場合)には、ステップSA17で、ウィンドウ駆動モータ48を駆動させてウィンドウガラス12a,12bを開状態にする、ウィンドウ全開制御を行って、ステップSA18以降に進む。なお、このウィンドウ全開制御は、前記ウィンドウ開信号Pを一度受信すれば、連続的に若しくは断続的に該ウィンドウ開信号Pを受信していなくても、ウィンドウガラス12a,12bが全開状態になるまで該ウィンドウガラス12a,12bを開動作させるようになっている。
前記ステップSA18では、ロック信号Lを受信したかどうかの判定を行う。このステップSA18でロック信号Lを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSA22以降に進む一方、ロック信号Lを受信したと判定された場合(YESの場合)には、該ロック信号Lとともに携帯機2から送信されるID信号iのIDコードの照合を行って、該IDコードの認証が得られたかどうかを判定する(ステップSA19、SA20)。認証が得られなかった場合(NOの場合)には、ステップSA22以降に進む一方、認証が得られた場合(YESの場合)には、ステップSA21でドアロック制御を行った後、後述するように、ステップSA23以降へ進んで、車両V’の携帯機3からの送信されるID信号iを受信するタイミングを推定し、携帯機2へ送信する。このように、ドアロック制御と連動して前記ID信号iの受信タイミングを推定することで、迅速且つ確実に携帯機2からのウィンドウ閉信号Sと携帯機3からのID信号iとの干渉を防止することができる。
前記ステップSA22では、ウィンドウガラス12a,12bが閉動作中であるかどうかを判定する。すなわち、後述するステップSA26で携帯機2からウィンドウ閉信号Sを受信して、ウィンドウ閉動作を継続して行っている途中であるかどうかを判定する。このステップSA22でウィンドウ閉動作中でないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSA26以降に進む一方、ウィンドウ閉動作中であると判定された場合(YESの場合)には、車両V’の車室内の携帯機持ち出し警報制御において携帯機3から送信されるID信号iを受信するとともに、それ以降の受信タイミングを予測して、予測された受信タイミングを携帯機2に送信する(ステップSA23〜SA25)。このように予測された受信タイミングを携帯機2に送信することで、後述するように該携帯機2におけるウィンドウ閉信号Sの送信タイミングを該受信タイミングと重ならないようにすることができる。その後は、ステップSA26以降に進む。なお、前記ID信号iの受信タイミングを予測する場合、同一車種であれば信号受信の所定時間間隔を予め把握できるので、それを利用すればよいが、異なる車種で所定時間間隔が分からない場合には、過去数回に受信したID信号iに基づいて、その周期から所定時間間隔を把握することもできる。
前記ステップSA26では、ウィンドウ閉信号Sを携帯機2から受信しているかどうかを判定する。このステップSA26でウィンドウ閉信号Sを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、フローを終了する(エンド)一方、ウィンドウ閉信号Sを受信していると判定された場合(YESの場合)には、該ウィンドウ閉信号Sとともに携帯機2から送信されるID信号iのIDコードの照合を行って、該IDコードの認証が得られたかどうかを判定する(ステップSA27、SA28)。認証が得られなかった場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)一方、認証が得られた場合(YESの場合)には、ステップSA29でウィンドウ閉制御を行った後、フローを終了する(エンド)。なお、前記ステップSA29で行われるウィンドウ閉制御は、ウィンドウ閉信号Sに応じて所定の高さ分だけウィンドウガラス12a,12bを上方に移動させるものであり、このような制御を行うことで、操作者が携帯機2からウィンドウ閉信号Sの送信を中止した場合に、応答性良くウィンドウ閉動作を停止させることができ、安全性を向上することができる。
ここで、ウィンドウ閉制御を行う前記ステップSA29がウィンドウ制御手段40aに、携帯機3から送信されるID信号iの次の受信タイミングを予測するステップSA24がタイミング予測手段40bに、その予測された受信タイミングを携帯機2に向けて送信して、該携帯機2のウィンドウ閉信号Sの送信タイミングを変更させるステップSA25が送信タイミング変更手段40dに、それぞれ対応する。
−携帯機−
次に、携帯機2のドアロック制御における動作について以下で説明する。
まず、図6の右側に示すドアロック制御のフローがスタートすると、ステップSA1’で車載機4からリクエスト信号rを受信したかどうかの判定を行う。このステップSA1’でリクエスト信号rを受信したと判定された場合(YESの場合)には、続くステップSA2’で、車載機4に対してIDコードを含むID信号iを送信して、ステップSA3’へ進む。一方、前記ステップSA1’でリクエスト信号rを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、そのままステップSA3’へ進み、ドアのアンロック操作が行われているかどうか、すなわちアンロックスイッチ26が操作されているかどうかを判定する。ドアのアンロック操作が行われていると判定された場合(YESの場合)には、アンロック信号UをID信号iとともに車載機4へ送信する(ステップSA4’)一方、ドアアンロック操作が行われていないと判定された場合(NOの場合)には、後述するステップSA7’へ進む。
前記ステップSA4’の後に進むステップSA5’では、所定時間以上、アンロックスイッチ26の操作が継続して行われているどうかの判定を行い、該アンロックスイッチ26が継続して操作されていると判定された場合(YESの場合)には、ステップSA6’へ進んで、ウィンドウ開信号PをID信号iとともに車載機4に送信し、ステップSA7’へ進む。一方、前記ステップSA5’で、アンロックスイッチ26の操作が所定時間以上、継続されていないと判定された場合(NOの場合)には、そのままステップSA7’へ進む。なお、前記所定時間は、ウィンドウ閉動作を希望するという操作者の意図を的確に判別できるように、アンロックスイッチ26を押圧操作してからアンロック信号Uを送信するまでの時間よりも長い時間に設定される。
前記ステップSA7’では、ドアロック操作が行われたかどうか、すなわちロックスイッチ25の操作が行われたかどうかを判定する。このステップSA7’でドアロック操作が行われたと判定された場合(YESの場合)には、続くステップSA8’へ進んで、ロック信号LをID信号iとともに車載機4へ送信する一方、ドアロック操作が行われていないと判定された場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)。
前記ステップSA8’の後に進むステップSA9’では、所定時間以上、ロックスイッチ25の操作が継続して行われているかどうかの判定を行い、該ロックスイッチ25が継続して操作されていると判定された場合(YESの場合)には、ステップSA10’へ進んで、車載機4において予測された携帯機3からのID信号iの受信タイミングを受信する一方、前記ロックスイッチ25が継続して操作されていないと判定された場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)。なお、前記所定時間は、上述のウィンドウ開信号Pを送信する場合と同様、ウィンドウ開動作を希望するという操作者の意図を的確に判別できるように、ロックスイッチ25を押圧操作してからロック信号Lを送信するまでの時間よりも長い時間に設定される。
そして、ステップSA11’では、前記ステップSA10’で受信した、ID信号の受信タイミングに基づいて、その受信タイミングとは重ならないようにウィンドウ閉信号Sの送信タイミングを決定し、その送信タイミングになったかどうかを判定する。送信タイミングになったと判定された場合(YESの場合)には、続くステップSA12’でウィンドウ閉信号SとともにID信号iを送信する一方、送信タイミングでないと判定された場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)。
上述のフローにより、車載機4側で認証された携帯機2を所持した利用者が車両Vに乗車する際若しくは降車する際には、ドアノブに設けられたドアリクエストスイッチ45を操作するだけでドアロック制御を行うことができ、利便性を向上することができる。また、前記携帯機2に設けられたロックスイッチ25またはアンロックスイッチ26を操作することで、ドアロックまたはドアロック解除を遠隔で操作できるとともに、ドアロック後若しくはドアロック解除後も前記スイッチ25,26を継続して押圧操作することで、ドアのウィンドウガラス12a,12bの閉動作若しくは開動作を行わせることができる。
そして、前記ウィンドウガラス12a,12bが閉動作中で、前記車両Vに隣接して車両V’が停車している場合には、該車両V’の車載機5に認証された携帯機3から送信されるID信号iを前記車載機4で受信する際の受信タイミングを予測し、前記携帯機2にその受信タイミングとは異なるタイミングでウィンドウ閉信号Sを送信させることで、該ウィンドウ閉信号Sが前記ID信号iと干渉することなく、前記車載機4に確実に受信され、前記ウィンドウガラス12a,12bのウィンドウ閉動作が中断されるのを防止することができる。
<ステアリングロック制御>
上述のドアロック制御に続いて前記車載機4及び携帯機2で行われるステアリングロック制御のフローを図9に示す。この図9のフローについて以下で説明する。
まず、図9のフローがスタートすると、車載機4側では、イグニッションノブ49の操作(例えば車両前方への押圧操作など)が行われているかどうかの判定を行う(ステップSB1)。イグニッションノブ49が操作されていないと判定された場合(NOの場合)には、ステアリングロックを解除する必要がないので、このフローを終了する(エンド)一方、前記イグニッションノブ49が操作されたと判定された場合(YESの場合)には、ステップSB2へ進んで、イグニッションロック制御の許容条件を満たしているかどうかの判定を行う。具体的には、このステップSB2では、イグニッションOFFの状態、すなわち、イグニッションノブ49の位置がアクセサリOFF若しくはアクセサリONの位置であるかどうかが判定される。
前記ステップSB2で、許容条件を満たしていると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSB3で携帯機2にリクエスト信号rを送信して、ステップSB4で所定時間以内に携帯機2からID信号iを受信したかどうかの判定を行う。このステップSB4でID信号iを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)一方、ID信号iを受信していると判定された場合(YESの場合)には、該ID信号iに含まれるIDコードが、メモリ44に記憶されているかどうか、すなわちIDコードの照合を行い、一致するものがあったかどうかの判定を行う(ステップSB5、SB6)。IDコードと一致するものがメモリ44に記憶されていた場合(前記ステップSB6においてYESの場合)には、ステアリングロックを解除するステアリングアンロック制御を行う(ステップSB7)一方、一致するものがなかった場合(前記ステップSB6においてYESの場合)には、そのままこのフローを終了する(エンド)。なお、前記ステップSB4における所定時間は、リクエスト信号rを携帯機2に送信してから、該携帯機2から送信されるID信号iを車載受信アンテナ43で受信するのに十分な時間に設定される。
一方、携帯機2側では、ステアリングロック制御がスタートすると、まず、ステップSB1’でリクエスト信号rを車載機4から受信したかどうかの判定を行い、リクエスト信号rを受信した場合(YESの場合)には、続くステップSB2’で車載機4へID信号iを送信して、このフローを終了する(エンド)。一方、前記ステップSB1’で、リクエスト信号rを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)。
<エンジン始動制御>
上述のステアリングロック制御に続いて前記車載機4及び携帯機2で行われるエンジン始動制御のフローを図10に示す。この図10のフローについて以下で説明する。
まず、図10のフローがスタートすると、車載機4側では、イグニッションノブ49(イグニッションスタータ)の操作が行われているかどうかの判定を行う(ステップSC1)。具体的には、イグニッションノブ49が、イグニッションSTARTの位置まで回されたかどうかを判定している。
前記ステップSC1で、イグニッションノブ49は操作されていないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)一方、前記イグニッションノブ49が操作されたと判定された場合(YESの場合)には、続くステップSC2で、スタータ制御禁止条件に該当しているかどうかを判定する。ここで、スタータ制御禁止条件に該当している場合とは、エンジンが動作中である場合等を意味する。
前記ステップSC2で、スタータ制御禁止条件に該当していると判定された場合(YESの場合)には、エンジン始動制御を行う必要がないため、このフローを終了する(エンド)一方、スタータ制御禁止条件に該当していないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSC3へ進んで携帯機2へリクエスト信号rを送信し、所定時間以内に携帯機2からID信号iを受信したかどうかを判定する(ステップSC4)。このステップSC4でID信号iを所定時間以内に受信したと判定された場合(YESの場合)には、IDコードの照合を行い、メモリ44に一致しているIDコードが存在するかどうかを判定する(ステップSC5、SC6)。一方、前記ステップSC4で、ID信号iを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)。なお、前記ステップSC4における所定時間は、リクエスト信号rを携帯機2に送信してから、該携帯機2から送信されるID信号iを車載受信アンテナ43で受信するのに十分な時間に設定される。
前記ステップSC6で、メモリ44にID信号iに含まれるIDコードと一致するIDコードが存在すると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSC7で、スマートキーレス制御ユニット4がエンジン制御ユニット50にエンジン始動許可信号を出力して、エンジンを始動させるイグニッションスタータ制御を行う一方、一致するIDコードが存在しないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)。
一方、携帯機2側では、エンジン始動制御がスタートすると、まず、ステップSC1’でリクエスト信号rを車載機4から受信したかどうかの判定を行い、リクエスト信号rを受信した場合(YESの場合)には、続くステップSC2’で車載機4へID信号iを送信して、このフローを終了する(エンド)。一方、前記ステップSC1’で、リクエスト信号rを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)。
なお、前記ステップSC1においてイグニッションノブ49がイグニッションSTARTの位置まで回動操作されてはじめて、リクエスト信号rを送信して携帯機2のIDコードの照合を行うのではなくて、以下の条件が成立したときに、予めステップSC2〜SC6の動作を行って携帯機2のIDコードの照合を行っておいてもよい。具体的には、(i)イグニッションノブ49をアクセサリOFFからアクセサリONへ操作(ii)アクセサリON状態となってから3秒経過(iii)イグニッションON状態となってから60秒経過、という何れかの条件成立時には、その後、イグニッションノブ49がイグニッションSTARTへ操作される可能性が高いため、予め携帯機2のIDコードの照合を行っておく。そして、IDコードの認証が得られれば、イグニッションノブ49がイグニッションSTARTの位置まで操作された際に、前記ステップSC2〜SC6を省略してIDコードの照合を行うことなく、エンジンを始動させるイグニッションスタータ制御を行う。
<携帯機持ち出し警報制御>
上述のエンジン始動制御に続いて行われる携帯機持ち出し警報制御のフローを図11に示す。この図11のフローについて以下で説明する。なお、この携帯機持ち出し警報制御については、説明の都合上、車載機を車両V’の車載機5として、また、携帯機を該車載機5に認証されている携帯機3として説明する。
前記図11のフローがスタートすると、車載機5側では、まず、ステップSD1で携帯機3の車外への持ち出しを確認するタイミングであるかどうかについて判定する。この持ち出し確認タイミングは、イグニッションノブ49がイグニッションOFFの位置ではない場合において、ドア開検出センサ55からの出力信号に基づいてドア開動作が検出された場合には例えば1秒毎に、ドア開状態であると検出された場合には例えば3秒毎に、それぞれ設定される。前記ステップSD1で、持ち出し確認のタイミングではないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)一方、持ち出し確認のタイミングであると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSD2で持ち出し警報制御の許容条件が成立しているかどうかを判定する。ここで、エンジン回転数が1800回転より小さい場合(例えばアイドリング状態等)、車両が停止している場合にそれぞれ許容条件が成立したものと判定される。
前記ステップSD2で、持ち出し警報制御の許容条件が成立しなかったと判定された場合(NOの場合)には、そのままこのフローを終了する(エンド)一方、許容条件が成立したと判定された場合(YESの場合)には、ステップSD3に進んで、携帯機3にリクエスト信号rを送信する。そして、続くステップSD4で、リクエスト信号rの送信後、所定時間以内に携帯機3からのID信号iを受信したかどうかを判定し、ID信号iを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSD8に進んで、警報ランプ51若しくはブザー52によって持ち出し警報を行う。一方、前記ステップSD4でID信号iを受信したと判定された場合(YESの場合)には、IDコードの照合を行って、認証が得られたかどうかの判定を行う(ステップSD5、SD6)。なお、前記ステップSD4における所定時間は、リクエスト信号rを携帯機3に送信してから、該携帯機3から送信されるID信号iを車載受信アンテナ53で受信するのに十分な時間に設定される。
前記ステップSD6において、IDコードの認証が得られなかった場合(NOの場合)には、前記ステップSD8で持ち出し警報を行う一方、IDコードの認証が得られた場合(YESの場合)には、ステップSD7で、携帯機3が車室内に位置しているかどうかの判定を行い、車室内に位置していれば(YESの場合)、このフローを終了(エンド)し、車室内に位置していなければ警告を行う(ステップSD8)。ここで、該携帯機3が車室内に位置しているかどうかは、上述したように、複数の送信アンテナ41a〜41c,42a,42bから順に送信されるリクエスト信号rに対する携帯機3からのID信号iの応答タイミングによって判断される。具体的には、例えば運転席側送信アンテナ41a及び助手席側送信アンテナ41bは、それぞれ、車室内及び車外を送信領域に含むように、且つ両者の送信領域が車室内でオーバーラップするように構成されていて、該両者から送信されたリクエスト信号rに対して、前記携帯機3からそれぞれID信号iが送信された場合には、該携帯機3は車室内に位置すると判定される一方、どちらか一方からのリクエスト信号rに対してのみID信号iの送信があった場合には、前記携帯機3は車外に位置するものと判定される。
なお、前記持ち出し警報は、次回の持ち出し確認タイミングまで継続して行われるが、この限りではなく、予め設定された時間まで行われるようにしてもよい。
一方、携帯機3側では、携帯機持ち出し警報制御がスタートすると、まず、ステップSD1’でリクエスト信号rを車載機5から受信したかどうかの判定を行い、リクエスト信号rを受信した場合(YESの場合)には、続くステップSD2’で車載機5へID信号iを送信して、このフローを終了する(エンド)。一方、前記ステップSD1’で、リクエスト信号rを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)。
ここで、携帯機3の持ち出し判定を行うステップSD1〜SD7が持ち出し判定手段40cに対応している。
以上より、本実施形態では、車両Vの車外に位置する携帯機2によって該車両Vではウィンドウガラス12a,12bの開閉動作が行われ、且つ前記車両Vに隣接して停車している車両V’では車室内に位置する携帯機3の車外への持ち出し判定が行われている場合において、該車両V’での携帯機3の持ち出し判定の際に該携帯機3から送信されるID信号iの前記車両Vの車載機4での受信タイミングを予測し、該受信タイミングと重ならないように、前記携帯機2から送信されるウィンドウ閉信号Sの送信タイミングを変更することで、該ウィンドウ閉信号Sが車両Vの車載機4で確実に受信されるようにすることができる。これにより、該車両Vでのウィンドウ閉動作が中断されるのを防止することができ、ウィンドウ閉動作中に操作者に違和感を与えないようにすることができる。
(実施形態2)
実施形態2は、本願の第2の発明に対応しており、図12〜図14に示すように、携帯機持ち出し警報制御において、車両Vの車外に位置する携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されている場合に、車載受信アンテナ43での受信タイミングを推定して、該ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングと車両V’の車室内に位置する携帯機3からのID信号iとの送信タイミングとが重なると推測されるときには、前記ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングに対してID信号iの送信タイミングをずらすようにしたものである。そのため、上述の実施形態1とは、携帯機持ち出し警報制御において、車両V’の車室内に位置する携帯機3から送信されるID信号iの送信タイミングをずらす点が異なるだけなので、実施形態1と異なる部分についてのみ以下で詳しく説明する。
すなわち、図12に示すように、車両Vの車外に位置する携帯機2からロック信号Lが送信されて該車両Vの車載機4の車載受信アンテナ43で受信されると、該車載機4のスマートキーレス制御ユニット40は、ドアロックアクチュエータ47を駆動させるロック制御を行う。一方、前記車両Vに隣接して停車している車両V’の車載機5では、車内に位置する携帯機3が車外に持ち出されていないかどうかを確認するために、リクエスト信号r(持ち出し確認信号)が送信されていて、該リクエスト信号rに対応して前記携帯機3からID信号iが送信されている。
この場合、前記車両V’の車内に位置する携帯機3から送信されるID信号iは、該車両V’が車両Vと隣接して停車していることから、該車両Vの車載機4の車載受信アンテナ43でも受信される可能性があり、前記ID信号iと携帯機2からのウィンドウ閉信号Sとが干渉して、該ウィンドウ閉信号Sが正常に車載機4に受信されない可能性がある。そのため、前記車載機5のスマートキーレス制御ユニット50では、携帯機2から送信されるウィンドウ閉信号Sの受信タイミングを予測して、その受信タイミングと車両V’の車室内に位置する携帯機3からのID信号iの送信タイミングとが重ならないように、リクエスト信号(以下、持ち出し確認信号ともいう)rを送信する。
なお、前記車両V’のドアが開状態の場合には、車室内から携帯機3が持ち出される可能性が高いため、持ち出し確認のために車載機5から送信するリクエスト信号rの送信タイミングを変更しないようにするとともに、携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていない場合(車載機5で携帯機2からのウィンドウ閉信号Sを検出できなかった場合)にも、上述のような車載機5からのリクエスト信号rの送信タイミングの変更を行わないようにする。これにより、車両V’での携帯機3の持ち出し確認の精度を確保することができる。
ここで、上述のように、ドア開状態のときに、リクエスト信号rの送信タイミングをずらさないようにした車両V’の車載機5におけるスマートキーレス制御ユニット50が第1禁止手段に、ロック信号Lを受信した後、予測された時間以内にウィンドウ閉信号Sを受信しなかった場合に、リクエスト信号rの送信タイミングをずらさないようにした車両V’の携帯機5におけるスマートキーレス制御ユニット50が第2禁止手段に、それぞれ対応する。
具体的に、図13及び図14のフローに基づいて、本実施形態における車載機5及び携帯機3の動作について以下で説明する。
車両V’の車載機5側では、図13の左側のフローがスタートすると、まず、ステップSE1で携帯機3の車外への持ち出しを確認するタイミングであるかどうかについて判定する。この持ち出し確認タイミングは、イグニッションノブ49がイグニッションOFFの位置ではない場合において、ドア開検出センサ55からの出力信号に基づいてドア開動作が検出された場合には例えば1秒毎に、ドア開状態であると検出された場合には例えば3秒毎に、それぞれ設定される。前記ステップSE1で、持ち出し確認のタイミングではないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)一方、持ち出し確認のタイミングであると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSE2で持ち出し警報制御の許容条件が成立しているかどうかを判定する。ここで、エンジン回転数が1800回転より小さい場合(例えばアイドリング状態等)、車両が停止している場合にそれぞれ許容条件が成立したものと判定される。
前記ステップSE2で、持ち出し警報制御の許容条件が成立しなかったと判定された場合(NOの場合)には、そのままこのフローを終了する(エンド)一方、許容条件が成立したと判定された場合(YESの場合)には、ステップSE3に進んで、前記ドア開検出センサ55からの出力信号に基づいてドア開状態が検出されたかどうかを判定する。ドア開状態ではないと検出された場合(NOの場合)には、続くステップSE4〜SE6に進んで、ウィンドウ閉信号Sを優先させるために、携帯機3に向けて送信するリクエスト信号rの送信タイミングを、該携帯機3からのID信号iの送信タイミングがウィンドウ閉信号Sの受信タイミングからはずれるようなタイミングに変更する一方、前記ステップSE3でドア開状態であると判定された場合(YESの場合)には、携帯機3が車外に持ち出される可能性が高いため、持ち出し確認を優先させて、送信タイミングを変更することなくリクエスト信号rを送信する(ステップSE7)。
前記ステップSE3でドア開状態ではないと判定された場合に進むステップSE4では、携帯機2からのウィンドウ閉信号Sの送信が停止されているかどうかを判定する。該携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていない場合(YESの場合)には、携帯機3の持ち出し確認のために送信するリクエスト信号rの送信タイミングを変更する必要がないため、そのままリクエスト信号rを送信する(ステップSE7)一方、前記ステップSE4で携帯機2からのウィンドウ閉信号Sの送信が停止されていないと判定された場合(NOの場合)には、続くステップSE5に進んで、該ウィンドウ閉信号Sの車載機4での受信タイミングを推定する。ここで、ウィンドウ閉信号Sはロック信号Lの送信後に所定間隔(例えば0.5秒毎)で送信されるように構成されていることから、該ロック信号Lを車載機5で検出することによってウィンドウ閉信号Sの受信タイミングが推定されるようになっている。なお、該ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングを推定する場合、同一車種であれば前記所定間隔を予め把握できるので、それを利用すればよいが、異なる車種で所定間隔が分からない場合には、過去数回に受信したウィンドウ閉信号Sに基づいて、その周期から所定間隔を把握することもできる。
そして、ステップSE6では、前記ステップSE5で推定したウィンドウ閉信号Sの受信タイミングよりも所定時間前になったかどうかを判定し、該受信タイミングよりも所定時間前であると判定されれば(YESの場合)、その受信タイミングが経過するまで待機する一方、該受信タイミングよりも所定時間前ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSE7に進んで、携帯機3にリクエスト信号rを送信する。なお、前記ステップSE6における所定時間とは、リクエスト信号rを送信してから、携帯機3からID信号iを送信されるまでの時間であり、この時間を考慮することで、前記ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングとID信号iの送信タイミングとが重ならないように前記リクエスト信号rを送信することが可能となる。
続いてステップSE8で、リクエスト信号rの送信後、所定時間以内に携帯機3からのID信号iを受信したかどうかを判定し、ID信号iを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSE12に進んで、警報ランプ51若しくはブザー52によって持ち出し警報を行う。一方、前記ステップSE8でID信号iを受信したと判定された場合(YESの場合)には、IDコードの照合を行って、認証が得られたかどうかの判定を行う(ステップSE9、SE10)。なお、前記ステップSE8における所定時間は、リクエスト信号rを携帯機3に送信してから、該携帯機3から送信されるID信号iを車載受信アンテナ53で受信するのに十分な時間に設定される。
前記ステップSE10において、IDコードの認証が得られなかった場合(NOの場合)には、前記ステップSE12で持ち出し警報を行う一方、IDコードの認証が得られた場合(YESの場合)には、ステップSE11で、携帯機3が車室内に位置しているかどうかの判定を行い、車室内に位置していれば(YESの場合)、このフローを終了(エンド)し、車室内に位置していなければ、警報を行う(ステップSE12)。
ここで、前記携帯機3が車室内に位置しているかどうかは、上述したように、複数の送信アンテナ41a〜41c,42a,42bから順に送信されるリクエスト信号rに対する携帯機3からのID信号iの応答タイミングによって判断される。具体的には、例えば運転席側送信アンテナ41a及び助手席側送信アンテナ41bは、それぞれ、車室内及び車外を送信領域に含むように、且つ両者の送信領域が車室内でオーバーラップするように構成されていて、該両者から送信されたリクエスト信号rに対して、前記携帯機3からそれぞれID信号iが送信された場合には、該携帯機3は車室内に位置すると判定される一方、どちらか一方からのリクエスト信号rに対してのみID信号iの送信があった場合には、前記携帯機3は車外に位置するものと判定される。
なお、前記持ち出し警報は、次回の持ち出し確認タイミングまで継続して行われるが、この限りではなく、予め設定された時間まで行われるようにしてもよい。
一方、携帯機3側では、携帯機持ち出し警報制御始動制御がスタートすると、まず、ステップSE1’でリクエスト信号rを車載機5から受信したかどうかの判定を行い、リクエスト信号rを受信した場合(YESの場合)には、続くステップSE2’で車載機5へID信号iを送信して、このフローを終了する(エンド)。一方、前記ステップSE1’で、リクエスト信号rを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)。
ここで、ウィンドウ閉信号Sの車載機4での受信タイミングを予測するステップSE5がタイミング予測手段50bに、その予測された受信タイミングよりも所定時間前のタイミングではリクエスト信号を送信しないようにするステップSE6が送信タイミング変更手段50dに、車載機3の車外への持ち出し判定を行うステップSE7〜SE11が持ち出し判定手段50cに、それぞれ対応している。
また、車両V’のドアが開状態のとき及び携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていないときに、車載機3から送信されるID信号iの送信タイミングを変更しないようにしたステップSE3、SE4が、それぞれ第1禁止手段50f及び第2禁止手段50gに対応している。
以上より、本実施形態では、車両Vの車外に位置する携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていて、且つ、該車両Vに隣接して停車している車両V’の車載機5が車室内へ持ち出し確認確認信号rを送信している場合に、該車載機5側で、前記ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングを予測して、該受信タイミングと前記持ち出し確認信号rに対する携帯機3のID信号iの送信タイミングとが重ならないように、前記持ち出し確認信号rの送信タイミングを変更することで、前記ID信号iによってウィンドウ閉信号Sが妨害されるのを防止することができ、該ウィンドウ閉信号Sが車載機4に受信されないことによるウィンドウ閉動作の中断を防止することができる。
また、車両V’のドアが開状態のときには、該車両V’から携帯機3が車外に持ち出される可能性が高いため、持ち出し確認を優先させて、持ち出し確認信号rの送信タイミングを変更しないようにするとともに、携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていないときにも、前記持ち出し確認信号rの送信タイミングを変更しないようにすることで、携帯機3の持ち出し確認の検出精度を確保することができる。
なお、上述のように、携帯機3からのID信号iの送信タイミングとウィンドウ閉信号Sの受信タイミングとが重ならないように、車両V’の車載機5から送信される持ち出し確認信号rの送信タイミングを変更する場合には、前記実施形態1のように、ドアロック制御において、車載機4側で前記ウィンドウ閉信号Sの送信タイミングを変更する必要はない。すなわち、前記実施形態1のドアロック制御のうち、ウィンドウ閉制御を行う部分(図8)は、図15に示すようなフローに置き換えられる。
具体的には、図15において、携帯機2からのロック信号Lに応じてドアロック制御を行うステップSA18〜SA21までは、前記実施形態1と同様であるため、該ドアロック制御後に進むウィンドウ閉制御(ステップSA100以降)について以下で説明する。
まず、車載機4側では、図15の左側にフローを示すように、ステップSA100で携帯機2からウィンドウ閉信号Sを受信しているかどうかの判定を行う。ウィンドウ閉信号Sを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、そのままこのフローを終了する(エンド)一方、ウィンドウ閉信号Sを受信していると判定された場合(YESの場合)には、受信したウィンドウ閉信号Sとともに送信されるID信号iのIDコードの照合を行って、認証が得られたかどうかの判定を行う(ステップSA101、SA102)。ステップ102で、IDコードの認証が得られた場合には、ステップSA103に進んで、ウィンドウ閉制御を行う一方、IDコードの認証が得られなかった場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)。ここで、ウィンドウ閉制御を行う前記ステップSA103がウィンドウ制御手段40aに対応する。
一方、携帯機2側では、図15の右側にフローを示すように、ドアロック操作が行われた(ステップSA7’でYESの場合)後、ID信号i及びロック信号Lを送信して(ステップSA8’)、ロックスイッチ25の操作が所定時間以上、継続して操作されているかどうかを判定する(ステップSA9’)。このステップSA9’で前記ロックスイッチ25の操作が継続して行われていると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSA100’でID信号iとともにウィンドウ閉信号Sを送信する。その後は、前記ステップSA9’へリターンして、ロックスイッチ25の継続操作が終了するまで、ウィンドウ閉信号S及びID信号iを送信し続ける。一方、前記ステップSA9’で、ロックスイッチ25が継続して操作されていないと判定された場合(NOの場合)には、このフローを終了する(エンド)。なお、前記所定時間は、ウィンドウ開動作を希望するという操作者の意図を的確に判別できるように、ロックスイッチ25を押圧操作してからロック信号Lを送信するまでの時間よりも長い時間に設定される。
(実施形態3)
実施形態3は、本願の第3の発明に対応しており、図16〜図18に示すように、携帯機持ち出し警報制御において、車両Vの車外に位置する携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されている場合に、該ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングを推定して、該受信タイミングと車両V’の車室内に位置する携帯機3からのID信号iとの送信タイミングとが重なると推定されるときには、該ID信号iの送信強度を低下させるようにしたものである。そのため、上述の実施形態2とは、置き忘れ対応制御において、車室内に位置する携帯機3から送信されるID信号iの送信強度を低下させる点が異なるだけなので、実施形態2と異なる部分についてのみ以下で詳しく説明する。
すなわち、図16に示すように、車両Vの車外に位置する携帯機2からロック信号Lが送信されて該車両Vの車載機4の車載受信アンテナ43で受信されると、該車載機4のスマートキーレス制御ユニット40は、ドアロックアクチュエータ47を駆動させるロック制御を行う。一方、前記車両Vに隣接して停車している車両V’の車載機5では、車内に位置する携帯機3が車外に持ち出されていないかどうかを確認するために、リクエスト信号r(持ち出し確認信号)が送信されていて、該リクエスト信号rに対応して前記携帯機3からID信号iが送信されている。
この場合、前記車両V’の車内に位置する携帯機3から送信されるID信号iは、該車両V’が車両Vと隣接して停車していることから、該車両Vの車載機4の車載受信アンテナ43でも受信される可能性があり、前記ID信号iと携帯機2からのウィンドウ閉信号Sとが干渉して、該ウィンドウ閉信号Sが正常に車載機4に受信されない可能性がある。そのため、前記車載機5のスマートキーレス制御ユニット50では、携帯機2から送信されるウィンドウ閉信号Sの受信タイミングを予測して、その受信タイミングと車両V’の車室内に位置する携帯機3からのID信号iの送信タイミングとが重なる場合には、該ID信号iの送信強度を低下させるようにする(ID信号iの送信強度を低下させたものは図中に点線で示す)。
なお、前記車両V’のドアが開状態の場合には、車室内から携帯機3が持ち出される可能性が高いため、上述のように、持ち出し確認の際に携帯機3から送信されるID信号iの送信強度を低下させないようにするとともに、携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていない場合(車載機5で携帯機2からのウィンドウ閉信号Sを検出できなかった場合)にも、上述のようなID信号iの送信強度の低下を行わないようにする。これにより、車両V’での携帯機3の持ち出し確認の精度を確保することができる。
ここで、上述のように、ドア開状態のときに、リクエスト信号rの送信タイミングをずらさないようにした車両V’の車載機5におけるスマートキーレス制御ユニット50が第1禁止手段に、ロック信号Lを受信した後、予測された時間以内にウィンドウ閉信号Sを受信しなかった場合に、リクエスト信号rの送信タイミングをずらさないようにした車両V’の携帯機5におけるスマートキーレス制御ユニット50が第2禁止手段に、それぞれ対応する。
具体的に、図17及び図18のフローに基づいて、本実施形態における車載機5及び携帯機3の動作について以下で説明する。
車両V’の車載機5側では、図17の左側のフローがスタートすると、まず、ステップSF1で携帯機3の車外への持ち出しを確認するタイミングであるかどうかについて判定する。この持ち出し確認タイミングは、イグニッションノブ49がイグニッションOFFの位置ではない場合において、ドア開検出センサ55からの出力信号に基づいてドア開動作が検出された場合には3〜5秒毎に、ドア開状態であると検出された場合には5〜30秒毎に、それぞれ設定される。前記ステップSF1で、持ち出し確認のタイミングではないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)一方、持ち出し確認のタイミングであると判定された場合(YESの場合)には、続くステップSF2で持ち出し警報制御の許容条件が成立しているかどうかを判定する。ここで、エンジン回転数が1800回転より小さい場合(例えばアイドリング状態等)、車両が停止している場合にそれぞれ許容条件が成立したものと判定される。
前記ステップSF2で、持ち出し警報制御の許容条件が成立しなかったと判定された場合(NOの場合)には、そのままこのフローを終了する(エンド)一方、許容条件が成立したと判定された場合(YESの場合)には、ステップSF3に進んで、前記ドア開検出センサ55からの出力信号に基づいてドア開状態が検出されたかどうかを判定する。ドア開状態ではないと検出された場合(NOの場合)には、続くステップSF4〜SF7に進んで、ウィンドウ閉信号Sを優先させるために、該ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングと送信タイミングの重なる携帯機3からのID信号iの送信強度を低下させる一方、前記ステップSF3でドア開状態であると判定された場合(YESの場合)には、携帯機3が車外に持ち出される可能性が高いため、持ち出し確認を優先させて、携帯機3からのID信号iの送信強度を低下させることなくリクエスト信号rを送信する(ステップSF8)。
前記ステップSF3でドア開状態ではないと判定された場合に進むステップSF4では、携帯機2からのウィンドウ閉信号Sの送信が停止されているかどうかを判定する。該携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていない場合(YESの場合)には、携帯機3の持ち出し確認のために送信するリクエスト信号rの送信タイミングを変更する必要がないため、そのままリクエスト信号rを送信する(ステップSF8)一方、前記ステップSF4で携帯機2からのウィンドウ閉信号Sの送信が停止されていないと判定された場合(NOの場合)には、続くステップSF5に進んで、該ウィンドウ閉信号Sの車載機4での受信タイミングを推定する。ここで、ウィンドウ閉信号Sはロック信号Lの送信後に所定間隔(例えば0.5秒毎)で送信されるように構成されていることから、該ロック信号Lを車載機5で検出することによってウィンドウ閉信号Sの受信タイミングが推定されるようになっている。なお、該ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングを推定する場合、同一車種であれば前記所定間隔を予め把握できるので、それを利用すればよいが、異なる車種で所定間隔が分からない場合には、過去数回に受信したウィンドウ閉信号Sに基づいて、その周期から所定間隔を把握することもできる。
そして、ステップSF6では、前記ステップSF5で推定したウィンドウ閉信号Sの受信タイミングよりも所定時間前になったかどうかを判定し、該受信タイミングよりも所定時間前であると判定されれば(YESの場合)、その受信タイミングが経過するまで待機する一方、該受信タイミングよりも所定時間前ではないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSF7に進んで、携帯機3に送信するリクエスト信号rに送信強度低下信号T(送信強度低下指令)を付加して、それらの信号を送信する(ステップSF8)。なお、前記ステップSF6における所定時間とは、リクエスト信号rを送信してから、携帯機3からID信号iを送信されるまでの時間であり、この時間を考慮することで、前記ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングとID信号iの送信タイミングとが重なりそうな場合(ステップSF6でYESの場合)には該ID信号iの送信強度を低下させることが可能となる。
続いてステップSF9で、リクエスト信号rの送信後、所定時間以内に携帯機3からのID信号iを受信したかどうかを判定し、ID信号iを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、ステップSF13に進んで、警報ランプ51若しくはブザー52によって持ち出し警報を行う。一方、前記ステップSF9でID信号iを受信したと判定された場合(YESの場合)には、IDコードの照合を行って、認証が得られたかどうかの判定を行う(ステップSF10、SF11)。なお、前記ステップSF9における所定時間は、リクエスト信号rを携帯機3に送信してから、該携帯機3から送信されるID信号iを車載受信アンテナ53で受信するのに十分な時間に設定される。
前記ステップSF11において、IDコードの認証が得られなかった場合(NOの場合)には、前記ステップSF13で持ち出し警報を行う一方、IDコードの認証が得られた場合(YESの場合)には、ステップSF12で、携帯機3が車室内に位置しているかどうかの判定を行い、車室内に位置していれば(YESの場合)、このフローを終了(エンド)し、車室内に位置していなければ(NOの場合)、持ち出し警報を行う(ステップSF13)。
ここで、該携帯機3が車室内に位置しているかどうかは、上述したように、複数の送信アンテナ41a〜41c,42a,42bから順に送信されるリクエスト信号rに対する携帯機3からのID信号iの応答タイミングによって判断される。具体的には、例えば運転席側送信アンテナ41a及び助手席側送信アンテナ41bは、それぞれ、車室内及び車外を送信領域に含むように、且つ両者の送信領域が車室内でオーバーラップするように構成されていて、該両者から送信されたリクエスト信号rに対して、前記携帯機3からそれぞれID信号iが送信された場合には、該携帯機3は車室内に位置すると判定される一方、どちらか一方からのリクエスト信号rに対してのみID信号iの送信があった場合には、前記携帯機3は車外に位置するものと判定される。
なお、前記持ち出し警報は、次回の持ち出し確認タイミングまで継続して行われるが、この限りではなく、予め設定された時間まで行われるようにしてもよい。
一方、携帯機3側では、携帯機持ち出し警報制御がスタートすると、まず、ステップSF1’でリクエスト信号rを車載機5から受信したかどうかの判定を行い、リクエスト信号rを受信した場合(YESの場合)には、続くステップSF2’で該リクエスト信号rとともに送信された送信強度低下信号Tに基づいてID信号iの送信強度を設定する。そして、続くステップSF3’でID信号iを送信して、このフローを終了する(エンド)。一方、前記ステップSF1’で、リクエスト信号rを受信していないと判定された場合(NOの場合)には、そのまま、このフローを終了する(エンド)。
ここで、ウィンドウ閉信号Sの車載機4での受信タイミングを予測するステップSF5がタイミング予測手段50bに、その予測された受信タイミングと略同一のタイミングで携帯機3からID信号iが送信される場合には、該携帯機3に送信強度低下指令を送信するステップSF6〜SF8が送信強度制御手段50eに、車載機3の車外への持ち出し判定を行うステップSF8〜SF12が持ち出し判定手段50cに、それぞれ対応している。
また、車両V’のドアが開状態のとき及び携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていないときに、車載機3から送信されるID信号iの送信強度を低下させないようにしたステップSF3、SF4が、それぞれ第1禁止手段50f及び第2禁止手段50gに対応している。
以上より、本実施形態では、車両Vの車外に位置する携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていて、且つ、該車両Vに隣接して停車している車両V’の車載機5が車室内へ持ち出し確認確認信号rを送信している場合において、該車載機5側で、前記ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングを推定して、該受信タイミングと前記持ち出し確認信号rに対する携帯機3のID信号iの送信タイミングとが重なっていると推測される場合に、該ID信号iの送信強度を低下させることで、前記ID信号iによってウィンドウ閉信号Sが妨害されるのを防止することができ、該ウィンドウ閉信号Sが車載機4に受信されないことによるウィンドウ閉動作の中断を防止することができる。
また、車両V’のドアが開状態のときには、該車両V’から携帯機3が車外に持ち出される可能性が高いため、持ち出し確認を優先させて、持ち出し確認信号rの送信タイミングを変更しないようにするとともに、携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていないときにも、前記持ち出し確認信号rの送信タイミングを変更しないようにすることで、携帯機3の持ち出し確認の検出精度を確保することができる。
なお、上述のように、ウィンドウ閉信号Sの受信タイミングと送信タイミングの重なるID信号iの送信強度を低下させる場合には、前記実施形態2と同様、実施形態1のようにドアロック制御において車載機4側で前記ウィンドウ閉信号Sの送信タイミングを変更する必要はない。すなわち、この実施形態でも、前記実施形態1のドアロック制御のうち、ウィンドウ閉制御を行う部分(図8)は、図15に示すフローに置き換えられる。
(その他の実施形態)
本発明の構成は、前記各実施形態に限定されるものではなく、それ以外の種々の構成を包含するものである。すなわち、前記各実施形態では、エンジン作動中に行われる携帯機持ち出し警報制御の際に車室内の携帯機3から送信されるID信号iと、車外に位置する携帯機2から送信されるウィンドウ閉信号Sとの干渉を防止するようにしているが、この限りではなく、車両V’の携帯機3から送信されるID信号i、例えばエンジン停止中に車室内に携帯機3が存在しているかどうかを確認するために、車室内に送信されるリクエスト信号rに対応して携帯機3から送信されるID信号iと、前記ウィンドウ閉信号Sとの干渉を防止するようにしてもよい。この場合、車載機5のスマートキーレス制御ユニット50は、エンジン停止中に前記リクエスト信号rを送信して、車室内に位置する携帯機3からID信号iを受信して、そのIDの認証を行うように構成されている。
また、前記実施形態2及び3では、車両V’でドア開状態が検出された場合、若しくは携帯機2からウィンドウ閉信号Sが送信されていない場合には、車両V’の車内に位置する携帯機3から送信されるID信号iの送信タイミングの変更または送信強度の低下を行わないようにしているが、この限りではなく、上述の場合でも、前記ID信号iの送信タイミングの変更または送信強度の低下を行うようにしてもよい。
また、前記実施形態1では、ウィンドウ閉信号Sの送信タイミングをID信号iの車載機4での受信タイミングよりも遅らせる一方、前記実施形態2では、ID信号iの送信タイミングをウィンドウ閉信号Sの車載機4での受信タイミングよりも遅らせるようにしているが、この限りではなく、前記実施形態1においてウィンドウ閉信号Sの送信タイミングをID信号iの受信タイミングより早めてもよいし、前記実施形態2においてID信号iの送信タイミングをウィンドウ閉信号Sの受信タイミングより早めるようにしてもよい。