JP4525156B2 - 育苗培土用殺菌剤・肥料、それを用いる育苗用培土および育苗方法 - Google Patents

育苗培土用殺菌剤・肥料、それを用いる育苗用培土および育苗方法 Download PDF

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Description

本発明は、稲、野菜、花卉、果樹等の育苗用培土の殺菌剤および肥料に関する。また、それを用いた育苗用培土および育苗方法に係わるものである。
従来から、稲、野菜、花卉、果樹等の栽培において、苗半作と言われるように、苗の良否が植物の品質を大きく作用するため、健全な苗の育成は非常に重要視されている。とくに、土壌伝染性あるいは種子伝染性等の様々な病原菌による病害を発生させないことが必要である。そのため、播種時、鉢上げ時、移植時等に農薬を散布する方法が用いられている。ここで用いられる農薬の形状としては、粒剤、粉剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤等がある。
水和剤、フロアブル、乳剤等については、残効性が短い、薬害を生じやすい、作業者の健康被害の恐れがあるといった問題がある。そこで、農薬活性成分をアセトン、メタノール等の溶剤に溶解し、水溶性紙に含浸させ、これで育苗箱を処理する方法が提案されているが(例えば特許文献1参照)、これは紙様物の敷設等の煩雑な作業を要するし、また溶剤が揮発しやすく使用時に十分な薬効が得られにくいなどの問題がある。
また、農薬活性成分を特定の溶剤に溶解又は懸濁させた液状物を珪砂、軽石などの粒状体に担持させたものを施用した土壌を用いる方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。しかし、この方法においても長期間安定した薬効は得られにくい。また、農薬活性成分として有機系薬剤を用いているため、作業者の健康被害や環境汚染問題は解決されない。
種子伝染性の細菌性病害であるイネ褐条病に対して、カスガマインを有効成分とする薬剤が用いられているが、カスガマイシン低感受性菌の出現により、安定した効果が得られなくなるという問題がある。これに対して、カスガマイシンまたはその塩類とプロベナゾールとを特定の割合で配合した殺菌組成物を、稲の育苗箱の播種時に処理する方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。これにより、土壌伝染性の糸状菌性病害および種子伝染性の糸状菌性病害および細菌性病害に対して有効に防除でき、またカスガマイシン低感受性菌によるイネ褐条病に対しても感受性菌による病害と同様の防除効果が得られている。しかし、残効性は十分でなく、また作業者の健康被害や環境汚染問題は解決されない。
粒剤を育苗用培土に混和する方法も行われている。農薬を単純に粒状化させたものを育苗用培土に混和させた場合、施用後、すぐに薬剤が放出し残効性がない、また薬害が発生するといった問題がある。そこで、薬剤に徐放性を付与させる方法として、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂で被覆する方法が提案されている(例えば特許文献4参照)。この方法では、被覆剤である熱可塑性樹脂が残存する問題がある。
銀、銅、亜鉛などの金属が抗菌性能を有することは古くから知られている。銀イオンを含有する粒径が50μm以下の溶解性ガラス粉末を樹脂繊維素材中に練り込んだものが報告されている(例えば特許文献5参照)。これは、繊維に抗菌性を付与するものである。
Ag2Oを0.2〜5質量%、ZnOを1〜50質量%、P25を30〜80質量%、CaOを1〜20質量%、CeO2を0.1〜5質量%含有する溶解性ガラスが報告されている(例えば特許文献6参照)。
また、B23を20〜50質量%、ZnOを50〜80質量%、アルカリ土類金属酸化物を10質量%以下、Ag2Oを2質量%含有する溶解性ガラスが報告されている(例えば特許文献7参照)。
また、ZnOを50〜70モル%、B23および/またはP25を20〜50モル%、Al23およびZrO2より選ばれる少なくとも1種以上を0.5〜15モル%、アルカリ金属酸化物(Na2O)を5〜10モル%およびSiO2を0〜20モル%含有するものが報告されている(例えば特許文献8参照)。
これらのものは、溶解性ガラスすなわち抗菌ガラスの配合組成に関するものであり、育苗用培土について開示も示唆もない。
抗菌性を有する金属化合物を農業用に用いるものとして、抗菌性能をもつイオンを溶出する銀、銅、亜鉛およびそれらの金属化合物の少なくとも1つを抗菌イオン源とし、この抗菌イオン源を吸着担持する炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、セラミックス材からなる担持体と、単結晶テトラポット状の三次元構造の酸化亜鉛ウイスカの三者を主体として配合した抗菌・防錆兼用剤を設置または混入した水耕栽培装置が報告されている(例えば、特許文献9参照)。
また、塩化錫などで処理した繊維品またはポリウレタンフォームを硝酸銀水溶液に浸漬して得た抗かび性および抗菌性付与材料を用いる水耕栽培における抗かび性および抗菌性付与材料が報告されている(例えば特許文献10参照)。
育苗用培土には、肥料も必要である。速効性の肥料を用いた場合、追肥の必要があるため、施肥の省力化を図るため、肥料を被覆した緩効性肥料などが用いられている(例えば特許文献11参照)。この場合も、被覆材料が残存する問題がある。
また、緩効性肥料として、溶解性ガラスを用いるものが提案されている(例えば特許文献12、13参照)。
これらのものは、病害予防に関して開示も示唆もない。
抗菌性金属イオンを含有する枸溶性ガラス粉末を、土壌、砂地の殺菌、農作物、芝生、植木、園芸用等の殺菌かつ肥料に用いることが提案されており、具体例として、溶性燐肥、及び珪酸質肥料が挙げられている(例えば特許文献14参照)。この溶性燐肥の具体的組成として、実施例にP25−SiO2−MgO−CaO系カガラスにAg2O及び/またはCuOを添加したものが挙げられている。また、珪酸質肥料の具体例として珪酸カルシウム系ガラスが挙げられ、実施例にMgO−CaO−SiO2−B23−MnO2系カガラスにAg2Oを添加したものが挙げられている。
2O−RO−P23系ガラスにAg2OまたはCuOから選ばれた少なくとも1成分を含ませた可溶性ガラスで銀イオンまたは銅イオンの溶出量が限定されたものが園芸用組成物として用いることが報告されている(例えば特許文献15参照)。なお、R2OはNa2O、K2O、Li2Oを示し、ROはCaO、MgOを示す。
○先行文献
特開昭64−19002号公報(特許請求の範囲) 特開2003−95807号公報(特許請求の範囲) 特開2002−47109号公報(特許請求の範囲) 特開昭57−126402号公報(特許請求の範囲) 特開平3−124810号公報(特許請求の範囲) 特開2000−191339号(特許請求の範囲) 特開2000−281380号公報(特許請求の範囲) 特開2001−026438号公報(特許請求の範囲) 特開平5−095739号公報(特許請求の範囲) 特開平7−203787号公報(特許請求の範囲) 特開平7−255268号公報(特許請求の範囲) 特開平6−122584号公報(特許請求の範囲) 特開平5−139780号公報(特許請求の範囲) 特開平7−206566号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開平3−88740号公報(特許請求の範囲、実施例)
本発明は、被覆剤等の不溶成分を含むことなしに、一剤で、薬害がなく、且つ効果的に緩効性の殺菌効果及び肥料効果を達成でき、しかも作業者への健康被害や環境汚染のない殺菌剤・肥料提供することを課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、酸化物換算の質量比で、SiO2が15〜60%、K2Oが10〜40%およびAg2Oが0.1〜5%に、P25が10〜50%および/またはB23が5〜50%を含有するガラス質組成物が育苗培土用殺菌剤・肥料として有効であることを見出し、本発明を完成するに到った。また、当該ガラス質組成物にMnO2が0〜2%、Fe23が0〜3%、CuOが0〜1%、ZnOが0〜1%、および/またはMoO3が0〜1%を含有するものが育苗培土用殺菌剤・肥料として有効であることを見出し、本発明を完成するに到った。
以下、本発明について詳細に説明する。
○ガラス質組成物
本発明に用いるガラス質組成物の一つは、必須成分として銀イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン、およびカリウムイオンを含有するものであり、これらは育苗用培土中の水分や灌水により溶出できるものである。また、本発明に用いるガラス質組成物は、必須成分として銀イオン、ケイ酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオンを含有するものであり、育苗用培土中の水分や灌水により溶出できるものであり、また本発明に用いるガラス質組成物は、必須成分として銀イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオンを含有するものであり、育苗用培土中の水分や灌水により溶出できるものである。
本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料として用いるガラス質組成物は、酸化物換算の質量比でSiO2が15〜60%、B23が5〜50%、K2Oが10〜40%、MnO2が0〜2%、Fe23が0〜3%、CuOが0〜1%、ZnOが0〜1%、MoO3が0〜1%、及びAg2Oが0.1〜5%からなるものであり、酸化物換算の質量比でSiO2が15〜60%、P25が10〜50%、K2Oが10〜40%、MnO2が0〜2%、Fe23が0〜3%、CuOが0〜1%、ZnOが0〜1%、MoO3が0〜1%、及びAg2Oが0.1〜5%からなるものであり、酸化物換算の質量比でSiO2が15〜60%、B23が5〜50%、P25が10〜50%、K2Oが10〜40%、MnO2が0〜2%、Fe23が0〜3%、CuOが0〜1%、ZnOが0〜1%、MoO3が0〜1%、及びAg2Oが0.1〜5%からなるものである。
本発明のガラス質組成物中のAg2Oの含有量が0.1%未満では、殺菌効果が不十分となる場合がある。そしてAg2Oの含有量が5%までで十分であり、それを超えても殺菌効果はあまり変わらない。さらに、Ag2Oの含有量が5%を超えると、銀イオンが過剰となり植物に対して薬害を起こす恐れがあり、また銀は高価であるため、コスト的にも好ましくない。なお、銀イオンは、おおよそ培土に20ppb以上存在すれば良い。
ケイ酸イオンは水稲の稲体を強剛にする効果を有しているのは古くから知られている。近年、イチゴなどの野菜において、ケイ酸イオンがうどんこ病などに感染しにくくなる効果があることが報告されている(「ケイ酸カリウム水溶液施用によるイチゴうどんこ病の発生抑制技術」,ひょうごの農業技術,No.110,2000年7月。「イチゴうどんこ病抑制に有効なケイ酸カリ資材とその効果」,ひょうごの農業技術,No.116,2001年7月)。よって、本発明のガラス質組成物に含まれるSiO2は、稲、野菜、花卉、果樹等いずれにも感染防止効果および植物体を強くすることにおいて有効であるケイ酸イオンを溶出する成分として有用である。また、SiO2は、ガラス形成成分であり、本発明のガラス質組成物中のSiO2含有量が60%を超えると、ガラス質組成物の水に対する溶解性が低くなり、十分な効果が発現しにくくなり、SiO2含有量が15%未満では、水に対する溶解性が高くなり、緩効性が不十分となる。
23は、古くから肥料成分として知られているホウ酸イオンの供給源であるとともに、本発明のガラス質組成物の水に対する溶解性を制御する成分でもある。本発明のガラス質組成物中のB23含有量が50%を超えると、ガラスの水に対する溶解性が低くなり、十分な効果が発現しにくくなり、B23含有量が5%未満では、水に対する溶解性が高くなり、緩効性が不十分となる。
2Oは、古くから肥料成分として知られているカリウムイオンの供給源であるとともに、本発明のガラス質組成物の水に対する溶解性を制御する成分でもある。本発明のガラス質組成物中のK2O含有量が40%を超えると、水に対する溶解性が高くなり、緩効性が不十分となる。K2O含有量が10%未満では、ガラスの水に対する溶解性が低くなり、十分な効果が発現しにくくなる。
25は、B23と同様に肥料成分でもあり、また本発明のガラス質組成物の水に対する溶解性を制御する成分でもある。しかし、P25を含有させた本発明のガラス質組成物は、B23を含有させたものに比較し、作製に際にAg2Oが揮発しやすい、あるいはガラス質組成物に均一に入りにくい性質がある。よって、必要な量よりも過剰に銀化合物を必要としコスト高になる、また、必要組成比が制御しにくいといった問題がある。
よって、肥料成分として、リン酸イオンを溶出させる必要がある場合には、P25を含有させたガラス質組成物を用いればよいが、リン酸イオンを必要としない場合は、ホウ酸を含有するガラス組成物が好ましい。
その他に、微量肥料成分であるMnO、Fe23、CuO、ZnO、MoO3等も本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料として用いるガラス質組成物中に含有させることができる。現在、多量肥料成分は過剰気味であり、また、これらについては非常に多くの種類の肥料が市販されているため、微量肥料成分を本発明のガラス質組成物に含有させ、緩効性を付与させることは特に有用である。
MgO、CaOは多量に含有させなければ特に問題はないが、本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料として用いるガラス質組成物には実質的に含まない。
本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料に用いるガラス質組成物は、酸化物、水酸化物、ホウ酸塩、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩等、必要成分を含有している化合物を所定の混合量になるようによく混合した後、加熱溶融し、急冷、破砕、分級することにより得ることができる。
本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料に用いるガラス質組成物は、培土中の水分や灌水により徐々に溶出するものである。ガラス質組成物からの各成分の溶出速度が速すぎると、殺菌効果、及び肥料効果の持続性が短くなり、また、薬害の恐れがある。逆に、これらの溶出速度が遅すぎると、殺菌効果、及び肥料効果が不十分になる恐れがある。よって、ガラス質組成物の水に対する溶解速度を適正な範囲にコントロールする必要がある。培土中での溶出速度は、培土の種類、水の量、温度等、様々な条件が異なるため、適正な範囲を求めにくい。また、ガラス質組成物の各成分量を変えることにより、ガラス質組成物の成分の溶出性をコントロールすることは可能である。本発明においては、おおよその目安として、純水に対する銀の溶解速度が、1gあたり1μg/リットル・時間〜1mg/リットル・時間であることが好ましく、更に好ましくは2〜500μg/リットル・時間であり、特に好ましくは5〜300μg/リットル・時間である。
本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料に用いるガラス質組成物の粒径はいずれでもかまわないが、培土中に混和して用いることを考慮すると、粒径が1〜5mmのものが実質的に90%以上含有されていることが好ましい。ガラス質組成物の粒径が1mm未満のものが多すぎると、溶解速度が速くなりすぎる、土壌と均一に混和しにくい、粉立ちが多く作業者が粉塵を吸入しやすいといった問題が生じる恐れがある。逆に、ガラス質組成物の粒径が5mmより大きなものが多すぎると、溶解速度が遅くなりすぎる、土壌中に偏在しやすいといった問題が生じる恐れがある。
育苗培土用殺菌剤・肥料に用いるガラス質組成物の粒径を制御する方法として、溶融させたガラスを水中に添加、あるいは、冷却したドラム等に滴下して得られたものを篩い分けする方法がある。また、ガラス製造時に、任意の粒径の球状とすることができる。この球状のガラス(ガラスビーズ)は通常の方法で得ることができる。例えば、溶融したガラスを液滴として滴下させ、球状に固化させる方法や、ガラス原料のスラリーを火焔中に噴霧し、溶融、固化させる方法などがある。
さらに、粒状セラミックなどの表面に担持させる方法が挙げられる。ここで粒状セラミックとは、天然あるいは人工的に作製された無機質固体材料、および粒状のガラスを指す。すなわち、世間一般で言われているセラミックス、窯業製品、ガラス、砂、小石などを指す。例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ムライト、ガラスのビーズ、あるいはボールなどが挙げられる。形状は球状、円柱状、円盤状、立方体状、直方体状、さらには、不定形状のものなど特に限定されない。
粒状化の別の方法として、担持体を用いず、成形用バインダーを用いて粒状化させる方法もある。バインダーとして、粘土化合物やシリカゾルなどの無機化合物、水溶性高分子、生分解性高分子等が環境保全の観点から好ましい。
○播種からの育苗または育苗について
本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料の育苗培土への使用方法は特に限定されない。例えば、本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料を育苗用培土に混和する方法、植穴処理する方法、播種や苗を植え付けた後の培土の上に置く方法、播種や苗を植え付けた後の培土の上に水が透過できる容器に充填して載せる方法等が挙げられる。このうち、本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料を育苗用培土に混和する方法または培土の上に置く方法が、作業性が高く好ましく、更に育苗用培土に混和する方法が好ましい。
用いる培土に特に限定はなく、園芸用に一般的に市販されているバーミキュライト、パーライト、ピートモス、バーク堆肥、ミズゴケ等を単独であるいは数種類の資材の混合物としたものなどが挙げられる。
播種からの育苗または育苗に用いる容器は特に限定されない。例えば、育苗ポット、連結ポット、セルトレイ、育苗箱等が挙げられる。
<実施例>
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、部は質量部を示す。
<製造例1>
表1に示した組成(各質量部)を良く混合して調製した調合物を1000〜1400℃間で溶融し、ガラスを作製する。その後、急冷し、破砕、分級して粒径約1mm〜5mmのガラス質組成物を得た(試料イ〜リ)。
Figure 0004525156
○銀イオンの溶解速度
製造例1で作製したガラス質組成物の純水(イオン交換水)に対する銀イオンの溶解速度(μg/リットル・時間)を調べた。
<溶解速度の試験条件>
1.0gのガラス質組成物を20〜30℃の純水1リットルとともに6時間攪拌し、上清中の銀イオンの濃度を測定して算出した。この結果を表2に示した(μg/リットル・時間)。
Figure 0004525156
試料ヘでは、銀イオンの溶解量が大きいため、抗菌効果を長期間持続させることが困難である。また、試料トとリでは、銀イオンの溶解量が小さいため抗菌効果がでにくいものである。
○ケイ酸イオンおよびカリウムイオンの溶解濃度
製造例1で作製したガラス質組成物イ、ハのイオン交換水に対するケイ酸イオン、カリウムイオンの溶解度を調べた。その結果を表3に示した。溶解度は、ガラス質組成物1gを20〜30℃のイオン交換水1リットルに添加、攪拌し、所定時間にサンプリングし、ケイ酸イオンおよびカリウムイオンの濃度を測定した。
Figure 0004525156
○トマト青枯れ病菌に対する効果
製造例1で作製したガラス質組成物イ、ハ、ニ、ヘ、ト、チ、リのトマト青枯れ病に対する防除効果を調べた。トマトは直径10cmの育苗ポットに養液栽培用椰子殻培土とガラス質組成物を混和して3週間育苗した後,人工的にトマト青枯れ病菌(Ralstonia solanacearum)を接種し,10日後の本病発生状況を調査した。その結果を表4に示した。
Figure 0004525156
表4の発病度は以下の基準に従って指数別に調査し,算出した。
0:外部病徴が認められない
1:1〜2葉が萎凋した株
2:3〜5葉が萎凋した株
3:大部分の葉が萎凋した株
4:萎凋枯死株
発病度={Σ(発病指数×程度別発病株)/(3×全株数)}×100
防除価=100−(処理区の発病度/無処理区の発病度)×100
ガラス組成物ヘでは、薬害が観察された。
○ハクサイ根こぶ病菌に対する効果
製造例1で作製したガラス質組成物イ、ロ、ホ、チのハクサイ根こぶ病菌(病原菌:Plasmodiophora brassicae)に対する防除効果を調べた。育苗用のトレイにガラス質組成物を10質量%となるように育苗用培土に混和し,ハクサイ種子を播種した。30日間トレイで育苗後にハクサイ根こぶ病菌汚染土を入れた直径10cmのポリポットに移植し,21日間栽培後にハクサイ根部の根こぶの着生状況を調査した。その結果を表5に示した。
Figure 0004525156
注)発病度は以下の基準に従って指数別に調査し,算出した。
0:根こぶの着生が認められない
1:根こぶが根系全体の1〜25%未満の根に着生
2:根こぶが根系全体の25〜50%未満の根に着生
3:根こぶが根系全体の50〜75%未満の根に着生
4:根こぶが根系全体の75%以上の根に着生
発病度={Σ(発病指数×程度別発病株)/(4×全株数)}×100
○ハクサイ育苗効果
製造例1で作製したガラス質組成物ハの、ハクサイに対する育苗効果を調べた。即ち、育苗用のトレイにガラス質組成物ハを1質量%または5質量%となるように育苗用培土と混和し、ハクサイ(品種:オリンピア)種子を播種した(それぞれ試験数10)。そして、30日後のハクサイ苗の生長度をガラス質組成物を添加していないものと比較した(試験数10)。
生長度は、地上部質量(g)および根部質量(g)を測定することのより評価した。その結果を表6に示した。この結果、ガラス質組成物添加量に比例して苗の生育が良いことが判明した。
Figure 0004525156
本発明のガラス質組成物からなる育苗培土用殺菌剤・肥料を用いることにより、栽培作物の病害を防止することができる。また、本発明の育苗培土用殺菌剤・肥料を用いることにより、栽培作物の苗の生育を促進することができる。このことから、本発明のガラス質組成物からなる育苗培土用殺菌剤・肥料を用いることにより病害防止と生育促進を図ることができ、育苗作業の効率化をはかることができる。

Claims (5)

  1. 2 5 を含まず、酸化物換算の質量比で、SiO2が15〜60%、K2Oが10〜40%およびAg2Oが0.1〜5%、B23が5〜50%、MnO2が0〜2%、Fe23が0〜3%、CuOが0〜1%、ZnOが0〜1%および/またはMoO3が0〜1%を含有し、1gあたりの脱イオン水に対する銀イオンの溶解速度が、μg/リットル・時間〜300μg/リットル・時間である育苗培土用殺菌剤・肥料。
  2. 粒径が1〜5mmのものが実質的に90%以上含有されている請求項1に記載の育苗培土用殺菌剤・肥料。
  3. 請求項1または2に記載の育苗培土用殺菌剤・肥料を培土全体の1〜10質量%含有する、育苗用培土。
  4. 請求項に記載の育苗用培土を収容した容器に、播種または苗を移植して育成する、育苗方法。
  5. 請求項1または2に記載の育苗培土用殺菌剤・肥料を、播種した容器の培土の上に、若しくは苗を移植した容器の培土の上に直接載せるかまたは水が透過できる容器に充填して載せる育苗方法。
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