JPH05139780A - 植物栽培用ガラス状組成物 - Google Patents

植物栽培用ガラス状組成物

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JPH05139780A
JPH05139780A JP33240391A JP33240391A JPH05139780A JP H05139780 A JPH05139780 A JP H05139780A JP 33240391 A JP33240391 A JP 33240391A JP 33240391 A JP33240391 A JP 33240391A JP H05139780 A JPH05139780 A JP H05139780A
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JP
Japan
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glass
nitrogen
fertilizer
glassy
composition
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JP33240391A
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English (en)
Inventor
Akio Konishi
明男 小西
Toru Obara
融 小原
Ryohei Terai
良平 寺井
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Yamamura Glass KK
Original Assignee
Yamamura Glass KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒径を変えることなく緩効性の程度を適当に
変更ないし設計することができ、又リンと窒素を同じペ
ースで溶出させることができ、しかもガラス状物質とし
ての美観を損なうことのない植物栽培用ガラス状組成物
の提供を目的とする。又、加えて肥料要素としてリン、
窒素の他にカリウムも含む、肥料三要素入りの植物栽培
用ガラス状組成物の提供を目的とする。更に加えて他の
肥料要素も含む植物栽培用ガラス状組成物の提供を目的
とする。 【構成】 ガラス形成酸化物としてP205を主成分するガ
ラスの、網目構造を構成する酸素の少なくとも一部が窒
素で置換されている。ガラスにはK2O 、CaO 、MgO、
鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素、
イオウ、を含むことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物の栽培用の肥料と
なるガラス状組成物に関し、詳しくは緩効性肥料として
のガラス状組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】植物栽培用の緩効性ガラス状肥料とし
て、従来最も多用されているのは、溶成リン肥と称され
ているものである。これはリン鉱石と蛇紋岩とを1350〜
1500℃で溶融、急冷して作られる。通常、P205が17〜25
wt% 、CaO が25〜35wt%、MgO が14〜19wt% 、SiO2が16
〜26wt% 含有されている。但し、カリウムと窒素は含ま
れていない。又、上記原料に、マンガン鉱石、コレマナ
イトを添加して、MnO 、B2O3の微量要素成分を保証した
BM溶リンと称する緩効性ガラス状肥料も使われてい
る。但し、カリウムと窒素は含まれていない。
【0003】又、カリウムを含んだ緩効性ガラス状肥料
としては、ケイ酸カリウム肥料がある。これはフライア
ッシュと、水酸化カリウム又は炭酸カリウムと水酸化マ
グネシウムとを混合造粒後、800 〜900 ℃で焼成して、
一部ガラス状としたものである。通常クエン酸可溶性K2
O が20wt% 以上、可溶性SiO2が30wt% 以上、クエン酸可
溶性MgO が3wt% 以上、B2O3が0.05wt% 以上、含有され
ている。但し、リンと窒素は含まれていない。
【0004】又、溶成カリリン肥と称されるリン、カリ
ウムを含む緩効性ガラス状肥料がある。これは前記溶成
リン肥の原料にカリウム塩を添加して、同様に作られ
る。K2O が13.4wt% 、クエン酸可溶性P205が20.1wt% が
当該肥料の主成分例であり、他にCaO、MgO 、SiO2等を
含む。ただし窒素は含まれない。
【0005】更にFTEと称されている溶成微量要素複
合肥料が、製造販売されている。これは、マンガン鉱
石、ホウ砂、長石、ソーダ灰、ホタル石、鉄鉱石等の原
料を調合し、1300℃で溶融、急冷、粉砕して作られる。
一般にクエン酸可溶性MnO が17〜20wt% 、B2O3が7〜9
wt% 、他を含む。蛇紋岩等の塩基性マグネシウム鉱石を
原料として、同時に加えて、マグネシウムを保証したも
のもある。ただし少なくとも窒素は含まれない。
【0006】以上は従来のガラス状の緩効性肥料につい
てであるが、ガラス状以外の緩効性肥料として、緩効性
窒素肥料がある。これは尿素とイソブチルアルデヒドを
縮合反応させたイソブチルアルデヒド縮合尿素(通称I
BDU)、尿素とアセトアルデヒドを縮合反応させたア
セトアルデヒド縮合尿素(通称CDU)、尿素とホルム
アルデヒドを縮合反応させたホルムアルデヒド加工尿素
肥料(通称ウレアホルム)等が使用されている。但しカ
リウムとリンは含まれていない。又、緩効性肥料とし
て、速効性の高度化成肥料粒の表面を合成樹脂、イオウ
等で被覆して、肥料成分の溶出を抑制した被覆肥料も多
用されている。更に、水に対する溶解度が低いリン酸マ
グネシウムアンモニウムとリン酸マグネシウムカリウム
の混和物を緩効性肥料として用いる例が、特公昭44-188
91号に記載されており、また使用に供されている(商品
名マグアンプK) 。この肥料は窒素、リン、カリウムを
全て含んでいるが、ガラス状ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ガラス状肥料は、窒素、リン、カリウムの肥料三要素の
うち、窒素を含んでいない。このため、単独では使用で
きず、緩効性窒素肥料等を混合して複合化せざるを得な
い。しかし、その場合には混合、造粒等の工程が更に必
要となると共に、ガラスが本来もっている透明性が隠蔽
される。又、複合造粒品は粉が手等に付着しやすい欠点
がある。さらに重要なことは、混合される緩効性窒素肥
料の寿命は長くて1年であり、3〜5年の長期寿命は期
待出来ない点である。その他、特公昭57-28374号には、
リン酸塩ガラス中にカルシウムシアナミドを導入した緩
慢放出性肥料が提供されているが、これはカルシウムシ
アナミドがガラス中に単純に混合されただけのリン−窒
素肥料である。
【0008】又、上記被覆肥料は、緑化工等で、バーク
等の植生基材と混合する際、或いはエアーガン等で混合
物を飛ばす際、被覆に傷が付きやすく、緩効性が損なわ
れるという問題がある。又、被覆が夏場に直射日光にさ
らされ、高温になると、膨潤し、肥料成分が早く溶け出
してしまう問題がある。又、上記リン酸マグネシウムア
ンモニウムとリン酸マグネシウムカリウムの混和物の場
合、それぞれが化合物であるため、水に対する溶解度は
変えようがない。従って、緩効性の度合いは、粒度を変
えて行われる。例えば公称1年寿命で粒径が2〜3mm、
公称2年寿命で5〜6mmである。このため3〜5年寿命
のものにするには10mm以上必要となる。しかしこの様に
粒径を大きくすると、前記緑化工の際等、他の植生基材
と混合しても分離しやすくなる欠点や、エアーガン等で
混合物を飛ばす際にも施工法面等から跳ね返るという欠
点があった。
【0009】そこで、本発明は上記従来技術の欠点を解
消し、粒径を変えることなく緩効性の程度を適当に変更
ないし設計することができ、又リンと窒素を同じペース
で溶出させることができ、しかもガラス状物質としての
美観を損なうことのない植物栽培用ガラス状組成物の提
供を目的とする。又、加えて肥料要素としてリン、窒素
の他にカリウムも含む、肥料三要素入りの植物栽培用ガ
ラス状組成物の提供を目的とする。さらに加えて他の肥
料要素も含む植物栽培用ガラス状組成物の提供を目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の植物栽培用ガラス状組成物は、ガラス形成
酸化物としてP205を主成分とするガラスの、網目構造を
構成する酸素の少なくとも一部が窒素で置換されている
ことを第1の特徴としている。又、本発明の植物栽培用
ガラス状組成物は、上記第1の特徴に加えて、網目修飾
酸化物として、K20 を含むことを第2の特徴としてい
る。又、本発明の植物栽培用ガラス状組成物は、上記第
1、第2の特徴に加えて、網目修飾酸化物として、CaO
、MgOのうち、少なくとも一種を含むことを第3の特
徴としている。又、本発明の植物栽培用ガラス状組成物
は、上記第1、第2、第3の特徴に加えて、微量要素成
分として、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデ
ン、塩素、イオウの少なくとも一種を含むことを第4の
特徴としている。又、本発明の植物栽培用ガラス状組成
物は、上記第1、第2、第3、第4の特徴に加えて、個
々の形状が粉体、粒状体、球状体、塊状体、板状体、棒
状体、管状体、中空体、繊維状体のいずれかをなすこと
を第5の特徴としている。
【0011】上記本発明のガラス状組成物の作製は、60
0 〜850 ℃の溶融リン酸塩ガラス中にアンモニアガスを
バブリング等して、リン酸塩ガラスと反応させ、基本的
にP−O−Pの架橋酸素又はP=Oの非架橋二重結合酸
素を窒素にて置き換え、窒素をガラス網目構造に直接組
み込むことにより行うことができる。窒素がガラス網目
構造に組み込まれるため、窒素のみが先に溶出すること
がなく、リンと窒素を同一のペースで溶け出させること
ができる。そして窒素の置換量により、ガラスの水に対
する溶出速度を変えることができる。即ち窒素置換量が
増えると溶出速度が低下する。よって同じ粒径、形状で
も緩効性の程度を自由に設計することができる。なお後
述する種々の成分を含有させる場合には、窒素以外の各
成分を所望の配分割合で混合し、溶融した後、上記600
〜850 ℃に温度調節して、アンモニアガスを導入する。
P205は植物の必須要素であると共にこれを含むガラス状
組成物は水中において徐々に溶解する性質が付与され
る。P205は35モル%以上が好ましい。35モル% 未満では
ガラスが溶融し難く、また失透性が生じるために製造時
にアンモニアガス処理が困難になる。窒素は植物の必須
要素であると共にガラスの溶出速度を調整する役目を果
たす。窒素は必要に応じて置換量を変更させることがで
きるが、0.1 〜16wt% が好ましい。0.1 wt% 未満では実
質的に緩効性の効果が少なくまた肥料成分としての効果
も少ない。一方、16wt% 越えて置換させるのは時間もか
かり、経済的な問題が残る。
【0012】K2O は植物の必須要素であり、これを上記
のリンと窒素を含むガラスに網目修飾酸化物として導入
することにより、肥料三要素を含むガラス状肥料を構成
できる。勿論、溶出速度も窒素、リン、カリウムの三要
素で同じとなる。又、K2O はプラス(溶出速度を増す)
の溶出速度調整剤でもある。よってこれを含有させるこ
とにより、窒素等の量を変更せずに緩効性の程度を変え
ることができる。K2Oの含有量は必要に応じて変更させ
ることができる。ただし、60モル% を越えると製造時に
ガラスが溶融し難く、また失透性が生じるためにアンモ
ニアガス処理が困難となる。また前記K2O の一部をNa2O
で置換することができる。Na2Oは一般に植物の必須要素
ではないため、サツマイモのようにナトリウムを要求す
るもの以外は必要ないが、溶出速度調整剤としてK2O を
一部置換して用いることができる。
【0013】CaO 、MgO は植物の肥料要素であると共
に、マイナス(溶出速度を減ずる) の溶出速度調整剤で
ある。これらの含有量は必要に応じて変更することがで
きるが、60モル% を越えるとガラスが溶融し難くなり、
また失透性が生じるために600〜850 ℃でのアンモニア
ガス処理が困難となる。
【0014】P2O5を主成分とするガラスには当然SiO2
の他のガラス形成酸化物やAl2O3 等のガラス中間酸化物
を含有させることができる。SiO2は稲には肥料要素であ
るが、通常はマイナスの溶出速度調整剤として用いるこ
とができる。ただし10モル%を越えるとガラスが溶融し
難くなると共に粘度が上がり、アンモニアガス処理が困
難になる。又、Al2O3 は肥料要素ではないが、マイナス
の溶出速度調整剤として用いることができる。ただし30
モル% を越えるとガラスが溶融し難くなると共に粘度が
上がり、アンモニアガス処理が困難になる。
【0015】P2O5を主成分とするガラスには微量要素成
分として、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデ
ン、塩素、イオウの少なくとも一種を含有させることが
できる。これらの微量要素成分は、窒素、リン、カリウ
ム、カルシウム、マグネシウムとのバランス上、各々0.
05〜0.5 wt% 用いることにより、栄養の目的を達し、
又、過剰障害も防止し得る。ただし、各種の欠乏症、例
えば、鉄の場合には葉の白化、マンガンの場合には葉の
黄化、壊死等の対策用として、増量添加を妨げるもので
はない。なお、本発明に係るガラス状組成物は、上記以
外の成分、例えば安価な湿式リン酸を原料に用いた場合
のF、水耕栽培用等の抗菌抗カビ用としてAgを含有して
もよい。また、ガラス構成成分として水を含有してもよ
い。
【0016】又、本発明に係るガラス状組成物は、具体
的な使用用途や場所、或いは美観を考慮して、個々の形
状が粉体、粒状体、球状体、塊状体、板状体、棒状体、
管状体、中空体、繊維状体のいずれかとすることができ
【0017】
【作用】ガラス形成酸化物としてP205を主成分とするガ
ラスの、網目構造を構成する酸素の少なくとも一部を窒
素で置換することにより、水に対する溶解度を変更する
ことができ、よって肥料としてのガラス状組成物の粒径
を変えることなく緩効性の程度を適当に変更ないし設計
することができ、しかも肥料三要素の内の2つであるリ
ンと窒素を同じペースで溶出させることができる。勿論
ガラス状物質としての美観を損なうこともない。又、網
目修飾酸化物として、K20 を含むようにすることで、肥
料三要素を含む植物栽培用ガラス状組成物を提供でき
る。勿論K20 の含有により窒素量を変えずに緩効性の程
度を適当に変更設計することができる。更に肥料三要素
であるリンと窒素とカリウムを同じペースで溶出させる
ことができる。又、網目修飾酸化物として、CaO 、MgO
のうち、少なくとも一種を含むようにすることで、肥料
要素を充実させると共に緩効性の程度を変更することが
できる。又、微量要素成分として、鉄、マンガン、ホウ
素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素、イオウの少なくとも
一種を含むようにすることで、微量要素の入ったガラス
状肥料とすることができる。また上記網目修飾酸化物や
微量要素成分として含有される各成分を互いに同じペー
スで、ガラスが溶けるにしたがって溶出させることがで
きる。又、ガラス状組成物として、その個々の形状が粉
体、粒状体、球状体、塊状体、板状体、棒状体、管状
体、中空体、繊維状体のいずれかとすることで、具体的
な使用用途や使用場所に応じた機能或いは美観を有する
ガラス状肥料を提供できる。勿論、粉が手に付いたりし
ない。
【0018】
【実施例】
実施例1.石英ルツボに75% リン酸を入れ、その中に炭
酸カリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化マグネ
シウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、珪砂等の酸
化物、ホウ酸、フッ化カルシウム等を試料1〜9に示す
成分割合となるよう秤量、混合し、1000〜1200℃で加熱
溶融した。ガラス物性測定および溶出試験用に、水冷ロ
ールに流し出してガラスフレークとした。このガラスフ
レークを粉砕し、示差熱分析装置を用いて、ガラス転移
点を測定した。又3cm×3cmのガラスフレークを切り出
し、30℃のイオン交換水500ml 中で溶出試験を行い、重
量減少から溶出速度を計算した。表1に結果を示す。比
較例1、2を一緒に示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1から、ガラス組成を変更することによ
り、溶出速度を3〜4桁変更できることが明らかとなっ
た。
【0021】実施例2.上記試料1のガラスフレークを
用いて、更に試料10〜14を作製した。各試料の作製は、
先ずガス導入可能な石英チューブ内に試料1のガラスフ
レーク30gを入れた磁製蒸発皿を入れ、この石英チュー
ブを電気炉に挿入し、600 〜850 ℃に加熱する。石英チ
ューブの片端には、先端を曲げた石英ガラス製ガス導入
管をセットし、曲部を上または横向きにして蒸発皿中心
部に位置せしめておく。次に、窒素ガスを導入し、石英
チューブ内の空気をパージした後、石英ガラス管を回
し、曲部を溶融ガラスに浸漬し、窒素ガスをアンモニア
ガスに切り換える。0.3 リットル/分で所定時間バブリ
ングした後、曲管を回してバブリングを止め、アンモニ
アガスを窒素ガスに切り換え、アンモニアガスをパージ
する。パージ後、蒸発皿を取り出し、冷却する。アンモ
ニアガス処理をした各試料10〜14中の窒素含有量はケル
ダール法によって重量%で求めた。又その値と未処理の
ガラス組成値からアンモニアガス処理を行ったガラスの
組成値を計算した。また試料を粉砕し、篩いを通して21
2 〜500μmに整粒し、30℃のイオン交換水、及び2%
クエン酸水溶液に浸漬し、重量変化から溶出速度を計算
した。結果を表2に示す。また試料1での結果、及び比
較例3として難溶性リン酸マグネシウムアンモニウムと
リン酸マグネシウムカリウムの混和物である、商品名マ
グアンプKの溶出速度を示す。
【0022】
【表2】
【0023】表2より、窒素の含有量が増大するにつ
れ、イオン交換水への溶出速度が減少することが明らか
である。そしてこの溶出速度は、比較例3のマグアンプ
Kの溶出速度(寿命1〜2年)に近い速度を中心とし
て、2〜3桁の範囲で変更が可能である。
【0024】実施例3.アンモニア処理を行ったガラス
から、各成分がほぼ同じペースで溶出するかどうかを確
認するため溶出試験を行った。。前記試料11のガラスを
1粒(0.75g 、N:0.022g) を250ml のメスフラスコに入
れ、イオン交換水200ml を加えて、46rpm の回転振とう
器によって所定時間、25℃で振とうさせた後、濾過し
た。そしてその濾過液を分析して溶出率を求めた。更に
残留分にイオン交換水200ml を加えて同様な操作を繰り
返して溶出率の積算値を求めた。窒素量はケルダール法
で、P2O5量はモリブデン酸ブルーによる分光光度法で、
K2O 量は炎光光度法で、MgO 量は原子吸光法でそれぞれ
定量した。結果を図1に示す。また比較として、前記比
較例3のマグアンプKの3粒(0.31g 、N:0.022g) を用
いて同様に各成分の溶出率を求めた。結果を図2に示
す。図1、図2より、試料11では、各成分が、比較例に
較べて互いに近いペースで溶出していることが明らかで
ある。
【0025】実施例4.実施例2で得られた試料11で
の、窒素の溶出は、ケルダール法による分析値であるこ
とは実施例3で述べたが、この方法では溶出した窒素が
肥効性を持つことを保証し得ない。そこで、溶出窒素に
肥効性があるかどうか試験を行った。溶出液としては、
溶出促進のため、2%クエン酸液のpHと同じ、pH2 の希
硫酸を用いた。試料12で作製したガラスを粉砕し、篩い
を通して212 〜500 μm に整粒した。それを0.5gとり、
500ml の希硫酸に入れ、25℃で溶出させた。溶出液をサ
ンプリングし、ネスラー試薬を加えて発色させ、分光光
度計を用いて、420nmでアンモニウムイオンの定量を行
った。結果を図3に示す。図3の結果より、ケルダール
法で窒素として検出された溶出物はアンモニア態もしく
はアンモニア態に変わり得るものであり、当該アンモニ
アガス処理をしたガラス中の窒素成分は肥料として有効
であることが明白となった。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上の構成、作用よりなり、請
求項1に記載の植物栽培用ガラス状組成物によれば、ガ
ラス形成酸化物としてP205を主成分とするガラスの、網
目構造を構成する酸素の少なくとも一部が窒素で置換さ
れているので、水に対する溶解度を変更することがで
き、よって肥料としてのガラス状組成物の粒径を変える
ことなく緩効性の程度を変更することができる。加え
て、肥料三要素の内の2つであるリンと窒素を同じペー
スで溶出させることができる。勿論ガラス状物質である
ので、単なる混合物と異なり、手を汚すことがなく、
又、透明で美観の良い肥料を提供することができる。ま
た請求項2に記載の植物栽培用ガラス状組成物によれ
ば、網目修飾酸化物として、K20 を含むので、請求項1
に記載の構成による効果に加えて、肥料三要素を含む植
物栽培用ガラス状組成物を提供できる。しかも肥料三要
素であるリンと窒素とカリウムを同じペースで溶出させ
ることができる。勿論K20 の含有により窒素量を変えず
に緩効性の程度を適当に変更設計することができる。ま
た請求項3に記載の植物栽培用ガラス状組成物によれ
ば、網目修飾酸化物として、CaO 、MgOのうち、少なく
とも一種を含むので、請求項1又は2に記載の構成によ
る効果に加えて、肥料要素を充実させると共に緩効性の
程度を変更することができる。そして上記請求項2、3
に示したK20 やCaO 、MgO等を含有させることで、ガラ
ス状組成物の寿命を数カ月の速効型から3〜5年以上の
超緩効型まで自由に設計することができ、家庭園芸から
緑化工等に至るまで、広範囲の用途に使用可能である。
また請求項4に記載の植物栽培用ガラス状組成物によ
れば、微量要素成分として、鉄、マンガン、ホウ素、亜
鉛、銅、モリブデン、塩素、イオウの少なくとも一種を
含むので、請求項1〜3のいずれかに記載の構成による
効果に加えて、微量要素の入ったガラス状肥料を提供す
ることができる。また上記請求項2、3、4において、
網目修飾酸化物や微量要素成分として含有される各成分
を互いに同じペースで、ガラスが溶けるにしたがって溶
出させることができる。更に窒素の導入や微量要素成分
等の含有により、ガラス状組成物の外観も、透明なもの
や着色したものを自由に得ることができる。また請求項
5に記載の植物栽培用ガラス状組成物によれば、個々の
形状が粉体、粒状体、球状体、塊状体、板状体、棒状
体、管状体、中空体、繊維状体のいずれかであるので、
請求項1〜4のいずれかに記載の構成による効果に加え
て、具体的な使用用途や使用場所に応じた機能或いは美
観を有するガラス状肥料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の結果を示す図である。
【図2】実施例3の結果を示す図である。
【図3】実施例4の結果を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 植物栽培用ガラス状組成物
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物の栽培用の肥料と
なるガラス状組成物に関し、詳しくは緩効性肥料として
のガラス状組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】植物栽培用の緩効性ガラス状肥料とし
て、従来最も多用されているのは、溶成リン肥と称され
ているものである。これはリン鉱石と蛇紋岩とを1350〜
1500℃で溶融、急冷して作られる。通常、P205が17〜25
wt% 、CaO が25〜35wt%、MgO が14〜19wt% 、SiO2が16
〜26wt% 含有されている。但し、カリウムと窒素は含ま
れていない。又、上記原料に、マンガン鉱石、コレマナ
イトを添加して、MnO 、B2O3の微量要素成分を保証した
BM溶リンと称する緩効性ガラス状肥料も使われてい
る。但し、カリウムと窒素は含まれていない。
【0003】又、カリウムを含んだ緩効性ガラス状肥料
としては、ケイ酸カリウム肥料がある。これはフライア
ッシュと、水酸化カリウム又は炭酸カリウムと水酸化マ
グネシウムとを混合造粒後、800 〜900 ℃で焼成して、
一部ガラス状としたものである。通常クエン酸可溶性K2
O が20wt% 以上、可溶性SiO2が30wt% 以上、クエン酸可
溶性MgO が3wt% 以上、B2O3が0.05wt% 以上、含有され
ている。但し、リンと窒素は含まれていない。
【0004】又、溶成カリリン肥と称されるリン、カリ
ウムを含む緩効性ガラス状肥料がある。これは前記溶成
リン肥の原料にカリウム塩を添加して、同様に作られ
る。K2O が13.4wt% 、クエン酸可溶性P205が20.1wt% が
当該肥料の主成分例であり、他にCaO、MgO 、SiO2等を
含む。ただし窒素は含まれない。
【0005】更にFTEと称されている溶成微量要素複
合肥料が、製造販売されている。これは、マンガン鉱
石、ホウ砂、長石、ソーダ灰、ホタル石、鉄鉱石等の原
料を調合し、1300℃で溶融、急冷、粉砕して作られる。
一般にクエン酸可溶性MnO が17〜20wt% 、B2O3が7〜9
wt% 、他を含む。蛇紋岩等の塩基性マグネシウム鉱石を
原料として、同時に加えて、マグネシウムを保証したも
のもある。ただし少なくとも窒素は含まれない。
【0006】以上は従来のガラス状の緩効性肥料につい
てであるが、ガラス状以外の緩効性肥料として、緩効性
窒素肥料がある。これは尿素とイソブチルアルデヒドを
縮合反応させたイソブチルアルデヒド縮合尿素(通称I
BDU)、尿素とアセトアルデヒドを縮合反応させたア
セトアルデヒド縮合尿素(通称CDU)、尿素とホルム
アルデヒドを縮合反応させたホルムアルデヒド加工尿素
肥料(通称ウレアホルム)等が使用されている。但しカ
リウムとリンは含まれていない。又、緩効性肥料とし
て、速効性の高度化成肥料粒の表面を合成樹脂、イオウ
等で被覆して、肥料成分の溶出を抑制した被覆肥料も多
用されている。更に、水に対する溶解度が低いリン酸マ
グネシウムアンモニウムとリン酸マグネシウムカリウム
の混和物を緩効性肥料として用いる例が、特公昭44-188
91号に記載されており、また使用に供されている(商品
名マグアンプK) 。この肥料は窒素、リン、カリウムを
全て含んでいるが、ガラス状ではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ガラス状肥料は、窒素、リン、カリウムの肥料三要素の
うち、窒素を含んでいない。このため、単独では使用で
きず、緩効性窒素肥料等を混合して複合化せざるを得な
い。しかし、その場合には混合、造粒等の工程が更に必
要となると共に、ガラスが本来もっている透明性が隠蔽
される。又、複合造粒品は粉が手等に付着しやすい欠点
がある。さらに重要なことは、混合される緩効性窒素肥
料の寿命は長くて1年であり、3〜5年の長期寿命は期
待出来ない点である。その他、特公昭57-28374号には、
リン酸塩ガラス中にカルシウムシアナミドを導入した緩
慢放出性肥料が提供されているが、これはカルシウムシ
アナミドがガラス中に単純に混合されただけのリン−窒
素肥料である。
【0008】又、上記被覆肥料は、緑化工等で、バーク
等の植生基材と混合する際、或いはエアーガン等で混合
物を飛ばす際、被覆に傷が付きやすく、緩効性が損なわ
れるという問題がある。又、被覆が夏場に直射日光にさ
らされ、高温になると、膨潤し、肥料成分が早く溶け出
してしまう問題がある。又、上記リン酸マグネシウムア
ンモニウムとリン酸マグネシウムカリウムの混和物の場
合、それぞれが化合物であるため、水に対する溶解度は
変えようがない。従って、緩効性の度合いは、粒度を変
えて行われる。例えば公称1年寿命で粒径が2〜3mm、
公称2年寿命で5〜6mmである。このため3〜5年寿命
のものにするには10mm以上必要となる。しかしこの様に
粒径を大きくすると、前記緑化工の際等、他の植生基材
と混合しても分離しやすくなる欠点や、エアーガン等で
混合物を飛ばす際にも施工法面等から跳ね返るという欠
点があった。
【0009】そこで、本発明は上記従来技術の欠点を解
消し、粒径を変えることなく緩効性の程度を適当に変更
ないし設計することができ、又リンと窒素を同じペース
で溶出させることができ、しかもガラス状物質としての
美観を損なうことのない植物栽培用ガラス状組成物の提
供を目的とする。又、加えて肥料要素としてリン、窒素
の他にカリウムも含む、肥料三要素入りの植物栽培用ガ
ラス状組成物の提供を目的とする。さらに加えて他の肥
料要素も含む植物栽培用ガラス状組成物の提供を目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の植物栽培用ガラス状組成物は、ガラス形成
酸化物としてP205を主成分とするガラスの、網目構造を
構成する酸素の少なくとも一部が窒素で置換されている
ことを第1の特徴としている。又、本発明の植物栽培用
ガラス状組成物は、上記第1の特徴に加えて、網目修飾
酸化物として、K20 を含むことを第2の特徴としてい
る。又、本発明の植物栽培用ガラス状組成物は、上記第
1、第2の特徴に加えて、網目修飾酸化物として、CaO
、MgOのうち、少なくとも一種を含むことを第3の特
徴としている。又、本発明の植物栽培用ガラス状組成物
は、上記第1、第2、第3の特徴に加えて、微量要素成
分として、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデ
ン、塩素、イオウの少なくとも一種を含むことを第4の
特徴としている。又、本発明の植物栽培用ガラス状組成
物は、上記第1、第2、第3、第4の特徴に加えて、個
々の形状が粉体、粒状体、球状体、塊状体、板状体、棒
状体、管状体、中空体、繊維状体のいずれかをなすこと
を第5の特徴としている。
【0011】上記本発明のガラス状組成物の作製は、60
0 〜1000℃の溶融リン酸塩ガラス中にアンモニアガスを
バブリング等して、リン酸塩ガラスと反応させ、基本的
にP−O−Pの架橋酸素又はP=Oの非架橋二重結合酸
素を窒素にて置き換え、窒素をガラス網目構造に直接組
み込むことにより行うことができる。窒素がガラス網目
構造に組み込まれるため、窒素のみが先に溶出すること
がなく、リンと窒素を同一のペースで溶け出させること
ができる。そして窒素の置換量により、ガラスの水に対
する溶出速度を変えることができる。即ち窒素置換量が
増えると溶出速度が低下する。よって同じ粒径、形状で
も緩効性の程度を自由に設計することができる。なお後
述する種々の成分を含有させる場合には、窒素以外の各
成分を所望の配分割合で混合し、溶融した後、上記600
〜1000℃に温度調節して、アンモニアガスを導入する。
P205は植物の必須要素であると共にこれを含むガラス状
組成物は水中において徐々に溶解する性質が付与され
る。P205は35モル% 以上が好ましい。35モル% 未満では
ガラスが溶融し難く、また失透性が生じるために製造時
にアンモニアガス処理が困難になる。窒素は植物の必須
要素であると共にガラスの溶出速度を調整する役目を果
たす。窒素は必要に応じて置換量を変更させることがで
きるが、0.1 〜16wt% が好ましい。0.1 wt% 未満では実
質的に緩効性の効果が少なくまた肥料成分としての効果
も少ない。一方、16wt% 越えて置換させるのは時間もか
かり、経済的な問題が残る。
【0012】K2O は植物の必須要素であり、これを上記
のリンと窒素を含むガラスに網目修飾酸化物として導入
することにより、肥料三要素を含むガラス状肥料を構成
できる。勿論、溶出速度も窒素、リン、カリウムの三要
素で同じとなる。又、K2O はプラス(溶出速度を増す)
の溶出速度調整剤でもある。よってこれを含有させるこ
とにより、窒素等の量を変更せずに緩効性の程度を変え
ることができる。K2Oの含有量は必要に応じて変更させ
ることができる。ただし、60モル% を越えると製造時に
ガラスが溶融し難く、また失透性が生じるためにアンモ
ニアガス処理が困難となる。また前記K2O の一部をNa2O
で置換することができる。Na2Oは一般に植物の必須要素
ではないため、サツマイモのようにナトリウムを要求す
るもの以外は必要ないが、溶出速度調整剤としてK2O を
一部置換して用いることができる。
【0013】CaO 、MgO は植物の肥料要素であると共
に、マイナス(溶出速度を減ずる) の溶出速度調整剤で
ある。これらの含有量は必要に応じて変更することがで
きるが、60モル% を越えるとガラスが溶融し難くなり、
また失透性が生じるために600〜1000℃でのアンモニア
ガス処理が困難となる。
【0014】P2O5を主成分とするガラスには当然SiO2
の他のガラス形成酸化物やAl2O3 等のガラス中間酸化物
を含有させることができる。SiO2は稲には肥料要素であ
るが、通常はマイナスの溶出速度調整剤として用いるこ
とができる。ただし10モル%を越えるとガラスが溶融し
難くなると共に粘度が上がり、アンモニアガス処理が困
難になる。又、Al2O3 は肥料要素ではないが、マイナス
の溶出速度調整剤として用いることができる。ただし30
モル% を越えるとガラスが溶融し難くなると共に粘度が
上がり、アンモニアガス処理が困難になる。
【0015】P2O5を主成分とするガラスには微量要素成
分として、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、モリブデ
ン、塩素、イオウの少なくとも一種を含有させることが
できる。これらの微量要素成分は、窒素、リン、カリウ
ム、カルシウム、マグネシウムとのバランス上、各々0.
05〜0.5 wt% 用いることにより、栄養の目的を達し、
又、過剰障害も防止し得る。ただし、各種の欠乏症、例
えば、鉄の場合には葉の白化、マンガンの場合には葉の
黄化、壊死等の対策用として、増量添加を妨げるもので
はない。なお、本発明に係るガラス状組成物は、上記以
外の成分、例えば安価な湿式リン酸を原料に用いた場合
フッ素、水耕栽培用等の抗菌抗カビ用としてを含有
してもよい。また、ガラス構成成分として水を含有して
もよい。
【0016】又、本発明に係るガラス状組成物は、具体
的な使用用途や場所、或いは美観を考慮して、個々の形
状が粉体、粒状体、球状体、塊状体、板状体、棒状体、
管状体、中空体、繊維状体のいずれかとすることができ
【0017】
【作用】ガラス形成酸化物としてP205を主成分とするガ
ラスの、網目構造を構成する酸素の少なくとも一部を窒
素で置換することにより、水に対する溶解度を変更する
ことができ、よって肥料としてのガラス状組成物の粒径
を変えることなく緩効性の程度を適当に変更ないし設計
することができ、しかも肥料三要素の内の2つであるリ
ンと窒素を同じペースで溶出させることができる。勿論
ガラス状物質としての美観を損なうこともない。又、網
目修飾酸化物として、K20 を含むようにすることで、肥
料三要素を含む植物栽培用ガラス状組成物を提供でき
る。勿論K20 の含有により窒素量を変えずに緩効性の程
度を適当に変更設計することができる。更に肥料三要素
であるリンと窒素とカリウムを同じペースで溶出させる
ことができる。又、網目修飾酸化物として、CaO 、MgO
のうち、少なくとも一種を含むようにすることで、肥料
要素を充実させると共に緩効性の程度を変更することが
できる。又、微量要素成分として、鉄、マンガン、ホウ
素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素、イオウの少なくとも
一種を含むようにすることで、微量要素の入ったガラス
状肥料とすることができる。また上記網目修飾酸化物や
微量要素成分として含有される各成分を互いに同じペー
スで、ガラスが溶けるにしたがって溶出させることがで
きる。又、ガラス状組成物として、その個々の形状が粉
体、粒状体、球状体、塊状体、板状体、棒状体、管状
体、中空体、繊維状体のいずれかとすることで、具体的
な使用用途や使用場所に応じた機能或いは美観を有する
ガラス状肥料を提供できる。勿論、粉が手に付いたりし
ない。
【0018】
【実施例】 実施例1.石英ルツボに75% リン酸を入れ、その中に炭
酸カリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、水酸化マグネ
シウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、珪砂等の酸
化物、ホウ酸、フッ化カルシウム等を試料1〜22に示す
成分割合となるよう秤量、混合し、700 〜1200℃で加熱
溶融した。ガラス物性測定および溶出試験用に、水冷ロ
ールに流し出してガラスフレークとした。このガラスフ
レークを粉砕し、示差熱分析装置を用いて、ガラス転移
点を測定した。又3cm×3cmのガラスフレークを切り出
し、30℃のイオン交換水500ml 中で溶出試験を行い、重
量減少から溶出速度を計算した。表1、表2に結果を示
す。比較例1〜4を一緒に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】表1、表2から、ガラス組成を変更するこ
とにより、溶出速度を3〜4桁(表1、表2において0.
04〜580 μm/h )変更できることが明らかとなった。
【0022】実施例2.上記試料1〜22のガラスフレー
クを用いて、更に試料1−1〜22−1を作製した。各試
料の作製は、先ずガス導入可能な石英チューブ内に試料
1〜22のガラスフレーク25gを入れた磁製蒸発皿を入
れ、この石英チューブを電気炉に挿入し、600 〜1000℃
に加熱する。石英チューブの片端には、先端を曲げた石
英ガラス製ガス導入管をセットし、曲部を上または横向
きにして蒸発皿中心部に位置せしめておく。次に、窒素
ガスを導入し、石英チューブ内の空気をパージした後、
石英ガラス管を回し、曲部を溶融ガラスに浸漬し、窒素
ガスをアンモニアガスに切り換える。0.3 リットル/分
で所定時間バブリングした後、曲管を回してバブリング
を止め、アンモニアガスを窒素ガスに切り換え、アンモ
ニアガスをパージする。パージ後、蒸発皿を取り出し、
冷却する。アンモニアガス処理をした各試料1−1〜22
−1中の窒素含有量はケルダール法によって重量%で求
めた。又その値と未処理のガラス組成値からアンモニア
ガス処理を行ったガラスの組成値を計算した。また試料
を粉砕し、篩いを通して212 〜500 μmに整粒し、30℃
のイオン交換水、及び2%クエン酸水溶液に浸漬し、重
量変化から溶出速度を計算した。結果を表3、表4、表
に示す。また比較例として難溶性リン酸マグネシウ
ムアンモニウムとリン酸マグネシウムカリウムの混和物
である、商品名マグアンプKの溶出速度を示す。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】表3〜表5より、基本ガラス組成が一定で
あれば窒素の含有量が増大するにつれ、イオン交換水へ
の溶出速度が減少することが明らかである。そしてこの
溶出速度は、比較例のマグアンプKの溶出速度(寿命
1〜2年)に近い速度を中心として、2〜3桁の範囲
(30℃イオン交換水では0.03〜91μm/h 、30℃・2%ク
エン酸水溶液では0.05〜147 μm/h )で変更が可能であ
る。
【0027】実施例3.アンモニア処理を行ったガラス
から、各成分がほぼ同じペースで溶出するかどうかを確
認するため溶出試験を行った。前記試料5−2のガラス
を1粒(0.75g 、N:0.022g) を250ml のメスフラスコに
入れ、イオン交換水200ml を加えて、46rpm の回転振と
う器によって所定時間、25℃で振とうさせた後、濾過し
た。そしてその濾過液を分析して溶出率を求めた。更に
残留分にイオン交換水200ml を加えて同様な操作を繰り
返して溶出率の積算値を求めた。窒素量はケルダール法
で、P2O5量はモリブデン酸ブルーによる分光光度法で、
K2O 量は炎光光度法で、MgO 量は原子吸光法でそれぞれ
定量した。結果を図1に示す。また比較として、前記比
較例のマグアンプKの3粒(0.31g 、N:0.022g) を用
いて同様に各成分の溶出率を求めた。結果を図2に示
す。図1、図2より、試料5−2では、各成分が、比較
に較べて互いに近いペースで溶出していることが明
らかである。
【0028】実施例4.実施例2で得られた試料5−2
での、窒素の溶出は、ケルダール法による分析値である
ことは実施例3で述べたが、この方法では溶出した窒素
が肥効性を持つことを保証し得ない。そこで、溶出窒素
に肥効性があるかどうか試験を行った。溶出液として
は、溶出促進のため、2%クエン酸液のpHと同じ、pH2
の希硫酸を用いた。試料5−4で作製したガラスを粉砕
し、篩いを通して212 〜500 μmに整粒した。それを0.5
gとり、500ml の希硫酸に入れ、25℃で溶出させた。溶
出液をサンプリングし、ネスラー試薬を加えて発色さ
せ、分光光度計を用いて、420nm でアンモニウムイオン
の定量を行った。結果を図3に示す。図3の結果より、
ケルダール法で窒素として検出された溶出物はアンモニ
ア態もしくはアンモニア態に変わり得るものであり、当
該アンモニアガス処理をしたガラス中の窒素成分は肥料
として有効であることが明白となった。
【0029】
【発明の効果】本発明は以上の構成、作用よりなり、請
求項1に記載の植物栽培用ガラス状組成物によれば、ガ
ラス形成酸化物としてP205を主成分とするガラスの、網
目構造を構成する酸素の少なくとも一部が窒素で置換さ
れているので、水に対する溶解度を変更することがで
き、よって肥料としてのガラス状組成物の粒径を変える
ことなく緩効性の程度を変更することができる。加え
て、肥料三要素の内の2つであるリンと窒素を同じペー
スで溶出させることができる。勿論ガラス状物質である
ので、単なる混合物と異なり、手を汚すことがなく、
又、透明で美観の良い肥料を提供することができる。ま
た請求項2に記載の植物栽培用ガラス状組成物によれ
ば、網目修飾酸化物として、K20 を含むので、請求項1
に記載の構成による効果に加えて、肥料三要素を含む植
物栽培用ガラス状組成物を提供できる。しかも肥料三要
素であるリンと窒素とカリウムを同じペースで溶出させ
ることができる。勿論K20 の含有により窒素量を変えず
に緩効性の程度を適当に変更設計することができる。ま
た請求項3に記載の植物栽培用ガラス状組成物によれ
ば、網目修飾酸化物として、CaO 、MgOのうち、少なく
とも一種を含むので、請求項1又は2に記載の構成によ
る効果に加えて、肥料要素を充実させると共に緩効性の
程度を変更することができる。そして上記請求項2、3
に示したK20 やCaO 、MgO等を含有させることで、ガラ
ス状組成物の寿命を数カ月の速効型から3〜5年以上の
超緩効型まで自由に設計することができ、家庭園芸から
緑化工等に至るまで、広範囲の用途に使用可能である。
また請求項4に記載の植物栽培用ガラス状組成物によ
れば、微量要素成分として、鉄、マンガン、ホウ素、亜
鉛、銅、モリブデン、塩素、イオウの少なくとも一種を
含むので、請求項1〜3のいずれかに記載の構成による
効果に加えて、微量要素の入ったガラス状肥料を提供す
ることができる。また上記請求項2、3、4において、
網目修飾酸化物や微量要素成分として含有される各成分
を互いに同じペースで、ガラスが溶けるにしたがって溶
出させることができる。更に窒素の導入や微量要素成分
等の含有により、ガラス状組成物の外観も、透明なもの
や着色したものを自由に得ることができる。また請求項
5に記載の植物栽培用ガラス状組成物によれば、個々の
形状が粉体、粒状体、球状体、塊状体、板状体、棒状
体、管状体、中空体、繊維状体のいずれかであるので、
請求項1〜4のいずれかに記載の構成による効果に加え
て、具体的な使用用途や使用場所に応じた機能或いは美
観を有するガラス状肥料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3の結果を示す図である。
【図2】実施例3の結果を示す図である。
【図3】実施例4の結果を示す図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス形成酸化物としてP205を主成分と
    するガラスの、網目構造を構成する酸素の少なくとも一
    部が窒素で置換されていることを特徴とする植物栽培用
    ガラス状組成物。
  2. 【請求項2】 網目修飾酸化物として、K20 を含む請求
    項1に記載の植物栽培用ガラス状組成物。
  3. 【請求項3】 網目修飾酸化物として、CaO 、MgOのう
    ち、少なくとも一種を含む請求項1又は2に記載の植物
    栽培用ガラス状組成物。
  4. 【請求項4】微量要素成分として、鉄、マンガン、ホウ
    素、亜鉛、銅、モリブデン、塩素、イオウの少なくとも
    一種を含む請求項1〜3のいずれかに記載の植物栽培用
    ガラス状組成物。
  5. 【請求項5】 個々の形状が粉体、粒状体、球状体、塊
    状体、板状体、棒状体、管状体、中空体、繊維状体のい
    ずれかをなす請求項1〜4のいずれかに記載の植物栽培
    用ガラス状組成物。
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