JP7485913B2 - 肥料及び肥料の施肥方法 - Google Patents

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Description

本発明は、肥料及び肥料の施肥方法に関する。
植物の生長に必須な元素として、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、酸素(O)、水素(H)、炭素(C)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、塩素(Cl)が知られている(以下の非特許文献1を参照。)
上記元素のうち、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)は、肥料の三要素と呼ばれ、植物が多量に必要とする元素であることが知られている。また、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)は、二次要素と呼ばれ、上記の三要素に次いで植物が必要とする元素といわれている。
これら元素のうち、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)については、土壌の塩基バランスが作物の栽培にとって重要であることが知られている。これらの三元素は、何れかの元素の吸収が多くなると、他の元素の吸収が抑制される性質があるからである。
上記のような塩基バランスの目標値として、石灰(CaO):苦土(MgO):加里(KO)=5:2:1が知られている(以下の非特許文献1を参照。)。塩基バランスは、石灰、苦土、加里の土壌中の質量での含有量(単位mg/100g乾土)の比ではなく、石灰、苦土、加里の土壌中の当量での含有量(単位meq/100g乾土)の比として表される。石灰は、CaOとして1meq=28mgであり、苦土は、MgOとして1meq=20mgであり、加里は、KOとして1meq=47mgである。
作物の栽培に適した土壌の塩基バランスにするために、石灰、苦土、加里を含むさまざまな肥料や土壌改良資材が用いられている。例えば、土壌の塩基バランスを調製するための石灰や苦土を含む資材として、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、苦土石灰などがある。
一方で、酸性土壌のpHを矯正するために、あるいはフザリウムのようなアルカリ性に弱い植物病害を防除するために、製鋼スラグが用いられる。製鋼スラグのアルカリ性(pH11~12)を利用して、土壌のpHを7.5以上にすることで土壌病害のフザリウムが抑制されることが、報告されている(以下の非特許文献2を参照。)
特許第5105322号公報 特開2016-56075号公報 特開2013-155273号公報
「土壌診断なるほど!ガイド」、JA全農 肥料農薬部、2008年 「転炉スラグによる土壌pH矯正を核とした土壌伝染性フザリウム病の被害軽減技術」、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター、2015年 永井彰一郎、荒井康夫、Gypsum & Lime,P.40,P.357
土壌の塩基バランスを調製するために、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、苦土石灰などを用いることには、以下のような問題がある。
生石灰及び消石灰は、いずれもイオン化しやすく、雨水や灌漑水により流亡しやすいため、土壌の塩基バランスを長期間安定に維持することができない。また、生石灰及び消石灰は、強いアルカリ性を示す物質であり、土壌のpHを急激にあげてしまう一方で、雨水で流亡してしまうことによりpHが下がるために、土壌のpHを安定に保持することができない。
苦土石灰は、天然物のドロマイトを粉砕して作られる肥料である。ドロマイトの主成分は、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムである。これらの物質は、生石灰及び消石灰に比べ、肥料効果がある石灰や苦土が溶出しにくい。上記非特許文献3に記載されている5種類のドロマイトの組成から計算される、ドロマイトの石灰と苦土の当量の比(石灰/苦土)は、1.2~2.0である。苦土石灰を用いた場合、ドロマイトの石灰と苦土の当量の比(石灰/苦土)は、土壌の石灰と苦土の当量の比の目標値である2.5よりも低いために、苦土石灰のほかに、石灰の追加混合が必要となる。この場合、生石灰や消石灰を添加すると、上記のようにpHの急激な変化や雨水による流亡の問題がある。
また、酸性土壌のpH矯正や、土壌をpH7.5以上に高めてフザリウムによる植物病害を防除するために、製鋼スラグ、又は、製鋼スラグを原料とする肥料が用いられるが、製鋼スラグには、以下に示すような問題がある。
製鋼スラグは、上記のような生石灰、消石灰などのアルカリ性資材と比較してアルカリ成分の溶出が遅く、かつ、製鋼スラグを粉砕して得られる粒子は比重が高いために、雨水により流亡しない。そのため、製鋼スラグは、長期間安定して土壌のpHを高める効果がある。しかしながら、施用前の土壌pHにもよるが、フザリウムによる土壌病害を防除するためには、土壌pHを7.5以上に高める必要が多く、この場合、土壌と混合する製鋼スラグの施用量は、5t/haから100t/haに及ぶ場合もある。
これまでに報告されている、肥料原料用製鋼スラグ、又は、製鋼スラグを原料とする肥料もしくは土壌改良資材に関して、カルシウムとマグネシウムの含有量から計算される、これらに含まれる石灰と苦土の塩基バランスは、いずれも土壌の塩基バランスの目標値である石灰:苦土=5:2(石灰と苦土の塩基バランスの当量比(石灰/苦土)として表すと、2.5)から大きくずれている。
肥料原料用製鋼スラグ、又は、製鋼スラグを原料とする肥料もしくは土壌改良資材中の石灰/苦土の塩基バランスの当量比の値は、例えば、上記特許文献1では11.4~17.2であり、上記特許文献2では3.9~6.2であり、上記特許文献3では1.1~1.8である。
したがって、土壌のpH矯正によってフザリウムに起因する病害を防除しようとする場合などには、大量の製鋼スラグ、又は、製鋼スラグを原料とする肥料もしくは土壌改良資材を土壌に施用することによって、土壌の石灰と苦土の塩基バランスが、塩基バランスの当量比として目標値2.5から大きくずれてしまうことが懸念される。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、土壌の石灰と苦土の塩基バランスをより確実に適切な状態とすることが可能な、肥料原料用製鋼スラグ、肥料及び肥料の施肥方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、石灰と苦土の塩基バランスの当量比を目標値の2.5前後とする肥料原料用製鋼スラグ、肥料及び肥料の施肥方法を開発し、本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は、以下の通りである。
料原料用製鋼スラグと、カリウムを含む化合物と、を含有する肥料であって、前記肥料原料用製鋼スラグは、質量%で、CaO:20%以上29%以下、MgO:8%以上10%以下を含有し、更に、SiO :19%以上28%以下、P :3.5%以上5.0%以下、MnO:3.5%以上6.0%以下、全鉄:17%以上26%未満、硫黄:0.001%以上0.010%未満、ホウ素:0.005%以上0.050%未満、Al :0.5%以上4.0%以下の少なくとも何れかを、前記CaO及び前記MgOとの合計含有量が100質量%以下となるように含有し、アルカリ分が、31%以上45%以下となり、かつ、CaOのMgOに対する当量比が、2以上3以下であり、前記P 中の可溶性P の割合が、50%以上であり、前記MnO中のく溶性MnOの割合が、80%以上であり、前記ホウ素中のく溶性ホウ素の割合が、85%以上であり、前記肥料原料用製鋼スラグの粒径が5mm未満であり、前記肥料原料用製鋼スラグと、前記カリウムを含む化合物と、に含まれるCaO、MgO、KOの合計量について、KOの合計量に対するCaOの合計量の当量比が、4以上9以下であり、かつ、KOの合計量に対するMgOの合計量の当量比が、2以上3以下である、肥料。
)前記カリウムを含む化合物は、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素一カリウム、又は、ケイ酸カリウムの少なくとも何れかである、()に記載の肥料。
(1)又は(2)に記載の肥料の施肥方法であって、施肥後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比(CaO:MgO:KO)が、(4以上9以下):(2以上3以下):1となるように施用する、肥料の施肥方法。
以上説明したように本発明によれば、土壌の石灰と苦土の塩基バランスをより確実に適切な状態とすることが可能な、肥料原料用製鋼スラグ、肥料及び肥料の施肥方法を提供することが可能となる。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグについて詳細に説明するに先立ち、比較のために、一般的な製鋼スラグについて、簡単に説明する。なお、転炉スラグは、製鋼スラグの一種であり、以下では、転炉スラグも含めて製鋼スラグと表記する。
鉄鋼スラグ協会では、代表的な製鋼スラグ(転炉スラグ)の組成を公開しており(http://www.slg.jp/character.html)、その代表的な組成は、以下の通りである。
CaO:45.8質量%、SiO:11.0質量%、全鉄:17.4質量%、MgO:6.5質量%、Al:1.9質量%、S:0.06質量%、P:1.7質量%、MnO:5.3質量%
上記の代表的な組成から計算されるCaOのMgOに対する当量比は、(45.8/28.0)/(6.5/20.0)=5.0であり、土壌の塩基バランスの目標値2.5よりかなり高いことがわかる。
(肥料原料用製鋼スラグについて)
以下に、本発明の実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグについて、詳細に説明する。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、高炉溶銑に対して溶銑予備処理炉あるいは転炉での脱リン処理を行うことによって得られる、製鋼スラグである。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、質量%で、CaO:20%以上29%以下、MgO:8%以上10%以下、アルカリ分:25%以上45%以下を少なくとも含有し、かつ、CaOのMgOに対する含有量当量比(CaO/MgO)が、2以上3以下である。製鋼スラグのCaO/MgOを2以上3以下とするにあたっては、例えば、溶銑予備処理炉あるいは転炉での脱リン処理を行う際に、投入するフラックスの種類や量を調整することで、範囲内とすることができる。
また、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、更に、質量%で、SiO:19%以上28%以下、P:3.5%以上5.0%以下、MnO:3.5%以上6.0%以下、全鉄:17%以上26%未満、硫黄:0.001%以上0.010%未満、ホウ素:0.005%以上0.050%未満、Al:0.5%以上4.0%以下の少なくとも何れかを、CaO及びMgOとの合計含有量が100質量%以下となるように含有し、P中の可溶性Pの割合が、50%以上であり、MnO中のく溶性MnOの割合が、80%以上であり、ホウ素中のく溶性ホウ素の割合が、85%以上であることが好ましい。
<CaO及びMgO、並びに、アルカリ分について>
Ca及びMgは、いずれも植物に必須な元素である。また、製鋼スラグに含まれるCaO及びMgOは、製鋼スラグのアルカリ性の主要因となる。
なお、肥料や製鋼スラグにおいては、CaやMgの含有量を表記する際には、酸化物のCaOやMgOに換算して含有量が表記されるため、CaO換算値及びMgO換算値として、Ca及びMgの含有量を表わす。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグでは、CaOのMgOに対する当量比(CaO/MgO)が、2以上3以下である。これは、上記のように、作物を栽培する土壌の塩基バランスの目標値が、CaOのMgOに対する当量比(CaO/MgO)で2.5であり、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおけるCaOのMgOに対する当量比を土壌の石灰と苦土の塩基バランスの目標値2.5に近づけるためである。これにより、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグのCaOのMgOに対する含有量当量比を、2以上3以下とした。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、MgO含有量が8質量%以上10質量%以下と、一般的な製鋼スラグのMgO含有量より高い。CaOのMgOに対する当量比を2以上3以下にするために、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、CaOを20質量%以上29質量%以下含有する。MgO含有量は、好ましくは8.5質量%以上9.5質量%以下である。また、CaO含有量は、好ましくは22質量%以上27質量%以下である。
アルカリ分は、肥料分析法(より詳細には、「肥料等試験法」、2013年、独立行政法人 農林水産消費安全技術センター)において分析方法が定められており、かつ、わが国の肥料の規格で、保証値が決められている分析項目である。アルカリ分の値は、上記規定の分析方法に即して分析で求めることが望ましいが、近似的に、以下の式(1)に即して、CaO及びMgOの含有量から予測することができる。本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、アルカリ分を、31質量%以上45質量%以下含有する。また、アルカリ分は、好ましくは、33質量%以上42質量%以下である。
アルカリ分=CaO含有量(質量%)+1.39×MgO含有量(質量%)
・・・式(1)
なお、CaO含有量及びMgO含有量は、例えば、蛍光X線分析法により測定可能である。
<SiOについて>
Siは、植物の必須要素ではないものの、稲、小麦、トウモロコシなどのイネ科のケイ酸植物にとって、非常に重要な元素である。稲の植物体の乾燥質量の約5%を、ケイ酸(SiO)が占める。そのため、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、Siを含有していてもよい。なお、肥料や製鋼スラグにおいては、Siの含有量を表記する際には、酸化物のSiOに換算して含有量が表記されるため、以下、SiOとしてSiの含有量を表わす。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグのSiOの含有量が19質量%未満である場合には、ケイ酸を必要とするイネ科植物に対し、十分にSiを供給できなくなる可能性が高まるため、好ましくない。一方、SiOの含有量が29質量%を超える製鋼スラグは、通常の製鉄所の溶銑予備処理炉又は転炉での脱リン処理において、ほとんど産出されることがないので、取得が容易ではない。従って、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、SiOの含有量は、19質量%以上29質量%以下とすることが好ましい。SiOの含有量は、より好ましくは21質量%以上29質量%以下である。なお、かかるSiOの含有量は、例えば、蛍光X線分析法により測定可能である。
<Pについて>
Pは、N、Kとともに植物の必須要素である。Pは、遺伝子であるDNAやRNA、ATPなどのエネルギー代謝物質、細胞膜の構成物質などに必要な元素である。また、Pは、根の生長点に作用し、根の生長に効果がある元素である。Pが不足すると、根の生長が抑制される。そのため、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、Pを含有していてもよい。なお、肥料や製鋼スラグにおいては、Pの含有量を表記する際には、酸化物のPに換算して含有量が表記されるため、以下では、PとしてPの含有量を表わす。
酸性であり、かつ、AlやFeがイオン化して溶出しやすい条件の土壌では、Pは、リン酸アルミニウム(AlPO)やリン酸鉄(FePO)として不溶化されてしまい、植物の根がPを含むリン酸イオン(PO 3-)を吸収できなくなる可能性がある。本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、Pを含有することで、CaOやMgOを含有し、かつ、アルカリ性であるため、酸性土壌を改良して土壌からAlやFeがイオン化して溶出するのを防ぎながら、かつ、Pを、リン酸イオン(PO 3-)として徐々に溶出することが可能である。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、Pは、CaSiO-Ca(POの組成を有する結晶性物質として、主に存在している。土壌中では、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを含む肥料から、Ca、Siとともに、Pは、PO 3-として徐々に溶出する。従って、稲など作物の一作に当たる数か月レベルの長期間において、AlやFeにより不溶化されることなく、植物に対し、Pを徐々に供給することが可能である。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、Pの含有量が3.5質量%未満である場合には、上記のような効果を実現することができない可能性がある。そのため、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、Pの含有量は、3.5質量%以上とすることが好ましい。一方、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、Pの含有量が5.0質量%を超える製鋼スラグは、通常の製鉄所の脱りん処理又はマーク処理では、ほとんど産出されることがないために、取得が容易ではない。従って、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、Pの含有量は、5.0質量%以下とすることが好ましい。Pの含有量は、より好ましくは4.0質量%以上5.0質量%以下である。
肥料取締法では、鉱さいリン酸肥料として、く溶性Pの含有量を、3質量%以上と定めている。本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、必ずしも鉱さいリン酸肥料の規格を満たすものではないが、上記の理由から、Pの肥料効果が期待できる。本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、Pの含有量が3.5質量%以上となることで、く溶性Pの含有量は、おおよそ2.9質量%以上となる。
一方、2%クエン酸水溶液で溶出するく溶性Pよりは、中性のクエン酸アンモニウム水溶液(ペーテルマンクエン酸アンモニウム液)で溶出する可溶性Pの方が、実際に植物が根から吸収できるPに関して、より適した値になることが知られている。本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、スラグに含まれるPのうち、可溶性Pの割合が50%以上であることが好ましい。一方、スラグに含まれるP中の可溶性Pの質量割合の上限値は、特に規定するものではなく、高ければ高いほど良いが、実際に製鋼スラグ試料を数多く作製して分析した結果から鑑みて100%とすることはできず、上限値は、約85%程度である。スラグに含まれるP中の可溶性Pの質量割合は、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上である。
以上のことから、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、質量%で、Pを3.5%以上5.0%以下含有することが好ましく、P中の可溶性Pの割合が、50%以上であることが好ましい。
なお、Pの含有量は、例えば、蛍光X線分析法により測定可能である。また、可溶性Pの含有量は、ペーテルマンクエン酸アンモニウム液を用いた、バナドモリブデン酸アンモニウム吸光光度法やキノリン重量法といった、公知の肥料等試験法を用いることで、測定可能である。測定したPの含有量及び可溶性Pの含有量を用いて、P中の可溶性Pの質量割合を算出することができる。
<MnOについて>
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、Mnを含有していてもよい。なお、肥料や製鋼スラグにおいては、Mnの含有量を表記する際には、酸化物のMnOに換算して含有量が表記されるため、以下では、MnOとしてMnの含有量を表わす。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグがMnOを含有する場合に、MnOの含有量が3.5質量%未満となる場合には、MnOの含有量が少ないために、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを含む肥料からのMnの溶出が十分ではなくなり、Mnの肥料効果が発揮できなくなる可能性がある。一方、MnOの含有量が6.0質量%を超える製鋼スラグは、通常の製鉄所の脱りん処理又はマーク処理では、ほとんど産出されることがないため、取得が容易ではない。従って、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、MnOの含有量は、3.5質量%以上6.0質量%以下であることが好ましい。MnOの含有量は、より好ましくは4.0質量%以上6.0質量%以下である。
植物は、根から有機酸を分泌することが知られており、2%クエン酸水溶液に溶出するマンガンであるく溶性マンガンを、植物が利用可能なマンガンとみなすことが、一つの指標となる。本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、スラグに含まれるMnOのうち、く溶性MnOの割合が80%以上であることが好ましい。スラグに含まれるMnO中のく溶性MnOの質量割合の上限値は、特に規定するものではなく、高ければ高いほど良いが、実際に製鋼スラグ試料を数多く作製して分析した結果から鑑みて、100%とすることはできず、上限値は、約95%程度である。スラグに含まれるMnO中のく溶性MnOの質量割合は、より好ましくは85%以上であり、更に好ましくは90%以上である。
以上のことから、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、質量%で、MnOを3.5%以上6.0%以下含有することが好ましく、MnO中のく溶性MnOの割合が、80%以上であることが好ましい。
なお、Mnの含有量は、例えば、蛍光X線分析法で測定可能である。また、く溶性MnOの含有量は、2%クエン酸水溶液を用いた溶出とフレーム原子吸光法等といった、公知の肥料等試験法を用いることで、測定可能である。測定したMnOの含有量及びく溶性MnOの含有量を用いて、MnO中のく溶性MnOの質量割合を算出することができる。
<全鉄について>
鉄(Fe)は、植物に必要な微量要素であり、特殊肥料として含鉄物が使われている。しかしながら、酸性の土壌において、Feは、植物に鉄過剰症を発生させる可能性があるため、植物に有害になり得る元素でもある。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、CaOを20質量%以上29質量%以下で含有し、かつ、MgOを8質量%以上10質量%以下で含有することから、アルカリ性を示す。そのため、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグが所定量のFeを含有する場合には、酸性土壌での鉄過剰症の心配がある土壌であっても、微量要素としてのFeを植物に供給することが可能である。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを含む肥料の特徴として、製鋼スラグを用いることにより比重が大きいために、雨水で流亡せず、残留して長期間肥料効果のある各元素を溶出可能であるという特徴がある。Feは、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを含む肥料の比重を高めるためにも、重要な元素であるため、含有されることが好ましい。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、全鉄の含有量が17質量%未満となる場合には比重が小さくなり、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを含む肥料が雨水で流亡する可能性が高くなる。一方、全鉄の含有量が26質量%以上となると、酸性土壌において植物に鉄過剰症を発生させる可能性が高まるため、好ましくない。従って、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、質量%で、全鉄:17質量%以上26質量%未満含有することが好ましい。全鉄の含有量は、より好ましくは19質量%以上24質量%以下である。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグがFeを含有する場合、かかる肥料原料用製鋼スラグをX線回折装置により分析すると、CaFeSiO及びCa(Mg0.88Fe0.12)(SiO)の結晶に帰属されるピークが観測される。なお、全鉄の含有量は、例えば、蛍光X線分析法で測定可能である。
<硫黄について>
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、硫黄を、0.001質量%以上0.010質量%未満含有していてもよい。ここで、製鋼スラグに含まれる硫黄(S)含有量が多い場合には、硫化水素を含んだ黄水の発生等が問題になる。しかしながら、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、硫黄を含有する場合であっても、通常製鉄所で製造される製鋼スラグと比べて硫黄含有量が0.001%以上0.010%未満と極めて低いため、黄水の発生等を危惧することなく使用可能である。なお、硫黄の含有量は、例えば、アルカリ融解とICP発光分析法により測定可能である。
<ホウ素について>
ホウ素(B)は、植物に必要な微量要素であり、ホウ素が欠乏すると、植物にホウ素欠乏症が起きることが知られている。ホウ素は、植物の細胞壁の合成に必要な元素である。そのため、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、ホウ素を含有していてもよい。
一方、土壌のホウ素含有量が5mg/kgを超える場合、植物にホウ素過剰症が起こる可能性があることが知られている。5mg/kgというホウ素含有量は、非常に低い値である。市販されているホウ素を含有する肥料として、例えば、ホウ酸塩肥料(く溶性ホウ素35%以上)、熔成ホウ素肥料(く溶性ホウ素24%程度)、熔成微量要素複合肥料(FTE)(く溶性ホウ素5~9%)があるが、いずれも多量のホウ素を含むため、これら肥料の過剰な使用によってホウ素過剰症が起こることが懸念される。これら市販の肥料を土壌に施用して土壌のホウ素含有量を5mg/kg以下にすることは、容易ではない。
例えば、ホウ素含有量5%の肥料を土壌1kgに施用する場合、土壌にホウ素が含有されていなかったとして、土壌のホウ素含有量を5mg/kg以下とするには、100mg以下という少量の肥料を均一になるように土壌と混合して施用する必要がある。そのため、一般的な施用量では、ホウ素が過剰に施用される懸念が大きい。これら多量のホウ素を含む肥料を少量用いて均一に施用するためには、水に溶解あるいは分散させて施用することも考えられるが、従来の肥料では雨水等により、流亡しやすいことが考えられる。従って、土壌にホウ素を最適に供給するためには、ホウ素の含有量が低く、かつ、流亡しないタイプの肥料が好ましいと考えられる。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグがホウ素を含有する場合に、ホウ素の含有量が0.005質量%(=50mg/kg)未満である場合、土壌に対して本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを含む肥料を施用しても、ホウ素の供給量が少ないため、植物に対するホウ素の肥料効果を発揮できない可能性がある。一方、ホウ素の含有量が0.05質量%以上となるような製鋼スラグは、通常の製鉄プロセスにおいては得られず、ホウ素含有量を高めるために敢えてホウ砂などのホウ素源を追加添加することは、コスト増要因になるため好ましくない。また、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、含有ホウ素中のく溶性ホウ素の割合が従来のホウ素系肥料に比べて非常に高いため、ホウ素含有量が0.05質量%未満であっても、従来のホウ素系肥料と同程度のホウ素供給能がある。従って、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、ホウ素の含有量は、0.005質量%以上0.050質量%未満とすることが好ましい。
上記のように、植物は、根から有機酸を分泌することが知られており、2%クエン酸水溶液に溶出するホウ素であるく溶性ホウ素を、植物が利用可能なホウ素とみなすことが、一つの指標となる。本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、製鋼スラグに含まれるホウ素のうちく溶性ホウ素が85質量%以上であることが好ましい。スラグに含まれるホウ素中のく溶性ホウ素の質量割合の上限値は、特に規定するものではなく、高ければ高いほど良い。スラグに含まれるホウ素中のく溶性ホウ素の質量割合は、より好ましくは90質量%以上である。
以上のように、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、質量%で、ホウ素を0.005%以上0.05%未満含有することが好ましく、ホウ素中のく溶性ホウ素の割合は、85%以上であることが好ましい。
なお、ホウ素の含有量は、例えば、ICP発光分析法により測定可能である。また、く溶性ホウ素の含有量は、2%クエン酸水溶液を用いた溶出とアゾメチンH法等といった、公知の肥料等試験法を用いることで、測定可能である。測定したホウ素の含有量及びく溶性ホウ素の含有量を用いて、ホウ素中におけるく溶性ホウ素の質量割合を算出することができる。
<Alについて>
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、Alを含有してもよく、その含有量は、Al換算で、0.5%以上4.0%以下である。なお、肥料や製鋼スラグにおいては、Alの含有量を表記する際には、酸化物のAlに換算して含有量が表記されるため、以下、AlとしてAlの含有量を表わす。
Alは、酸性土壌中でアルミニウムイオンAl3+となり、リン酸イオンPO 3-と結合してしまうため、植物の根がPを吸収するのを抑制する作用がある。従って、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおけるAlの含有量は、なるべく低いことが好ましい。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグのAlの含有量が4.0質量%を超える場合には、上記のような理由により、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを含む肥料からのPの溶出を抑制してしまう。一方、高炉溶銑に対して脱リン処理を施す場合、スラグ中にはAlが不可避的に混入してしまうため、Alの含有量を0.5質量%以下とすることは困難となることが多い。
以上のことから、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、Alの含有量は、0.5質量%以上4.0質量%以下とすることが好ましい。Alの含有量は、より好ましくは0.5質量%以上3.0質量%以下である。なお、Alの含有量は、例えば、蛍光X線分析法により測定可能である。
<粒径について>
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを、粉砕等により適切な粒径に調整することで、肥料の原料として好適に用いることが可能である。かかる肥料原料用製鋼スラグの粉砕には、例えば、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、ロールミル、ローラーミルなどの公知の手段を用いることができる。
上記のような粉砕方法により、肥料原料用製鋼スラグは、粒径5mm未満となることが好ましく、粒径600μm未満となることが更に好ましい。なお、これらの粒径は、JIS Z8801に規定された篩を用いた、篩分け法による粒径である。
肥料原料用製鋼スラグの粒径が5mm以上となる場合には、肥料原料用製鋼スラグの比表面積が小さくなりすぎて、各肥料効果元素の溶出効率が低くなる可能性がある。また、肥料原料用製鋼スラグの粒径が600μm未満となることで、肥料原料用製鋼スラグの比表面積がより大きなものとなり、各肥料効果元素の溶出効率をより高めることが可能となる。
また、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグにおいて、粒径が600μm未満となるものの質量割合は、全質量に対して60%以上となることが好ましい。粒径が600μm未満となるものの質量割合が60%以上となることで、各肥料効果元素の溶出効率をより一層高めることが可能となる。粒径が600μm未満となるものの質量割合は、より好ましくは、80%以上である。
以上、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグについて、詳細に説明した。
(肥料原料用製鋼スラグを含む肥料について)
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを、粒径5mm未満に粉砕することで、製鋼スラグを原料とする肥料を製造することが可能である。かかる肥料は、また、土壌改良資材としても捉えることができる。なお、かかる肥料において、肥料原料用製鋼スラグの粒径は、600μm未満となることが好ましく、粒径が600μm未満となるものの質量割合は、全質量に対して60%以上となることが好ましい。
(肥料原料用製鋼スラグとカリウムを含む化合物とを含有する肥料について)
上記のように、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグは、カリウムをほとんど含まない。そこで、上記肥料原料用製鋼スラグに対して、カリウムを含む化合物を加えることにより、土壌の塩基バランスに重要な、石灰、苦土、加里を含む肥料を作製することができる。かかる肥料は、また、土壌改良資材としても捉えることができる。なお、肥料においてカリウムの含有量を表記する際には、酸化物のKOに換算して含有量が表記されるため、以下においても、KO換算値としてカリウムの含有量を表わす。
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグとカリウムを含む化合物とを含有する肥料において、CaO、MgO、KOについて、KOに対するCaOの当量比が4以上9以下となり、KOに対するMgOの当量比が2以上3以下となるように、肥料原料用製鋼スラグに対し、カリウムを含む化合物を加えることで、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグと、カリウムを含む化合物とからなる肥料を作製することが可能である。
Oに対するCaOの当量比が4未満あるいは9を超える場合、あるいは、KOに対するMgOの当量比が2未満あるいは3を超える場合には、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグとカリウムを含む化合物からなる肥料の塩基バランスが、土壌の塩基バランスの目標値である当量比(石灰:苦土:加里)=5:2:1から逸脱するため、かかる肥料を大量に施用する場合、土壌の塩基バランスを崩すことが懸念される。
従って、CaO、MgO、KOについて、KOに対するCaOの当量比が4以上9以下となり、かつ、KOに対するMgOの当量比が2以上3以下となるように、肥料原料用製鋼スラグに対し、カリウムを含む化合物を加えることで、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグとカリウムを含む化合物からなる肥料を作製することが可能である。
なお、肥料原料用製鋼スラグにおける肥料効果元素の溶出は、比表面積が大きいほど高いため、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグとカリウムを含む化合物からなる肥料を作製する際、肥料原料用製鋼スラグの粒径は、5mm未満とする。肥料原料用製鋼スラグの粒径は、より好ましくは600μm未満である。
なお、上記のカリウムを含む化合物として、例えば、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素一カリウム、又は、ケイ酸カリウムの少なくとも何れかを使用することができる。
以上、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを少なくとも含む肥料について、説明した。
(施肥方法について)
本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを用いて肥料を作製することで、土壌の塩基バランスに問題を生じることなく、pH改良目的などで、大量に肥料を施肥することが可能である。
すなわち、施肥後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比(CaO:MgO:KO)が、(4以上9以下):(2以上3以下):1となるように、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグとカリウムを含む化合物からなる肥料を土壌に施用するか、又は、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグからなる肥料と、カリウムを含む化合物からなる肥料とを別々に、土壌に施用すればよい。
土壌に施用する際に用いる、カリウムを含む化合物からなる肥料として、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素一カリウム、又は、ケイ酸カリウムの少なくとも何れかからなる肥料を使用することができる。
この際、施用しようとする土壌の作土(地表から深さ15cm)に含まれる石灰、苦土、加里の当量をあらかじめ調査しておいて、施肥量を決定することが重要である。
本実施形態に係る肥料を適用する元土壌についてであるが、元土壌に含まれる苦土に対する石灰の当量比が1以上5以下である土壌に適用することが好ましい。土壌に含まれる苦土に対する石灰の当量比が1未満である場合、施用後の土壌に含まれる苦土に対する石灰の当量比を1.67以上4.50以下(石灰、苦土の当量比が(4以上9以下):(2以上3以下)より計算される最小値と最大値の間の範囲)とするためには、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを、より一層大量に施用しなければならなくなる可能性がある。一方、元土壌に含まれる苦土に対する石灰の当量比が5を超える場合には、本実施形態に係る肥料原料用製鋼スラグを施用しても、施用後の土壌に含まれる苦土に対する石灰の当量比を1.67以上4.50以下(石灰、苦土の当量比が(4以上9以下):(2以上3以下)より計算される最小値と最大値の間の範囲)に近づけることができない可能性があるからである。
本実施形態に係る施肥方法では、上記のような本実施形態に係る肥料を、播種あるいは苗植え前に、作土層表面に撒くか、又は、当該作土層と混合してもよい。また、上記のような本実施形態に係る肥料を、栽培する植物体の近傍の作土層表面に撒くか、又は、当該作土層中に混合してもよい。
上記のような本実施形態に係る肥料の対象作物としては、例えば、イネ科植物、カヤツリグサ科植物、ウリ科植物、マメ科植物、ヒガンバナ科植物、ユリ科植物、ナス科植物、アブラナ科植物、バラ科植物、バショウ科植物、ヤシ科植物、ブドウ科植物、サトイモ科植物、ラン科植物、ヒルガオ科植物、キク科植物、ゴマ科植物、シソ科植物、ケシ科植物、ミカン科植物、セリ科植物、コショウ科植物、アカネ科植物、イラクサ科の何れかに属する植物等を挙げることができる。また、上記以外の植物に対しても適用可能であることは、言うまでもない。
<土壌への施肥量の決定方法の一例>
一例として、以下に示す実施例1を用いて、土壌への施肥量の決定方法について、具体的に説明する。
以下の表3に示したように、元の土壌のCaO、MgO含有量は、それぞれ0.7%、0.2%である。この場合に、元の土壌の苦土に対する石灰の当量比は、(0.7/28)/(0.2/20)=2.50となる。
以下に示した実施例1における試験用土壌は、表3の元の土壌に対し、リン酸二水素アンモニウム、塩化カリウムを少量加えただけであるため、試験用土壌の苦土に対する石灰の当量比も、2.5である。
以下の実施例1において、試験には、1/5000aワグネルポットが用いられている。製鋼スラグ208gを、1/5000aワグネルポットに施用することは、1haの土壌当たり、104トンの製鋼スラグを施用することを意味する。
表1に組成を示した製鋼スラグと試験用土壌とを混合した後のCaO、MgO、KOの含有量と、その当量比を計算したものを、以下の表4に示している。
例えば、製鋼スラグAのCaO、MgOの含有量は、表1より、28%、8.6%であり、KOは、表1に記載がないが0%である。
元土壌のCaO、MgO、KOの含有量は、表3より、0.7%、0.2%、0.93%である。試験用土壌では、2500gの土壌に塩化カリウムを0.24g加えているため、KO含有量の増加分は、0.24×(94/74.5)/2500=0.0005=0.05%である(カリウム原子量39、塩化カリウム分子量74.5、KO分子量94)。従って、試験用土壌のCaO、MgO、KOの含有量は、0.7%、0.2%、0.98%である。
製鋼スラグA 208gと、試験用土壌 2500gとを混合すると、混合した土壌のCaO、MgO、KOの含有量は、それぞれ、以下のようになる。
CaOの含有量
(28×208+0.7×2500)/2708=2.8%
MgOの含有量
(8.6×208+0.2×2500)/2708=0.8%
Oの含有量
(0.98×2500)/2708=0.9%
石灰(CaO)、苦土(MgO)、加里(KO)の含有量から当量比が計算できるので、以下の表4、表5、表6に示したように、製鋼スラグAを混合した後の土壌の塩基バランスを求めることが可能となる。
以上、本実施形態に係る施肥方法について、説明した。
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明に係る肥料原料用製鋼スラグと、かかる製鋼スラグを用いた肥料及び施肥方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は一例にすぎず、本発明が以下に示した例に限定されるものではない。
(実施例1)
転炉での脱リン処理により、本発明の肥料原料用製鋼スラグである製鋼スラグAを得た。製鋼スラグAの組成を表1に示した。
なお、表1において、各項目の単位は、質量%であり、可溶性P、く溶性MnO及びく溶性ホウ素の値は、含有量換算したものである。また、表1において、アルカリ分とは、その肥料が土壌の酸性を中和することができる能力を表すものであり、肥料等試験法(2016)に記載のエチレンジアミン四酢酸塩法により測定した値を示している。
表1より、製鋼スラグAのCaO、MgO、アルカリ分の含有量は、それぞれ28質量%、8.6質量%、38質量%であり、本発明の肥料原料用製鋼スラグの条件である、CaO:20質量%以上29質量%以下、MgO:8質量%以上10質量%以下、アルカリ分:31質量%以上45質量%以下を満足している。また、CaOのMgOに対する当量比は、2.33であり、本発明の肥料原料用製鋼スラグの条件である、CaOのMgOに対する当量比である2以上3以下を満足しており、土壌でのMgOに対するCaOの当量比の目標値である2.5に近い値となっている。
また、表1より、製鋼スラグAのSiO、P、MnO、全鉄、硫黄、ホウ素、Alの含有量は、それぞれ21質量%、3.7質量%、4.5質量%、21質量%、0.005質量%、0.01質量%、2.8質量%であり、本発明のより好ましい肥料原料用製鋼スラグの条件である、SiO:19質量%以上28質量%以下、P:3.5質量%以上5.0質量%以下、MnO:3.5質量%以上6.0質量%以下、全鉄:17質量%以上26質量%未満、硫黄:0.001質量%以上0.010質量%未満、ホウ素:0.005質量%以上0.050質量%未満、Al:0.5質量%以上4.0%質量以下を満足している。
表1より、製鋼スラグAに含有されるPのうち可溶性Pの割合が60%であり、含有されるMnOのうちく溶性MnOの割合が80%であり、含有されるホウ素のうちく溶性ホウ素の割合が100%であり、本発明のより好ましい肥料原料用製鋼スラグの条件である、含有されるP中の可溶性Pの割合が50%以上、含有されるMnO中のく溶性MnOの割合が80%以上、含有されるホウ素中のく溶性ホウ素の割合が85%以上をいずれも満足した。
表1より、製鋼スラグAに含まれるCaO、MgO、SiO、P、MnO、全鉄、硫黄、ホウ素、及び、Alの合計含有量は、89.615質量%であり、残部は、不純物であった。
一方、比較のため、本発明の肥料原料用製鋼スラグの条件を満足しない製鋼スラグである、製鋼スラグB、製鋼スラグC、製鋼スラグD、製鋼スラグE、製鋼スラグF、製鋼スラグGについても、対照として用意した。これらの組成も、以下の表1にあわせて示した。
Figure 0007485913000001
表1から計算される、CaOのMgOに対する当量比の値を、以下の表2にまとめて示した。
Figure 0007485913000002
表2より、本発明の肥料原料用製鋼スラグの条件である、CaOのMgOに対する当量比が2以上3以下を満足するのは、製鋼スラグAのみであることがわかる。
各製鋼スラグをジョークラッシャー及びボールミルを用いて粉砕し、JIS Z8801に規定された篩を用いて分級して、粒径5mm未満、かつ、粒径600μm未満のものの質量割合が60%以上になるようにした。
以下の表3に分析結果を示した土壌において、表1に組成を示し、表2にCaOのMgOに対する当量比を示した製鋼スラグA~Gの肥料効果を調べるため、コマツナの栽培試験を行った。なお、以下の表3に分析結果を示した土壌に含まれるCaOのMgOに対する当量比は、2.50である。
Figure 0007485913000003
表3に組成を示した土壌を2500g(乾燥重量)ずつ計り取り、窒素、リン、加里の供給のため、リン酸二水素アンモニウム0.24g、塩化カリウム0.24gと混合した土壌を、試験用土壌として用意した。
この試験用土壌に、前記のように粒径5mm未満、かつ、粒径600μm未満のものの質量割合が60%以上になるようにした製鋼スラグA~Gのそれぞれ208gと、試験用土壌2500g(乾燥重量)と、を混合し、1/5000aワグネルポットに充填した。
また、対照として、試験用土壌2500g(乾燥重量)をそのまま1/5000aワグネルポットに充填したものも用意した。
施用した製鋼スラグと混合した後の土壌のCaO、MgOの含有量と、CaOのMgOに対する当量比とを計算して、以下の表4に示した。同様に、施用した製鋼スラグと混合した後の土壌のCaO、KOの含有量と、CaOのKOに対する当量比とを計算して、以下の表5に示すとともに、施用した製鋼スラグと混合した後の土壌のMgO、KOの含有量と、MgOのKOに対する当量比とを計算して、以下の表6に示した。
Figure 0007485913000004
Figure 0007485913000005
Figure 0007485913000006
上記の表4~表6より、本発明に係る肥料原料用製鋼スラグである製鋼スラグAを施用した土壌において、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、5.19:2.20:1であり、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比が(4以上9以下):(2以上3以下):1という本発明の肥料の施用条件を満足している。
一方、製鋼スラグB~Gを施用した土壌においては、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、それぞれ、6.04:3.27:1、5.76:4.27:1、7.61:1.68:1、7.47:1.42:1、7.18:1.30:1、6.04:1.78:1であり、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比が(4以上9以下):(2以上3以下):1という本発明の肥料の施用条件を満足していない。
上記のような8種類(製鋼スラグを施用した7種類+対照)の土壌を入れた各ポットに対し、コマツナ種子を1ポットあたり12粒ずつまき、栽培し、7日後に12本から6本、14日後に6本から3本に間引きして、40日後にコマツナの地上部を収穫した。表7にポットあたりのコマツナの地上部の乾物重量を示した。
Figure 0007485913000007
上記表7に示したように、本発明に係る肥料原料用製鋼スラグである製鋼スラグAを施用した場合、製鋼スラグB~Gを施用した場合と比較して、コマツナの生育がよく、地上部の乾物重量は最も高い値となった。
また、元の土壌pH(HO)が5.1と酸性土壌であったため、製鋼スラグ無施用の場合、コマツナの生育が悪く、地上部乾燥重量は製鋼スラグAからGを加えた場合と比較して最も低い値となった。
以上より、本発明に係る肥料原料用製鋼スラグを施肥することによって、高い肥料効果が得られることがわかった。
(実施例2)
実施例1で作製した、粒径5mm未満、かつ、粒径600μm未満のものの質量割合が60%以上である製鋼スラグAと、粒径600μm未満の塩化カリウムの粉末とを、質量比6.25:1で混合し、CaO、MgO、KOの当量比が4.66:2:1となる、製鋼スラグAと塩化カリウムからなる肥料を作製した。
表8に組成を示した土壌を2500g(乾燥重量)ずつ計り取り、リン酸二水素アンモニウム0.24gと混合した土壌を、試験用土壌として用意した。
Figure 0007485913000008
上記の製鋼スラグAと塩化カリウムからなる肥料23.2gと、試験用土壌2500g(乾燥重量)とを混合し、1/5000aワグネルポットに充填した。また、比較のため、製鋼スラグAと塩化カリウムからなる肥料23.2gに含まれる製鋼スラグAと同量の製鋼スラグAのみ(粒度は同じ)20gを、試験用土壌2500g(乾燥重量)と混合し、1/5000aワグネルポットに充填するとともに、塩化カリウムのみ(粒度は同じ)3.2gを、試験用土壌2500g(乾燥重量)と混合し、1/5000aワグネルポットに充填した。更に、対照として、試験用土壌2500g(乾燥重量)をそのまま1/5000aワグネルポットに充填したものも用意した。
施用後の土壌のCaO、MgOの含有量と、CaOのMgOに対する当量比とを計算して、以下の表9に示した。同様に、施用後の土壌のCaO、KOの含有量と、CaOのKOに対する当量比とを計算して、以下の表10に示すとともに、施用後の土壌のMgO、KOの含有量と、MgOのKOに対する当量比とを計算して、以下の表11に示した。
Figure 0007485913000009
Figure 0007485913000010
Figure 0007485913000011
上記の表9~表11より、本発明の肥料原料用製鋼スラグである製鋼スラグAとカリウム化合物である塩化カリウムからなる肥料を施用した試験用土壌において、施用後の試験用土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、6.34:2.25:1であり、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比が(4以上9以下):(2以上3以下):1という本発明の肥料の施用条件を満足している。
製鋼スラグAのみを施用した試験用土壌においては、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、15.37:5.45:1であり、塩化カリウムのみを施用した試験用土壌においては、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、4.62:1.51:1、本発明の肥料を無施用の試験用土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、11.19:3.66:1であり、それぞれ、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比が(4以上9以下):(2以上3以下):1という本発明の肥料の施用条件を満足していない。
上記の4種類の土壌を入れた各ポットに対し、コマツナ種子を1ポットあたり12粒ずつまき、栽培し、7日後に12本から6本、14日後に6本から3本に間引きして、40日後にコマツナの地上部を収穫した。以下の表12に、ポットあたりのコマツナの地上部の乾物重量を示した。
Figure 0007485913000012
本発明の肥料原料用製鋼スラグである、製鋼スラグAとカリウムの化合物である塩化カリウムからなる肥料を施用した場合、製鋼スラグAのみを施用した場合、塩化カリウムのみを施用した場合のそれぞれについて、いずれも無施用の場合と比較してコマツナの生育がよく、特に製鋼スラグAとカリウムの化合物である塩化カリウムからなる肥料を施用した場合に、地上部の乾物重量が最も高い値を示した。
したがって、本発明の肥料原料用製鋼スラグを、本発明に係る施用方法に従って施肥することによって、高い肥料効果が得られることがわかった。
(実施例3)
表3に組成を示した土壌を2500g(乾燥重量)ずつ計り取り、窒素、リン、加里の供給のため、リン酸二水素アンモニウム0.24g、塩化カリウム0.24gと混合した土壌を、試験用土壌として用意した。
この土壌に、実施例1に記載のように粒径5mm未満、かつ、粒径600μm未満のものの質量割合が60%以上になるようにした製鋼スラグA208gと試験用土壌2500g(乾燥重量)を混合し、1/5000aワグネルポットに充填した。
比較のため、粒径600μm未満の炭酸カルシウム粉末83.2gを試験用土壌2500g(乾燥重量)と混合したもの、粒径5mm未満、かつ、粒径600μm未満のものの質量割合が60%以上になるようにした苦土石灰124.8gを試験用土壌2500g(乾燥重量)と混合したもの、及び、粒径600μm未満の炭酸カルシウム粉末83.2gと粒径5mm未満、かつ、粒径600μm未満のものの質量割合が60%以上になるようにした苦土石灰124.8gの混合物を試験用土壌2500g(乾燥重量)と混合したものを、それぞれ、1/5000aワグネルポットに充填した。この炭酸カルシウム粉末と苦土石灰の混合物の苦土に対する石灰の当量比は、2.67である。
また、対照として、試験用土壌2500g(乾燥重量)をそのまま1/5000aワグネルポットに充填したものも用意した。
肥料混合後の試験用土壌のCaO、MgO含有量と当量比を表13に示し、肥料混合後の試験用土壌のCaO、KO含有量と当量比を表14に示し、肥料混合後の試験用土壌のMgO、KO含有量と当量比を表15に示した。
Figure 0007485913000013
Figure 0007485913000014
Figure 0007485913000015
上記の表13~表15より、本発明の肥料原料用製鋼スラグである製鋼スラグAを施用した試験用土壌において、施用後の試験用土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は5.47:2.36:1であり、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比が(4以上9以下):(2以上3以下):1という本発明の肥料の施用条件を満足している。
また、炭酸カルシウムと苦土石灰を施用した試験用土壌においても、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、7.61:2.28:1であり、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比が(4以上9以下):(2以上3以下):1という施用条件を満足している。
炭酸カルシウムのみを施用した試験用土壌においては、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、4.63:0.51:1であり、苦土石灰のみを施用した試験用土壌においては、施用後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比は、4.25:3.25:1であり、(4以上9以下):(2以上3以下):1という本発明の肥料の施用条件を満足していない。
上記の5種類の土壌を入れた各ポットに対し、コマツナ種子を1ポットあたり12粒ずつまき、栽培し、7日後に12本から6本、14日後に6本から3本に間引きして、40日後にコマツナの地上部を収穫した。以下の表16に、ポットあたりのコマツナの地上部の乾物重量を示した。
Figure 0007485913000016
コマツナの地上部の乾物重量が大きい値であった順に、本発明の肥料原料用製鋼スラグである製鋼スラグAを施用>炭酸カルシウムと苦土石灰の混合物を施用>苦土石灰のみ施用>炭酸カルシウムのみ施用>無施用の順になった。
元の土壌pH(HO)が5.1と酸性土壌であったため、製鋼スラグ無施用の場合、コマツナの生育が悪く、アルカリ性資材である製鋼スラグA、炭酸カルシウム、苦土石灰を施用した場合と比較して、コマツナの地上部の乾物重量は最も低い値となった。
従って、本発明の肥料原料用製鋼スラグを、本発明に係る施用方法に従って施肥することによって、炭酸カルシウムや苦土石灰、又は、その混合物と比較して、高い肥料効果が得られることがわかった。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

Claims (3)

  1. 料原料用製鋼スラグと、カリウムを含む化合物と、を含有する肥料であって、
    前記肥料原料用製鋼スラグは、
    質量%で、
    CaO:20%以上29%以下、
    MgO:8%以上10%以下、
    を含有し、更に、
    SiO :19%以上28%以下、
    :3.5%以上5.0%以下、
    MnO:3.5%以上6.0%以下、
    全鉄:17%以上26%未満、
    硫黄:0.001%以上0.010%未満、
    ホウ素:0.005%以上0.050%未満、
    Al :0.5%以上4.0%以下、
    の少なくとも何れかを、前記CaO及び前記MgOとの合計含有量が100質量%以下となるように含有し、
    アルカリ分が、31%以上45%以下となり、かつ、
    CaOのMgOに対する当量比が、2以上3以下であり、
    前記P 中の可溶性P の割合が、50%以上であり、
    前記MnO中のく溶性MnOの割合が、80%以上であり、
    前記ホウ素中のく溶性ホウ素の割合が、85%以上であり
    前記肥料原料用製鋼スラグの粒径が5mm未満であり、
    前記肥料原料用製鋼スラグと、前記カリウムを含む化合物と、に含まれるCaO、MgO、KOの合計量について、KOの合計量に対するCaOの合計量の当量比が、4以上9以下であり、かつ、KOの合計量に対するMgOの合計量の当量比が、2以上3以下である、肥料。
  2. 前記カリウムを含む化合物は、塩化カリウム、硫酸カリウム、リン酸二水素一カリウム、又は、ケイ酸カリウムの少なくとも何れかである、請求項に記載の肥料。
  3. 請求項1又は2に記載の肥料の施肥方法であって、
    施肥後の土壌に含まれるCaO、MgO、KOの当量比(CaO:MgO:KO)が、(4以上9以下):(2以上3以下):1となるように施用する、肥料の施肥方法。
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