JP2018117547A - 被覆種子、被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 - Google Patents
被覆種子、被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018117547A JP2018117547A JP2017010284A JP2017010284A JP2018117547A JP 2018117547 A JP2018117547 A JP 2018117547A JP 2017010284 A JP2017010284 A JP 2017010284A JP 2017010284 A JP2017010284 A JP 2017010284A JP 2018117547 A JP2018117547 A JP 2018117547A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- seeds
- seed
- coated
- slag
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Pretreatment Of Seeds And Plants (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明に係る被覆種子は、所定の種子の表面に位置しており、製鋼スラグ、高炉スラグ、及び石炭灰からなる群より選択される少なくとも1種を含有する被覆層と、前記被覆層の表面に位置しており、除菌剤、除虫剤、又は、除草剤の少なくとも何れかの薬剤を含有する薬剤層と、を備える。
【選択図】なし
Description
上記知見に基づき完成された本発明の要旨は、以下の通りである。
(2)前記被覆層の気孔率は、17〜50%である、(1)に記載の被覆種子。
(3)前記製鋼スラグは、25質量%以上50質量%以下のCaOと、8質量%以上30質量%以下のSiO2と、1質量%以上20質量%以下のMgOと、1質量%以上25質量%以下のAl2O3と、1質量%以上8質量%以下のMnと、0.1質量%以上5質量%以下のP2O5と、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有する、(1)又は(2)に記載の被覆種子。
(4)前記製鋼スラグは、脱リンスラグもしくは脱炭スラグの少なくとも何れか一方である転炉製鋼スラグ、又は、電気炉製鋼スラグである、(1)〜(3)の何れか1つに記載の被覆種子。
(5)前記高炉スラグは、35質量%以上45質量%以下のCaOと、25質量%以上40質量%以下のSiO2と、2質量%以上15質量%以下のMgOと、8質量%以上20質量%以下のAl2O3と、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有する、(1)〜(4)の何れか1つに記載の被覆種子。
(6)前記石炭灰は、1質量%以上10質量%以下のCaOと、40質量%以上75質量%以下のSiO2と、2質量%以上20質量%以下のFe2O3と、15質量%以上35質量%以下のAl2O3と、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有する、(1)〜(5)の何れか1つに記載の被覆種子。
(7)前記製鋼スラグは、孔径600μmの篩を通過する製鋼スラグである、(1)〜(6)の何れか1つに記載の被覆種子。
(8)前記高炉スラグは、孔径600μmの篩を通過する高炉スラグである、(1)〜(7)の何れか1つに記載の被覆種子。
(9)前記高炉スラグは、孔径75μmの篩を通過する高炉スラグである、(1)〜(8)の何れか1つに記載の被覆種子。
(10)前記石炭灰は、孔径75μmの篩を通過する石炭灰である、(1)〜(9)の何れか1つに記載の被覆種子。
(11)前記被覆層における前記石炭灰の含有量は、前記被覆層の全体の質量に対して、0質量%超20量%以下である、(1)〜(10)の何れか1つに記載の被覆種子。
(12)前記薬剤の含有量は、前記種子の被覆前の乾燥質量に対して、0.01質量%〜1質量%である、(1)〜(11)の何れか1つに記載の被覆種子。
(13)前記除菌剤は、ジチオカルバメート系除菌剤、イソチアニル、フラメトピル、エタボキサム、2−[(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル]−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド、ベノミル、オキソリニック酸、プロベナゾール、チアジニル、ピロキロン及びジクロシメットからなる群より選択される1つ以上である、(1)〜(12)の何れか1つに記載の被覆種子。
(14)前記除虫剤は、有機リン系除虫剤、クロチアニジン、ニテンピラム、ベンスルタップ、チアメトキサム、ジノテフラン、ピメトロジン、スルホキサフロル、ベンフラカルブ、カルボスルファン及びカルタップ塩酸塩からなる群より選択される1つ以上である、(1)〜(13)の何れか1つに記載の被覆種子。
(15)前記除草剤は、パラコート系除草剤である、(1)〜(14)の何れか1つに記載の被覆種子。
(16)前記被覆層は、石膏、鉄粉、セメント、及び、廃糖蜜からなる群より選択される少なくとも1種を更に含む、(1)〜(15)の何れか1つに記載の被覆種子。
(17)前記薬剤層の表面に、有機体、セラミックス、シリカ、及び、ゼオライトからなる群より選択される少なくとも何れかを素材とする薬剤被覆層を有する、(1)〜(16)の何れか1つに記載の被覆種子。
(18)前記種子は、湛水された状態で栽培される植物の種子、又は、湛水しない状態で栽培される植物の種子である、(1)〜(17)の何れか1つに記載の被覆種子。
(19)前記湛水された状態で栽培される植物の種子は、イネ科植物の種子である、(18)に記載の被覆種子。
(20)前記イネ科植物の種子は、水稲種子である、(19)に記載の被覆種子。
(21)前記湛水しない状態で栽培される植物の種子は、イネ科植物、マメ科植物、タデ科植物、食用草本植物、又は、有用植物の種子である、(18)に記載の被覆種子。
(22)前記イネ科植物の種子は、陸稲種子、トウモロコシ種子、又は、麦種子であり、前記マメ科植物の種子は、ダイズ種子、又は、アズキ種子であり、前記タデ科植物の種子は、ソバ種子であり、前記食用草本植物の種子は、ニンジン種子、トマト種子、又は、甜菜種子であり、前記有用植物の種子は、芝種子、牧草種子、緑肥用植物種子、又は、花木種子である、(21)に記載の被覆種子。
(23)前記被覆層、前記薬剤層、又は、当該薬剤層の表面に位置する薬剤被覆層の少なくとも何れかは、更に、アルギン酸化合物を含有する、(1)〜(22)の何れか1つに記載の被覆種子。
(24)前記種子は、でんぷんで被覆された種子である、(1)〜(23)の何れか1つに記載の被覆種子。
(25)製鋼スラグ、高炉スラグ、及び石炭灰からなる群より選択される少なくとも1種と、水と、を混合して得られる混合物により、所定の種子を被覆するステップと、前記混合物で被覆された前記種子を、除菌剤、除虫剤、又は、除草剤の少なくとも何れかを含有する薬剤で処理するステップと、を含む、被覆種子の製造方法。
(26)前記混合物における前記水の割合は、前記混合物の全体質量に対して、10質量%以上80質量%以下である、(25)に記載の被覆種子の製造方法。
(27)前記混合物は、石膏、鉄粉、及び、セメントからなる群より選択される少なくとも1種を更に含む、(25)又は(26)に記載の被覆種子の製造方法。
(28)前記水は、廃糖蜜を10質量%以上50質量%以下含有する水である、(25)〜(27)の何れか1つに記載の被覆種子の製造方法。
(29)(1)〜(24)の何れか1つに記載の被覆種子を、前記種子を栽培するための栽培地に対して直播する、被覆種子の播種方法。
まず、本発明の実施形態に係る被覆種子について、詳細に説明する。
本実施形態に係る被覆種子は、所定の種子の表面に位置しており、製鋼スラグ、高炉スラグ、及び石炭灰からなる群より選択される少なくとも1種を含有する被覆層と、被覆層の表面に位置しており、除菌剤、除虫剤、又は、除草剤の少なくとも何れかの薬剤を含有する薬剤層と、を備える。
以下では、まず、本実施形態に係る被覆種子に用いられる種子について、簡単に説明する。
本実施形態に係る被覆種子に用いられる種子としては、湛水された状態で栽培される植物の種子、又は、湛水しない状態で栽培される植物の種子を用いることが可能である。ここで、「湛水された状態で栽培される種子」とは、土壌の表面が水中に没した状態で栽培される種子を意味し、「湛水しない状態で栽培される種子」とは、湛水されて土壌の表面が水中に没することがない状態で栽培される種子を意味する。
続いて、以上説明したような種子の表面に形成される被覆層について、詳細に説明する。
上記のような種子の表面に形成される本実施形態に係る被覆層は、製鋼スラグ、高炉スラグ、及び石炭灰からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。以下、かかる被覆層に含有されうる製鋼スラグ、高炉スラグ及び石炭灰について、詳細に説明する。
鉄鋼製造プロセスで副生する製鋼スラグは、その成分が分析及び管理されており、Ca、Si、Mg、Mn、Fe、Pなどの様々な肥料有効元素を含んでいるため、従来、肥料原料として用いられている。我が国では、製鋼スラグを原料とする肥料として、肥料取締り法により定められた、鉱さいケイ酸質肥料、鉱さいリン酸肥料、副産石灰肥料、特殊肥料(含鉄物)の各規格に属する肥料がある。また、我が国だけで年間1000万トン程度の製鋼スラグが生成されるため、製鋼スラグは安価に入手可能であって、資材コストを抑制することができる。そのため、かかる製鋼スラグを用いて水稲種子を被覆することが行われている。本実施形態に係る被覆種子においても、上記のような各種の種子の表面を被覆する被覆層の主成分として、製鋼スラグを用いることができる。
本実施形態に係る被覆層の主成分として用いられる製鋼スラグは、25質量%以上50質量%以下のCaO、8質量%以上30質量%以下のSiO2、1質量%以上20質量%以下のMgO、1質量%以上25質量%以下のAl2O3、1質量%以上8質量%以下のMn、及び、0.1質量%以上5質量%以下のP2O5からなる群から選択される少なくとも1種を更に含有していてもよい。
まず、Caについて説明する。
製鋼スラグは、水に接すると、Caと後述するSiやAlとが溶出して化学結合することにより、水硬性を示す。本発明は、この水硬性を利用して、製鋼スラグを各種種子に付着及び固結させて、各種種子を被覆するものである。従って、本発明において、Caは、重要な元素である。また、Caは、植物に必須な肥料元素でもある。肥料や製鋼スラグでCaの含有量を表記する際には、酸化物のCaOに換算して含有量が表記されるため、以下、CaOとしてCaの含有量を表わす。
続いて、Siについて説明する。
Siは、CaやAlと共に、製鋼スラグの水硬性に寄与する元素である。従って、本発明において、Siも重要な元素である。また、Siは、植物の必須要素ではないものの、特に陸稲等の稲種子にとって、非常に重要な肥料効果元素である。稲の植物体の乾燥重量の約5%をケイ酸(SiO2)が占める。肥料や製鋼スラグでは、Siの含有量を表記する際には、酸化物のSiO2に換算して含有量が表記されるため、以下、SiO2としてSiの含有量を表わす。
一般に、製鋼スラグのMgO含有量は、CaO含有量よりかなり低い値となる。これは、製鋼スラグが溶銑に主に石灰を加えて発生するスラグであることに起因する。製鋼スラグに含まれるMgは、主に転炉の炉壁の耐火レンガから溶出するMgに起因する。Mgは、Ca、Si、Alと共に、製鋼スラグの水硬性に関わる元素である。ただし、製鋼スラグに含まれるCaO含有量とMgO含有量との違いなど、Mgの水硬性への寄与はCaと比較すると小さい。本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる製鋼スラグはCaOを25質量%以上含有することから、水硬性は、製鋼スラグに含有されるCaOにより基本的にはまかなうことができると考えられる。ただし、MgOが更に存在することで、水硬性をより良く発現することが期待できる。肥料や製鋼スラグでは、Mgの含有量を表記する際には、酸化物のMgOに換算して含有量が表記されるため、以下、MgOとしてMgの含有量を表わす。
続いて、Alについて説明する。
Alは、CaやSiと共に、製鋼スラグの水硬性に重要な元素である。肥料や製鋼スラグでは、Alの含有量を表記する際には、酸化物のAl2O3に換算して含有量が表記されるため、以下、Al2O3としてAlの含有量を表わす。
次に、Mnについて説明する。
Mnは、植物に対して肥料効果がある元素である。Mnの含有量が1質量%未満である製鋼スラグ、及び、Mnの含有量が8質量%超過である製鋼スラグは、通常の製鉄プロセスでは生成されず、入手が困難である。本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる製鋼スラグは、大量に安定供給できることが好ましく、通常の製鋼プロセスで生成するものであることが好ましい。したがって、本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる製鋼スラグのMnの含有量は、1質量%以上8質量%以下であることが好ましい。
次に、Pについて説明する。
Pは、植物の必須要素である。肥料や製鋼スラグでは、Pの含有量を表記する際には、酸化物のP2O5に換算して含有量が表記されるため、本実施形態において各種種子の被覆に用いられる製鋼スラグに関しても、P2O5として含有量を表わす。Pは、根の生長点に作用し、根の生長に効果がある元素である。Pが不足すると、根の生長が抑制される。ただし、P2O5の含有量が0.1質量%未満である製鋼スラグ、及び、P2O5の含有量が5質量%超過である製鋼スラグは、通常の製鉄プロセスでは生成されず、入手が困難である。本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる製鋼スラグは、大量に安定供給できることが好ましく、通常の製鋼プロセスで生成するものであることが好ましい。したがって、本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる製鋼スラグのP2O5の含有量は、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる製鋼スラグとしては、上記のような所定の成分を含有する製鋼スラグの他に、高炉及び転炉を用いた製鉄プロセスから副生される転炉製鋼スラグの一種である、脱リンスラグ、又は、脱炭スラグ等を用いることも可能である。脱リンスラグとは、溶銑に含まれるリンを除くために、溶銑に脱リン剤として石灰及び酸化鉄等を加えた上で酸素等のガスを吹き込むことにより副生される、リンを含むスラグであり、製鋼スラグの一種である。また、脱炭スラグは、溶銑に含まれる炭素を除いて鋼とするために、溶銑に酸素を吹き込むことにより副生されるスラグであり、製鋼スラグの一種である。
電気炉製鋼スラグは、高炉及び転炉を用いた製鉄プロセスではなく、電気炉を用いた製鉄プロセスで副生する製鋼スラグである。かかる電気炉製鋼スラグも、製鋼スラグの一種である。一般的な電気炉製鋼スラグは、15質量%以上60質量%以下のCaOと、10質量%以上20質量%以下のSiO2と、2質量%以上10質量%以下のMgOと、3質量%以上20質量%以下のAl2O3と、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有していることが多い。電気炉製鋼スラグであれば、上記の所定量の成分を含有する製鋼スラグとは異なる含有量の成分が存在していたとしても、本実施形態において各種種子を被覆するための製鋼スラグとして利用することが可能である。かかる電気炉製鋼スラグを被覆層に含有させることで、電気炉製鋼スラグが結合材として機能し、被覆層をより確実に固結させることが可能となる。
先だって説明したように、本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる各種製鋼スラグにおける各成分の含有量は、蛍光X線分析法により測定することが可能である。より詳細には、着目する成分について、含有量が既知である標準サンプルを利用して、着目する成分に関係する蛍光X線のピーク強度を予め測定することで、検量線を作成しておく。含有量が未知のサンプルについては、着目する成分に関係する蛍光X線のピーク強度を測定し、予め作成しておいた検量線を用いることで、着目する成分の含有量を特定することができる。
本実施形態では、上記のような製鋼スラグを、粉砕等により所定の粒径に調整したものを、そのままで各種種子の被覆に用いることが可能である。これらの製鋼スラグの粉砕には、例えば、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、ロールミル、ローラーミルなどの公知の手段を用いることができる。
天然物である鉄鉱石、石炭及び石灰石を原料として用いる高炉を利用した鉄鋼製造プロセスでは、スラグと呼ばれる副生成物が発生する。副生するスラグは、高炉における製銑プロセスで副生する高炉スラグと、製鋼プロセスで副生する製鋼スラグと、に大別される。製鋼プロセスで副生する製鋼スラグは、pH11〜12程度の強アルカリ性を示すが、製銑プロセスで副生する高炉スラグは、pH10程度であり、製鋼スラグよりアルカリ性が弱い。また、製鋼スラグ及び高炉スラグは、固まる速度に違いはあるものの、共に固結性を示す物質である。
以上のような特徴を有する高炉スラグは、以下の成分を含有する高炉スラグであることが好ましい。すなわち、本実施形態に係る被覆層の主成分である高炉スラグは、35質量%以上45質量%以下のCaOと、25質量%以上40質量%以下のSiO2と、2質量%以上15質量%以下のMgOと、8質量%以上20質量%以下のAl2O3と、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有する高炉スラグであることが好ましい。
まず、Caについて説明する。
高炉スラグは、水に接すると、Caと後述するSiやAlとが溶出して化学結合することにより、水硬性を示す。本発明は、この水硬性を利用して、高炉スラグを各種種子に付着及び固結させて、各種種子を被覆するものである。従って、本発明において、Caは、重要な元素である。また、Caは、植物に必須な肥料元素でもある。肥料や製鋼スラグにおいてCaの含有量を表記する際には、酸化物のCaOに換算して含有量が表記されるため、高炉スラグについても同様に、以下ではCaOとしてCaの含有量を表わすこととする。
続いて、Siについて説明する。
Siは、CaやAlと共に、高炉スラグの水硬性に寄与する元素である。従って、本発明において、Siも重要な元素である。また、Siは、植物の必須要素ではないものの、特に陸稲等の稲種子にとって、非常に重要な肥料効果元素である。稲の植物体の乾燥重量の約5%をケイ酸(SiO2)が占める。肥料や製鋼スラグでは、Siの含有量を表記する際には、酸化物のSiO2に換算して含有量が表記されるため、高炉スラグについても同様に、以下ではSiO2としてSiの含有量を表わすこととする。
Mgは、Ca、Si、Alと共に、高炉スラグの水硬性に関わる元素である。ただし、高炉スラグに含まれるCaO含有量とMgO含有量との違いなど、Mgの水硬性への寄与はCaと比較すると小さい。本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる高炉スラグはCaOを35質量%以上含有することから、水硬性は、高炉スラグに含有されるCaOにより基本的にはまかなうことができると考えられる。ただし、MgOが更に存在することで、水硬性をより良く発現することが期待できる。肥料や製鋼スラグでは、Mgの含有量を表記する際には、酸化物のMgOに換算して含有量が表記されるため、高炉スラグについても同様に、以下ではMgOとしてMgの含有量を表わすこととする。
続いて、Alについて説明する。
Alは、CaやSiと共に、高炉スラグの水硬性に重要な元素である。肥料や製鋼スラグでは、Alの含有量を表記する際には、酸化物のAl2O3に換算して含有量が表記されるため、高炉スラグについても同様に、以下ではAl2O3としてAlの含有量を表わすこととする。
本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる高炉スラグとしては、上記のような所定の成分を含有する高炉スラグの他に、鉄鋼製造プロセスから副生される高炉スラグの一種である、高炉徐冷スラグ、又は、高炉水砕スラグを用いることも可能である。鉄鋼製造プロセスから副生される高炉スラグには、製造方法の違いに起因して成分は同じであるが化学的性質の異なる、高炉徐冷スラグと高炉水砕スラグとが存在する。これら2種類のスラグは、高炉スラグの一種である。
先だって説明したように、本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる各種高炉スラグにおける各成分の含有量は、蛍光X線分析法により測定することが可能である。より詳細には、着目する成分について、含有量が既知である標準サンプルを利用して、着目する成分に関係する蛍光X線のピーク強度を予め測定することで、検量線を作成しておく。含有量が未知のサンプルについては、着目する成分に関係する蛍光X線のピーク強度を測定し、予め作成しておいた検量線を用いることで、着目する成分の含有量を特定することができる。
本実施形態では、上記のような高炉スラグを、粉砕等により所定の粒径に調整したものを、そのままで各種種子の被覆に用いることが可能である。これらの高炉スラグの粉砕には、例えば、ジョークラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、ロールミル、ローラーミルなどの公知の手段を用いることができる。
石炭灰(フライアッシュ)は、石炭を燃焼させる際に生じる灰の一種であり、SiO2及びAl2O3を主成分とする物質である。一般的な石炭灰は、40質量%〜75質量%のSiO2と、15質量%〜35質量%のAl2O3と、2質量%〜20質量%のFe2O3と、1質量%〜10質量%のCaOと、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有していることが多く、更に、MgO等の他の成分を含有していることもある。かかる構成成分からも明らかなように、石炭灰は、製鋼スラグや高炉スラグと類似した成分を含有しており、固結性を補助する物質である。かかる石炭灰を被覆層に含有させることで、石炭灰が結合材として機能し、被覆層をより確実に固結させることが可能となる。
先だって説明したように、本実施形態において、各種種子の被覆に用いられる石炭灰における各成分の含有量は、蛍光X線分析法により測定することが可能である。より詳細には、着目する成分について、含有量が既知である標準サンプルを利用して、着目する成分に関係する蛍光X線のピーク強度を予め測定することで、検量線を作成しておく。含有量が未知のサンプルについては、着目する成分に関係する蛍光X線のピーク強度を測定し、予め作成しておいた検量線を用いることで、着目する成分の含有量を特定することができる。
◇石膏、セメント、鉄粉、廃糖蜜について
また、本実施形態に係る被覆層には、上記のような製鋼スラグ、高炉スラグ又は石炭灰の少なくとも何れかに加えて、石膏、セメント、鉄粉、及び、廃糖蜜からなる群より選択される少なくとも1種が更に含有されていてもよい。
石膏及びセメントは、固結性を有する物質であり、結合材として機能する。従って、かかる石膏又はセメントの少なくとも何れかを被覆層に含有させることで、被覆層をより確実に固結させることが可能となる。
鉄粉は、比重が大きい物質である。そのため、被覆層に鉄粉を含有させることで、被覆種子の重量を増加させ、種子を流亡しにくくさせることが可能となる。被覆層に含有されうる鉄粉の含有量は、製鋼スラグ及び/又は高炉スラグに由来するFe単体の含有量とあわせて、0質量%超20質量%未満となることが好ましい。
廃糖蜜は、サトウキビ等の搾り汁から砂糖を精製する際に副産される黒褐色の液体であり、糖分を70〜80%程度含むほか、ミネラルやビタミンも含有している。また、廃糖蜜は、副産物であることから安価に入手可能である。廃糖蜜は、特に、植物の細胞生長に必要なカリウムを2%程度含んでいる。カリウムは、植物の根から吸収され、植物細胞の生長に必要な成分である。従って、被覆層に廃糖蜜を含有させることで、被覆層から廃糖蜜由来のカリウムを供給することが可能となり、幼植物の生長を更に促進することも期待できる。また、廃糖蜜は粘着性を有することから、廃糖蜜を被覆層に含有させることで、被覆層の固化と種子への付着の安定性を補強できると共に、廃糖蜜に含まれる成分が発芽後の幼根の生長を、製鋼スラグ及び高炉スラグによる肥料効果に加えて、より促すことが可能となる。
本実施形態に係る被覆層は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム等といった、アルギン酸由来の化合物(アルギン酸化合物)を含有していてもよい。
上記のような各種の製鋼スラグを含有する被覆層の気孔率は、17〜50%とすることが好ましい。かかる被覆層の気孔率は、被覆層に含有される製鋼スラグの粒径を調整することで、所望の値に制御することが可能であり、気孔率の具体的な値は、種子の適正に応じて適宜調整すればよい。酸素供給性や保水性を好適に維持するためには、被覆層の気孔率は、好ましくは20〜40%であり、更に好ましくは20〜30%である。
まず、被覆層を有する種子を各種の樹脂に埋め込み、公知の方法により研磨することで、測定サンプルを準備する。次に、得られた測定サンプルにおける被覆層の断面を、所定の倍率に設定された光学顕微鏡により観察し、視野中の種子被覆物の面積に占める気孔の面積を算出して、気孔率とする。なお、観察は複数の視野(例えば、5視野程度)で実施し、各視野において得られた気孔率の複数視野間での平均値を求め、被覆層の気孔率とする。なお、被覆層と後述する薬剤層とは、粒径の均質性が明確に異なるため、顕微鏡観察により両者を見分けることが可能である。また、両者をより確実に見分けるためには、例えば、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いることも可能である。これにより、被覆層と薬剤層の構成元素を区別することで、被覆層と薬剤層とを見分けることが可能となる。
本実施形態に係る被覆種子で着目する有機物である、除菌剤、除虫剤、除草剤等の薬剤(農薬)の多くは、強アルカリ性で分解してしまうことが知られている。そのため、本実施形態に係る被覆種子が有する薬剤層において、除菌剤、除虫剤、除草剤等の薬剤を担持する際には、強アルカリ性に薬剤成分が曝されないようにすることが重要である。ここで、被覆層の主成分として用いられる製鋼スラグ、高炉スラグ、及び、石炭灰は、それぞれ、pH11〜12、pH10〜11、pH11〜12程度のアルカリ性である。そのため、アルカリ性で分解しやすい薬剤を、被覆層の主成分である製鋼スラグ、高炉スラグ、及び、石炭灰と混合することはできない。
薬剤層として担持されうる除菌剤は、被覆種子の素材として用いられる種子に対して利用可能なものであれば、特に限定されるものではなく、公知の各種の除菌剤を用いることが可能である。このような除菌剤として、例えば、チウラム等のジチオカルバメート系除菌剤、イソチアニル、フラメトピル、エタボキサム、2−[(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル]−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド、ベノミル、オキソリニック酸、プロベナゾール、チアジニル、ピロキロン及びジクロシメットからなる群より選択される1つ以上を挙げることができる。
薬剤層として担持されうる除虫剤は、被覆種子の素材として用いられる種子に対して利用可能なものであれば、特に限定されるものではなく、公知の各種の除虫剤を用いることが可能である。このような除虫剤として、例えば、フェニトロチオン等の有機リン系除虫剤、クロチアニジン、ニテンピラム、ベンスルタップ、チアメトキサム、ジノテフラン、ピメトロジン、スルホキサフロル、ベンフラカルブ、カルボスルファン及びカルタップ塩酸塩からなる群より選択される1つ以上を挙げることができる。
薬剤層として担持されうる除草剤は、被覆種子の素材として用いられる種子に対して利用可能なものであれば、特に限定されるものではなく、公知の各種の除草剤を用いることが可能である。このような除草剤として、例えば、パラコートジクロリド等のパラコート系除草剤を挙げることができる。
固体担体としては、例えば粘土類(カオリンクレー、珪藻土、ベントナイト、フバサミクレー、酸性白土等)、合成含水酸化ケイ素、タルク、セラミック、その他の無機鉱物(セリサイト、石英、硫黄、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ等)、化学肥料(硫安、燐安、硝安、尿素、塩安等)等の微粉末及び粒状物、並びに、合成樹脂(ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン−6、ナイロン−11、ナイロン−66等のナイロン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−プロピレン共重合体等)が挙げられる。
また、液体担体としては、例えば水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノキシエタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、フェニルキシリルエタン、メチルナフタレン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、シクロヘキサン、灯油、軽油等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、エーテル類(ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等)、酸アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、炭酸プロピレン及び植物油(大豆油、綿実油等)が挙げられる。
ここで、本実施形態に係る被覆種子において、上記のような除菌剤、除虫剤又は除草剤の少なくとも何れかの薬剤の含有量は、被覆前の種子の乾燥質量に対して、0.01質量%〜1質量%であることが好ましい。薬剤の含有量を、0.01質量%〜1質量%とすることで、被覆層による除菌・除虫効果及び肥料効果と、薬剤層による除菌・除虫・除草効果とを、相補的かつ相乗的に組み合わせつつ、より確実に実現させることが可能となる。薬剤の含有量が0.01質量%未満である場合、担持する薬剤による除菌・除虫・除草効果が十分に発揮されない可能性があるため、好ましくない。一方、薬剤の含有量が1質量%を超える場合には、本実施形態に係る被覆層を設けた場合であっても担持している薬剤の種子への移動を抑制することができない可能性があるため、好ましくない。本実施形態に係る被覆種子において、上記のような除菌剤、除虫剤又は除草剤の少なくとも何れかの薬剤の含有量は、より好ましくは、被覆前の種子の乾燥質量に対して、0.05質量%〜0.5質量%である。
本実施形態に係る被覆種子では、上記被覆層及び薬剤層に加えて、薬剤層の表面に位置する薬剤被覆層が設けられていてもよい。かかる薬剤被覆層は、水及び酸素といった、種子の発芽及び生育に必要な物質を種子側に透過させるとともに、薬剤層に担持されている上記除菌剤、除虫剤又は除草剤の少なくとも何れかを、種子が栽培される栽培地へと透過させる層である。
続いて、本実施形態に係る被覆種子の製造方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係る被覆種子の製造方法は、製鋼スラグ、高炉スラグ、及び石炭灰からなる群より選択される少なくとも1種と、水と、を混合して得られる混合物により、所定の種子を被覆するステップと、かかる混合物で被覆された種子を、除菌剤、除虫剤、又は、除草剤の少なくとも何れかを含有する薬剤で処理するステップと、を含む。
混合物により種子を被覆するステップでは、製鋼スラグ、高炉スラグ、及び石炭灰からなる群より選択される少なくとも1種と、水と、を混合して得られる混合物により、所定の種子を被覆する。
ここで、スラグ等と水との混合物により種子を被覆する際に、スラグ等に対して混合する水であるが、純水のほか、水道水、地下水、農業用水等を使用することも可能であるが、廃糖蜜を含有する水を用いることがより好ましい。廃糖蜜を含有する水を用いることで、廃糖蜜の粘着性を利用して被覆層の固化と種子への付着の安定性を補強できると共に、廃糖蜜に含まれる成分が発芽後の幼根の生長を、スラグによる肥料効果に加えて、より促すことができる。
先だって言及したように、製鋼スラグ、高炉スラグ又は石炭灰の少なくとも何れか一方等を含む被覆層の表面にアルギン酸ナトリウム水溶液を付加することによって、ゲル化が起こり、スラグ等を含む被覆層の種子への付着の安定性を補強することが可能となる。
本実施形態に係る被覆種子の製造方法では、上記のような混合物で被覆された種子を、除菌剤、除虫剤、又は、除草剤の少なくとも何れかを含有する薬剤で処理する。以下では、この薬剤処理ステップについて、詳細に説明する。
また、本実施形態に係る被覆種子の製造方法では、上記のような薬剤層が形成された被覆種子の表面を、上記のような材料で処理することで、薬剤層の表面に薬剤被覆層を形成してもよい。
続いて、以上説明したような被覆種子の播種方法について、簡単に説明する。
本実施形態に係る被覆種子の播種方法では、以上説明したような被覆種子を、当該種子を栽培するための栽培地に対して直播する。
以下の表1に示す組成の製鋼スラグを粉砕し、孔径600μmの篩を通過したものと、孔径600μmの篩を通過した鉄粉と、を用いて、稲種子及びトウモロコシ種子を被覆した。
上記実施例1で作製した、製鋼スラグで被覆し、除菌剤であるチウラムを坦持した稲種子及びトウモロコシ種子を、50粒ずつプラスチック製皿に分散させて配置し、このプラスチック製皿を、風の影響を受けないよう囲いで覆った条件で、野外に載置した。2週間後、鳥に食べられず残った種子数を数え、種子残存率を算出した。対照として、無被覆の稲種子及びトウモロコシ種子に関しても、同様の試験を並行して行なった。得られた残存率の結果を、以下の表3に示した。
上記実施例1で作製した、製鋼スラグで被覆し、チウラムを担持させた稲種子及びトウモロコシ種子、並びに、鉄粉で被覆し、チウラムを担持させた稲種子及びトウモロコシ種子に関して、植物体中のチウラム含有量を測定した。
以下の表5に示す組成の高炉水砕スラグを粉砕し、孔径75μmの篩を通過したものを用意した。20質量%の廃糖蜜を含む水を用いて、かかる高炉水砕スラグと、廃糖蜜を含む水と、の混合物を準備し、この混合物を、稲種子、トウモロコシ種子及び大豆種子の表面にそれぞれ付着させた。その後、混合物の付着した稲種子、トウモロコシ種子及び大豆種子を乾燥させて、種子表面に被覆層を形成させた。
上記実施例4で作製した、高炉水砕スラグで被覆した被覆稲種子、被覆トウモロコシ種子及び被覆大豆種子、並びに、高炉水砕スラグで被覆し、チウラムを担持した被覆稲種子、被覆トウモロコシ種子及び被覆大豆種子を、50粒ずつプラスチック製皿に分散させて配置し、このプラスチック製皿を、風の影響を受けないよう囲いで覆った条件で、野外に載置した。2週間後、鳥に食べられず残った種子数を数え、種子残存率を算出した。対照として、無被覆の稲種子、トウモロコシ種子及び大豆種子に関しても、同様の試験を並行して行なった。得られた残存率の結果を、以下の表7に示した。
上記表5に示した組成の高炉水砕スラグを粉砕し、孔径75μmの篩を通過したものを用意した。また、ばか苗病が多発している水田で収穫した稲種子を用意した。20質量%の廃糖蜜を含む水と、上記高炉水砕スラグと、を含む混合物を用いて、ばか苗病多発水田で採取した稲種子の表面に、高炉水砕スラグを付着させた。その後、混合物の付着した稲種子を乾燥させて、種子表面に被覆層を形成させた。
表1に示した組成の製鋼スラグを粉砕し、孔径600μmの篩を通過したものと、以下の表9に示す組成の下水汚泥溶融スラグを粉砕し、孔径600μmの篩を通過したものと、を用いて、それぞれ稲種子及びトウモロコシ種子を被覆した。
Claims (29)
- 所定の種子の表面に位置しており、製鋼スラグ、高炉スラグ、及び石炭灰からなる群より選択される少なくとも1種を含有する被覆層と、
前記被覆層の表面に位置しており、除菌剤、除虫剤、又は、除草剤の少なくとも何れかの薬剤を含有する薬剤層と、
を備える、被覆種子。 - 前記被覆層の気孔率は、17〜50%である、請求項1に記載の被覆種子。
- 前記製鋼スラグは、25質量%以上50質量%以下のCaOと、8質量%以上30質量%以下のSiO2と、1質量%以上20質量%以下のMgOと、1質量%以上25質量%以下のAl2O3と、1質量%以上8質量%以下のMnと、0.1質量%以上5質量%以下のP2O5と、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有する、請求項1又は2に記載の被覆種子。
- 前記製鋼スラグは、脱リンスラグもしくは脱炭スラグの少なくとも何れか一方である転炉製鋼スラグ、又は、電気炉製鋼スラグである、請求項1〜3の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記高炉スラグは、35質量%以上45質量%以下のCaOと、25質量%以上40質量%以下のSiO2と、2質量%以上15質量%以下のMgOと、8質量%以上20質量%以下のAl2O3と、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有する、請求項1〜4の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記石炭灰は、1質量%以上10質量%以下のCaOと、40質量%以上75質量%以下のSiO2と、2質量%以上20質量%以下のFe2O3と、15質量%以上35質量%以下のAl2O3と、の少なくとも何れかを、合計が100質量%以下となるように含有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記製鋼スラグは、孔径600μmの篩を通過する製鋼スラグである、請求項1〜6の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記高炉スラグは、孔径600μmの篩を通過する高炉スラグである、請求項1〜7の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記高炉スラグは、孔径75μmの篩を通過する高炉スラグである、請求項1〜8の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記石炭灰は、孔径75μmの篩を通過する石炭灰である、請求項1〜9の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記被覆層における前記石炭灰の含有量は、前記被覆層の全体の質量に対して、0質量%超20量%以下である、請求項1〜10の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記薬剤の含有量は、前記種子の被覆前の乾燥質量に対して、0.01質量%〜1質量%である、請求項1〜11の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記除菌剤は、ジチオカルバメート系除菌剤、イソチアニル、フラメトピル、エタボキサム、2−[(2,5−ジメチルフェノキシ)メチル]−α−メトキシ−N−メチル−ベンゼンアセトアミド、ベノミル、オキソリニック酸、プロベナゾール、チアジニル、ピロキロン及びジクロシメットからなる群より選択される1つ以上である、請求項1〜12の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記除虫剤は、有機リン系除虫剤、クロチアニジン、ニテンピラム、ベンスルタップ、チアメトキサム、ジノテフラン、ピメトロジン、スルホキサフロル、ベンフラカルブ、カルボスルファン及びカルタップ塩酸塩からなる群より選択される1つ以上である、請求項1〜13の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記除草剤は、パラコート系除草剤である、請求項1〜14の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記被覆層は、石膏、鉄粉、セメント、及び、廃糖蜜からなる群より選択される少なくとも1種を更に含む、請求項1〜15の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記薬剤層の表面に、有機体、セラミックス、シリカ、及び、ゼオライトからなる群より選択される少なくとも何れかを素材とする薬剤被覆層を有する、請求項1〜16の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記種子は、湛水された状態で栽培される植物の種子、又は、湛水しない状態で栽培される植物の種子である、請求項1〜17の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記湛水された状態で栽培される植物の種子は、イネ科植物の種子である、請求項18に記載の被覆種子。
- 前記イネ科植物の種子は、水稲種子である、請求項19に記載の被覆種子。
- 前記湛水しない状態で栽培される植物の種子は、イネ科植物、マメ科植物、タデ科植物、食用草本植物、又は、有用植物の種子である、請求項18に記載の被覆種子。
- 前記イネ科植物の種子は、陸稲種子、トウモロコシ種子、又は、麦種子であり、
前記マメ科植物の種子は、ダイズ種子、又は、アズキ種子であり、
前記タデ科植物の種子は、ソバ種子であり、
前記食用草本植物の種子は、ニンジン種子、トマト種子、又は、甜菜種子であり、
前記有用植物の種子は、芝種子、牧草種子、緑肥用植物種子、又は、花木種子である、請求項21に記載の被覆種子。 - 前記被覆層、前記薬剤層、又は、当該薬剤層の表面に位置する薬剤被覆層の少なくとも何れかは、更に、アルギン酸化合物を含有する、請求項1〜22の何れか1項に記載の被覆種子。
- 前記種子は、でんぷんで被覆された種子である、請求項1〜23の何れか1項に記載の被覆種子。
- 製鋼スラグ、高炉スラグ、及び石炭灰からなる群より選択される少なくとも1種と、水と、を混合して得られる混合物により、所定の種子を被覆するステップと、
前記混合物で被覆された前記種子を、除菌剤、除虫剤、又は、除草剤の少なくとも何れかを含有する薬剤で処理するステップと、
を含む、被覆種子の製造方法。 - 前記混合物における前記水の割合は、前記混合物の全体質量に対して、10質量%以上80質量%以下である、請求項25に記載の被覆種子の製造方法。
- 前記混合物は、石膏、鉄粉、及び、セメントからなる群より選択される少なくとも1種を更に含む、請求項25又は26に記載の被覆種子の製造方法。
- 前記水は、廃糖蜜を10質量%以上50質量%以下含有する水である、請求項25〜27の何れか1項に記載の被覆種子の製造方法。
- 請求項1〜24の何れか1項に記載の被覆種子を、前記種子を栽培するための栽培地に対して直播する、被覆種子の播種方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017010284A JP6794845B2 (ja) | 2017-01-24 | 2017-01-24 | 被覆種子、被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017010284A JP6794845B2 (ja) | 2017-01-24 | 2017-01-24 | 被覆種子、被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018117547A true JP2018117547A (ja) | 2018-08-02 |
JP6794845B2 JP6794845B2 (ja) | 2020-12-02 |
Family
ID=63042886
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017010284A Active JP6794845B2 (ja) | 2017-01-24 | 2017-01-24 | 被覆種子、被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6794845B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019122269A (ja) * | 2018-01-12 | 2019-07-25 | 公一 中川 | 被覆された植物種子の製造方法および被覆された植物種子 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
MX2024003398A (es) * | 2021-09-23 | 2024-04-05 | Phospholutions Inc | Recubrimientos agricolas de semillas con oxido de aluminio incorporado y metodos de formacion. |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09322611A (ja) * | 1996-06-04 | 1997-12-16 | Toko Kensetsu Kk | 種子の発芽抑制方法 |
JP2003040720A (ja) * | 2001-07-30 | 2003-02-13 | Tokachi Nogyo Kyodo Kumiai Rengokai | 根粒菌の接種資材及び接種方法及び根粒菌が接種された種子 |
JP2014113128A (ja) * | 2012-12-12 | 2014-06-26 | Kubota Corp | 種子の金属コーティング方法及び金属コーティング種子 |
JP2014221009A (ja) * | 2013-05-13 | 2014-11-27 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 単粒化した鉄粉被覆稲種子の製造方法 |
JP2015139390A (ja) * | 2014-01-28 | 2015-08-03 | 住友化学株式会社 | イネ種子並びにそれを用いるイネの病害虫防除方法及びイネの栽培方法 |
WO2016121283A1 (ja) * | 2015-01-26 | 2016-08-04 | 株式会社クボタ | 種子コーティング材及び種子コーティング材の製造方法 |
JP2017010287A (ja) * | 2015-06-23 | 2017-01-12 | レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド | 放熱ファンを搭載する電子機器、コンピュータ、プロセッサの制御方法およびコンピュータ・プログラム |
JP2017010286A (ja) * | 2015-06-22 | 2017-01-12 | オイレス工業株式会社 | ダンパ |
-
2017
- 2017-01-24 JP JP2017010284A patent/JP6794845B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH09322611A (ja) * | 1996-06-04 | 1997-12-16 | Toko Kensetsu Kk | 種子の発芽抑制方法 |
JP2003040720A (ja) * | 2001-07-30 | 2003-02-13 | Tokachi Nogyo Kyodo Kumiai Rengokai | 根粒菌の接種資材及び接種方法及び根粒菌が接種された種子 |
JP2014113128A (ja) * | 2012-12-12 | 2014-06-26 | Kubota Corp | 種子の金属コーティング方法及び金属コーティング種子 |
JP2014221009A (ja) * | 2013-05-13 | 2014-11-27 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 | 単粒化した鉄粉被覆稲種子の製造方法 |
JP2015139390A (ja) * | 2014-01-28 | 2015-08-03 | 住友化学株式会社 | イネ種子並びにそれを用いるイネの病害虫防除方法及びイネの栽培方法 |
WO2016121283A1 (ja) * | 2015-01-26 | 2016-08-04 | 株式会社クボタ | 種子コーティング材及び種子コーティング材の製造方法 |
JP2017010286A (ja) * | 2015-06-22 | 2017-01-12 | オイレス工業株式会社 | ダンパ |
JP2017010287A (ja) * | 2015-06-23 | 2017-01-12 | レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド | 放熱ファンを搭載する電子機器、コンピュータ、プロセッサの制御方法およびコンピュータ・プログラム |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019122269A (ja) * | 2018-01-12 | 2019-07-25 | 公一 中川 | 被覆された植物種子の製造方法および被覆された植物種子 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6794845B2 (ja) | 2020-12-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
UA126712C2 (uk) | Живильна та збагачувальна композиція для сільськогосподарських культур | |
AU2015248771B2 (en) | Novel nitrification inhibitors | |
UA127505C2 (uk) | Живильна та збагачуюча композиція для сільськогосподарських культур | |
UA127492C2 (uk) | Нова живильна та збагачуюча композиція для сільськогосподарських культур | |
JP5873298B2 (ja) | 移植稲の病害防除方法 | |
CN109476561A (zh) | 包含用作硝化抑制剂的苄基炔丙基醚的胶囊 | |
WO2016042379A1 (en) | Compositions for the delivery of agrochemicals to the roots of a plant | |
KR100362798B1 (ko) | 피복농약입제,이의제조방법및이의용도 | |
JP6855809B2 (ja) | 被覆種子、被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 | |
JP6794845B2 (ja) | 被覆種子、被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 | |
KR100481269B1 (ko) | 벼종자처리용조성물 | |
JP4860056B2 (ja) | 徐放性農薬粒剤およびその施用方法 | |
JP6794846B2 (ja) | 被覆種子、被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 | |
TW200906302A (en) | Method of pest and/or disease control | |
JP6812808B2 (ja) | 被覆種子の製造方法及び被覆種子の播種方法 | |
JP2001206802A (ja) | 生物活性物質含有粒状物の配合物、その製造方法およびそれを用いた農作物の栽培方法 | |
JP4864023B2 (ja) | 水面浮遊性農薬固形製剤 | |
JP5128087B2 (ja) | 混合粒状農薬組成物 | |
RU2666370C1 (ru) | Комплексный гранулированный почвенный биопрепарат | |
SU1034596A3 (ru) | Гранулированна фунгицидна композици дл защиты растений риса | |
JP5010162B2 (ja) | 農園芸用粒状殺菌剤組成物とそれを利用したいもち病の防除方法 | |
CN104396950A (zh) | 一种甲基营养型芽孢杆菌的水分散粒剂及其制备方法和应用 | |
JP4384750B2 (ja) | イネいもち病の省力的防除方法 | |
JP2005314282A (ja) | 育苗培土用殺菌剤・肥料、それを用いる育苗用培土および育苗方法 | |
JP2008179625A (ja) | 農薬粒状組成物および農薬混合製剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20190208 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20190508 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190904 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200715 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200804 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200925 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20201013 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20201026 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6794845 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |