JP2003040720A - 根粒菌の接種資材及び接種方法及び根粒菌が接種された種子 - Google Patents

根粒菌の接種資材及び接種方法及び根粒菌が接種された種子

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JP2003040720A JP2001230429A JP2001230429A JP2003040720A JP 2003040720 A JP2003040720 A JP 2003040720A JP 2001230429 A JP2001230429 A JP 2001230429A JP 2001230429 A JP2001230429 A JP 2001230429A JP 2003040720 A JP2003040720 A JP 2003040720A
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Takuji Owada
琢二 大和田
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TOKACHI NOGYO KYODO KUMIAI REN
TOKACHI NOGYO KYODO KUMIAI RENGOKAI
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TOKACHI NOGYO KYODO KUMIAI REN
TOKACHI NOGYO KYODO KUMIAI RENGOKAI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い根粒菌の根粒着生機能及び窒素固定機能を
備えながら、安価、且つ、施用を簡単として、根粒菌の
利用を大いに普及させる。 【解決手段】根粒菌液にベタイン化合物又はベタイン化
合物を含有する廃糖蜜を添加してなる接種資材をマメ科
植物種子に接種する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マメ科植物に極め
て好適な根粒菌の接種資材及び接種方法、さらには根粒
菌が接種されたマメ科植物種子に関する。
【0002】
【従来背景】マメ科植物の生育において窒素化合物の供
給は必要不可欠なものであって、今日の農業では、窒素
肥料のような化学肥料は欠かせない資材として広く利用
されている特に、大豆はマメ科の中でも窒素要求量が多
い作物であるため、前記化学肥料を多く施肥する必要が
ある。しかしながら、その一方では、化学肥料の多投に
よる硝酸態窒素(NO3−N)の地下水汚染及び土壌の地力
低下の発生ということが指摘されつつある。そこで、前
記環境破壊及び土壌地力低下に歯止めをかけ、永続性の
ある農業を営む一つの手段として根粒菌の活用が提案さ
れる。
【0003】根粒菌は、マメ科作物の生育に影響の大き
い土壌微生物として古くから知られており、マメ科作物
の根に根粒を形成し、着生した作物から最も生育に適し
た形態の炭水化物をエネルギー源として摂取し、代わり
に空気中の窒素を作物が利用できるような形態の窒素化
合物にして供給することによって、マメ科植物の成長を
促進するものである。そこで、現在では、マメ科植物の
成長効率を向上させて収量の増加を図るため、根粒菌を
人為的に接種する方法が種々試みられている。例えば、
根粒菌を炭材やパーライトのような多孔質担体に担持さ
せて土壌施用する方法(特開平3-266915号公報)、根粒
菌を高吸水性ポリマーで製剤化して土壌施用する方法、
(特開平6-62667号公報、特開平6-141848号公報)、根
粒菌をピートに混合して土壌施用(特開平8-109109号公
報、特開平8-109110号公報)する方法、根粒菌を種子に
粉衣してその種子を播種する方法(特開平10-210807号
公報)等が提案されている。
【0004】しかしながら、これらの方法においては、
担体が高価なものであったり、加工が面倒であったり、
又、土壌施用に手間がかかるなど課題は多く、根粒菌の
活用を普及させる上で極めて大きな障害となるし、現在
根粒菌を利用している生産者に対して大きな負担をかけ
ている。そこで、本願発明者は、根粒菌を安価に、且つ
大いに普及するために鋭意研究した結果、根粒菌の根粒
着生及び窒素固定機能の向上における添加物としてベタ
イン化合物が極めて有効であることを知見し、本願発明
に至った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、高い
根粒菌の根粒着生機能及び窒素固定機能を備えながら、
安価、且つ、施用を簡単として、根粒菌の利用を大いに
普及させることを課題とし、この課題を解決できる根粒
菌の接種資材、接種方法、さらには、根粒菌が接種され
たマメ科植物の種子の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために本発明が採用した技術的手段は、根粒菌液にベタ
イン化合物を添加してなる接種資材としたことである。
(請求項1)
【0007】
【発明の実施の形態】根粒菌には、その種類によって共
生するマメ科植物がほぼ特定されており、例えば、リゾ
ビウム トリフォリ(Rhizobium trifolii)はクロー
バ、リゾビウムファセオリ(Rhizobium phaseoli)はイ
ンゲン、リゾビウム ビシー(Rhizobiumviciae)は空
豆、リゾビウム メリロッティ(Rhizobium meliloti)
はアルファルファ、リゾビウム フレディ(Rhizobium f
redii)はつる豆、リゾビウム ルピニ(Rhizobium lupi
ni)はルーピン、ブラディリゾビウム ジャポニカム(B
radyrhizobium japonicum)は大豆である。本発明の接
種資材は、例示したいずれのマメ科植物に共生する根粒
菌を接種するために有効な資材であり、特に、マメ科の
中でも窒素要求量が多い大豆に共生し、しかも、生育の
遅いブラディリゾビウム ジャポニカム(Bradyrhizobiu
m japonicum)である大豆根粒菌を接種するために極め
て有効な接種資材である。
【0008】ベタイン化合物は、例えば、グリシンベタ
インが挙げられ、これは市販の試薬を使用することがで
きる。又、ベタイン化合物は、糖蜜及び廃糖蜜に大量に
含まれていることから、根粒菌液にベタイン化合物を含
有する少なくとも糖蜜、又は、廃糖蜜を添加する接種資
材とすることが好適である。(請求項2) 糖蜜、又は、廃糖蜜は、甜菜、又は、さとうきびから得
ることができ、この場合の糖蜜、又は、廃糖蜜は天然物
質であるため、菌はもとより土壌に対する悪影響もな
く、生産者や消費者に対する影響が全くない。加えて、
廃糖蜜の場合、製糖工場から排出される産業廃棄物を用
いることができるので、廃棄物のリサイクルにも大きく
貢献する。
【0009】前記接種資材を接種する方法は、前記接種
資材、又は、根粒菌とベタイン化合物、又は、根粒菌と
ベタイン化合物を含有する少なくとも糖蜜又は廃糖蜜
を、マメ科植物、若しくは、マメ科植物種子に接種する
ことが挙げられる。(請求項3) 又、前記の内、接種の容易性向上には、前記接種資材を
マメ科植物種子に接種することが好適である。例えば、
根粒菌液に少なくとも糖蜜、又は、廃糖蜜あるいはベタ
イン化合物を添加した接種資材においては、種子重量に
対して適量をスプレーで塗布してもよいし、接種資材に
種子を浸漬させることでもよく、接種された種子はその
まま畑に播くことができ簡単である。このように用いら
れる接種資材の少なくとも糖蜜、又は、廃糖蜜の好まし
い添加濃度は0.05〜0.10%の範囲であり、最適には0.05
%である。又、ベタイン化合物の好ましい添加濃度は0.
3〜1.0mMの範囲であり、最適には1.0mMである。尚、本
発明では、糖蜜又は廃糖蜜及びベタイン化合物の前記し
た添加濃度は好ましい範囲を示すものであってこの数値
に限定するものではない。
【0010】根粒菌の接種の容易性をさらに向上させる
ためには、前記接種資材を真空処理によって種子表面に
吸着させる方法が挙げられる。ところが、この真空処理
の場合、吸着した根粒菌が保護されていないため、乾燥
等の外部環境の影響を受けて死滅しやすいということが
ある。しかしながら、前記接種資材を真空処理によって
種子表面に吸着させると、ベタインの物質作用、すなわ
ちベタインの保湿作用により乾燥耐性が高まり、根粒菌
の生存率が高くなって、保存性に優れる種子となる。
(請求項5) 真空処理する場合に用いられる接種資材の糖蜜、又は、
廃糖蜜の好ましい添加濃度は0.25〜0.50%の範囲であ
り、最適には0.25%である。尚、本発明では、真空処理
する場合における糖蜜、又は、廃糖蜜及びベタイン化合
物の添加濃度は好ましい範囲を示すものであってこの数
値に限定するものではない。
【0011】
【実施例】以下、本発明の第1実施例を詳細に説明す
る。本実施例では、大豆根粒菌液にベタイン化合物を添
加されてなる接種資材とベタイン化合物無添加の根粒菌
液を種子に接種して、根粒着生量及び窒素固定機能の比
較を行った。使用した大豆根粒菌、液体培地の組成、ベ
タイン化合物の種類と添加濃度、液肥の組成および大豆
の品種は以下の通りである。
【0012】1.大豆根粒菌 ブラディリゾビウム
ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum J1065) 2.液体培地の組成(単位:%)ク゛ルコン 酸ナトリウム 0.3リン 酸水素2カリウム 0.012リン 酸2水素カリウム 0.012 硫酸マク゛ネシウム 0.01 酵母エキス 0.04 3.ベタイン化合物の種類と添加濃度 グリシンベタイン(0mM、0.3 mM、0.7 mM、1.0 mM) 4.液肥の組成(単位:g/l) 硫酸カリウム 0.75g 硫酸カルシウム 0.1875 g 硫酸マク゛ネシウム7水和物 0.1875 gリン 酸3カルシウム 0.1875 gリン 酸鉄(III)4水和物 0.1875 gリン 酸水素2カリウム 0.5 g 5.大豆の品種 キタムスメ、トヨムスメ、トヨコマチ
【0013】液体培地は、上記2に記載の試薬を1000ml
の蒸留水に溶解し、水酸化ナトリウムと塩酸を使ってpH
6.8に調製し、100ml三角フラスコに40mlずつ分注し、12
1℃で30分間滅菌した。菌の培養は、別途、YMA平板
培地上で生育させた大豆根粒菌1コロニーを白金耳でそ
れぞれ釣菌し、液体培地に移植し28℃で5日間振とう培
養した(培養菌液)。栽培期間中にポットに加える液肥
は、上記4試薬を1000mlの蒸留水に溶解し、121℃で1
時間滅菌して使用した。ポットは、高さ13.5cm×内径11
cmのプラスチック製ポットの底部にガラス球を敷き、ろ
紙をのせてから砂を充填し、液肥を100ml 加えて121 ℃
で1時間滅菌した。滅菌後、ポット内に過酸化水素水で
滅菌した種子を3粒ずつ播種し、106cfu/mlに調製した
培養菌液に濃度がそれぞれ0.3mM、0.7mM、1.0mMにな
るようにグリシンベタインを添加して接種資材を構成
し、これらを夫々1種子あたり1ml接種した(5反
復)。比較のためにグリシンベタイン無添加(0mM)
も作成した。
【0014】室温22℃、湿度70〜80%の人工気象室にお
いて、連続照射条件下で栽培したが、栽培期間中は、10
日に1度の間隔で液肥を加え、適宜滅菌水を加えながら
ポットの水分を一定に保たせた。播種から25日後、ポッ
トから植物体を取り出し、大豆根に着生した根粒数、根
粒重、および大豆の地上部乾物重を測定した。表1の結
果から明らかなように、ベタイン化合物を添加すると、
大豆根における根粒数、根粒重および地上部乾物重が増
加している。また、供試した3品種の全てにおいて、添
加濃度が増加するに従い、根粒数、根粒重、地上部乾物
重が増加している。以上のことから、ベタイン化合物を
添加した接種資材を接種すると、根粒着生量が増加し、
窒素固定機能が向上することによって大豆生育が明らか
によくなることが証明された。
【0015】
【表1】
【0016】次に、本発明の第2実施例を詳細に説明す
る。本実施例では、小豆根粒菌液に廃糖蜜を添加した接
種資材と廃糖蜜無添加の根粒菌液を種子に接種して、根
粒着生量及び窒素固定機能の比較を行った。使用した小
豆根粒菌、液体培地の組成、廃糖蜜の添加濃度、液肥の
組成および小豆の品種は以下の通りである。
【0017】1.小豆根粒菌 ブラディ リゾビウ
ム エスピー.(Bradyrhizobium sp.J202) 2.液体培地の組成(単位:%)ク゛ルコン 酸ナトリウム 0.3リン 酸水素2カリウム 0.012リン 酸2水素カリウム 0.012 硫酸マク゛ネシウム 0.01 酵母エキス 0.04 3.廃糖蜜の添加濃度 廃糖蜜(0%、0.05%、0.10%) 4.液肥の組成(単位:g/l) 硫酸カリウム 0.75g 硫酸カルシウム 0.1875 g 硫酸マク゛ネシウム7水和物 0.1875 gリン 酸3カルシウム 0.1875 gリン 酸鉄(III)4水和物 0.1875 gリン 酸水素2カリウム 0.5 g 5.小豆の品種 エリモショウズ
【0018】液体培地は、上記2試薬を1000mlの蒸留水
に溶解し、水酸化ナトリウムと塩酸を使ってpH6.8に調
製し、100ml三角フラスコに40mlずつ分注し、121℃で30
分間滅菌した。菌の培養は、別途、YMA平板培地上で
生育させた小豆根粒菌1コロニーを白金耳でそれぞれ釣
菌し、液体培地に移植し28℃で5日間振とう培養した
(培養菌液)。栽培期間中にポットに加える液肥は、上
記4試薬を1000mlの蒸留水に溶解し、121℃で1時間滅菌
して使用した。ポットは、高さ13.5cm×内径11cmのプラ
スチック製ポットの底部にガラス球を敷き、ろ紙をのせ
てから砂を充填し、液肥を100ml 加えて121 ℃で1時間
滅菌した。滅菌後、ポット内に過酸化水素水で滅菌した
種子を3粒ずつ播種し、106cfu/mlに調製した培養菌液
に濃度がそれぞれ0.05%、0.10%になるように廃糖蜜を
添加して構成した接種資材を1種子あたり1ml接種し栽
培した(5反復)。比較のために廃糖蜜無添加(0%)
も作成した。
【0019】室温22℃、湿度70〜80%の人工気象室にお
いて、連続照射条件下で栽培したが、栽培期間中は、10
日に1度の間隔で液肥を加え、適宜滅菌水を加えながら
ポットの水分を一定に保たせた。播種から25日後、ポッ
トから植物体を取り出し、根に着生した根粒数、根粒
重、および小豆の地上部乾物重を測定した。2の結果か
ら明らかなように、廃糖蜜を添加すると小豆根における
根粒数、根粒重および地上部乾物重が増加している。添
加濃度0.10%では0.05%より劣るが、根粒数、根粒重、
地上部乾物重は無添加と比較し、いずれも増加している
傾向にあった。以上のことから、廃糖蜜を添加して構成
された接種資材を接種すると、根粒着生量が増加し、窒
素固定機能が向上することによって小豆生育が明らかに
よくなることが証明された。
【0020】
【表2】
【0021】以上の結果から、根粒菌液にベタイン化合
物及びベタイン化合物が含まれた廃糖蜜を前記した濃度
で添加してなる接種資材を種子に接種することにより、
根粒着生量が増加すると共に窒素固定機能の向上が認め
られた。
【0022】次に、本発明の第3実施例を詳細に説明す
る。本実施例は、小豆根粒菌に廃糖蜜を添加した接種資
材を小豆種子に真空吸着してなる種子と、廃糖蜜無添加
の小豆根粒菌を小豆種子に真空吸着してなる種子との種
子表面における菌の生存率を確認するものである。使用
した小豆根粒菌、液体培地の組成、廃糖蜜の添加濃度お
よび小豆の品種は以下の通りである。
【0023】1.小豆根粒菌 ブラディ リゾビウム
エスピー.(Bradyrhizobium sp.J202) 2.液体培地の組成(単位:%)リン 酸水素2カリウム 0.01リン 酸2水素カリウム 0.01 硫酸マク゛ネシウム 0.01 塩化ナトリウム 0.01 酵母エキス 0.05 砂糖 0.50 ペプトン 0.10 3.廃糖蜜の添加濃度 廃糖蜜(0%、0.25%、0.50%) 4.小豆の品種 エリモショウズ
【0024】液体培地は、上記2の試薬を1000mlの蒸留
水に溶解し、水酸化ナトリウムと塩酸を使ってpH6.8に
調製し、100ml三角フラスコに40mlずつ分注し、121℃で
30分間滅菌した。菌の培養は、別途、YMA平板培地上
で生育させた小豆根粒菌1コロニーを白金耳でそれぞれ
釣菌し、液体培地に移植後28℃で5日間振とうする方法
で行った。培養菌液は106cfu/mlに調製し、濃度がそれ
ぞれ0.25%、0.50%になるように廃糖蜜を添加して構成
された接種資材を、種子重量の0.2%として種子にスプ
レーで噴霧し真空処理した。真空処理方法は、接種資材
を接種した種子を容器に入れ、真空度が83.3kPaになる
まで容器内を真空にし、大気圧に戻すことで種子内およ
び表面に接種資材を吸着させた。
【0025】種子は5℃で保存し、1ヶ月後の種子表面
に生存している菌数を調査した。具体的には、1ヶ月後
に種子10gを滅菌水90mlの入ったポリ広口瓶に計りと
り、1時間往復振とうした液を適当な濃度まで希釈し、
YMA平板培地上に100μlずつ塗布し(3反復)、出
現したコロニー数を計数し生菌数を求めた(希釈平板
法)。真空処理直後に同様な方法で求めた生菌数を10
0とし、1ヶ月後の生存菌数を生存率で表3に示した。
表3からも明らかなように、廃糖蜜を添加した接種資材
を真空処理すると種子表面に生存する菌数が増加するこ
とが証明された。
【0026】
【表3】
【0027】次に、本発明の第4実施例を詳細に説明す
る。手亡根粒菌液に廃糖蜜を添加した接種資材を手亡種
子に真空吸着してなるコーティング種子と、廃糖蜜無添
加の手亡根粒菌液を手亡種子に真空吸着してなるコーテ
ィング種子との種子表面における菌の生存率を確認する
ものである。使用した手亡種子に真空吸着してなるコー
ティング種子、液体培地の組成、廃糖蜜の添加濃度およ
び小豆の品種は以下の通りである。
【0028】1.手亡根粒菌 リゾビウム エスピ
ー.(Rhizobium sp.J3016) 2.液体培地の組成(単位:%)リン 酸水素2カリウム 0.01リン 酸2水素カリウム 0.01 硫酸マク゛ネシウム 0.01 酵母エキス 0.05ク゛ルコン 酸ナトリウム 0.30 ペプトン 0.10 3.廃糖蜜の添加濃度 廃糖蜜(0%、0.25%、0.50%) 4.手亡の品種姫手亡
【0029】液体培地は、上記2の試薬を1000mlの蒸留
水に溶解し、水酸化ナトリウムと塩酸を使ってpH6.8に
調製し、100ml 三角フラスコに40mlずつ分注し、121℃
で30分間滅菌した。菌の培養は、別途、YMA平板培地
上で生育させた手亡根粒菌1コロニーを白金耳でそれぞ
れ釣菌し、液体培地に移植後28℃で5日間振とうする方
法で行った。培養菌液は106cfu/mlに調製し、濃度がそ
れぞれ0.25%、0.50%になるように廃糖蜜を添加して構
成された接種資材を、種子重量の0.2%として種子にス
プレーで噴霧し真空処理した。
【0030】種子は5℃で保存し、1ヶ月後の種子表面
に生存している菌数を調査した。具体的には、1ヶ月後
に種子10gを滅菌水90mlの入ったポリ広口瓶に計りと
り、1時間往復振とうした液を適当な濃度まで希釈し、
YMA平板培地上に100μlずつ塗布し(3反復)、出
現したコロニー数を計数し生菌数を求めた(希釈平板
法)。真空処理直後に同様な方法で求めた生菌数を10
0とし、1ヶ月後の生存菌数を生存率で表4に示した。
表4からも明らかなように、廃糖蜜を添加した接種資材
を真空処理すると種子表面に生存する菌数が増加するこ
とが証明された。
【0031】
【表4】
【0032】以上の結果から、通常種子表面に吸着した
菌は何ら保護されていないため、乾燥など外部環境の影
響を受けて死滅しやすいが、摂取資材が真空吸着されて
なるコーティング種子は、廃糖密に含まれるベタインの
物質作用により浸透圧耐性が高まり(乾燥耐性が高ま
り)、種子表面の菌生存率が向上するものと思われる。
又、真空処理時に種子表面の水分が蒸発するため、表面
が適度に乾燥し、発芽や腐敗の心配がなく保存性も向上
するものと思われる。
【0033】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明は下記の優れ
た効果を有する。
【0034】本発明によれば、ベタイン化合物及びベタ
イン化合物が含まれる廃糖蜜の作用により、高い根粒菌
の根粒着生機能及び窒素固定機能が発揮される。しか
も、従来のように高価な担体を使用することもないし、
面倒な加工をすることもなく、根粒菌液に低価格なベタ
イン化合物及びベタイン化合物が含まれる廃糖蜜を添加
することで容易に構成されるので極めて安価なものとな
る。特に、本来が廃棄物である廃糖蜜の利用は、安価に
する上で極めて有効なものであるし、廃棄物のリサイク
ルについても貢献するものである。
【0035】さらに、マメ科植物種子へ接種し、この種
子を播種することによって、従来のような播種後に根粒
菌の土壌施用をする必要が無く、結果的に根粒菌の施用
が容易なものとなる。しかも、マメ科植物種子に対して
真空処理により吸着させても、ベタインの保湿作用によ
り乾燥耐性が高まって根粒菌の生存率が向上するので、
保存性に優れる種子となる。その上、種子表面が適度に
乾燥し、発芽や腐敗の心配が全くなく、そのまま播種す
れば、種子表面に吸着された根粒菌が種子の成長に大き
く作用することになる。
【0036】したがって、本発明は、高い根粒菌の根粒
着生機能及び窒素固定機能を備えながら、安価、且つ、
施用が簡単であり、その上、根粒菌の生存率も高く保存
性にも優れているので、根粒菌の利用の普及に極めて大
きく貢献するものであると期待できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】根粒菌液にベタイン化合物を添加してなる
    接種資材。
  2. 【請求項2】根粒菌液にベタイン化合物を含有する少な
    くとも糖蜜、又は、廃糖蜜を添加してなる接種資材。
  3. 【請求項3】根粒菌を接種する接種方法であって、 請求項1又は請求項2の接種資材、又は、根粒菌とベタ
    イン化合物、又は、根粒菌とベタイン化合物を含有する
    少なくとも糖蜜、又は、廃糖蜜を、マメ科植物、若しく
    は、マメ科植物種子に接種することを特徴とする接種方
    法。
  4. 【請求項4】根粒菌が接種された種子であって、 請求項1又は請求項2の接種資材を真空処理によって種
    子表面に吸着させてなることを特徴とする種子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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