JP2006020558A - 発芽改善方法及び種子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 種子水和処理技術を適用した種子の乾燥処理後に発芽改善効果が種子の一部において消失又は低減するような発芽揃いが低下することを防止し、乾燥処理によっても発芽改善効果が維持できる種子の発芽改善方法を提供する。
【解決手段】 ベタイン水溶液と種子を、種子の活力を増進するには充分であるが発芽を起こさせるには不充分な時間と温度にて、接触させる。種子を水及びベタイン水溶液から選ばれた液体に予め浸漬処理しておくと、発芽改善効果が維持できる。ベタイン水溶液と種子を接触させる方法は、ベタイン水溶液を保持している粒状の溶液保持材料と種子を容器内で混合するか、又はシート状の溶液保持材料を内側に積層した容器内で種子を転動させて行うことができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、播種後の種子の迅速且つ斉一な発芽や不良環境下での発芽率の改善などを目的とした、播種前の種子に施す種子の発芽改善方法及び該方法により得られた種子に関する。
種子は、播種後、水分・湿度・酸素・光等の環境条件が適当な状態に揃った場合、一定の期間を経て発芽に至る。この播種から発芽に至るまでの発芽準備期間に、種子内部では様々な代謝が行われている。その期間の長さは、種子個々の登熟度や作物の種類によって、また温度や水分等の環境要因によって異なる。この発芽準備期間を短縮し、迅速且つ斉一な発芽をもたらすことにより、栽培期間の短縮や発芽後の栽培管理が容易となり、大規模な営利栽培においては生産コストの削減や省力化などの利点が得られる。
このような目的で播種前の種子に施される処理として、従来よりプライミング、オスモコンディショニング(非電解質溶液処理)あるいはマトリコンディショニング(多孔質資材処理)などの種子水和処理技術が開発されており、発芽の迅速化や不良環境下での発芽率改善などの効果があることが確認されている。
プライミング等の種子水和処理技術の原理は、種蒔前の種子に給水し、種子の活力を増進するには充分であるが種子発芽をおこさせるには不充分な時間と温度で種子を処理することにより、播種後の発芽を早めることにある。現在、様々な種子水和処理技術の研究・開発の報告がなされているが、その中で主なものとして、以下の4方法が挙げられる。
A.プライミング(Priming)
1974年にハイディッカー(W.Heydecker)らが開発した技術で、水溶性ポリマー(ポリエチレングリコール、ソジウム・ポリプロペネイト(Sodium Polypropenate)など)水溶液もしくは塩類水溶液を媒体として、浸透圧によって種子への水分供給を制御する種子水和処理技術である(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。
B.ドラム・プライミング(Drum Priming)
1987年にローズ(H.R.Rowse)らが開発した技術で、媒体を使用せず、回転するドラム内で噴霧状に水分を与え、種子への水分供給を直接重量制御する種子水和処理技術である(特許文献5)。
C.ソリッド・マトリクス・プライミング(Solid Matrix Priming)
1988年にテイラー(A.G.Tailor)らが開発した技術で、レオナルダイト頁岩(leonardite shale)粉末資材(アグロ・リグ、Agro−Lige)を媒体として、種子への水分補給を制御する種子水和処理技術である(非特許文献4、特許文献6)。
D.マトリコンディショニング(Matriconditioning)
1990年にカーン(A.A..Khan)らが開発した技術で、水に不溶性な多孔質素材(Micro−Gel E.Zonolite)を媒体として、種子への水分供給を制御する種子水和処理技術である(非特許文献5)。
前記従来の4つの種子水和処理技術は、何れも播種前の種子に対して施す種子水和処理方法であり、種子へ供給する水分を制御することによって、発芽準備期間に種子内部で行われる様々な代謝のみを播種前に人為的に完了させてしまう点で共通する。
前記従来の4つの種子水和処理技術の差異は、水分制御方法の原理にある。即ち、前記A.においては液体を媒体として使用し、液体の有する浸透圧(Osmotic Potential)によって種子への水分供給の制御を行っている。前記B.においては媒体を使用せず、種子への水分供給を直接重量で水分制御を行っている。前記C.およびD.においては水に不溶性の固体媒体を使用し,浸透圧材料(osmoticum)および/または毛管力(Matric Potential)によって水分の制御を行っている。
特開昭63−304926号公報 特開平4−99403号公報 特開平8−51809号公報 特表平1ー503437号公報 英国特許2192781号明細書 米国特許4912874号明細書 ヨーロッパ特許039551号明細書 特表平1−503437号公報 W. Heydecker,J. Higgins and R.L.Gulliver、1973、Nature(London)246:42−44 W. Heydecker、1974,Univ.Nottinghamsch,Agr.Rep.1973/1974:50―67 Zuo Weineg et.al. 1987、Chinese Science Bulletin 32:1438 A.G.Taylor、D.E.Klein and T.H.Whitlow、1988、Scientia Horticulturae 37(1988)1−11 A.A.Khan,H.Miura,J.Prusinski and S.Ilyas,Proceedings of the Symposium on Stand Establishament of Horucultural Crops/Minneapolis.Minnesota,April 4‐6,1990
前記A.〜D.の従来の種子水和処理技術は、いずれも発芽改善には同等の効果が認められるが、それぞれ次のような欠点を有している。
前記A.のプライミング法は、使用するポリエチレングリコール溶液などの粘度が高く、且つその液は酸素の溶解度が低いため酸素供給を充分に行うことが困難であるため、種子の発芽率が低く、さらに処理後の種子の乾燥に時間がかかるなど、工業的な大量処理には無理がある。
前記B.のドラムプライミング法は、単純明快な方法であるが、実際に水量のコントロールを行うためには精密な機械制御が必要となり、機械設備や操作が実質的には複雑化するため実施困難である。
前記C.およびD.の水不溶性の固体媒体の持つ毛管力などを利用する方法は、簡単な設備で処理が行え、酸素供給の問題も解決している。
しかしながら、前記A.〜D.の何れの水分制御の方法も、水分供給に用いられる水は、他の溶解成分を含まない水が用いられており、これらの処理方法で得られた乾燥された種子は、発芽改善効果が種子の一部において消失又は低減し、種子全体で一様に発芽しないという発芽揃いが悪いことが問題である。このため乾燥後も発芽揃いを一様に維持するためには、処理と乾燥を複数回繰り返さなくてはならず、多くの手間とコストを要するという問題があった。
そこで本発明は、種子水和処理技術を適用した種子の乾燥処理後に発芽改善効果が種子の一部において消失又は低減し、発芽揃いが低下することを防止し、乾燥処理によっても発芽改善効果が維持できる種子の発芽改善方法及び該方法により得られた種子を提供することを目的とする。
本発明者等は、種子水和処理技術を適用した種子の乾燥処理後も発芽改善効果の消失又は低減せずに発芽揃いが向上した、種子の処理技術を検討した結果、ベタイン水溶液を種子の水和処理に用いることにより、種子の乾燥後でも発芽改善効果を維持可能で、発芽揃いに優れ、種子への水和処理が容易に行え、工業化しやすく、自然環境の汚染に無縁で且つ人体に安全な、種子水和処理技術を見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、ベタイン水溶液と種子を、種子の活力を増進するには充分であるが発芽を起こさせるには不充分な時間と温度にて、接触させることを特徴とする種子の発芽改善方法である。
本発明において、発芽改善効果とは、種蒔前の種子に水和処理をし、種子の活力を増進するには充分であるが種子発芽をおこさせるには不充分な時間と温度で種子を処理することにより、播種後の発芽を早める効果をいう。
本発明の種子の発芽改善方法によれば、種子の水和処理後に行う乾燥処理により発芽改善効果が種子の一部において消失又は低減するといった発芽揃いが低下することを防止でき、素早く均一に発芽する種子が得られる。
本発明の発芽改善方法は、前記従来のC.のソリッド・マトリクス・プライミング、D.のマトリコンディショニングン水和処理と類似しているが、C.、D.などが水を用いるのに対し、本発明はベタイン水溶液を用いるもので本質的に相違する。前記従来のC.、D.の方法では、種子の乾燥処理により、発芽揃いが低下する等の発芽改善効果の低減を避けることができない。種子の乾燥処理は、種子の保管上においても、また工業的なコーティング処理などの加工上においても、不可欠であるので、種子の乾燥処理により発芽改善効果の低減は、好ましくない。これに対して、本発明の発芽改善方法は、水和処理にベタイン水溶液を用いるので、水を用いた水和処理に比べて、発芽改善効果が維持でき発芽揃いに優れる。
本発明によれば、種子の活力を増進するには充分であるが発芽を起こさせるには不充分な時間と温度にて、種子をベタイン水溶液と接触させて水和処理することにより、乾燥処理後に発芽改善効果が種子の一部において消失又は低減するといった発芽揃いが低下することを防止でき、素早く均一に発芽する種子を、安価に工業的に製造することができる。
本発明における種子水和処理に用いるベタインは、発芽を阻止する物質を不純物として含んでいなければ、不純物を含んだ状態で用いてもよい。
ベタイン水溶液と種子を接触させるために、ベタイン水溶液を保持している溶液保持材料と種子を接触させることが好ましい。例えば、ベタイン水溶液を保持している粒状の溶液保持材料と種子とを容器内で混合することにより、ベタイン水溶液と種子を接触させることができる。また、別の接触の方法として、ベタイン水溶液を保持しているシート状の溶液保持材料を内側に積層した容器内で種子を転動させて行うことができる。
本発明に使用する溶液保持材料には、ベタイン水溶液を保持し、且つ保持したベタイン水溶液を種子に供給する媒体であればどのような材料でもよい。このような溶液保持材料には、例えば、ゼオライト、火山灰、砂、バーミキュライト、鹿沼土、吸収性ポリマー、濾紙、不織布、織物等の吸水性資材を用いることができる。溶液保持材料の形態は、粒状、シート状が好ましく使用できる。
粒状の溶液保持材料を使用する場合には、ベタイン水溶液を保持している粒状の溶液保持材料と種子とを容器内で混合することにより、種子をベタイン水溶液と接触させることができる。
シート状の溶液保持材料を使用する場合には、ベタイン水溶液を保持しているシート状の溶液保持材料を内側に積層した容器内で種子を転動させることにより、種子をベタイン水溶液と接触させることができる。
これらの何れのベタイン水溶液と種子との接触方法において、種子を収容している容器を回転させることにより、空気を巻き込むと共に種子をベタイン水溶液に効率良く接触させることができる。回転する容器の内壁及び/又は容器内に設けた中心軸に翼を設けると撹拌効果が高まるので望ましい。或いは、容器を回転させずに固定しておき、内部に回転する撹拌翼、スクリュー等の空気を巻き込んで撹拌する機能を有する撹拌手段で撹拌することにより、ベタイン水溶液と種子を接触させることもできる。
このような種子とベタイン水溶液とを接触させる際に空気を巻き込んで行うことにより、空気を積極的に種子に触れさせ、該処理により発芽改善効果が高まる。容器の回転、或いは撹拌手段による撹拌を、間欠的或いは連続的に行ってもよい。
種子をベタイン水溶液と接触させる際の雰囲気は、加湿した酸素含有気体雰囲気であることが望ましく、該雰囲気下では、発芽改善効果が高まる。
溶液保持材料として粒状のゼオライトを使用した場合の本発明の一般的な実施方法の好ましい例は次のように行うことができる。0.1〜2M、好ましくは0.2〜1.0M、最も好ましくは0.2〜0.8Mのベタイン水溶液に種子を8〜24時間浸漬しておく。一方、粒径が種子の粒径範囲とは異なる粒径範囲の粒状のゼオライト(一般的には、粒径範囲が0.1から1.5mmのゼオライト)に、0.01〜1.0倍容量、好ましくは0.05〜0.5倍容量の0.1〜2M、好ましくは0.2〜1.0M、最も好ましくは0.2〜0.8Mのベタイン水溶液を添加することにより、ゼオライトにベタイン水溶液を保持させる。次いで、このゼオライトとベタイン水溶液混合物にゼオライトの粒径範囲とは異なる粒径範囲の種子を、該溶液混合物の重量の20〜200%重量を加え混合する。混合には、中心軸で回転可能な円筒型容器(ドラム型容器)であって、内壁に撹拌のための翼を設けたものを中心軸をほぼ水平にして回転させて混合を行う。
その後、得られた混合物を処理種子の発芽温度で(一般的には、10〜15℃程度で)、且つ種子内部で行われる代謝活動が進行するのに要する時間であって、発芽に至る前迄の時間(通常は、1日〜5日間)保持する。
ベタイン水溶液を保持させるための溶液保持材料(媒体)として濾紙を用いる方法では、次のように行うことができる。前記の粒状のゼオライトを使用した場合と同様な濃度のベタイン水溶液に種子を8〜24時間浸漬しておく。一方、前記の粒状のゼオライトを使用した場合と同様な濃度のベタイン水溶液を濾紙に添加し、該濾紙上に種子を濾紙と接触するように薄く均一に広げ播種するかあるいは回転する円筒型容器の内面にベタイン水溶液を吸収させた濾紙を貼り付け、円筒型容器内に種子を入れて回転させる。その後、得られた混合物を処理種子の発芽温度で(一般的には、10〜15℃程度で)、且つ種子内部で行われる代謝活動が進行するのに要する時間であって、発芽に至る前迄の時間(通常は、1日〜5日間)保持する。
なお、本発明の発芽改善方法に適用できる種子は、タマネギ、人参などの野菜種子、テンサイ、デントコーン、牧草種子など、粒径が種々の範囲のどのような種子でも適用できる。
また、ベタイン処理前後に殺菌剤などで種子を処理してもよく、ベタイン処理後にフィルムコーティングや造粒コーティングしてその種子表面にコーティング層を形成させることも可能である。
本発明と従来技術を比較すると次の差異がある。種子の水和処理に水のみを用いる従来の方法では、水和処理後に種子乾燥することにより、施された発芽改善効果の種子の母集団において一部は残るものの一部は消失する。このため乾燥後においても発芽改善効果を維持させるためには、種子水和処理後と乾燥を複数回繰り返さなくてはならず、多くの手間とコストを要する。一方、本発明の発芽改善方法に適用される水和処理では、種子をベタイン水溶液と接触させている点に従来方法と異なり、本発明の発芽改善方法において、工業的に種子の乾燥処理は不可欠であるが、この乾燥処理を施しても発芽改善効果が消失することを防止できる。
次に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(ゼオライトを用いたにんじん種子の水和処理−ベタイン水溶液の各種濃度比較)
直径10.5cm、長さ10cmの円筒型容器(容積0.87L)を水平にして配置し、予め蒸留水に16時間浸漬した、粒径範囲が1.0〜2.0mmのにんじん種子1.0gを該容器内に入れ、さらに、粒径範囲0.1〜0.5mmに篩ったゼオライト120mlに0.1M、0.5M、1.0Mの3種類の濃度のベタイン水溶液を12cc添加して得たベタイン水溶液を保持させたゼオライトを加え、15℃で5日間回転させることにより、ゼオライトに保持されているベタイン水溶液ににんじん種子を接触させて水和処理を行った。
5日後ゼオライトとにんじん種子を篩いで分離し、2時間35℃で乾燥させた後、得られたにんじん種子(ベタイン処理区)、及び上記の水和処理を行わないにんじん種子(無処理区)についてそれぞれ発芽試験を行った。発芽試験は、発芽温度20℃で、発芽試験用ケースに置床して行った(各種子につき、100粒×1ケース)。1日目〜3日目に発芽した個数/100粒の結果を下記の表1に示す。
Figure 2006020558
表1によれば、ベタイン水溶液により水和処理したにんじん種子は、水和処理しない種子に比べ、ベタイン水溶液のどの濃度においても発芽揃いがよく、発芽速度が速いことが分かる。
〔実施例2〕
(ゼオライトを用いたにんじん種子の水和処理−スケールアップ化)
直径28.5cm、長さ26cmの円筒容器(容積16.6L)を水平にして配置し、該容器内に予め0.4Mベタイン水溶液に16時間浸漬した、粒径範囲が1.0〜2.0mmのにんじん種子100gを入れ、粒径範囲0.1〜0.5mmに篩ったゼオライト2400mlに0.4Mベタイン水溶液を190cc添加して得たベタイン水溶液を保持させたゼオライトを加え、15℃で4日間回転させることにより、ゼオライトに保持されているベタイン水溶液ににんじん種子を接触させて水和処理を行った。
4日後ゼオライトと種子を篩いで分離し、24時間25℃で風燥した後、得られたにんじん種子(ベタイン処理区)、及び上記水和処理を行わないにんじん種子(無処理区)についてそれぞれ発芽試験を行った。発芽試験は、発芽温度20℃で、発芽試験用ケースに置床して行った(各種子につき、100粒×3ケース)。1日目〜5日目に発芽した個数/100粒の結果を下記の表2に示す。
Figure 2006020558
表2によれば、ベタイン処理した種子は無処理の種子に比べ発芽揃いがよく発芽速度も早いことが分かる。
〔実施例3〕
(ゼオライトを用いたたまねぎ種子の水和処理−蒸留水とベタイン水溶液の水和処理の比較)
直径10.5cm、長さ10cmの円筒型容器(容積0.87L)を水平にして配置し、粒径範囲が1.5〜2.4mmのたまねぎ種子1.0gを該容器内に入れ、さらに、粒径範囲0.5〜1.5mmに篩ったゼオライト120mlに0.4Mのベタイン水溶液を12cc添加して得たベタイン水溶液を保持させたゼオライトを加え、15℃で5日間回転させることにより、ゼオライトに保持されているベタイン水溶液にたまねぎ種子を接触させて水和処理した(ベタイン処理区)。一方、対照としてゼオライト120mlに蒸留水12ccを添加して得た蒸留水を保持させたゼオライトを加え、上記と同様にしてゼオライトに保持されている蒸留水にたまねぎ種子を接触させて水和処理した(蒸留水処理区)。ベタイン処理区は5日間、蒸留水処理区では3日間回転させて各水和処理を行った。
ベタイン処理区では5日後、蒸留水処理区では3日後に、ゼオライトとたまねぎ種子を篩いで分離し、2時間35℃で乾燥させた後、得られた各たまねぎ種子についてそれぞれ発芽粒率を計測した。発芽粒率は、100粒中の発芽粒数を計測した。その結果を表3に示す。
Figure 2006020558
表3によれば、蒸留水による水和処理中に10%のたまねぎ種子が発芽してしまったが、ベタイン水溶液による水和処理中には、発芽は認められなかった。
次いで、上記工程で得られた蒸留水処理区の未発芽のたまねぎ種子100粒と、ベタイン処理区の未発芽のたまねぎ種子100粒について、発芽試験を行った。発芽試験は、発芽温度20℃で、発芽試験用ケースに置床して行った(各種子につき、100粒×1ケース)。1日目〜3日目に発芽した個数/100粒の結果を下記の表4に示す。
Figure 2006020558
表4によれば、蒸留水による水和処理に比べてベタイン水溶液による水和処理を行った方が、ベタイン水溶液のどの濃度においても発芽揃いが良く、発芽速度も速いことが分かる。
〔実施例4〕
(ベタイン水溶液による水和処理前のたまねぎ種子の浸漬処理の効果)
0.4Mのベタイン水溶液に8時間浸漬したたまねぎ種子と、浸漬処理を行わなかったたまねぎ種子を各々100gを、直径28.5cm、長さ26cmの水平にして配置した各円筒型容器(容積16.6L)内に入れ、さらに、粒径範囲1.0〜1.5mmの範囲に篩ったゼオライト2400mlに0.4Mベタイン水溶液を240cc添加して得たベタイン水溶液を保持させたゼオライトを加え、15℃で5日間回転させることにより、ゼオライトに保持されているベタイン水溶液に種子を接触させた。
5日後ゼオライトと種子を篩いで分離し、24時間25℃で風燥した後、得られた、浸漬処理とベタイン水溶液による水和処理を行った区分(浸漬+ベタイン処理区)と、浸漬処理を行わずにベタイン水溶液による水和処理を行った区分(ベタイン処理単独区)と、比較のために、浸漬処理とベタイン水溶液による水和処理の両方の処理を行わなかった区分(無処理区)のたまねぎ種子についてそれぞれ発芽試験を行った。発芽試験は、発芽温度20℃で、発芽試験用ケースに置床して行った(各種子につき、100粒×3ケース)。1日目〜5日目に発芽した個数/100粒の結果を下記の表5に示す。
Figure 2006020558
表5によれば、ベタイン水溶液中に浸漬処理した後にベタイン水溶液による水和処理したたまねぎ種子は、浸漬処理せずにベタイン水溶液による水和処理した種子に比べて発芽速度が早まることが分かる。
〔実施例5〕
(ベタイン水溶液によるたまねぎ種子の水和処理時に湿った空気を送風する方法)
直径28.5cm、長さ26cmの円筒容器(容積16.6L)を水平にして配置し、該容器内に予め0.4Mベタイン水溶液に16時間浸漬した、粒径範囲が1.5〜2.4mmのたまねぎ種子300gを入れ、粒径範囲0.5〜1.0mmに篩ったゼオライト2400mlに0.4Mベタイン水溶液を220cc添加して得たベタイン水溶液を保持させたゼオライトを加え、湿った空気を該容器内に送り込みながら15℃で7日間回転させることにより、ゼオライトに保持されているベタイン水溶液にたまねぎ種子を接触させて水和処理を行い、7日後ゼオライトと種子を篩いで分離し、24時間25℃で風燥した後、たまねぎ種子(送風処理区)を得た。また、湿った空気の送風を行わないことを除き、他の条件を同一にしてたまねぎ種子(無送風処理区)を得た。また、対照としてベタイン水溶液による水和処理、及び送風処理を行わないで他の条件を同一にしてたまねぎ種子(無処理区)を得た。
7日後ゼオライトと種子を篩いで分離し、24時間25℃で風燥した後、得られた各々の処理のたまねぎ種子についてそれぞれ発芽試験を行った。発芽試験は、発芽温度20℃で、発芽試験用ケースに置床して行った(各種子につき、100粒×3ケース)。発芽試験の結果を表6に示す。
Figure 2006020558
表6によれば、本実施例の送風処理区の種子のベタイン水溶液による水和処理において、処理される種子は前記実施例5に比べて3倍量であるが、前記実施例4と同一の容器でこのように種子量を多くしても、本実施例5の送風処理を行えば、無送風処理区のベタイン水溶液処理に比べて、種子揃いがよく、発芽速度も速いことから、大量の種子の水和処理が可能であることが分かる。
〔実施例6〕
(ゼオライトを用いたてん菜種子の水和処理)
直径28.5cm長さ26cmの円筒容器(容積16.61)を水平にして配置し、該容器内に予め0.4Mベタイン水溶液に16時間浸漬した、粒径範囲が2.7〜3.0mmのてん菜種子100gを入れ、粒径範囲0.5〜1.0mmに篩ったゼオライト2400mlに0.4Mベタイン水溶液を190cc添加して得たベタイン水溶液を保持させたゼオライトを加え、15℃で4日間回転させることにより、ゼオライトに保持されているベタイン水溶液にてん菜種子を接触させて水和処理を行った。4日後ゼオライトと種子を篩いで分離し、24時間25℃で風燥し、発芽試験を行った。比較のため水和処理を行わなかったてん菜種子(無処理区)についても発芽試験を行った。発芽試験は、発芽温度20℃で、発芽試験用ケースに置床して行った(各種子につき、100粒×3ケース)。1日目〜5日目に発芽した個数/100粒の結果を下記の表7に示す。
Figure 2006020558
ベタイン処理した種子は無処理の種子に比べ発芽揃いがよく発芽速度も速いことが分かる。
〔実施例7〕
(濾紙を用いたたまねぎ種子の水和処理)
直径28.5cm長さ26cmの円筒容器(容積16.61)の内面に濾紙を貼り付け、これに、0.4Mベタイン水溶液50ccを加えた。この中に0.4Mベタイン水溶液に8時間浸漬したたまねぎ種子100gを入れ、15℃で6日間回転させ、濾紙に保持されているベタイン水溶液をたまねぎ種子に接触させて水和処理をおこなった。
6日後、円筒容器から種子を取り出し、24時間25℃で風燥した後、発芽試験を行った。比較のため水和処理を行わなかったたまねぎ種子(無処理区)についても発芽試験を行った。発芽試験は、発芽温度20℃で、発芽試験用ケースに置床して行った(各種子につき、100粒×3ケース)。結果を下記の表8に示す。
Figure 2006020558
表8によれば、蒸留水により水和処理した種子は乾燥により処理の効果が低減したが、ベタイン水溶液により水和処理した種子は乾燥によって効果が低減せず、発芽揃いがよく発芽速度も速いことが分かる。
本発明の発芽改善方法を播種前の種子に施すことにより、得られた種子は、播種後の種子の迅速且つ斉一な発芽や、不良環境下での発芽率が改善される。

Claims (10)

  1. 種子をベタイン水溶液と、種子の活力を増進するには充分であるが発芽を起こさせるには不充分な時間と温度にて、接触させることを特徴とする種子の発芽改善方法。
  2. 前記種子が、水及びベタイン水溶液から選ばれた液体に予め浸漬処理されたものである請求項1に記載の種子の発芽改善方法。
  3. ベタイン水溶液と種子を接触させる方法は、ベタイン水溶液を保持している溶液保持材料と種子を接触させる請求項1又は2に記載の種子の発芽改善方法。
  4. ベタイン水溶液と種子を接触させる方法は、ベタイン水溶液を保持している粒状の溶液保持材料と種子とを容器内で混合して行う請求項3に記載の種子の発芽改善方法。
  5. ベタイン水溶液と種子を接触させる方法は、ベタイン水溶液を保持しているシート状の溶液保持材料を内側に積層した容器内で種子を転動させて行う請求項3に記載の種子の発芽改善方法。
  6. 種子を収容している容器を回転させることにより行う請求項4又は5に記載の種子の発芽改善方法。
  7. 種子を収容している容器を回転させることにより、空気を積極的に種子に触れさせることを特徴とする請求項6に記載の種子の発芽改善方法。
  8. ベタイン水溶液と種子を接触させる際の雰囲気が、加湿した酸素含有気体雰囲気である請求項1乃至7の何れか1項に記載の種子の発芽改善方法。
  9. 前記粒状の溶液保持材料の粒径範囲は、種子の粒径範囲と異なることを特徴とする請求項4に記載の種子の発芽改善方法。
  10. 前記溶液保持材料が吸水性資材であることを特徴とする請求項3乃至8の何れか1項に記載の種子の発芽改善方法。
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