JPH09220002A - 種子の発芽改善方法 - Google Patents
種子の発芽改善方法Info
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Abstract
取扱いが容易で、且つ処理廃棄物、廃液も発生させない
種子の発芽改善方法を提供する。 【解決手段】 水を吸収した吸水性シート状材料を運動
させることにより、該吸水性シート状材料と種子とを接
触させて、種子の活力を増進するには充分であるが発芽
をおこさせるには不充分な時間と温度で、種子を水和処
理する。
Description
和処理することにより発芽を改善する方法に関する。さ
らに詳しくは、播種後の種子の迅速且つ均一な発芽や不
良環境下での発芽率の改善などを目的とし、播種前の種
子に施す種子水和処理技術に関する。
等の環境条件が適当な状態に揃った場合、一定の期間を
経て発芽に至る。
間に、種子内部では様々な生化学的代謝が行われてい
る。その期間の長さは、種子個々の充実度や作物の種類
によって、また温度や水分等の環境要因によって異な
る。この発芽準備期間を短縮し、迅速且つ均一な発芽を
もたらすことにより、不良環境条件下での発芽能力の向
上や育苗管理の簡便化、機械化等が容易となり、大規模
な営利栽培においては生産コストの削減や省力化、作物
生産の安定化等の利点が得られる。そのため、種子の発
芽能力を向上する様々な技術が開発考案され、そのいく
つかは実用化されてきた。例えば、連続的に通気された
高浸透圧水溶液中で種子を処理する方法(以下、プライ
ミングと記す、ハイデッカーとクールベア、1977、
Seed Scienceand Technolgy.5;353-425)や水分保持力
の高い粒状固体に水分を吸収させ種子と混合して処理す
る方法(以下、ソリッド・マトリックス・プライミング
と記す、特開平1−503437号)、あるいは回転す
るドラム内の種子に水を直接噴霧し種子水分量を調節す
る方法(以下、ドラム・プライミングと記す、GB−2
192781A)、さらには種子の含水率を高めるよう
に種子に水を含浸し、その後、相対湿度、温度を制御し
た環境に種子を保持する方法(以下、ハイドロ・プライ
ミングと記す、フジクラとカールセン、1993、Seed
Science and Technolgy.21;639-642;特開平7−289
021号)等が知られている。
れも発芽能力向上には同等の効果が認められているが、
それぞれ次のような欠点を有している。
ことや水溶液への通気不充分となること、大量の水溶液
から種子を分離する作業や分離後の種子乾燥作業が煩雑
になること、さらに処理後の水溶液の廃棄による環境汚
染などの課題を有している。また、この方法において通
気操作を避けるために、単に高浸透圧水溶液を吸水した
吸水材料の上に種子を静置する方法もあるが、その方法
は種子を吸水性表面に一層に並べるだけであり、工業的
な処理方法としては不適である。
は使用する粒状固体が種子に付着して残り、確実な種子
との分離が難しい、あるいは処理後の固体廃棄物の処分
などの課題を有している。
調節を行うには精密な機械制御が必要となり、機械設備
や操作が実質的には複雑化し、種子処理コストが非常に
高くなることや処理中の種子に液状の水で水分を供給す
るため一時的に過剰な水分が種子に付着しやすい。
操作自体は簡便であるが、水分を吸収させた種子を保持
する環境、特に相対湿度を制御する装置を必要とし、ま
た処理種子全体を均一な状態で保持することに課題があ
り、いずれの方法においても多くの解決すべき課題を有
しているのが現状である。
処理後の種子の取扱いが容易で、且つ処理廃棄物、廃液
も発生させない種子の発芽改善方法を提供する処にあ
る。
た種子の水和処理技術を検討した結果、吸水性シート状
材料を用い、それを運動させて種子と接触させることに
より、上述の課題が解決され、発芽の改善はもとより、
工業化し易く、廃液、廃棄物の発生がない種子水和技術
を見出し、本発明を完成した。
水を吸収した吸水性シート状材料を運動させることによ
り、該吸水性シート状材料と種子とを接触させて、種子
の活力を増進するには充分であるが発芽をおこさせるに
は不充分な時間と温度で、種子を水和処理するものであ
る。
触は、必ずしも連続的である必要はなく、該接触には、
該吸水性シート状材料の運動によって断続的又は間欠的
に吸水性シート状材料が種子と接触する場合も含まれ
る。
吸水性シート状材料を用いて構成された容器内に種子を
入れ、該容器を運動させることにより種子の水和処理を
することが好ましい。
おいては、吸水性シート状材料を用いて構成された撹拌
器具で種子を撹拌することにより種子の水和処理をする
ことが好ましい。
媒体として吸水性シート状材料を用い、この吸水性シー
ト状材料に吸収させる水分量と処理種子量を調節するこ
とにより、吸水性シート状材料と接触する種子の含有水
分率を20〜50%生重量(自然の状態での種子の重量
に対する種子の含有水分量の割合を百分率で表した値)
に維持する。
種子に比べ大量の水溶液を使用する必要はなく、酸素供
給が簡便で、処理後の種子乾燥が容易である。またソリ
ッド・マトリックス・プライミングのように粒状固体を
種子と混合しないため、処理後の種子と吸水性シート状
材料との特別な分離操作の必要がなく、種子への固体付
着の問題もない。さらにこれら2方法では処理後に廃
液、廃棄物が発生するが、本発明では処理に使用した吸
水性シート状材料の再使用が可能である。また、ドラム
・プライミングのように処理中に一時的に過剰な水分が
付着したり、あるいはまた、ハイドロ・プライミングの
ように処理開始時において急激に種子に水分を供給する
ことがないため、種子に与えるダメージが小さい。
を運動、例えば回転、振動、傾斜、撹拌などさせること
により、種子をシートや粉末などの固体上に静置する場
合に比べて極めて大量の種子を均一に水和処理すること
ができる。
理することが可能な種子としては、例えばタマネギ、ネ
ギ等のユリ科作物、ニンジン、セルリー、ミツバ等のセ
リ科作物、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、ダイコ
ン、ナタネ等のアブラナ科作物、レタス、サラダナ、シ
ュンギク、ゴボウ、ヒマワリ等のキク科作物、ホウレン
ソウ、フダンソウ等のアカザ科作物、トマト、ナス、ピ
ーマン、トルバム、アカナス、タバコ等のナス科作物、
キュウリ、メロン、スイカ、カボチャ、カンピョウ等の
ウリ科作物、トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ等
のイネ科作物、エンドウ、ソラマメ、インゲン、ダイズ
等のマメ科作物等の食用及び飼料用、工芸作物、および
パンジー、アフリカホウセンカ、ユーストマ、ナデシ
コ、ベゴニア、ゼラニュウム、シクラメン等の花卉類種
子等を挙げることができる。
材料は、水吸収性を有するシート状材料であり、その水
分保持および吸水機構は、毛管力のように物理的なもの
や高吸水性ポリマーのように化学的な原理に基づくもの
等いずれでもかまわない。この吸水性シート状材料の水
吸収力は特に限定されないが、その水吸着力が通常の乾
燥種子の水吸収力よりも小さければよい。
る場合には、その孔隙の大きさが処理対象の種子の大き
さよりも小さく、種子がこの孔隙に捕捉されなければよ
い。
クロンのフィルム状のものから、10mm程度の厚さの
ものが用いられる。好ましくは20μ〜3mm程度が実
際上使用しやすい。
ば、親水性多孔質焼結樹脂等の親水性多孔質樹脂、尿素
樹脂、ロックウール、高吸水性ポリマー、セラミック
ス、および硬質もしくは軟質スポンジ状物質等よりなる
シート状材料、または、不織布、フェルト状の布、セロ
ハン等の半透性膜等が挙げられる。望ましくは、表面の
濡れが少なく、水滴等を直ちに内部に吸水し、種子と接
触して過剰な水分が種子表面に付着しない材料が好まし
い。
シート状材料と種子とを接触させる方法としては、上記
のように、吸水性シート状材料を用いて構成された容器
内に種子を入れ、該容器を運動させる方法、あるいは、
吸水性シート状材料を用いて構成された撹拌器具で種子
を撹拌する方法などがある。これらの容器及び撹拌器具
は、吸水性シート状材料と種子とが、該吸水性シート状
材料の運動によって接触する形態であれば、如何なるも
のであってもよい。また、その接触も上記のように必ず
しも連続的でなくてもよい。
該吸水性シート状材料を全面的あるいは部分的に設置し
たもの、あるいは該吸水性シート状材料そのものからな
るもの等が挙げられ、また、その形状は、円柱状、角柱
状、球状、椀状など特に限定されない。そして、それを
運動させるとは、これらの容器を回転、振動、傾斜等さ
せることをいい、これにより該吸水性シート状材料と種
子との接触が図れる。
器内の種子を撹拌するプロペラ、スクリュー等の器具に
該吸水性シート状材料を設置したもの、あるいは該吸水
性シート状材料そのものでできた器具等が挙げられる。
そして、該撹拌器具で種子を撹拌することにより、該吸
水性シート状材料と種子との接触が図れる。
な開放部があればそれで充分であるが、外部から容器内
に酸素含有気体を供給してもよい。
しては、種子の発芽に障害を及ぼさないものであれば、
特に限定されず、種子伝染性病害防除のためや発芽代謝
過程を促進したり、処理後の発芽力をさらに向上させる
ために、さまざまな物質を添加することができる。これ
らの物質には、例えば、殺菌剤、ジベレリン、サイトカ
イニン、アブシジン酸、ブラシノステロイド等の植物ホ
ルモン、硝酸カリウム、チオ尿素、アミノ酸類、糖類等
の植物栄養分が挙げられる。必要に応じてこれらの物質
の水溶液を前記吸水性シート状材料に吸収させれば良
い。
持する水分を種子が一定量吸収するということであるか
ら、吸水性シート状材料に吸収させる水分量は、吸水性
シート状材料の水吸着力と処理対象種子の水吸収力との
関係に影響される。すなわち、必要な水分量は、使用す
る吸水性シート状材料の種類や処理対象種子の種類、ロ
ットの状態等により変化するため、特に限定することは
できない。しかしながら、大量処理を行う前に予備試験
を行うことにより簡便に決定することができる。
状材料に水を吸収させる方法としては、該吸水性シート
状材料に予め測定した量の水を吸収させておき種子を加
える方法や、処理中に種子水分含有率を測定し、目標水
分率になるように該吸水性シート状材料に水を加える方
法等が挙げられる。
対象の種子の種類等によって異なるが、おおよそその種
子の発芽適温又はそれより数℃低い温度で行うのがよ
い。また、処理時間は、処理対象の種子の種類等によっ
て異なるが、おおよそその種子内部で行なわれる代謝活
動が進行するのに要する時間、通常は処理対象種子の播
種から発芽に至るまでに要する時間±αであり、予備試
験により適切な時間を設定することは容易である。
ら取り出して通常の種子乾燥を行うこともできるし、そ
のまま水供給を停止するか、又は乾燥した環境に置くこ
とによっても種子乾燥ができる。この際、種子には該吸
水性シート状材料が付着しないため取扱いが極めて簡便
である。
子をフィルムコートやペレット化してもよい。
明するが、本発明はこれらの実施例に何等限定されるも
のではない。
0、2mm厚シート、20×10cm、旭化成工業株式
会社製)により、図1(a)に示すように、円筒形の容
器(1) を作成し、該樹脂の含有水分率が25重量%にな
るように水を加えた。
L.)種子(2) (含有水分率8%生重量)を該容器(1) に
入れた状態で全体をポリエチレンフィルム(3) で被覆
し、両端の開放部に直径1cmの通気口(4)(4)を開け
た。
(1) を、図1(b)に示すように、2本の回転軸(5)(5)
上に載置し、両回転軸(5)(5)を回転させることにより、
25℃の温度条件のもと3rpmで回転させて、5日間
水和処理を行った。5日目の種子の含有水分率は38%
生重量であった。この水和種子を30℃の空気での通風
乾燥により含有水分率8%生重量まで乾燥させ、発芽改
善種子を得た。
ール)スポンジ(プラスセーム、1mm厚シート、鐘紡
株式会社製)でアルミニウム製の板(3×10cm)を
全面的に被覆して撹拌板(11)を形成し、該撹拌板(11)の
上端部にモータ(12)に接続された支軸(13)を取付けて撹
拌器具を作成した。そして、撹拌板(11)のスポンジに水
を加えて含有水分率が70重量%になるように調整し
た。
あるポリエチレン製の容器(14)に、50gのタマネギ(A
llium cepa L.)種子(15)(含有水分率10%生重量)を
入れ、水を吸収させた撹拌板(11)を種子(15)に挿入し、
通気孔(16)として支軸(13)の周囲に5mmの隙間を残し
てポリエチレンフィルム(17)で被覆した。
させ、20℃の温度条件のもと4日間行った。4日目の
種子の含有水分率は35%生重量であった。この水和種
子を実施例1の乾燥方法により含有水分率10%生重量
まで乾燥させ、発芽改善種子を得た。
ロ株式会社製、20×30cm)を10分間、水に浸漬
し充分に吸水させた。次に、該フィルム(21)を、図3に
示すように、上方に開口する透明なプラスチック製の箱
(22)(20×30×5cm)の底部に敷設し、微細種子
であるユーストマ(Eustma russellianumG. Don)種子(2
3)(含有水分率6%生重量)20gを該箱(22)に入れ、
その上面をポリエチレンフィルム(24)で被覆した。
を、水平方向に振とうさせる振とう機(25)上に載置し
て、18℃の温度条件で6日間、ゆっくりと振とうさせ
て行った。6日目の種子の含有水分率は36%生重量で
あった。この水和種子を実施例1の乾燥方法により含有
水分率6%生重量まで乾燥させ、発芽改善種子を得た。
ある未処理種子とを、それぞれ400粒シャーレに置床
し発芽試験を行った。試験方法は国際種子検査規定(1
993年)に準じて行った。その結果を表1に示す。
子は、未処理種子に比べて明らかに発芽が迅速且つ均一
であった。
ある未処理種子とを、それぞれ400粒、慣行法に従っ
てビニールハウス内の播種床に播種し、種子の発芽試験
を行った。その結果を表2に示す。
子は、未処理種子に比べて明らかに発芽が迅速且つ均一
であった。
ある未処理種子とを、それぞれ400粒、慣行法に従っ
て406穴のセル成型苗用トレイに播種し、発芽試験を
行った。その結果を表3に示す。
子は、未処理種子に比べて明らかに発芽が迅速且つ均一
であった。
易に大量の種子の発芽を改善(発芽の迅速化及び均一
化)することができるとともに、発芽改善処理後に廃液
や廃棄物が発生することがない。
の図であって、(a)は、当該方法に用いる容器の斜視
図であり、(b)は、発芽改善処理状態を示す要部欠截
斜視図である。
善処理状態を示す斜視図である。
善処理状態を示す要部欠截斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 水を吸収した吸水性シート状材料を運動
させることにより、該吸水性シート状材料と種子とを接
触させて、種子の活力を増進するには充分であるが発芽
をおこさせるには不充分な時間と温度で、種子を水和処
理する種子の発芽改善方法。 - 【請求項2】 吸水性シート状材料を用いて構成された
容器内に種子を入れ、該容器を運動させることにより種
子の水和処理をすることを特徴とする請求項1に記載の
方法。 - 【請求項3】 吸水性シート状材料を用いて構成された
撹拌器具で種子を撹拌することにより種子の水和処理を
することを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 【請求項4】 前記吸水性シート状材料が親水性多孔質
樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
法によって処理された種子。
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---|---|---|---|
JP02968796A JP3680403B2 (ja) | 1996-02-16 | 1996-02-16 | 種子の発芽改善方法 |
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JPH09220002A true JPH09220002A (ja) | 1997-08-26 |
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-
1996
- 1996-02-16 JP JP02968796A patent/JP3680403B2/ja not_active Expired - Fee Related
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