JP2013503629A - 種子の制御された湿潤化 - Google Patents

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Abstract

本発明は、コーティングされた種子を調製する方法において、発芽していない種子を用意すること、及び
a)該種子を1以上のバインダー及び1以上の活性成分を含むコーティング組成物でコーティングすること、及びb)該種子を液体中で濡らすこと、ここで該液体は、発芽を誘発するのに十分な量の水を含み、該水の量は、該種子の発芽の前に種子により実質的に全ての水が吸収されるような量である、を含む、前記方法に関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、被覆された種子を製造する方法、及び該方法により得られ得る被覆された種子に向けられる。
様々な理由から、種子にコーティングを与えることは望ましい。そのようなコーティングは、例えば種子を損傷から保護し又は塵を減らし又は流動性を増すことにより植物の能力を改良し得る。有利には、コーティングは、種子及び/又は種子から出てくる苗を例えば真菌又は細菌からの病気に対して保護すること又は昆虫又は線虫からの伝染病に対して種子を保護することにおいて助けとなることができる活性成分を含むことができる。さらに、種子及び/又は出てくる苗にとって有利である活性成分、例えば栄養又は成長制御因子、を含むコーティングを施与することが可能である。さらに、種子のコーティングは、例えば着色された及び/又は反射する外観を種子に与えることにより種子の外観を変化させるために施与され得る。
他方、種子が水を吸収できるように、種蒔の前に水又は水性溶液に種子を浸すことが有利であることができる。そのような種子(特に特定のタイプの種子、例えばイネの種子)を濡らすことは、一般的により速くかつより均一な発芽、より均一な植物の生え方(plant stand)及びより素早い植物の確立をもたらす。慣用的に、種子を濡らすことは大過剰の水に種子を浸すことにより行われ、その過剰の水は該浸す処理の後に排水される。
コーティングと種子の湿潤化を一つにするときに直面する問題の一つは、その中に含まれている活性成分を含むコーティングが過剰の水において浸している間又は排水の間に流れ去ることである。これは種子上の活性成分の総活性をかなり低下させる。浸す条件によっては、活性成分が完全に失われる可能性さえある。
この問題を、国際公開第2005/077169号パンフレットに記載されているようにコーティングの段階と浸す段階とを逆にすることにより解決することはできない、なぜなら、各農家がコーティングの装置を有する必要があるからである。さらに、浸した後は、種子はコーティング段階の間の機械的応力に対してずっと弱くなる。さらに、浸されて濡らされた種子に施与されることのできるコーティング液(スラリー)の量は、限られている。
上記の問題を解決するための他の試みがされてきた。例えば、最初に種子を水に浸し、そして発芽後に、種子に活性成分を含む溶液を噴霧することが公知である。しかし、これは典型的には、種子上での活性成分の所望されない不均一な分布をもたらす。
欧州特許出願公開第0904681号Aは、水の含有量が半透膜を使用することにより制御される、種子を処理するための方法を記載している。水の含有量は発芽が可能である以上のレベルより下に保たれる。
種子と該種子を濡らす浸透性の物質との間の接触はなく、該種子は該処理の後に乾燥される必要がある。この文献は、発芽を誘発するために必要な水の全てが基本的に種子の発芽の前に吸収されるべきであることを明示的に教示しているわけではない。さらに、この文献は、該種子を濡らす前に該種子をコーティングすることを教示していない。
本発明の目的は、上記の問題への解決策を提供すること、及び1以上の活性成分を含むコーティングで種子をコーティングすることと種子を濡らすこととの組み合わせを許す方法を提供することである。
本発明者らは、種子を浸すために使用される水の量が、種子が吸収できる水の量に合わせられているとき、種子のコーティングにおいて活性成分が失われない(あるいはほとんど失われない)という洞察に到達した。
従って、第一の特徴において、本発明は、コーティングされた種子を調製する方法において、該方法が
発芽していない種子を用意すること、及び
a)該種子を1以上のバインダー及び1以上の活性成分を含むコーティング組成物でコーティングすること、及び
b)発芽を誘発するのに十分な量の水の中で該種子を濡らすこと、ここで該水の量は、該種子の発芽の前に種子により実質的に全ての水が吸収されるような量である、
前記方法に向けられる。
基本的に全ての水が種子により吸収されるような量の水を使用することにより、本発明者らは、該種子から活性成分は全く(又はほとんど)洗い流されないことを驚いたことに見出した。従って、本発明の方法は、種子コーティングの長所と種子を濡らすことの長所とを組み合わせることを許し、該組み合わせはこれまでは達成されていなかった。
用語「種子コーティング」は、本明細書において、種子が1以上のコーティング層で処理される任意の方法を指すことが意味される。この用語は、フィルムコーティング(ポリマーフィルムの連続又は不連続層の施与)を含むばかりでなく、ペレット化(種子の重さを実質的に増加させ、種子の植物能力を改良するために、不活性物質の1以上の層の付着)、及びそれらの組み合わせをもまた含む。
本明細書において使用される用語「種子を濡らすこと」は、種子が液体を吸収するように導かれる任意の方法を指すことが意味される。従って、該種子は、液体と直接、接触する。該液体は、好ましくは、任意的に栄養素、遺伝子取り出し剤(gene eliciting agent)、例えばハルピンタンパク質(ハルピンとしてプラントヘルスケアから市販入手可能)、キトサン五糖類(YEA!(商標)としてアグリハウスから市販入手可能)、又はリポキトオリゴ糖(オプティマイズ(商標)LCOとしてEMDから市販入手可能)、保護剤、成長調節剤等を任意的に含んでいてもよい水又は水性溶液である。
本明細書において使用される用語「活性成分」は、植物又は植物の種子にとって様々に有利である任意の成分を指すことが意味される。この文脈において植物又は植物の種子はペレット化された種子、真の種子、植物の苗、根茎、植物の切断物又は植物の一部(例えば馬鈴薯の塊茎又は花の球根)を含む。
本明細書において使用される用語「発芽」は、胚の軸がその周囲の構造から出てくる過程を指すことが意味される。通常、これは種皮又は果皮(pericarp)から出てくる幼根に相当する。
本明細書において使用される表現「発芽を誘発する」は、発芽していない種子の水の吸収による、発芽(幼根の出現)のために必要とされる種子内での生理学的プロセス(例えば呼吸、たんぱく合成、DNA複製等)の開始を含む。
本発明の方法に従って、発芽していない種子が用意される。これは任意の種類の種子であってよい。該種子は準備されていてもいなくてもよい(primed or unprimed)。さらに、該種子は、単子葉植物目又は双子葉植物目からのものであることができる。単子葉植物目からの好ましい例はイネの種子である。より好ましくは、該種子はOryza sativa japonica、Oryza glaherrima javanica、Oryza sativa indica、Zizania palustris、及びそれらの交配種からなる群から選択されたイネの種子である。双子葉植物目からの好ましい例は、菜種油である(Brassica napus)。
任意的に、該種子は、外皮を剥ぎ取られていてもよい(いわゆる脱穀された(husked)種子又は皮を剥がした(de−hulled)種子)。これは双ロールを使用して行われ得る。より具体的には、完全なままの種子が、ロールの間に所定の隙間を有する双ロールの間を通過されることができ、該双ロールのうちの一つは他のロールの回転速度及び回転方向と異なる回転速度及び回転方向を有する。これは、2つのロールと完全な種子との間に適切な摩擦を起こし、該種子から殻を除く。もしこの操作が種子から殻を完全には除かないならば、操作は繰り返されてもよい。回転速度及び双ロールの隙間は当業者により適切に決められ得る。例えば国際特許出願公開第01/78507号パンフレットに記載されているように、そのような種子の殻取りはイネの種子の場合特に適切である。
該種子は、1以上のバインダー及び1以上の活性成分を含むコーティング組成物でコーティングされる。慣用のコーティング手段が種子をコーティングするために採用され得る。種々のコーティング機械が当業者に入手可能である。いくつかの周知の技術は、ドラムコーター、流動床技術、回転式コーター(乾燥が統合されたもの及びされていないもの)及び苗床の使用を含む。さらに、フィルム形成性組成物で種子をフィルムコートすることが可能である。フィルムコーティングは、種子に直接施与されることができるが、既にコーティングを有する種子上にオーバーコーティングとして施与されることもできる。
該コーティング組成物は、1以上のバインダーを含む。多くの適切なバインダーが公知である。バインダーは、例えばポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリウレタン、セルロース(エチルセルロース及びメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルプロピルセルロースを含む)、ポリビニルピロリドン、デキストリン、マルトデキストリン、多糖類、脂肪類、油類、タンパク質、アラビアゴム、シェラック、塩化ビニリデン、塩化ビニリデンコポリマー、リグノスルホン酸カルシウム、アクリルコポリマー、澱粉、アクリル酸ポリビニル、ゼイン、カゼイン、ゼラチン、キトサン、プルラン、ポリエチレンオキサイド、ビニル酢酸エチレン、アクリルアミドポリマー及びコポリマー、アクリル酸ポリヒドロキシエチル、メチルアクリルアミドモノマー、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、アルギン酸ナトリウム、ポリクロロプレン及びシロップからなる群から選択されることができる。また、ワックス、例えばカルナウバワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ビーズワックス、及びポリプロピレンワックスもバインダーとして使用されることができる。これらのバインダーは、単独で又は2以上の組み合わせとして使用され得る。好ましいバインダーは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類(例えば澱粉)、タンパク質、ポリエチレングリコール、及びポリビニルピロリドンを包含する。
コーティング組成物中のバインダーの量は、通常、種子1kg当たり0.1〜100g、好ましくは種子1kg当たり0.5〜50g、より好ましくは種子1kg当たり1〜20gである。コーティング組成物の総重量に基づくと、コーティング組成物中のバインダーの量は1重量%以上、好ましくは10重量%以上、かつ80重量%以下、好ましくは60重量%以下である。
コーティング組成物は、さらに、1以上の活性成分を含む。活性成分の適切な例は、抗真菌剤、殺バクテリア剤、殺虫剤、殺線虫剤、殺軟体動物剤、及び他の殺生物剤である。さらなる活性成分は、殺菌剤、殺微生物剤及び殺齧歯動物剤、殺雑草剤(除草剤)、誘引剤、防虫剤、植物成長制御剤(例えばジベレリン酸、オーキシン又はサイトカイニン)、栄養素(例えば硝酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄キレート)、植物ホルモン、ミネラル、植物抽出物、ダニ駆除剤、又はダニ殺虫剤、軟体動物駆除剤、発芽促進剤、フェロモン類、生物学的製剤、キトサン、キチンをベースとする製剤等を包含する。
使用される活性剤の量は、もちろん、活性剤のタイプ及び使用される種子のタイプに大きく依存する。しかし、通常は、1以上の活性成分の量は種子1kg当たり0.001〜200gの範囲である。当業者は、活性剤及び使用される種子のタイプに依存して活性剤の適切な量を決めることができる。
典型的な殺真菌剤は、カプタン(N−トリクロロメチル)チオ−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド)、チラム(テトラメチルチオぺルオキシジカルボン酸ジアミド;Proseed(商標)として市販入手可能)、メタラキシル(メチルN−(2,6−ジメチルフェニル)−N−(メトキシアセチル)−DL−アラニネート)、フルジオキソニル(4−(2,2−ジフルオロ−l,3−ベンゾジオキソール−4−イル)−l−H−ピロール−3−カルボニトリル;Maxim(商標)XLとしてメフォノクサムとの混合物として市販入手可能)、ジフェノコナゾール(Dividend(商標)3FSとして市販入手可能)、カルベンダジムイプロジオン(Rovral(商標)として市販入手可能)、イプコナゾール、メフォノクサム(Apron(商標)XLとして市販入手可能)、テブコナゾール、カルボキシン、チアベンダゾール、アゾキシストロビン、プロクロラズ及びオキサジキシル(N−(2,6−ジメチルフェニル)−2−メトキシ−N−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)アセトアミド)を包含する。殺真菌剤は、種子コーティング組成物中にコーティングされた種子の総重量に基づいて0.0001〜10重量%の量で含まれることができる。
典型的な殺生物剤は、ストレプトマイシン、ペニシリン、テトラサイクリン、アンピシリン、及びオキソリン酸を包含する。
典型的な殺虫剤は、ピレスロイド、有機ホスフェート、カラモイルオキシム、ピラゾール、アミジン、ハロゲン化炭化水素、ネオニコチノイド、及びカーバメート、及びそれらの誘導体を包含する。殺虫剤の特に適切な種類は、有機ホスフェート、フェニルピラゾール及びピレスロイドを包含する。好ましい殺虫剤は、テルブホス、クロロピリホス、フィプロニル、クロロエトキシホス、テフルトリン、カーボフラン、イミダクロピリド、及びテブピリムホスとして公知のものである。市販入手可能な殺虫剤は、イミダクロピリド(Gaucho(商標)として市販入手可能)及びクロチアニジン(バイエルからPoncho(商標)として市販入手可能)、チアメトキサム(SyngentaからCruiser(商標)として市販入手可能)、及びフィプロニル(BASFからRegent(商標)として市販入手可能)を包含する。
市販入手可能な殺線虫剤は、アバメクチン(SyngentaからAvicta(商標)として市販入手可能)チオジカーブ(BayerからAeris(商標)として市販入手可能)を包含する。
典型的な殺軟体動物剤は、メタアルデヒド(LonzaからMeta(商標)として入手可能)又はニクロスアミド(BayerからBayluscide(商標)として市販入手可能)を包含する。
コーティング組成物は、更なる成分、例えば濡らしかつ分散化させる剤(顔料分散剤ともまた呼ばれることがある)、フィラー、溶媒、増粘剤、着色剤、抗発泡剤、殺生物剤、界面活性剤、及び効果顔料、を含むこともできる。
濡らしかつ分散化させる剤は、種子コーティング組成物に無機粒子を混合することにおいて助けとなることができ、さらに、コーティングされた種子の流動性にプラスの効果を有することができる。適切な濡らしかつ分散化させる剤はイオン及び非イオン性の製品を包含し、有機変性されたポリアクリレート、ポリアクリレート、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリウレタン、リン酸エステル、星形ポリマー、及び/又は変性されたポリエーテルを包含する。濡らしかつ分散化させる添加剤は、例えば無機粒子の総重量に基づいて0〜40重量%の量で本発明の種子コーティング組成物に存在することができる。
適切な増粘剤は、寒天、カルボキシメチルセルロース、カラギーン、キチン、フコイダン、ガッチ(ghatti)、アラビアゴム、カラヤ、ラミナラン、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギネート、グアーガム、キサンタンガム、及びトラガント、ベントナイト粘土、HEUR(疎水性に変性された、エトキシレート化されたウレタン)増粘剤、HASE(疎水性に変性された、アルカリ膨潤可能なエマルジョン)増粘剤及びポリアクリレートを包含する。ガム類は、その低コスト、入手性、及び得られるフィルムの物理的性質を強化する優れた能力のために一般的に好ましい。
適切な着色剤は、染料又は顔料化された着色剤であることができる。適切な染料は、アントラキノン、トリフェニルメタン、フタロシアニン、及びそれらの誘導体及びジアゾニウム塩を包含する。着色剤は、顔料、例えばピグメントレッド112(CAS No.6535−46−2),ピグメントレッド2(CAS No.6041−94−7),ピグメントレッド48:2(CAS No.7023−61−2),ピグメントブルー15:3(CAS No.147−14−8),ピグメントグリーン36(CAS No.14302−13−7),ピグメントグリーン7(CAS No.1328−53−6),ピグメントイエロー74(CAS No.6358−31−2),ピグメントオレンジ5(CAS No.3468−63−1),ピグメントバイオレット23(CAS No.6358−30−1),ピグメントブラック7(CAS No.97793−37−8),及びピグメントホワイト6(CAS No.98084−96−9)を包含する。着色剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて0〜50重量%の量で種子コーティング組成物中に存在し得る。
適切な抗発泡剤は、ポリエチレングリコール、グリセリン、鉱物油消泡剤、シリコーン消泡剤、及び非シリコーン消泡剤(例えばポリエーテル、ポリアクリレート)、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)、アリールアルキド変性ポリシロキサン、フュームドシリカを含むポリエーテルシロキサンコポリマーを包含する。抗発泡剤は、コーティング組成物の総重量に基づいて、0.1〜0.3重量%の量で本発明の種子コーティング組成物中に存在し得る。
適切な効果顔料は、種々の粒子サイズの真珠光沢顔料を含む。15μm以下の粒径、又は60μm以下の粒径を有する効果顔料が一般的に使用される。効果顔料の粒径は、通常、200μm以下、好ましくは100μm以下である。一般的に、効果顔料の粒径は、1μm以上である。別の効果顔料はアルミニウムであることができる。すべての効果顔料は種子上に良好な化粧的な外見を作り出すために一般的に使用される。
殺生物剤は、種子に施与される前に、例えば貯蔵されるときに、種子コーティング組成物の棚寿命を延ばすために、本発明の種子コーティング組成物に含まれることができる。適切な殺生物剤は、MIT(2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン,CAS No.2682−20−4)及びBIT(l,2−ベンズイソチアゾリン3−オン;CAS No.2632−33−5)を包含する。
一つの実施態様において、該コーティング組成物は、種子に光を反射する外観、例えば国際特許出願公開第03/003812号に記載されている外観、を与えるために、不活性なキャリア(環境、特に種子又は伸び出る植物に対して、感知し得る、有害な結果を有さないキャリア)上に透明なポリマー状フィルムのフレークをさらに含む。
本発明の方法は、該種子が液体において濡らされる段階をさらに要求する。該液体は、発芽を誘発するのに十分な量の水を含み、該水の量は全ての水が該種子の発芽の前に該種子により吸収されるような量である。該液体は水からなることができるが、任意的にさらなる成分を含んでいてもよい。該液体は、例えば栄養素を含む水性溶液でもまたあり得る。
濡らすことは、単独の段階として行われることができるが、使用される水の総量が発芽を誘発するのに十分であって、供給された水の基本的に全てが発芽の前に種子により吸収される限り、時間において分離された2以上の段階で種子を濡らすこともまた可能である。
一つの実施態様において、濡らすことは、少なくとも5分間に亘って、単独の段階で行われる。該濡らす段階の正確な継続時間は、種子のタイプに依存する。該濡らす段階は、例えば少なくとも10分間又は少なくとも1時間、行われることができる。さらに、種子のタイプに依存して、該濡らす段階は好ましくは72時間超、より好ましくは48時間以上、又は30時間以上は続かない。
該種子は、種子のタイプに依存して、通常0〜40℃、例えば5〜40℃の温度において濡らされる。例えば、イネの種子を、25〜35℃、例えば25〜30℃、の温度において濡らすこと好ましいが、OSR(菜種油)の種子は、好ましくは15〜25℃の温度において濡らされる。
通常、水の量は、総濡れた種子重量(即ち、濡らす段階後に吸収された水を含んだ種子の重量)に基づいて20〜50重量%、好ましくは総濡れた種子重量に基づいて25〜40重量%、より好ましくは総濡れた種子重量に基づいて30〜35重量%である。該濡らす段階の終わりに、種子の水分活性は、好ましくは0.95以上、より好ましくは0.98以上、最も好ましくは0.99〜1.0の範囲である。
濡らす段階の間に、該種子は好ましくは回転され、転がされ、又は手動で動かされる。これは種子から種子へと、より均一な水分吸収及び酸素のよりよい利用性をもたらす。
さらに、発芽が誘発される種子の酸素の必要性の少なくとも一部を満足するために、(例えば溶液中において)濡らす処理の間に、酸素を放出する化合物及び/又は気体状の酸素を添加することが可能である。
本発明に従うと、水の量は、基本的に全ての水が種子の発芽の前に種子により吸収されるような量である。この表現で、濡らすために使用される水の量の95〜100重量%、好ましくは98〜100重量%、より好ましくは100重量%が発芽の前に種子により吸収されることが意味される。
本発明に従うと、濡らす前に種子をコーティングすることが好ましい。有利には、これは種子コーティング中に存在する活性成分が、濡らす段階の間に与えられる水と一緒に種子の中へと吸収されることを許す。制限された量の水のために、1以上の活性成分が洗い流されず、無駄にされない。
任意的なインキュベーション段階は、濡らす段階の後に行われ得、該濡らす段階の間に該種子は高い水含有量及び特定の温度に維持される。好ましくは、該種子の水分活性は、インキュベーションの間、0.95以上、より好ましくは0.98以上、最も好ましくは0.99〜1.0の値に維持される。そのようなインキュベーション段階は、発芽プロセスをさらに進める。該種子のインキュベーションは、例えば、5〜40℃、例えば25〜35℃、25〜30℃、15〜25℃、又は15〜20℃の温度において行われる。
一つの実施態様において、該種子は熱処理プロセスに付される。この熱処理は、本発明の方法の前又は後に行われることができる。そのような熱処理は、条件及び種子の水分含有量に依存して処理時間及び温度を制御している間に、非水により保持された熱を該種子に供給することを含み得る。より具体的には、該種子の水分含有量を変えずに、所定の温度まで短い時間、熱風の供給により該種子は加熱されることができる。その後、一定の温度及び水分含有量で、該種子は所定の時間の間、暖かく保たれることができる。そのような熱処理は、例えば国際特許出願第97/38734号パンフレットに開示されている。そのような熱処理の適用は、注意深く制御された加熱による該種子の効率的な殺菌を許す。
任意的に、例えば発芽後の成長を促進するために、本発明の方法が完了された後に、追加の水が該種子に与えられ得る。
さらなる特徴において、本発明は本発明の方法により得られ得る種子に向けられる。該種子は有利には、高い水分含有量(典型的には25〜50重量%)を活性剤含有コーティングと共に併せ持つ。
実施例1の結果を示す図である 実施例2の結果を示す図である 実施例2の種子の累積発芽曲線を示す 発芽した種子の百分率が時間の関数として示されている累積発芽曲線である
本発明は、今、本発明を如何なる方法においても制限することを意図されていない以下の実施例によりさらに説明される。
実施例1
第一の実施例のために、品種コシヒカリのオリザジャポニカの種子が使用された。該種子は、回転ディスクを有する30cmの回転式コ−タ−においてコーティングされた。バッチサイズは575gであった。フィルムコーティング配合物Disco AG red L200(Incotecから市販入手可能)、水及びGaucho(商標)70 WP(バイエルから市販入手可能)から10:15:12.6の重量比で混合物が製造された。該混合物は、Gaucho(商標)の投与量が12.6g/kg種子であるような投与量において、コーティングマシンに適用された。次に種子のバッチは、2時間、35℃において種子乾燥器で乾燥された。得られる水分含有量はオーブンプロトコル(130℃において4時間)で測定され、総濡れた種子重量に基づいて11.5重量%であった。
測定された水分含有量(11.5%)及び処理後の目標とする得られる水分含有量(27.5重量%及び30重量%)に基づいて、濡らす段階で添加されるべき水の量が以下の式に従って計算された。
Figure 2013503629
ここでWwaはグラムで表わされた添加されるべき水の重量であり、MCは重量%で表わされた、該種子の最初の水分含有量であり、MCは重量%で表わされた該種子の目標とする水分含有量であり、Wsはグラムで表わされた最初の種子重量(即ち、濡らす段階の前の種子の重量)である。
11.5重量%のフィルムコーティング及び乾燥後の種子水分含有量及び27.5重量%の目標とする水分含有量で、126.9gの水が575gの種子に添加されなければならなかった。
575gのコーティングされた種子の量が気密な蓋を有する容器に注ぎこまれた。水の計算された量が添加され、蓋が該容器の上に置かれた。該容器は、種子中の水を分配するために振られた。次に、該容器が30℃において24〜48時間置かれた。この時間の間に、該種子の容器は24時間当たり2回、手動で上下を逆さまにして戻され、水を均一に再分配させた。濡らす時間の後に、添加された水全部が吸収されていた。処理された種子(一回の処理あたり800個)が、水で飽和された日本のイネの土510mlを含む発芽箱に植えられ、その後、該種子は上を255mlの日本のイネの土で覆われた。種蒔きの後、両方の土の層は押された。
発芽条件は3日間、暗所、28〜30℃、続いて4週間25℃、温室であった。
温室における灌水は、潮流システム、2日おきに冠水時間30分間、で行われ、後に、植物が本当に成長し始めたとき、体制は毎日1回に増加された。
これらの実施例の結果が図1に示される。この図は、コーティングされた種子が濡らされなかった2つの比較の試料(手前の2つの箱)、コーティングされた種子が、濡らされた種子の重量に基づいて27.5重量%の水分含有量まで24時間、濡らされた4つの試料、コーティングされた種子が濡らされた種子の重量に基づいて30重量%の水分含有量まで24時間、濡らされた4つの試料、コーティングされた種子が濡らされた種子の重量に基づいて27.5重量%の水分含有量まで48時間、濡らされた4つの試料、及びコーティングされた種子が濡らされた種子の重量に基づいて30重量%の水分含有量まで48時間、濡らされた4つの試料を示す。この図は、本発明の方法で処理された種子は比較例の種子より、より速くかつ均一に成長することを明らかに示す。
実施例2
第二の実施例のために、オリザインディカ種子品種OMCS2000が使用された。種子は回転ディスクを有する30cmの回転式コーター中でコーティングされた。バッチサイズは、575gであった。フィルムコーティング配合物Disco AG red L200(Incotecから市販入手可能)、水及びCruiser(商標)70 WP(Syngentaから市販入手可能)から10:20:16の重量比で混合物が製造された。混合物は、Cruiser(商標)の投与量が16g/kg種子であるような投与量でコーティングマシンに適用された。次に種子のバッチは、2時間、35℃において種子乾燥器で乾燥された。得られる水分含有量はオーブンプロトコル(130℃において4時間)で測定され、総濡れた種子重量に基づいて9.5重量%であった。
測定された水分含有量及び処理後の目標とする得られる水分含有量に基づいて、添加されるべき水の量が計算された。例えば、フィルムコーティング及び乾燥後の種子の水分含有量、9.5重量%及び目標とする水分含有量、27.5重量%では、142.8gの水が575gの種子に添加されなければならなかった。
575gの種子の量が気密な蓋を有する容器に注ぎこまれた。計算された量の水が添加され、蓋が該容器の上に置かれた。該容器は、種子中の水を分配するために振られた。次に、該容器が30℃において24〜48時間置かれた。この時間の間に、該種子の容器は断続的に上下を逆さまにして戻され、水を再分配させた。この時間の後に、水が全部、吸収されていた。該濡らす時間の最後において測定された水の活性は、0.997であった。
比較のために、同じ量の種子が、従来のタイ浸水法で過剰の水(2リットル)でもまた処理された。処理後、残っている活性成分は標準的なHPLC法(UV検出器220nm、C18逆相カラム及びメタノール)で測定された。この比較の結果が図2に示される。この図は、本発明に従うと、活性成分は種子上に残る(点線)が、(過剰の水を用いる)慣用の浸水法では全ての活性成分が洗い流されてしまう(実線)ことを明らかに示す。
図3は実施例2の種子の累積発芽曲線を示す。この図は本発明の方法で処理された種子(曲線B、27.5重量%の水分含有量まで24時間濡らされた、フィルムコーティングされた種子;曲線C、27.5重量%の水分含有量まで48時間濡らされた、フィルムコーティングされた種子)は、コーティングのみされたが、制御された濡らすことに付されてなかった種子(曲線A、フィルムコーティングされた種子)より、より速い発芽をもたらす。
実施例3
第三の実施例のために、品種43A56のOSR(セイヨウアブラナ)の種子が使用された。該種子は、回転ディスクを有する30cmの回転式コーター中でコーティングされた。バッチサイズは、500gであった。フィルムコーティング配合物Disco Agroblue L204(Incotecから市販入手可能)及びCruiser(商標)OSR(Syngentaから市販入手可能)から10:17.2の重量比で混合物が製造された。混合物は、Cruiser(商標)の投与量が17.2 g/kg種子であるような投与量においてコーティングマシンに適用された。次に種子のバッチは、0.5時間、35℃において種子乾燥器で乾燥された。得られる水分含有量はオーブンプロトコル(130℃において4時間)で測定され、総濡れた種子重量に基づいて5.03重量%であった。
測定された水分含有量(5.03%)及び目標とする、処理後に得られた水分含有量(38.0重量%)に基づいて、濡らす段階において添加されるべき水の量が実施例に1に記載された式を使用して計算された。フィルムコーティング及び乾燥後の種子の水分含有量、5.03重量%及び目標とする水分含有量、38.0重量%では、265.9gの水が500gの種子に添加されなければならなかった。
500gの量のコーティングされた種子が、気密な蓋を有する容器に注ぎこまれた。計算された量の水が添加され、蓋が該容器の上に置かれた。該容器は、種子中の水を分配するために振られた。次に、該容器が30℃において24時間置かれた。この時間の間に、24時間当たり2回、該種子の容器は手動で断続的に上下を逆さまにして戻され、水を均一に再分配させた。該濡らす時間の後に、添加された水全部が吸収されていた。
発芽条件は、水で飽和された濾紙上で20日間、暗所、5℃であった。発芽の特徴を決定するために24時間ごとに、発芽の計数が行われた。この実施例の発芽の結果は、発芽した種子の百分率が時間の関数として示されている図4の累積発芽曲線に示されている。この図は、本発明の方法で処理された種子(曲線1、38.0重量%の水分含有量まで24時間濡らされた、フィルムコーティングされた種子)は、コーティングのみされたが、制御された濡らすことに付されてなかった種子(曲線2、フィルムコーティングされた種子)より、より速い発芽をもたらした。
本明細書において使用される用語「種子を濡らすこと」は、種子が液体を吸収するように導かれる任意の方法を指すことが意味される。従って、該種子は、液体と直接、接触する。該液体は、好ましくは、任意的に栄養素、遺伝子を誘発する剤(gene eliciting agent)、例えばハルピンタンパク質(ハルピンとしてプラントヘルスケアから市販入手可能)、キトサン五糖類(YEA!(商標)としてアグリハウスから市販入手可能)、又はリポキトオリゴ糖(オプティマイズ(商標)LCOとしてEMDから市販入手可能)、保護剤、成長調節剤等を任意的に含んでいてもよい水又は水性溶液である。

Claims (15)

  1. コーティングされた種子を調製する方法において、発芽していない種子を用意すること、及び
    a)該種子を1以上のバインダー及び1以上の活性成分を含むコーティング組成物でコーティングすること、及び
    b)該種子を液体中で濡らすこと、ここで該液体は、発芽を誘発するのに十分な量の水を含み、該水の量は、該種子の発芽の前に種子により実質的に全ての水が吸収されるような量である、
    を含む、前記方法。
  2. 該種子の水分活性が段階b)の終わりにおいて0.95以上、好ましくは0.98以上、より好ましくは0.99〜1.0の範囲である、請求項1に記載の方法。
  3. 該水の量が、濡れた種子の総重量に基づいて20〜50重量%、好ましくは25〜40重量%、より好ましくは30〜35重量%である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 該水の量は、濡らすために使用された水の量の95〜100重量%、好ましくは98〜100重量%、より好ましくは100重量%が、該種子の発芽の前に該種子により吸収される量である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 該種子が濡らされる前に、該種子がコーティングされる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 該1以上のバインダーが、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類(例えば澱粉)、タンパク質、ポリエチレングリコール、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 1以上のバインダーの量が、種子1kg当たり0.3〜30g、好ましくは種子1kg当たり0.5〜10g、より好ましくは種子1kg当たり1〜6gの範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 該1以上の活性成分が、殺真菌剤、殺バクテリア剤、殺虫剤、殺線虫剤、消毒剤、殺微生物、殺齧歯動物剤、除草剤、誘引剤、防虫剤、植物成長制御剤、栄養素、植物ホルモン、ミネラル、植物抽出物、ダニ駆除剤又は殺ダニ剤、殺陸貝剤、発芽促進剤、フェロモン類、生物学的製剤、キトサン、キチンをベースとする製剤からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 1以上の活性成分の量が、種子1kg当たり0.001〜200gの範囲である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 該種子が単子葉植物目から選択される、好ましくは該種子はイネの種子である、より好ましくは該イネの種子がOryza sativa japonica、Oryza glaherrima javanica、Oryza sativa indica、Zizania palustris、及びそれらの交配種からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 該種子が双子葉植物目から選択される、好ましくは該種子はニンジン(Daucus carota)の種子である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 該濡らす段階が、5分〜72時間の範囲の間、好ましくは10分〜48時間の範囲の間、行われる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 該濡らす段階が、5〜40℃において、好ましくはイネの種子の場合には25〜30℃及びニンジンの種子の場合には15〜20℃において行われる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 該種子が、該濡らす段階の後にインキュベーション段階に付される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法により得られ得る種子。
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