JP4524068B2 - 1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1液型で大気中の湿気により硬化するポリウレタン樹脂組成物に関する。詳しくは、オキサゾリジン環と末端イソシアネートとを含有するウレタンプレポリマーと、リン酸シリルエステルとを含有する、貯蔵安定性、硬化性に優れ、硬化時に発泡を伴わない1液湿気硬化型ポリウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来技術】
1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物は、シーリング材、防水材、接着剤、塗料等に広く利用されている。このような1液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物は、使用目的、使用方法、使用季節により異なる硬化性を要求される。しかし、一般に、1液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物においては、貯蔵安定性を損なわずに硬化性を高めることは困難とされていた。
【0003】
例えば、1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を短時間で硬化させる場合には、有機金属化合物、アミン化合物を硬化触媒として添加する方法が存在するが、このような硬化触媒を添加した場合、1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物の硬化時間は短縮されるが、貯蔵安定性が著しく低下するという問題を有していた。
【0004】
このような硬化触媒では貯蔵安定性の低下という問題に対処するため、潜在性硬化剤として、オキサゾリジン、エナミンを添加し、あるいはさらにこれらに特定の酸性を有する酸性化合物を添加するという発明が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。これらの潜在性硬化剤を添加することにより、高い硬化性が得られるが、これらの化合物はアミンであるため、ある一定以上添加するとやはり貯蔵安定性が低下する。また、酸性化合物も添加するため、貯蔵中もこれらの潜在性硬化剤が活性化され、これによっても貯蔵安定性が低下する。
【0005】
また、1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を用いてシーリング材、防水材、接着剤を製造する場合、取り扱い時の作業性の観点から、低粘度であることが必要である。そして、低粘度の1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を得るには、ウレタン樹脂組成物に含有されるイソシアネート基の、水酸基に対するモル比(インデックス)を高めに設定してウレタン樹脂組成物を合成することが必要となる。
【0006】
しかし、ウレタン樹脂組成物において、含有される水酸基に対するイソシアネートのモル比(インデックス)を高めに設定すると、水酸基に対して高めに設定されたイソシアネート基が空気中に存在する水分と反応することにより過剰な二酸化炭素が発生し、この二酸化炭素が遊離することにより発泡が起こり、硬化したウレタン樹脂中に空隙が生じて強度の低下を招くという問題がある。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−278857号公報
【特許文献2】
特開平7−289989号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、オキサゾリジンを潜在性硬化剤として使用した場合の従来の硬化促進剤に起こりうる上述の問題を解消し、かつ、貯蔵安定性および硬化性に優れる1液湿気硬化型のポリウレタン樹脂組成物を提供することである。
【0009】
本発明の目的は、上記従来の1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物の問題であった硬化促進剤の添加による貯蔵安定性の低下を回避しつつ、速硬性を有する、より詳しくは所望の硬化速度での硬化が可能な1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、低粘度を得るためにウレタンプレポリマー中の水酸基に対するイソシアネート基のモル比(インデックス)を高く設定した場合に不可避であった硬化時の発泡を防止した1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ウレタンプレポリマーと1級水酸基含有オキサゾリジン化合物とを前記ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基1モルに対して、前記1級水酸基含有オキサゾリジン化合物が有するオキサゾリジンが0.01〜0.1モルとなる量で反応させ、末端イソシアネート基とオキサゾリジン環とを含有するウレタンプレポリマーとし、これに硬化促進剤としてリン酸シリルエステルを添加することにより、上記目的を達成できることを確認した。
【0011】
すなわち、低粘度にするためウレタンプレポリマー中の水酸基に対するイソシアネート基のモル比(インデックス)を高く保つと硬化時にイソシアネート基の反応により発泡が起こるが、ウレタンプレポリマーと1級水酸基含有オキサゾリジン化合物とを予め反応させることにより、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基とオキサゾリジン化合物の水酸基を反応させ、イソシアネート基の一部を封鎖し、硬化時にフリーなイソシアネート基をつぶしておくと、硬化時のイソシアネート基の反応によって生じる発泡が防止できる。
【0012】
一方、貯蔵安定性と速硬性に関しては、硬化促進剤としてシリル基でブロックしたリン酸シリルエステルを使用することにより、貯蔵時にはリン酸シリルエステルは中性であるため、オキサゾリジン化合物を開環せず、そのため貯蔵安定性が高い。一方、使用時には空気中のH2 Oによりリン酸シリル化合物が加水分解されリン酸となり、オキサゾリジン化合物の開環を促進する潜在的硬化触媒として作用するようになり、結果的にウレタン樹脂組成物の硬化が促進される。
【0013】
本発明のリン酸シリルエステルは、式1で表される化合物であることが好ましい。
【化2】
式1
Figure 0004524068
式中、Rは炭素数10までのアルキル基であり、Xは水素原子、またはヘテロ原子を含んでもよい有機基であり、nは1〜3の整数である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物(以下、本発明の組成物と示す。)は、ウレタンプレポリマーと1級水酸基含有オキサゾリジン化合物とを予め反応させることにより、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基の一部が封鎖された末端イソシアネートとオキサゾリジン環とを含有するウレタンプレポリマーと、上記式1で表されるリン酸シリルエステルとを含有する。
【0015】
本発明の末端イソシアネート基と、オキサゾリジン環とを含有するウレタンプレポリマーは、上記の通り、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと1級水酸基含有オキサゾリジン化合物とを付加反応させることで得られ、これによりウレタンプレポリマー中の一部のイソシアネート基がオキサゾリジン化合物の1級水酸基と反応し、封鎖されている。オキサゾリジンとウレタンプレポリマーを予め反応させ、イソシアネート基を水酸基で封鎖しておくと、硬化時の発泡を抑えることができる。これは作業性の観点からウレタンプレポリマー中における水酸基に対するイソシアネート基のモル比(インデックス)が高めに設定され、その結果硬化時に発泡が起こりやすい状況において特に有効である。
【0016】
上記付加反応を施す本発明のウレタンプレポリマーは、通常の1液型ポリウレタン樹脂に用いるプレポリマーと同様、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物(すなわち、水酸基に対して過剰のイソシアネート基)との反応生成物であるウレタンプレポリマーであって、一般に、0.5〜10重量%のイソシアネート基を含有する。
【0017】
このようなウレタンプレポリマーを生成するポリイソシアネート化合物としては、通常の1液型ポリウレタン樹脂組成物に用い得るものが各種例示され、具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジンイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;キシリレンジイソシアネート等のアリール脂肪族ポリイソシアネート;上記各ポリイソシアネートのカルボジイミド変性またはイソシアヌレート変性ポリイソシアネート;等が好適に例示され、これらの1種あるいは2種以上の組み合わせとして使用される。
【0018】
他方、ポリオール化合物は、通常の1液型ポリウレタン樹脂組成物と同様、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール、およびこれらの混合ポリオールである。具体的には、ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種または2種以上を付加して得られるポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド;等が好適に例示される。
【0019】
また、ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、あるいはその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、あるいはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等の開環重合体等が好適に例示される。
【0020】
さらに、その他のポリオールとしては、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール等や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールも好適に例示される。
【0021】
ウレタンプレポリマーに用いるポリオール化合物としては、中でもポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が価格の点で好ましい。
【0022】
ウレタンプレポリマーに用いるポリオール化合物の数平均分子量は、1000〜10000、特に2000〜7000であるのが好ましい。
【0023】
このような、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物とよりなるウレタンプレポリマーを得る際の、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との混合割合は、作業性の観点から混合物中における水酸基に対するイソシアネート基のモル比(インデックス)が高めであることが好ましく、通常、ポリオール化合物1当量(OH当量)当たり、ポリイソシアネート化合物1.2〜5当量(NCO当量)、好ましくは1.4〜3当量である。すなわち、インデックスが1.4〜3であることが好ましい。
【0024】
また、このウレタンプレポリマーの製造は、通常のウレタンプレポリマーと同様に、所定量比の両化合物を混合し、通常30〜120℃、好ましくは50〜100℃で加熱攪拌することによって行なわれる。
【0025】
本発明の1級水酸基含有オキサゾリジン化合物は、1級水酸基を含有すればいずれであってもよく、例えば、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられ、N−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンの具体例としては、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(p−メトキシフェニル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(2−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチルオキサゾリジン等が挙げられる。これらN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンのなかでも2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンが好ましく、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンが特に好ましい。
【0026】
本発明の1級水酸基含有オキサゾリジン化合物は、湿気(水)の存在下で開環し、イソシアネート基と反応してウレタンプレポリマーを硬化させる潜在的硬化剤の作用をすると共に、予め末端イソシアネートプレポリマーと反応させることにより、プレポリマー中のイソシアネート基の一部を1級水酸基で封鎖し、硬化時の発泡を防止する。
【0027】
例えば、後述する実施例に使用する標準プレポリマーαと1級水酸基含有オキサゾリジン化合物の1例である2−(p−トルエン)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン(THO)とを反応させたプレポリマーA(下記表1においてP.P. −Aと表記)と標準プレポリマーαとの比較から明らかなように、THOを、プレポリマーの末端イソシアネート基当たり0.1当量反応させた場合、硬化時間は同じであったが、発泡抑制率が著しく向上した。
【0028】
なお、本発明のウレタンプレポリマーには、末端イソシアネート基とオキサゾリジン環とが必ず含まれ、ウレタンプレポリマー中におけるイソシアネート基とオキサゾリジン環の含有モル比は1未満である。
【0029】
本発明の組成物は、イソシアネート化合物とポリオールから得られる一般的に用いられるウレタンプレポリマーを含有してもよい。また、オキサゾリジン化合物等の潜在的硬化剤をさらに含有してもよい、オキサゾリジン化合物としては、2個以上のオキサゾリジン環を有する多価オキサゾリジン化合物や、本発明でウレタンプレポリマーと反応させるのに用いた1級水酸基含有オキサゾリジン化合物を含有してもよい。このようなオキサゾリジン化合物を含有させると硬化速度の調整がしやすいという利点があるからである。
【0030】
本発明の組成物に含有されるリン酸シリルエステルとは、下記式1で表される化学構造を有する化合物でモノマー、ポリマー、あるいは、低分子、高分子を問わない。
【化3】
式1
Figure 0004524068
式中、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数が10までのアルキル基等であり、3置換のRは同一置換基でも異なる置換基でもよい。Xは水素原子またはヘテロ原子を有していてもよい有機基をを表す。ヘテロ原子を有してもよい有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキサオキシ基、2−エチルヘキサオキシ基、オクタデキルオキシ基等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルコキシ基;トリメチルシリルオキシ基等が例示できる。nは1〜3の整数を表す。nが2以上の場合、3置換シリル基のそれぞれのRは同じ置換基でも異なる置換基でもよい。3−nが2以上の場合、Xは同じ置換基でも異なる置換基でもよい。
【0031】
式1で表されるリン酸シリルエステルは、例えば、相当するリン酸類とトリアルキルクロロシランまたはアルキルシラザンとを反応させる方法により得ることができる。
【0032】
本発明の組成物は、式1で表されるリン酸シリルエステルを含有する。このリン酸シリルエステルは空気中の水分により加水分解され、リン酸を生成する。リン酸は、本発明の組成物に含有されるオキサゾリジン化合物の開環を促進させる。開環されたオキサゾリジン化合物はウレタン樹脂の硬化促進剤であり、本発明の組成物に含有されるリン酸シリルエステルの含有量を増減することで、硬化性を調節することができる。
【0033】
例えば、後述する実施例1と比較例1、2のプレポリマーとの比較からわかるように、上記リン酸シリルエステルの1例であるジブチルホスフェートのトリメチルシリルエステルを、ウレタンプレポリマー100重量部に対し、0.005重量部含有する本発明の組成物は、リン酸シリルエステルを全く含有しないウレタンプレポリマーより硬化時間(タックフリータイム)を短かくすることができる。
【0034】
一方、上記リン酸シリルエステルは、本発明の組成物の貯蔵中は中性であるため、貯蔵安定性に悪影響を与えることはない。
【0035】
例えば、後述する実施例1と比較例3との比較からわかるように、上記リン酸シリルエステルの1例であるジブチルホスフェートのトリメチルシリルエステルを、ウレタンプレポリマー100重量部に対し、5重量部含有する本発明の組成物は、高い硬化促進性を示す一方で、貯蔵促進後の増粘はわずかであったが、リン酸をシリル基でブロックされていないジブチルホスフェートを使用した場合、硬化促進は達成できたが、貯蔵初期段階から増粘が進み、貯蔵促進後にはゲル化していた。
【0036】
従って、本発明の組成物の上記硬化性の調整は、本発明の組成物の貯蔵安定性を損なうことなく行うことができる。
【0037】
本発明の組成物に含有される上記リン酸シリルエステルの含有量は、ウレタンプレポリマー100重量部に対して、0.005〜5重量部であるのが好ましい。
【0038】
この範囲であれば、貯蔵安定性を損なわずに硬化性を高めることができる。0.005重量部未満では、硬化速度を高めることができない。10重量部超では、本発明の組成物を製造する際の原料コストが高くなり経済的に不利になる。
【0039】
本発明の組成物は、上記必須の成分に加えて、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、充填剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、チキソトロピー付与剤、シランカップリング剤、分散剤、酸化防止剤、溶剤等を配合してもよい。
【0040】
充填剤としては、炭酸カルシウム、カーボネートブラック、クレー、タルク、酸化チタン、生石灰、カオリン、ゼオライト、ケイソウ土、塩化ビニルペーストレジン、ガラスバルーン、塩化ビニリデン樹脂バルーン等が挙げられ、単独でまたは混合して使用することができる。
【0041】
本発明の組成物は溶剤を用いてもよく、好ましくは芳香族炭化水素溶剤を用いる。芳香族系溶剤としては、キシレン、トルエン等がよい。
【0042】
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ジブチルベンジルフタレート(BBP)、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、トリオクチルフォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、エポキシステアリン酸アルキル、エポキシ化大豆油等が挙げられ、単独で、あるいは混合して使用することができる。
【0043】
顔料としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料や、各種無機顔料が挙げられる。
【0044】
チキソトロピー付与剤としては、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等を挙げることができる。
【0045】
帯電防止剤としては一般に、第4級アンモニウム塩やアミンなどのイオン性化合物、あるいはポリエチレングリコールやエチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物を挙げることができる。接着付与剤としては、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0046】
難燃剤としては、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、臭素、リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチルビスヒドロキシエチルアミノホスフェート等が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、通常の1液型ウレタン組成物と同様にして製造すればよい。例えば、各成分を減圧下で十分に混練し、均一に分散させる方法が例示される。
【0048】
本発明の組成物は、上記構成を採ることにより、組成物中における水酸基に対するイソシアネート基のモル比(インデックス)が高いにもかかわらず、硬化時発泡が防止されている。また、本発明の組成物に配合される前記式1で表されるリン酸シリルエステルの配合量を所定の範囲で調節することにより、本発明の組成物の硬化性を自由に調節する事ができる。本発明の組成物は、リン酸シリルエステルを含有することで貯蔵安定性を低下させることなしに、硬化性を自由に調節できる。
【0049】
従って、本発明の組成物は、シーリング剤、防水剤、目地剤、接着剤、塗料等に好適に利用することができ、その組成物の使用目的、使用方法、使用季節に応じた硬化性をもった組成物とすることができる。
【0050】
【実施例】
以下に実施例をもって本発明を具体的に説明する。
ウレタンプレポリマーの合成例
脱水した平均分子量3200のポリプロピレンジオール(旭硝子社製、エクセノール3020)1270g、平均分子量5000のポリプロピレントリオール(旭硝子社製、エクセノール5030)863g、およびジオクチルフタレート(DOP)710gにキシレンジイシソアネート(XDI)138gとジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)115g(インデックス1.8)を触媒存在下、80℃で18時間反応させてイソシアネート基含量が1.44重量%の標準プレポリマーαを得た。一方、キシレンジイソシアネート138gをヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)123gに換え、他は上記と同一の条件で反応させ、標準プレポリマーβを得た。標準プレポリマーαおよびβの合成仕様と性状(粘度)を表1に示す。
【0051】
表 1
Figure 0004524068
<表中の各成分>
Diol3000 :平均分子量3200のポリプロピレンジオール
Triol5000:平均分子量5000のポリプロピレントリオール
粘度は、23℃で1日貯蔵した後、E型粘度計を用いて測定したものを初期粘度として、70℃で1日貯蔵した後、23℃でさらに1日貯蔵した後に同様に測定したものを貯蔵促進後粘度として評価した。
【0052】
1級水酸基含有オキサゾリジン化合物
本実施例では、非発泡を目的に1級水酸基含有オキサゾリジン化合物として、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン(5BO)[式2] 、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン(PHO)[式3] 、2−(p−トルエン)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン(THO)[式4] を上記プレポリマーと50℃で2時間反応させ、粘度(貯蔵安定性)、発泡性および硬化時間を評価した。
【化4】
式2
Figure 0004524068
【化5】
式3
Figure 0004524068
【化6】
式4
Figure 0004524068
試験法
1)粘度(貯蔵安定性)
23℃で1日貯蔵した後、E型粘度計を用いて測定したものを初期粘度として、70℃で1日貯蔵した後、23℃でさらに1日貯蔵した後に同様に測定したものを貯蔵促進後粘度として評価した。
2)発泡性
200ccポリカップに100ccプレポリマーを計量し、40℃95%にて硬化させたときの硬化物に入るあわの数によって以下のように判定した。
○:0〜1個
△:2〜3個
×:4個以上
3)硬化性
実施例と比較例で使用するプレポリマー(P.P.)を調製直後と、70℃で1日貯蔵後、さらに23℃で1日貯蔵した後に、硬化性を測定した。測定方法は、それぞれ組成物を所定量ポリカップに計量し、ポリエチレン製の棒に付着しなくなるまでの時間を測定した。結果を表2に示す。
【0053】
【表1】
Figure 0004524068
※プレポリマー末端イソシアネート基に付加するオキサゾリジンの割合
(イソシアネート基1モルに対し、反応させるオキサゾリジンのモル比)
【0054】
(実施例1〜7、比較例1〜7)
下記表3に記載の配合でウレタン樹脂組成物を調製し、得られた組成物について、粘度および硬化性を上記プレポリマーと同様の手順で測定し評価した。表中、化合物の単位は重量部である。結果を表3に示す。
【0055】
【表2】
Figure 0004524068
【0056】
【表3】
Figure 0004524068
<表中の各成分>
LB58:ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート
DBP:ジブチルホスフェート
LB58−OSi:ジ(2−エチルヘキシル)ホスフェートのトリメチルシリルエステル
DBP−OSi:ジブチルホスフェートのトリメチルシリルエステル
表中、化合物の単位は重量部である。
【0057】
【発明の効果】
本発明の1液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物は、作業性の観点からインデックスが高い場合でも、硬化時の発泡が抑えられている。また、本発明の位置液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物は貯蔵安定性に優れ、硬化性も高い。さらに、貯蔵後の粘度を変化させずに硬化性をコントロールできる。従って、本発明の1液型湿気硬化性ウレタン樹脂組成物は、シーリング剤、防水剤、目地剤、接着剤、塗料等に好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. オキサゾリジン環を有し、分子末端にイソシアネート基を有するオキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマーと、リン酸シリルエステルとを含有し、
    前記オキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマーが、ウレタンプレポリマーと1級水酸基含有オキサゾリジン化合物とを、前記ウレタンプレポリマーが有するイソシアネート基1モルに対して、前記1級水酸基含有オキサゾリジン化合物が有するオキサゾリジンが0.01〜0.1モルとなる量で反応させることによって得られるものである1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  2. 記リン酸シリルエステルの重量部が前記オキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマー100重量部に対し0.005〜5重量部である請求項1に記載の1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  3. 前記リン酸シリルエステルが式1で表される請求項1または2に記載の1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
    Figure 0004524068
    式中、Rは炭素数10までのアルキル基であり、Xは水素原子、またはヘテロ原子を含んでもよい有機基であり、nは1〜3の整数である。
  4. 前記オキサゾリジン環含有ウレタンプレポリマーを製造する際に使用される前記ウレタンプレポリマーが、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを、前記ポリオール化合物1当量(OH当量)当たり前記ポリイソシアネート化合物1.2〜5当量(NCO当量)で反応させることによって得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載の1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
  5. 前記1級水酸基含有オキサゾリジン化合物が、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンおよび2−(p−トルエン)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の1液湿気硬化性ウレタン樹脂組成物。
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