JP4523343B2 - 電磁流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、測定管内を流れる被測定流体の流量を計測する電磁流量計に係り、特に0点のシフトを自動的に補正する0補正の技術に関するものである。
励磁コイルに供給する励磁電流に正弦波を用いる正弦波励磁方式の電磁流量計には、商用周波数ノイズの影響を受けやすいという欠点があるが、この欠点は励磁電流の周波数を高くした高周波励磁方式によって解決することができる(例えば、非特許文献1参照)。また、高周波励磁方式には、電気化学ノイズやスパイクノイズといった1/fノイズに強いという利点があり、さらに応答性(流量変化に対して流量信号を素早く追従させる特性)を向上させることができるという利点がある。
正弦波励磁方式の電磁流量計では、常に磁場が変化しており、この磁場の変化によって発生する電極間起電力の成分の影響をなくすために、電極軸を境とする測定管の前後で磁場が対称に分布するような構造となっている。しかし、実際には電極や取り出し線の位置ずれ、コイルから発生する磁場の対称性のずれなどにより、磁場の時間変化によって発生する成分の影響を受ける。そこで、正弦波励磁方式の電磁流量計では、磁場の時間変化によって発生する成分の影響を校正時にオフセットとして取り除いているが、磁場のシフトや磁場の分布の変化等により影響をうけ、電磁流量計の出力の0点がシフトしてしまうことが避けられない。また、正弦波励磁方式の電磁流量計では、位相検波により磁場の変化による成分をキャンセルするようにしているが、この位相検波が安定しないため、出力の0点の安定性が悪いという欠点があった。
一方、励磁コイルに供給する励磁電流に矩形波を用いる矩形波励磁方式の電磁流量計の場合、磁場の変化がなくなったところで、電極間起電力を検出するという手法をとっているため、出力の0点の安定性が正弦波励磁方式に比べて優れている(例えば、非特許文献1参照)。しかし、矩形波励磁方式の電磁流量計では、励磁電流が高周波になると、励磁コイルのインピーダンスや、励磁電流の応答性、磁場の応答性、励磁コイルのコアや測定管での過電流損失といった影響を無視できなくなり、矩形波励磁を維持すること(すなわち、磁場の変化がないところで電極間起電力を検出すること)が難しくなり、出力の0点の安定性を確保できなくなる。結果として、矩形波励磁方式の電磁流量計の場合、高周波励磁が難しく、流量変化に対する応答性の向上や1/fノイズの除去を実現できないという問題点があった。
また、正弦波励磁方式と矩形波励磁方式のいずれにおいても、被測定流体を流したままでは0点がシフトしたかどうかを確認することができないので、被測定流体を止めて流量を0にした上で、出力の0点がシフトしたかどうかを確認し、設定している0点のオフセットを修正する作業が必要となる。
ここで、図18を用いて出力の0点のシフトについて説明しておく。被測定流体の流速が変化していないにもかかわらず、電磁流量計によって計測される流速の大きさVが変化したとすると、この出力変動の要因として0点のシフトが考えられる。
例えば、初期状態において被測定流体の流量が0のときに電磁流量計の出力が0(v)となり、流速が1(m/sec)のときに出力が1(v)となるように校正したとする。ここでの電磁流量計の出力は、流速の大きさVを表す電圧である。このような校正により、被測定流体の流速が1(m/sec)であれば、電磁流量計の出力は当然1(v)になるはずである。ところが、ある時間t1が経過したところで、被測定流体の流速が同じく1(m/sec)であるにもかかわらず、電磁流量計の出力が1.5(v)になり、さらに流速を0に戻しても0.5(v)が出力され、0にならないことがある。この出力変動の要因として考えられるのが、0点のシフトである。0点のシフトという現象は、例えば電磁流量計の周囲温度の変化などにより、磁場の変化によって発生する電圧が変動し、キャンセルできなくなることから生じる。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
社団法人日本計量機器工業連合会編,「計装エンジニアのための流量計測 AtoZ」,工業技術社,1995年,p.143−160
以上のように、従来の正弦波励磁方式の電磁流量計では、出力の0点の安定性を確保することができず、また矩形波励磁方式の電磁流量計においても、高周波励磁において0点の安定性を確保することができないという問題点があった。また、正弦波励磁方式と矩形波励磁方式のいずれにおいても、被測定流体を流したままの状態では出力の0点の誤差を補正することができないという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、高周波励磁においても出力の0点の安定性を確保することができ、被測定流体の流量を0にすることなく出力の0点の誤差を補正することできる電磁流量計を提供することを目的とする。
本発明の電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管と、この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、時間変化する磁場を前記流体に印加する励磁部と、前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、前記合成起電力の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出する流量出力部とを備えるものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記励磁部は、励磁周波数を切り替えながら前記流体に前記磁場を印加し、前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる少なくとも2つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この合成起電力の振幅と位相に基づいて前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記励磁状態のうちいずれか1つの励磁状態における合成起電力の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第1の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、これらの合成起電力の振幅と位相に基づいて前記第1の励磁状態の合成起電力と前記第2の励磁状態の合成起電力との起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記励磁部は、複数の励磁周波数により前記流体に前記磁場を印加し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち少なくとも2つの異なる周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記合成起電力のうち少なくとも1つの周波数成分の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第2の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち第1の周波数と第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって変調した磁場を前記流体に印加し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から少なくとも2つの異なる角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した前記磁場を前記流体に印加し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第3の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記合成起電力のうち角周波数ω0の成分の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第4の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記合成起電力のうち前記2つの角周波数成分の起電力和の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した前記磁場を前記流体に印加するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第5の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記合成起電力の角周波数ω0とω0±ζ・ω1の成分のうち任意の1種類の成分の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第6の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうち前記2つの角周波数成分の起電力和の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出するものである。
本発明によれば、電極で検出される、流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、∂A/∂t成分を抽出し、合成起電力の中から∂A/∂t成分を取り除くことによりv×B成分のみを抽出し、このv×B成分から流体の流量を算出するようにしたので、被測定流体の流量を0にすることなく電磁流量計の出力の0点を補正することでき、高周波励磁においても0点の安定性を確保することができる。
まず、本発明の説明に必要な物理現象について説明しておく。
時間変化する磁場中を物体が移動する場合、電磁誘導によって2種類の電界、(a) 磁場の時間変化によって発生する電界E(i)=∂A/∂t 、(b) 磁場中を物体が動くことにより発生する電界E(v)=v×B が発生する。v×BはvとBの外積を示し、∂A/∂tはAの時間による偏微分を示す。v、B、Aはそれぞれ下記に対応しており、3次元(x、y、z)に方向をもつベクトルである(v:流速、B:磁束密度、A:ベクトルポテンシャル(磁束密度とはB=rotAの関係がある))。ただし、ここでの3次元ベクトルは複素平面上のベクトルとは意味が異なる。この2種類の電界によって、電位分布が流体中に発生し、この電位は電極によって検出することができる。
次に、本発明を理解するために必要な数学的基礎知識について説明する。
同一周波数で異なる振幅の余弦波P・cos(ω・t)、正弦波Q・sin(ω・t)は、以下のような余弦波に合成される。P,Qは振幅、ωは角周波数である。
P・cos(ω・t)+Q・sin(ω・t)=(P2+Q21/2 ・cos(ω・t−ε)
ただし、ε=tan-1(Q/P) ・・・(1)
式(1)の合成を分析するには、余弦波P・cos(ω・t)の振幅Pを実軸、正弦波Q・sin(ω・t)の振幅Qを虚軸にとるように複素座標平面に写像すると都合がよい。すなわち、複素座標平面上において、原点からの距離(P2+Q21/2 が合成波の振幅を与え、実軸との角度ε=tan-1(Q/P)が合成波とω・tとの位相差を与えることになる。
また、複素座標平面上においては、以下の関係式が成り立つ。
L・exp(j・ε)=L・cos(ε)+j・L・sin(ε) ・・・(2)
式(2)は複素ベクトルに関する表記であり、jは虚数単位である。Lは複素ベクトルの長さを与え、εは複素ベクトルの方向を与える。したがって、複素座標平面上の幾何学的関係を分析するには、複素ベクトルへの変換を活用すると都合がよい。
以下の説明では、電極間起電力がどのような挙動を示し、本発明はこの挙動をどのように利用しているかを説明するために、上記のような複素座標平面への写像と、複素ベクトルによる幾何学的分析を採用する。
[本発明の基本原理]
本発明は、電磁流量計の電極で検出される電極間起電力から、∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbとの合成ベクトルVa+Vbを求めたとき、ベクトルVaは磁場の時間変化のみに依存し、被測定流体の流速の大きさVに無関係なベクトルであり、ベクトルVbは被測定流体の流速の大きさVに比例して大きさが変化するベクトルであることに着目している。
励磁周波数を0にすれば、合成ベクトルVa+VbからベクトルVbのみが取り出せることになるが、低周波領域での出力に対するノイズの影響が大きく現実的ではない。そこで、本発明では、合成ベクトルVa+Vbの中から∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出して、この推測値Va’を合成ベクトルVa+Vbから引くことにより、実質的にv×B成分のベクトルVbのみを取り出し、このv×B成分に基づき、被測定流体の流速の大きさVを算出するようにしている。ベクトルVbを0にすることなく(流量を0にすることなく)、またベクトルVaを0にすることなく(励磁周波数を0にすることなく)、ベクトルVbのみを取り出せることが重要である。
以下、電磁流量計の出力の0点を実際に補正するための本発明の基本原理を図1(A)、図1(B)を用いて説明する。図1(A)、図1(B)において、Reは実軸、Imは虚軸である。計測される電極間起電力の振幅と位相差に基づき、複素平面に写像されるベクトルは、以下の∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbの合成ベクトルVa+Vbに相当する。
Va=rω・exp(j・θω)・ω ・・・(3)
Vb=rv・exp(j・θv)・V ・・・(4)
このベクトルVaとVbを図1(A)に示す。∂A/∂t成分のベクトルVaは、磁場の変化により発生する起電力なので、励磁角周波数ωに比例する大きさになる。このとき、ベクトルVaの大きさに対する既知の比例定数部分をrω、ベクトルVaの方向をθωとする。また、v×B成分のベクトルVbは、測定管中の被測定流体の移動により発生する起電力なので、流速の大きさVに比例する大きさになる。このとき、ベクトルVbの大きさに対する既知の比例定数部分をrv、ベクトルの方向をθvとする
電磁流量計の出力の0点の変動要因は、∂A/∂t成分の変動である。したがって、∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出して、合成ベクトルVa+VbからベクトルVaの推測値Va’を除去した信号変換式により流速の大きさVを求めれば、実質的に0点の自動補正が実現できる。∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の抽出方法は、励磁周波数を2値に切り替えて、励磁周波数が異なる2つの励磁状態の電極間起電力の差から∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法である。前述のとおり、電極間起電力から直接求めることができる複素ベクトルは合成ベクトルVa+Vbであり、ベクトルVa,Vbが直接的に計測できるわけではない。そこで、∂A/∂t成分のベクトルVaの大きさは励磁周波数ωに比例し、v×B成分のベクトルVbは励磁周波数ωに依存しないことに着眼する。具体的には、ある角周波数ω0で励磁したときの合成ベクトルVa+Vbと、別の角周波数ω1で励磁したときの合成ベクトルVa+Vbとの差を求める。この差は、∂A/∂t成分のベクトルVaの大きさの変化分だけを与えるベクトルになるので、この変化分からベクトルVaの推測値Va’を抽出することができる。
第2の抽出方法は、複数の励磁周波数による磁場を被測定流体に印加し、電極間起電力に含まれる複数の成分の周波数差を利用して∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法である。着眼点は第1の抽出方法と同じである。具体的には、励磁コイルから大きさが等しくかつ周波数が異なる2つの成分を含む磁場を被測定流体に印加し、第1の周波数成分の合成ベクトルVa+Vbと第2の周波数成分の合成ベクトルVa+Vbとの差を求める。この差は、∂A/∂t成分のベクトルVaの大きさの変化分だけを与えるベクトルになるので、この変化分からベクトルVaの推測値Va’を抽出することができる。この第2の抽出方法では、第1の抽出方法と異なり、励磁周波数を切り替える必要がないので、高速に0補正することが可能となる。
図1(B)に示すように、計測可能な合成ベクトルVa+Vbから∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を引くと、v×B成分のベクトルVbを取り出すことができるので、このベクトルVbから被測定流体の流速の大きさVを以下のように算出できる。
V=(1/rv)・Vb≒(1/rv)・{|(Va+Vb)−Va’|}
・・・(5)
以上の原理により、時間変化する磁場により誘導された∂A/∂t成分の変動とは無関係に、被測定流体の流速の大きさVが計測できることになるので、実質的に0点の自動補正が実現されることになる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法として第1の抽出方法を用いるものであり、励磁周波数を2値に切り替えて、励磁周波数が異なる2つの励磁状態の電極間起電力の差から∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出するものである。
図2は本実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。この電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管1の軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する一対の電極2a,2bと、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3とを有する。
図2において、励磁コイル3から発生する磁場Baのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(6)
式(6)において、b1は磁場B1の振幅、ω0は角周波数,θ1はω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB1/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B1を次式のように微分する。
dB1/dt=−ω0・b1・sin(ω0・t−θ1) ・・・(7)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Baの変化による渦電流Iは、図3に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Baの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力Eは、図3に示すような向きとなる。この向きをマイナス方向とする。
このとき、電極間起電力Eは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB1/dtに比例係数rkをかけ、位相θ1をθ1+θ00で置き換えたものとなる(rk、θ00は、被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
E=rk・ω0・b1・sin(ω0・t−θ1−θ00) ・・・(8)
そして、式(8)を変形すると次式となる。
E=rk・ω0・b1・{sin(−θ1−θ00)}・cos(ω0・t)
+rk・ω0・b1・{cos(−θ1−θ00)}・sin(ω0・t)
=rk・ω0・b1・{−sin(θ1+θ00)}・cos(ω0・t)
+rk・ω0・b1・{cos(θ1+θ00)}・sin(ω0・t)
・・・(9)
ここで、式(9)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Ex、虚軸成分Eyは次式となる。
Ex=rk・ω0・b1・{−sin(θ1+θ00)}
=rk・ω0・b1・{cos(π/2+θ1+θ00)} ・・・(10)
Ey=rk・ω0・b1・{cos(θ1+θ00)}
=rk・ω0・b1・{sin(π/2+θ1+θ00)} ・・・(11)
さらに、式(10)、式(11)に示したEx,Eyを次式に示す複素ベクトルEcに変換する。
Ec=Ex+j・Ey
=rk・ω0・b1・{cos(π/2+θ1+θ00)}
+j・rk・ω0・b1・{sin(π/2+θ1+θ00)}
=rk・ω0・b1
・{cos(π/2+θ1+θ00)+j・sin(π/2+θ1+θ00)}
=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)} ・・・(12)
複素座標に変換された式(12)の電極間起電力Ecは、磁場の時間変化のみに起因し、流速とは無関係な電極間起電力となる。式(12)のrk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}は、長さがrk・ω0・b1、実軸からの角度がπ/2+θ1+θ00の複素ベクトルである。
また、前述の比例係数rk及び角度θ00は、次の複素ベクトルkcであらわすことができる。
kc=rk・cos(θ00)+j・rk・sin(θ00)
=rk・exp(j・θ00) ・・・(13)
式(13)において、rkはベクトルkcの大きさ、θ00は実軸に対するベクトルkcの角度である。
次に、被測定流体の流速に起因する電極間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Baが発生するため、流速ベクトルvと磁場Baによる渦電流Ivは、図4に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Baによって発生する電極間起電力Evは時間変化によって発生する電極間起電力Eと逆向きとなり、Evの方向をプラス方向とする。
このとき、流速に起因する電極間起電力Evは、次式に示すように、磁場B1に比例係数rkvをかけ、位相θ1をθ1+θ01で置き換えたものとなる(rkv、θ01は、流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
Ev=rkv・{b1・cos(ω0・t−θ1−θ01)} ・・・(14)
式(14)を変形すると次式となる。
Ev=rkv・b1・cos(ω0・t)・cos(−θ1−θ01)
−rkv・b1・sin(ω0・t)・sin(−θ1−θ01)
=rkv・b1・{cos(θ1+θ01)}・cos(ω0・t)
+rkv・b1・{sin(θ1+θ01)}・sin(ω0・t)
・・・(15)
ここで、式(15)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Evx、虚軸成分Evyは次式となる。
Evx=rkv・b1・{cos(θ1+θ01)} ・・・(16)
Evy=rkv・b1・{sin(θ1+θ01)} ・・・(17)
さらに、式(16)、式(17)に示したEvx,Evyを次式に示す複素ベクトルEvcに変換する。
Evc=Evx+j・Evy
=rkv・b1・{cos(θ1+θ01)}
+j・rkv・b1・{sin(θ1+θ01)}
=rkv・b1・{cos(θ1+θ01)+j・sin(θ1+θ01)}
=rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(18)
複素座標に変換された式(18)の電極間起電力Evcは、被測定流体の流速に起因する電極間起電力となる。式(18)のrkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)}は、長さがrk・b1、実軸からの角度がθ1+θ01の複素ベクトルである。
また、前述の比例係数rkv及び角度θ01は、次の複素ベクトルkvcであらすことができる。
kvc=rkv・cos(θ01)+j・rkv・sin(θ01)
=rkv・exp(j・θ01) ・・・(19)
式(19)において、rkvはベクトルkvcの大きさ、θ01は実軸に対するベクトルkvcの角度である。ここで、rkvは、前記比例係数rk(式(13)参照)に流速の大きさVと比例係数γをかけたものに相当する。すなわち、次式が成立する。
rkv=γ・rk・V ・・・(20)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力Ecと流体の流速に起因する電極間起電力Evcとを合わせた全体の電極間起電力Eacは、式(18)に式(20)を代入した式と、式(12)とを足すことにより、次式で表される。
Eac=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+γ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(21)
式(21)から分かるように、電極間起電力Eacは、∂A/∂t成分となるrk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}とv×B成分となるγ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ01)}の2個の複素ベクトルにより記述される。そして、この2個の複素ベクトルを合成した合成ベクトルの長さが出力(電極間起電力Eac)の振幅を表し、この合成ベクトルの角度φが入力(励磁電流)の位相ω0・tに対する電極間起電力Eacの位相差(位相遅れ)を表す。
式(21)から、∂A/∂t成分が変動すると、電磁流量計の出力の0点が変動し、流量計測誤差が発生することが分かる。
以下の実施の形態では、図2の基本的な構造における出力の複素ベクトルを基に説明を進める。なお、流量は流速に測定管の断面積をかけたものとなるため、通常、初期状態での校正において流速と流量は一対一の関係となり、流速を求めることと流量を求めることは同等に扱えるので、以下(流量を求めるために)流速を求める方式として説明を進める。
θ00,θ01の前述の定義を言い換えると、θ00は虚軸に対するベクトルVaの角度、θ01は実軸に対するベクトルVbの角度である。角度θ00とθ01との関係をθ01=θ00+Δθ01と定義し、励磁角周波数がω0である状態を第1の励磁状態とし、この第1の励磁状態における電極間起電力EacをE10とすると、式(21)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの電極間起電力E10は次式で表される。
E10=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+γ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ00+Δθ01)}
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(22)
また、第1の励磁状態において励磁角周波数をω0からω1に変更した状態を第2の励磁状態とし、この第2の励磁状態における電極間起電力EacをE11とすると、電極間起電力E11は式(22)より次式のようになる。
E11=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω1・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(23)
電極間起電力E10,E11を複素ベクトル表現した図を図5(A)に示す。
電極間起電力E10とE11との差をとり、求めた差分をω0/(ω0−ω1)倍した結果をEdA1とすれば、式(24)が成立する。
EdA1=(E10−E11)・ω0/(ω0−ω1)
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−ω1・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・ω0/(ω0−ω1)
=[rk・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}]・ω0
・・・(24)
式(24)に示す起電力差EdA1は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。この起電力差EdA1を用いて電極間起電力E10(合成ベクトルVa+Vb)からv×B成分を取り出す。なお、起電力差EdA1は、正確には電極間起電力E10とE11との起電力差をω0/(ω0−ω1)倍したものであるが、ω0/(ω0−ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(22)に示す電極間起電力E10から式(24)に示す起電力差EdA1を引いたときに得られるv×B成分をEvB1とすると、v×B成分EvB1は次式で表される。
EvB1=E10−EdA1
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
−[rk・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}]・ω0
=[γ・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00+Δθ01)}]・V
・・・(25)
v×B成分EvB1は角周波数ω0に関係しない。流速の大きさVが0のときv×B成分EvB1も0となることから分かるように、v×B成分EvB1より、0点が補正された出力を得ることができる。以上の起電力差EdA1およびv×B成分EvB1を複素ベクトル表現した図を図5(B)に示す。式(25)によれば、流速の大きさVにかかる係数の大きさと方向は、複素ベクトル[γ・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00+Δθ01)}]で表される。
式(25)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|EvB1/[γ・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00+Δθ01)}]|
=|EvB1|/(γ・rk・b1) ・・・(26)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表1のとおりである。本実施の形態は、表1から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0004523343
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。図6は本実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図であり、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、電極2a,2bを含む、測定管軸PAXの方向と垂直な平面PLNから軸方向にオフセット距離dだけ離れた位置に配設された励磁コイル3と、励磁コイル3に励磁電流を供給する電源部4と、第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において電極2a,2bで検出される合成起電力の振幅と位相を求め、これらの合成起電力の振幅と位相に基づいて第1の励磁状態の合成起電力と第2の励磁状態の合成起電力との起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、第1の励磁状態と第2の励磁状態のうちいずれか1つの励磁状態における合成起電力の中から∂A/∂t成分を取り除くことによりv×B成分のみを抽出し、このv×B成分から流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。励磁コイル3と電源部4とは、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁部となる。
電源部4は、角周波数ω0の励磁電流を励磁コイル3に供給する第1の励磁状態をT0秒継続し、続いて角周波数ω1の励磁電流を励磁コイル3に供給する第2の励磁状態をT1秒継続することをT秒周期で繰り返す。すなわち、T=T0+T1である。
図7は信号変換部5と流量出力部6の動作を示すフローチャートである。
まず、信号変換部5は、励磁角周波数がω0の第1の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E10の振幅r10を求めると共に、実軸と電極間起電力E10との位相差φ10を図示しない位相検波器により求める(図7ステップ101)。
続いて、信号変換部5は、励磁角周波数がω1の第2の励磁状態において、電極2aと2b間の起電力E11の振幅r11を求めると共に、実軸と電極間起電力E11との位相差φ11を位相検波器により求める(ステップ102)。
次に、信号変換部5は、電極間起電力E10の実軸成分E10xと虚軸成分E10y、および電極間起電力E11の実軸成分E11xと虚軸成分E11yを次式のように算出する(ステップ103)。
E10x=r10・cos(φ10) ・・・(27)
E10y=r10・sin(φ10) ・・・(28)
E11x=r11・cos(φ11) ・・・(29)
E11y=r11・sin(φ11) ・・・(30)
式(27)〜式(30)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E10とE11との起電力差EdA1の大きさを求める(ステップ104)。このステップ104の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(24)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、起電力差EdA1の実軸成分EdA1xと虚軸成分EdA1yを次式のように算出する。
EdA1x=(E10x−E11x)・ω0/(ω0−ω1) ・・・(31)
EdA1y=(E10y−E11y)・ω0/(ω0−ω1) ・・・(32)
次に、流量出力部6は、電極間起電力E10から起電力差EdA1を取り除き、v×B成分EvB1の大きさを求める(ステップ105)。このステップ105の処理は、式(25)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、v×B成分EvB1の大きさ|EvB1|を次式のように算出する。
|EvB1|={(E10x−EdA1x)2+(E10y−EdA1y)21/2
・・・(33)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する(ステップ106)。このステップ106の処理は、式(26)の算出に相当する処理である。
V=|EvB1|/rv ・・・(34)
なお、比例係数rvは、校正等により予め求めることができる定数である。信号変換部5と流量出力部6とは、以上のようなステップ101〜106の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ107においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、励磁周波数が異なる2つの励磁状態の電極間起電力E10とE11とから起電力差EdA1(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この∂A/∂t成分を電極間起電力E10(合成ベクトルVa+Vb)の中から取り除くことによりv×B成分を抽出して、このv×B成分から被測定流体の流量を算出するようにしたので、被測定流体の流量を0にすることなく電磁流量計の出力の0点を補正することでき、高周波励磁においても0点の安定性を確保することができる。
なお、本実施の形態では、第1の励磁状態の電極間起電力E10の中から∂A/∂t成分を取り除いてv×B成分を抽出するようにしているが、第2の励磁状態の電極間起電力E11の中から∂A/∂t成分を取り除いてv×B成分を抽出するようにしてもよい。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法として第2の抽出方法を用いるものであり、複数の励磁周波数による磁場を被測定流体に印加し、電極間起電力に含まれる複数の周波数成分の差を利用して∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出するものである。本実施の形態の電磁流量計の構成は図6に示した第1の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図6の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
図6において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B2は、以下のように与えられるものとする。
B2=b2・cos(ω0・t−θ2)+b2・cos(ω1・t−θ2)
・・・(35)
式(35)において、ω0,ω1は異なる角周波数、b2は磁束密度B2の角周波数ω0の成分の振幅および角周波数ω1の成分の振幅、θ2は角周波数ω0の成分とω0・tとの位相差(位相遅れ)および角周波数ω1の成分とω1・tとの位相差である。
このとき、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力をE20cとすると、電極間起電力E20cは式(21)と同様の次式で表される。
E20c=rk・ω0・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+γ・rk・b2・exp{j・(θ2+θ01)} ・・・(36)
また、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω1の成分の起電力をE21cとすると、電極間起電力E21cは式(21)と同様の次式で表される。
E21c=rk・ω1・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)
+γ・rk・b2・exp{j・(θ2+θ01)} ・・・(37)
ここで、虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係をθ01=θ00+Δθ01とし、式(36)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの起電力E20cをE20とおくと、E20は次式で表される。
E20=rk・ω0・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+γ・rk・V・b2・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}
=rk・b2・exp{j・(θ2+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(38)
同様に、式(37)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの起電力E21cをE21とおくと、E21は次式で表される。
E21=rk・ω1・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+γ・rk・V・b2・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}
=rk・b2・exp{j・(θ2+θ00)}
・{ω1・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(39)
電極間起電力E20,E21を複素ベクトル表現した図を図8(A)に示す。電極間起電力E20とE21との差をとり、求めた差分をω0/(ω0−ω1)倍した結果をEdA2とすれば、式(40)が成立する。
EdA2=(E20−E21)・ω0/(ω0−ω1)
=rk・b2・exp{j・(θ2+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−ω1・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・ω0/(ω0−ω1)
=[rk・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}]・ω0
・・・(40)
式(40)に示す起電力差EdA2は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。この起電力差EdA2を用いて電極間起電力E20(合成ベクトルVa+Vb)からv×B成分を取り出す。なお、起電力差EdA2は、正確には電極間起電力E20とE21との起電力差をω0/(ω0−ω1)倍したものであるが、ω0/(ω0−ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(38)に示す電極間起電力E20から式(40)に示す起電力差EdA2を引いたときに得られるv×B成分をEvB2とすると、v×B成分EvB2は次式で表される。
EvB2=E20−EdA2
=rk・b2・exp{j・(θ2+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
−[rk・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}]・ω0
=[γ・rk・b2・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}]・V
・・・(41)
v×B成分EvB2は角周波数ω0,ω1に関係しない。流速の大きさVが0のときv×B成分EvB2も0となることから分かるように、v×B成分EvB2より、0点が補正された出力を得ることができる。以上の起電力差EdA2およびv×B成分EvB2を複素ベクトル表現した図を図8(B)に示す。式(41)によれば、流速の大きさVにかかる係数の大きさと方向は、複素ベクトル[γ・rk・b2・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}]で表される。
式(41)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|EvB2/[γ・rk・b2・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}]|
=|EvB2|/(γ・rk・b2) ・・・(42)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表2のとおりである。本実施の形態は、表2から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0004523343
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は図6と同様であるので、図6の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち第1の周波数ω0と第2の周波数ω1の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、合成起電力のうち周波数ω0の成分の中から∂A/∂t成分を取り除くことによりv×B成分のみを抽出し、このv×B成分から流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
電源部4は、第1の角周波数ω0の正弦波成分と第2の角周波数ω1の正弦波成分とを含む励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、励磁電流における角周波数ω0の成分と角周波数ω1の成分の振幅は同一である。
図9は信号変換部5と流量出力部6の動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E20の振幅r20を求めると共に、実軸と電極間起電力E20との位相差φ20を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω1の成分の起電力E21の振幅r21を求めると共に、実軸と電極間起電力E21との位相差φ21を位相検波器により求める(図9ステップ201)。電極間起電力E20,E21は、バンドパスフィルタによっても周波数分離することができるが、実際にはコムフィルタとよばれる櫛形のデジタルフィルタを使用すれば、2つの角周波数ω0,ω1の成分に簡単に分離することができる。
次に、信号変換部5は、電極間起電力E20の実軸成分E20xと虚軸成分E20y、および電極間起電力E21の実軸成分E21xと虚軸成分E21yを次式のように算出する(ステップ202)。
E20x=r20・cos(φ20) ・・・(43)
E20y=r20・sin(φ20) ・・・(44)
E21x=r21・cos(φ21) ・・・(45)
E21y=r21・sin(φ21) ・・・(46)
式(43)〜式(46)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E20とE21との起電力差EdA2の大きさを求める(ステップ203)。このステップ203の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(40)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、起電力差EdA2の実軸成分EdA2xと虚軸成分EdA2yを次式のように算出する。
EdA2x=(E20x−E21x)・ω0/(ω0−ω1) ・・・(47)
EdA2y=(E20y−E21y)・ω0/(ω0−ω1) ・・・(48)
次に、流量出力部6は、電極間起電力E20から起電力差EdA2を取り除き、v×B成分EvB2の大きさを求める(ステップ204)。このステップ204の処理は、式(41)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、v×B成分EvB2の大きさ|EvB2|を次式のように算出する。
|EvB2|={(E20x−EdA2x)2+(E20y−EdA2y)21/2
・・・(49)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する(ステップ205)。このステップ205の処理は、式(42)の算出に相当する処理である。
V=|EvB2|/rv ・・・(50)
なお、比例係数rvは、校正等により予め求めることができる定数である。信号変換部5と流量出力部6とは、以上のようなステップ201〜205の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ206においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、励磁コイル3から大きさが等しくかつ周波数が異なる2つの成分を含む磁場を被測定流体に印加し、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E20と角周波数ω1の成分の起電力E21とから起電力差EdA2(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この∂A/∂t成分を電極間起電力E20(合成ベクトルVa+Vb)の中から取り除くことによりv×B成分を抽出して、このv×B成分から被測定流体の流量を算出するようにしたので、被測定流体の流量を0にすることなく電磁流量計の出力の0点を補正することでき、高周波励磁においても0点の安定性を確保することができる。
また、本実施の形態では、第1の実施の形態のように励磁周波数を切り替える必要がないため、より高速に流量を算出することが可能になる。なお、本実施の形態では、角周波数ω0の成分の起電力E20の中から∂A/∂t成分を取り除いてv×B成分を抽出するようにしているが、角周波数ω1の成分の起電力E21の中から∂A/∂t成分を取り除いてv×B成分を抽出するようにしてもよい。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法として第2の抽出方法を用いるものであり、振幅変調した磁場を被測定流体に印加し、電極間起電力に含まれる複数の周波数成分の差を利用して∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出するものである。本実施の形態の電磁流量計の構成は図6に示した第1の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図6の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
図6において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B3は、以下のように与えられるものとする。
B3=b3・{1+ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ3)
・・・(51)
式(51)において、b3は磁場B3の振幅、ω0は搬送波の角周波数、ω1は変調波の角周波数、θ3は搬送波とω0・tとの位相差(位相遅れ)、maは振幅変調指数である。以下、磁束密度B3を磁場B3とする。
式(51)は次式のように変形できる。
B3=b3・{1+ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ3)
=b3・cos(θ3)・cos(ω0・t)
+b3・sin(θ3)・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・b3・cos(θ3)・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・b3・sin(θ3)・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・b3・cos(θ3)・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・b3・sin(θ3)・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(52)
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B3を次式のように微分する。
dB3/dt=ω0・b3・{sin(θ3)}・cos(ω0・t)
+ω0・b3・{−cos(θ3)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・(ω0 + ω1)・b3・{sin(θ3)}
・cos{(ω0 + ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0 + ω1)・b3・{−cos(θ3)}
・sin{(ω0 + ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0 − ω1)・b3・{sin(θ3)}
・cos{(ω0 − ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0 − ω1)・b3・{−cos(θ3)}
・sin{(ω0 − ω1)・t} ・・・(53)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流Iは、第1の実施の形態と同様に図3に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Baの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力Eは、図3に示すような向きとなる。
このとき、電極間起電力Eは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB3/dtのω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分に、比例係数rkをかけ、位相θ3をθ3+θ00で置き換えたものになる(rk、θ00は被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
E=rk・ω0・b3・{−sin(θ3+θ00)}・cos(ω0・t)
+rk・ω0・b3・{cos(θ3+θ00)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・rk・(ω0 + ω1)
・b3・{−sin(θ3+θ00)}・cos{(ω0 + ω1)・t}
+(1/2)・ma・rk・(ω0 + ω1)・b3・{cos(θ3+θ00)}
・sin{(ω0 + ω1)・t}
+(1/2)・ma・rk・(ω0 − ω1)
・b3・{−sin(θ3+θ00)}・cos{(ω0 − ω1)・t}
+(1/2)・ma・rk・(ω0 − ω1)・b3・{cos(θ3+θ00)}
・sin{(ω0 − ω1)・t} ・・・(54)
次に、被測定流体の流速に起因する電極間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Baが発生するため、流速ベクトルvと磁場Baによる渦電流Ivは、第1の実施の形態と同様に図4に示すような向きとなる。このとき、流速に起因する電極間起電力Evは、次式に示すように磁場B3のω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分に、比例係数rkvをかけ、位相θ3をθ3+θ01で置き換えたものになる(rkv、θ01は流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a、2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
Ev= rkv・b3・{cos(θ3+θ01)}・cos(ω0・t)
+ rkv・b3・{sin(θ3+θ01)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・rkv・b3・{cos(θ3+θ01)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・rkv・b3・{sin(θ3+θ01)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・rkv・b3・{cos(θ3+θ01)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・rkv・b3・{sin(θ3+θ01)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(55)
式(54)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(55)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力Ea30cは、式(54)の第1項および第2項と式(55)の第1項および第2項と式(20)とから次式で表される。
Ea30c=rk・ω0・b3・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+γ・rk・V・b3・exp{j・(θ3+θ01)} ・・・(56)
電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力Ea3pcは、式(54)の第3項および第4項と式(55)の第3項および第4項と式(20)とからを適用することにより次式で表される。
Ea3pc=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b3
・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b3
・exp{j・(θ3+θ01)} ・・・(57)
電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力Ea3mcは、式(54)の第5項および第6項と式(55)の第5項および第6項と式(20)とから適用することにより次式で表される。
Ea3mc=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b3
・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b3
・exp{j・(θ3+θ01)} ・・・(58)
ここで、虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係をθ01=θ00+Δθ01とし、式(56)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの起電力Ea30cをE30とおくと、E30は次式で表される。
E30=rk・ω0・b3・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+γ・rk・V・b3・exp{j・(θ3+θ00+Δθ01)}
=rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(59)
また、式(57)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの起電力Ea3pcをE3pとおくと、E3pは次式で表される。
E3p=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b3
・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b3
・exp{j・(θ3+θ00+Δθ01)}
=(1/2)・ma・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(60)
同様に、式(58)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの起電力Ea3mcをE3mとおくと、E3mは次式で表される。
E3m=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b3
・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b3
・exp{j・(θ3+θ01)}
=(1/2)・ma・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{(ω0−ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(61)
電極間起電力E3p,E3mを複素ベクトル表現した図を図10(A)に示す。電極間起電力E3pとE3mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)・(1/ma)倍した結果をEdA3とすれば、式(62)が成立する。
EdA3=(E3p−E3m)・(ω0/ω1)・(1/ma)
=(1/2)・ma・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・(ω0/ω1)・(1/ma)
=[rk・b3・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}]・ω0
・・・(62)
式(62)に示す起電力差EdA3は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA3を用いて電極間起電力E30(合成ベクトルVa+Vb)からv×B成分を取り出す。なお、起電力差EdA3は、正確には電極間起電力E3pとE3mとの起電力差を(ω0/ω1)・(1/ma)倍したものであるが、(ω0/ω1)・(1/ma)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(59)に示す電極間起電力E30から式(62)に示す起電力差EdA3を引いたときに得られるv×B成分をEvB3とすると、v×B成分EvB3は次式で表される。
EvB3=E30−EdA3
=rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
−[rk・b3・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}]・ω0
=[γ・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00+Δθ01)}]・V
・・・(63)
v×B成分EvB3は角周波数ω0,ω1に関係しない。流速の大きさVが0のときv×B成分EvB3も0となることから分かるように、v×B成分EvB3より、0点が補正された出力を得ることができる。以上の起電力差EdA3およびv×B成分EvB3を複素ベクトル表現した図を図10(B)に示す。式(63)によれば、流速の大きさVにかかる係数の大きさと方向は、複素ベクトル[γ・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00+Δθ01)}]で表される。
式(63)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|EvB3/[γ・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00+Δθ01)}]|
=|EvB3|/(γ・rk・b3) ・・・(64)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表3のとおりである。本実施の形態は、表3から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0004523343
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は図6と同様であるので、図6の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、合成起電力のうち角周波数ω0の成分の中から∂A/∂t成分を取り除くことによりv×B成分のみを抽出し、このv×B成分から流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
電源部4は、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、振幅変調指数maは任意の値とする。
図11は信号変換部5と流量出力部6の動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E30の振幅r30を求めると共に、実軸と電極間起電力E30との位相差φ30を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pの振幅r3pを求めると共に、実軸と電極間起電力E3pとの位相差φ3pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mの振幅r3mを求めると共に、実軸と電極間起電力E3mとの位相差φ3mを位相検波器により求める(図11ステップ301)。
電極間起電力E30,E3p,E3mは、バンドパスフィルタによっても周波数分離することができるが、実際にはコムフィルタとよばれる櫛形のデジタルフィルタを使用すれば、3つの角周波数ω0,(ω0+ω1),(ω0−ω1)の成分に簡単に分離することができる。
続いて、信号変換部5は、電極間起電力E30の実軸成分E30xと虚軸成分E30y、電極間起電力E3pの実軸成分E3pxと虚軸成分E3py、および電極間起電力E3mの実軸成分E3mxと虚軸成分E3myを次式のように算出する(ステップ302)。
E30x=r30・cos(φ30) ・・・(65)
E30y=r30・sin(φ30) ・・・(66)
E3px=r3p・cos(φ3p) ・・・(67)
E3py=r3p・sin(φ3p) ・・・(68)
E3mx=r3m・cos(φ3m) ・・・(69)
E3my=r3m・sin(φ3m) ・・・(70)
式(65)〜式(70)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E3pとE3mとの起電力差EdA3の大きさを求める(ステップ303)。このステップ303の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(62)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、起電力差EdA3の実軸成分EdA3xと虚軸成分EdA3yを次式のように算出する。
EdA3x=(E3px−E3mx)・(ω0/ω1)・(1/ma) ・・(71)
EdA3y=(E3py−E3my)・(ω0/ω1)・(1/ma) ・・(72)
次に、流量出力部6は、電極間起電力E30から起電力差EdA3を取り除き、v×B成分EvB3の大きさを求める(ステップ304)。このステップ304の処理は、式(63)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、v×B成分EvB3の大きさ|EvB3|を次式のように算出する。
|EvB3|={(E30x−EdA3x)2+(E30y−EdA3y)21/2
・・・(73)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する(ステップ305)。このステップ305の処理は、式(64)の算出に相当する処理である。
V=|EvB3|/rv ・・・(74)
なお、比例係数rvは、校正等により予め求めることができる定数である。信号変換部5と流量出力部6とは、以上のようなステップ301〜305の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ306においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した磁場を被測定流体に印加し、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mとから起電力差EdA3(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この∂A/∂t成分を電極間起電力E30(合成ベクトルVa+Vb)の中から取り除くことによりv×B成分を抽出して、このv×B成分から被測定流体の流量を算出するようにしたので、被測定流体の流量を0にすることなく電磁流量計の出力の0点を補正することでき、高周波励磁においても0点の安定性を確保することができる。また、本実施の形態では、第1の実施の形態のように励磁周波数を切り替える必要がないため、より高速に流量を算出することが可能になる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法として第2の抽出方法を用いるものであり、振幅変調した磁場を被測定流体に印加し、電極間起電力に含まれる複数の周波数成分の差を利用して∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出するものである。本実施の形態の電磁流量計の構成は図6に示した第1の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図6の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
式(60)に示した電極間起電力E3pと式(61)に示した電極間起電力E3mとの和をE3sとすれば、起電力和E3sは次式で表される。
E3s=E3p+E3m
=(1/2)・ma・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
+(ω0−ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)} =ma・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(75)
電極間起電力E3pとE3mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)倍した結果をEdA4とすれば、式(57)が成立する。
EdA4=(E3p−E3m)・(ω0/ω1)
=(1/2)・ma・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・(ω0/ω1)
=[ma・rk・b3・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}]・ω0
・・・(76)
式(76)に示す起電力差EdA4は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA4を用いて起電力和E3s(合成ベクトルVa+Vb)からv×B成分を取り出す。なお、起電力差EdA4は、正確には電極間起電力E3pとE3mとの起電力差を(ω0/ω1)倍したものであるが、(ω0/ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(75)に示す起電力和E3sから式(76)に示す起電力差EdA4を引いたときに得られるv×B成分をEvB4とすると、v×B成分EvB4は次式で表される。
EvB4=E3s−EdA4
=ma・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
−[ma・rk・b3・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}]・ω0
=[ma・γ・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00+Δθ01)}]・V
・・・(77)
v×B成分EvB4は角周波数ω0,ω1に関係しない。流速の大きさVが0のときv×B成分EvB4も0となることから分かるように、v×B成分EvB4より、0点が補正された出力を得ることができる。以上の電極間起電力E3p,E3mを複素ベクトル表現した図を図12(A)に示し、起電力和E3s、起電力差EdA4およびv×B成分EvB4を複素ベクトル表現した図を図12(B)に示す。式(77)によれば、流速の大きさVにかかる係数の大きさと方向は、複素ベクトル[ma・γ・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00+Δθ01)}]で表される。
式(77)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|EvB4
/[ma・γ・rk・b3・exp{j・(θ3+θ00+Δθ01)}]|
=|EvB4|/(ma・γ・rk・b3)
・・・(78)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表4のとおりである。本実施の形態は、表4から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0004523343
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は図6と同様であるので、図6の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、合成起電力のうち前記2つの角周波数成分の起電力和の中から∂A/∂t成分を取り除くことによりv×B成分のみを抽出し、このv×B成分から流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
電源部4は、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、振幅変調指数maは任意の値とする。
図13は、本実施の形態の信号変換部5と流量出力部6の動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pの振幅r3pを求めると共に、実軸と電極間起電力E3pとの位相差φ3pを図示しない位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mの振幅r3mを求めると共に、実軸と電極間起電力E3mとの位相差φ3mを位相検波器により求める(図13ステップ401)。前述のとおり、電極間起電力E3p,E3mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5は、電極間起電力E3pの実軸成分E3pxと虚軸成分E3py、電極間起電力E3mの実軸成分E3mxと虚軸成分E3my、および起電力和E3sの実軸成分E3sxと虚軸成分E3syを次式のように算出する(ステップ402)。
E3px=r3p・cos(φ3p) ・・・(79)
E3py=r3p・sin(φ3p) ・・・(80)
E3mx=r3m・cos(φ3m) ・・・(81)
E3my=r3m・sin(φ3m) ・・・(82)
E3sx=E3px+E3mx ・・・(83)
E3sy=E3py+E3my ・・・(84)
式(79)〜式(84)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E3pとE3mとの起電力差EdA4の大きさを求める(ステップ403)。このステップ403の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(76)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、起電力差EdA4の実軸成分EdA4xと虚軸成分EdA4yを次式のように算出する。
EdA4x=(E3px−E3mx)・(ω0/ω1) ・・・(85)
EdA4y=(E3py−E3my)・(ω0/ω1) ・・・(86)
次に、流量出力部6は、起電力和E3sから起電力差EdA4を取り除き、v×B成分EvB4の大きさを求める(ステップ404)。このステップ404の処理は、式(77)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、v×B成分EvB4の大きさ|EvB4|を次式のように算出する。
|EvB4|={(E3sx−EdA4x)2+(E3sy−EdA4y)21/2
・・・(87)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する(ステップ405)。このステップ405の処理は、式(78)の算出に相当する処理である。
V=|EvB4|/rv ・・・(88)
なお、比例係数rvは、校正等により予め求めることができる定数である。信号変換部5と流量出力部6とは、以上のようなステップ401〜405の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ406においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した磁場を被測定流体に印加し、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mとから起電力差EdA4(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この∂A/∂t成分を起電力和E3s(合成ベクトルVa+Vb)の中から取り除くことによりv×B成分を抽出して、このv×B成分から被測定流体の流量を算出するようにしたので、被測定流体の流量を0にすることなく電磁流量計の出力の0点を補正することでき、高周波励磁においても0点の安定性を確保することができる。また、本実施の形態では、第1の実施の形態のように励磁周波数を切り替える必要がないため、より高速に流量を算出することが可能になる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法として第2の抽出方法を用いるものであり、位相変調又は周波数変調した磁場を被測定流体に印加し、電極間起電力に含まれる複数の周波数成分の差を利用して∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出するものである。本実施の形態の電磁流量計の構成は図6に示した第1の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図6の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
図6において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B5は、以下のように与えられるものとする。
B5=b5・cos{ω0・t−mp・cos(ω1・t)−θ5} ・・・(89)
式(89)において、b5は磁場B5の振幅、ω0は搬送波の角周波数、ω1は変調波の角周波数、θ5は搬送波とω0・t−mp・cos(ω1・t)との位相差(位相遅れ)、mpは位相変調指数である。以下、磁束密度B5を磁場B5とする。
式(89)は次式のように変形できる。
B5=b5・cos{ω0・t−mp・cos(ω1・t)−θ5}
=b5・cos(ω0・t−θ5)・cos{−mp・cos(ω1・t)}
−b5・sin(ω0・t−θ5)・sin{−mp・cos(ω1・t)}
=b5・cos{ mp・cos(ω1・t)}
・{cos(ω0・t)・cos(−θ5)
−sin(ω0・t)・sin(−θ5)}
+b5・sin{ mp・cos(ω1・t)}
・{sin(ω0・t)・cos(−θ5)
+cos(ω0・t)・sin(−θ5)} ・・・(90)
ここで、式(90)のcos{mp・cos(ω1・t)}、sin{mp・cos(ω1・t)}は次式のように変換できる。
Figure 0004523343
式(91)、式(92)においてJn(mp) (n=0,1,2,・・・・)は第1種ベッセル関数として知られており、この第1種ベッセル関数Jn(mp) は次式で与えられる。
Figure 0004523343
なお、式(93)においてk!はkの階乗を意味する。式(91)、式(92)においてn=0,1の場合のみ採用すると、式(90)は以下のように変形できる。
B5=J0(mp)・b5・{cos(θ5)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・b5・{sin(θ5)}・sin(ω0・t)
+J1(mp)・b5・{−sin(θ5)}・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・b5・{cos(θ5)}・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・b5・{−sin(θ5)}・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・b5・{cos(θ5)}・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(94)
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B5を次式のように微分する。
dB5/dt=J0(mp)・ω0・b5・{sin(θ5)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・ω0・b5・{−cos(θ5)}
・sin(ω0・t)
+J1(mp)・(ω0+ω1)・b5・{cos(θ5)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0+ω1)・b5・{sin(θ5)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0−ω1)・b5・{cos(θ5)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0−ω1)・b5・{sin(θ5)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(95)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流Iは、第1の実施の形態と同様に図3に示すような向きとなる。このとき、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Baの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力Eは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB5/dtのω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分に比例係数rkをかけ、位相θ5をθ5+θ00で置き換えたものになる(rk、θ00は被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a、2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
E=J0(mp)・rk・ω0・b5・{−sin(θ5+θ00)}
・cos(ω0・t)
+J0(mp)・rk・ω0・b5・{cos(θ5+θ00)}
・sin(ω0・t)
+J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b5・{−cos(θ5+θ00)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b5・{−sin(θ5+θ00)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b5・{−cos(θ5+θ00)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b5・{−sin(θ5+θ00)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(96)
次に、被測定流体の流速に起因する電極間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Baが発生するため、流速ベクトルvと磁場Baによる渦電流Ivは、第1の実施の形態と同様に図4に示すような向きとなる。このとき、流速に起因する電極間起電力Evは、次式に示すように磁場B5のω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分に、比例係数rkvをかけ、位相θ5をθ5+θ01で置き換えたものになる(rkv、θ01は流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a、2bの配置を含む測定管1の構造に関係する)。
Ev=J0(mp)・rkv・b5・{cos(θ5+θ01)}
・cos(ω0・t)
+J0(mp)・rkv・b5・{sin(θ5+θ01)}
・sin(ω0・t)
+J1(mp)・rkv・b5・{−sin(θ5+θ01)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・rkv・b5・{cos(θ5+θ01)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・rkv・b5・{−sin(θ5+θ01)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・rkv・b5・{cos(θ5+θ01)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(97)
式(96)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(97)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力Ea50cは、式(96)の第1項および第2項と式(97)の第1項および第2項と式(20)とから次式で表される。
Ea50c=J0(mp)・rk・ω0・b5
・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}
+J0(mp)・γ・rk・V・b5・exp{j・(θ5+θ01)}
・・・(98)
式(96)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(97)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力Ea5pcは、式(96)の第3項および第4項と式(97)の第3項および第4項と式(20)とから次式で表される。
Ea5pc=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b5
・exp{j・(π+θ5+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b5
・exp{j・(π/2+θ5+θ01)} ・・・(99)
式(96)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(97)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力Ea5mcは、式(96)の第5項および第6項と式(97)の第5項および第6項と式(20)とから次式で表される。
Ea5mc=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b5
・exp{j・(π+θ5+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b5
・exp{j・(π/2+θ5+θ01)} ・・・(100)
ここで、虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係をθ01=θ00+Δθ01とし、式(98)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの起電力Ea50cをE50とおくと、E50は次式で表される。
E50=J0(mp)・rk・ω0・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}
+J0(mp)・γ・rk・V・b5・exp{j・(θ5+θ00+Δθ01)}
=J0(mp)・rk・b5・exp{j・(θ5+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(101)
また、式(99)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの起電力Ea5pcをE5pとおくと、E5pは次式で表される。
E5p=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b5
・exp{j・(π+θ5+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b5
・exp{j・(π/2+θ5+θ00+Δθ01)}
=J1(mp)・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(102)
同様に、式(100)にθ01=θ00+Δθ01を代入したときの起電力Ea5mcをE5mとおくと、E5mは次式で表される。
E5m=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b5
・exp{j・(π+θ5+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b5
・exp{j・(π/2+θ5+θ00+Δθ01)}
=J1(mp)・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}
・{(ω0−ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(103)
電極間起電力E5p,E5mを複素ベクトル表現した図を図14(A)に示す。電極間起電力E5pとE5mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した結果をEdA5とすれば、式(104)が成立する。
EdA5=(E5p−E5m)・(ω0/ω1)・J0(mp)
/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}
=J1(mp)・rk・b5・exp{j・(θ5+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}
・exp{j・(−π/2)}
=[J0(mp)・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}]・ω0
・・・(104)
式(104)に示す起電力差EdA5は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA5を用いて電極間起電力E50(合成ベクトルVa+Vb)からv×B成分を取り出す。なお、起電力差EdA5は、正確には電極間起電力E5pとE5mとの起電力差を(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍したものであるが、(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(101)に示す電極間起電力E50から式(104)に示す起電力差EdA5を引いたときに得られるv×B成分をEvB5とすると、v×B成分EvB5は次式で表される。
EvB5=E50−EdA5
=J0(mp)・rk・b5・exp{j・(θ5+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
−[J0(mp)・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}]・ω0
=[J0(mp)・γ・rk・b5
・exp{j・(θ5+θ00+Δθ01)}]・V ・・・(105)
v×B成分EvB5は角周波数ω0,ω1に関係しない。流速の大きさVが0のときv×B成分EvB5も0となることから分かるように、v×B成分EvB5より、0点が補正された出力を得ることができる。以上の電極間起電力E50、起電力差EdA5およびv×B成分EvB5を複素ベクトル表現した図を図14(B)に示す。式(105)によれば、流速の大きさVにかかる係数の大きさと方向は、複素ベクトル[J0(mp)・γ・rk・b5・exp{j・(θ5+θ00+Δθ01)}]で表される。
式(105)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|EvB5/[J0(mp)・γ・rk・b5
・exp{j・(θ5+θ00+Δθ01)}]|
=|EvB5|/(J0(mp)・γ・rk・b5) ・・・(106)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表5のとおりである。本実施の形態は、表5から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0004523343
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は図6と同様であるので、図6の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、合成起電力の角周波数ω0とω0±ζ・ω1の成分のうち任意の1種類の成分の中から∂A/∂t成分を取り除くことによりv×B成分のみを抽出し、このv×B成分から流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
電源部4は、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、位相変調指数mpは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5と流量出力部6の処理の流れは第3の実施の形態と同様であるので、図11の符号を用いて信号変換部5と流量出力部6の動作を説明する。まず、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E50の振幅r50を求めると共に、実軸と電極間起電力E50との位相差φ50を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E5pの振幅r5pを求めると共に、実軸と電極間起電力E5pとの位相差φ5pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E5mの振幅r5mを求めると共に、実軸と電極間起電力E5mとの位相差φ5mを位相検波器により求める(図11ステップ301)。電極間起電力E50,E5p,E5mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5は、電極間起電力E50の実軸成分E50xと虚軸成分E50y、電極間起電力E5pの実軸成分E5pxと虚軸成分E5py、および電極間起電力E5mの実軸成分E5mxと虚軸成分E5myを次式のように算出する(ステップ302)。
E50x=r50・cos(φ50) ・・・(107)
E50y=r50・sin(φ50) ・・・(108)
E5px=r5p・cos(φ5p) ・・・(109)
E5py=r5p・sin(φ5p) ・・・(110)
E5mx=r5m・cos(φ5m) ・・・(111)
E5my=r5m・sin(φ5m) ・・・(112)
式(107)〜式(112)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E5pとE5mとの起電力差EdA5の大きさを求める(ステップ303)。このステップ303の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(104)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、起電力差EdA5の実軸成分EdA5xと虚軸成分EdA5yを次式のように算出する。ベッセル関数J0(mp)、J1(mp)は任意の設定値である。
EdA5x=(E5px−E5mx)・(ω0/ω1)・J0(mp)
/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)} ・・(113)
EdA5y=(E5py−E5my)・(ω0/ω1)・J0(mp)
/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)} ・・(114)
次に、流量出力部6は、電極間起電力E50から起電力差EdA5を取り除き、v×B成分EvB5の大きさを求める(ステップ304)。このステップ304の処理は、式(105)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、v×B成分EvB5の大きさ|EvB5|を次式のように算出する。
|EvB5|={(E50x−EdA5x)2+(E50y−EdA5y)21/2
・・・(115)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する(ステップ305)。このステップ305の処理は、式(106)の算出に相当する処理である。
V=|EvB5|/rv ・・・(116)
なお、比例係数rvは、校正等により予め求めることができる定数であり、この比例係数rvに含まれるベッセル関数J0(mp) は、任意の設定値である。信号変換部5と流量出力部6とは、以上のようなステップ301〜305の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ306においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調した磁場を被測定流体に印加し、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E5pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E5mとから起電力差EdA5(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この∂A/∂t成分を電極間起電力E50(合成ベクトルVa+Vb)の中から取り除くことによりv×B成分を抽出して、このv×B成分から被測定流体の流量を算出するようにしたので、被測定流体の流量を0にすることなく電磁流量計の出力の0点を補正することでき、高周波励磁においても0点の安定性を確保することができる。また、本実施の形態では、第1の実施の形態のように励磁周波数を切り替える必要がないため、より高速に流量を算出することが可能になる。
なお、本実施の形態では、角周波数ω0の成分の起電力E50から∂A/∂t成分を取り除くようにしているが、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E5pから∂A/∂t成分を取り除くようにしてもよいし、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E5mから∂A/∂t成分を取り除くようにしてもよい。
また、本実施の形態では、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調した励磁電流を電源部4から励磁コイル3に供給しているが、これに限るものではなく、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって周波数変調した励磁電流を励磁コイル3に供給するようにしてもよい。
以下、周波数変調が位相変調と同等に扱えることについて説明する。図6において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B5は、以下のように与えられるものとする。
B5=b5・cos{ω0・t−mf・sin(ω1・t)−θ5} ・・(117)
式(117)において、b5は振幅、ω0,ω1は角周波数、θ5はω0・t−mf・sin(ω1・t)との位相差(位相遅れ)、mfは周波数変調指数である。
また、周波数変調指数mfは次式であらわされる。
mf=Δω1/ω1 ・・・(118)
式(118)において、Δω1は角周波数帯域を表し、変調波の最大振幅のときの周波数偏移量をΔFとすると、Δω1=2・π・ΔFである。
式(117)は次式のように変形できる。
B5=b5・cos{ω0・t−mf・sin(ω1・t)−θ5}
=b5・cos(ω0・t−θ5)・cos{−mf・sin(ω1・t)}
−b5・sin(ω0・t−θ5)・sin{−mf・sin(ω1・t)}
=b5・cos{ mf・sin(ω1・t)}・{cos(ω0・t)
・cos(−θ5)−sin(ω0・t)・sin(−θ5)}
+b5・sin{ mf・sin(ω1・t)}・{sin(ω0・t)
・cos(−θ5)+cos(ω0・t)・sin(−θ5)}
・・・(119)
ここで、式(119)のcos{mf・sin(ω1・t)}、sin{mf・sin(ω1・t)}は次式のように変換できる。
Figure 0004523343
式(120)、式(121)においてJn(mf) (n=0,1,2,・・・・)は第1種ベッセル関数として知られており、この第1種ベッセル関数Jn(mf) は次式で与えられる。
Figure 0004523343
なお、式(122)においてk!はkの階乗を意味する。式(120)、式(121)においてn=0,1の場合のみ採用すると、式(119)は以下のように変形できる。
B5=b5・J0(mf)・{cos(ω0・t)・cos(−θ5)
−sin(ω0・t)・sin(−θ5)}
+b5・2・J1(mf)・cos(ω1・t)・{sin(ω0・t)
・cos(−θ5)+cos(ω0・t)・sin(−θ5)}
=J0(mf)・b5・{cos(θ5)}・cos(ω0・t)
+J0(mf)・b5・{sin(θ5)}・sin(ω0・t)
+J1(mf)・b5・{−sin(θ5)}・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mf)・b5・{cos(θ5)}・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mf)・b5・{−sin(θ5)}・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mf)・b5・{cos(θ5)}・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(123)
式(123)においてmf=mpとおけば式(94)とまったく同じ式になるので、周波数変調を位相変調と同等に扱えることが分かる。搬送波を位相変調した励磁電流を励磁コイルに供給する以下の実施の形態においても、周波数変調は位相変調の場合と同じに扱うことができるので、周波数変調の説明は省略する。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出する方法として第2の抽出方法を用いるものであり、位相変調又は周波数変調した磁場を被測定流体に印加し、電極間起電力に含まれる複数の周波数成分の差を利用して∂A/∂t成分のベクトルVaの推測値Va’を抽出するものである。本実施の形態の電磁流量計の構成は図6に示した第1の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図6の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
式(102)に示した電極間起電力E5pと式(103)に示した電極間起電力E5mとの和をE5sとすれば、起電力和E5sは次式で表される。
E5s=E5p+E5m
=J1(mp)・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
+(ω0−ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
=2・J1(mp)・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(124)
電極間起電力E5pとE5mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)倍した結果をEdA6とすれば、式(125)が成立する。
EdA6=(E5p−E5m)・(ω0/ω1)
=J1(mp)・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ0・V・exp(j・Δθ01)
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)−γ0・V・exp(j・Δθ01)}
・ω0/ω1
=[2・J1(mp)・rk・b5・exp{j・(π+θ5+θ00)}]・ω0
・・・(125)
式(125)に示す起電力差EdA6は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA6を用いて起電力和E5s(合成ベクトルVa+Vb)からv×B成分を取り出す。なお、起電力差EdA6は、正確には電極間起電力E5pとE5mとの起電力差を(ω0/ω1)倍したものであるが、(ω0/ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(124)に示す起電力和E5sから式(125)に示す起電力差EdA6を引いたときに得られるv×B成分をEvB6とすると、v×B成分EvB6は次式で表される。
EvB6=E5s−EdA6
=2・J1(mp)・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
−[2・J1(mp)・rk・b5・exp{j・(π+θ5+θ00)}]・ω0
=[2・J1(mp)・γ・rk・b5
・exp{j・(π/2+θ5+θ00+Δθ01)}]・V ・・(126)
v×B成分EvB6は角周波数ω0,ω1に関係しない。流速の大きさVが0のときv×B成分EvB6も0となることから分かるように、v×B成分EvB6より、0点が補正された出力を得ることができる。以上の電極間起電力E5p,E5mを複素ベクトル表現した図を図15(A)に示し、起電力和E5s、起電力差EdA6およびv×B成分EvB6を複素ベクトル表現した図を図15(B)に示す。式(126)によれば、流速の大きさVにかかる係数の大きさと方向は、複素ベクトル[2・J1(mp)・γ・rk・b5・exp{j・(π/2+θ5+θ00+Δθ01)}]で表される。
式(126)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|EvB6/[2・J1(mp)・γ・rk・b5
・exp{j・(π/2+θ5+θ00+Δθ01)}]|
=|EvB6|/(2・J1(mp)・γ・rk・b5) ・・(127)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表6のとおりである。本実施の形態は、表6から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0004523343
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は図6と同様であるので、図6の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうち前記2つの角周波数成分の起電力和の中から∂A/∂t成分を取り除くことによりv×B成分のみを抽出し、このv×B成分から流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
電源部4は、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、位相変調指数mpは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5と流量出力部6の処理の流れは第4の実施の形態と同様であるので、図13の符号を用いて信号変換部5と流量出力部6の動作を説明する。まず、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E5pの振幅r5pを求めると共に、実軸と電極間起電力E5pとの位相差φ5pを図示しない位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E5mの振幅r5mを求めると共に、実軸と電極間起電力E5mとの位相差φ5mを位相検波器により求める(図13ステップ401)。前述のとおり、電極間起電力E5p,E5mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5は、電極間起電力E5pの実軸成分E5pxと虚軸成分E5py、電極間起電力E5mの実軸成分E5mxと虚軸成分E5my、および起電力和E5sの実軸成分E5sxと虚軸成分E5syを次式のように算出する(ステップ402)。
E5px=r5p・cos(φ5p) ・・・(128)
E5py=r5p・sin(φ5p) ・・・(129)
E5mx=r5m・cos(φ5m) ・・・(130)
E5my=r5m・sin(φ5m) ・・・(131)
E5sx=E5px+E5mx ・・・(132)
E5sy=E5py+E5my ・・・(133)
式(128)〜式(133)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E5pとE5mとの起電力差EdA6の大きさを求める(ステップ403)。このステップ403の処理は、∂A/∂t成分を求めることに対応する処理であり、式(125)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、起電力差EdA6の実軸成分EdA6xと虚軸成分EdA6yを次式のように算出する。
EdA6x=(E5px−E5mx)・(ω0/ω1) ・・・(134)
EdA6y=(E5py−E5my)・(ω0/ω1) ・・・(135)
次に、流量出力部6は、起電力和E5sから起電力差EdA6を取り除き、v×B成分EvB6の大きさを求める(ステップ404)。このステップ404の処理は、式(126)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、v×B成分EvB6の大きさ|EvB6|を次式のように算出する。
|EvB6|={(E5sx−EdA6x)2+(E5sy−EdA6y)21/2
・・・(136)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する(ステップ405)。このステップ405の処理は、式(127)の算出に相当する処理である。
V=|EvB6|/rv
なお、比例係数rvは、校正等により予め求めることができる定数であり、この比例係数rvに含まれるベッセル関数J1(mp) は、任意の設定値である。信号変換部5と流量出力部6とは、以上のようなステップ401〜405の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ406においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した磁場を被測定流体に印加し、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E5pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E5mとから起電力差EdA6(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この∂A/∂t成分を起電力和E5s(合成ベクトルVa+Vb)の中から取り除くことによりv×B成分を抽出して、このv×B成分から被測定流体の流量を算出するようにしたので、被測定流体の流量を0にすることなく電磁流量計の出力の0点を補正することでき、高周波励磁においても0点の安定性を確保することができる。また、本実施の形態では、第1の実施の形態のように励磁周波数を切り替える必要がないため、より高速に流量を算出することが可能になる。
なお、本発明の本質は、合成ベクトルVa+Vbから∂A/∂t成分を、電磁流量計の構造に関係なく除去する方法を提供することにある。つまり、被測定流体中に誘導される∂A/∂t成分、電極に直接誘導される∂A/∂t成分、信号線に直接誘導される∂A/∂t成分など、誘導される場所に関係なく∂A/∂t成分を除去することが可能である。第1の実施の形態〜第6の実施の形態では、説明を容易にするため、電極軸から測定管軸方向にオフセット距離dだけ離れた位置に励磁コイルが配設された構造の電磁流量計において、被測定流体中に発生する∂A/∂t成分を除去する動作について説明したが、これに限るものではなく、他の構成の電磁流量計にも本発明を適用することができる。
また、第1の実施の形態〜第6の実施の形態では、励磁電流に正弦波を用いる正弦波励磁方式を採用しているが、励磁電流に矩形波を用いる矩形波励磁方式を採用してもよい。
また、第1の実施の形態〜第6の実施の形態で使用する電極2a,2bとしては、図16に示すように、測定管1の内壁から露出して被測定流体に接触する形式の電極でもよいし、図17に示すように、被測定流体と接触しない容量結合式の電極でもよい。容量結合式の場合、電極2a,2bは、測定管1の内壁に形成されるセラミックやテフロン(登録商標)等からなるライニング10によって被覆される。
また、第1の実施の形態〜第6の実施の形態では、1対の電極2a,2bを使用しているが、これに限るものではなく、電極を1個にしてもよい。電極が1個だけの場合には、被測定流体の電位を接地電位にするための接地リングや接地電極が測定管1に設けられており、1個の電極に生じた起電力(接地電位との電位差)を信号変換部5で検出すればよい。電極軸は、1対の電極を使用する場合はこの1対の電極間を結ぶ直線である。一方、電極が1個だけの場合、この1個の実電極を含む平面PLN上において、測定管軸PAXを挟んで実電極と対向する位置に仮想の電極を配置したと仮定したとき、実電極と仮想の電極とを結ぶ直線が電極軸となる。
また、第5の実施の形態および第6の実施の形態では、第1次ベッセル関数の展開においてn=0,1の場合のみを適用し、電極間起電力の角周波数ω0±ω1の成分を用いたが、これに限るものではなく、ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分を用いてもよい。ζが2以上の整数の場合には、第1次ベッセル関数の展開においてn=2以降を適用すれば、流速の大きさVの算出が可能である。
本発明は、測定管内を流れる被測定流体の流量計測に適用することができる。
本発明の電磁流量計の基本原理を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。 本発明の第1の実施の形態の電磁流量計において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第1の実施の形態の電磁流量計において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第1の実施の形態において電極間起電力と起電力差とv×B成分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第1の実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態において電極間起電力と起電力差とv×B成分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第2の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態において電極間起電力と起電力差とv×B成分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第3の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態において電極間起電力と起電力和と起電力差とv×B成分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第4の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施の形態において電極間起電力と起電力差とv×B成分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第6の実施の形態において電極間起電力と起電力和と起電力差とv×B成分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の電磁流量計で用いる電極の1例を示す断面図である。 本発明の電磁流量計で用いる電極の他の例を示す断面図である。 電磁流量計における0点のシフトを説明するための図である。
符号の説明
1…測定管、2a、2b…電極、3…励磁コイル、4…電源部、5…信号変換部、6…流量出力部。

Claims (12)

  1. 被測定流体が流れる測定管と、
    この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、
    時間変化する磁場を前記流体に印加する励磁部と、
    前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、
    前記合成起電力の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出する流量出力部とを備えることを特徴とする電磁流量計。
  2. 請求項1記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、励磁周波数を切り替えながら前記流体に前記磁場を印加し、
    前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる少なくとも2つの励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、この合成起電力の振幅と位相に基づいて前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記励磁状態のうちいずれか1つの励磁状態における合成起電力の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  3. 請求項2記載の電磁流量計において、
    前記信号変換部は、前記励磁周波数が異なる第1の励磁状態と第2の励磁状態の各々において前記合成起電力の振幅と位相を求め、これらの合成起電力の振幅と位相に基づいて前記第1の励磁状態の合成起電力と前記第2の励磁状態の合成起電力との起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出することを特徴とする電磁流量計。
  4. 請求項1記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、複数の励磁周波数により前記流体に前記磁場を印加し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち少なくとも2つの異なる周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記合成起電力のうち少なくとも1つの周波数成分の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  5. 請求項4記載の電磁流量計において、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち第1の周波数と第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出することを特徴とする電磁流量計。
  6. 請求項4記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって変調した磁場を前記流体に印加し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から少なくとも2つの異なる角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  7. 請求項6記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した前記磁場を前記流体に印加し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  8. 請求項7記載の電磁流量計において、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記合成起電力のうち角周波数ω0の成分の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  9. 請求項7記載の電磁流量計において、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記合成起電力のうち前記2つの角周波数成分の起電力和の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  10. 請求項6記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した前記磁場を前記流体に印加することを特徴とする電磁流量計。
  11. 請求項10記載の電磁流量計において、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記合成起電力の角周波数ω0とω0±ζ・ω1の成分のうち任意の1種類の成分の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  12. 請求項10記載の電磁流量計において、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうち前記2つの角周波数成分の起電力和の中から、前記抽出された∂A/∂t成分を取り除くことにより前記v×B成分のみを抽出し、このv×B成分から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
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