JP5391000B2 - 電磁流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、測定管内を流れる被測定流体の流量を計測する電磁流量計に係り、特に正確な流量計測を実現することができる励磁方式と信号処理方式に関するものである。
電磁流量計は、測定管内を流れる導電性の被測定流体の流量を電磁誘導現象を利用して電気信号に変換して測定するものである。図27に従来の一般形の電磁流量計の構成を示す。この電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管1の軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する一対の電極2a,2bと、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3と、電極2a,2b間の起電力を検出する信号変換部5と、信号変換部5によって検出された電極間起電力から被測定流体の流量を算出する流量出力部6とを有している。
図27の一般形の電磁流量計では、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で対称な磁場が被測定流体に印加される。また、励磁コイル3の励磁方式には、高周波励磁が可能な正弦波励磁方式と、電磁誘導雑音などの影響を受けない矩形波励磁方式とがある。
励磁コイル3の励磁電流に正弦波を用いる正弦波励磁方式には、商用周波数ノイズの影響を受けやすいという欠点があるが、この欠点は励磁電流の周波数を高くした高周波励磁方式によって解決することができる。また、高周波励磁方式には、電気化学ノイズやスパイクノイズといった1/fノイズに強いという利点があり、さらに応答性(流量変化に対し流量信号を素早く追従させる特性)を向上させることができるという利点がある。
しかしながら、従来の正弦波励磁方式では、同相成分のノイズの影響を受けやすいという問題点があった。同相成分のノイズとしては、例えば被測定流体に印加する磁場の振幅のシフトがある。従来の電磁流量計では、励磁コイル3に供給する励磁電流の振幅が電源電圧のふらつき等の理由により変動(シフト)して、被測定流体に印加する磁場の振幅がシフトすると、電極間起電力の振幅が変化し、シフトの影響による流量計測誤差が発生する。このような同相成分のノイズは高周波励磁方式を用いても除去することができない。
これに対して、励磁コイル3に供給する励磁電流に矩形波を用いる矩形波励磁方式の場合、同相成分のノイズに強いという利点がある。しかしながら、矩形波励磁方式は、磁場の変化がなくなったところで電極間起電力を検出するという手法をとっているため、励磁電流が高周波になると、検出器に高い性能が要求される。さらに、矩形波励磁方式では、励磁電流が高周波になると、励磁コイル3のインピーダンスや、励磁電流の応答性、磁場の応答性、励磁コイル3のコアや測定管1での過電流損失といった影響を無視できなくなり、矩形波励磁を維持することが難しくなる。結果として、矩形波励磁方式の場合、高周波励磁が難しく、流量変化に対する応答性の向上や1/fノイズの除去を実現できないという問題点があった。
尚、流量は流速に測定管の断面積をかけたものとなるため、通常、初期状態での校正において流速と流量は一対一の関係となり、流速を求めることと流量を求めることは同等に扱えるので、以下(流量を求めるために)流速を求める方式として説明を進める。
同相成分のノイズを除去して流量計測誤差を補正することができ、かつ高周波励磁を実現することができる電磁流量計として、発明者は図28に示すような非対称励磁形の電磁流量計を提案した(特許文献1、特許文献2参照)。図27に示した一般形に対して図28に示した非対称励磁形の電磁流量計は、スパンのシフトに影響されないパラメータ(非対称励磁パラメータ)を抽出し、これに基づき流量を出力することで、スパンのシフトの問題を解決している。
ここで、図29を用いてスパンのシフトについて説明する。被測定流体の流速が変化していないにもかかわらず、電磁流量計によって計測される流速の大きさVが変化したとすると、この出力変動の要因としてスパンのシフトが考えられる。例えば、初期状態において被測定流体の流速が0のときに電磁流量計の出力が0(v)となり、流速が1(m/sec)のときに出力が1(v)となるように校正したとする。ここでの電磁流量計の出力は、流速の大きさVを表す電圧である。このような校正により、被測定流体の流速が1(m/sec)であれば、電磁流量計の出力は当然1(v)になるはずである。ところが、ある時間t1が経過したところで、被測定流体の流速が同じく1(m/sec)であるにもかかわらず、電磁流量計の出力が1.2(v)になることがある。この出力変動の要因として考えられるのが、スパンのシフトである。スパンのシフトという現象は、例えば電磁流量計の周囲温度の変化などにより、励磁コイルを流れる励磁電流値が一定値を維持できなくなるなどの原因により発生する。
特許第3774218号公報 特開2005−300325号公報
しかしながら、図28に示した構成のように、非対称励磁形の電磁流量計は、一般形の電磁流量計と違い、電極位置とコイル位置との間にオフセットを設ける必要があるため、一般形の電磁流量計の検出器を転用することができず、新たに検出器部分を設計し、作成する必要があるという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、正確なスパン補正を自動的に行い、高精度の流量計測を行うことができる電磁流量計を、従来の一般形の検出器の構成を大きく変更することなく提供することを目的とする。
本発明の電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管と、この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、この電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な電極平面に対して対称かつ時間変化する磁場を前記流体に印加する励磁部と、一端が前記電極と接続されると共に、前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設された信号線と、前記信号線の他端と接続され、前記電極および信号線で検出される、前記流体の流速とは無関係で前記磁場の時間変化に起因する∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出する流量出力部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記信号線の配設方向は、前記測定管の軸と同じ方向成分を持つことを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記励磁部は、コイル軸が前記電極平面に含まれるように配設された励磁コイルと、この励磁コイルに励磁電流を供給する電源とからなり、前記信号変換部は、前記合成起電力と前記励磁電流との位相差あるいは時間差を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第1の実施の形態)において、前記電源は、第1の周波数の励磁電流を前記励磁コイルに供給し、前記信号変換部は、前記合成起電力のうち前記第1の周波数の成分と前記励磁電流との位相差を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記合成起電力の第1の周波数成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記励磁部は、コイル軸が前記電極平面に含まれるように配設された励磁コイルと、複数の励磁周波数を同時または交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給する電源とからなり、前記信号変換部は、前記合成起電力のうち同時または交互に得られる少なくとも2つの異なる周波数成分の振幅と位相を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第2の実施の形態)において、前記電源は、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時または交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給し、前記信号変換部は、前記合成起電力のうち前記第1の周波数と前記第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記合成起電力のうち前記第1の周波数成分中のv×B成分又は前記第2の周波数成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記電極は、前記測定管の軸に直交する軸上に前記測定管の軸を挟んで対向するように1対配設され、前記信号線は、各々の電極に1本ずつ接続された2本の信号線からなり、この2本の信号線のうち少なくとも1本の信号線が前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設されることを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記励磁部は、コイル軸が前記電極平面に含まれるように配設された励磁コイルと、この励磁コイルに励磁電流を供給する電源とからなり、前記信号線は、互いに異なる経路に配設された複数の信号線からなり、前記信号変換部は、前記複数の信号線から得られる合成起電力の和または差を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第3の実施の形態)において、前記電極は、前記測定管の軸に直交する軸上に前記測定管の軸を挟んで対向するように1対配設され、前記信号線は、各々の電極に1本ずつ接続された2本の信号線からなり、この2本の信号線が前記電極平面から互いに逆方向に向かうように配設され、前記信号変換部は、前記2本の信号線から得られる合成起電力の和を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記2本の信号線から得られる合成起電力の差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記信号線は、同じ電極に接続された複数の信号線からなり、前記信号変換部は、前記複数の信号線から得られる合成起電力のうち少なくとも2本の信号線から得られる合成起電力の振幅と位相を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第4の実施の形態)において、前記信号線は、同じ電極に接続された第1、第2の信号線からなり、この第1、第2の信号線が前記電極平面から互いに逆方向に向かうように配設され、前記信号変換部は、前記第1の信号線から得られる第1の合成起電力と前記第2の信号線から得られる第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と前記第2の合成起電力との起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力と前記第2の合成起電力との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例において、前記電極は、前記測定管の軸に直交する軸上に前記測定管の軸を挟んで対向するように1対配設され、各々の電極に複数本ずつ接続された信号線のうち、少なくとも一方の電極に接続された信号線が前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設されることを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第5の実施の形態)は、前記励磁部の外側を覆うアウターコアを備え、前記信号線は、前記アウターコアの内側に、前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設されることを特徴とするものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第5の実施の形態)は、前記励磁コイルの外側を覆うアウターコアを備え、前記信号線は、前記アウターコアの内側に、前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設されることを特徴とするものである。
本発明によれば、被測定流体が流れる測定管と、測定管に配設され、流体に印加される磁場と流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、電極を含む、測定管の軸方向と垂直な電極平面に対して対称かつ時間変化する磁場を流体に印加する励磁部と、一端が電極と接続されると共に、電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設された信号線と、信号線の他端と接続され、電極および信号線で検出される、流体の流速とは無関係で磁場の時間変化に起因する∂A/∂t成分の起電力と流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、抽出された∂A/∂t成分に基づいて、合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から流体の流量を算出する流量出力部とを設けることにより、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。本発明では、従来の一般形の電磁流量計の検出器の構成である測定管と電極と励磁部とを用い、磁場の時間変化によって起電力が生じるように信号線を配設すれば、正確なスパン補正を自動的に行うことができるので、非対称励磁形の電磁流量計でしか得ることができなかった効果を、一般形の電磁流量計の検出器の構成を大きく変更することなく実現することができる。
また、本発明では、信号線をアウターコアの内側に配設することにより、∂A/∂t成分を効率よく検出することができる。
従来の一般形の電磁流量計の信号線配置を示す図である。 本発明の電磁流量計の第1の構成の原理を説明するためのブロック図である。 本発明の電磁流量計の第2の構成の原理を説明するためのブロック図である。 本発明の電磁流量計の第3の構成の原理を説明するためのブロック図である。 本発明の電磁流量計の第1の構成における∂A/∂t成分の分布を上から見た図である。 本発明の電磁流量計の第1の構成において被測定流体の流量が0の場合の渦電流および起電力を示す図である。 本発明の電磁流量計の第2の構成における∂A/∂t成分の分布を上から見た図である。 本発明の電磁流量計の第2の構成において被測定流体の流量が0の場合の渦電流および起電力を示す図である。 本発明の電磁流量計の第3の構成における∂A/∂t成分の分布を上から見た図である。 本発明の電磁流量計の第3の構成において被測定流体の流量が0の場合の渦電流および起電力を示す図である。 本発明の電磁流量計の第1の構成において被測定流体の流量が0でない場合の電極間起電力を示す図である。 本発明の電磁流量計の第2の構成において被測定流体の流量が0でない場合の電極間起電力を示す図である。 本発明の電磁流量計のスパン補正の基本原理を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態に係る電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態に係る電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第3の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態に係る電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施の形態に係る電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態〜第5の実施の形態に係る電磁流量計で用いる電極の1例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態〜第5の実施の形態に係る電磁流量計で用いる電極の他の例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態〜第5の実施の形態に係る電磁流量計で用いる電極の他の例を示す断面図である。 本発明の第1、第2の実施の形態における信号線配置の他の例を示す図である。 本発明の第4の実施の形態における信号線配置の他の例を示す図である。 従来の一般形の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 従来の非対称励磁形の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 電磁流量計におけるスパンのシフトを説明するための図である。
[物理現象と数学的基礎知識]
まず、従来技術の説明に必要な物理現象について説明しておく。時間変化する磁場中を物体が移動する場合、電磁誘導によって2種類の電界、(a)磁場の時間変化によって発生する起電力E(i)=−∂A/∂t、(b)磁場中を物体が動くことにより発生する起電力E(v)=v×Bが発生する。v×BはvとBの外積を示し、∂A/∂tはAの時間による偏微分を示す。v、B、Aはそれぞれ下記に対応しており、3次元(x、y、z)に方向をもつベクトルである(v:流速、B:磁束密度、A:ベクトルポテンシャル(磁束密度とはB=rotAの関係がある))。ただし、ここでの3次元ベクトルは以降で説明する複素平面上のベクトルとは意味が異なる。
次に、一般に知られている数学的基礎知識について説明する。同一周波数で異なる振幅の余弦波P・cos(ω・t)、正弦波Q・sin(ω・t)は、以下のような余弦波に合成される。P,Qは振幅、ωは角周波数である。
P・cos(ω・t)+Q・sin(ω・t)
=(P2+Q21/2・cos(ω・t−ε)
ただし、ε=tan-1(Q/P) ・・・(1)
式(1)の合成を分析するには、余弦波P・cos(ω・t)の振幅Pを実軸、正弦波Q・sin(ω・t)の振幅Qを虚軸にとるように複素座標平面に写像すると都合がよい。すなわち、複素座標平面上において、原点からの距離(P2+Q21/2が合成波の振幅を与え、実軸との角度ε=tan-1(Q/P)が合成波とω・tとの位相差を与えることになる。
また、複素座標平面上においては、以下の関係式が成り立つ。
L・exp(j・ε)=L・cos(ε)+j・L・sin(ε) ・・・(2)
式(2)は複素ベクトルに関する表記であり、jは虚数単位である。Lは複素ベクトルの長さを与え、εは複素ベクトルの方向を与える。したがって、複素座標平面上の幾何学的関係を分析するには、複素ベクトルへの変換を活用すると都合がよい。
[従来技術の構造上の仕組み]
上記の物理現象と従来技術の構造上の仕組みの関係について説明する。非対称励磁形の電磁流量計は流体中に発生する∂A/∂t成分を検出して流量を補正しているため、コイル平面と電極平面との間にオフセットがあり、一般形の電磁流量計とは検出器が異なる構造になる。また、一般形の電磁流量計に使用される検出器は∂A/∂t成分をできるだけ検出しない構造となっている。すなわち、電極2a,2bを含む、測定管軸の方向と垂直な平面PLNに対して磁場が対称になっているだけでなく、図1に示すように励磁コイル3から発生する磁束と鎖交する面積ができるだけ小さくなるように信号線4a,4bを配置する構造となっている。この構造により、信号線4a,4bに∂A/∂t成分が発生しないようにしている。
[発明の着眼点]
本発明は、励磁コイルと電極とが同一平面上に存在する従来の一般形の検出器において、信号線を磁場と鎖交するように配置することにより、信号線または電極に∂A/∂t成分を発生させることができ、この∂A/∂t成分を利用することにより、非対称励磁形の電磁流量計と同様のスパン補正の効果を得ることが可能になることに着目した。
[発明の基本原理]
流体中には、先に説明した2種類の起電力E(i)=−∂A/∂t、E(v)=v×Bが発生するが、平面PLNに対して磁場が対称である一般形の場合、電極位置において、磁場の時間変化による起電力E(i)=−∂A/∂tは対称性により0になる。それに対して、信号線が磁束と鎖交するように配置されると、電極および信号線においては、磁場の時間変化によって起電力が発生する。最終的に、信号線を通って信号変換部で検出される起電力は、流体中に発生するv×B成分と電極および信号線に発生する∂A/∂t成分とが合成された起電力となる。
以下の説明では、発生する起電力がどのような挙動を示し、本発明はこの挙動をどのように利用しているかを説明するために、上述した複素座標平面への写像と、複素ベクトルによる幾何学的分析を採用する。
[第1の構成]
本発明の電磁流量計の第1の構成について説明する。図2は第1の構成の原理を説明するためのブロック図である。図2の電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管1の軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する一対の電極2a,2bと、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3と、励磁コイル3によって発生する磁束と鎖交するように配置され、電極2a,2bと信号変換部(不図示)との間を接続する信号線4a,4bとを有する。第1の構成は、電極2a,2bを含む平面PLNに対して信号線4aと信号線4bとを同じ側に配置したものである。
[第2の構成]
次に、本発明の電磁流量計の第2の構成について説明する。図3は第2の構成の原理を説明するためのブロック図である。第2の構成は、電極2a,2bを含む平面PLNに対して信号線4aと信号線4bとを異なる側に配置し、かつ励磁コイル3の軸を中心軸として信号線4aと信号線4bとを略回転対称に配置したものである。
[第3の構成]
次に、本発明の電磁流量計の第3の構成について説明する。図4は第3の構成の原理を説明するためのブロック図である。第3の構成は、1つの電極2aに第1の信号線4aと第2の信号線4cとを接続し、電極2a,2bを含む平面PLNに対して第1の信号線4aと第2の信号線4cとを異なる側に配置したものである。電極2bについても同様に、第1の信号線4bと第2の信号線4dとを接続し、電極2a,2bを含む平面PLNに対して第1の信号線4bと第2の信号線4dとを異なる側に配置している。電極2a,2bを含む平面PLNに対して第1の信号線4a,4bと第2の信号線4c,4dとは、略対称に配置される。
第1〜第3の構成において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(3)
式(3)において、b1は磁束密度B1の振幅、ω0は角周波数、θ1は磁束密度B1とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
[磁場の変化に起因する起電力]
まず、第1〜第3の構成に関して、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B1を次式のように微分する。
dB1/dt=−ω0・b1・sin(ω0・t−θ1) ・・・(4)
被測定流体の流速が0の場合、磁場B1による起電力は、磁場B1の変化に起因する成分のみとなる。この場合、図2に示したような第1の構成の信号線配置では、∂A/∂t成分の分布を電磁流量計の上から見ると図5のようになり、図6に示すような起電力Ea,Ebが発生する。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場B1の変化によって流体中に発生する(流速と無関係な)電極間起電力は0となるが、それぞれの信号線4a,4bには磁場B1の変化によって起電力Ea,Ebが発生することになる。なお、図6におけるIは、磁場B1の変化による渦電流を示している。
このとき、信号線の端部から電極に向かう方向をマイナス方向とすれば、信号線4bに発生する起電力Ebは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB1/dtに係数kb(電極2bや信号線4bの配置等に関係する複素数)をかけたものとなる。
Eb=kb・ω0・b1・sin(ω0・t−θ1) ・・・(5)
そして、式(5)を変形すると次式となる。
Eb=kb・ω0・b1・{sin(−θ1)}・cos(ω0・t)
+kb・ω0・b1・{cos(−θ1)}・sin(ω0・t)
=kb・ω0・b1・{−sin(θ1)}・cos(ω0・t)
+kb・ω0・b1・{cos(θ1)}・sin(ω0・t) ・・(6)
ここで、式(6)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Ebx、虚軸成分Ebyは次式となる。
Ebx=kb・ω0・b1・{−sin(θ1)}
=kb・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)} ・・・(7)
Eby=kb・ω0・b1・{cos(θ1)}
=kb・ω0・b1・{sin(π/2+θ1)} ・・・(8)
さらに、式(7)、式(8)に示したEbx,Ebyを次式に示す複素ベクトルEbcに変換する。
Ebc=Ebx+j・Eby
=kb・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)}
+j・kb・ω0・b1・{sin(π/2+θ1)}
=kb・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)+j・sin(π/2+θ1)}
=kb・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(9)
また、前述の係数kbを複素ベクトルに変換すると次式となる。
kb=rkb・cos(θb)+j・rkb・sin(θb)
=rkb・exp(j・θb) ・・・(10)
式(10)において、rkbは比例係数、θbは実軸に対するベクトルkbの角度である。
式(10)を式(9)に代入することにより、信号線4bに発生する起電力Ebを複素ベクトルに変換した起電力Ebc(磁場B1の時間変化のみに起因する起電力)が以下のように得られる。
Ebc=rkb・exp(j・θb)・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)}
=rkb・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θb)}
・・・(11)
同様に、信号線4aに発生する起電力Eaは、向きを考えた磁場B1の時間微分dB1/dtに係数ka(電極2aや信号線4aの配置等に関係する複素数)をかけたものとなる。係数kaは次式のように複素ベクトルに変換できる。
ka=rka・exp(j・θa) ・・・(12)
式(12)において、rkaは比例係数、θaは実軸に対するベクトルkaの角度である。
式(11)を参考にすると、信号線4aに発生する起電力Eaを複素ベクトルに変換した起電力Eac(磁場B1の時間変化のみに起因する起電力)は式(12)から以下のように得られる。
Eac=−rka・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θa)}
・・・(13)
磁場B1の時間変化のみによって発生する、信号線4bの端部と信号線4aの端部との間の起電力の差をEcdとすると、起電力差Ecdは起電力EbcとEacとの差となり、次式で表される。
Ecd=Ebc−Eac
=rkb・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θb)}
+rka・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θa)}
={rkb・exp(j・θb)+rka・exp(j・θa)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(14)
また、磁場B1の時間変化のみによって発生する、信号線4bの端部と信号線4aの端部との間の起電力の和をEcsとすると、起電力和Ecsは次式で表される。
Ecs=Ebc+Eac
=rkb・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θb)}
−rka・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θa)}
={rkb・exp(j・θb)−rka・exp(j・θa)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(15)
ここで、式を扱いやすくするために、rkb・exp(j・θb)とrka・exp(j・θa)の2つのベクトルの和を式(16)のようにrks・exp(j・θs)に変換し、rkb・exp(j・θb)とrka・exp(j・θa)の2つのベクトルの差を式(17)のようにrkd・exp(j・θd)に変換しておく。
rkb・exp(j・θb)+rka・exp(j・θa)
=rks・exp(j・θs) ・・・(16)
rkb・exp(j・θb)−rka・exp(j・θa)
=rkd・exp(j・θd) ・・・(17)
式(16)を用いて式(14)に示した起電力差Ecdを式(18)のように変換し、式(17)を用いて式(15)に示した起電力和Ecsを式(19)のように変換しておく。
Ecd={rkb・exp(j・θb)+rka・exp(j・θa)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)}
=rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
・・・(18)
Ecs={rkb・exp(j・θb)−rka・exp(j・θa)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)}
=rkd・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θd)}
・・・(19)
以上で、第1の構成に関して、磁場B1の変化のみに起因する起電力を求めることができた。
次に、第2の構成に関して、磁場B1の変化のみに起因する起電力について説明する。被測定流体の流速が0の場合、図3に示したような第2の構成の信号線配置では、∂A/∂t成分の分布を電磁流量計の上から見ると図7のようになり、信号線4a,4bには図8に示すような起電力Ea,Ebが発生する。
したがって、第2の構成の場合に信号線4aに発生する起電力Eaを複素ベクトルに変換した起電力EacRは、式(13)に示した起電力Eacに対して符号が逆になり、次のように得られる。
EacR=rka・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θa)}
・・・(20)
信号線4bに発生する起電力Ebを複素ベクトルに変換した起電力Ebcは式(11)に示したとおりである。
磁場B1の時間変化のみによって発生する、信号線4bの端部と信号線4aの端部との間の起電力の差をEcdRとすると、起電力差EcdRは式(14)を参考にすれば、次式で表される。
EcdR=Ebc−EacR
=rkb・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θb)}
−rka・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θa)}
={rkb・exp(j・θb)−rka・exp(j・θa)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(21)
また、磁場B1の時間変化のみによって発生する、信号線4bの端部と信号線4aの端部との間の起電力の和をEcsRとすると、起電力和EcsRは式(15)を参考にすれば、次式で表される。
EcsR=Ebc+EacR
=rkb・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θb)}
+rka・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θa)}
={rkb・exp(j・θb)+rka・exp(j・θa)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(22)
ここで、式(14)、式(15)の場合と同様に、式を扱いやすくするために式(17)を用いて式(21)に示した起電力差EcdRを式(23)のように変換し、式(16)を用いて式(22)に示した起電力和EcsRを式(24)のように変換しておく。
EcdR={rkb・exp(j・θb)−rka・exp(j・θa)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)}
=rkd・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θd)}
・・・(23)
EcsR={rkb・exp(j・θb)+rka・exp(j・θa)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)}
=rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
・・・(24)
以上で、第2の構成に関して、磁場B1の変化のみに起因する起電力を求めることができた。
次に、第3の構成に関して、磁場B1の変化のみに起因する起電力について説明する。被測定流体の流速が0の場合、図4に示したような第3の構成の信号線配置では、∂A/∂t成分の分布を電磁流量計の上から見ると図9のようになり、信号線4a,4b,4c,4dには図10に示すような起電力E3a,E3b,E3c,E3dが発生する。
このとき、磁場B1の時間変化のみによって発生する、第1の信号線4bの端部と第1の信号線4aの端部との間の起電力の差をEcd1とすると、起電力差Ecd1は第1の構成と同じ式(18)で表される。さらに、式(18)においてrksをrks1に置き換え、θsをθs1に置き換えると、起電力差Ecd1は次式で表される。
Ecd1=rks1・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs1)}
・・・(25)
磁場B1の時間変化のみによって発生する、第2の信号線4dの端部と第2の信号線4cの端部との間の起電力の差をEcd2とすると、起電力差Ecd2は、式(25)を参考にし、併せてrks1をrks2に置き換え、θs1をθs2に置き換えて、さらに第1の信号線の起電力との向きを考えてマイナスを付けると次式で表される。
Ecd2=−rks2・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs2)}
・・・(26)
以上で、第3の構成に関して、磁場B1の変化のみに起因する起電力を求めることができた。
[流速に起因する起電力]
次に、第1〜第3の構成に関して、被測定流体の流速と磁場B1とに起因する信号線間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、図2に示したような第1の構成においては、流速0のときの起電力に加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×B1が発生する。すなわち、被測定流体の流速ベクトルvと磁場B1によって図11に示すような電極間起電力Evが発生する。このEvの方向をプラス方向とする。
このとき、信号線4a,4bの端部で検出される信号線間起電力は、電極2a,2bで検出される電極間起電力Evと同じである。この電極間起電力Evは、次式に示すように、磁場B1に流速の大きさVと係数kv(被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する複素数)とをかけたものとなる。
Ev=kv・V・{b1・cos(ω0・t−θ1)} ・・・(27)
式(27)を変形すると次式となる。
Ev=kv・V・b1・cos(ω0・t)・cos(−θ1)
−kv・V・b1・sin(ω0・t)・sin(−θ1)
=kv・V・b1・{cos(θ1)}・cos(ω0・t)
+kv・V・b1・{sin(θ1)}・sin(ω0・t) ・・(28)
ここで、式(28)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Evx、虚軸成分Evyは次式となる。
Evx=kv・V・b1・cos(θ1) ・・・(29)
Evy=kv・V・b1・sin(θ1) ・・・(30)
さらに、式(29)、式(30)に示したEvx,Evyを次式に示す複素ベクトルEvcに変換する。
Evc=Evx+j・Evy
=kv・V・b1・cos(θ1)+j・kv・V・b1・sin(θ1)
=kv・V・b1・{cos(θ1)+j・sin(θ1)}
=kv・V・b1・exp(j・θ1) ・・・(31)
また、前述の係数kvを複素ベクトルに変換すると次式となる。
kv=rkv・cos(θv)+j・rkv・sin(θv)
=rkv・exp(j・θv) ・・・(32)
式(32)において、rkvは比例係数、θvは実軸に対するベクトルkvの角度である。
式(32)を式(31)に代入することにより、電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した電極間起電力Evcが以下のように得られる。
Evc=kv・V・b1・exp(j・θ1)
=rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(33)
式(33)は、被測定流体の流速Vと磁場B1によって発生する、信号線4bの端部と信号線4aの端部との間の起電力差の差を表している。信号線4bの端部と信号線4aの端部との間の起電力の和は、完全に対称であるなどの理想状態では0となる。
磁場B1の時間変化に起因する起電力差Ecdと、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する起電力差Evcとを合わせた全体の起電力差Edは、式(18)、式(33)により次式のようになる。
Ed=Ecd+Evc
=rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(34)
また、磁場B1の時間変化に起因する起電力和と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する起電力和とを合わせた全体の起電力和は、前述のように被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する起電力和が0となるので、磁場B1の時間変化に起因する起電力和Ecs(式(19))と同じになる。以上で、第1の構成に関して、信号線間起電力を求めることができた。
次に、第2の構成の信号線間起電力について説明する。被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する電極間起電力Evは、図12に示すように、信号線の配置の影響を受けないので、この電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した電極間起電力Evcの値は第1の構成の場合と変わらない。
磁場B1の時間変化に起因する起電力差EcdRと、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する起電力差Evcとを合わせた全体の起電力差EdRは、式(23)、式(33)により次式のようになる。
EdR=EcdR+Evc
=rkd・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θd)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(35)
また、磁場B1の時間変化に起因する起電力和と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する起電力和とを合わせた全体の起電力和は、前述のように被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する起電力和が0となるので、磁場B1の時間変化に起因する起電力和EcsR(式(24))と同じになる。以上で、第2の構成に関して、信号線間起電力を求めることができた。
次に、第3の構成の信号線間起電力について説明する。信号線4a,4bの端部で検出される電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した電極間起電力Evcの値は第1の構成の場合と変わらない。磁場B1の時間変化に起因する、信号線4bの端部と信号線4aの端部との間の起電力差Ecd1と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する起電力差Evcとを合わせた起電力差、すなわち信号線4bの端部と信号線4aの端部との間の全体の信号線間起電力差E1dは、式(25)、式(33)により次式のようになる。
E1d=Ecd1+Evc
=rks1・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs1)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(36)
同様に、磁場B1の時間変化に起因する、信号線4dの端部と信号線4cの端部との間の起電力差Ecd2と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する起電力差Evcとを合わせた起電力差、すなわち信号線4dの端部と信号線4cの端部との間の全体の起電力差E2dは、式(26)、式(33)により次式のようになる。
E2d=Ecd2+Evc
=−rks2・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs2)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(37)
以上で、第3の構成に関して、信号線間起電力を求めることができた。
[補正の基本原理]
次に、スパンを実際に補正するための基本原理について説明する。
[∂A/∂t成分とv×B成分の概念]
図2〜図4に示したように、電極2a,2bを含む平面PLNを境とする測定管1の前後で対称な磁場を被測定流体に印加したとき、この対称励磁により検出される起電力の振幅と位相差に基づき、複素平面に写像されるベクトルは、以下の∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbの合成ベクトルVa+Vbに相当する。
Va=rα・exp(j・θα)・C・ω ・・・(38)
Vb=rβ・exp(j・θβ)・C・V ・・・(39)
このベクトルVaとVbを図13(A)に示す。図13(A)において、Reは実軸、Imは虚軸である。∂A/∂t成分のベクトルVaは、磁場の変化により発生する起電力なので、励磁角周波数ωに比例する大きさになる。このとき、ベクトルVaの大きさに対する既知の比例定数部分をrα、ベクトルVaの方向をθαとすると、Cが磁場のシフトなどの変化する要素、すなわちスパン変動要素として与えられる。また、v×B成分のベクトルVbは、測定管中の被測定流体の移動により発生する起電力なので、流速の大きさVに比例する大きさになる。このとき、ベクトルVbの大きさに対する既知の比例定数部分をrβ、ベクトルVbの方向をθβとすると、Cがスパン変動要素として与えられる。なお、式(38)の∂A/∂t成分のベクトルVaにおけるCと式(39)のv×B成分のベクトルVbにおけるCとは、同一の要素である。
[スパン補正の概念]
シフトなどのスパン変化の要因は、スパン変動要素Cの変化である。したがって、スパン変動要素Cを消去した信号変換式により被測定流体の流速の大きさVを求めれば、実質的にスパンの自動補正が実現できる。スパン補正の具体的な方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の補正方法は、v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化してスパン変動要素Cを消去し、正規化したベクトルに基づく流速の大きさVに関する信号変換式を用いることで、流量計測におけるスパンの自動補正を実現する方法である。この第1の補正方法の正規化を数式で表すと、以下のようになる。
Vb/Va
={rβ・exp(j・θβ)・C・V}/{rα・exp(j・θα)・C・ω}
=(rβ/rα)・exp{j・(θβ−θα)}・V/ω ・・・(40)
∴|Vb/Va|=(rβ/rα)・V/ω ・・・(41)
v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化したベクトルを図13(B)に示す。なお、図13(C)のベクトルは、図13(B)のベクトルに励磁角周波数ωをかけて、式(40)の右辺から励磁角周波数ωを消去したベクトルである。
第2の補正方法は、合成ベクトルVa+Vbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化してスパン変動要素Cを消去し、正規化したベクトルに基づく流速の大きさVに関する信号変換式を用いることで、流量計測におけるスパンの自動補正を実現する方法である。この第2の補正方法の正規化を数式で表すと、以下のようになる。
(Va+Vb)/Va
={rα・exp(j・θα)・C・ω+rβ・exp(j・θβ) ・C・V}
/{rα・exp(j・θα)・C・ω}
=1+(rβ/rα)・exp{j・(θβ−θα)}・V/ω ・・・(42)
∴|(Va+Vb)/Va−1|=(rβ/rα)・V/ω ・・・(43)
[∂A/∂t成分のベクトルVaの抽出]
∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法としては、以下の3つの方法がある。第1の抽出方法は、検出信号の位相差を基にベクトルVaを抽出する方法である。信号線間起電力から直接求めることができる複素ベクトルはベクトルVa,Vbの合成ベクトルであり、ベクトルVa,Vbが直接的に計測できるわけではない。そこで、印加する磁場を基準としたとき、基準からの∂A/∂t成分の位相差とv×B成分の位相差はほぼ一定値であることに着眼する。具体的には、励磁電流の位相を計測し、この励磁電流の位相を基準としたとき、ベクトルVaは既知の位相差を持つので、合成ベクトルVa+Vbからその位相差を持つ成分を取り出すことにより、ベクトルVaを抽出することができる。
第2の抽出方法は、複数の励磁周波数による磁場を被測定流体に印加し、信号線間起電力に含まれる複数の成分の周波数差を利用してベクトルVaを抽出する方法である。前述のとおり、信号線間起電力から直接求めることができる複素ベクトルはベクトルVa,Vbの合成ベクトルであり、ベクトルVa,Vbが直接的に計測できるわけではない。そこで、∂A/∂t成分のベクトルVaの大きさは励磁角周波数ωに比例し、v×B成分のベクトルVbは励磁角周波数ωに依存しないことに着眼する。具体的には、励磁コイルに大きさが等しく、かつ周波数が異なる2つの成分を含む励磁電流を印加する。2つの周波数成分をもつ電流で励磁したとき、それぞれの周波数成分で分解した合成ベクトルVa+Vbを求める。第1の周波数成分の合成ベクトルVa+Vbと第2の周波数成分の合成ベクトルVa+Vbとの差は、∂A/∂t成分のベクトルVaの大きさの変化分だけを与えるベクトルになるので、これにより∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出することができる。
第3の抽出方法は、複数の信号線の起電力の違いを利用してベクトルVaを抽出する方法である。この第3の抽出方法は、異なる経路を通る複数の信号線を持つ場合に有効である。前述のとおり、信号線間起電力から直接求めることができる複素ベクトルはベクトルVa,Vbの合成ベクトルであり、ベクトルVa,Vbが直接的に計測できるわけではない。そこで、信号線の端部で検出されるv×B成分は信号線の配置に関係しないが、∂A/∂t成分は信号線の配置によって向きも大きさも変化することを利用する。
具体的には、1個の電極を用い、この電極に2本の信号線を接続し、電極を含む平面PLNに対して2本の信号線を対称に配置する。この構成は、図4において、電極2aおよび信号線4a,4cのみを用いる場合に相当する。信号線4aと信号線4cとの間の起電力の差をとると、v×B成分がキャンセルされるので、∂A/∂t成分を抽出することができる。
また、2個の電極を用い、各々の電極に信号線を2本ずつ接続し、この電極に接続された2本の信号線を、電極を含む平面PLNに対して対称に配置してもよい。この構成は、図4の構成に相当する。信号線4a,4bの起電力差である第1の信号線間起電力差と、信号線4c,4dの起電力差である第2の信号線間起電力差との差をとれば、v×B成分がキャンセルされるので、∂A/∂t成分を抽出することができる。
また、2個の電極を用い、各々の電極に信号線を1本ずつ接続し、励磁コイルの軸を中心軸として2本の信号線を略回転対称に配置してもよい。この構成は、図3の構成に相当する。図3に示したように信号線4a,4bを配置したとき、信号線4a,4bの起電力和の合成ベクトルを求めれば、v×B成分がキャンセルされるので、それぞれの信号線に発生する∂A/∂t成分のおよそ2倍の成分をベクトルVaとして抽出することができる。
[スパン補正された流速(流量)の算出]
v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化する前述の第1の補正方法によって正規化した結果を用いると、被測定流体の流速の大きさVを以下のように算出できる。
V=(rα/rβ)|Vb/Va|・ω ・・・(44)
また、合成ベクトルVa+Vbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化する前述の第2の補正方法によって正規化した結果を用いると、被測定流体の流速の大きさVを以下のように算出できる。
V=(rα/rβ){|(Va+Vb)/Va−1|}・ω ・・・(45)
以上の原理により、磁場のシフトなどのスパン変動要素Cとは無関係に、流速の大きさVが計測できることになるので、実質的にスパンの自動補正が実現されることになる。
なお、複素平面上の2つのベクトルの和について補足説明する。複素平面上の2つのベクトルの和を次式のように表す。
A・exp(j・a)+B・exp(j・b)
=A・cos(a)+j・A・sin(a)+B・cos(b)
+j・B・sin(b)
={A・cos(a)+B・cos(b)}+j・{A・sin(a)
+B・sin(b)} ・・・(46)
式(46)をCs・exp(j・cs)とおく。大きさCsは、次式で表される。
Cs=sqrt[{A・cos(a)+B・cos(b)}2
+{A・sin(a)+B・sin(b)}2
=sqrt[A2・cos2(a)+B2・cos2(b)
+2・A・B・cos(a)・cos(b)+A2・sin2(a)
+B2・sin2(b)+2・A・B・sin(a)・sin(b)]
=sqrt[A2+B2+2・A・B・{cos(a)・cos(b)
+sin(a)・sin(b)}]
=sqrt{A2+B2+A・B・cos(a−b)} ・・・(47)
また、このときの位相csは、次式で表すことができる。
cs=tan-1[{A・sin(a)+B・sin(b)}
/{A・cos(a)+B・cos(b)}] ・・・(48)
複素平面上の2つのベクトルの差について補足説明する。複素平面上の2つのベクトルの差を次式のように表す。
B・exp(j・b)−A・exp(j・a)
=B・cos(b)+j・B・sin(b)−A・cos(a)
−j・A・sin(a)
={B・cos(b)−A・cos(a)}+j・{B・sin(b)
−A・sin(a)} ・・・(49)
式(49)をCd・exp(j・cd)とおく。大きさCdは、次式で表される。
Cd=sqrt[{B・cos(b)−A・cos(A)}2
+{B・sin(b)−A・sin(a)}2
=sqrt[B2・cos2(b)+A2・cos2(a)
−2・B・A・cos(b)・cos(a)+B2・sin2(b)
+A2・sin2(a)−2・B・A・sin(b)・sin(a)]
=sqrt[B2+A2−2・B・A・{cos(b)・cos(a)
+sin(b)・sin(a)}]
=sqrt{B2+A2−B・A・cos(b−a)} ・・・(50)
また、このときの位相csは、次式で表すことができる。
cs=tan-1[{B・sin(b)−A・sin(a)}
/{B・cos(b)−A・cos(a)}] ・・・(51)
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、上記の原理で説明した第1の構成を用い、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。
図14は本発明の第1の実施の形態に係る電磁流量計の構成を示すブロック図である。本実施の形態の電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する一対の電極2a,2bと、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で対称かつ時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3と、一端が電極2a,2bと接続されると共に、平面PLNと平行な磁場の方向に対して傾きを持ち磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設された信号線4a,4bと、信号線4a,4bの他端と接続され、信号線4a,4bから得られる起電力から∂A/∂t成分を抽出する信号変換部5aと、抽出された∂A/∂t成分に基づいて、起電力中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6aと、励磁コイル3に励磁電流を供給して磁場を発生させる電源7とを有している。
図14において、電源7から励磁電流が供給されることにより励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1およびそのときの励磁電流I1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(52)
I1=i1・cos(ω0・t−θi1) ・・・(53)
式(52)において、b1は磁束密度B1の振幅、ω0は角周波数、θ1は磁束密度B1とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。また、式(53)において、i1は励磁電流I1の振幅、θi1は励磁電流I1とω0・tとの位相差である。このとき励磁電流Iと発生する磁場Bとの関係は、次式で表される。
B=ki・I ・・・(54)
式(54)において、kiは磁性体や配管による損失によって決まる複素数であり、kiを複素ベクトルで表すと次式となる。
ki=rki・cos(θi)+j・rki・sin(θi)
=rki・exp(j・θi) ・・・(55)
式(55)において、rkiは比例係数、θiは実軸に対するベクトルkiの角度である。
式(52)に示した磁場B1を式(53)〜式(55)を用いて複素ベクトルに変換すると、次式のB1cで表される。
B1c=rki・i1・exp{j・(θi+θi1)} ・・・(56)
式(52)と式(56)より、次式の関係が成り立っている。
b1=rki・i1 ・・・(57)
θ1=θi+θi1 ・・・(58)
信号線間起電力差は、信号線4bの信号変換部側の端部で検出される起電力と信号線4aの信号変換部側の端部で検出される起電力との差である。磁場B1の時間変化に起因する信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差とを合わせた全体の信号線間起電力差のうち、角周波数ω0の成分の信号線間起電力差をEi0とすると、信号線間起電力差Ei0は、式(34)に式(57)、式(58)を代入し、さらにrkv=γv・rksとして代入すると、次式で表される。
Ei0=rks・ω0・rki・i1
・exp{j・(π/2+θi+θi1+θs)}
+γv・rks・V・rki・i1・exp{j・(θi+θi1+θv)}
・・・(59)
式(59)に示した信号線間起電力差Ei0が信号変換器5aにおいて検出される信号となる。θi1は計測可能な励磁電流I1の位相であり、θi,θs,θvは校正時に計測できる定数とすることができる。よって、信号線間起電力差Ei0を(π/2+θi+θi1+θs)方向と(θi+θi1+θv)方向に分解できることになり、∂A/∂t成分であるrks・ω0・rki・i1・exp{j・(π/2+θi+θi1+θs)}を抽出することができる。この∂A/∂t成分である起電力をEiAとすれば、起電力EiAは次式で表される。
EiA=rks・ω0・rki・i1
・exp{j・(π/2+θi+θi1+θs)} ・・・(60)
式(60)に示した起電力EiAを用いて、信号線間起電力差Ei0中のv×B成分を正規化する。信号線間起電力差Ei0を起電力EiAで正規化し、ω0倍した結果をEinとすれば、正規化起電力差Einは次式のようになる。
Ein=(Ei0/EiA)・ω0
=[rks・ω0・rki・i1
・exp{j・(π/2+θi+θi1+θs)}
+γv・rks・V・rki・i1
・exp{j・(θi+θi1+θv)}]
/[rks・ω0・rki・i1
・exp{j・(π/2+θi+θi1+θs)}]・ω0
=ω0+[γv・exp{j・(−π/2−θs+θv)}]・V
・・・(61)
式(61)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を正規化した項となる。なお、信号線間起電力差Ei0を起電力EiAで正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から励磁角周波数ω0を消去するためである。式(61)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γvの大きさ、−π/2−θs+θvの実軸からの位相差をもつ。係数γvおよび角度θs,θvは校正等により予め求めることができる定数であり、式(61)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、励磁電流の変化による磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。
式(61)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|(Ein−ω0)/[γv・exp{j・(−π/2−θs+θv)}]|
=|(Ein−ω0)|/γv ・・・(62)
なお、上記の基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応は以下の表1のとおりである。係数γvおよび角度θi,θs,θvは校正等により予め求めることができる定数である。本実施の形態は、表1から明らかなように、上記の基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0005391000
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な動作について説明する。電源7は、角周波数ω0の正弦波成分を持つ励磁電流I1を励磁コイル3に供給する。
図15は信号変換部5aと流量出力部6aの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5aは、励磁電流I1の角周波数ω0の成分の振幅i1を求めると共に、実軸と励磁電流I1の角周波数ω0の成分との位相差θi1を図示しない位相検波器により求める(図15ステップS101)。
また、信号変換部5aは、信号線間起電力差の角周波数ω0の成分である信号線間起電力差Ei0の振幅r0を求めると共に、実軸と信号線間起電力差Ei0との位相差φ0を位相検波器により求める(ステップS102)。
次に、信号変換部5aは、信号線間起電力差Ei0中の∂A/∂t成分である起電力EiAの角度と大きさを求める(ステップS103)。このステップS103の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(60)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、実軸に対する起電力EiAの角度∠EiAを次式のように算出する。
∠EiA=π/2+θi+θi1+θs ・・・(63)
また、信号変換部5aは、起電力EiAの大きさ|EiA|を次式のように算出する。
|EiA|=r0・sin(φ0−θi−θi1−θv)
/sin(π/2−θs+θv) ・・・(64)
これで、ステップS103の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、信号線間起電力差Ei0を起電力EiAで正規化した正規化起電力差Einの大きさと角度を求める(ステップS104)。このステップS104の処理は、式(61)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力差Einの大きさ|Ein|を次式のように算出する。
|Ein|=(r0/|EiA|)・ω0 ・・・(65)
また、流量出力部6aは、正規化起電力差Einの角度∠Einを次式のように算出する。
∠Ein=φ0−∠EiA ・・・(66)
これで、ステップS104の処理が終了する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを算出する(ステップS105)。このステップS105の処理は、式(62)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、(Ein−ω0)の実軸成分Aと(Ein−ω0)の虚軸成分Bを次式のように算出する。
A=|Ein|cos(∠Ein)−ω0 ・・・(67)
B=|Ein|sin(∠Ein) ・・・(68)
そして、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する。
V=(A2+B21/2/γv ・・・(69)
これで、ステップS105の処理が終了する。
信号変換部5aと流量出力部6aとは、以上のようなステップS101〜S105の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップS106においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、信号線間起電力差Ei0(合成ベクトルVa+Vb)から起電力EiA(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力EiAを用いて信号線間起電力差Ei0中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。本実施の形態では、従来の一般形の電磁流量計の検出器の構成である測定管1と電極2a,2bと励磁コイル3とを用い、磁場の時間変化によって起電力が生じるように信号線4a,4bを配設すれば、正確なスパン補正を自動的に行うことができるので、非対称励磁形の電磁流量計でしか得ることができなかった効果を、一般形の電磁流量計の検出器の構成を大きく変更することなく実現することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上記の原理で説明した第1の構成を用い、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第2の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。本実施の形態においても、電磁流量計の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図14の符号を用いて説明する。
図14において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1)+b1・cos(ω1・t−θ1)
・・・(70)
式(70)において、b1は磁束密度B1の振幅、ω0,ω1は角周波数、θ1は磁束密度B1とω0・t及びω1・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
第1の実施の形態と同様に、信号線間起電力差は、信号線4bの信号変換部側の端部で検出される起電力と信号線4aの信号変換部側の端部で検出される起電力との差である。磁場B1の時間変化に起因する信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差とを合わせた全体の信号線間起電力差のうち、角周波数ω0の成分の信号線間起電力差をEd0とすると、信号線間起電力差Ed0は式(34)に対応して式(71)で表される。
Ed0=rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(71)
また、磁場B1の時間変化に起因する信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差とを合わせた全体の信号線間起電力差のうち、角周波数ω1の成分の信号線間起電力差をEd1とすると、信号線間起電力差Ed1は式(34)に対応して式(72)で表される。
Ed1=rks・ω1・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(72)
ここで、θv=θs+Δθv、rkv=γv・rksとし、これらを式(71)、式(72)に代入したとき、信号線間起電力差Ed0,Ed1はそれぞれ式(73)、式(74)のようになる。
Ed0=rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
+γv・rks・V・b1・exp{j・(θ1+θs+Δθv)}
=rks・b1・exp{j・(θ1+θs)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γv・V・exp(j・Δθv)}
・・・(73)
Ed1=rks・ω1・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
+γv・rks・V・b1・exp{j・(θ1+θs+Δθv)}
=rks・b1・exp{j・(θ1+θs)}
・{ω1・exp(j・π/2)+γv・V・exp(j・Δθv)}
・・・(74)
信号線間起電力差Ed0とEd1との差をとり、求めた差分をω0/(ω0−ω1)倍した結果をEdAとすれば、次式が成立する。
EdA=(Ed0−Ed1)・ω0/(ω0−ω1)
=rks・b1・exp{j・(θ1+θs)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γv・V・exp(j・Δθv)
−ω1・exp(j・π/2)−γv・V・exp(j・Δθv)}
・ω0/(ω0−ω1)
=rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
・・・(75)
起電力差EdAは、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。この起電力差EdAを用いて信号線間起電力差Ed0(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。なお、起電力差EdAは、正確には信号線間起電力差Ed0とEd1との起電力差をω0/(ω0−ω1)倍したものであるが、ω0/(ω0−ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(73)に示した信号線間起電力差Ed0を式(75)に示した起電力差EdAで正規化し、ω0倍した結果をEanとすれば、正規化起電力差Eanは次式で表される。
Ean=(Ed0/EdA)・ω0
=rks・b1・exp{j・(θ1+θs)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γv・V・exp(j・Δθv)}
/[rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}]・ω0
=ω0+[γv・exp{j・(−π/2+Δθv)}]・V ・・(76)
式(76)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、信号線間起電力差Ed0を起電力差EdAで正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から励磁角周波数ω0を消去するためである。式(76)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γvの大きさ、−π/2+Δθvの実軸からの位相差をもつ。係数γvおよび角度Δθvは校正等により予め求めることができる定数であり、式(76)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。式(76)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|(Ean−ω0)/[γv・exp{j・(−π/2+Δθv)}]|
=|(Ean−ω0)|/γv ・・・(77)
なお、上記の基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応は以下の表2のとおりである。係数γvおよび角度Δθvは校正等により予め求めることができる定数である。本実施の形態は、表2から明らかなように、上記の基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0005391000
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な動作について説明する。電源7は、第1の角周波数ω0の正弦波成分と第2の角周波数ω1の正弦波成分とを含む励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、励磁電流における角周波数ω0の成分と角周波数ω1の成分の振幅は同一である。
図16は本実施の形態の信号変換部5aと流量出力部6aの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5aは、信号線間起電力差のうち角周波数ω0の成分の起電力差Ed0の振幅r0を求めると共に、実軸と信号線間起電力差Ed0との位相差φ0を位相検波器により求める(図16ステップS201)。また、信号変換部5aは、信号線間起電力差のうち角周波数ω1の成分の起電力差Ed1の振幅r1を求めると共に、実軸と信号線間起電力差Ed1との位相差φ1を位相検波器により求める(ステップS202)。信号線間起電力差Ed0,Ed1は、バンドパスフィルタによっても周波数分離することができるが、実際にはコムフィルタとよばれる櫛形のデジタルフィルタを使用すれば、2つの角周波数ω0,ω1の成分に簡単に分離することができる。
次に、信号変換部5aは、信号線間起電力差Ed0の実軸成分Ed0xと虚軸成分Ed0y、および信号線間起電力差Ed1の実軸成分Ed1xと虚軸成分Ed1yを次式のように算出する(ステップS203)。
Ed0x=r0・cos(φ0) ・・・(78)
Ed0y=r0・sin(φ0) ・・・(79)
Ed1x=r1・cos(φ1) ・・・(80)
Ed1y=r1・sin(φ1) ・・・(81)
式(78)〜式(81)の算出後、信号変換部5aは、信号線間起電力差Ed0とEd1との起電力差EdAの大きさと角度を求める(ステップS204)。このステップS204の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(75)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、信号線間起電力差Ed0とEd1との起電力差EdAの大きさ|EdA|を次式のように算出する。
|EdA|={(Ed0x−Ed1x)2+(Ed0y−Ed1y)21/2
・ω0/(ω0−ω1) ・・・(82)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する起電力差EdAの角度∠EdAを次式のように算出する。
∠EdA=tan-1{(Ed0y−Ed1y)/(Ed0x−Ed1x)}
・・・(83)
これで、ステップS204の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、信号線間起電力差Ed0を起電力差EdAで正規化した正規化起電力差Eanの大きさと角度を求める(ステップS205)。このS205の処理は、式(76)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力差Eanの大きさ|Ean|を次式のように算出する。
|Ean|=(r0/|EdA|)・ω0 ・・・(84)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力差Eanの角度∠Eanを次式のように算出する。
∠Ean=φ0−∠EdA ・・・(85)
これで、ステップS205の処理が終了する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを算出する(ステップS206)。このステップS206の処理は、式(77)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、(Ean−ω0)の実軸成分Aと(Ean−ω0)の虚軸成分Bを次式のように算出する。
A=|Ean|cos(∠Ean)−ω0 ・・・(86)
B=|Ean|sin(∠Ean) ・・・(87)
そして、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する。
V=(A2+B21/2/γv ・・・(88)
これで、ステップS206の処理が終了する。
信号変換部5aと流量出力部6aとは、以上のようなステップS201〜S206の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップS207においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、励磁コイル3から大きさが等しくかつ周波数が異なる2つの成分を含む磁場を被測定流体に印加し、角周波数ω0の成分の信号線間起電力差Ed0と角周波数ω1の成分の信号線間起電力差Ed1とから起電力差EdA(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdAを用いて信号線間起電力差Ed0(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。本実施の形態では、従来の一般形の電磁流量計の検出器の構成である測定管1と電極2a,2bと励磁コイル3とを用い、磁場の時間変化によって起電力が生じるように信号線4a,4bを配設すれば、正確なスパン補正を自動的に行うことができるので、非対称励磁形の電磁流量計でしか得ることができなかった効果を、一般形の電磁流量計の検出器の構成を大きく変更することなく実現することができる。
なお、本実施の形態では、角周波数ω0の正弦波成分と角周波数ω1の正弦波成分とを同時に含む励磁電流を励磁コイル3に供給しているが、これに限るものではなく、角周波数ω0の正弦波成分を含む励磁電流と角周波数ω1の正弦波成分を含む励磁電流とを交互に励磁コイル3に供給するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、角周波数ω0の成分の信号線間起電力差Ed0を正規化する例について示したが、角周波数ω1の成分の信号線間起電力差Ed1を正規化するようにしてもよい。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上記の原理で説明した第2の構成を用い、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第3の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。
図17は本発明の第3の実施の形態に係る電磁流量計の構成を示すブロック図である。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、一端が電極2a,2bと接続され、電極2a,2bを含む平面PLNから互いに逆方向に向かうように配設された信号線4a,4bと、信号線4a,4bの他端と接続され、信号線4a,4bから得られる起電力から∂A/∂t成分を抽出する信号変換部5bと、抽出された∂A/∂t成分に基づいて、起電力中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6bと、電源7とを有している。
図17において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(89)
式(89)において、b1は磁束密度B1の振幅、ω0は角周波数、θ1は磁束密度B1とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
第1の実施の形態と同様に、信号線間起電力差は、信号線4bの信号変換部側の端部で検出される起電力と信号線4aの信号変換部側の端部で検出される起電力との差であり、信号線間起電力和は、信号線4bの信号変換部側の端部で検出される起電力と信号線4aの信号変換部側の端部で検出される起電力との和である。
磁場B1の時間変化に起因する信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差とを合わせた全体の信号線間起電力差のうち、角周波数ω0の成分の信号線間起電力差をEdR0とすると、信号線間起電力差EdR0は式(35)に対応して式(90)で表される。
EdR0=rkd・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θd)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(90)
また、磁場B1の時間変化に起因する信号線間起電力和を複素ベクトルに変換した起電力和と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する信号線間起電力和を複素ベクトルに変換した起電力和とを合わせた全体の信号線間起電力和のうち、角周波数ω0の成分の信号線間起電力和をEsR0とすると、信号線間起電力和EsR0は式(24)に対応して式(91)で表される。
EsR0=rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}
・・・(91)
ここで、θv=θs+Δθv、rkv=γv・rksとし、これらを式(90)に代入したとき、信号線間起電力差EdR0は次式で表される。
EdR0=rkd・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θd)}
+γv・rks・V・b1・exp{j・(θ1+θs+Δθv)}
・・・(92)
式(91)に示した信号線間起電力和EsR0は流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。この信号線間起電力和EsR0を用いて、信号線間起電力差EdR0(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。
式(92)に示した信号線間起電力差EdR0を式(91)に示した信号線間起電力和EsR0で正規化し、ω0倍した結果をEan2とすれば、正規化起電力差Ean2は次式で表される。
Ean2=(EdR0/EsR0)・ω0
=[rkd・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θd)}
+γv・rks・V・b1・exp{j・(θ1+θs+Δθv)}]
/[rks・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs)}]・ω0
=rkd/rks・exp{j・(θd−θs)}・ω0
+[γv・exp{j・(−π/2+Δθv)}]・V ・・・(93)
式(93)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、信号線間起電力差EdR0を信号線間起電力和EsR0で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から励磁角周波数ω0を消去するためである。式(93)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γvの大きさ、−π/2+Δθvの実軸からの位相差をもつ。係数γvおよび角度Δθvは校正等により予め求めることができる定数であり、式(93)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、電極2a,2bを含む平面PLNに対して信号線4aと信号線4bとを異なる側に配置し、かつ励磁コイル3の軸を中心軸として信号線4aと信号線4bとを略回転対称に配置したとすると、rkd≒0、θd−θs≒0となり、流速の大きさVは以下のようになる。
V=|Ean2/[γv・exp{j・(−π/2+Δθv)}]|
=|Ean2|/γv ・・・(94)
なお、上記の基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応は以下の表3のとおりである。係数γvおよび角度Δθvは校正等により予め求めることができる定数である。本実施の形態は、表3から明らかなように、上記の基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0005391000
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な動作について説明する。第1の実施の形態と同様に、電源7は、角周波数ω0の正弦波成分を持つ励磁電流を励磁コイル3に供給する。
図18は信号変換部5bと流量出力部6bの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5bは、信号線間起電力差の角周波数ω0の成分である信号線間起電力差EdR0の振幅rdを求めると共に、実軸と信号線間起電力差EdR0との位相差φdを位相検波器により求める(図18ステップS301)。また、信号変換部5bは、信号線間起電力和の角周波数ω0の成分である信号線間起電力和EsR0の振幅rsを求めると共に、実軸と信号線間起電力和EsR0との位相差φsを位相検波器により求める(ステップS302)。
次に、流量出力部6bは、信号線間起電力差EdR0を信号線間起電力和EsR0で正規化した正規化起電力差Ean2の大きさと角度を求める(ステップS303)。このステップS303の処理は、式(93)の算出に相当する処理である。流量出力部6bは、正規化起電力差Ean2の大きさ|Ean2|を次式のように算出する。
|Ean2|=(rd/rs)・ω0 ・・・(95)
また、流量出力部6bは、実軸に対する正規化起電力差Ean2の角度∠Ean2を次式のように算出する。
∠Ean2=φd−φs ・・・(96)
これで、ステップS303の処理が終了する。
続いて、流量出力部6bは、被測定流体の流速の大きさVを式(94)に示したように算出する(ステップS304)。
信号変換部5bと流量出力部6bとは、以上のようなステップS301〜S304の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップS305においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、信号線間起電力和EsR0を∂A/∂t成分として抽出し、この信号線間起電力和EsR0を用いて信号線間起電力差EdR0(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。本実施の形態では、従来の一般形の電磁流量計の検出器の構成である測定管1と電極2a,2bと励磁コイル3とを用い、電極2a,2bを含む平面PLNから互いに逆方向に向かうように信号線4a,4bを配設すれば、正確なスパン補正を自動的に行うことができるので、非対称励磁形の電磁流量計でしか得ることができなかった効果を、一般形の電磁流量計の検出器の構成を大きく変更することなく実現することができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、上記の原理で説明した第3の構成を用い、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第3の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。
図19は本発明の第4の実施の形態に係る電磁流量計の構成を示すブロック図である。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、一端が電極2a,2bと接続された第1の信号線4a,4bと、一端が電極2a,2bと接続され、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の信号線4a,4bと逆方向に向かうように配設された第2の信号線4c,4dと、信号線4a,4b,4c,4dの他端と接続され、信号線4a,4b,4c,4dから得られる起電力から∂A/∂t成分を抽出する信号変換部5cと、抽出された∂A/∂t成分に基づいて、起電力中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6cと、電源7とを有している。
図19において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(97)
式(97)において、b1は磁束密度B1の振幅、ω0は角周波数、θ1は磁束密度B1とω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
ここで、信号線4a,4bを電極2a,2bに接続された第1の信号線とし、信号線4c,4dを電極2a,2bに接続された第2の信号線とする。第1の信号線4bの信号変換部側の端部で検出される起電力と第1の信号線4aの信号変換部側の端部で検出される起電力との差を第1の信号線間起電力差とし、第2の信号線4dの信号変換部側の端部で検出される起電力と第2の信号線4cの信号変換部側の端部で検出される起電力との差を第2の信号線間起電力差とする。
磁場B1の時間変化に起因する第1の信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する第1の信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差とを合わせた全体の第1の信号線間起電力差のうち、角周波数ω0の成分の信号線間起電力差をE1d0とすると、第1の信号線間起電力差E1d0は式(36)に対応して式(98)で表される。
E1d0=rks1・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs1)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(98)
磁場B1の時間変化に起因する第2の信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差と、被測定流体の流速Vと磁場B1とに起因する第2の信号線間起電力差を複素ベクトルに変換した起電力差とを合わせた全体の第2の信号線間起電力差のうち、角周波数ω0の成分の信号線間起電力差をE2d0とすると、第2の信号線間起電力差E2d0は式(37)に対応して式(99)で表される。
E2d0=−rks2・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs2)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・・(99)
式(98)、式(99)より、第1の信号線間起電力差E1d0と第2の信号線間起電力差E2d0との和Esdは次式のようになる。
Esd=E1d0+E2d0
=rks1・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs1)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)}
−rks2・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs2)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)}
={rks1・exp(j・θs1)−rks2・exp(j・θs2)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)}
+2・rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・(100)
また、式(98)、式(99)より、第1の信号線間起電力差E1d0と第2の信号線間起電力差E2d0との差Eddは次式のようになる。
Edd=E1d0−E2d0
=rks1・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs1)}
+rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)}
+rks2・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θs2)}
−rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)}
={rks1・exp(j・θs1)+rks2・exp(j・θs2)}
・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(101)
ここで、式を扱いやすくするために、rks1・exp(j・θs1)とrks2・exp(j・θs2)の2つのベクトルの和を式(102)のようにrkss・exp(j・θss)に変換し、rks1・exp(j・θs1)とrks2・exp(j・θs2)の2つのベクトルの差を式(103)のようにrksd・exp(j・θsd)に変換しておく。
rks1・exp(j・θs1)+rks2・exp(j・θs2)
=rkss・exp(j・θss) ・・・(102)
rks1・exp(j・θs1)−rks2・exp(j・θs2)
=rksd・exp(j・θsd) ・・・(103)
式(103)を用いて式(100)に示した起電力和Esdを式(104)のように変換し、式(102)を用いて式(101)に示した起電力差Eddを式(105)のように変換しておく。
Esd=rksd・exp(j・θsd)・ω0・b1
・exp{j・(π/2+θ1)}
+2・rkv・V・b1・exp{j・(θ1+θv)} ・・(104)
Edd=rkss・exp(j・θss)・ω0・b1
・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(105)
ここで、θv=θss+Δθv、2・rkv=γv・rkssとし、これらを式(104)に代入したとき、起電力和Esdは次式で表される。
Esd=rksd・exp(j・θsd)・ω0・b1
・exp{j・(π/2+θ1)}
+γv・rkss・V・b1・exp{j・(θ1+θss+Δθv)}
・・・(106)
式(105)に示した起電力差Eddは、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tによって発生する成分のみとなる。この起電力差Eddを用いて起電力和Esd(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。
式(106)に示した起電力和Esdを式(105)に示した起電力差Eddで正規化し、ω0倍した結果をEan3とすれば、正規化起電力和Ean3は次式で表される。
Ean3=(Esd/Edd)・ω0
=[rksd・exp(j・θsd)・ω0・b1
・exp{j・(π/2+θ1)}
+γv・rkss・V・b1・exp{j・(θ1+θss+Δθv)}]
/[rkss・exp(j・θss)・ω0・b1
・exp{j・(π/2+θ1)}・ω0
=[{rksd・exp(j・θsd)}
/{rkss・exp(j・θss)}]・ω0
+[γv・exp{j・(−π/2+Δθv)}]・V ・・(107)
式(107)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Esdを起電力差Eddで正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から励磁角周波数ω0を消去するためである。式(107)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γvの大きさ、−π/2+Δθvの実軸からの位相差をもつ。係数γvおよび角度Δθvは校正等により予め求めることができる定数であり、式(107)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、電極2a,2bを含む平面PLNに対して第1の信号線4a,4bと第2の信号線4c,4dとを略対称に配置したとすると、rksd≒0、θsd−θdd≒0となり、流速の大きさVは以下のようになる。
V=|Ean3/[γv・exp{j・(−π/2+Δθv)}]|
=|Ean3|/γv ・・・(108)
なお、上記の基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応は以下の表4のとおりである。係数γvおよび角度Δθvは校正等により予め求めることができる定数である。本実施の形態は、表4から明らかなように、上記の基本原理を具体的に実現する1つの例である。
Figure 0005391000
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な動作について説明する。第1の実施の形態と同様に、電源7は、角周波数ω0の正弦波成分を持つ励磁電流を励磁コイル3に供給する。
図20は信号変換部5cと流量出力部6cの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5cは、第1の信号線間起電力差E1d0と第2の信号線間起電力差E2d0との起電力和Esdの振幅rsdを求めると共に、実軸と起電力和Esdとの位相差φsdを位相検波器により求める(図20ステップS401)。また、信号変換部5cは、第1の信号線間起電力差E1d0と第2の信号線間起電力差E2d0との起電力差Eddの振幅rddを求めると共に、実軸と起電力差Eddとの位相差φddを位相検波器により求める(ステップS402)。
次に、流量出力部6cは、起電力和Esdを起電力差Eddで正規化した正規化起電力和Ean3の大きさと角度を求める(ステップS403)。このステップS403の処理は、式(107)の算出に相当する処理である。流量出力部6cは、正規化起電力和Ean3の大きさ|Ean3|を次式のように算出する。
|Ean3|=(rsd/rdd)・ω0 ・・・(109)
また、流量出力部6cは、実軸に対する正規化起電力和Ean3の角度∠Ean3を次式のように算出する。
∠Ean3=φsd−φdd ・・・(110)
これで、ステップS403の処理が終了する。
続いて、流量出力部6cは、被測定流体の流速の大きさVを式(108)に示したように算出する(ステップS404)。
信号変換部5cと流量出力部6cとは、以上のようなステップS401〜S404の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップS405においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の信号線間起電力差E1d0と第2の信号線間起電力差E2d0との起電力差Eddを∂A/∂t成分として抽出し、この起電力差Eddを用いて第1の信号線間起電力差E1d0と第2の信号線間起電力差E2d0との起電力和Esd(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。本実施の形態では、従来の一般形の電磁流量計の検出器の構成である測定管1と電極2a,2bと励磁コイル3とを用い、第1の信号線4a,4bと、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の信号線4a,4bと逆方向に向かう第2の信号線4c,4dとを配設すれば、正確なスパン補正を自動的に行うことができるので、非対称励磁形の電磁流量計でしか得ることができなかった効果を、一般形の電磁流量計の検出器の構成を大きく変更することなく実現することができる。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。一般の電磁流量計においては励磁コイルから発生する磁気を効率的に励磁コイルに戻すために、アウターコアと呼ばれる磁性体で電磁流量計を覆うことが多い。第1の実施の形態〜第4の実施の形態において、信号線4a,4b,4c,4dをアウターコアの内側に配置しておくと、∂A/∂t成分を効率よく検出することができる。このような構成は、全ての実施の形態に対して有効であるが、一例として図21に第1、第2の実施の形態に適用した場合の例を示しておく。図21の例では、信号線4a,4bがアウターコア8の内側に配置されている。
なお、第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、励磁電流に正弦波を用いる正弦波励磁方式を採用しているが、励磁電流に矩形波を用いる矩形波励磁方式を採用してもよい。ただし、矩形波励磁方式の場合、高周波励磁が難しいので、正弦波励磁方式に比べて流量変化に対する応答性や1/fノイズの点で不利になる。
また、第1の実施の形態〜第5の実施の形態では、励磁コイル3の軸と測定管軸PAXと電極軸EAXとが互いに直交し、かつ1点で交差しているが、これに限るものではない。第1の実施の形態、第2の実施の形態、第4の実施の形態においては、励磁コイル3の軸が電極2a側と電極2b側のどちらかに偏っていてもよい。
また、第1の実施の形態〜第5の実施の形態で使用する電極2a,2bとしては、図22に示すように、測定管1の内壁から露出して被測定流体に接触する形式の電極でもよいし、図23に示すように、被測定流体と接触しない容量結合式の電極でもよい。容量結合式の場合、電極2a,2bは、測定管1の内壁に形成されるセラミックやテフロン(登録商標)等からなるライニング10によって被覆される。
また、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第4の実施の形態では、1対の電極2a,2bを使用しているが、これに限るものではなく、電極を1個にしてもよい。ただし、第3の実施の形態では、電極が2個必要である。電極が1個だけの場合には、被測定流体の電位を接地電位にするための接地リングや接地電極が測定管1に設けられており、1個の電極とこの電極に接続された信号線とに生じた起電力(接地電位との電位差)を信号変換部5a,5b,5cで検出すればよい。
第1の実施の形態の場合、1個の電極2aと信号線4aを用いるとすると、信号変換部5aで検出されるEi0は、信号線間起電力差ではなく、電極2aおよび信号線4aに生じる起電力となる。同様に、第2の実施の形態の場合、信号変換部5aで検出されるEd0,Ed1は、信号線間起電力差ではなく、電極2aおよび信号線4aに生じる起電力となる。第4の実施の形態の場合、1個の電極2aと信号線4a,4cを用いるとすると、信号変換部5cで検出されるE1d0は、第1の信号線間起電力差ではなく、電極2aおよび信号線4aに生じる第1の起電力となり、信号変換部5cで検出されるE2d0は、第2の信号線間起電力差ではなく、電極2aおよび信号線4cに生じる第2の起電力となる。
電極軸は、1対の電極を使用する場合はこの1対の電極間を結ぶ直線である。一方、電極が1個だけの場合、この1個の実電極を含む平面PLN上において、測定管軸PAXを挟んで実電極と対向する位置に仮想の電極を配置したと仮定したとき、実電極と仮想の電極とを結ぶ直線が電極軸となる。
また、第1の実施の形態〜第5の実施の形態で使用する電極2a,2bを、図24のように管軸方向の成分を持つような形状にすれば、信号線4a,4b,4c,4dの場合と同様の効果が得られることはいうまでもない。
また、第1、第2の実施の形態において、図25に示すように、電極2a,2bに接続する信号線4a,4bのうち、一方の信号線4aを、平面PLNと平行な磁場の方向に対して傾きを持ち磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設し、他方の信号線4bを、一般形の電磁流量計と同様に励磁コイル3から発生する磁束と鎖交する面積ができるだけ小さくなるように配設して、磁場の時間変化によって起電力が生じないようにしてもよい。同様に、第4の実施の形態において、図26に示すように、電極2a,2bに接続する信号線4a,4b,4c,4dのうち、電極2aに接続する信号線4a,4cを、平面PLNと平行な磁場の方向に対して傾きを持ち磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設し、電極2bに接続する信号線4b,4dを、励磁コイル3から発生する磁束と鎖交する面積ができるだけ小さくなるように配設して、磁場の時間変化によって起電力が生じないようにしてもよい。なお、図26の例の場合、信号線4b,4dを共通化して1本にしてもよい。
以上の説明では、様々な信号線配置について述べてきたが、上記で説明した信号線配置を電極2a,2bから信号変換部5a,5b,5cまでの全経路に適用する必要はない。すなわち、電極2a,2bから信号変換部5a,5b,5cに向かう途中までの信号線配置について上記のとおりにすれば、以降の信号線配置については磁場の変化の影響が小さくなるようにして信号変換部5a,5b,5cに繋ぐようしてもよい。磁場の変化の影響を受け難い配線方法としては、例えば磁場の変化の影響が少ない場所に信号線を配置したり、信号線をシールドしたりする方法がある。
また、第1の実施の形態〜第5の実施の形態において、信号変換部5a,5b,5cと流量算出部6a,6b,6cのうち、起電力の検出部を除く構成は、CPU、記憶装置およびインタフェースを備えたコンピュータとこれらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。CPUは、記憶装置に格納されたプログラムに従って前述のような処理を実行する。
本発明は、測定管内を流れる被測定流体の流量計測に適用することができる。
1…測定管、2a,2b…電極、3…励磁コイル、4a,4b,4c,4d…信号線、5a,5b,5c…信号変換部、6a,6b,6c…流量出力部、7…電源、8…アウターコア、10…ライニング。

Claims (14)

  1. 被測定流体が流れる測定管と、
    この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、
    この電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な電極平面に対して対称かつ時間変化する磁場を前記流体に印加する励磁部と、
    一端が前記電極と接続されると共に、前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設された信号線と、
    前記信号線の他端と接続され、前記電極および信号線で検出される、前記流体の流速とは無関係で前記磁場の時間変化に起因する∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、
    前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出する流量出力部とを備えることを特徴とする電磁流量計。
  2. 請求項1記載の電磁流量計において、
    前記信号線の配設方向は、前記測定管の軸と同じ方向成分を持つことを特徴とする電磁流量計。
  3. 請求項1または2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、コイル軸が前記電極平面に含まれるように配設された励磁コイルと、この励磁コイルに励磁電流を供給する電源とからなり、
    前記信号変換部は、前記合成起電力と前記励磁電流との位相差あるいは時間差を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  4. 請求項3記載の電磁流量計において、
    前記電源は、第1の周波数の励磁電流を前記励磁コイルに供給し、
    前記信号変換部は、前記合成起電力のうち前記第1の周波数の成分と前記励磁電流との位相差を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて、前記合成起電力の第1の周波数成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  5. 請求項1または2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、コイル軸が前記電極平面に含まれるように配設された励磁コイルと、複数の励磁周波数を同時または交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給する電源とからなり、
    前記信号変換部は、前記合成起電力のうち同時または交互に得られる少なくとも2つの異なる周波数成分の振幅と位相を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  6. 請求項5記載の電磁流量計において、
    前記電源は、第1の周波数と第2の周波数の異なる2つの励磁周波数を同時または交互に与える励磁電流を前記励磁コイルに供給し、
    前記信号変換部は、前記合成起電力のうち前記第1の周波数と前記第2の周波数の2つの周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記合成起電力のうち前記第1の周波数成分中のv×B成分又は前記第2の周波数成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  7. 請求項3乃至6のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記電極は、前記測定管の軸に直交する軸上に前記測定管の軸を挟んで対向するように1対配設され、
    前記信号線は、各々の電極に1本ずつ接続された2本の信号線からなり、この2本の信号線のうち少なくとも1本の信号線が前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設されることを特徴とする電磁流量計。
  8. 請求項1または2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、コイル軸が前記電極平面に含まれるように配設された励磁コイルと、この励磁コイルに励磁電流を供給する電源とからなり、
    前記信号線は、互いに異なる経路に配設された複数の信号線からなり、
    前記信号変換部は、前記複数の信号線から得られる合成起電力の和または差を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  9. 請求項8記載の電磁流量計において、
    前記電極は、前記測定管の軸に直交する軸上に前記測定管の軸を挟んで対向するように1対配設され、
    前記信号線は、各々の電極に1本ずつ接続された2本の信号線からなり、この2本の信号線が前記電極平面から互いに逆方向に向かうように配設され、
    前記信号変換部は、前記2本の信号線から得られる合成起電力の和を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記2本の信号線から得られる合成起電力の差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  10. 請求項8記載の電磁流量計において、
    前記信号線は、同じ電極に接続された複数の信号線からなり、
    前記信号変換部は、前記複数の信号線から得られる合成起電力のうち少なくとも2本の信号線から得られる合成起電力の振幅と位相を求めることにより、前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  11. 請求項10記載の電磁流量計において、
    前記信号線は、同じ電極に接続された第1、第2の信号線からなり、この第1、第2の信号線が前記電極平面から互いに逆方向に向かうように配設され、
    前記信号変換部は、前記第1の信号線から得られる第1の合成起電力と前記第2の信号線から得られる第2の合成起電力の各々について振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力と前記第2の合成起電力との起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力と前記第2の合成起電力との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  12. 請求項10または11記載の電磁流量計において、
    前記電極は、前記測定管の軸に直交する軸上に前記測定管の軸を挟んで対向するように1対配設され、
    各々の電極に複数本ずつ接続された信号線のうち、少なくとも一方の電極に接続された信号線が前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設されることを特徴とする電磁流量計。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部の外側を覆うアウターコアを備え、
    前記信号線は、前記アウターコアの内側に、前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設されることを特徴とする電磁流量計。
  14. 請求項3乃至12のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁コイルの外側を覆うアウターコアを備え、
    前記信号線は、前記アウターコアの内側に、前記電極平面と平行な磁場の方向に対して傾きを持ち前記磁場の時間変化によって起電力が生じるように配設されることを特徴とする電磁流量計。
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