JP4550468B2 - 電磁流量計 - Google Patents

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本発明は、電磁流量計に係り、特に電極で検出される電極間起電力のうち被測定流体の流量に起因する成分の流速にかかる係数を自動的に補正するスパン補正の技術に関するものである。
従来技術と本発明を理解するために必要な両者に共通する理論的前提部分について説明する。まず、一般に知られている数学的基礎知識について説明する。
同一周波数で異なる振幅の余弦波P・cos(ω・t)、正弦波Q・sin(ω・t)は、以下のような余弦波に合成される。P,Qは振幅、ωは角周波数である。
P・cos(ω・t)+Q・sin(ω・t)=(P2+Q21/2 ・cos(ω・t−ε)
ただし、ε=tan-1(Q/P) ・・・(1)
式(1)の合成を分析するには、余弦波P・cos(ω・t)の振幅Pを実軸、正弦波Q・sin(ω・t)の振幅Qを虚軸にとるように複素座標平面に写像すると都合がよい。すなわち、複素座標平面上において、原点からの距離(P2+Q21/2 が合成波の振幅を与え、実軸との角度ε=tan-1(Q/P)が合成波とω・tとの位相差を与えることになる。
また、複素座標平面上においては、以下の関係式が成り立つ。
L・exp(j・ε)=L・cos(ε)+j・L・sin(ε) ・・・(2)
式(2)は複素ベクトルに関する表記であり、jは虚数単位である。Lは複素ベクトルの長さを与え、εは複素ベクトルの方向を与える。したがって、複素座標平面上の幾何学的関係を分析するには、複素ベクトルへの変換を活用すると都合がよい。
以下の説明では、電極間起電力がどのような挙動を示し、従来技術はこの挙動をどのように利用しているかを説明するために、上記のような複素座標平面への写像と、複素ベクトルによる幾何学的分析を採用する。
次に、発明者が提案した電磁流量計(特許文献1参照)におけるコイル1組、電極1対の場合の複素ベクトル配置について説明する。
図33は、特許文献1の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。この電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管1の軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する一対の電極2a,2bと、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3とを有する。
ここで、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・cos(ω0・t−θ1) ・・・(3)
式(3)において、b1は振幅、ω0は角周波数、θ1はω0・tとの位相差(位相遅れ)である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B1を次式のように微分する。
dB1/dt=−ω0・b1・sin(ω0・t−θ1) ・・・(4)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Baの変化による渦電流Iは、図34に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Baの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力Eは、図34に示すような向きとなる。この向きをマイナス方向とする。
このとき、電極間起電力Eは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB1/dtに係数k(被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
E=k・ω0・b1・sin(ω0・t−θ1) ・・・(5)
そして、式(5)を変形すると次式となる。
E=k・ω0・b1・{sin(−θ1)}・cos(ω0・t)
+k・ω0・b1・{cos(−θ1)}・sin(ω0・t)
=k・ω0・b1・{−sin(θ1)}・cos(ω0・t)
+k・ω0・b1・{cos(θ1)}・sin(ω0・t) ・・・(6)
ここで、式(6)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Ex、虚軸成分Eyは次式となる。
Ex=k・ω0・b1・{−sin(θ1)}
=k・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)} ・・・(7)
Ey=k・ω0・b1・{cos(θ1)}
=k・ω0・b1・{sin(π/2+θ1)} ・・・(8)
さらに、式(7)、式(8)に示したEx,Eyを次式に示す複素ベクトルEcに変換する。
Ec=Ex+j・Ey
=k・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)}
+j・k・ω0・b1・{sin(π/2+θ1)}
=k・ω0・b1・{cos(π/2+θ1)+j・sin(π/2+θ1)}
=k・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)} ・・・(9)
また、前述の係数kを複素ベクトルに変換すると次式となる。
k=rk・cos(θ00)+j・rk・sin(θ00)
=rk・exp(j・θ00) ・・・(10)
式(10)において、rkは比例係数、θ00は実軸に対するベクトルkの角度である。
式(10)を式(9)に代入することにより、複素座標に変換された電極間起電力Ec(磁場の時間変化のみに起因し、流速とは無関係な電極間起電力)が以下のように得られる。
Ec=rk・exp(j・θ00)・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1)}
=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)} ・・・(11)
式(11)のrk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}は、長さがrk・ω0・b1、実軸からの角度がπ/2+θ1+θ00の複素ベクトルである。
次に、被測定流体の流速に起因する電極間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Baが発生するため、流速ベクトルvと磁場Baによる渦電流Ivは、図35に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Baによって発生する電極間起電力Evは時間変化によって発生する電極間起電力Eと逆向きとなり、Evの方向をプラス方向とする。
このとき、流速に起因する電極間起電力Evは、次式に示すように、磁場B1に係数kv(流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
Ev=kv・{b1・cos(ω0・t−θ1)} ・・・(12)
式(12)を変形すると次式となる。
Ev=kv・b1・cos(ω0・t)・cos(−θ1)
−kv・b1・sin(ω0・t)・sin(−θ1)
=kv・b1・{cos(θ1)}・cos(ω0・t)
+kv・b1・{sin(θ1)}・sin(ω0・t) ・・・(13)
ここで、式(13)をω0・tを基準として複素座標平面に写像すると、実軸成分Evx、虚軸成分Evyは次式となる。
Evx=kv・b1・{cos(θ1)} ・・・(14)
Evy=kv・b1・{sin(θ1)} ・・・(15)
さらに、式(14)、式(15)に示したEvx,Evyを次式に示す複素ベクトルEvcに変換する。
Evc=Evx+j・Evy
=kv・b1・{cos(θ1)}+j・kv・b1・{sin(θ1)}
=kv・b1・{cos(θ1)+j・sin(θ1)}
=kv・b1・exp(j・θ1) ・・・(16)
また、前述の係数kvを複素ベクトルに変換すると次式となる。
kv=rkv・cos(θ01)+j・rkv・sin(θ01)
=rkv・exp(j・θ01) ・・・(17)
式(17)において、rkvは比例係数、θ01は実軸に対するベクトルkvの角度である。ここで、rkvは、前記比例係数rk(式(10)参照)に流速の大きさVと比例係数γをかけたものに相当する。すなわち、次式が成立する。
rkv=γ・rk・V ・・・(18)
式(17)を式(16)に代入することにより、複素座標に変換された電極間起電力Evcが以下のように得られる。
Evc=kv・b1・exp(j・θ1)
=rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(19)
式(19)のrkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)}は、長さがrkv・b1、実軸からの角度がθ1+θ01の複素ベクトルである。
磁場の時間変化に起因する電極間起電力Ecと流体の流速に起因する電極間起電力Evcとを合わせた全体の電極間起電力Eacは、式(11)、式(19)により次式のようになる。
Eac=Ec+Evc
=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(20)
式(20)から分かるように、電極間起電力Eacは、rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}とrkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)}の2個の複素ベクトルにより記述される。そして、この2個の複素ベクトルを合成した合成ベクトルの長さが出力(電極間起電力Eac)の振幅を表し、この合成ベクトルの角度φが入力(励磁電流)の位相ω0・tに対する電極間起電力Eacの位相差(位相遅れ)を表す。なお、流量は流速に測定管の断面積をかけたものとなるため、通常、初期状態での校正において流速と流量は一対一の関係となり、流速を求めることと流量を求めることは同等に扱えるので、以下(流量を求めるために)流速を求める方式として説明を進める。
特許文献1の電磁流量計は、上記のような原理を背景に、スパンのシフトに影響されないパラメータ(非対称励磁パラメータ)を抽出し、これに基づき流量を出力することで、スパンのシフトの問題を解決している。
ここで、図36を用いてスパンのシフトについて説明する。被測定流体の流速が変化していないにもかかわらず、電磁流量計によって計測される流速の大きさVが変化したとすると、この出力変動の要因としてスパンのシフトが考えられる。
例えば、初期状態において被測定流体の流速が0のときに電磁流量計の出力が0(v)となり、流速が1(m/sec)のときに出力が1(v)となるように校正したとする。ここでの電磁流量計の出力は、流速の大きさVを表す電圧である。このような校正により、被測定流体の流速が1(m/sec)であれば、電磁流量計の出力は当然1(v)になるはずである。ところが、ある時間t1が経過したところで、被測定流体の流速が同じく1(m/sec)であるにもかかわらず、電磁流量計の出力が1.2(v)になることがある。この出力変動の要因として考えられるのが、スパンのシフトである。スパンのシフトという現象は、例えば電磁流量計の周囲温度の変化などにより、励磁コイルを流れる励磁電流値が一定値を維持できなくなるなどの原因により発生する。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
WO 03/027614
まず説明に必要な物理現象について説明しておく。
変化する磁場中を物体が移動する場合、電磁誘導によって2種類の電界、(a) 磁場の時間変化によって発生する電界E(i)=∂A/∂t 、(b) 磁場中を物体が動くことにより発生する電界E(v)=v×B が発生する。v×BはvとBの外積を示し、∂A/∂tはAの時間による偏微分を示す。v、B、Aはそれぞれ下記に対応しており、3次元(x、y、z)に方向をもつベクトルである(v:流速、B:磁束密度、A:ベクトルポテンシャル(磁束密度とはB=rotAの関係がある))。ただし、ここでの3次元ベクトルは複素平面上のベクトルとは意味が異なる。この2種類の電界によって、電位分布が流体中に発生し、この電位は電極によって検出することができる。
特許文献1の電磁流量計では、基本的な理論展開においては実軸に対するベクトルkの角度θ00、実軸に対するベクトルkvの角度θ01を考慮しているが、スパンのシフトの問題を解決できる電磁流量計の制約条件として、θ00=θ01=0を前提においている。すなわち、上記前提が成立するように電磁流量計の条件を整えることが制約条件になる。なお、θ1は初期位相であり、励磁電流と電極間起電力に共通の位相部分である。ゆえに、従来技術および本発明のように、励磁電流と電極間起電力の位相差のみを考える場合は、理解を容易にするためθ1=0とする。
前記制約条件が流量計測に与える影響について、図37を用いて複素ベクトルの考え方で説明する。図37において、Reは実軸、Imは虚軸である。まず、磁場の時間変化のみに依存し、被測定流体の流速に依存しない電極間起電力Ecを∂A/∂t成分と呼び、この∂A/∂t成分をベクトルVaで表すと共に、被測定流体の流速に依存する電極間起電力Evcをv×B成分と呼び、このv×B成分をベクトルVbで表す。前述のスパンとは、この被測定流体の流速に依存するv×B成分の流速の大きさVにかかる係数である。なお、θ00,θ01の前述の定義を言い換えると、θ00は虚軸に対するベクトルVaの角度、θ01は実軸に対するベクトルVbの角度である。
図33に示した電磁流量計の構成において、θ00=θ01=0ということは、ベクトルVaが虚軸Im上に存在し、ベクトルVbが実軸Re上に存在することを意味する。すなわち、ベクトルVaとVbは直交する位置関係にある。このように、特許文献1の電磁流量計は、∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbが直交することを前提としている。
しかしながら、現実の電磁流量計において、上記前提は必ずしも常に成立するとは限らない。その理由は、ミクロ的には∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbの直交性は保証されるが、マクロ的に見ると、被測定流体に印加される磁場が理想的な分布になっていないため、電極で検出されるマクロ的な∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbが若干のゆがみを含むと考えなければならないからである。したがって、ベクトルVaとVbは直交しないし、θ00≠0、θ01≠0、θ00≠θ01と考えなければならない。
以上の説明から明らかなように、高精度の流量計測を指向する場合には、ベクトルVaとVbの直交性を精密に考慮しなければならないが、特許文献1の電磁流量計では、ベクトルVaとVbの直交性を前提としているので、直交性に誤差が生じる場合には、正確なスパン補正や流量計測ができない可能性があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、正確なスパン補正を自動的に行い、高精度の流量計測を行うことができる電磁流量計を提供することを目的とする。
本発明の電磁流量計は、被測定流体が流れる測定管と、この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、この電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面に対して非対称な磁場で、かつ角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって変調した磁場を前記流体に印加する励磁部と、前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、前記合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出する流量出力部とを備えるものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第1〜第10の実施の形態)において、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から少なくとも2つの異なる角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第1〜第5の実施の形態)において、前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した前記磁場を前記流体に印加し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第1の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第2の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち前記2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第3の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第4の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力差、および前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第4の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力和、および前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第5の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力差、および前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力和の中のv×B成分、又は前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第5の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力和、および前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力差の中のv×B成分、又は前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第6〜第10の実施の形態)において、前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した前記磁場を前記流体に印加するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第6の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第7の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうち異なる2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第8の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第9の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力差、および前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第9の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力和、および前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第10の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力差、および前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力和の中のv×B成分、又は前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第10の実施の形態)において、前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力和、および前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力差の中のv×B成分、又は前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第11〜第14の実施の形態)において、前記励磁部は、前記搬送波又は前記変調波の位相が異なる複数の磁場を前記流体に印加し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0又はω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から少なくとも1つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第11、第13の実施の形態)において、前記励磁部は、前記搬送波の位相が異なる複数の磁場を前記流体に印加し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第11の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記第1の励磁電流の搬送波に対して同一角周波数で位相差が略πの搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力の角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分、又は前記角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分のうちいずれか1つの角周波数成分の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第13の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記第1の励磁電流の搬送波に対して同一角周波数で位相差が略πの搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分のうち異なる2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分、又は前記角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうちいずれか1つの角周波数成分の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第12、第14の実施の形態)において、前記励磁部は、前記変調波の位相が異なる複数の磁場を前記流体に印加し、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から少なくとも1つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第12の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力和を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第12の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の中からいずれか1つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第14の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力和を前記∂A/∂t成分として抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
また、本発明の電磁流量計の1構成例(第14の実施の形態)において、前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中からいずれか1つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出するものである。
本発明によれば、電極で検出される、流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、∂A/∂t成分を抽出し、合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
[基本原理]
本発明は、電磁流量計の電極で検出される電極間起電力から、∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbとの合成ベクトルVa+Vbを求めたとき、ベクトルVaとVbが直交するか否かに関係なく、ベクトルVaは磁場の時間変化のみに依存し、被測定流体の流速に無関係なベクトルであり、ベクトルVbは被測定流体の流速に比例して大きさが変化するベクトルであることに着目している。
本発明では、合成ベクトルVa+Vbの中から、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出し、このベクトルVaにより、合成ベクトルVa+Vb中のv×B成分のベクトルVbに含まれるスパン変動要素を消去する。そして、このスパン変動要素を消去したv×B成分に基づき、被測定流体の流量を算出する。∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出することにより、ベクトルVaとVbが直交するか否かに関係なく、ベクトルVaとVbを別々のベクトルとして扱えることが重要である。図33に示した従来の電磁流量計では、ベクトルVaとVbが直交することを前提にしているので、合成ベクトルVa+Vbの中から、ベクトルVaあるいはVbを抽出することは行なっていない。
以下、スパンを実際に補正するための本発明の基本原理を図1を用いて説明する。図33に示した電磁流量計と同様に、測定管軸と直交する、電極を含む平面を測定管の境とし、この平面を境とする測定管の前後で非対称な磁場を被測定流体に印加したとき、この非対称励磁により計測される電極間起電力の振幅と位相差に基づき、複素平面に写像されるベクトルは、以下の∂A/∂t成分のベクトルVaとv×B成分のベクトルVbの合成ベクトルVa+Vbに相当する。
Va=rω・exp(j・θω)・C・ω ・・・(21)
Vb=rv・exp(j・θv)・C・V ・・・(22)
このベクトルVaとVbを図1(a)に示す。∂A/∂t成分のベクトルVaは、磁場の変化により発生する起電力なので、励磁角周波数ωに比例する大きさになる。このとき、ベクトルVaの大きさに対する既知の比例定数部分をrω、ベクトルVaの方向をθωとすると、Cが磁場のシフトなどの変化する要素、すなわちスパン変動要素として与えられる。また、v×B成分のベクトルVbは、測定管中の被測定流体の移動により発生する起電力なので、流速の大きさVに比例する大きさになる。このとき、ベクトルVbの大きさに対する既知の比例定数部分をrv、ベクトルの方向をθvとすると、Cがスパン変動要素として与えられる。なお、式(21)のベクトルVaにおけるCと式(22)のベクトルVbにおけるCは、同一の要素である。
スパンのシフトの要因は、スパン変動要素Cの変化である。したがって、スパン変動要素Cを消去した信号変換式により被測定流体の流速を求めれば、実質的にスパンの自動補正が実現できる。スパン補正の具体的な方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の補正方法は、v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化してスパン変動要素Cを消去し、正規化したベクトルに基づく流速の大きさVに関する信号変換式を用いることで、流量計測におけるスパンの自動補正を実現する方法である。この第1の補正方法の正規化を数式で表すと、以下のようになる。
Vb/Va
={rv・exp(j・θv)・C・V}/{rω・exp(j・θω)・C・ω}
=(rv/rω)・exp{j・(θv−θω)}・V/ω ・・・(23)
|Vb/Va|=(rv/rω)・V/ω ・・・(24)
v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化したベクトルを図1(b)に示す。なお、図1(c)のベクトルは、図1(b)のベクトルに励磁角周波数ωをかけて、式(23)の右辺から励磁角周波数ωを消去したベクトルである。
第2の補正方法は、合成ベクトルVa+Vbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化してスパン変動要素Cを消去し、正規化したベクトルに基づく流速の大きさVに関する信号変換式を用いることで、流量計測におけるスパンの自動補正を実現する方法である。この第2の補正方法の正規化を数式で表すと、以下のようになる。
(Va+Vb)/Va
={rω・exp(j・θω)・C・ω+rv・exp(j・θv)・C・V}
/{rω・exp(j・θω)・C・ω}
=1+(rv/rω)・exp{j・(θv−θω)}・V/ω ・・・(25)
|(Va+Vb)/Va−1|=(rv/rω)・V/ω ・・・(26)
この第2の補正方法は、第1の補正方法に比べてより現実的な処理を提供するものである。何故ならば、通常、電磁流量計の電極間起電力からv×B成分のベクトルVbを直接的に求めることはできず、電極間起電力から求めることができるベクトルはVa+Vbになるからである。
∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の抽出方法は、変調した磁場を被測定流体に印加し、電極間起電力のうち側波帯の成分の周波数差を利用してベクトルVaを抽出する方法である。前述のとおり、電極間起電力から直接求めることができる複素ベクトルは合成ベクトルVa+Vbであり、ベクトルVa,Vbが直接的に計測できるわけではない。そこで、∂A/∂t成分のベクトルVaの大きさは励磁周波数に比例し、v×B成分のベクトルVbは励磁周波数に依存しないことに着眼する。具体的には、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波で変調した励磁電流を励磁コイルに印加し、電極間起電力のうち側波帯における第1の角周波数ω0+ω1の成分と第2の角周波数ω0−ω1の成分の2つの角周波数成分の差を求める。この差は、ベクトルVaの大きさの変化分のみを表すベクトルになるので、これによりベクトルVaを抽出することができる。
第2の抽出方法は、電極平面を挟んで対向するように配設された少なくとも2個の励磁コイルをもつ電磁流量計に適用可能な方法であり、搬送波又は変調波の位相が異なる複数の変調した磁場を被測定流体に印加し、第1の励磁コイルから発生する磁場と第2の励磁コイルから発生する磁場の搬送波または変調波における位相差を利用してベクトルVaを抽出する方法である。この第2の抽出方法では、第1の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分の向きと第2の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分の向きが逆であり、第1の励磁コイルにより発生するv×B成分の向きと第2の励磁コイルにより発生するv×B成分の向きが同じになることに着眼する。
具体的には、第1の励磁コイルと第2の励磁コイルに印加する励磁電流の搬送波または変調波において磁場の大きさを等しくし、位相差をπで励磁したときの合成ベクトルを求めれば、第1の励磁コイルにより発生するv×B成分と第2の励磁コイルにより発生するv×B成分とが互いに打ち消し合うので、電極間起電力から第1の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分と第2の励磁コイルにより発生する∂A/∂t成分の和のベクトルVaを抽出することができる。
v×B成分のベクトルVbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化する前述の第1の補正方法によって正規化した結果を用いると、被測定流体の流速の大きさVを以下のように算出できる。
V=(rω/rv)・|Vb/Va|・ω ・・・(27)
また、合成ベクトルVa+Vbを∂A/∂t成分のベクトルVaにより正規化する前述の第2の補正方法によって正規化した結果を用いると、被測定流体の流速の大きさVを以下のように算出できる。
V=(rω/rv)・{|(Va+Vb)/Va−1|}・ω ・・・(28)
以上の原理により、磁場のシフトなどのスパン変動要素Cとは無関係に、流速の大きさVが計測できることになるので、実質的にスパンの自動補正が実現されることになる。また、本発明における全ての実施の形態では励磁の状態を切換えることなく、単一の励磁状態下での測定のみで、∂A/∂t成分およびv×B成分との合成成分を求めることが可能であり、これにより励磁の状態を切換えて測定を行う場合よりも高速に自動補正を行うことが可能になる。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。本実施の形態の電磁流量計は1個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、信号処理系を除く構成は図33に示した従来の電磁流量計と同様であるので、図33の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
図33において、励磁コイル3から発生する磁場Baのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B1は、以下のように与えられるものとする。
B1=b1・{1+ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ1)
・・・(29)
式(29)において、b1は磁場B1の振幅、ω0は搬送波の角周波数,ω1は変調波の角周波数、θ1は搬送波とω0・tとの位相差(位相遅れ)、maは振幅変調指数である。以下、磁束密度B1を磁場B1とする。
式(29)は次式のように変形できる。
B1=b1・{1+ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ1)
=b1・cos(θ1)・cos(ω0・t)
+b1・sin(θ1)・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・b1・cos(θ1)・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・b1・sin(θ1)・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・b1・cos(θ1)・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・b1・sin(θ1)・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(30)
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B1を次式のように微分する。
dB1/dt=ω0・b1・{sin(θ1)}・cos(ω0・t)
+ω0・b1・{−cos(θ1)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・(ω0+ω1)・b1・{sin(θ1)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0+ω1)・b1・{−cos(θ1)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0−ω1)・b1・{sin(θ1)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0−ω1)・b1・{−cos(θ1)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(31)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流Iは、従来と同様に図34に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Baの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力Eは、図34に示すような向きとなる。
このとき、電極間起電力Eは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB1/dtに、ω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分における係数k(被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
E=k・ω0・b1・{−sin(θ1)}・cos(ω0・t)
+k・ω0・b1・{cos(θ1)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・k・(ω0+ω1)・b1・{−sin(θ1)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・k・(ω0+ω1)・b1・{cos(θ1)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・k・(ω0−ω1)・b1・{−sin(θ1)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・k・(ω0−ω1)・b1・{cos(θ1)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(32)
次に、被測定流体の流速に起因する電極間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Baが発生するため、流速ベクトルvと磁場Baによる渦電流Ivは、従来と同様に図35に示すような向きとなる。
このとき、流速に起因する電極間起電力Evは、次式に示すように磁場B1に、ω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分における係数kv(流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
Ev=kv・b1・{cos(θ1)}・cos(ω0・t)
+kv・b1・{sin(θ1)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・kv・b1・{cos(θ1)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・kv・b1・{sin(θ1)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・kv・b1・{cos(θ1)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・kv・b1・{sin(θ1)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(33)
式(32)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(33)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E10は、式(32)の第1項および第2項と式(33)の第1項および第2項と式(10)と式(17)とから次式で表される。
E10=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(34)
電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E1pは、式(32)の第3項および第4項と式(33)の第3項および第4項と式(10)と式(17)とから次式で表される。
E1p=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b1
・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)}
・・・(35)
電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分E1mは、式(32)の第5項および第6項と式(33)の第5項および第6項と式(10)と式(17)とから次式で表される。
E1m=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b1
・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b1・exp{j・(θ1+θ01)} ・・・(36)
ここで、虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係をθ01=θ00+Δθ01とし、式(34)、式(35)、式(36)にθ01=θ00+Δθ01および式(18)を代入したときの電極間起電力E10、E1p、E1mは、それぞれ式(37)、式(38)、式(39)で表される。
E10=rk・ω0・b1・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+γ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ00+Δθ01)}
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(37)
E1p=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b1
・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b1
・exp{j・(θ1+θ00+Δθ01)}
=(1/2)・ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(38)
E1m=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b1
・exp{j・(π/2+θ1+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b1・exp{j・(θ1+θ01)}
=(1/2)・ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{(ω0−ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(39)
電極間起電力E1pとE1mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)・(1/ma)倍した結果をEdA1とすれば、式(40)が成立する。
EdA1=(E1p−E1m)・(ω0/ω1)・(1/ma)
=(1/2)・ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・(ω0/ω1)・(1/ma)
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}・ω0・exp(j・π/2)
・・・(40)
起電力差EdA1は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA1を用いて電極間起電力E10(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E1p,E1mを複素ベクトル表現した図を図2(a)に示し、電極間起電力E10および起電力差EdA1を複素ベクトル表現した図を図2(b)に示す。図2(a)、図2(b)において、Reは実軸、Imは虚軸である。なお、起電力差EdA1は、正確には電極間起電力E1pとE1mとの起電力差を(ω0/ω1)・(1/ma)倍したものであるが、(ω0/ω1)・(1/ma)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(37)の電極間起電力E10を式(40)の起電力差EdA1で正規化し、ω0倍した結果をEn1とすれば、正規化起電力En1は式(41)のようになる。
En1=(E10/EdA1)・ω0
=rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
/[rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)]・ω0
=ω0+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・(41)
式(41)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、電極間起電力E10を起電力差EdA1で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(41)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(41)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。式(41)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|(En1−ω0)/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|(En1−ω0)|/γ ・・・(42)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表1のとおりである。本実施の形態は、表1から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表1]
基本原理と第1の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第1の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ C │ rk・b1・exp{j(θ1+θ00)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。図3は本実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図であり、図33と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、電極2a,2bを含む、測定管軸PAXの方向と垂直な平面PLNから軸方向にオフセット距離dだけ離れた位置に配設された励磁コイル3と、励磁コイル3に励磁電流を供給する電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。励磁コイル3と電源部4とは、平面PLNに対して非対称、かつ時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁部となる。
電源部4は、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、振幅変調指数maは任意の値とする。
図4は信号変換部5と流量出力部6の動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E10の振幅r10を求めると共に、実軸と電極間起電力E10との位相差φ10を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E1pの振幅r1pを求めると共に、実軸と電極間起電力E1pとの位相差φ1pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E1mの振幅r1mを求めると共に、実軸と電極間起電力E1mとの位相差φ1mを位相検波器により求める(図4ステップ101)。
電極間起電力E10,E1p,E1mは、バンドパスフィルタによっても周波数分離することができるが、実際にはコムフィルタとよばれる櫛形のデジタルフィルタを使用すれば、3つの角周波数ω0,(ω0+ω1),(ω0−ω1)の成分に簡単に分離することができる。
続いて、信号変換部5は、電極間起電力E10の実軸成分E10xと虚軸成分E10y、電極間起電力E1pの実軸成分E1pxと虚軸成分E1py、および電極間起電力E1mの実軸成分E1mxと虚軸成分E1myを次式のように算出する(ステップ102)。
E10x=r10・cos(φ10) ・・・(43)
E10y=r10・sin(φ10) ・・・(44)
E1px=r1p・cos(φ1p) ・・・(45)
E1py=r1p・sin(φ1p) ・・・(46)
E1mx=r1m・cos(φ1m) ・・・(47)
E1my=r1m・sin(φ1m) ・・・(48)
式(43)〜式(48)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E1pとE1mとの起電力差EdA1の大きさと角度を求める(ステップ103)。このステップ103の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(40)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、電極間起電力E1pとE1mとの起電力差EdA1の大きさ|EdA1|を次式のように算出する。
|EdA1|={(E1px−E1mx)2+(E1py−E1my)21/2
・(ω0/ω1)・(1/ma) ・・・(49)
そして、信号変換部5は、実軸に対する起電力差EdA1の角度∠EdA1を次式のように算出する。
∠EdA1=tan-1{(E1py−E1my)/(E1px−E1mx)}
・・・(50)
以上で、ステップ103の処理が終了する。
次に、流量出力部6は、電極間起電力E10を起電力差EdA1で正規化した正規化起電力En1の大きさと角度を求める(ステップ104)。このステップ104の処理は、式(41)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、正規化起電力En1の大きさ|En1|を次式のように算出する。
|En1|=(r10/|EdA1|)・ω0 ・・・(51)
また、流量出力部6は、実軸に対する正規化起電力En1の角度∠En1を次式のように算出する。
∠En1=φ10−∠EdA1 ・・・(52)
これで、ステップ104の処理が終了する。
続いて、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを算出する(ステップ105)。このステップ105の処理は、式(42)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、(En1−ω0)の実軸成分En1xと(En1−ω0)の虚軸成分En1yを次式のように算出する。
En1x=|En1|cos(∠En1)−ω0 ・・・(53)
En1y=|En1|sin(∠En1) ・・・(54)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する。
V=(En1x2+En1y21/2/γ ・・・(55)
これで、ステップ105の処理が終了する。信号変換部5と流量出力部6は、以上のようなステップ101〜105の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ106においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E1pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E1mとから起電力差EdA1(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdA1を用いて角周波数ω0の成分の起電力E10(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と同様に、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。本実施の形態の電磁流量計は1個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、その構成は図3に示した第1の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図3の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
式(38)に示した電極間起電力E1pと式(39)に示した電極間起電力E1mとの
和をEs2とすれば、起電力和Es2は次式で表される。
Es2=E1p+E1m
=(1/2)・ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
+(ω0−ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
=ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(56)
電極間起電力E1pとE1mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)倍した結果をEdA2とすれば、式(57)が成立する。
EdA2=(E1p−E1m)・(ω0/ω1)
=(1/2)・ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・(ω0/ω1)
=ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2) ・・・(57)
起電力差EdA2は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA2を用いて起電力和Es2中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E1p,E1mを複素ベクトル表現した図を図5(a)に示し、起電力和Es2および起電力差EdA2を複素ベクトル表現した図を図5(b)に示す。なお、起電力差EdA2は、正確には電極間起電力E1pとE1mとの起電力差を(ω0/ω1)倍したものであるが、(ω0/ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(56)の起電力和Es2を式(57)の起電力差EdA2で正規化し、ω0倍した結果をEn2とすれば、正規化起電力En2は式(58)のようになる。
En2=(Es2/EdA2)・ω0
=ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
/[ma・rk・b1・exp{j・(θ1+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)]・ω0
=ω0+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・(58)
式(58)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Es2を起電力差EdA2で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(58)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(58)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的かつ励磁状態を切換えることなく補正するスパン補正を実現することができる。式(58)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|(En2−ω0)/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|(En2−ω0)|/γ ・・・(59)
本実施の形態の場合、角周波数ω0の搬送波成分を用いる必要がないので、設定した振幅変調指数maがたとえ変動した場合でも、スパン補正した流量出力が可能になる。
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表2のとおりである。本実施の形態は、表2から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表2]
基本原理と第2の実施の形態の対応関係
┌────────────┬────────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第2の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼────────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ C │ ma・rk・b1・exp{j(θ1+θ00)}│
└────────────┴────────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は図3と同様であるので、図3の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
電源部4は、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、振幅変調指数maは任意の値とする。
図6は、本実施の形態の信号変換部5と流量出力部6の動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5は、電極間起電力E1pと電極間起電力E1mとの起電力和Es2の振幅rs2を求めると共に、実軸と起電力和Es2との位相差φs2を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5は、電極間起電力E1pと電極間起電力E1mとの起電力差Ed2の振幅rd2を求めると共に、実軸と起電力差Ed2との位相差φd2を位相検波器により求める(図6ステップ201)。前述のとおり、電極間起電力E1p,E1mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5は、起電力和Es2の実軸成分E2sxと虚軸成分E2sy、および起電力差Ed2の実軸成分E2dxと虚軸成分E2dyを次式のように算出する(ステップ202)。
E2sx=rs2・cos(φs2) ・・・(60)
E2sy=rs2・sin(φs2) ・・・(61)
E2dx=rd2・cos(φd2) ・・・(62)
E2dy=rd2・sin(φd2) ・・・(63)
式(60)〜式(63)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E1pとE1mとの起電力差EdA2の大きさと角度を求める(ステップ203)。このステップ203の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(57)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、電極間起電力E1pとE1mとの起電力差EdA2の大きさ|EdA2|を次式のように算出する。
|EdA2|=(E2dx2+E2dy21/2・(ω0/ω1) ・・・(64)
そして、信号変換部5は、実軸に対する起電力差EdA2の角度∠EdA2を次式のように算出する。
∠EdA2=tan-1(E2dy/E2dx) ・・・(65)
以上で、ステップ203の処理が終了する。
次に、流量出力部6は、起電力和Es2を起電力差EdA2で正規化した正規化起電力En2の大きさと角度を求める(ステップ204)。このステップ204の処理は、式(58)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、正規化起電力En2の大きさ|En2|を次式のように算出する。
|En2|=(rs2/|EdA2|)・ω0 ・・・(66)
また、流量出力部6は、実軸に対する正規化起電力En2の角度∠En2を次式のように算出する。
∠En2=φs2−∠EdA2 ・・・(67)
これで、ステップ204の処理が終了する。
続いて、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを算出する(ステップ205)。このステップ205の処理は、式(59)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、(En2−ω0)の実軸成分En2xと(En2−ω0)の虚軸成分En2yを次式のように算出する。
En2x=|En2|cos(∠En2)−ω0 ・・・(68)
En2y=|En2|sin(∠En2) ・・・(69)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する。
V=(En2x2+En2y21/2/γ ・・・(70)
これで、ステップ205の処理が終了する。信号変換部5と流量出力部6は、以上のようなステップ201〜205の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ206においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E1pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E1mとから起電力差EdA2(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdA2を用いて電極間起電力E1pとE1mとの起電力和Es2(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電磁流量計に対して励磁コイルを1個追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。すなわち、本実施の形態の電磁流量計は、2個の励磁コイルと1対の電極とを有する。新たに追加する第2の励磁コイルを既存の第1の励磁コイルと同じ側に追加した場合には、第1の実施の形態の冗長な構成となる。したがって、第2の励磁コイルは、電極を含む平面を挟んで第1の励磁コイルと異なる側に配設する必要がある。
図7は本実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。この電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、測定管軸PAXの方向と直交する、電極2a,2bを含む平面PLNを測定管1の境としたとき、この平面PLNを境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する第1の励磁コイル3a、第2の励磁コイル3bとを有する。第1の励磁コイル3aは、平面PLNから例えば下流側にオフセット距離d1だけ離れた位置に配設される。第2の励磁コイル3bは、平面PLNから例えば上流側にオフセット距離d2だけ離れた位置に、平面PLNを挟んで第1の励磁コイル3aと対向するように配設される。
ここで、第1の励磁コイル3aから発生する磁場Bbのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B2と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場Bcのうち、電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B3は、以下のように与えられるものとする。
B2=b2・{1+ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ2)
・・・(71)
B3=b3・{1−ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ3)
・・・(72)
式(71)、式(72)において、b2,b3は磁場B2,B3の振幅、ω0は搬送波の角周波数、ω1は変調波の角周波数、θ2は磁場B2の搬送波とω0・tとの位相差(位相遅れ)、θ3は磁場B3の搬送波とω0・tとの位相差、maは振幅変調指数である。以下、磁束密度B2を磁場B2とし、磁束密度B3を磁場B3とする。
式(71)、式(72)は次式のように変形できる。
B2=b2・{1+ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ2)
=b2・cos(θ2)・cos(ω0・t)
+b2・sin(θ2)・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・b2・cos(θ2)・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・b2・sin(θ2)・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・b2・cos(θ2)・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・b2・sin(θ2)・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(73)
B3=b3・{1−ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ3)
=b3・cos(θ3)・cos(ω0・t)
+b3・sin(θ3)・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・b3・{−cos(θ3)}・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・b3・{−sin(θ3)}・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・b3・{−cos(θ3)}・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・b3・{−sin(θ3)}・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(74)
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B2と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B3を次式のように微分する。
dB2/dt=ω0・b2・{sin(θ2)}・cos(ω0・t)
+ω0・b2・{−cos(θ2)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・(ω0+ω1)・b2・{sin(θ2)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0+ω1)・b2・{−cos(θ2)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0−ω1)・b2・{sin(θ2)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0−ω1)・b2・{−cos(θ2)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(75)
dB3/dt=ω0・b3・{sin(θ3)}・cos(ω0・t)
+ω0・b3・{−cos(θ3)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・(ω0+ω1)・b3・{−sin(θ3)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0+ω1)・b3・{cos(θ3)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0−ω1)・b3・{−sin(θ3)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・(ω0−ω1)・b3・{cos(θ3)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(76)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Bbの変化による渦電流I1、磁場Bcの変化による渦電流I2は、図8に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Bbの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力E1と、磁場Bcの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力E2は、図8に示すように互いに逆向きとなる。
このとき、電極間起電力E1とE2とを足した全体の電極間起電力Eは、次式に示すように磁場の時間微分dB2/dtとdB3/dtとの差(−dB2/dt+dB3/dt)をとって、ω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分における係数k(被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
E=k・ω0・{−b2・sin(θ2)+b3・sin(θ3)}
・cos(ω0・t)
+k・ω0・{b2・cos(θ2)−b3・cos(θ3)}
・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・k・(ω0+ω1)
・{−b2・sin(θ2)−b3・sin(θ3)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・k・(ω0+ω1)
・{b2・cos(θ2)+b3・cos(θ3)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+(1/2)・ma・k・(ω0−ω1)
・{−b2・sin(θ2)−b3・sin(θ3)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+(1/2)・ma・k・(ω0−ω1)
・{b2・cos(θ2)+b3・cos(θ3)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(77)
被測定流体の流速がV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流I1,I2に加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Bb,v×Bcが発生するため、流速ベクトルvと磁場Bbによる渦電流Iv1、流速ベクトルvと磁場Bcによる渦電流Iv2は、図9に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Bbによって発生する電極間起電力Ev1、流速ベクトルvと磁場Bcによって発生する電極間起電力Ev2は、同じ向きとなる。
このとき、電極間起電力Ev1とEv2とを足した全体の電極間起電力Evは、次式に示すように磁場B2とB3との和に、ω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分における係数kv(流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
Ev=kv・{b2・cos(θ2)+b3・cos(θ3)}・cos(ω0・t)
+kv・{b2・sin(θ2)+b3・sin(θ3)}・sin(ω0・t)
+(1/2)・ma・kv・{b2・cos(θ2)−b3・cos(θ3)}
・cos{(ω0+ω2)・t}
+(1/2)・ma・kv・{b2・sin(θ2)−b3・sin(θ3)}
・sin{(ω0+ω2)・t}
+(1/2)・ma・kv・{b2・cos(θ2)−b3・cos(θ3)}
・cos{(ω0−ω2)・t}
+(1/2)・ma・kv・{b2・sin(θ2)−b3・sin(θ3)}
・sin{(ω0−ω2)・t} ・・・(78)
式(77)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(78)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E30は、式(77)の第1項および第2項と式(78)の第1項および第2項と式(10)と式(17)とから次式であらわされる。
E30=rk・ω0・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+rkv・b2・exp{j・(θ2+θ01)}
+rk・ω0・b3・exp{j・(−π/2+θ3+θ00)}
+rkv・b3・exp{j・(θ3+θ01)} ・・・(79)
式(77)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(78)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pは、式(77)の第3項および第4項と式(78)の第3項および第4項と式(10)と式(17)とから次式であらわされる。
E3p=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b2
・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b2・exp{j・(θ2+θ01)}
+(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b3
・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b3・exp{j・(π+θ3+θ01)}
・・・(80)
式(77)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(78)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mは、式(77)の第5項および第6項と式(78)の第5項および第6項と式(10)と式(17)とから次式であらわされる。
E3m=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b2
・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b2・exp{j・(θ2+θ01)}
+(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b3
・exp{j・(π/2+θ3+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b2・exp{j・(π+θ3+θ01)}
・・・(81)
ここで、式(79)、式(80)、式(81)にθ01=θ00+Δθ01、θ3=θ2+Δθ3および式(18)を代入したときの電極間起電力E30、E3p、E3mは、それぞれ式(82)、式(83)、式(84)で表される。
E30=rk・ω0・b2・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+γ・rk・V・b2・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}
+rk・ω0・b3・exp{j・(−π/2+θ2+Δθ3+θ00)}
+γ・rk・V・b3・exp{j・(θ2+Δθ3+θ00+Δθ01)}
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]
・・・(82)
E3p=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b2
・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b2
・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}
+(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b3
・exp{j・(π/2+θ2+Δθ3+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b3
・exp{j・(π+θ2+Δθ3+θ00+Δθ01)}
=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}]
・・・(83)
E3m=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b2
・exp{j・(π/2+θ2+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b2
・exp{j・(θ2+θ00+Δθ01)}
+(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b3
・exp{j・(π/2+θ2+Δθ3+θ00)}
+(1/2)・ma・γ・rk・V・b3
・exp{j・(π+θ2+Δθ3+θ00+Δθ01)}
=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}]
・・・(84)
ここで、測定管軸PAXと直交する、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとすると(d1≒d2)、b2≒b3、Δθ3≒0になる。この場合、式(82)、式(83)、式(84)は以下のようになる。
E30≒rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・{2・b2・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(85)
E3p≒rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・{ma・b2・(ω0+ω1)・exp(j・π/2)} ・・・(86)
E3m≒rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・{ma・b2・(ω0−ω1)・exp(j・π/2)} ・・・(87)
すなわち、電極間起電力E30はほぼv×B成分の起電力のみとなり、電極間起電力E3p,E3mはほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、∂A/∂t成分の抽出やv×B成分の正規化演算の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第1の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb2≠b3、Δθ3≠0として進める。
電極間起電力E3pとE3mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)・(1/ma)倍した結果をEdA3とすれば、式(88)が成立する。
EdA3=(E3p−E3m)・(ω0/ω1)・(1/ma)
=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
−γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}]
・(ω0/ω1)・(1/ma)
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
・・・(88)
起電力差EdA3は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA3を用いて電極間起電力E30中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E3p,E3mを複素ベクトル表現した図を図10(a)に示し、電極間起電力E30および起電力差EdA3を複素ベクトル表現した図を図10(b)に示す。なお、起電力差EdA3は、正確には電極間起電力E3pとE3mとの起電力差を(ω0/ω1)・(1/ma)倍したものであるが、(ω0/ω1)・(1/ma)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(82)の電極間起電力E30を式(88)の起電力差EdA3で正規化し、ω0倍した結果をEn3とすれば、正規化起電力En3は式(89)のようになる。
En3=(Ea0/EdA)・ω0
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]
/[rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]・ω0
=ω0・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
/{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(89)
式(89)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、電極間起電力E30を起電力差EdA3で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(89)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(89)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、再び電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとして、b2≒b3、Δθ3≒0とすると、流速の大きさVは式(89)より次式のように表される。
V=|En3/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En3|/γ ・・・(90)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表3のとおりである。本実施の形態は、表3から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表3]
基本原理と第3の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第3の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ C │ rk・exp{j(θ2+θ00)} │
│ │ ・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。図11は本実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図であり、図7と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、第1の励磁コイル3aと第2の励磁コイル3bに励磁電流を供給する電源部4aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6aとを有する。第1、第2の励磁コイル3a,3bと電源部4aとは、平面PLNに対して非対称、かつ時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁部となる。
本実施の形態では、前述のとおり、平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとする。
電源部4aは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、前記角周波数ω0の正弦波搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する。
信号変換部5aと流量出力部6aの処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、図4の符号を用いて、信号変換部5aと流量出力部6aの動作を説明する。まず、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E30の振幅r30を求めると共に、実軸と電極間起電力E30との位相差φ30を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pの振幅r3pを求めると共に、実軸と電極間起電力E3pとの位相差φ3pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mの振幅r3mを求めると共に、実軸と電極間起電力E3mとの位相差φ3mを位相検波器により求める(図4ステップ101)。電極間起電力E30,E3p,E3mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E30の実軸成分E30xと虚軸成分E30y、電極間起電力E3pの実軸成分E3pxと虚軸成分E3py、および電極間起電力E3mの実軸成分E3mxと虚軸成分E3myを次式のように算出する(ステップ102)。
E30x=r30・cos(φ30) ・・・(91)
E30y=r30・sin(φ30) ・・・(92)
E3px=r3p・cos(φ3p) ・・・(93)
E3py=r3p・sin(φ3p) ・・・(94)
E3mx=r3m・cos(φ3m) ・・・(95)
E3my=r3m・sin(φ3m) ・・・(96)
式(91)〜式(96)の算出後、信号変換部5aは、電極間起電力E3pとE3mとの起電力差EdA3の大きさと角度を求める(ステップ103)。このステップ103の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(88)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、電極間起電力E3pとE3mとの起電力差EdA3の大きさ|EdA3|を次式のように算出する。
|EdA3|={(E3px−E3mx)2+(E3py−E3my)21/2
・(ω0/ω1)・(1/ma) ・・・(97)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する起電力差EdA3の角度∠EdA3を次式のように算出する。
∠EdA3=tan-1{(E3py−E3my)/(E3px−E3mx)}
・・・(98)
以上で、ステップ103の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、電極間起電力E30を起電力差EdA3で正規化した正規化起電力En3の大きさと角度を求める(ステップ104)。このステップ104の処理は、式(89)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力En3の大きさ|En3|を次式のように算出する。
|En3|=(r30/|EdA3|)・ω0 ・・・(99)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力En3の角度∠En3を次式のように算出する。
∠En3=φ30−∠EdA3 ・・・(100)
これで、ステップ104の処理が終了する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを式(90)により算出する(ステップ105)。なお、流速(流量)を求めるステップ105で∠En3を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度(Δθ01)と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5aと流量出力部6aは、以上のようなステップ101〜105の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ106においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mとから起電力差EdA3(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdA3を用いて角周波数ω0の成分の起電力E30中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
また、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B2と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B3の位相差を調整することにより、電極間起電力E30がほぼv×B成分の起電力のみとなり、電極間起電力E3p,E3mがほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第1、第2の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電磁流量計に対して電極を1対追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。すなわち、本実施の形態の電磁流量計は、1個の励磁コイルと2対の電極とを有する。新たに追加する第2の電極を既存の第1の電極と同じ側に追加した場合には、第1の実施の形態の冗長な構成となる。したがって、第2の電極は、励磁コイルを挟んで第1の電極と異なる側に配設する必要がある。
図12は本実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。この電磁流量計は、測定管1と、被測定流体に印加される磁場および測定管軸PAXの双方と直交し、かつ被測定流体と接触するように測定管1に対向配置され、前記磁場と被測定流体の流れとによって生じた起電力を検出する第1の電極2a,2bおよび第2の電極2c,2dと、測定管軸PAXと直交する、第1の電極2a,2bを含む平面をPLN1、測定管軸PAXと直交する、第2の電極2c,2dを含む平面をPLN2としたとき、平面PLN1を境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加すると同時に、平面PLN2を境とする測定管1の前後で非対称な、時間変化する磁場を被測定流体に印加する励磁コイル3とを有する。
第1の電極2a,2bは、励磁コイル3の軸を含む、測定管軸PAXの方向と垂直な平面PLN3から例えば上流側にオフセット距離d3だけ離れた位置に配設される。第2の電極2c,2dは、平面PLN3から例えば下流側にオフセット距離d4だけ離れた位置に配設され、平面PLNを挟んで第1の電極2a,2bと対向するように配設される。
ここで、励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1上において電極軸EAX1および測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B4と、励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2上において電極軸EAX2および測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B5は、以下のように与えられるものとする。
B4=b4・{1+ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ4)
・・・(101)
B5=b5・{1+ma・cos(ω1・t)}・cos(ω0・t−θ5)
・・・(102)
但し、B4、B5は1つの励磁コイル3から発生しているので、b4とb5、θ4とθ5は互いに関係があり、独立変数ではない。式(101)、式(102)において、b4,b5は磁場B4,B5の振幅、ω0は搬送波の角周波数,ω1は変調波の角周波数、θ4は磁場B4の搬送波とω0・tとの位相差(位相遅れ)、θ5は磁場B5の搬送波とω0・tとの位相差、maは振幅変調指数である。以下、磁束密度B4を磁場B4とし、磁束密度B5を磁場B5とする。
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流は、磁場の変化に起因する成分のみとなり、磁場Bdの変化による渦電流Iは、図13に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAX1と測定管軸PAXとを含む平面内において磁場Bdの変化によって発生する電極2a,2b間の、流速と無関係な起電力E1と、電極軸EAX2と測定管軸PAXとを含む平面内において磁場Bdの変化によって発生する電極2c,2d間の、流速と無関係な起電力E2とは、図13に示すように互いに逆向きとなる。
被測定流体の流速がV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Bdが発生するため、流速ベクトルvと磁場Bdによる渦電流Ivは、図14に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Bdによって発生する電極2a,2bの起電力Ev1と、流速ベクトルvと磁場Bdによって発生する電極2c,2d間の起電力Ev2とは、同じ向きとなる。
図13、図14で説明した電極間起電力の向きを考慮すると、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2a,2b間の第1の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E41は、式(34)と同様の次式で表される。
E41=rk・ω0・b4・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)} ・・・(103)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2a,2b間の第1の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E41pは、式(35)と同様の次式で表される。
E41p=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b4
・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
・・・(104)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2a,2b間の第1の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E41mは、式(36)と同様の次式で表される。
E41m=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b4
・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
・・・(105)
また、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2c,2d間の第2の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E42は、式(34)と同様の次式で表される。
E42=rk・ω0・b5・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
+rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)} ・・・(106)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2c,2d間の第2の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E42pは、式(35)と同様の次式で表される。
E42p=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b5
・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)}
・・・(107)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2c,2d間の第2の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E42mは、式(36)と同様の次式で表される。
E42m=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b5
・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)}
・・・(108)
式(103)、式(106)より、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分E41と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分E42との和Es40は次式のようになる。
Es40=E41+E42
=rk・ω0・b4・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
+rk・ω0・b5・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
+rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)} ・・・(109)
式(104)、式(107)より、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの差Ed4pは次式のようになる。
Ed4p=E41p−E42p
=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b4
・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
−(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b5
・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
−(1/2)・ma・rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)}
・・・(110)
式(105)、式(108)より、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの差Ed4mは次式のようになる。
Ed4m=E41m−E42m
=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b4
・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
−(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b5
・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
−(1/2)・ma・rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)}
・・・(111)
ここで、式(109)、式(110)、式(111)にθ01=θ00+Δθ01、θ5=θ4+Δθ5および式(18)を代入したときの起電力和Es40、起電力差Ed4p、Ed4mは、それぞれ式(112)、式(113)、式(114)で表される。
Es40=rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}] ・・・(112)
Ed4p=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}] ・・・(113)
Ed4m=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}] ・・・(114)
ここで、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとすると(d3≒d4)、b4≒b5、Δθ5≒0になる。この場合、式(112)、式(113)、式(114)は以下のようになる。
Es40≒rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・{2・b4・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(115)
Ed4p≒ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・{b4・(ω0+ω1)・exp(j・π/2)} ・・・(116)
Ed4m≒ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・{b4・(ω0−ω1)・exp(j・π/2)} ・・・(117)
すなわち、起電力和Es40はほぼv×B成分の起電力のみとなり、起電力差Ed4p,Ed4mはほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、∂A/∂t成分の抽出やv×B成分の正規化演算の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第1の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb4≠b5,Δθ5≠0として進める。
起電力差Ed4pとEd4mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)・(1/ma)倍した結果をEdA4とすれば、式(118)が成立する。
EdA4=(Eadp−Eadm)・(ω0/ω1)・(1/ma)
=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
−γ・V・exp(j・Δθ01)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}]
・(ω0/ω1)・(1/ma)
=rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
・・・(118)
差分EdA4は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この差分EdA4を用いて、v×Bにより発生する成分のみからなる起電力和Es40の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の起電力差Ed4p,Ed4mを複素ベクトル表現した図を図15(a)に示し、起電力和Es40および差分EdA4を複素ベクトル表現した図を図15(b)に示す。なお、差分EdA4は、正確には起電力差Ed4pとEd4mとの差分を(ω0/ω1)・(1/ma)倍したものであるが、(ω0/ω1)・(1/ma)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(112)の起電力和Es40を式(118)の差分EdA4で正規化し、ω0倍した結果をEn4とすれば、正規化起電力En4は式(119)のようになる。
En4=(Eas0/EdA)・ω0
=rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}]
/[rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}]・ω0
=ω0・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
/{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(119)
式(119)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Es40を差分EdA4で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(119)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(119)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、再び励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとして、b4≒b5、Δθ5≒0とすると、流速の大きさVは式(119)より次式のように表される。
V=|En4/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En4|/γ ・・・(120)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表4のとおりである。本実施の形態は、表4から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表4]
基本原理と第4の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第4の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│C │ rk・exp{j(θ4+θ00)} │
│ │ ・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。図16は本実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図であり、図12と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、電源部4bと、第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力差、および第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5bと、第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6bとを有している。
電源部4bは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、振幅変調指数maは任意の値とする。
図17は信号変換部5bと流量出力部6bの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分E41と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分E42との和Es40の振幅rs40を求めると共に、実軸と起電力和Es40との位相差φs40を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの差Ed4pの振幅rd4pを求めると共に、実軸と起電力差Ed4pとの位相差φd4pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの差Ed4mの振幅rd4mを求めると共に、実軸と起電力差Ed4mとの位相差φd4mを位相検波器により求める(図17ステップ301)。電極間起電力E41,E42,E41p,E42p,E41m,E42mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
次に、信号変換部5bは、起電力和Es40の実軸成分Es40xと虚軸成分Es40y、起電力差Ed4pの実軸成分Ed4pxと虚軸成分Ed4py、および起電力差Ed4mの実軸成分Ed4mxと虚軸成分Ed4myを次式のように算出する(ステップ302)。
Es40x=rs40・cos(φs40) ・・・(121)
Es40y=rs40・sin(φs40) ・・・(122)
Ed4px=rd4p・cos(φd4p) ・・・(123)
Ed4py=rd4p・sin(φd4p) ・・・(124)
Ed4mx=rd4m・cos(φd4m) ・・・(125)
Ed4my=rd4m・sin(φd4m) ・・・(126)
式(121)〜式(126)の算出後、信号変換部5bは、起電力差Ed4pとEd4mとの差分EdA4の大きさと角度を求める(ステップ303)。このステップ303の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(118)の算出に相当する処理である。信号変換部5bは、起電力差Ed4pとEd4mとの差分EdA4の大きさ|EdA4|を次式のように算出する。
|EdA4|={(Ed4px−Ed4mx)2+(Ed4py−Ed4my)21/2
・(ω0/ω1)・(1/ma) ・・・(127)
そして、信号変換部5bは、実軸に対する差分EdA4の角度∠EdA4を次式のように算出する。
∠EdA4=tan-1{(Ed4py−Ed4my)/(Ed4px−Ed4mx)}
・・・(128)
以上で、ステップ303の処理が終了する。
次に、流量出力部6bは、起電力和Es40を差分EdA4で正規化した正規化起電力En4の大きさと角度を求める(ステップ304)。このステップ304の処理は、式(119)の算出に相当する処理である。流量出力部6bは、正規化起電力En4の大きさ|En4|を次式のように算出する。
|En4|=(rs40/|EdA4|)・ω0 ・・・(129)
また、流量出力部6bは、実軸に対する正規化起電力En4の角度∠En4を次式のように算出する。
∠En4=φs40−∠EdA4 ・・・(130)
これで、ステップ304の処理が終了する。
続いて、流量出力部6bは、被測定流体の流速の大きさVを式(120)により算出する(ステップ305)。なお、流速(流量)を求めるステップ305で∠En4を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5bと流量出力部6bは、以上のようなステップ301〜305の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ306においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの差Ed4p、および第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの差Ed4mを求め、起電力差Ed4pとEd4mとから差分EdA4(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この差分EdA4を用いて、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分E41と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分E42との和Es40中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
また、本実施の形態では、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から第1の電極2a,2bまでの距離d3と平面PLN3から第2の電極2c,2dまでの距離d4とを調整することにより、起電力和Es40がほぼv×B成分の起電力のみとなり、起電力差Ed4p,Ed4mがほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第1、第2の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
なお、本実施の形態では、起電力差Ed4pとEd4mとから差分EdA4を取り出し、この差分EdA4を用いて起電力和Es40を正規化する例について示したが、これに限るものではなく、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの起電力和、および第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分を用いて、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分E41と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分E42との起電力差を正規化するようにしてもよい。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものであり、第4の実施の形態とは別の例を示すものである。本実施の形態の電磁流量計の構成は第4の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図12の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
式(104)、式(107)より、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの和Es5pは次式のようになる。
Es5p=E41p+E42p
=(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b4
・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
+(1/2)・ma・rk・(ω0+ω1)・b5
・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)}
・・・(131)
式(105)、式(108)より、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの和Es5mは次式のようになる。
Es5m=E41m+E42m
=(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b4
・exp{j・(π/2+θ4+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b4・exp{j・(θ4+θ01)}
+(1/2)・ma・rk・(ω0−ω1)・b5
・exp{j・(−π/2+θ5+θ00)}
+(1/2)・ma・rkv・b5・exp{j・(θ5+θ01)}
・・・(132)
ここで、式(131)、式(132)にθ01=θ00+Δθ01、θ5=θ4+Δθ5および式(18)を代入したときの起電力和Es5p,Es5mは、それぞれ式(133)、式(134)で表される。
Es5p=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}] ・・・(133)
Es5m=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}] ・・・(134)
ここで、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとすると(d3≒d4)、b4≒b5、Δθ5≒0になる。この場合、式(133)、式(134)は以下のようになる。
Es5p≒ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・{b4・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(135)
Es5m≒ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・{b4・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(136)
すなわち、起電力和Es5p,Es5mはほぼv×B成分の起電力のみとなり、第4の実施の形態で示したとおり、起電力差Ed4p,Ed4mはほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、∂A/∂t成分の抽出やv×B成分の正規化演算の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第1の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb4≠b5,Δθ5≠0として進める。
起電力差Ed4pとEd4mとの差をとり、求めた差分を(ω0+ω1)/(2・ω1)倍した結果をEdA5とすれば、式(137)が成立する。
EdA5=(Ed4p−Ed4m)・(ω0+ω1)/(2・ω1)
=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
−γ・V・exp(j・Δθ01)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}]
・(ω0+ω1)/(2・ω1)
=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・(ω0+ω1)・exp(j・π/2)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
・・・(137)
差分EdA5は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この差分EdA5を用いて、v×Bにより発生する成分のみからなる起電力和Es5pの流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の起電力差Ed4p,Ed4mを複素ベクトル表現した図を図18(a)に示し、起電力和Es5pおよび差分EdA5を複素ベクトル表現した図を図18(b)に示す。なお、差分EdA5は、正確には起電力差Ed4pとEd4mとの差分を(ω0+ω1)/(2・ω1)倍したものであるが、(ω0+ω1)/(2・ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(133)の起電力和Es5pを式(137)の差分EdA5で正規化し、(ω0+ω1)倍した結果をEn5とすれば、正規化起電力En5は式(138)のようになる。
En5=(Es5p/EdA5)・(ω0+ω1)
=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}]
/[(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ4+θ00)}
・(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}]・(ω0+ω1)
=(ω0+ω1)・{b4−b5・exp(j・Δθ5)}
/{b4+b5・exp(j・Δθ5)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(138)
式(138)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Es5pを差分EdA5で正規化した結果を(ω0+ω1)倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(138)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(138)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、再び励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとして、b4≒b5、Δθ5≒0とすると、流速の大きさVは式(138)より次式のように表される。
V=|En5/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En5|/γ ・・・(139)
本実施の形態の場合、角周波数ω0の搬送波成分を用いる必要がないので、設定した振幅変調指数maがたとえ変動した場合でも、スパン補正した流量出力が可能になる。
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表5のとおりである。本実施の形態は、表5から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表5]
基本原理と第5の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第5の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│C │ (1/2)・ma・rk │
│ │ ・exp{j(θ4+θ00)} │
│ │ ・{b4+b5・exp(j・Δθ5)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第4の実施の形態と同様であるので、図16の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、電源部4bと、第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力差、および第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5bと、第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力和の中のv×B成分、又は第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6bとを有している。
電源部4bは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、振幅変調指数maは任意の値とする。
図19は本実施の形態の信号変換部5bと流量出力部6bの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの和Es5pの振幅rs5pを求めると共に、実軸と起電力和Es5pとの位相差φs5pを図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの差Ed4pの振幅rd4pを求めると共に、実軸と起電力差Ed4pとの位相差φd4pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの差Ed4mの振幅rd4mを求めると共に、実軸と起電力差Ed4mとの位相差φd4mを位相検波器により求める(図19ステップ401)。電極間起電力E41p,E42p,E41m,E42mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
次に、信号変換部5bは、起電力和Es5pの実軸成分Es5pxと虚軸成分Es5pyを次式のように算出し、また起電力差Ed4pの実軸成分Ed4pxと虚軸成分Ed4pyをそれぞれ式(123)、式(124)のように算出し、起電力差Ed4mの実軸成分Ed4mxと虚軸成分Ed4myをそれぞれ式(125)、式(126)のように算出する(ステップ402)。
Es5px=rs5p・cos(φs5p) ・・・(140)
Es5py=rs5p・sin(φs5p) ・・・(141)
式(123)〜式(126)、式(140)、式(141)の算出後、信号変換部5bは、起電力差Ed4pとEd4mとの差分EdA5の大きさと角度を求める(ステップ403)。このステップ403の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(137)の算出に相当する処理である。信号変換部5bは、起電力差Ed4pとEd4mとの差分EdA5の大きさ|EdA5|を次式のように算出する。
|EdA5|={(Ed4px−Ed4mx)2+(Ed4py−Ed4my)21/2
・(ω0+ω1)/(2・ω1) ・・・(142)
そして、信号変換部5bは、実軸に対する差分EdA5の角度∠EdA5を次式のように算出する。
∠EdA5=tan-1{(Ed4py−Ed4my)/(Ed4px−Ed4mx)}
・・・(143)
以上で、ステップ403の処理が終了する。
次に、流量出力部6bは、起電力和Es5pを差分EdA5で正規化した正規化起電力En5の大きさと角度を求める(ステップ404)。このステップ404の処理は、式(138)の算出に相当する処理である。流量出力部6bは、正規化起電力En5の大きさ|En5|を次式のように算出する。
|En5|=(rs5p/|EdA5|)・(ω0+ω1) ・・・(144)
また、流量出力部6bは、実軸に対する正規化起電力En5の角度∠En5を次式のように算出する。
∠En5=φs5p−∠EdA5 ・・・(145)
これで、ステップ404の処理が終了する。
続いて、流量出力部6bは、被測定流体の流速の大きさVを式(139)により算出する(ステップ405)。なお、流速(流量)を求めるステップ405で∠En5を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5bと流量出力部6bは、以上のようなステップ401〜405の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ406においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの差Ed4p、および第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの差Ed4mを求め、起電力差Ed4pとEd4mとから差分EdA5(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この差分EdA5を用いて、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの和Es5p中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。なお、起電力和Es5pの代わりに、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの和Es5mを正規化するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から第1の電極2a,2bまでの距離d3と平面PLN3から第2の電極2c,2dまでの距離d4とを調整することにより、起電力和Es5p,Es5mがほぼv×B成分の起電力のみとなり、起電力差Ed4p,Ed4mがほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第1、第2の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
なお、本実施の形態では、起電力差Ed4pとEd4mとから差分EdA5を取り出し、この差分EdA5を用いて起電力和Es5pを正規化する例について示したが、これに限るものではなく、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの起電力和、および第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分を用いて、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E41pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E42pとの差Ed4pを正規化するようにしてもよい。起電力差Ed4pの代わりに、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E41mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E42mとの差Ed4mを正規化するようにしてもよい。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。本実施の形態の電磁流量計は1個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、その構成は第1の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図3の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
図3において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B6は、以下のように与えられるものとする。
B6=b6・cos{ω0・t−mp・cos(ω1・t)−θ6} ・・(146)
式(146)において、b6は磁場B6の振幅、ω0は搬送波の角周波数、ω1は変調波の角周波数、θ6は搬送波とω0・tとの位相差(位相遅れ)、mpは位相変調指数である。以下、磁束密度B6を磁場B6とする。
式(146)は次式のように変形できる。
B6=b6・cos{ω0・t−mp・cos(ω1・t)−θ6}
=b6・cos(ω0・t−θ6)・cos{−mp・cos(ω1・t)}
−b6・sin(ω0・t−θ6)・sin{−mp・cos(ω1・t)}
=b6・cos{mp・cos(ω1・t)}
・{cos(ω0・t)・cos(−θ6)
−sin(ω0・t)・sin(−θ6)}
+b6・sin{mp・cos(ω1・t)}
・{sin(ω0・t)・cos(−θ6)
+cos(ω0・t)・sin(−θ6)} ・・・(147)
ここで、式(147)のcos{mp・cos(ω1・t)}、sin{mp・cos(ω1・t)}は次式のように変換できる。
Figure 0004550468
式(148)、式(149)においてJn(mp) (n=0,1,2,・・・・)は第1種ベッセル関数として知られており、この第1種ベッセル関数Jn(mp) は次式で与えられる。
Figure 0004550468
なお、式(150)においてk!はkの階乗を意味する。式(148)、式(149)においてn=0,1の場合のみ採用すると、式(147)は以下のように変形できる。
B6=J0(mp)・b6・{cos(θ6)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・b6・{sin(θ6)}・sin(ω0・t)
+J1(mp)・b6・{−sin(θ6)}・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・b6・{cos(θ6)}・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・b6・{−sin(θ6)}・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・b6・{cos(θ6)}・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(151)
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、励磁コイル3から発生する磁場B6を次式のように微分する。
dB6/dt=J0(mp)・ω0・b6・{sin(θ6)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・ω0・b6・{−cos(θ6)}
・sin(ω0・t)
+J1(mp)・(ω0+ω1)・b6・{cos(θ6)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0+ω1)・b6・{sin(θ6)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0−ω1)・b6・{cos(θ6)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0−ω1)・b6・{sin(θ6)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(152)
被測定流体の流速が0の場合、発生する渦電流Iは、従来と同様に図34に示すような向きとなる。このとき、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Baの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力Eは、次式に示すように向きを考えた磁場の時間微分−dB6/dtに、ω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分における係数k(被測定流体の導電率及び誘電率と電極2a,2bの配置を含む測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
E=J0(mp)・k・ω0・b6・{−sin(θ6)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・k・ω0・b6・{cos(θ6)}・sin(ω0・t)
+J1(mp)・k・(ω0+ω1)・b6・{−cos(θ6)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・k・(ω0+ω1)・b6・{−sin(θ6)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・k・(ω0−ω1)・b6・{−cos(θ6)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・k・(ω0−ω1)・b6・{−sin(θ6)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(153)
次に、被測定流体の流速に起因する電極間起電力について説明する。被測定流体の流速の大きさがV(V≠0)の場合、発生する渦電流には、流速0のときの渦電流Iに加えて、被測定流体の流速ベクトルvに起因する成分v×Baが発生するため、流速ベクトルvと磁場Baによる渦電流Ivは、従来と同様に図35に示すような向きとなる。このとき、流速に起因する電極間起電力Evは、次式に示すように磁場B6に、ω0,(ω0−ω1),(ω0+ω1)の各々の角周波数成分における係数kv(流速の大きさVと被測定流体の導電率及び誘電率と測定管1の構造に関係する複素数)をかけたものとなる。
Ev=J0(mp)・kv・b6・{cos(θ6)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・kv・b6・{sin(θ6)}・sin(ω0・t)
+J1(mp)・kv・b6・{−sin(θ6)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・kv・b6・{cos(θ6)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・kv・b6・{−sin(θ6)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・kv・b6・{cos(θ6)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(154)
式(153)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(154)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E60は、式(153)の第1項および第2項と式(154)の第1項および第2項と式(10)と式(17)とから次式で表される。
E60=J0(mp)・rk・ω0・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
+J0(mp)・rkv・b6・exp{j・(θ6+θ01)}
・・・(155)
式(153)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(154)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E6pは、式(153)の第3項および第4項と式(154)の第3項および第4項と式(10)と式(17)とから次式で表される。
E6p=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b6
・exp{j・(π+θ6+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ01)}
・・・(156)
式(153)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(154)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分E6mは、式(153)の第5項および第6項と式(154)の第5項および第6項と式(10)と式(17)とから次式で表される。
E6m=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b6
・exp{j・(π+θ6+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ01)}
・・・(157)
ここで、式(155)、式(156)、式(157)にθ01=θ00+Δθ01および式(18)を代入したときの電極間起電力E60、E6p、E6mは、それぞれ式(158)、式(159)、式(160)で表される。
E60=J0(mp)・rk・ω0・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
+J0(mp)・γ・rk・V・b6
・exp{j・(θ6+θ00+Δθ01)}
=J0(mp)・rk・b6・exp{j・(θ6+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(158)
E6p=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b6
・exp{j・(π+θ6+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b6
・exp{j・(π/2+θ6+θ00+Δθ01)}
=J1(mp)・rk・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
+γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(159)
E6m=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b6
・exp{j・(π+θ6+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b6
・exp{j・(π/2+θ6+θ00+Δθ01)}
=J1(mp)・rk・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
・{(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
+γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(160)
電極間起電力E6pとE6mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した結果をEdA6とすれば、式(161)が成立する。
EdA6=(E6p−E6m)・(ω0/ω1)・J0(mp)
/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}
=J1(mp)・rk・b6・exp{j・(θ6+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)−γ・V・exp(j・Δθ01)}
・(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}
・exp{j・(−π/2)}
=J0(mp)・rk・b6・exp{j・(θ6+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2) ・・・(161)
起電力差EdA6は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA6を用いて電極間起電力E60(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E6p,E6mを複素ベクトル表現した図を図20(a)に示し、電極間起電力E60および起電力差EdA6を複素ベクトル表現した図を図20(b)に示す。なお、起電力差EdA6は、正確には電極間起電力E6pとE6mとの起電力差を(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍したものであるが、(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(158)の電極間起電力E60を式(161)の起電力差EdA6で正規化し、ω0倍した結果をEn6とすれば、正規化起電力En6は式(162)のようになる。
En6=(E60/EdA6)・ω0
=J0(mp)・rk・b6・exp{j・(θ6+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
/[J0(mp)・rk・b6・exp{j・(θ6+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)]・ω0
=ω0+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V
・・・(162)
式(162)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、電極間起電力E60を起電力差EdA6で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(162)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(162)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。式(162)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|(En6−ω0)/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|(En6−ω0)|/γ ・・・(163)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表6のとおりである。本実施の形態は、表6から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表6]
基本原理と第6の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第6の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ C │ J0(mp)・rk・b6 │
│ │ ・exp{j(θ6+θ00)} │
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第1の実施の形態と同様であるので、図3の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
電源部4は、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、位相変調指数mpは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5と流量出力部6の処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、図4の符号を用いて信号変換部5と流量出力部6の動作を説明する。
まず、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E60の振幅r60を求めると共に、実軸と電極間起電力E60との位相差φ60を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E6pの振幅r6pを求めると共に、実軸と電極間起電力E6pとの位相差φ6pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E6mの振幅r6mを求めると共に、実軸と電極間起電力E6mとの位相差φ6mを位相検波器により求める(図4ステップ101)。電極間起電力E60,E6p,E6mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5は、電極間起電力E60の実軸成分E60xと虚軸成分E60y、電極間起電力E6pの実軸成分E6pxと虚軸成分E6py、および電極間起電力E6mの実軸成分E6mxと虚軸成分E6myを次式のように算出する(ステップ102)。
E60x=r60・cos(φ60) ・・・(164)
E60y=r60・sin(φ60) ・・・(165)
E6px=r6p・cos(φ6p) ・・・(166)
E6py=r6p・sin(φ6p) ・・・(167)
E6mx=r6m・cos(φ6m) ・・・(168)
E6my=r6m・sin(φ6m) ・・・(169)
式(164)〜式(169)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E6pとE6mとの起電力差EdA6の大きさと角度を求める(ステップ103)。このステップ103の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(161)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、電極間起電力E6pとE6mとの起電力差EdA6の大きさ|EdA6|を次式のように算出する。
|EdA6|={(E6px−E6mx)2+(E6py−E6my)21/2
・(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・・(170)
そして、信号変換部5は、実軸に対する起電力差EdA6の角度∠EdA6を次式のように算出する。
∠EdA6=tan-1{(E6py−E6my)/(E6px−E6px)}−π/2
・・・(171)
以上で、ステップ103の処理が終了する。
次に、流量出力部6は、電極間起電力E60を起電力差EdA6で正規化した正規化起電力En6の大きさと角度を求める(ステップ104)。このステップ104の処理は、式(162)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、正規化起電力En6の大きさ|En6|を次式のように算出する。
|En6|=(r60/|EdA6|)・ω0 ・・・(172)
また、流量出力部6は、実軸に対する正規化起電力En6の角度∠En6を次式のように算出する。
∠En6=φ60−∠EdA6 ・・・(173)
これで、ステップ104の処理が終了する。
続いて、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを算出する(ステップ105)。このステップ105の処理は、式(163)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、(En6−ω0)の実軸成分En6xと(En6−ω0)の虚軸成分En6yを次式のように算出する。
En6x=|En6|cos(∠En6)−ω0 ・・・(174)
En6y=|En6|sin(∠En6) ・・・(175)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する。
V=(En6x2+En6y21/2/γ ・・・(176)
これで、ステップ105の処理が終了する。信号変換部5と流量出力部6は、以上のようなステップ101〜105の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ106においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E6pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E6mとから起電力差EdA6(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdA6を用いて角周波数ω0の成分の起電力E60(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
なお、本実施の形態では、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調した励磁電流を電源部4から励磁コイル3に供給しているが、これに限るものではなく、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって周波数変調した励磁電流を励磁コイル3に供給するようにしてもよい。
以下、周波数変調が位相変調と同等に扱えることについて説明する。図3において、励磁コイル3から発生する磁場のうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B6は、以下のように与えられるものとする。
B6=b6・cos{ω0・t−mf・sin(ω1・t)−θ6} ・・(177)
式(177)において、b6は振幅、ω0,ω1は角周波数、θ6はω0・t−mf・sin(ω1・t)との位相差(位相遅れ)、mfは周波数変調指数である。
また、周波数変調指数mfは次式であらわされる。
mf=Δω1/ω1 ・・・(178)
式(178)において、Δω1は角周波数帯域を表し、変調波の最大振幅のときの周波数偏移量をΔFとすると、Δω1=2π・ΔFである。
式(177)は次式のように変形できる。
B6=b6・cos{ω0・t−mf・sin(ω1・t)−θ6}
=b6・cos(ω0・t−θ6)・cos{−mf・sin(ω1・t)}
−b6・sin(ω0・t−θ6)・sin{−mf・sin(ω1・t)}
=b6・cos{mf・sin(ω1・t)}・{cos(ω0・t)
・cos(−θ6)−sin(ω0・t)・sin(−θ6)}
+b6・sin{mf・sin(ω1・t)}・{sin(ω0・t)
・cos(−θ6)+cos(ω0・t)・sin(−θ6)}
・・・(179)
ここで、式(179)のcos{mf・sin(ω1・t)}、sin{mf・sin(ω1・t)}は次式のように変換できる。
Figure 0004550468
式(180)、式(181)においてJn(mf) (n=0,1,2,・・・・)は第1種ベッセル関数として知られており、この第1種ベッセル関数Jn(mf) は次式で与えられる。
Figure 0004550468
なお、式(182)においてk!はkの階乗を意味する。式(180)、式(181)においてn=0,1の場合のみ採用すると、式(179)は以下のように変形できる。
B6=b6・J0(mf)・{cos(ω0・t)・cos(−θ6)
−sin(ω0・t)・sin(−θ6)}
+b6・2・J1(mf)・cos(ω1・t)・{sin(ω0・t)
・cos(−θ6)+cos(ω0・t)・sin(−θ6)}
=J0(mf)・b6・{cos(θ6)}・cos(ω0・t)
+J0(mf)・b6・{sin(θ6)}・sin(ω0・t)
+J1(mf)・b6・{−sin(θ6)}・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mf)・b6・{cos(θ6)}・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mf)・b6・{−sin(θ6)}・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mf)・b6・{cos(θ6)}・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(183)
式(183)においてmf=mpとおけば式(151)とまったく同じ式になるので、周波数変調を位相変調と同等に扱えることが分かる。搬送波を位相変調した励磁電流を励磁コイルに供給する以下の実施の形態においても、周波数変調は位相変調の場合と同じに扱うことができるので、周波数変調の説明は省略する。
[第7の実施の形態]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態と同様に、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。本実施の形態の電磁流量計は1個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、その構成は第1の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図3の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
式(159)に示した電極間起電力E6pと式(160)に示した電極間起電力E6mとの和をEs7とすれば、起電力和Es7は次式で表される。
Es7=E6p+E6m
=J1(mp)・rk・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)
+(ω0−ω1)・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
=2・J1(mp)・rk・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
・・・(184)
電極間起電力E6pとE6mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)倍した結果をEdA7とすれば、式(185)が成立する。
EdA7=(E6p−E6m)・ω0/ω1
=J1(mp)・rk・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
・{(ω0+ω1)・exp(j・π/2)+γ0・V・exp(j・Δθ01)
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)−γ0・V・exp(j・Δθ01)}
・ω0/ω1
=2・J1(mp)・rk・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)
・・・(185)
起電力差EdA7は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA7を用いて起電力和Es7中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E6p,E6mを複素ベクトル表現した図を図21(a)に示し、起電力和Es7および起電力差EdA7を複素ベクトル表現した図を図21(b)に示す。なお、起電力差EdA7は、正確には電極間起電力E6pとE6mとの起電力差を(ω0/ω1)倍したものであるが、(ω0/ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(184)の起電力和Es7を式(185)の起電力差EdA7で正規化し、ω0倍した結果をEn7とすれば、正規化起電力En7は式(186)のようになる。
En7=(Es7/EdA7)・ω0
=2・J1(mp)・rk・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
・{ω0・exp(j・π/2)+γ・V・exp(j・Δθ01)}
/[2・J1(mp)・rk・b6・exp{j・(π/2+θ6+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)}]・ω0
=ω0+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(186)
式(186)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Es7を起電力差EdA7で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(186)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(186)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的かつ励磁状態を切換えることなく補正するスパン補正を実現することができる。式(186)より、流速の大きさVは次式のように表される。
V=|(En7−ω0)/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|(En7−ω0)|/γ ・・・(187)
本実施の形態の場合、角周波数ω0の搬送波成分を用いる必要がないので、設定した位相変調指数mpがたとえ変動した場合でも、スパン補正した流量出力が可能になる。
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表7のとおりである。本実施の形態は、表7から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表7]
基本原理と第7の実施の形態の対応関係
┌────────────┬────────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第7の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼────────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ C │ 2・J1(mp)・rk・b6 │
│ │ ・exp{j(θ6+θ00)} │
└────────────┴────────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は図3と同様であるので、図3の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、励磁コイル3と、電源部4と、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5と、電極2a,2bで検出される合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうち異なる2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6とを有する。
電源部4は、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、位相変調指数mp又は周波数変調指数mfは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5と流量出力部6の処理の流れは第2の実施の形態と同様であるので、図6の符号を用いて信号変換部5と流量出力部6の動作を説明する。まず、信号変換部5は、電極間起電力E6pと電極間起電力E6mとの起電力和Es7の振幅rs7を求めると共に、実軸と起電力和Es7との位相差φs7を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5は、電極間起電力E6pと電極間起電力E6mとの起電力差Ed7の振幅rd7を求めると共に、実軸と起電力差Ed7との位相差φd7を位相検波器により求める(図6ステップ201)。前述のとおり、電極間起電力E6p,E6mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5は、起電力和Es7の実軸成分E7sxと虚軸成分E7sy、および起電力差Ed7の実軸成分E7dxと虚軸成分E7dyを次式のように算出する(ステップ202)。
E7sx=rs7・cos(φs7) ・・・(188)
E7sy=rs7・sin(φs7) ・・・(189)
E7dx=rd7・cos(φd7) ・・・(190)
E7dy=rd7・sin(φd7) ・・・(191)
式(188)〜式(191)の算出後、信号変換部5は、電極間起電力E6pとE6mとの起電力差EdA7の大きさと角度を求める(ステップ203)。このステップ203の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(185)の算出に相当する処理である。信号変換部5は、電極間起電力E6pとE6mとの起電力差EdA7の大きさ|EdA7|を次式のように算出する。
|EdA7|=(E7dx2+E7dy21/2・(ω0/ω1) ・・・(192)
そして、信号変換部5は、実軸に対する起電力差EdA7の角度∠EdA7を次式のように算出する。
∠EdA7=tan-1(E7dy/E7dx) ・・・(193)
以上で、ステップ203の処理が終了する。
次に、流量出力部6は、起電力和Es7を起電力差EdA7で正規化した正規化起電力En7の大きさと角度を求める(ステップ204)。このステップ204の処理は、式(186)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、正規化起電力En7の大きさ|En7|を次式のように算出する。
|En7|=(rs7/|EdA7|)・ω0 ・・・(194)
また、流量出力部6は、実軸に対する正規化起電力En7の角度∠En7を次式のように算出する。
∠En7=φs7−∠EdA7 ・・・(195)
これで、ステップ204の処理が終了する。
続いて、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを算出する(ステップ205)。このステップ205の処理は、式(187)の算出に相当する処理である。流量出力部6は、(En7−ω0)の実軸成分En7xと(En7−ω0)の虚軸成分En7yを次式のように算出する。
En7x=|En7|cos(∠En7)−ω0 ・・・(196)
En7y=|En7|sin(∠En7) ・・・(197)
そして、流量出力部6は、被測定流体の流速の大きさVを次式のように算出する。
V=(En7x2+En7y21/2/γ ・・・(198)
これで、ステップ205の処理が終了する。信号変換部5と流量出力部6は、以上のようなステップ201〜205の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ206においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E6pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E6mとから起電力差EdA7(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdA7を用いて電極間起電力E6pとE6mとの起電力和Es7(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
[第8の実施の形態]
次に、本発明の第8の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電磁流量計に対して励磁コイルを1個追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。本実施の形態の電磁流量計は、2個の励磁コイルと1対の電極とを有するものであり、その構成は第3の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図11の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
第1の励磁コイル3aから発生する磁場Bbのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B7と、第2の励磁コイル3bから発生する磁場Bcのうち、電極軸EAX上において電極軸EAXおよび測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B8は、以下のように与えられるものとする。
B7=b7・cos{ω0・t−mp・cos(ω1・t)−θ7} ・・(199)
B8=b8・cos{ω0・t+mp・cos(ω1・t)−θ8} ・・(200)
式(199)、式(200)において、b7,b8は磁場B7,B8の振幅、ω0は搬送波の角周波数、ω1は変調波の角周波数、θ7は磁場B7の搬送波とω0・tとの位相差(位相遅れ)、θ8は磁場B8の搬送波とω0・tとの位相差、mpは位相変調指数である。以下、磁束密度B7を磁場B7とし、磁束密度B8を磁場B8とする。
第6の実施の形態と同様に、式(148)、式(149)においてn=0,1の場合のみ採用すると、式(199)、式(200)は以下のように変形できる。
B7=J0(mp)・b7・{cos(θ7)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・b7・{sin(θ7)}・sin(ω0・t)
+J1(mp)・b7・{−sin(θ7)}・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・b7・{cos(θ7)}・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・b7・{−sin(θ7)}・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・b7・{cos(θ7)}・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(201)
B8=J0(mp)・b8・{cos(θ8)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・b8・{sin(θ8)}・sin(ω0・t)
+J1(mp)・b8・{sin(θ8)}・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・b8・{−cos(θ8)}・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・b8・{sin(θ8)}・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・b8・{−cos(θ8)}・sin{(ω0−ω1)・t}
・・・(202)
まず、磁場の変化に起因し、被測定流体の流速とは無関係な電極間起電力について説明する。磁場の変化に起因する起電力は、磁場の時間微分dB/dtによるので、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B7と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B8を次式のように微分する。
dB7/dt=J0(mp)・ω0・b7・{sin(θ7)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・ω0・b7・{−cos(θ7)}
・sin(ω0・t)
+J1(mp)・(ω0+ω1)・b7・{cos(θ7)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0+ω1)・b7・{sin(θ7)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0−ω1)・b7・{cos(θ7)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0−ω1)・b7・{sin(θ7)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(203)
dB8/dt=J0(mp)・ω0・b8・{sin(θ7)}・cos(ω0・t)
+J0(mp)・ω0・b8・{−cos(θ7)}
・sin(ω0・t)
+J1(mp)・(ω0+ω1)・b8・{−cos(θ8)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0+ω1)・b8・{−sin(θ8)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0−ω1)・b8・{−cos(θ8)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・(ω0−ω1)・b8・{−sin(θ8)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(204)
被測定流体の流速が0の場合、電極軸EAXと測定管軸PAXとを含む平面内において、磁場Bbの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力E1と、磁場Bcの変化によって発生する、流速と無関係な電極間起電力E2は、図8に示すように互いに逆向きとなる。このとき、電極間起電力E1とE2とを足した全体の電極間起電力Eは、式(153)に対応した次式で表される。
E=J0(mp)・k・ω0・{−b7・sin(θ7)+b8・sin(θ8)}
・cos(ω0・t)
+J0(mp)・k・ω0・{b7・cos(θ7)−b8・cos(θ8)}
・sin(ω0・t)
+J1(mp)・k・(ω0+ω1)・{−b7・cos(θ7)
−b8・cos(θ8)}・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・k・(ω0+ω1)・{−b7・sin(θ7)
−b8・sin(θ8)}・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・k・(ω0−ω1)・{−b7・cos(θ7)
−b8・cos(θ8)}・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・k・(ω0−ω1)・{−b7・sin(θ7)
−b8・sin(θ8)}・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(205)
被測定流体の流速がV(V≠0)の場合、被測定流体の流速ベクトルvと磁場Bbによって発生する電極間起電力Ev1と、被測定流体の流速ベクトルvと磁場Bcによって発生する電極間起電力Ev2は、同じ向きとなる。このとき、電極間起電力Ev1とEv2とを足した全体の電極間起電力Evは、式(154)に対応した次式で表される。
Ev=J0(mp)・kv・{b7・cos(θ7)+b8・cos(θ8)}
・cos(ω0・t)
+J0(mp)・kv・{b7・sin(θ7)+b8・sin(θ8)}
・sin(ω0・t)
+J1(mp)・kv・{−b7・sin(θ7)+b8・sin(θ8)}
・cos{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・kv・{b7・cos(θ7)−b8・cos(θ8)}
・sin{(ω0+ω1)・t}
+J1(mp)・kv・{−b7・sin(θ7)+b8・sin(θ8)}
・cos{(ω0−ω1)・t}
+J1(mp)・kv・{b7・cos(θ7)−b8・cos(θ8)}
・sin{(ω0−ω1)・t} ・・・(206)
式(205)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(206)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E80は、式(205)の第1項および第2項と式(206)の第1項および第2項と式(10)と式(17)とから次式であらわされる。
E80=J0(mp)・rk・ω0・b7・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
+J0(mp)・rkv・b7・exp{j・(θ7+θ01)}
+J0(mp)・rk・ω0・b8
・exp{j・(−π/2+θ8+θ00)}
+J0(mp)・rkv・b8・exp{j・(θ8+θ01)}
・・・(207)
式(205)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(206)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E8pは、式(205)の第3項および第4項と式(206)の第3項および第4項と式(10)と式(17)とから次式であらわされる。
E8p=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b7
・exp{j・(π+θ7+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b7・exp{j・(π/2+θ7+θ01)}
+J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b8
・exp{j・(π+θ8+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b8・exp{j・(−π/2+θ8+θ01)}
・・・(208)
式(205)の電極間起電力Eを複素ベクトルに変換した起電力と式(206)の電極間起電力Evを複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E8mは、式(205)の第5項および第6項と式(206)の第5項および第6項と式(10)と式(17)とから次式であらわされる。
E8m=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b7
・exp{j・(π+θ7+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b7・exp{j・(π/2+θ7+θ01)}
+J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b8
・exp{j・(π+θ8+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b8・exp{j・(−π/2+θ8+θ01)}
・・・(209)
ここで、式(207)、式(208)、式(209)にθ01=θ00+Δθ01、θ8=θ7+Δθ8および式(18)を代入したときの電極間起電力E80、E8p、E8mは、それぞれ式(210)、式(211)、式(212)で表される。
E80=J0(mp)・rk・ω0・b7・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
+J0(mp)・γ・rk・V・b7
・exp{j・(θ7+θ00+Δθ01)}
+J0(mp)・rk・ω0・b8
・exp{j・(−π/2+θ7+Δθ8+θ00)}
+J0(mp)・γ・rk・V・b8
・exp{j・(θ7+Δθ8+θ00+Δθ01)}
=J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}]
・・・(210)
E8p=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b7
・exp{j・(π+θ7+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b7
・exp{j・(π/2+θ7+θ00+Δθ01)}
+J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b8
・exp{j・(π+θ7+Δθ8+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b8
・exp{j・(−π/2+θ7+Δθ8+θ00+Δθ01)}
=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}]
・・・(211)
E8m=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b7
・exp{j・(π+θ7+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b7
・exp{j・(π/2+θ7+θ00+Δθ01)}
+J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b8
・exp{j・(π+θ7+Δθ8+θ00)}
+J1(mp)・γ・rk・V・b8
・exp{j・(−π/2+θ7+Δθ8+θ00+Δθ01)}
=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}]
・・・(212)
ここで、測定管軸PAXと直交する、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとすると(d1≒d2)、b7≒b8、Δθ8≒0になる。この場合、式(210)、式(211)、式(212)は以下のようになる。
E80≒J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・{2・b7・γ・V・exp(j・Δθ01)}・・・(213)
E8p≒J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・{2・b7・(ω0+ω1)・exp(j・π/2)} ・・・(214)
E8m≒J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・{2・b7・(ω0−ω1)・exp(j・π/2)} ・・・(215)
すなわち、電極間起電力E80はほぼv×B成分の起電力のみとなり、電極間起電力E8p,E8mはほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、∂A/∂t成分の抽出やv×B成分の正規化演算の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第6の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb7≠b8、Δθ8≠0として進める。
電極間起電力E8pとE8mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した結果をEdA8とすれば、式(216)が成立する。
EdA8=(E8p−E8m)・(ω0/ω1)・J0(mp)
/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}
=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
−γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}]
・(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}
・exp{j・(−π/2)}
=J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
・・・(216)
起電力差EdA8は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この起電力差EdA8を用いて電極間起電力E80中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E8p,E8mを複素ベクトル表現した図を図22(a)に示し、電極間起電力E80および起電力差EdA8を複素ベクトル表現した図を図22(b)に示す。なお、起電力差EdA8は、正確には電極間起電力E8pとE8mとの起電力差を(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍したものであるが、(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(210)の電極間起電力E80を式(216)の起電力差EdA8で正規化し、ω0倍した結果をEn8とすれば、正規化起電力En8は式(217)のようになる。
En8=(E80/EdA8)・ω0
=J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}]
/[J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}]・ω0
=ω0・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
/{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(217)
式(217)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、電極間起電力E80を起電力差EdA8で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(217)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(217)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、再び電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとして、b7≒b8、Δθ8≒0とすると、流速の大きさVは式(217)より次式のように表される。
V=|En8/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En8|/γ ・・・(218)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表8のとおりである。本実施の形態は、表8から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表8]
基本原理と第8の実施の形態の対応関係
┌────────────┬────────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第8の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼────────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ C │J0(mp)・rk・exp{j(θ7+θ00)} │
│ │ ・{b7+b8・exp(j・Δθ8)} │
└────────────┴────────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は図11と同様であるので、図11の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、電源部4aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力差を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6aとを有する。
本実施の形態では、前述のとおり、平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとする。
電源部4aは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、前記角周波数ω0の正弦波搬送波を第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する。このとき、位相変調指数mp又は周波数変調指数mfは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5aと流量出力部6aの処理の流れは第1の実施の形態と同様であるので、図4の符号を用いて信号変換部5aと流量出力部6aの動作を説明する。
まず、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E80の振幅r80を求めると共に、実軸と電極間起電力E80との位相差φ80を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E8pの振幅r8pを求めると共に、実軸と電極間起電力E8pとの位相差φ8pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E8mの振幅r8mを求めると共に、実軸と電極間起電力E8mとの位相差φ8mを位相検波器により求める(図4ステップ101)。電極間起電力E80,E8p,E8mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E80の実軸成分E80xと虚軸成分E80y、電極間起電力E8pの実軸成分E8pxと虚軸成分E8py、および電極間起電力E8mの実軸成分E8mxと虚軸成分E8myを次式のように算出する(ステップ102)。
E80x=r80・cos(φ80) ・・・(219)
E80y=r80・sin(φ80) ・・・(220)
E8px=r8p・cos(φ8p) ・・・(221)
E8py=r8p・sin(φ8p) ・・・(222)
E8mx=r8m・cos(φ8m) ・・・(223)
E8my=r8m・sin(φ8m) ・・・(224)
式(219)〜式(224)の算出後、信号変換部5aは、電極間起電力E8pとE8mとの起電力差EdA8の大きさと角度を求める(ステップ103)。このステップ103の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(216)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、電極間起電力E8pとE8mとの起電力差EdA8の大きさ|EdA8|を次式のように算出する。
|EdA8|={(E8px−E8mx)2+(E8py−E8my)21/2
・(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}
・・・(225)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する起電力差EdA8の角度∠EdA8を次式のように算出する。
∠EdA8=tan-1{(E8py−E8my)/(E8px−E8mx)}−π/2
・・・(226)
以上で、ステップ103の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、電極間起電力E80を起電力差EdA8で正規化した正規化起電力En8の大きさと角度を求める(ステップ104)。このステップ104の処理は、式(217)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力En8の大きさ|En8|を次式のように算出する。
|En8|=(r80/|EdA8|)・ω0 ・・・(227)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力En8の角度∠En8を次式のように算出する。
∠En8=φ80−∠EdA8 ・・・(228)
これで、ステップ104の処理が終了する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを式(218)により算出する(ステップ105)。なお、流速(流量)を求めるステップ105で∠En8を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度(Δθ01)と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5aと流量出力部6aは、以上のようなステップ101〜105の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ106においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E8pと角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E8mとから起電力差EdA8(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この起電力差EdA8を用いて角周波数ω0の成分の起電力E80中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
また、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B7と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B8の位相差を調整することにより、電極間起電力E80がほぼv×B成分の起電力のみとなり、電極間起電力E8p,E8mがほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第6、第7の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
[第9の実施の形態]
次に、本発明の第9の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電磁流量計に対して電極を1対追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。すなわち、本実施の形態の電磁流量計は、1個の励磁コイルと2対の電極とを有するものであり、その構成は第4の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図12の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態においても、第2の電極は、励磁コイルを挟んで第1の電極と異なる側に配設する必要がある。
励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1上において電極軸EAX1および測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B9と、励磁コイル3から発生する磁場Bdのうち、電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2上において電極軸EAX2および測定管軸PAXの双方と直交する磁場成分(磁束密度)B10は、以下のように与えられるものとする。
B9=b9・cos{ω0・t−mp・cos(ω1・t)−θ9} ・・(229)
B10=b10・cos{ω0・t−mp・cos(ω1・t)−θ10}
・・・(230)
但し、B9、B10は1つの励磁コイル3から発生しているので、b9とb10、θ9とθ10は互いに関係があり、独立変数ではない。式(229)、式(230)において、b9,b10は磁場B9,B10の振幅、ω0は搬送波の角周波数、ω1は変調波の角周波数、θ9は磁場B9の搬送波とω0・tとの位相差(位相遅れ)、θ10は磁場B10の搬送波とω0・tとの位相差、mpは位相変調指数である。以下、磁束密度B9を磁場B9とし、磁束密度B10を磁場B10とする。
被測定流体の流速が0の場合、磁場Bdの変化による渦電流Iは、図13に示すような向きとなる。したがって、電極軸EAX1と測定管軸PAXとを含む平面内において磁場Bdの変化によって発生する電極2a,2b間の、流速と無関係な起電力E1と、電極軸EAX2と測定管軸PAXとを含む平面内において磁場Bdの変化によって発生する電極2c,2d間の、流速と無関係な起電力E2とは、図13に示すように互いに逆向きとなる。
被測定流体の流速がV(V≠0)の場合、被測定流体の流速ベクトルvと磁場Bdによる渦電流Ivは、図14に示すような向きとなる。したがって、流速ベクトルvと磁場Bdによって発生する電極2a,2bの起電力Ev1と、流速ベクトルvと磁場Bdによって発生する電極2c,2d間の起電力Ev2とは、同じ向きとなる。
図13、図14で説明した電極間起電力の向きを考慮すると、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2a,2b間の第1の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E91は、式(155)と同様の次式で表される。
E91=J0(mp)・rk・ω0・b9・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
+J0(mp)・rkv・b9・exp{j・(θ9+θ01)}
・・・(231)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2a,2b間の第1の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E91pは、式(156)と同様の次式で表される。
E91p=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b9
・exp{j・(π+θ9+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b9・exp{j・(π/2+θ9+θ01)}
・・・(232)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2a,2b間の第1の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E91mは、式(157)と同様の次式で表される。
E91m=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b9
・exp{j・(π+θ9+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b9・exp{j・(π/2+θ9+θ01)}
・・・(233)
また、磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2c,2d間の第2の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E92は、式(155)と同様の次式で表される。
E92=J0(mp)・rk・ω0・b10
・exp{j・(−π/2+θ10+θ00)}
+J0(mp)・rkv・b10・exp{j・(θ10+θ01)}
・・・(234)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2c,2d間の第2の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E92pは、式(156)と同様の次式で表される。
E92p=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b10
・exp{j・(θ10+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b10・exp{j・(π/2+θ10+θ01)}
・・・(235)
磁場の時間変化に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力を複素ベクトルに変換した起電力とを合わせた、電極2c,2d間の第2の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E92mは、式(157)と同様の次式で表される。
E92m=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b10
・exp{j・(θ10+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b10・exp{j・(π/2+θ10+θ01)}
・・・(236)
式(231)、式(234)より、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分E91と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分E92との和Es90は次式のようになる。
Es90=E91+E92
=J0(mp)・rk・ω0・b9・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
+J0(mp)・rkv・b9・exp{j・(θ9+θ01)}
+J0(mp)・rk・ω0・b10・exp{j・(−π/2+θ10+θ00)}
+J0(mp)・rkv・b10・exp{j・(θ10+θ01)}
・・・(237)
式(232)、式(235)より、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの差Ed9pは次式のようになる。
Ed9p=E91p−E92p
=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b9
・exp{j・(π+θ9+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b9・exp{j・(π/2+θ9+θ01)}
−J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b10・exp{j・(θ10+θ00)}
−J1(mp)・rkv・b10・exp{j・(π/2+θ10+θ01)}
・・・(238)
式(233)、式(236)より、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの差Ed9mは次式のようになる。
Ed9m=E91m−E92m
=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b9
・exp{j・(π+θ9+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b9・exp{j・(π/2+θ9+θ01)}
−J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b10・exp{j・(θ10+θ00)}
−J1(mp)・rkv・b10・exp{j・(π/2+θ10+θ01)}
・・・(239)
ここで、式(237)、式(238)、式(239)にθ01=θ00+Δθ01、θ10=θ9+Δθ10および式(18)を代入したときの起電力和Es90、起電力差Ed9p、Ed9mは、それぞれ式(240)、式(241)、式(242)で表される。
Es90=J0(mp)・rk・exp{j・(θ9+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)
・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}] ・・・(240)
Ed9p=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}] ・・・(241)
Ed9m=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・[(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}] ・・・(242)
ここで、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとすると(d3≒d4)、b9≒b10、Δθ10≒0になる。この場合、式(240)、式(241)、式(242)は以下のようになる。
Es90≒J0(mp)・rk・exp{j・(θ9+θ00)}
・{2・b9・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(243)
Ed9p≒J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・{2・b9・(ω0+ω1)・exp(j・π/2)} ・・(244)
Ed9m≒J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・{2・b9・(ω0−ω1)・exp(j・π/2)} ・・(245)
すなわち、起電力和Es90はほぼv×B成分の起電力のみとなり、起電力差Ed9p,Ed9mはほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、∂A/∂t成分の抽出やv×B成分の正規化演算の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第6の実施の形態の技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb9≠b10,Δθ10≠0として進める。
起電力差Ed9pとEd9mとの差をとり、求めた差分を(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した結果をEdA9とすれば、式(246)が成立する。
EdA9=(Ed9p−Ed9m)・(ω0/ω1)・J0(mp)
/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}
=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
−γ・V・exp(j・Δθ01)・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}]
・(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}
・exp{j・(−π/2)}
=J0(mp)・rk・exp{j・(θ9+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
・・・(246)
差分EdA9は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この差分EdA9を用いて、v×Bにより発生する成分のみからなる起電力和Es90の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の起電力差Ed9p,Ed9mを複素ベクトル表現した図を図23(a)に示し、起電力和Es90および差分EdA9を複素ベクトル表現した図を図23(b)に示す。なお、差分EdA9は、正確には起電力差Ed9pとEd9mとの差分を(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍したものであるが、(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(240)の起電力和Es90を式(246)の差分EdA9で正規化し、ω0倍した結果をEn9とすれば、正規化起電力En9は式(247)のようになる。
En9=(Es90/EdA9)・ω0
=J0(mp)・rk・exp{j・(θ9+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}]
/[J0(mp)・rk・exp{j・(θ9+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}]・ω0
=ω0・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
/{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(247)
式(247)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Es90を差分EdA9で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(247)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(247)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、再び励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとして、b9≒b10、Δθ10≒0とすると、流速の大きさVは式(247)より次式のように表される。
V=|En9/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En9|/γ ・・・(248)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表9のとおりである。本実施の形態は、表9から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表9]
基本原理と第9の実施の形態の対応関係
┌────────────┬────────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第9の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼────────────────────────┤
│rω │ 1 │
├────────────┼────────────────────────┤
│rv │ γ │
├────────────┼────────────────────────┤
│θω │ π/2 │
├────────────┼────────────────────────┤
│θv │ Δθ01 │
├────────────┼────────────────────────┤
│C │J0(mp)・rk・exp{j(θ9+θ00)} │
│ │ ・{b9+b10・exp(j・Δθ10)} │
└────────────┴────────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。前述のとおり、本実施の形態の電磁流量計の構成は第4の実施の形態と同様であるので、図16の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、電源部4bと、第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて第1の合成起電力の第1の角周波数成分と第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力差、および第1の合成起電力の第2の角周波数成分と第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5bと、第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6bとを有している。
電源部4bは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、位相変調指数mp又は周波数変調指数mfは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5bと流量出力部6bの処理の流れは第4の実施の形態と同様であるので、図17の符号を用いて信号変換部5bと流量出力部6bの動作を説明する。まず、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分E91と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分E92との和Es90の振幅rs90を求めると共に、実軸と起電力和Es90との位相差φs90を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの差Ed9pの振幅rd9pを求めると共に、実軸と起電力差Ed9pとの位相差φd9pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの差Ed9mの振幅rd9mを求めると共に、実軸と起電力差Ed9mとの位相差φd9mを位相検波器により求める(図17ステップ301)。電極間起電力E91,E92,E91p,E92p,E91m,E92mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
次に、信号変換部5bは、起電力和Es90の実軸成分Es90xと虚軸成分Es90y、起電力差Ed9pの実軸成分Ed9pxと虚軸成分Ed9py、および起電力差Ed9mの実軸成分Ed9mxと虚軸成分Ed9myを次式のように算出する(ステップ302)。
Es90x=rs90・cos(φs90) ・・・(249)
Es90y=rs90・sin(φs90) ・・・(250)
Ed9px=rd9p・cos(φd9p) ・・・(251)
Ed9py=rd9p・sin(φd9p) ・・・(252)
Ed9mx=rd9m・cos(φd9m) ・・・(253)
Ed9my=rd9m・sin(φd9m) ・・・(254)
式(249)〜式(254)の算出後、信号変換部5bは、起電力差Ed9pとEd9mとの差分EdA9の大きさと角度を求める(ステップ303)。このステップ303の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(246)の算出に相当する処理である。信号変換部5bは、起電力差Ed9pとEd9mとの差分EdA9の大きさ|EdA9|を次式のように算出する。
|EdA9|={(Ed9px−Ed9mx)2+(Ed9py−Ed9my)21/2
・(ω0/ω1)・J0(mp)/{2・J1(mp)} ・・(255)
そして、信号変換部5bは、実軸に対する差分EdA9の角度∠EdA9を次式のように算出する。
∠EdA9=tan-1{(Ed9py−Ed9my)/(Ed9px−Ed9mx)} −π/2 ・・・(256)
以上で、ステップ303の処理が終了する。
次に、流量出力部6bは、起電力和Es90を差分EdA9で正規化した正規化起電力En9の大きさと角度を求める(ステップ304)。このステップ304の処理は、式(247)の算出に相当する処理である。流量出力部6bは、正規化起電力En9の大きさ|En9|を次式のように算出する。
|En9|=(rs90/|EdA9|)・ω0 ・・・(257)
また、流量出力部6bは、実軸に対する正規化起電力En9の角度∠En9を次式のように算出する。
∠En9=φs90−∠EdA9 ・・・(258)
これで、ステップ304の処理が終了する。
続いて、流量出力部6bは、被測定流体の流速の大きさVを式(248)により算出する(ステップ305)。なお、流速(流量)を求めるステップ305で∠En9を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5bと流量出力部6bは、以上のようなステップ301〜305の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ306においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの差Ed9p、および第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの差Ed9mを求め、起電力差Ed9pとEd9mとから差分EdA9(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この差分EdA9を用いて、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分E91と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分E92との和Es90中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
また、本実施の形態では、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から第1の電極2a,2bまでの距離d3と平面PLN3から第2の電極2c,2dまでの距離d4とを調整することにより、起電力和Es90がほぼv×B成分の起電力のみとなり、起電力差Ed9p,Ed9mがほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第6、第7の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
なお、本実施の形態では、起電力差Ed9pとEd9mとから差分EdA9を取り出し、この差分EdA9を用いて起電力和Es90を正規化する例について示したが、これに限るものではなく、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの起電力和、および第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分を用いて、第1の電極間起電力の角周波数ω0の成分E91と第2の電極間起電力の角周波数ω0の成分E92との起電力差を正規化するようにしてもよい。
[第10の実施の形態]
次に、本発明の第10の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第1の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものであり、第9の実施の形態とは別の例を示すものである。本実施の形態の電磁流量計の構成は第9の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図12の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
式(232)、式(235)より、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの和Es10pは次式のようになる。
Es10p=E91p+E92p
=J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b9
・exp{j・(π+θ9+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b9・exp{j・(π/2+θ9+θ01)}
+J1(mp)・rk・(ω0+ω1)・b10・exp{j・(θ10+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b10・exp{j・(π/2+θ10+θ01)}
・・・(259)
式(233)、式(236)より、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの和Es10mは次式のようになる。
Es10m=E91m+E92m
=J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b9
・exp{j・(π+θ9+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b9・exp{j・(π/2+θ9+θ01)}
+J1(mp)・rk・(ω0−ω1)・b10・exp{j・(θ10+θ00)}
+J1(mp)・rkv・b10・exp{j・(π/2+θ10+θ01)}
・・・(260)
ここで、式(259)、式(260)にθ01=θ00+Δθ01、θ10=θ9+Δθ10および式(18)を代入したときの起電力和Es10p,Es10mは、それぞれ式(261)、式(262)で表される。
Es10p=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}] ・・・(261)
Es10m=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・[(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}] ・・・(262)
ここで、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとすると(d3≒d4)、b9≒b10、Δθ10≒0になる。この場合、式(261)、式(262)は以下のようになる。
Es10p≒J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・{2・b9・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(263)
Es10m≒J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・{2・b9・γ・V・exp(j・Δθ01)} ・・・(264)
すなわち、起電力和Es10p,Es10mはほぼv×B成分の起電力のみとなり、第9の実施の形態で示したとおり、起電力差Ed9p,Ed9mはほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるので、∂A/∂t成分の抽出やv×B成分の正規化演算の際の演算誤差を小さくすることができる。この点が、本実施の形態と第6、第7の実施の形態との技術的な意義における相違点である。ただし、以後の理論展開もb9≠b10,Δθ10≠0として進める。
起電力差Ed9pとEd9mとの差をとり、求めた差分を(ω0+ω1)/(2・ω1)倍した結果をEdA10とすれば、式(265)が成立する。
EdA10=(Ed9p−Ed9m)・(ω0+ω1)/(2・ω1)
=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
−(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
−γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}]・(ω0+ω1)/(2・ω1)
=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)} ・・・(265)
差分EdA10は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この差分EdA10を用いて、v×Bにより発生する成分のみからなる起電力和Es10pの流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の起電力差Ed9p,Ed9mを複素ベクトル表現した図を図24(a)に示し、起電力和Es10pおよび差分EdA10を複素ベクトル表現した図を図24(b)に示す。なお、差分EdA10は、正確には起電力差Ed9pとEd9mとの差分を(ω0+ω1)/(2・ω1)倍したものであるが、(ω0+ω1)/(2・ω1)倍した理由は、式の展開を容易にするためである。
式(261)の起電力和Es10pを式(265)の差分EdA10で正規化し、(ω0+ω1)倍した結果をEn10とすれば、正規化起電力En10は式(266)のようになる。
En10=(Es10p/EdA10)・(ω0+ω1)
=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}]
/[(J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ9+θ00)}
・(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}]・(ω0+ω1)
=(ω0+ω1)・{b9−b10・exp(j・Δθ10)}
/{b9+b10・exp(j・Δθ10)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(266)
式(266)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Es10pを差分EdA10で正規化した結果を(ω0+ω1)倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(266)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(266)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、再び励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から電極2a,2b間を結ぶ電極軸EAX1までの距離d3と平面PLN3から電極2c,2d間を結ぶ電極軸EAX2までの距離d4とが略等しいとして、b9≒b10、Δθ10≒0とすると、流速の大きさVは式(266)より次式のように表される。
V=|En10/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En10|/γ ・・・(267)
本実施の形態の場合、角周波数ω0の搬送波成分を用いる必要がないので、設定した位相変調指数mp又は周波数変調指数mfがたとえ変動した場合でも、スパン補正した流量出力が可能になる。
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表10のとおりである。本実施の形態は、表10から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表10]
基本原理と第10の実施の形態の対応関係
┌────────────┬───────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第10の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼───────────────────────┤
│rω │ 1 │
├────────────┼───────────────────────┤
│rv │ γ │
├────────────┼───────────────────────┤
│θω │ π/2 │
├────────────┼───────────────────────┤
│θv │ Δθ01 │
├────────────┼───────────────────────┤
│C │ J1(mp)・rk │
│ │ ・exp{j・(π/2+θ9+θ00)} │
│ │ ・{b9+b10・exp(j・Δθ10)}│
└────────────┴───────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第4の実施の形態と同様であるので、図16の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、第1の電極2a,2bと、第2の電極2c,2dと、励磁コイル3と、電源部4bと、第1の電極2a,2bで検出される第1の合成起電力と第2の電極2c,2dで検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて第1の合成起電力の第1の角周波数成分と第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力差、および第1の合成起電力の第2の角周波数成分と第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5bと、第1の合成起電力の第1の角周波数成分と第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力和の中のv×B成分、又は第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6bとを有している。
電源部4bは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を励磁コイル3に供給する。このとき、位相変調指数mp又は周波数変調指数mfは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5bと流量出力部6bの処理の流れは第5の実施の形態と同様であるので、図19の符号を用いて信号変換部5bと流量出力部6bの動作を説明する。まず、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの和Es10pの振幅rs10pを求めると共に、実軸と起電力和Es10pとの位相差φs10pを図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの差Ed9pの振幅rd9pを求めると共に、実軸と起電力差Ed9pとの位相差φd9pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5bは、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの差Ed9mの振幅rd9mを求めると共に、実軸と起電力差Ed9mとの位相差φd9mを位相検波器により求める(図19ステップ401)。電極間起電力E91p,E92p,E91m,E92mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
次に、信号変換部5bは、起電力和Es10pの実軸成分Es10pxと虚軸成分Es10pyを次式のように算出し、また起電力差Ed9pの実軸成分Ed9pxと虚軸成分Ed9pyをそれぞれ式(251)、式(252)のように算出し、起電力差Ed9mの実軸成分Ed9mxと虚軸成分Ed9myをそれぞれ式(253)、式(254)のように算出する(ステップ402)。
Es10px=rs10p・cos(φs10p) ・・・(268)
Es10py=rs10p・sin(φs10p) ・・・(269)
式(251)〜式(254)、式(268)、式(269)の算出後、信号変換部5bは、起電力差Ed9pとEd9mとの差分EdA10の大きさと角度を求める(ステップ403)。このステップ403の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(265)の算出に相当する処理である。信号変換部5bは、起電力差Ed9pとEd9mとの差分EdA10の大きさ|EdA10|を次式のように算出する。
|EdA10|={(Ed9px−Ed9mx)2
+(Ed9py−Ed9my)21/2・(ω0+ω1)/(2・ω1) ・・・(270)
そして、信号変換部5bは、実軸に対する差分EdA10の角度∠EdA10を次式のように算出する。
∠EdA10=tan-1{(Ed9py−Ed9my)
/(Ed9px−Ed9mx)} ・・・(271)
以上で、ステップ403の処理が終了する。
次に、流量出力部6bは、起電力和Es10pを差分EdA10で正規化した正規化起電力En10の大きさと角度を求める(ステップ404)。このステップ404の処理は、式(266)の算出に相当する処理である。流量出力部6bは、正規化起電力En10の大きさ|En10|を次式のように算出する。
|En10|=(rs10p/|EdA10|)・(ω0+ω1) ・・・(272)
また、流量出力部6bは、実軸に対する正規化起電力En10の角度∠En10を次式のように算出する。
∠En10=φs10p−∠EdA10 ・・・(273)
これで、ステップ404の処理が終了する。
続いて、流量出力部6bは、被測定流体の流速の大きさVを式(267)により算出する(ステップ405)。なお、流速(流量)を求めるステップ405で∠En10を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5bと流量出力部6bは、以上のようなステップ401〜405の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ406においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの差Ed9p、および第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの差Ed9mを求め、起電力差Ed9pとEd9mとから差分EdA10(∂A/∂t成分のベクトルVa)を抽出し、この差分EdA10を用いて、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの和Es10p中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。なお、起電力和Es10pの代わりに、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの和Es10mを正規化するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、励磁コイル3の軸を含む平面PLN3から第1の電極2a,2bまでの距離d3と平面PLN3から第2の電極2c,2dまでの距離d4とを調整することにより、起電力和Es10p,Es10mがほぼv×B成分の起電力のみとなり、起電力差Ed9p,Ed9mがほぼ∂A/∂t成分の起電力のみとなるようにすることができる。これにより、本実施の形態では、v×B成分および∂A/∂t成分をより効果的に抽出することが可能であり、第6、第7の実施の形態に比べて演算誤差を小さくすることが可能である。
なお、本実施の形態では、起電力差Ed9pとEd9mとから差分EdA10を取り出し、この差分EdA10を用いて起電力和Es10pを正規化する例について示したが、これに限るものではなく、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの起電力和、および第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を∂A/∂t成分として抽出し、この∂A/∂t成分を用いて、第1の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E91pと第2の電極間起電力の角周波数(ω0+ω1)の成分E92pとの差Ed9pを正規化するようにしてもよい。起電力差Ed9pの代わりに、第1の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E91mと第2の電極間起電力の角周波数(ω0−ω1)の成分E92mとの差Ed9mを正規化するようにしてもよい。
[第11の実施の形態]
次に、本発明の第11の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態の電磁流量計に対して励磁コイルを1個追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第2の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。つまり、本実施の形態の電磁流量計の信号処理系を除く構成は第3の実施の形態と同様であるので、図7の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。本実施の形態においても、第2の励磁コイルは、電極を含む平面を挟んで第1の励磁コイルと異なる側に配設する必要がある。
第3の実施の形態において、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E30は式(79)に示したとおりである。そして、ω0・tに対する磁場B2の搬送波の位相遅れθ2とω0・tに対する磁場B3の搬送波の位相遅れθ3との関係がθ3=θ2+π+Δθ3で、虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係がθ01=θ00+Δθ01であるときの電極間起電力E30をE11π0とすると、式(18)を式(79)に代入したときの電極間起電力E11π0は次式のようになる。
E11π0=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}] ・・・(274)
第3の実施の形態において、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pは式(80)に示したとおりである。そして、θ3=θ2+π+Δθ3で、かつθ01=θ00+Δθ01であるときの電極間起電力E3pをE11pとすると、式(18)を式(80)に代入したときの電極間起電力E11pは次式のようになる。
E11p=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}] ・・・(275)
第3の実施の形態において、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mは式(81)に示したとおりである。そして、θ3=θ2+π+Δθ3で、かつθ01=θ00+Δθ01であるときの電極間起電力E3mをE11mとすると、式(18)を式(81)に代入したときの電極間起電力E11mは次式のようになる。
E11m=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}] ・・・(276)
電極間起電力E11pとE11mとの和をEs11とすれば、起電力和Es11は次式で表される。
Es11=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]
=ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}] ・・・(277)
ここで初期状態(校正時の状態)において、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B2と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B3とを等しく設定しておくと、その後の磁場B2とB3との差は小さくなり、次式の条件が成り立つ。
|b2+b3・exp(j・Δθ3)|≫|b2−b3・exp(j・Δθ3)|
・・・(278)
式(278)において|b2+b3・exp(j・Δθ3)|は複素ベクトルb2+b3・exp(j・Δθ3)の大きさを表し、|b2−b3・exp(j・Δθ3)|は複素ベクトルb2−b3・exp(j・Δθ3)の大きさを表す。
また、通常ω0>γ・Vが成り立つことから、式(278)の条件を考慮すると、式(274)において次式の条件が成り立つ。
|ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}|
≫ |γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}|
・・・(279)
式(279)において、|ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}|は複素ベクトルω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}の大きさを表し、|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}|は複素ベクトルγ・V・exp(j・Δθ01)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}の大きさを表す。
式(279)の条件を用いてE11π0を近似したものをma倍した起電力EdA11は、次式で表される。
EdA11≒E11π0・ma ・・・(280)
EdA11=ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
・・・(281)
電極間起電力EdA11は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この電極間起電力EdA11を用いて起電力和Es11(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E11π0,E11p,E11mを複素ベクトル表現した図を図25(a)に示し、起電力和Es11、電極間起電力EdA11を複素ベクトル表現した図を図25(b)に示す。
式(277)の起電力和Es11を式(281)の電極間起電力EdA11で正規化し、ω0倍した結果をEn11とすれば、正規化起電力En11は式(282)のようになる。
En11=(Es11/EdA11)・ω0
=ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]
/[ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]・ω0
=ω0・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
/{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(282)
式(282)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Es11を電極間起電力EdA11で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(282)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(282)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとして、b2≒b3、Δθ3≒0とすると、流速の大きさVは式(282)より次式のように表される。
V=|En11/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En11|/γ ・・・(283)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表11のとおりである。本実施の形態は、表11から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表11]
基本原理と第11の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第11の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ C │ ma・rk・exp{j(θ2+θ00)}│
│ │ ・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第3の実施の形態と同様であるので、図11の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、電源部4aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分の振幅と位相を求めることにより∂A/∂t成分を抽出する信号変換部5aと、電極2a,2bで検出される合成起電力の角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分、又は角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分のうちいずれか1つの角周波数成分の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6aとを有している。
電源部4aは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、第1の励磁電流の搬送波に対して同一角周波数で位相差が略πの搬送波を第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する。このとき、振幅変調指数maは任意の値とする。
図26は本実施の形態の信号変換部5aと流量出力部6aの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E11π0の振幅r11π0を求めると共に、実軸と電極間起電力E11π0との位相差φ11π0を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E11pの振幅r11pを求めると共に、実軸と電極間起電力E11pとの位相差φ11pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E11mの振幅r11mを求めると共に、実軸と電極間起電力E11mとの位相差φ11mを位相検波器により求める(図26ステップ501)。電極間起電力E11π0,E11p,E11mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
次に、信号変換部5aは、電極間起電力E11π0の実軸成分E11π0xと虚軸成分E11π0y、電極間起電力E11pの実軸成分E11pxと虚軸成分E11py、および電極間起電力E11mの実軸成分E11mxと虚軸成分E11myを次式のように算出する(ステップ502)。
E11π0x=r11π0・cos(φ11π0) ・・・(284)
E11π0y=r11π0・sin(φ11π0) ・・・(285)
E11px=r11p・cos(φ11p) ・・・(286)
E11py=r11p・sin(φ11p) ・・・(287)
E11mx=r11m・cos(φ11m) ・・・(288)
E11my=r11m・sin(φ11m) ・・・(289)
式(284)〜式(289)の算出後、信号変換部5aは、電極間起電力E11pとE11mとの起電力和Es11の大きさと角度を求める(ステップ503)。信号変換部5aは、起電力和Es11の大きさ|Es11|を次式のように算出する。
|Es11|={(E11px+E11mx)2+(E11py+E11my)21/2
・・・(290)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する起電力和Es11の角度∠Es11を次式のように算出する。
∠Es11=tan-1{(E11py+E11my)/(E11px+E11mx)}
・・・(291)
以上で、ステップ503の処理が終了する。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E11π0を近似した起電力EdA11の大きさと角度を求める(ステップ504)。このステップ504の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(281)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、電極間起電力E11π0を近似した起電力EdA11の大きさ|EdA11|を次式のように算出する。
|EdA11|=(E11π0x2+E11π0y21/2 ・・・(292)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する電極間起電力EdA11の角度∠EdA11を次式のように算出する。
∠EdA11=tan-1(E11π0y/E11π0x) ・・・(293)
以上で、ステップ504の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、起電力和Es11を電極間起電力EdA11で正規化した正規化起電力En11の大きさと角度を求める(ステップ505)。このステップ505の処理は、式(282)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力En11の大きさ|En11|を次式のように算出する。
|En11|=(|Es11|/|EdA11|)・ω0 ・・・(294)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力En11の角度∠En11を次式のように算出する。
∠En11=∠Es11−∠EdA11 ・・・(295)
これで、ステップ505の処理が終了する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを式(283)により算出する(ステップ506)。なお、流速(流量)を求めるステップ506で∠En11を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5aと流量出力部6aは、以上のようなステップ501〜506の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ507においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B2の搬送波と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B3の搬送波との位相差が所定値Δθ3+π(Δθ3は略零)であるときの電極間起電力E11π0が近似的に∂A/∂t成分として抽出できることに着眼し、この∂A/∂t成分を用いて起電力和Es11(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
なお、起電力和Es11の代わりに、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E11pを正規化するようにしてもよいし、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E11mを正規化するようにしてもよい。
[第12の実施の形態]
次に、本発明の第12の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第2の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものであり、第11の実施の形態とは別の例を示すものである。第11の実施の形態では、搬送波の角周波数成分ω0における位相差を利用して∂A/∂t成分を抽出したが、本実施の形態では、側波帯の角周波数成分(ω0±ω1)における位相差を利用して∂A/∂t成分を抽出する例について説明する。本実施の形態の電磁流量計の信号処理系を除く構成は第3の実施の形態と同様であるので、図7の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
ω0・tに対する磁場B2の搬送波の位相遅れθ2とω0・tに対する磁場B3の搬送波の位相遅れθ3との関係がθ3=θ2+Δθ3で、虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係がθ01=θ00+Δθ01であるとき、電極2aと2b間の起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E30は式(82)で表され、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pは式(83)で表され、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mは式(84)で表される。
電極間起電力E3pとE3mとの和をEs12とすると、起電力和Es12は次式で表される。
Es12=(1/2)・ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}]
=ma・rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}] ・・・(296)
ここで、式(278)、式(279)の条件を用いて起電力和Es12を近似したものを(1/ma)倍した電極間起電力EdA12は、次式で表される。
EdA12≒Es12・(1/ma) ・・・(297)
EdA12=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
・・・(298)
電極間起電力EdA12は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この電極間起電力EdA12を用いて電極間起電力E30(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E3p,E3m、起電力和Es12を複素ベクトル表現した図を図27(a)に示し、電極間起電力E30,EdA12を複素ベクトル表現した図を図27(b)に示す。
式(82)の電極間起電力E30を式(298)の電極間起電力EdA12で正規化し、ω0倍した結果をEn12とすれば、正規化起電力En12は式(299)のようになる。
En12=(E30/EdA12)・ω0
=rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]
/[rk・exp{j・(θ2+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}]・ω0 =ω0・{b2−b3・exp(j・Δθ3)}
/{b2+b3・exp(j・Δθ3)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(299)
式(299)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、電極間起電力E30を電極間起電力EdA12で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(299)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(299)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとして、b2≒b3、Δθ3≒0とすると、流速の大きさVは式(299)より次式のように表される。
V=|En12/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En12|/γ ・・・(300)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表12のとおりである。本実施の形態は、表12から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表12]
基本原理と第12の実施の形態の対応関係
┌────────────┬─────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第12の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼─────────────────────┤
│ C │ rk・exp{j(θ2+θ00)} │
│ │ ・{b2+b3・exp(j・Δθ3)}│
└────────────┴─────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第3の実施の形態と同様であるので、図11の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、電源部4aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力和を前記∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6aとを有している。
電源部4aは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、角周波数ω0の正弦波搬送波を第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の正弦波変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する。このとき、振幅変調指数maは任意の値とする。
図28は本実施の形態の信号変換部5aと流量出力部6aの動作を示すフローチャートである。まず、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E30の振幅r30を求めると共に、実軸と電極間起電力E30との位相差φ30を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pの振幅r3pを求めると共に、実軸と電極間起電力E3pとの位相差φ3pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mの振幅r3mを求めると共に、実軸と電極間起電力E3mとの位相差φ3mを位相検波器により求める(図28ステップ601)。電極間起電力E30,E3p,E3mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E30の実軸成分E30xと虚軸成分E30y、電極間起電力E3pの実軸成分E3pxと虚軸成分E3py、および電極間起電力E3mの実軸成分E3mxと虚軸成分E3myを次式のように算出する(ステップ602)。
E30x=r30・cos(φ30) ・・・(301)
E30y=r30・sin(φ30) ・・・(302)
E3px=r3p・cos(φ3p) ・・・(303)
E3py=r3p・sin(φ3p) ・・・(304)
E3mx=r3m・cos(φ3m) ・・・(305)
E3my=r3m・sin(φ3m) ・・・(306)
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E3pとE3mとの起電力和Es12を近似した起電力EdA12の大きさと角度を求める(ステップ603)。このステップ603の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(298)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、起電力和Es12を近似した起電力EdA12の大きさ|EdA12|を次式のように算出する。
|EdA12|={(E3px+E3mx)2+(E3py+E3my)21/2
・(1/ma) ・・・(307)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する電極間起電力EdA12の角度∠EdA12を次式のように算出する。
∠EdA12=tan-1{(E3py+E3my)/(E3px+E3mx)}
・・・(308)
以上で、ステップ603の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、電極間起電力E30を電極間起電力EdA12で正規化した正規化起電力En12の大きさと角度を求める(ステップ604)。このステップ604の処理は、式(299)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力En12の大きさ|En12|を次式のように算出する。
|En12|=(r30/|EdA12|)・ω0 ・・・(309)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力En12の角度∠En12を次式のように算出する。
∠En12=φ30−∠EdA12 ・・・(310)
これで、ステップ604の処理が終了する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを式(300)により算出する(ステップ605)。なお、流速(流量)を求めるステップ605で∠En12を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5aと流量出力部6aは、以上のようなステップ601〜605の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ606においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B2の変調波と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B3の変調波との位相差がπであるときの起電力和Es12が近似的に∂A/∂t成分として抽出できることに着眼し、この∂A/∂t成分を用いて電極間起電力E30(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
なお、起電力和Es12の代わりに、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E3pを近似的に∂A/∂t成分として抽出してもよいし、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E3mを近似的に∂A/∂t成分として抽出してもよい。
[第13の実施の形態]
次に、本発明の第13の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第6の実施の形態の電磁流量計に対して励磁コイルを1個追加したものであり、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第2の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものである。つまり、本実施の形態の電磁流量計の構成は第8の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図11の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
第8の実施の形態において、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E80は式(207)に示したとおりである。そして、ω0・tに対する磁場B7の搬送波の位相遅れθ7とω0・tに対する磁場B8の搬送波の位相遅れθ8との関係がθ8=θ7+π+Δθ8で、虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係がθ01=θ00+Δθ01であるときの電極間起電力E80をE13π0とすると、式(18)を式(207)に代入したときの電極間起電力E13π0は次式のようになる。
E13π0=J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}] ・・・(311)
第8の実施の形態において、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E8pは式(208)に示したとおりである。そして、θ8=θ7+π+Δθ8で、かつθ01=θ00+Δθ01であるときの電極間起電力E8pをE13pとすると、式(18)を式(208)に代入したときの電極間起電力E13pは次式のようになる。
E13p=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}] ・・・(312)
第8の実施の形態において、磁場の時間変化に起因する電極間起電力と被測定流体の流速に起因する電極間起電力とを合わせた全体の電極間起電力のうち、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E8mは式(209)に示したとおりである。そして、θ8=θ7+π+Δθ8で、かつθ01=θ00+Δθ01であるときの電極間起電力E8mをE13mとすると、式(18)を式(209)に代入したときの電極間起電力E13mは次式のようになる。
E13m=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}] ・・・(313)
電極間起電力E13pとE13mとの和をEs13とすれば、起電力和Es13は次式で表される。
Es13=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}]
=2・J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}] ・・・(314)
ここで初期状態(校正時の状態)において、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B7と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B8とを等しく設定しておくと、その後の磁場B7とB8との差は小さくなり、次式の条件が成り立つ。
|b7+b8・exp(j・Δθ8)|≫|b7−b8・exp(j・Δθ8)|
・・・(315)
式(315)において、|b7+b8・exp(j・Δθ8)|は複素ベクトルb7+b8・exp(j・Δθ8)の大きさを表し、|b7−b8・exp(j・Δθ8)|は複素ベクトルb7−b8・exp(j・Δθ8)の大きさを表す。
また、通常ω0>γ・Vが成り立つことから、式(315)の条件を考慮すると、式(311)において次式の条件が成り立つ。
|ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}|
≫ |γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}|
・・・(316)
式(505)において、|ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}|は複素ベクトルω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}の大きさを表し、|γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}|は複素ベクトルγ・V・exp(j・Δθ01)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}の大きさを表す。
式(316)の条件を用いて電極間起電力E13π0を近似したものを2・{J1(mp)/J0(mp)}・exp(j・π/2)倍した起電力EdA13は、次式で表される。
EdA13≒E13π0・2・{J1(mp)/J0(mp)}
・exp(j・π/2) ・・・(317)
EdA13=2・J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
・・・(318)
電極間起電力EdA13は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この電極間起電力EdA13を用いて起電力和Es13(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E13π0,E13p,E13mを複素ベクトル表現した図を図29(a)に示し、起電力和Es13、電極間起電力EdA13を複素ベクトル表現した図を図29(b)に示す。
式(314)の起電力和Es13を式(318)の電極間起電力EdA13で正規化し、ω0倍した結果をEn13とすれば、正規化起電力En13は式(319)のようになる。
En13=(Es13/EdA13)・ω0
=2・J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}]
/[2・J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}]・ω0
=ω0・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
/{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(319)
式(319)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、起電力和Es13を電極間起電力EdA13で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(319)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(319)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとして、b7≒b8、Δθ8≒0とすると、流速の大きさVは式(319)より次式のように表される。
V=|En13/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En13|/γ ・・・(320)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表13のとおりである。本実施の形態は、表13から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表13]
基本原理と第13の実施の形態の対応関係
┌────────────┬──────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第13の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼──────────────────────┤
│rω │ 1 │
├────────────┼──────────────────────┤
│rv │ γ │
├────────────┼──────────────────────┤
│θω │ π/2 │
├────────────┼──────────────────────┤
│θv │ Δθ01 │
├────────────┼──────────────────────┤
│C │ 2・J1(mp)・rk │
│ │ ・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}│
│ │ ・{b7+b8・exp(j・Δθ8)} │
└────────────┴──────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第8の実施の形態と同様であるので、図11の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、電源部4aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分の振幅と位相を求めることにより∂A/∂t成分を抽出する信号変換部5aと、電極2a,2bで検出される合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分のうち異なる2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分、又は角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうちいずれか1つの角周波数成分の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6aとを有している。
電源部4aは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、第1の励磁電流の搬送波に対して同一角周波数で位相差が略πの正弦波搬送波を第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する。このとき、位相変調指数mp又は周波数変調指数mfは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5aと流量出力部6aの処理の流れは第11の実施の形態と同様であるので、図26の符号を用いて信号変換部5aと流量出力部6aの動作を説明する。まず、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E13π0の振幅r13π0を求めると共に、実軸と電極間起電力E13π0との位相差φ13π0を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E13pの振幅r13pを求めると共に、実軸と電極間起電力E13pとの位相差φ13pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E13mの振幅r13mを求めると共に、実軸と電極間起電力E13mとの位相差φ13mを位相検波器により求める(図26ステップ501)。電極間起電力E13π0,E13p,E13mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
次に、信号変換部5aは、電極間起電力E13π0の実軸成分E13π0xと虚軸成分E13π0y、電極間起電力E13pの実軸成分E13pxと虚軸成分E13py、および電極間起電力E13mの実軸成分E13mxと虚軸成分E13myを次式のように算出する(ステップ502)。
E13π0x=r13π0・cos(φ13π0) ・・・(321)
E13π0y=r13π0・sin(φ13π0) ・・・(322)
E13px=r13p・cos(φ13p) ・・・(323)
E13py=r13p・sin(φ13p) ・・・(324)
E13mx=r13m・cos(φ13m) ・・・(325)
E13my=r13m・sin(φ13m) ・・・(326)
式(321)〜式(326)の算出後、信号変換部5aは、電極間起電力E13pとE13mとの起電力和Es13の大きさと角度を求める(ステップ503)。信号変換部5aは、起電力和Es13の大きさ|Es13|を次式のように算出する。
|Es13|={(E13px+E13mx)2+(E13py+E13my)21/2
・・・(327)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する起電力和Es13の角度∠Es13を次式のように算出する。
∠Es13=tan-1{(E13py+E13my)/(E13px+E13mx)}
・・・(328)
以上で、ステップ503の処理が終了する。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E13π0を近似した起電力EdA13の大きさと角度を求める(ステップ504)。このステップ504の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(318)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、電極間起電力E13π0を近似した起電力EdA13の大きさ|EdA13|を次式のように算出する。
|EdA13|={E13π0x2+E13π0y21/2
・2・{J1(mp)/J0(mp)} ・・・(329)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する電極間起電力EdA13の角度∠EdA13を次式のように算出する。
∠EdA13=tan-1(E13π0y/E13π0x)+π/2 ・・(330)
以上で、ステップ504の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、起電力和Es13を電極間起電力EdA13で正規化した正規化起電力En13の大きさと角度を求める(ステップ505)。このステップ505の処理は、式(319)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力En13の大きさ|En13|を次式のように算出する。
|En13|=(|Es13|/|EdA13|)・ω0 ・・・(331)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力En13の角度∠En13を次式のように算出する。
∠En13=∠Es13−∠EdA13 ・・・(332)
これで、ステップ505の処理が終了する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを式(320)により算出する(ステップ506)。なお、流速(流量)を求めるステップ506で∠En13を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5aと流量出力部6aは、以上のようなステップ501〜506の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ507においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B7の搬送波と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B8の搬送波との位相差が所定値Δθ8+π(Δθ8は略零)であるときの電極間起電力E13π0が近似的に∂A/∂t成分として抽出できることに着眼し、この∂A/∂t成分を用いて起電力和Es13(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
なお、起電力和Es13の代わりに、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E13pを正規化するようにしてもよいし、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E13mを正規化するようにしてもよい。
[第14の実施の形態]
次に、本発明の第14の実施の形態について説明する。本実施の形態は、前記基本原理で説明した方法のうち、∂A/∂t成分のベクトルVaを抽出する方法として第2の抽出方法を用い、スパン補正の方法として第2の補正方法を用いるものであり、第13の実施の形態とは別の例を示すものである。第13の実施の形態では、搬送波の角周波数成分ω0における位相差を利用して∂A/∂t成分を抽出したが、本実施の形態では、側波帯の角周波数成分(ω0±ω1)における位相差を利用して∂A/∂t成分を抽出する例について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第8の実施の形態の電磁流量計と同様であるので、図11の符号を用いて本実施の形態の原理を説明する。
ω0・tに対する磁場B7の搬送波の位相遅れθ7とω0・tに対する磁場B8の搬送波の位相遅れθ8との関係がθ8=θ7+Δθ8で、虚軸に対するベクトルVaの角度θ00と実軸に対するベクトルVbの角度θ01との関係がθ01=θ00+Δθ01であるとき、電極2aと2b間の起電力のうち、角周波数ω0の成分の起電力E80は式(210)で表され、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E8pは式(211)で表され、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E8mは式(212)で表される。
電極間起電力E8pとE8mとの和をEs14とすると、起電力和Es14は次式で表される。
Es14=J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[(ω0+ω1)・exp(j・π/2)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+(ω0−ω1)・exp(j・π/2)
・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}]
=2・J1(mp)・rk・exp{j・(π/2+θ7+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)
・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}] ・・・(333)
ここで、式(315)、式(316)の条件を用いて起電力和Es14を近似したものをJ0(mp)/{2・J1(mp)}・exp{j・(−π/2)}倍した電極間起電力EdA14は次式で表される。
EdA14≒Es14・J0(mp)/{2・J1(mp)}
・exp{j・(−π/2)} ・・・(334)
EdA14=J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
・・・(335)
電極間起電力EdA14は、流速の大きさVに関係しないので、∂A/∂tにより発生する成分のみとなる。この電極間起電力EdA14を用いて電極間起電力E80(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数(スパン)を正規化する。以上の電極間起電力E8p,E8m、起電力和Es14を複素ベクトル表現した図を図30(a)に示し、電極間起電力E80,EdA14を複素ベクトル表現した図を図30(b)に示す。
式(210)の電極間起電力E80を式(335)の電極間起電力EdA14で正規化し、ω0倍した結果をEn14とすれば、正規化起電力En14は式(336)のようになる。
En14=(E80/EdA14)・ω0
=J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・[ω0・exp(j・π/2)・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
+γ・V・exp(j・Δθ01)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}]
/[J0(mp)・rk・exp{j・(θ7+θ00)}
・ω0・exp(j・π/2)・{b7+b8・exp(j・Δθ8)}]・ω0 =ω0・{b7−b8・exp(j・Δθ8)}
/{b7+b8・exp(j・Δθ8)}
+[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]・V ・・・(336)
式(336)の右辺第2項が、v×Bにより発生する成分を∂A/∂tにより発生する成分で正規化した項となる。なお、電極間起電力E80を電極間起電力EdA14で正規化した結果をω0倍した理由は、流速の大きさVに係る右辺第2項から角周波数ω0を消去するためである。式(336)によれば、流速の大きさVにかかる複素係数は、γの大きさ、−π/2+Δθ01の実軸からの角度をもつ。係数γおよび角度Δθ01は校正等により予め求めることができる定数であり、式(336)の右辺第2項は被測定流体の流速が変化しないかぎり一定となる。
したがって、∂A/∂t成分を用いてv×B成分の正規化を行うことにより、磁場のシフトや位相変化による誤差を自動的に補正するスパン補正を実現することができる。ここで、電極2a,2bを含む平面PLNから第1の励磁コイル3aまでの距離d1と平面PLNから第2の励磁コイル3bまでの距離d2とが略等しいとして、b7≒b8、Δθ8≒0とすると、流速の大きさVは式(336)より次式のように表される。
V=|En14/[γ・exp{j・(−π/2+Δθ01)}]|
=|En14|/γ ・・・(337)
なお、前記基本原理で用いた定数および変数と、本実施の形態の定数および変数との対応関係は以下の表14のとおりである。本実施の形態は、表14から明らかなように、前記基本原理を具体的に実現する1つの例である。
[表14]
基本原理と第14の実施の形態の対応関係
┌────────────┬────────────────────────┐
│基本原理の定数および変数│第14の実施の形態の定数および変数 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ rω │ 1 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ rv │ γ │
├────────────┼────────────────────────┤
│ θω │ π/2 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ θv │ Δθ01 │
├────────────┼────────────────────────┤
│ C │J0(mp)・rk・exp{j(θ7+θ00)} │
│ │ ・{b7+b8・exp(j・Δθ8)} │
└────────────┴────────────────────────┘
次に、本実施の形態の電磁流量計の具体的な構成とその動作について説明する。本実施の形態の電磁流量計の構成は第8の実施の形態と同様であるので、図11の符号を用いて説明する。本実施の形態の電磁流量計は、測定管1と、電極2a,2bと、第1、第2の励磁コイル3a,3bと、電源部4aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて2つの角周波数成分の起電力和を前記∂A/∂t成分として抽出する信号変換部5aと、電極2a,2bで検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から被測定流体の流量を算出する流量出力部6aとを有している。
電源部4aは、角周波数ω0の正弦波搬送波を角周波数ω1の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を第1の励磁コイル3aに供給すると同時に、角周波数ω0の正弦波搬送波を第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の正弦波変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を第2の励磁コイル3bに供給する。このとき、位相変調指数mp又は周波数変調指数mfは任意の値とする。
本実施の形態の信号変換部5aと流量出力部6aの処理の流れは第13の実施の形態と同様であるので、図28の符号を用いて信号変換部5aと流量出力部6aの動作を説明する。まず、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数ω0の成分の起電力E80の振幅r80を求めると共に、実軸と電極間起電力E80との位相差φ80を図示しない位相検波器により求める。また、信号変換部5aは、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E8pの振幅r8pを求めると共に、実軸と電極間起電力E8pとの位相差φ8pを位相検波器により求める。さらに、信号変換部5は、電極2aと2b間の起電力のうち角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E8mの振幅r8mを求めると共に、実軸と電極間起電力E8mとの位相差φ8mを位相検波器により求める(図28ステップ601)。電極間起電力E80,E8p,E8mは、バンドパスフィルタやコムフィルタによって周波数分離することができる。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E80の実軸成分E80xと虚軸成分E80yを式(219)、式(220)のように算出し、電極間起電力E8pの実軸成分E8pxと虚軸成分E8pyを式(221)、式(222)のように算出し、電極間起電力E8mの実軸成分E8mxと虚軸成分E8myを式(223)、式(224)のように算出する(ステップ602)。
続いて、信号変換部5aは、電極間起電力E8pとE8mとの起電力和Es14を近似した起電力EdA14の大きさと角度を求める(ステップ603)。このステップ603の処理は、∂A/∂t成分およびv×B成分を求めることに対応する処理であり、式(335)の算出に相当する処理である。信号変換部5aは、起電力和Es14を近似した起電力EdA14の大きさ|EdA14|を次式のように算出する。
|EdA14|={(E8px+E8mx)2+(E8py+E8my)21/2
・J0(mp)/{2・J1(mp)} ・・・(338)
そして、信号変換部5aは、実軸に対する電極間起電力EdA14の角度∠EdA14を次式のように算出する。
∠EdA14=tan-1{(E8py+E8my)/(E8px+E8mx)}
−π/2 ・・・(339)
以上で、ステップ603の処理が終了する。
次に、流量出力部6aは、電極間起電力E80を電極間起電力EdA14で正規化した正規化起電力En14の大きさと角度を求める(ステップ604)。このステップ604の処理は、式(336)の算出に相当する処理である。流量出力部6aは、正規化起電力En14の大きさ|En14|を次式のように算出する。
|En14|=(r80/|EdA14|)・ω0 ・・・(340)
また、流量出力部6aは、実軸に対する正規化起電力En14の角度∠En14を次式のように算出する。
∠En14=φ80−∠EdA14 ・・・(341)
これで、ステップ604の処理が終了する。
続いて、流量出力部6aは、被測定流体の流速の大きさVを式(337)により算出する(ステップ605)。なお、流速(流量)を求めるステップ605で∠En14を用いていないが、この角度は校正時に求められる角度と比較することにより、より高精度な測定を行う場合に使用し、スパン補正の本質的な動作と直接関係しないので、ここでの説明は省略する。
信号変換部5aと流量出力部6aは、以上のようなステップ601〜605の処理を例えばオペレータによって計測終了が指示されるまで(ステップ606においてYES)、一定周期毎に行う。
以上のように、本実施の形態では、第1の励磁コイル3aから発生する磁場B7の変調波と第2の励磁コイル3bから発生する磁場B8の変調波との位相差がπであるときの起電力和Es14が近似的に∂A/∂t成分として抽出できることに着眼し、この∂A/∂t成分を用いて電極間起電力E80(合成ベクトルVa+Vb)中のv×B成分の流速の大きさVにかかるスパンを正規化して、スパン変動要素を消去するようにしたので、正確なスパン補正を自動的に行うことができ、高精度の流量計測を行うことができる。
なお、起電力和Es14の代わりに、角周波数(ω0+ω1)の成分の起電力E8pを近似的に∂A/∂t成分として抽出してもよいし、角周波数(ω0−ω1)の成分の起電力E8mを近似的に∂A/∂t成分として抽出してもよい。
第1〜第14の実施の形態においては、同相成分のノイズを除去できることから、矩形波励磁方式を用いる必要がなく、励磁電流に正弦波を用いる正弦波励磁方式を使用できるので、高周波励時が可能となる。高周波励磁を用いることで、1/fノイズを除去することができ、流量変化に対する応答性を高めることができる。
また、第1〜第14の実施の形態で使用する電極2a,2b,2c,2dとしては、図31に示すように、測定管1の内壁から露出して被測定流体に接触する形式の電極でもよいし、図32に示すように、被測定流体と接触しない容量結合式の電極でもよい。容量結合式の場合、電極2a,2b,2c,2dは、測定管1の内壁に形成されるセラミックやテフロン(登録商標)等からなるライニング10によって被覆される。
また、第1〜第14の実施の形態では、第1の電極として1対の電極2a,2bを使用し、第2の電極として1対の電極2c,2dを使用しているが、これに限るものではなく、第1の電極と第2の電極をそれぞれ1個ずつにしてもよい。電極が1個だけの場合には、被測定流体の電位を接地電位にするための接地リングや接地電極が測定管1に設けられており、1個の電極に生じた起電力(接地電位との電位差)を信号変換部5,5a,5bで検出すればよい。電極軸は、1対の電極を使用する場合はこの1対の電極間を結ぶ直線である。一方、電極が1個だけの場合、この1個の実電極を含む平面PLN上において、測定管軸PAXを挟んで実電極と対向する位置に仮想の電極を配置したと仮定したとき、実電極と仮想の電極とを結ぶ直線が電極軸となる。
また、第6〜第10の実施の形態、第13の実施の形態、第14の実施の形態では、第1次ベッセル関数の展開においてn=0,1の場合のみを適用し、電極間起電力の角周波数ω0±ω1の成分を用いたが、これに限るものではなく、ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分を用いてもよい。ζが2以上の整数の場合には、第1次ベッセル関数の展開においてn=2以降を適用すれば、流速Vの算出が可能である。
本発明は、測定管内を流れる被測定流体の流量計測に適用することができる。
本発明の電磁流量計の基本原理を説明するための図である。 本発明の第1の実施の形態において電極間起電力と起電力差を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第1の実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態において電極間起電力と起電力和と起電力差を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第2の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。 本発明の第3の実施の形態において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第3の実施の形態において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第3の実施の形態において電極間起電力と起電力差を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第3の実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。 本発明の第4の実施の形態において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第4の実施の形態において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 本発明の第4の実施の形態において起電力差と起電力和と起電力差の差分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第4の実施の形態の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第5の実施の形態において起電力差と起電力和と起電力差の差分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第5の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第6の実施の形態において電極間起電力と起電力差を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第7の実施の形態において電極間起電力と起電力和と起電力差を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第8の実施の形態において電極間起電力と起電力差を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第9の実施の形態において起電力差と起電力和と起電力差の差分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第10の実施の形態において起電力差と起電力和と起電力差の差分を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第11の実施の形態において電極間起電力と起電力和を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第11の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第12の実施の形態において電極間起電力と起電力和を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第12の実施の形態における信号変換部と流量出力部の動作を示すフローチャートである。 本発明の第13の実施の形態において電極間起電力と起電力和を複素ベクトル表現した図である。 本発明の第14の実施の形態において電極間起電力と起電力和を複素ベクトル表現した図である。 本発明の電磁流量計で用いる電極の1例を示す断面図である。 本発明の電磁流量計で用いる電極の他の例を示す断面図である。 従来の電磁流量計の原理を説明するためのブロック図である。 従来の電磁流量計において被測定流体の流量が0の場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 従来の電磁流量計において被測定流体の流量が0でない場合の渦電流及び電極間起電力を示す図である。 電磁流量計におけるスパンのシフトを説明するための図である。 従来の電磁流量計の問題点を説明するための図である。
符号の説明
1…測定管、2a、2b、2c、2d…電極、3、3a、3b…励磁コイル、4、4a、4b…電源部、5、5a、5b…信号変換部、6、6a、6b…流量出力部。

Claims (27)

  1. 被測定流体が流れる測定管と、
    この測定管に配設され、前記流体に印加される磁場と前記流体の流れとによって生じた起電力を検出する電極と、
    この電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面に対して非対称な磁場で、かつ角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって変調した磁場を前記流体に印加する励磁部と、
    前記電極で検出される、前記流体の流速とは無関係な∂A/∂t成分の起電力と前記流体の流速に起因するv×B成分の起電力との合成起電力から、前記∂A/∂t成分を抽出する信号変換部と、
    前記合成起電力の中のv×B成分の流速の大きさVにかかる係数であるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出する流量出力部とを備えることを特徴とする電磁流量計。
  2. 請求項1記載の電磁流量計において、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から少なくとも2つの異なる角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  3. 請求項1又は2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した前記磁場を前記流体に印加し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち前記2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  7. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力差、および前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  8. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力和、および前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  9. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力差、および前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力和の中のv×B成分、又は前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  10. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力和、および前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0+ω1の成分との起電力差の中のv×B成分、又は前記第1の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0−ω1の成分との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  11. 請求項1又は2記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した前記磁場を前記流体に印加することを特徴とする電磁流量計。
  12. 請求項1、2又は11のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  13. 請求項1、2又は11のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面からオフセットを設けて離れた位置に配設された励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうち異なる2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  14. 請求項1、2又は11のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力差を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  15. 請求項1、2又は11のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力差、および前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  16. 請求項1、2又は11のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力和、および前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の角周波数ω0の成分と前記第2の合成起電力の角周波数ω0の成分との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  17. 請求項1、2又は11のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力差、および前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力差を求め、これら2つの起電力差の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力和の中のv×B成分、又は前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力和の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  18. 請求項1、2又は11のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記流体に磁場を印加する励磁コイルと、この励磁コイルに角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した励磁電流を供給する電源部とからなり、
    前記電極は、前記励磁コイルの軸を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第2の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の電極と、前記第2の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第2の平面を挟んで前記第1の電極と対向するように配設された第2の電極とからなり、
    前記信号変換部は、前記第1の電極で検出される第1の合成起電力と前記第2の電極で検出される第2の合成起電力の各々について角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から第1の角周波数成分と第2の角周波数成分の異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力和、および前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力和を求め、これら2つの起電力和の差分を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記第1の合成起電力の第1の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第1の角周波数成分との起電力差の中のv×B成分、又は前記第1の合成起電力の第2の角周波数成分と前記第2の合成起電力の第2の角周波数成分との起電力差の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  19. 請求項1記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記搬送波又は前記変調波の位相が異なる複数の磁場を前記流体に印加し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0又はω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から少なくとも1つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  20. 請求項1又は19記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記搬送波の位相が異なる複数の磁場を前記流体に印加し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  21. 請求項1、19又は20のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記第1の励磁電流の搬送波に対して同一角周波数で位相差が略πの搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力の角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分、又は前記角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分のうちいずれか1つの角周波数成分の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  22. 請求項1、19又は20のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記第1の励磁電流の搬送波に対して同一角周波数で位相差が略πの搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力の角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分のうち異なる2つの角周波数成分の起電力和の中のv×B成分、又は前記角周波数ω0±ζ・ω1の成分のうちいずれか1つの角周波数成分の中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  23. 請求項1又は19記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記変調波の位相が異なる複数の磁場を前記流体に印加し、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から少なくとも1つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出することを特徴とする電磁流量計。
  24. 請求項1、19又は23のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力和を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  25. 請求項1、19又は23のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって振幅変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって振幅変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0+ω1とω0−ω1の2つの角周波数成分の中からいずれか1つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  26. 請求項1、19又は23のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中から異なる2つの角周波数成分の振幅と位相を求め、これらの振幅と位相に基づいて前記2つの角周波数成分の起電力和を前記∂A/∂t成分として抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
  27. 請求項1、19又は23のいずれか1項に記載の電磁流量計において、
    前記励磁部は、前記電極を含む、前記測定管の軸方向と垂直な第1の平面から第1のオフセットを設けて離れた位置に配設された第1の励磁コイルと、前記第1の平面から第2のオフセットを設けて離れた位置に、前記第1の平面を挟んで前記第1の励磁コイルと対向するように配設された第2の励磁コイルと、角周波数ω0の搬送波を角周波数ω1の変調波によって位相変調又は周波数変調した第1の励磁電流を前記第1の励磁コイルに供給すると同時に、前記角周波数ω0の搬送波を前記第1の励磁電流の変調波に対して同一角周波数で逆位相の変調波によって位相変調又は周波数変調した第2の励磁電流を前記第2の励磁コイルに供給する電源部とからなり、
    前記信号変換部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0±ζ・ω1(ζは正の整数)の成分の中からいずれか1つの角周波数成分の振幅と位相を求めることにより前記∂A/∂t成分を抽出し、
    前記流量出力部は、前記電極で検出される合成起電力のうち角周波数ω0の成分中のv×B成分に含まれるスパンの変動要因を前記抽出された∂A/∂t成分に基づいて除去し、この変動要因を除去した結果から前記流体の流量を算出することを特徴とする電磁流量計。
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