JP4523332B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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トナーは熱可塑性を有する樹脂を主成分とするものであり、熱や圧力で感光体表面に付着しやすい。その付着力が強いとクリーニング装置で除去できずに感光体上に残り、以降の画像を劣化させることがある。
また、転写紙に転写する際に、その付着力が強いと転写紙に移行するトナーの比率が低下し、画像の濃度が低下したり、クリーニング装置に回収されるトナーが増加したりする。
このような問題に対し、上述したように、感光体表面にトナーが付着しづらくするために、感光体表面に潤滑剤を塗布する方法が提案されており、特許文献1では、潤滑剤を塗布し、かつクリーニング装置で回収したトナーを現像装置に移送して再使用するように構成している。
これにより潤滑剤の一部が現像剤に混入、蓄積して画像品質の低下を招くという従来の問題点を、現像装置を非接触にする或いは潤滑剤にPTFEを用いることで回避するというものである。
特許文献2では、潤滑剤を塗布し、かつクリーニング装置で回収したトナーを現像装置に移送して再使用するように構成しており、摩擦係数に言及している。特許文献3では、感光体への潤滑剤塗布と帯電ローラを併用する場合の問題点に言及している。
ところが、感光体に潤滑剤を塗布すると、クリーニング装置に回収されたトナーには潤滑剤が付着しているため、再使用すべく現像装置に供給すると、潤滑剤がキャリアにも付着し、正常な摩擦帯電が行なわれず、トナーの帯電量が低下し、現像器からトナーが飛散(以下トナー飛散と呼ぶ)したり、画像の白部をトナーで汚したり(以下地汚れと呼ぶ)という不具合を発生することがあった。
一方、画像形成装置のフルカラー化が進んでおり、機械の中に4色分の作像機構を詰めこまなくてはならなくなり、1色分のスペースを如何に小さくするかが検討されている。
クリーニング装置は画像を作る上では必須なものではないため、全くないか、かなり簡素な物を使用している製品も商品化されている。クリーニング装置を除去すると、スペース的にも、コスト上もメリットが大きいが、転写残トナーは現像に回収されるので、上記回収トナーの再使用と同じく、トナーの帯電量低下という不具合が生ずる。
また、偏った画像を長時間形成し続けると、或る感光体上の領域で潤滑剤塗布量が過多となり感光体の帯電不良が起こったり、現像装置内に潤滑剤が混入しトナー帯電量が低下したりする不具合が発生することがあった。
潤滑剤はトナーの転写性向上やクリーニング性改善を目的とし、トナーが存在しない領域には塗布する必要は無い。従来の潤滑剤塗布方法では、トナーが存在しない領域に塗布された潤滑剤は、トナーと共に転写されることが無いため、感光体上に残留しつづけ、さらにその上から潤滑剤が塗布される。
よって、トナーが存在しない領域ほど潤滑剤の量は多くなるという潤滑剤塗布の意図に相反した状態になる。その結果、入力画像情報が偏っていたり、通紙の紙サイズが偏っていて、感光体上にトナーが存在しない領域が長時間存在すると、その領域の潤滑剤の量が過多になり、帯電を阻害したり、現像装置内に回収される量が異常に多くなってしまったため上記のような不具合が発生した。
クリーニング装置を有した画像形成装置の場合、上記のような理由で一部領域の潤滑剤量が過多になったとしても、クリーニング装置に過剰な潤滑剤を除去および均す効果があるため、不具合が生じることは無かった。しかし、クリーニング装置を除去すると上記のような不具合が顕著に生じる。
このように、クリーニング装置の省略と、潤滑剤の塗布は両立しづらい技術と考えられていた。従来技術でも、潤滑剤を塗布し、かつクリーニング装置を省略したという例は無い。
本発明の目的は、上述した実情を考慮して、クリーニング装置を省略した画像形成装置、いわゆるクリーナレス装置において、感光体に塗布される潤滑剤塗布量を適切化することで、転写残トナーを廃棄することなく有効利用し、高い転写性能を実現し、かつ感光体帯電不良、トナー飛散、地汚れ等の異常が発生することの無い信頼性の高い画像形成装置を提供することにある。
前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤と前記潤滑剤塗布部材との圧力を少なくとも2箇所以上で独立に変化させることによって前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記潤滑剤が少なくとも2個以上の独立した部材からなり、前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤の各部材ごとに独立に前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、前記潤滑剤塗布部材を潤滑剤塗布ブラシとすることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤塗布ブラシの回転速度を変化させることによって前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3記載の画像形成装置において、前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤塗布ブラシと前記像担持体との食いこみ量を変化させることによって前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一項記載の画像形成装置において、前記潤滑剤には、ステアリン酸亜鉛を用いることを特徴とする。
像担持体(感光体)1の周辺に、帯電装置2、書き込み装置3、現像装置4、転写装置15が配置されている。帯電装置2は、非接触の帯電ローラを例としており、非接触であるので、ローラが汚染されづらく、オゾンが発生しづらいというメリットがある。しかし、スコロトロン、コロトロン等のコロナ帯電装置や、接触タイプの帯電ローラでもよく、それらの印加電圧にACが重畳されていても良い。
現像装置4は2成分現像装置を例としたが、1成分・2成分、接触・非接触は必須の条件ではない。現像装置4は現像ローラ5、現像スリーブ6、マグネット7、ドクターブレード8、第1現像剤搬送スクリュ9、現像剤仕切り板11、第2現像剤搬送スクリュ10を含んでいる。
転写装置15は転写ベルト12を例としたが、ローラ転写、コロナ転写でもよく、転写紙に対する直接転写、あるいは、中間転写体に対する転写でも良い。転写ベルト12は転写ベルト張架ローラ13および転写ベルト駆動ローラ14を有している。
潤滑剤塗布装置20の中には、潤滑剤16、潤滑剤塗布ブラシ17、潤滑剤加圧部材18、潤滑剤加圧部材18には潤滑剤加圧制御装置19が含まれている。潤滑剤加圧部材18は潤滑剤加圧制御装置19により加圧される。
潤滑剤加圧制御装置19は、画像情報を基に画像形成装置本体からの信号を受け、潤滑剤加圧部材18の圧力を変動させる。これにより、潤滑剤16の塗布量を制御する。潤滑剤塗布ブラシ17は図示しない回転駆動装置によって回転駆動されている。回転方向は、この例では当接箇所で像担持体1と同方向である。
潤滑剤塗布ブラシ17は像担持体線速100mm/秒に対し、回転数約120rpmで像担持体1と同方向に回転駆動されている。回転方向は、必ずしも像担持体と同方向である必要は無い。
潤滑剤塗布ブラシ17の材質はカーボン分散アクリルで、6〜15デニール、密度30k本/インチ、外径18mm、軸径8mm、像担持体1との食い込み量1.1mmである。
潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛のブロックが用いられることが多い。これは潤滑効果が高いとともに、その成型が容易であることが挙げられる。これ以外にも、金属石鹸類、ワックス類、フッ素含有樹脂類も同様の効果を示す。
画素カウントを積分する周方向長は、主に感光体線速と加圧制御の応答性により決定される値であり、感光体線速が早いほど、また加圧制御装置の応答性が悪いほど大きな値にする必要があるが、小さな値ほど図2(a)に示す入力画像情報に忠実な制御を行うことができるため、できるだけ小さい値が望ましい。
潤滑剤塗布量は、上記積分された画素カウントが小さいほど塗布量を減らすように制御することによって、トナーが多く現像される領域には充分な潤滑剤を塗布し、トナーが少ない領域には最小限必要な潤滑剤を塗布できる。
第1の実施の形態ではトナーが最も多く現像される領域への塗布時は潤滑剤に500mNの圧力をかけ、トナー現像量が少なくなるにつれ順次圧力を弱くし、トナーが現像されない領域では圧力を0mNとした。
500mNという数値は、本実施の形態においてベタ画像の転写率が90%となる潤滑剤塗布量の数値である。装置構成や狙う転写率によりこの値は変動する。
図4は、地汚れ量の推移を示す推移図である。図4から明らかなように、第1の実施の形態の制御が地汚れに有効であることがわかる(図中実施例1)。なお、図2に記載の積分値は本実施の形態を説明するために簡略化した数値であり、実際の数値とは異なる。また、図2(c)に示したように、潤滑剤塗布量を無から多までの5段階にしているが、必ず5段階である必要はない。
図5は、潤滑剤塗布装置の第2の実施の形態の内部を示す概略斜視図である。図5に示すように、本潤滑剤塗布装置は、潤滑剤16を感光体1の長手方向に3分割し(16a、16b、16c)、それぞれ独立に潤滑剤塗布量を制御した例である。
それ以外は第1の実施の形態と同じである。とくに潤滑剤は3分割である必要はなく、2分割および4分割以上の分割数を用いることも可能であり、分割数が多いほど画像情報に忠実な制御を行うことができるため、分割数は多い方が望ましい。
また等分割である必要も無い。潤滑剤塗布ブラシ17は、第1の実施の形態のブラシと共通の物が用いられる。3つの潤滑剤に対し潤滑剤加圧部材18、潤滑剤加圧制御装置19を3つ(それぞれ、18a、18b、18cおよび19a、19b、19c)用いて、それぞれ独立に塗布量が制御される。
それぞれの領域で画素カウントを積分し、潤滑剤塗布量を決定する点は第1の実施の形態と同様に行う。このようにすることで、第1の実施の形態より画像情報に忠実な潤滑剤塗布量を制御することができる。
また、通紙サイズの小さいものが多用された際、長手方向端部は長時間画像が形成されない領域となるが、第1の実施の形態では通紙される領域、つまり中央部に画像が形成されれば端部にも潤滑剤が塗布されてしまう。第2の実施の形態においては、端部の画像が形成されない領域には潤滑剤が塗布されないよう制御することができる。
この第2の実施の形態ではトナーが最も多く現像される領域への塗布時は潤滑剤に500mNの圧力を掛け、トナー現像量が少なくなるにつれ順次圧力を弱くし、トナーが現像されない領域では圧力を0mNとした。
500mNという数値は、この第2の実施の形態においてベタ画像の転写率が90%となる潤滑剤塗布量の数値である。装置構成や狙う転写率によりこの値は変動する。
上述したように、第2の実施の形態の制御によりトナー帯電量低下現象が軽減できていることが図3からわかる(図中実施例2)。また第2の実施の形態の制御が地汚れに有効であることが図4からわかる(図中実施例2)。
なお、図6に記載の積分値は本実施の形態を説明するために簡略化した数値であり、実際の数値とは異なる。また、塗布量を無から多までの5段階にしているが、必ず5段階である必要はない。
それ以外は第1の実施の形態と同じである。図示しない潤滑剤塗布ブラシの回転駆動装置は画像情報を基に画像形成装置本体からの信号を受け塗布ブラシ17の回転速度を変動させる。
これにより、潤滑剤の塗布量を制御する。本実施の形態ではトナーが最も多く現像される領域への塗布時は、像担持体線速100mm/秒に対し回転数約120rpmで塗布ブラシを回転させ、トナー現像量が少なくなるにつれ順次回転数を遅くし、トナーが現像されない領域では回転数を0rpmとした。
120rpmという数値は、第3の実施の形態においてベタ画像の転写率が90%となる潤滑剤塗布量の数値である。装置構成や狙う転写率によりこの値は変動する。第1および第2の実施の形態ように潤滑剤加圧制御装置を設置し、潤滑剤加圧制御と塗布ブラシ回転駆動制御の両方を用いて塗布量制御を行うこともできる。
また、第2の実施の形態の潤滑剤を分割したことと同じように、塗布ブラシ17を分割し各塗布ブラシ17の回転速度を独立に制御することにより、第2の実施の形態と同様な効果を得ることもできる。塗布量制御手段は第1の実施の形態と同様のものを用いる。
このような構成にすることで、画像情報に応じてトナーが多く現像される領域には充分な潤滑剤を塗布し、トナーが少ない領域には最小限必要な潤滑剤を塗布できる。図3に示したように、本実施の形態の制御によりトナー帯電量低下現象が軽減できることがわかる(図中実施例3)。また、図4に示したように、本実施の形態の制御が地汚れにも有効であることがわかる(図中実施例3)。
潤滑剤加圧部材18は潤滑剤塗布装置20に直接固定されている。この潤滑剤塗布装置20は、図示しない駆動装置によって、塗布装置回転軸25を中心に位置を変動させる。
潤滑剤塗布装置20の駆動装置は、画像情報を基に画像形成装置本体からの信号を受け、潤滑剤塗布装置20の位置を変動させることにより、塗布ブラシ17の感光体1への食い込み量を変動させ塗布量を制御する。
第4の実施の形態ではトナーが最も多く現像される領域への塗布時は、食い込み量1.1mmにし、トナー現像量が少なくなるにつれ順次食い込み量を小さくし、トナーが現像されない領域では感光体から完全に離脱させる。
食い込み量1.1mmという数値は、本実施の形態においてベタ画像の転写率90%となる潤滑剤塗布量の数値である。装置構成や狙う転写率によりこの値は変動する。
第4の実施の形態では、塗布ブラシ回転速度の制御は行っていないが、第3の実施の形態の構成を用いて塗布ブラシ17の回転速度制御と感光体1への食い込み量制御の両方を用いて潤滑剤塗布量を制御することもできる。
第1および第2の実施の形態のように潤滑剤加圧制御装置を設置し、潤滑剤加圧制御と感光体への食い込み量制御の両方を用いて潤滑剤塗布量を制御することもできる。また、第1、第2、第3の実施の形態の構成を用いて、3種の制御方法で潤滑剤塗布量を制御することもできる。
潤滑剤塗布量が0の場合は、塗布ブラシ17が感光体1から完全に離脱することになるが、この際に塗布ブラシ17が回転していると、エネルギの無駄であり、構成によっては潤滑剤を削りつづけることになるため、完全に離脱している場合は塗布ブラシ17を停止させることが望ましい。
塗布量制御手段は第1の実施の形態と同様のものを用いる。このような構成にすることで、画像情報に応じてトナーが多く現像される領域には充分な潤滑剤を塗布し、トナーが少ない領域には最小限必要な潤滑剤を塗布できる。
本発明によれば、画像情報に応じて比較的容易に潤滑剤塗布量を制御することができ、本発明の効果を効率よく実現できる。また、本発明によれば、感光体長手方向の領域を分割して各領域の塗布量を制御することができるため、より詳細な画像情報に応じた潤滑剤塗布量制御を行うことができ、本発明の効果を効率よく実現できる。
本発明によれば、画像情報に応じて比較的容易に潤滑剤塗布量を制御することができ、本発明の効果を効率よく実現できる。さらに、本発明によれば、潤滑効果、入手容易性、整形性に優れ、本発明の効果を効率よく実現できる。
Claims (7)
- 像担持体と、前記像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体にトナー画像を形成する現像手段と、前記像担持体に形成されるトナー画像を被転写体に転写する転写手段とを有し、前記転写手段通過後の前記像担持体上に残ったトナーを前記現像手段にて回収する画像形成装置において、
前記像担持体に対して潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布手段と、画像情報に応じて前記潤滑剤塗布手段により塗布する潤滑剤塗布量を制御する潤滑剤塗布量制御手段と、を備え、
前記潤滑剤塗布手段は、少なくとも潤滑剤と、この潤滑剤を前記像担持体へ塗布する潤滑剤塗布部材とを備え、
前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤と前記潤滑剤塗布部材との圧力を変化させることによって、前記潤滑剤塗布量を制御し、
前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤と前記潤滑剤塗布部材との圧力を少なくとも2箇所以上で独立に変化させることによって前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする画像形成装置。 - 前記潤滑剤が少なくとも2個以上の独立した部材からなり、前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤の各部材ごとに独立に前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記潤滑剤塗布部材を潤滑剤塗布ブラシとすることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
- 前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤塗布ブラシの回転速度を変化させることによって前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記潤滑剤塗布ブラシと前記像担持体との食いこみ量を変化させることによって前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 前記潤滑剤塗布ブラシが少なくとも2個以上の独立したブラシにからなり、前記潤滑剤塗布量制御手段は、前記ブラシごとに独立に前記潤滑剤塗布量を制御することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項記載の画像形成装置。
- 前記潤滑剤には、ステアリン酸亜鉛を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の画像形成装置。
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