JP4522620B2 - インク供給システム及びそのシステムにおけるインク供給量の管理方法 - Google Patents

インク供給システム及びそのシステムにおけるインク供給量の管理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクにより記録媒体に情報を記録するインク供給システム及びそのシステムにおけるインク供給量の管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、銀塩フィルムを用いるカメラに代わってCCDとメモリを用いるデジタルカメラが普及してきているが、このようなデジタルカメラで撮った画像は記録装置により記録媒体上に記録される。この記録装置としては例えばインクジェット式プリンタが使用され、記録媒体としては例えば印刷用紙が使用される。このような状況から、銀塩フィルムを現像し画像を印画紙に焼き付けて写真とするいわゆるラボにおいても、インクジェット式プリンタを設置してデジタル画像を印刷するようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したラボにおいてデジタル画像の印刷量が増加した場合は、複数のインクジェット式プリンタを導入する必要があるが、画像印刷ではインクの消費量が多いため、その管理が重要となる。しかしながら、従来は複数のインクジェット式プリンタをシステム化したものは無く、各インクジェット式プリンタ毎にインクを管理している。
【0004】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクを確実に供給管理することができるインク供給システム及びそのシステムにおけるインク供給量の管理方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明のインク供給システムでは、インクを貯留する1つのメインタンクと、複数のインクジェット式記録装置と、システム制御部と、を備えたインク供給システムであって、各前記インクジェット式記録装置は、前記メインタンクと配管接続された1つのサブタンクと、前記サブタンクと配管接続され、前記メインタンクから供給される前記インクを供給される1つの記録手段と、を備え、前記システム制御部は、前記サブタンク内の前記インクが一定の状態からインク消費量をカウントすることで前記各サブタンク内のインク量を把握し、前記各サブタンクに前記メインタンクから前記インクを供給し、カウントした前記各サブタンクの前記インク消費量を集計し、前記インク消費量の合計を前記メインタンクのインク消費量として認識することを特徴としている。
【0006】
これにより、1つのメインタンク内のインクのみを管理すれば良いので、複数の記録手段へのインクの供給が安定的になり、記録品質の高い記録媒体を大量に製作することができるようになる。また、記録手段による記録途中でのサブタンク内のインク消費量の状態が分かるので、記録手段毎のインク管理が簡易となる。
【0007】
更に、前記システム制御部は、カウントした前記各サブタンクの前記インク消費量の合計を前記メインタンクのインク消費量とするので、メインタンクのインク消費量を正確に認識することができる。
【0008】
また、前記サブタンクは、容積変化可能な柔軟性を有する材料で気密に構成されていることを特徴としている。
【0009】
これにより、メインタンクからサブタンクへインクの供給を強制しても、インクの脱気状態を保持しつつ記録することができる。
【0010】
また、前記システム制御部は、前記各サブタンクに前記インクを供給する度に、前記各サブタンクのインク消費量を集計することを特徴としている。
【0011】
これにより、サブタンク内のインク消費量のカウントの合計とメインタンクのインク消費量との精度を向上させることができ、各サブタンク毎に供給されるので、供給しているサブタンク以外は記録でき、記録手段による記録中の中断機会を削減することができる。
【0012】
また、前記システム制御部は、供給を必要とする前記サブタンクのみ選択的に前記インクを供給し、そのサブタンクのインク消費量を集計することを特徴としている。
【0013】
これにより、メインタンクからサブタンクへのインクの供給時間のロスを削減することができる。
【0014】
また、前記システム制御部は、前記各サブタンクのインク消費量を集計し、全ての前記サブタンクに前記インクを同時に供給することを特徴としている。
【0015】
これにより、メインタンクからサブタンクへのインクの供給時間のロスを削減することができる。
【0016】
また、前記メインタンクから前記サブタンクへの前記インクの供給流量は、前記記録手段の最大インク吐出流量以上であることを特徴としている。
【0017】
これにより、メインタンクからサブタンクへのインクの供給は確実なものとなり、記録手段における記録不可の事態の発生を防止することができる。
【0018】
また、前記システム制御部は、前記サブタンクのインク消費量が閾値を越えたときに前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インクを供給することを特徴としている。
【0019】
これにより、サブタンク内のインク消費量が僅かなときには、メインタンクからインクを供給しないようにすることができるので、その供給による記録手段の記録中断のロスを削減することができる。
【0020】
さらに、閾値が、記録手段の記録中は大きい値に設定され、それ以外のときは小さい値に設定されている場合には、記録手段による記録中にはメインタンクからサブタンクへインクを供給しないようにし、記録中断によるロスの削減を実効あるものにすることもできる。
【0021】
また、前記各サブタンク内の残存インク量を検出する残存インク量検出手段を備え、前記システム制御部は、前記残存インク量検出手段の検出値がある一定量以下になったと判断したときに前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インクを供給することを特徴としている。
【0022】
これにより、サブタンク内の残存インク量の検出精度を向上させることができるので、メインタンクからサブタンクへのインクの供給を効率的に行うことができる。
【0023】
さらに、この残存インク量検出手段を2つ以上備え、システム制御部が、ある1つの残存インク量検出手段が検出したらインクの供給を開始し、別の残存インク量検出手段が検出したらインクの供給を終了するようにした場合、正確な残存インク量を認識することもできる。
【0024】
さらに、残存インク量検出手段を1つ備えてもよく、これにより、残存インク量検出手段のコスト低減を図ることができる。
【0025】
さらに、システム制御部を、残存インク量検出手段で検出した後、検出しなくなるまでインクを供給するようにした場合、供給時間を短縮させることもできる。
【0026】
さらに、システム制御部を、残存インク量検出手段で検出した後、所定時間前記インクを供給するようにした場合、供給量を増加させることができる。
【0027】
さらに、システム制御部を、サブタンクのインク消費量が閾値を越えたら残存インク量検出手段で検出するまでインクを供給するようにした場合、供給量を最も正確に認識することができると共に、コストを低減させることもできる。
【0028】
また、前記システム制御部は、前記記録手段による記録の度に、前記各サブタンクのインク消費量を集計して前記メインタンク内のインク残量を計算し、インクエンドを判断してから全ての前記記録手段をインクエンドとすることを特徴としている。
【0029】
これにより、サブタンク内のインク消費量の合計とメインタンクのインク消費量が等しくなり、メインタンクからサブタンクへのインクの供給を確実に行うことができる。
【0030】
さらに、システム制御部を、メインタンクのインクエンド後、各サブタンクのインク消費量がある一定以上になるまで記録手段により記録するようにした場合、メインタンクのインク残量を正確にカウントし、かつサブタンク内のインクも無駄にしない。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態に係るインク供給システムを示す概略構成図である。
【0033】
このインク供給システム50は、1つのメインタンク51と、複数のインクジェット式プリンタ50Pと、システム全体を制御するシステム制御部52を備えている。
【0034】
メインタンク51は、各インクジェット式プリンタ50Pのプリントヘッド53より下方であって水頭差hが付くように配置されて、各プリントヘッド53に配管54で接続されており、貯留しているインクを各プリントヘッド53に直接かつ常時供給するようになっている。
【0035】
このとき、プリントヘッド53のノズルのメニスカスを作るために負圧にする必要があるので、メインタンク51と各プリントヘッド53の水頭差hは一定にする。
【0036】
このようにメインタンク51をプリントヘッド53より下方に配置する構成とすることにより、各プリントヘッド53のノズルに形成されるメニスカスの破壊を防止することができる。
【0037】
各プリントヘッド53には吸引ポンプ55が接続されており、各プリントヘッド53のノズルから先のインク流路内を吸引するようになっている。
【0038】
このような構成によれば、インク流路内でのゴミ等による目詰まりやノズル口での乾燥インクによる目詰まりを解消することができる。
【0039】
システム制御部52は、各プリントヘッド53でのインク消費量を把握してメインタンク51内のインク残量を管理するようになっている。
【0040】
なお、図1においては便宜上、メインタンク51、プリントヘッド53及び配管54は、カラー印刷で用いるブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色系やブラック、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエローの6色系あるいはブラック、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエロー、ダークイエローの7色系等の各色のインク別には示していないが、実際にはメインタンク51及びプリントヘッド53は各色毎に区切られて各色毎の配管54でそれぞれ接続されている。
【0041】
また、インクジェット式プリンタ50Pは上記各色を吐出する1つのプリントヘッド53を備えた構成としたが、これに限定されるものではなく、1台のインクジェット式プリンタ50Pに複数のプリントヘッド53を備えた構成であっても同様に適用することができる。
【0042】
図2〜図4は、本発明の別の実施の形態に係るインク供給システムを示す概略構成図である。
【0043】
これらのインク供給システムの基本的な構成は同一であるため同一番号を付して先ず図2の構成を説明し、次に図3及び図4の相違点を説明する。図2のインク供給システム10は、1つのメインタンク11と、複数のインクジェット式プリンタ10Pと、システム全体を制御するシステム制御部14を備えている。
【0044】
そして、各インクジェット式プリンタ10Pは、1つのサブタンク12と、1つのプリントヘッド13を備えている。なお、プリントヘッド13のノズルのメニスカスを作るために負圧にする必要があるので、このときのサブタンク12と対応するプリントヘッド13の水頭差は一定にする。
【0045】
メインタンク11は、各サブタンク12より上方であって水頭差Hが付くように配置されて、各サブタンク12と配管15で接続され、サブタンク12は、プリントヘッド13と配管16で接続されている。メインタンク11の容量は、全サブタンク12の合計容量の数倍となるように形成されている。配管15には、電磁バルブ17が接続されている。そして、プリントヘッド13には吸引ポンプ18が接続されており、プリントヘッド13のノズルから先のインク流路内を吸引することによりメインタンク11内のインクを減圧し、上記水頭差圧と相俟ってサブタンク12へ一旦導入して充填するようになっている。
【0046】
システム制御部14は、サブタンク12内のインクがプリントヘッド13へ導入されて充填された後、電磁バルブ17を閉じてプリントヘッド13からインクを吐出させて印刷を実行する。この間、各サブタンク12内のインク量を把握し、各サブタンク12にメインタンク11からインクを供給するようになっている。
【0047】
次に、図3における相異点は、エアポンプ19がメインタンク11と接続されており、取り込んだ空気をメインタンク11に供給するようになっている。このような構成によれば、エアポンプ19は、メインタンク11へ空気を供給することによりメインタンク11内のインクを加圧して、サブタンク12へ供給して充填することができる。従って、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給を図2のシステムより早く行うことができ、またメインタンク11の配設位置が図2のシステムのように制約されることも無くなる。
【0048】
次に、図4における相異点は、各インクジェット式プリンタ10Pを縦に配置して、システムの設置面積を少なくしている。メインタンク11は最上部に配置され、その下方に各サブタンク12及び各プリントヘッド13が高低差を付けて配置されている。このような構成によれば、メインタンク11内のインクは水頭差により自然にサブタンク12へ一旦供給されて充填され、その後にサブタンク12内のインクがプリントヘッド13へ供給されるようになる。ただし、メインタンク11は図3のようにエアポンプ19を接続して加圧してサブタンク12にインクを供給してもよい。この場合はメインタンク11の位置の制約はなくなる。
【0049】
なお、図2から図4においては便宜上、メインタンク11、サブタンク12、プリントヘッド13及び配管15、16は前述した各色のインク別には示していないが、実際にはメインタンク11、サブタンク12及びプリントヘッド13は各色毎に区切られて各色毎の配管15、16でそれぞれ接続されている。また、インクジェット式プリンタ10Pは上記各色を吐出する1つのプリントヘッド13を備えた構成としたが、これに限定されるものではなく、1台のインクジェット式プリンタ10Pに複数のプリントヘッド13を備えた構成であっても同様に適用することができる。
【0050】
図5は、上記インク供給システム10のサブタンク12の一例を示す斜視図である。このサブタンク12は、容積変化可能な柔軟性を有する材料で、インク量の変化に柔軟に追従できるサイズ、例えば5ccから300cc程度の容量の気密性を有する袋状に形成されている。そして、対向する辺には、それぞれ配管15と接続可能な流入口12aと、配管16と接続可能な流出口12bが設けられている。
【0051】
サブタンク12を容積変化可能な柔軟性を有する材料で構成することにより、メインタンク11からサブタンク12へインクの供給を強制しても、インクの脱気状態を保持しつつ印刷することができると共に、厚みの変化でインク残量を検出することができる。なお、サブタンク12を硬質の材料で構成しても良く、その場合のインク残量の検出はサブタンク12内の液面検出が可能なセンサ等の手段を用いるようにする。
【0052】
サブタンク12の構成材料としては、ガスバリア性を確保するために例えばアルミ箔を中間層として2枚のフィルム、例えば外側をナイロンフィルム、内側をポリエチレンフィルムにより挟み込んだアルミラミネートフィルムが使用可能である。さらに、可撓性及び遮気性に加えて透光性を備えたポリエチレンテレフタレート(PET)やナイロン等の高分子フィルムの表面に酸化珪素を蒸着して酸化珪素層を形成し、これの表面を熱溶着性に優れたポリエチレン等の高分子フィルムを積層して成る光透過性フィルムも使用可能である。
【0053】
システム制御部14における各サブタンク12内のインク量を把握する方法としては、例えばソフトカウントが使用される。このソフトカウントとは、インクジェット式プリンタの印字やプリントヘッド13のクリーニング等によりサブタンク12内のインクを消費する際に、各サブタンク12毎に消費したインク量をプリンタ本体の不揮発性メモリに累積記録していく方法である。各サブタンク12毎に消費されるインク量をソフトカウントにより行うことで、プリントヘッド13による印刷途中でのサブタンク12内のインク消費量の状態を把握することができ、プリントヘッド13毎のインク管理が簡易となる。
【0054】
このソフトカウントの基本は、サブタンク12内をある一定にした状態、例えばサブタンク12のある厚みをメカスイッチ等で検出したときのインクハイ状態、あるいはサブタンク12内が正圧にならない程度のインク量状態をインク消費量0とし、その後のインク消費量、例えば印字量、クリーニング量、フラッシング量等をカウントする。
【0055】
これにより、サブタンク12内のインク消費量とカウントしたインク消費量はほぼ等しくなるため、ある時点でサブタンク12にインクを供給してインクハイ状態にしたとき、その供給量とインク消費カウント量もほぼ同じになる。そして、各サブタンク12のインク消費量を集計すると、メインタンク11のインク消費量になる。これにより、メインタンクのインク消費量を正確に認識することができる。
【0056】
このソフトカウントに基づくサブタンク12へのインクの供給方法としては、以下の方法がある。第1の方法は、各サブタンク12にインクを供給する度に、各サブタンク12のインク消費量を集計し、あるいは集計してリセットする。これにより、サブタンク12内のインク消費量のカウントの合計とメインタンクのインク消費量との精度を向上させることができ、各サブタンク12毎に供給されるので、供給しているサブタンク12以外は印刷でき、プリントヘッド13による印刷中の中断機会を削減することができる。
【0057】
第2の方法は、供給を必要とするサブタンク12のみ選択的にインクを供給し、そのサブタンク12のインク消費量を集計し、あるいは集計してリセットする。また、第3の方法は、各サブタンク12のインク消費量を集計し、全てのサブタンク12にインクを同時に供給する。これらにより、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給時間のロスを削減することができる。
【0058】
なお、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給流量は、プリントヘッド13の最大インク吐出流量以上とする。これにより、記録中においてもメインタンク11からサブタンク12へのインクの供給するときに供給流量よりインク吐出流量が多くなり、プリントヘッド13における印刷不可の事態の発生を防止することができる。ただし、記録中に電磁バルブ17を開けるとインク流路内の圧力変動が生じ、印刷状態が変化するため、記録中の供給には注意が必要である。
【0059】
システム制御部14における各サブタンク12へのインクの供給のトリガーとしては、以下の方法がある。第1の方法は、電源投入時、印刷中、印刷終了時、排紙時等にサブタンク12のインク消費量が所定の閾値を越えたときに、メインタンク11からサブタンク12へインクを供給する。この閾値としては、プリントヘッド13の印刷中は大きい値に設定し、それ以外のときは小さい値に設定する。これにより、サブタンク12内のインク消費量が僅かなときには、メインタンク11からインクを供給しないようにすることができるので、その供給によるプリントヘッド13の印刷中断のロスを削減することができる。
【0060】
第2の方法は、各サブタンク12内の残存インク量を検出する残存インク量検出手段を備え、システム制御部14は、残存インク量検出手段の検出値により残存インク量がある一定量以下、例えばインクハイ状態より少ないインクロー状態、すなわち少なくとも印刷ができる程度の負圧状態以上のインク量になった、あるいはインクハイ状態でなくなったと判断したときに、メインタンク11からサブタンク12へインクを供給する。これにより、サブタンク12内の残存インク量の検出精度を向上させることができるので、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給を効率的に行うことができる。
【0061】
ここで、例えば図6に示す残存インク量検出手段30は、サブタンク12に取り付けられ、フレーム40に固定された構成となっている。このような構成とすることにより、サブタンク12は内部のインク量の変動に対応して膨張収縮するので、残存インク量検出手段30もその膨張収縮に追従して変位する。よって、残存インク量検出手段30の変位を機械的、電気的もしくは光学的なセンサにより検出し、あるいは残存インク量検出手段30にリニアスケールを取り付け、この値を検出することにより、サブタンク12内のインク残量及びインク消費量を検出することができる。これにより、ソフトカウントにより検出したインク消費量のばらつきを抑えることができる。
【0062】
例えば、残存インク量検出手段を2つ以上備え、ある1つの残存インク量検出手段が検出したらインクの供給を開始し、別の残存インク量検出手段が検出したらインクの供給を終了する。これにより、正確な残存インク量を認識することができる。
【0063】
また、残存インク量検出手段を1つ備える。これにより、残存インク量検出手段のコスト低減を図ることができる。この場合、残存インク量検出手段で検出した後、検出しなくなるまでインクを供給する。これにより、供給時間を短縮させることができる。また、残存インク量検出手段で検出した後、所定時間インクを供給する。これにより、供給量を増加させることができる。また、サブタンク12のインク消費量が閾値を越えたら残存インク量検出手段で検出するまでインクを供給する。これにより、供給量を最も正確に認識することができると共に、コストを低減させることができる。
【0064】
なお、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給は、電源投入の度に行う。これにより、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給によるプリントヘッド13の印刷中断のロスを削減することができる。また、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給は、一定時間経過毎に行う。これにより、電源が常時オン状態で電源投入時のインク補給ができない場合であっても、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給を確実に行うことができる。なお、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給を電源投入の度、及び一定時間経過毎に行うようにしてもよい。
【0065】
また、1日に消費する量のインクをメインタンク11からサブタンク12へ一時に供給するようにしてもよい。これにより、システムを使用開始するときにのみインク供給動作を行えばよくなるので、インク供給動作による記録動作中断を無くすことができ、記録処理効率を向上させることができる。なお、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給順序は特に制限されるものではなく、例えばサブタンク12の配置の高低や供給路の長短、あるいは消費量の大小等に拘わらず任意のサブタンク12から供給するようにしてよい。
【0066】
そして、システム制御部14における各サブタンク12へのインクの供給のエンドとしては、以下の方法がある。第1の方法は、プリントヘッド13による印刷の度に、各サブタンク12のインク消費量を集計してメインタンク11内のインク残量を計算し、メインタンク11からサブタンク12へインクを供給する。あるいは、プリントヘッド13による印刷の度に、各サブタンク12のインク消費量を集計してメインタンク11内のインク残量を計算し、インクエンドを判断してから全てのプリントヘッド13をインクエンドとする。これにより、サブタンク12内のインク消費量の合計とメインタンク11のインク消費量が等しくなり、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給を確実に行うことができる。
【0067】
このとき、メインタンク11のインクエンド後、各サブタンク12のインク消費量がある一定以上になるまで記録手段により記録する。これにより、メインタンク11のインク残量を正確にカウントし、かつサブタンク12内のインクも無駄にしない。
【0068】
第2の方法は、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給時に、各サブタンク12内のインク消費量とメインタンク11内のインク残量とを比較し、インク消費量がインク残量より小さいときは供給し、インク消費量がインク残量より大きいときはインクエンドとする。これにより、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給を確実に行うことができる。さらに、インク消費量がインク残量より大きいときは供給せず、全サブタンク12のインク消費量を比較し、インクの供給が終了後、供給しないサブタンク12があった場合にインクエンドとする。これにより、無駄なインク量を削減することができる。
【0069】
なお、インク消費量がインク残量より大きいときであっても、一度だけ供給してインクエンドとすることも有効である。これにより、メインタンク11内のインク残量にばらつきがある場合でも、メインタンク11のインクをできるだけ多く消費することができる。あるいは、インク消費量がインク残量より大きいときであっても供給し、前記残存インク検出手段が変化しなかった場合にインクエンドとみなすことを特徴としている。これにより、インク消費量のばらつきの影響を無くすことができる。
【0070】
また、上記ソフトカウントを見ないサブタンク12へのインクの供給方法としては、残存インク量検出手段20による検出値により残存インク量がインクハイ状態、すなわちほぼ満杯状態になったと判断したときに自動的あるいはシーケンスによりサブタンク12の電磁バルブ17を閉じ、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給を停止する。これにより、例え途中で電源オフされてもサブタンク12内の残存インク量を確実に検出することができるので、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給に不具合が生じることはない。
【0071】
この方法は、各サブタンク12毎、あるいは所定のサブタンク12のみ、あるいは全てのサブタンク12同時に行う。これにより、メインタンク11からサブタンク12へのインクの供給を簡易に行うことができる。ここで、全てのサブタンク12同時に行う場合の不具合として、全サブタンク12のバルブ17が開のときに例えば水頭差で上部のサブタンク12から下部のサブタンク12へインクが移動し、上部のサブタンク12内のインクが無くなった状態で電源オフされると、そのプリントヘッド13は印刷できなくなる。
【0072】
そこで、残存インク量検出手段20による検出値により残存インク量がインクロー状態、すなわちほぼ空状態になったと判断したときに自動的あるいはシーケンスによりそのサブタンク12のバルブ17を閉じることにより、そのサブタンク12から他のサブタンク12へのインクの流出を防止することができる。
【0073】
そして、システム制御部14における各サブタンク12へのインクの供給のエンドとしては、メインタンク11内のインクエンドを検出するインクエンド検出手段を備え、インクエンド検出手段から検出信号を受けたらインクエンドとし、新しいメインタンク11に交換後に残存インク量検出手段20により残存インク量がほぼ満杯状態になるまでサブタンク12へインクを供給する。これにより、システム構成を簡略化することができる。
【0074】
以上のような構成のインク供給システムにおけるインク供給量の管理方法によれば、1つのメインタンク11内のインクのみを管理すれば良いので、複数のプリントヘッド13へのインクの供給が安定的になり、印刷品質を高めることができる。なお、メインタンク51、11にメインタンク51、11内のインク残量の記憶装置を装着するようにしてもよく、これにより更に精細なインク管理を行うことができるようになる。
【0075】
ここで、図7は、上記サブタンク12及びプリントヘッド13を備えたインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図である。図7に示すインクジェット式プリンタ1は、フレーム2により印刷用紙が通過可能な幅の窓3が形成されており、窓3の上部には主走査方向に往復移動するキャリッジ4に搭載されたプリントへッド13が配設され、窓3の下部には印刷用紙を支持する用紙ガイド部材6が配設されている。
【0076】
さらに、フレーム2の図示右サイドには、内蔵されている制御部を操作するための操作パネル7が配設され、フレーム2の図示左サイドには、開閉可能なカバー8により覆われており、サブタンク12が収納されるインクカートリッジ収納部9が配設されている。このような構成において、印刷用紙を副走査方向に間欠的に設定量ずつ送りつつキャリッジ4を主走査方向に移動させ、サブタンク12からプリントへッド13へ送られてくるインクをインク滴として印刷用紙に吐出して印刷するようになっている。
【0077】
なお、上述した実施形態では、プリンタを例に説明したが、これに限られるものではなく、インク供給システムを有する記録装置、例えばファクシミリ装置やコピー装置等にも適用可能である。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るインク供給システム及びそのシステムにおけるインク供給量の管理方法によれば、1つのメインタンク内のインクのみを管理すれば良いので、複数の記録手段へのインクの供給が安定的になり、記録品質の高い記録媒体を大量に製作することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るインク供給システムを示す第1の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るインク供給システムを示す第2の概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るインク供給システムを示す第3の概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るインク供給システムを示す第4の概略構成図である。
【図5】図2から図4のインク供給システムのサブタンクの一例を示す斜視図である。
【図6】図5のサブタンクに取り付けられる残存インク量検出手段の一例を示す平面図及び断面側面図である。
【図7】図2から図4のサブタンク及びプリントヘッドを備えたインクジェット式プリンタの構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、10P、50P インクジェット式プリンタ
2 フレーム
3 窓
4 キャリッジ
6 用紙ガイド部材
7 操作パネル
8 カバー
9 インクカートリッジ収納部
10、50 インク供給システム
11、51 メインタンク
12 サブタンク
13、53 プリントヘッド
14、52 システム制御部
15、16、54 配管
17 電磁バルブ
18 エアポンプ
19、55 吸引ポンプ
30 残存インク量検出手段

Claims (9)

  1. インクを貯留する1つのメインタンクと、複数のインクジェット式記録装置と、システム制御部と、を備えたインク供給システムであって、
    各前記インクジェット式記録装置は、前記メインタンクと配管接続された1つのサブタンクと、前記サブタンクと配管接続され、前記メインタンクから供給される前記インクを供給される1つの記録手段と、を備え、
    前記システム制御部は、前記サブタンク内の前記インクが一定の状態からインク消費量をカウントすることで前記各サブタンク内のインク量を把握し、前記各サブタンクに前記メインタンクから前記インクを供給し、カウントした前記各サブタンクの前記インク消費量を集計し、前記インク消費量の合計を前記メインタンクのインク消費量として認識することを特徴とするインク供給システム。
  2. 前記サブタンクは、容積変化可能な柔軟性を有する材料で気密に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のインク供給システム。
  3. 前記システム制御部は、前記各サブタンクに前記インクを供給する度に、前記各サブタンクのインク消費量を集計することを特徴とする請求項1又は2の何れか一項に記載のインク供給システム。
  4. 前記システム制御部は、供給を必要とする前記サブタンクのみ選択的に前記インクを供給し、そのサブタンクのインク消費量を集計することを特徴とする請求項1又は2の何れか一項に記載のインク供給システム。
  5. 前記システム制御部は、前記各サブタンクのインク消費量を集計し、全ての前記サブタンクに前記インクを同時に供給することを特徴とする請求項1又は2の何れか一項に記載のインク供給システム。
  6. 前記メインタンクから前記サブタンクへの前記インクの供給流量は、前記記録手段の最大インク吐出流量以上であることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のインク供給システム。
  7. 前記システム制御部は、前記サブタンクのインク消費量が閾値を越えたときに前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インクを供給することを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のインク供給システム。
  8. 前記各サブタンク内の残存インク量を検出する残存インク量検出手段を備え、前記システム制御部は、前記残存インク量検出手段の検出値がある一定量以下になったと判断したときに前記メインタンクから前記サブタンクへ前記インクを供給することを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のインク供給システム。
  9. 前記システム制御部は、前記記録手段による記録の度に、前記各サブタンクのインク消費量を集計して前記メインタンク内のインク残量を計算し、インクエンドを判断してから全ての前記記録手段をインクエンドとすることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のインク供給システム。
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