JP4522039B2 - Cof用配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、COF用配線板の製造方法に関する。さらに詳しくは、導体幅が30μm以下の微細なパターンを有するCOF用配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明でいうCOF(Chip On Filmの略称)とは、半導体IC(Chip)をフィルム状の微細配線板(Film)の上に搭載した複合部品のことである。
多くの場合、このようなCOFはさらに大きなリジッド配線板やディスプレイ板に接続して使用されており、電子機器の微細化をさらに進める上で、近年特に注目されている実装形態である。
ここで用いられるフィルム状の微細配線板(即ち、COF用配線板)は、ポリイミド、ポリエステル等の有機ポリマーフィルムと銅箔を積層したフレキシブル基板を材料として作られることから、フレキシブルプリント配線板の一種と言うことができ、特に、回路が微細な点が特徴とされる。
【0003】
歴史的には、TAB(Tape Automated Bonding)という名称の実装形態があるが、フィルム状の微細配線板に半導体ICを搭載しているという点や、その配線板がさらに別の配線板やディスプレイ等に接続される等の共通点から、COFの一種あるいは別の呼び方と言えるので、本発明では、TABも含めた意味で、一括してCOFという表現を採用する。
COF用配線板は、一般的なプリント配線板の場合と同様の製造方法により製造される。
【0004】
即ち、フレキシブル基板の銅面上に感光性樹脂層を積層し、所望の配線パターンに対応した露光を行い、必要な部分の感光性樹脂を光硬化させる。次に現像により、未露光部分の感光性樹脂を除去した後、エッチングにより硬化レジストに覆われていない基板の被覆銅層を除去したり、またはめっきにより硬化レジストに覆われていない部分にめっき金属を析出させる。最後に、剥離により、硬化レジストを除去して、所望の導体パターンを有する配線板を得る。
フレキシブル基板の銅面上に感光性樹脂を積層する方法としては、液状レジストを塗布、乾燥する方法が多く用いられてきたが、最近生産性や品質の点で、感光性樹脂積層体をラミネートする方法が使われ始めた。
【0005】
感光性樹脂積層体は、支持体フィルムと保護フィルムの間に1〜100μmの厚みの感光性樹脂層を挟み込んだ積層フィルムである。これをフレキシブル基板にラミネートする際には、保護フィルムを剥離した上で、感光性樹脂層とフレキシブル基板の銅面とが接着する重ね方で、上下1 対のホットロールの間を通すことにより圧着させる。フレキシブル基板の両面に銅が積層されている両面板の場合、1 枚のフレキシブル基板に対して、2 枚の感光性樹脂積層体を用いて、両面ラミネートされる。
【0006】
ラミネートにより積層された感光性樹脂は、フレキシブル基板銅面のすべてに密着していることが望ましい。もし、一部に密着しない部分が発生すると、そこにはエッチング液あるいはめっき液が入りこみ、配線パターンの断線、欠け、ショート、変形等が起こる。特に、導体ライン幅が30μm以下の配線を含むCOF用配線板の製造の場合には、密着しない部分がたとえ小さな面積で発生しても正常な配線板を得ることが困難となる。
しかしながら、従来の方法では、ラミネート工程においてフレキシブル基板と感光性樹脂層の間にところどころに微小なエアーが入り、そのために正常な配線板を歩留まり良く作ることができなかった。
【0007】
さらに上記エアーの混入は、感光性樹脂層の厚みが25μm以下の薄い感光性樹脂積層体をラミネートする場合に発生し、25μmを越える厚みの感光性樹脂積層体では、ほとんど発生しなかった。一方、導体ライン幅が30μm以下の微細配線には、解像性とエッチング性の点から25μm以下の薄い感光性樹脂積層体が適しており、この二律背反のため、COF用配線板の製造において、生産性および品質の点で有利なはずの感光性樹脂積層体を用いる方法が、広く利用されることを阻害する原因にもなっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ラミネートにおけるフレキシブル基板と感光性樹脂層の間にエアーが混入することを抑制し、パターン異常の発生が少ないCOF用配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため検討した結果、フレキシブル基板の表面状態を化学研磨又は機械研磨で制御することにより、ラミネート時のエアーの混入を著しく抑制することを発見し本発明に至った。即ち、本願は、
(1)厚みが10〜100μmのフィルムに、銅箔を積層したフレキシブル基板の該銅箔
を、硫酸、過硫酸塩、硝酸および有機酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む液で化学研磨処理することにより、その平均面粗さ(Ra−1)を40〜70nmに、あるいは中心線平均粗さ(Ra−2)を40〜50nmにしたフレキシブル基板に、
(a)感光性樹脂層の厚みが1〜25μmであり、支持体フィルムの厚みが5〜20μmであり、保護層の厚みが25〜60μmである感光性樹脂積層体の該保護層を剥がしながらラミネートし、
(b)所望の配線パターンに対応した露光を行い、露光された部分の感光性樹脂を光硬化させて硬化レジストを得、
(c)現像により、未露光部分の感光性樹脂を除去し、
(d)エッチングにより硬化レジストに覆われていない基板の銅箔層を除去するか、または、めっきにより硬化レジストに覆われていない部分にめっき金属を析出させた後、
(e)剥離により、硬化レジストを除去する
ことを含むCOF用配線板の製造方法の発明を提供する。
【0010】
また、本願は、以下の発明も提供する。
(2)フレキシブル基板に感光性樹脂積層体をラミネートする方法として、常圧、減圧あるいは真空の環境下、1対以上のホットロールにより、フレキシブル基板と感光性樹脂積層体をロール圧着させる方法を用いることを特徴とする上記(1)に記載のCOF用配線板の製造方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載のCOF用配線板の製造方法で作製されたCOF用配線板。
(4)感光性樹脂層中にイミダゾール二量体化合物を0.1〜6質量%含有することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のCOF用配線板の製造方法に用いられる感光性樹脂積層体。
【0011】
本願発明で用いられるフレキシブル基板は、ポリイミド、ポリエステル等の有機ポリマーフィルムに銅箔を積層した基板であり、有機ポリマーフィルムの具体例としては、カプトン(登録商標、東レ・デュポン社製)、ユーピレックス(登録商標、宇部興産製)などのポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
銅箔の積層方法には、めっき法、キャステイング法、ラミネート法等が挙げられる。キャスティング法は、銅箔上にポリマー液を塗布、場合によって乾燥、熱反応させることでフレキシブル基板を作製し、ラミネート法は、銅箔と有機ポリマーフィルムを接着層を介して貼り合わせて作製する。2つの方法は、あらかじめ製造された銅箔を用いることで共通しており、この銅箔の種類により、フレキシブル基板のもともとの銅表面形状が決定される。
【0012】
COF用配線板のためのフレキシブル基板は、有機ポリマーフィルム層の厚みが10〜100μmであり、銅箔の厚みは、1〜35μmであることが好ましく、特に好ましくは3〜18μmである。
本願発明で用いられる感光性樹脂積層体は、支持体フィルムと保護フィルムの間に感光性樹脂層を挟み込んだ積層フィルムであり、感光性エレメント、感光性フィルムあるいはドライフィルム(レジスト)と呼ばれることもある。
支持体フィルムは、平滑性が高く、露光に用いられる活性光線に対して透過性が高い有機ポリマーフィルムが用いられる。支持体フィルムの厚みは、5〜20μmが好ましく、特に好ましくは、9〜16μmである。支持体としての強度を保つ上で5μm以上が好ましく、微細な配線を作るために感光性樹脂の解像性を良好に保つ上で20μm以下が好ましい。
【0013】
このような支持体フィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリメタクリル酸メチル共重合体、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン共重合体、ポリアミド、セルロース誘導体等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートが用いられる。
ここで用いられる感光性樹脂層としては、(a)(メタ)アクリル酸等のカルボン酸を含有するポリマー、(b)分子内に少なくとも1つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する光重合モノマーおよび(c)光開始剤から構成されるものが用いられる。
【0014】
ここで、(c)成分の光開始剤は、活性光線によりラジカルを発生する化合物である。このような光開始剤としては、COF用配線板の製造の点で、イミダゾール二量体化合物を含むことが好ましい。このイミダゾール二量体化合物は、解像性と銅面との密着性を高くする効果があるからである。
この量としては、感度の点から、0.1〜6質量%含むことが好ましく、0.5〜4質量%含むことが特に好ましい。0.1質量%未満では、感度の効果が期待できず、6質量%を超えると光開始能力が飽和する。
【0015】
上記イミダゾール二量体化合物としては、具体的には、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体(例えば黒金化成製、ビイミダゾール、商品名)、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾリル二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2、2’、5−トリス−(o−クロロフェニル)−4−(3、4−ジメトキシフェニル)−4’、5’−ジフェニル−1,1’−イミダゾリル二量体、2,2’,4,4’−テトラ−(o−クロロフェニル)−5,5’−ビス−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,1’−イミダゾリル二量体、2,2’−ビス−(o−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラ−(m−メトキシフェニル)−1,1’−イミダゾリル二量体等が挙げられる。
【0016】
感光性樹脂には、必要に応じて、染料、ラジカル重合禁止剤、可塑剤等を加えても良い。この感光性樹脂混合物をコーティングに適する粘度にするために適量の溶剤を加えて、支持体フィルムにコーティング後、乾燥し、保護フィルムを積層することにより感光性樹脂積層体を得る。
感光性樹脂層の厚みは、1〜25μmが好ましく、特に好ましくは4〜15μmである。感光性樹脂のコーティングを容易にするために1μm以上が好ましく、30μm以下の導体ライン幅の回路を得る上で25μm以下が好ましい。
【0017】
感光性樹脂積層体に用いられる保護フィルムは、平滑性が高く支持体フィルムより感光性樹脂層との粘着性が低い有機ポリマーフィルムが用いられる。厚みは25〜60μmが好ましく、特に好ましくは30〜50μmである。保護フィルム自体の平滑性を保つ上で25μm以上が好ましく、感光性樹脂積層体のフィルムとしての操作性を保つ上で60μm以下が好ましい。
保護フィルムの例としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンやポリエステルあるいはシリコーン処理又はアルキッド処理により剥離性を向上させたポリエステル等が挙げられる。好ましくはポリエチレンが用いられる。
【0018】
次に、COF用配線板の製造の具体的な例を説明する。
(1)ラミネート工程:感光性樹脂積層体の保護フィルムを剥がしながら感光性樹脂層とフレキシブル基板の銅面とが接着する重ね方で、上下1対のホットロールの間を通すことにより圧着させる。
ロール温度は50〜120℃、ラミネート速度は0.1〜6m/分であることが好ましい。上下1対のロールは、エアーシリンダー、あるいはばねによりピンチされており、圧力はラミネートロールの単位長さ当たりの圧力として、0.1〜1MPa/cmが好ましく、0.2〜0.5MPa/cmがより好ましい。
ラミネーターとしては、1対のラミネートロールを用いる1段式ラミネーター、2対以上のラミネートロールを用いる多段式ラミネーター、ラミネートする部分を容器で覆った上で真空ポンプで減圧あるいは真空にする真空ラミネーター等が使用される。ラミネート時のエアーの混入を抑制する上で、真空ラミネーターが好ましい。
【0019】
(2)露光工程:所望の配線パターンを紫外線光源を用いて露光する。
配線パターンが描画されたフォトマスクを支持体フィルム上に微小なギャップを介して乗せたり、あるいは密着させたりして露光する。また、投影レンズを用いてフォトマスク像を感光性樹脂層に結像させて露光する。フォトマスク像を投影して露光する場合、支持体フィルムを剥離して露光しても良いし、支持体フィルムがついたまま露光しても良い。 紫外線光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプなどが挙げられる。より微細なレジストパターンを得るためには平行光光源を用いるのが好ましい。
【0020】
(3)現像工程:支持体フィルムが残っている場合は、支持体フィルムを剥離した後、アルカリ現像液を用いて感光性樹脂層の未露光部分を溶解または分散除去して、硬化レジストパターンを基板上に形成する。
現像工程で用いられるアルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が挙げられる。最も一般的には、0.2〜2質量%の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
【0021】
(4)回路形成工程:形成された硬化レジストパターン上からエッチング液を用いてレジストパターンに覆われていない銅面をエッチングする、またはレジストパターンによって覆われていない銅面に銅、はんだ、ニッケルおよび錫等のめっき処理を行う。
(5)剥離工程:レジストパターンをアルカリ剥離液を用いて基板から除去する。
剥離工程で用いられるアルカリ水溶液としては、現像で用いたアルカリ水溶液よりもさらに強いアルカリ性であり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アミン化合物等が挙げられる。最も一般的には1〜5質量%の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの水溶液が用いられる。
【0022】
フレキシブル基板の表面粗さは、JIS B 0601で規定された方法によりAFM(原子間力顕微鏡)によって測定する。この測定から、中心線平均粗さ(Ra−2)、最大高さ(Rmax)、十点平均粗さ(Rz)等が求められる。
さらに、設定された面全体の粗さも測定できる。この面測定からは、平均面粗さ(Ra−1、その面より高い部分の面積と低い部分の面積とが等しくなるような面からの高さの絶対値の平均)、最大高低差(P−V、面内の最も高い山頂と最も低い谷底との差)、自乗平均面粗さ(RMS、その面より高い部分の面積と低い部分の面積とが等しくなるような面からの高さの自乗の平均)等が求められる。
【0023】
AFMでは、正方形状の面について測定するが、1辺の長さは200〜800μmが好ましい。粗さ値がフレキシブル基板の面状態を正確に反映する点で200μm以上が好ましい。
COF用配線板に用いるフレキシブル基板の銅面の表面粗さとしては、Ra−1あるいはRa−2が、10〜200nmであり、好ましくは20〜100nmである。工業生産的に製造が難しい点で10nm以上が良く、ラミネート後のエアーの混入を抑制する点で200nm以下が良い。
【0024】
従来使用されてきたフレキシブル基板の銅面の表面粗さは、平均面粗さ(Ra−1)あるいは中心線平均粗さ(Ra−2)として、200nmを越える基板だったが、これに対して硫酸、過硫酸塩、硝酸および有機酸から選ばれる少なくとも1種を含む液で化学研磨処理することにより、平均面粗さ(Ra−1)あるいは中心線平均粗さ(Ra−2)を10〜200nmにすることによりラミネート後のエアー混入を著しく抑制することができる。
また、上記化学研磨に代えて機械研磨を採用してもよい。機械研磨の例としては、バフロール研磨、スクラブ研磨、ベルトサンダー研磨等が挙げられる。
ラミネートする前にフレキシブル基板に施す前処理液としては、銅を腐食させる能力を持つ酸性の液である。必要に応じ、25〜50℃に加温して、浸漬法やスプレー法で基板を処理する。
【0025】
前処理液としては、硫酸と過酸化水素水の混合液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウムの水溶液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウムの水溶液と硫酸の混合液、硝酸と硝酸金属塩と有機酸の混合物水溶液、酢酸金属塩と有機酸の混合物水溶液等が挙げられ、有機酸としては、ギ酸、酢酸、リンゴ酸、アクリル酸、グリコール酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
化学研磨剤、ソフトエッチング剤あるいは表面粗化剤として市販されている薬液も上記成分を含むものであれば使用できる。例としては、CPE−900、CPE−500(いずれも三菱ガス化学製、商品名)、CZ−8100、CB−801(いずれもメック製、商品名)が挙げられる。
以下、実施例により本発明の実施の形態の例をさらに詳しく説明する。
【0026】
【実施例】
1)フレキシブル基板の表面粗さ測定
原子間力顕微鏡ナノピックス1000(セイコーインスツルメンツ社製)を使用し、観察モードとしてDFM(共振モード;Dynamic Force Mode)を用いた。Ra−1を求める面測定の場合、200μm×200μmのエリアを測定した。Ra−2を求める線測定の場合、測定長が200μm、カットオフ値が65μmで測定した。
2)感光性樹脂積層体の調製
以下に述べる実施例および比較例に示す化合物の混合溶液を支持体フィルム上に均一に塗布し、90℃の乾燥機中で1分間乾燥して、7μm厚みの感光性樹脂層を形成した。さらに感光性樹脂層の上に保護フィルムを張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
【0027】
3)配線板作製
(ラミネート)
ラミネーターAL−70(旭化成製、商品名)を用いて、フレキシブル基板に感光性樹脂積層体をラミネートした。その条件は、ラミネート速度:2m/分、ラミネートロール温度:105℃、ラミネート圧力:0.22MPa/cmとした。
(露光)
クロムガラスフォトマスクを支持体フィルム上に置き、超高圧水銀ランプを有する露光機(HMW−801:オーク製作所製)を用いて、100mJ/cm2 の露光量で感光性樹脂層を露光した。ここで露光された部分は、硬化レジストとなる。
【0028】
(現像)
支持体フィルムを除去し、0.4wt%炭酸ソーダ水溶液を30℃で、スプレー圧が0.15MPaで20秒間スプレーすることにより、感光性樹脂層の未露光部を除去した。
(エッチング)
塩化第二銅エッチング液を50℃で、スプレー圧が0.12MPaで20秒間スプレーすることにより、硬化レジストで覆われていない部分の銅をエッチングした。
(剥離)
3%水酸化ナトリウム水溶液を50℃、スプレー圧が0.2MPaで30秒間スプレーすることにより、硬化レジストを剥離した。
【0029】
[ラミエアー個数評価]
上記3)の配線板作製の(ラミネート)工程後のフレキシブル基板を光学顕微鏡で調べ、1×6cmのエリアのエアー(ラミエアー)個数を記録し、次の基準でランク分けした。
◎:エアー個数が0個の場合
○:エアー個数が1〜5個の場合
△:エアー個数が6〜20個の場合
×:エアー個数が21個以上の場合
【0030】
[導体パターン形成評価]
3)の配線板作製で、露光、現像により、1cm長、18μm幅の硬化レジストラインが12μmのスペースを介して5本並んだ硬化レジストパターンを作製した。その後、3)の配線板作製に示した方法で、エッチング、剥離を行い、光学顕微鏡で導体パターンの形状を観察し、導体ラインが欠け、断線の個数から、次の基準でランク分けした。
◎:導体ラインに欠け、断線が認められない。
○:導体ラインに5μm以上の欠けが5ヶ所以下で、断線は認められない。
△:導体ラインに5μm以上の欠けが6ヶ所以上あり、断線が認められない。
×:導体ラインに断線が1ヶ所以上ある。
【0031】
(実施例1)
フレキシブル基板として、エスパネックス(登録商標、新日鉄化学製)を用いた。このフレキシブル基板は、40μm厚みのポリイミドフィルムに12μm厚みの銅箔を積層したものであった。フレキシブル基板の表面粗さは、Ra−1が340nm、Ra−2が290nm、P−Vが2400nm、RMSが400nmだった。
ラミネート前にこのフレキシブル基板をCPE−900(三菱ガス化学製、商品名)の30体積%の水溶液(過酸化水素/硫酸系)に室温で1分間浸漬した。
【0032】
感光性樹脂積層体の感光性樹脂層としては、次の化合物を含有するものを用いた。
i)メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/スチレン/メタクリル酸=30/25/20/25重量比組成を有し、重量平均分子量が7万のカルボン酸含有ポリマー(35%固形分濃度のメチルエチルケトン溶液):142部(乾燥後の感光性樹脂中の含有量として53.8質量%)
ii) 2,2−ビス{4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル}プロパンであって、エチレングリコール反復単位数の平均が5であるもの(新中村化学社製、BPE−500)40部(乾燥後の感光性樹脂中の含有量として43質量%)
【0033】
iii)トリエチレングリコールービス[ 3−(3−t-ブチル−5−メチルー4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}[日本チバガイギー株製 IRGANOX(登録商標)245]0.1部(乾燥後の感光性樹脂中の含有量として0.11質量%)
iv) 2−(o−クロロフェニル)−4・5−ジフェニルイミダゾリル二量体(黒金化成製、ビイミダゾール、商品名)2部(乾燥後の感光性樹脂中の含有量として、2.2質量%)
v)N、N−テトラエチル−4,4−ジアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学製)0.4部(乾燥後の感光性樹脂中の含有量として、0.43質量%)
vi) ロイコクリスタルバイオレット(保土ヶ谷化学製)0.4部(乾燥後の感光性樹脂中の含有量として、0.43質量%)
【0034】
vii)マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学製)0.08部(乾燥後の感光性樹脂中の含有量として0.086質量%)
支持体フィルムは、AT301(帝人・デュポンフィルム社製、ポリエチレンテレフタレート、16μm厚み)、保護フィルムはT1−A742A(タマポリ社製、ポリエチレン、35μm厚み)を用いた。
フレキシブル基板の銅箔表面粗さは、Ra−1が70nm、Ra−2が50nm、P−Vが790nm、RMSが90nmだった。
ラミエアー個数は2個であり、ランクは○だった。
導体パターン形成性は、欠け、断線が認められず、ランクは◎だった。
【0035】
(実施例2〜3)
ラミネート前の薬液処理を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示した。
(実施例4)
実施例1のフレキシブル基板を、実施例1と同様な基板処理を行い、真空ラミネーター(日立インダストリィズ製)でラミネートした。真空度は1Torrで、ラミネート速度は2m/分で、ラミネートロール温度は105℃で、ラミネート圧力は0.22MPa/cmで行った。
フレキシブル基板の表面粗さは、Ra−1が70nm、Ra−2が50nm、P−Vが790nm、RMSが90nmだった。
ラミエアー個数は0個であり、ランクは◎だった。
導体パターン形成性は、欠け、断線が認められず、ランクは◎だった。
【0036】
(比較例1)
フレキシブル基板として、エスパネックス(登録商標、新日鉄化学製)を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。ラミエアー個数は58個であり、ランクは×だった。
導体パターン形成性は、断線が6ヶ所であり、ランクは×だった。
(比較例2)
フレキシブル基板として、マイクロラックス(登録商標、デュポン社製)を用いた以外は、実施例1と同様に評価した。このフレキシブル基板は、50μm厚みのポリイミドフィルムに12μm厚みの銅箔を積層したものであった。
【0037】
フレキシブル基板の表面粗さは、Ra−1が270nm、Ra−2が420nm、P−Vが3600nm、RMSが340nmだった。
ラミエアー個数は16個であり、ランクは△だった。
導体パターン形成性は、欠けが8ヶ所であり、ランクは△だった。
以上の実施例1〜4、比較例1〜2の結果を表1にまとめた。
上記の結果によれば、本発明のCOF用配線板製造方法を用いることにより、ラミネートによるエアーの混入が抑制できるため、微細な導体パターンを良好な品質で、歩留まり良く製造することが可能となる。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】
本発明のCOF用配線板製造方法は、フレキシブル基板に感光性樹脂積層体をラミネートする際にエアーの混入が少なく、その結果30μm以下の導体幅の回路をパターン異常無く、良好な収率で得られるため、COF用配線板の製造に極めて有用である。
Claims (3)
- 厚みが10〜100μmのフィルムに、銅箔を積層したフレキシブル基板の該銅箔を、硫酸、過硫酸塩、硝酸および有機酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む液で化学研磨処理することにより、その平均面粗さ(Ra−1)を40〜70nmに、あるいは中心線平均粗さ(Ra−2)を40〜50nmにしたフレキシブル基板に、
(a)感光性樹脂層の厚みが1〜25μmであり、支持体フィルムの厚みが5〜20μmであり、保護層の厚みが25〜60μmである感光性樹脂積層体の該保護層を剥がしながらラミネートし、
(b)所望の配線パターンに対応した露光を行い、露光された部分の感光性樹脂を光硬化させて硬化レジストを得、
(c)現像により、未露光部分の感光性樹脂を除去し、
(d)エッチングにより硬化レジストに覆われていない基板の銅箔層を除去するか、または、めっきにより硬化レジストに覆われていない部分にめっき金属を析出させた後、
(e)剥離により、硬化レジストを除去する
ことを含むCOF用配線板の製造方法。 - 請求項1に記載のCOF用配線板の製造方法で作製されたCOF用配線板。
- 感光性樹脂層中にイミダゾール二量体化合物を0.1〜6質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のCOF用配線板の製造方法に用いられる感光性樹脂積層体。
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