JP4521979B2 - 列車案内表示装置および列車案内表示システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、列車の運行状態を外部に案内表示する列車案内表示装置および列車案内表示システムに関し、特に、途中駅での乗り換えに関する情報を含んだ各種の列車案内をアナログ式の時計に対応させて表示することで運行状態を容易に認識できるようにした列車案内表示装置および列車案内表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道システムでは、利用者にダイヤ等の運行情報を報知するための1つの手段として列車案内表示装置が用いられている。一般的な列車案内表示装置としては、例えば、駅構内の改札口近くに設けられ、これから発車する複数本分の列車(例えば5列車分)が発車時刻順に発車番線と行先とを明示して表示されるようにしたものが知られている。
【0003】
ところで、上記のような一般的な列車案内表示装置は、乗車しようとする列車の出発までに現時刻からどの程度の余裕があるかを容易に知ることができないという欠点があった。例えば、列車案内表示装置に「○番線・9:18・○○線○○行」と表示されていて、現在、利用者(旅客)の所持している時計が「8:52」を示している場合、または、列車案内表示装置に時計が設けられていて、その時計の表示が「8:52」を示しているとき、乗車しようとする列車の出発までにどの程度の余裕があるかを計算して求めなければならないという不便があった。また、列車の運行状態に遅れが生じた場合には、さらに面倒な計算を行わなければならず不便であった。
【0004】
そこで、本出願人は、乗車しようとする列車等の出発までにどの程度の余裕があるかを容易に認識することのできる運行案内表示装置を提案している(特願2000−285122号参照)。この先願による運行案内表示装置は、アナログ式の時計に対応させて帯状の指標を移動表示するとともに、帯状の指標に関連付けて出発運行情報を表示するようにしたことで、列車等の出発予定時刻の直感的な表示を可能にしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような列車案内表示装置は、基本的に、設置された駅における列車案内(例えば、発車時刻や発車番線など)が表示されるため、途中駅で列車の乗り換えを行う必要がある場合、乗車駅に設置された列車案内表示装置の表示を確認だけでは、途中駅での乗り換え等に関する情報を得ることが難しかった。具体的には、乗車駅から途中駅までの移動に要する時間と途中駅での列車の乗り換え等に要する時間とを調べ、それらの所要時間を合計した時間と乗車駅における発車時刻とを基に、途中駅の時刻表を確認して乗り換え等が可能な列車に関する情報を得ることになるため、利用者にとっては不便であった。
【0006】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、途中駅での乗り換えに関する情報を含んだ各種の列車案内を利用者に分かり易く表示できる列車案内表示装置および列車案内表示システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明による列車案内表示装置は、アナログ式の時計に対応して移動する複数の帯状の指標を基に、複数の路線についての列車の運行状態を外部に案内表示する列車案内表示装置であって、所定の配列に従って時刻目盛りを表示する目盛り表示手段と、前記時刻目盛りに対応する位置に現在時刻を示す指標を表示する現在時刻表示手段と、前記時刻目盛りの配列範囲内における一定の時間帯に対応した長さを有する帯状の指標であって、乗車駅における第1路線に対応した第1の帯状の指標と、前記第1路線から第2路線に列車の乗り換えを行う途中駅における前記第2路線に対応した第2の帯状の指標とを前記時刻目盛りに沿ってそれぞれ表示する帯状指標表示手段と、前記第1の帯状の指標の一方の端部に対する前記第2の帯状の指標の一方の端部の表示位置を、前記乗車駅における第1路線の列車の発車時刻までの待ち時間と、前記乗車駅から前記途中駅までの移動にかかる駅間所要時間と、前記途中駅における第1路線から第2路線への乗り換えにかかる乗り換え時間との合計時間に応じてオフセットするオフセット手段と、前記第1の帯状の指標の一方の端部と前記現在時刻を示す指標との相対的な位置関係に応じて前記第1路線の列車の現在の運行状態が案内されるように、前記第1の帯状の指標の表示位置を移動させる移動手段と、前記第1の帯状の指標で示される時間帯に前記乗車駅を出発する第1路線の列車の運行情報と、前記第2の帯状の指標で示される時間帯に前記途中駅を出発する第2路線の列車の運行情報とを、前記時刻目盛りおよび前記各帯状の指標に関連付けて表示する出発運行情報表示手段と、を備える。さらに、前記帯状指標表示手段は、列車の乗り換えを行う途中駅が複数あるとき、該各途中駅における各々の路線に対応させて、前記第2の帯状の指標に相当する複数の帯状の指標を表示する
【0010】
かかる構成では、目盛り表示手段および現在時刻表示手段によりアナログ式の時計が表示されるとともに、帯状指標表示手段により上記アナログ式時計に対応させて、乗車駅における第1路線に対応した第1の帯状の指標と、列車の乗り換えを行う途中駅における第2路線に対応した第2の帯状の指標とがそれぞれ表示される。また、第1の帯状の指標は、移動手段により現在時刻を示す指標とともに移動表示され、第2の帯状の指標は、オフセット手段により第1の帯状の指標に対して乗車駅における待ち時間、駅間所要時間および前記途中駅における乗り換え時間の合計時間に応じてオフセット表示される。さらに、第1、2路線に対応した各出発運行情報が、出発運行情報表示手段により、時刻目盛りおよび帯状の指標に関連付けて表示されるとともに、途中駅が複数あるとき、該各途中駅における各々の路線に対応させて、第2の帯状の指標に相当する複数の帯状の指標が表示される。これにより、乗車駅に設置された本装置によって、複数の途中駅における列車の乗り継ぎに関する情報が効率よく案内表示されるので、利用者は、途中駅で乗り換え可能な列車に関する情報を容易に得ることができるようになる。
【0011】
さらに、上記列車案内表示装置の移動手段は、前記現在時刻を示す指標の移動に追従させて前記第1の帯状の指標の表示位置を移動させ、前記第1路線の列車の運行状態に遅れが生じたときには、前記現在時刻を示す指標の移動に対する前記第1の帯状の指標の一方の端部側の移動を、当該運行状態の遅延時間に応じて遅らせるようにしてもよい。これにより、第1の帯状の指標の一方の端部と現在時刻を示す指標との相対的な位置関係により、第1路線の列車についての運行状態の遅れが表されるようになる。
【0013】
また、上記列車案内表示装置の具体的な構成として、列車の運行に関連する付帯情報を表示するコンテンツ表示手段を有するようにしてもよい。かかる構成により、列車の運行に関連する付帯情報が利用者に案内されるようになる。
本発明による列車案内表示システムは、上述した列車案内表示装置を複数有し、該各列車案内表示装置に接続する通信手段を介して、各々の列車案内表示装置の動作設定を一括して制御する中央制御装置を備えるものである。かかる構成では、複数の列車案内表示装置の各動作設定が中央制御装置によって一括制御されるようになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による列車案内表示装置の実施形態の構成を示す図である。また、図2は、図1の列車案内表示装置によって案内表示される路線モデルの一例を示す図である。
【0015】
図1において、本列車案内表示装置100は、列車案内を表示する表示器1と、それを制御する制御器10とを有し、図2の路線モデルにおいてA駅に設置されるものとする。
表示器1は、所定の広さの表示面1aを有する例えばプラズマディスプレイ等を備えていて、その表示面1a上には、ここでは、時計2、帯状の指標3a,3b、出発運行情報4a,4bおよびコンテンツ部8が表示される。
【0016】
時計2は、現在時刻を示す指標としての短針2aおよび長針2bを備えるとともに、時刻目盛りとしての文字盤2cを周囲に備えたアナログ式の時計からなり、短針2aおよび長針2bの表示位置の移動は、ここでは制御器10によって制御されるものとする。なお、2針式のアナログ時計(長針2bの1回転で1時間を計時し、短針2aの1回転で12時間を計時する)を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、1針式のアナログ時計(指針の1回転で12時間または24時間を計時する)とすることも可能である。また、ここでは時刻目盛りを円周に沿って配列するようにしたが、これ以外にも例えば、時刻目盛りを一直線上に配列してもよい。この場合、現在時刻を示す指標は上記時刻目盛り沿って直線的に移動するものとする。さらに、この時計2は、制御器10によって駆動されることなく単独で時刻を表示することのできる機械式または電気式の周知の時計とすることも可能である。加えて、本発明における現在時刻を示す指標は、時刻目盛りを指し示す針に限らず、例えば、現在時刻をデジタル表示した指標が時刻目盛りに沿って移動してもよく、あるいは、現在時刻に該当する時刻目盛りが、他の目盛りとは異なる形式で表示されるようにしても構わない。
【0017】
各帯状の指標3a,3bは、それぞれ、時計2の文字盤2cの外方を囲むように表示され、時刻目盛りの配列範囲内における一定の時間帯に対応した長さを有する。ここでは例えば、列車の運行状態に遅れが生じていないとした場合に、後述するオフセットを0としたとき、40分間に対応した長さ(中心角で表すと240°に相当する)を保つように表示される。内側に位置する帯状の指標3aは、図2の路線モデルのA駅における路線Aの下り方面に対応し、外側に位置する帯状の指標3bは、図2の路線モデルのB駅における路線Bの下り方面に対応する。また、ここでは各々の指標3a,3bがそれぞれ異なる色彩で表示されているものとする。
【0018】
帯状の指標3aの表示位置は、基本的に長針2bの移動に追従して移動(回転)し、この帯状の指標3aに対してオフセットされた位置に帯状の指標3bが表示される。この帯状の指標3bのオフセット量は、A駅を次に発車する列車に乗車した場合にB駅で乗り換え可能となる列車に対応して設定される。なお、具体的な設定方法については後述することにする。
【0019】
また、ここでは、帯状の指標3aの一方の端部と長針2bとの相対的な位置関係に応じて、路線Aを下り方面に運行する列車の現在の運行状態が表されるものとし、図1の表示例では、列車がダイヤ通りに運行されている場合を示している。なお、列車の運行に遅れが生じたときの表示位置の移動方法については後述する。
【0020】
出発運行情報4a,4bは、帯状の指標3a,3bで示される時間帯に出発する列車の運行情報をそれぞれ表すものであり、円形マークが重ねて表示された帯状の指標に対応してA駅の路線AまたはB駅の路線Bが示され、円形マークの表示位置に対応する時刻目盛りによって各駅A,Bにおける発車時刻が示される。また、円形マーク内に示された数字に対応して各駅A,Bでの発車番線(列車の出発するプラットホームの番号)が示される。例えば、帯状の指標3a上の左上端部付近に位置する出発運行情報4aは、「A駅を2時53分に2番線から下り列車が出発する」ことを表示している。このように、帯状の指標3a,3b上に示されている各出発運行情報4a,4bは、時計2の長針2bからの時間がアナログ式に認識されるようになる。したがって、利用者は、A駅で乗車しようとする列車が出発するまでの時間を直感的に認識できるとともに、B駅で乗り換え可能な列車に関する情報を容易に得ることができるようになる。なお、出発運行情報4a,4bの表示方法およびそれによって示される情報の種類は、上記の一例に限定されるものではない。
【0021】
コンテンツ部8は、列車の運行に関する付帯情報を表示する。具体的には、例えば、各帯状の指標3a,3bに対応した路線の種類、各路線の運行状況などの情報が表示される。なお、このコンテンツ部8には、列車の運行情報に関する案内のみならず、所定の広告等を案内表示することも可能である。
図3は、制御器10の具体的な構成例を示したブロック図である。
【0022】
図3において、制御器10は、上記表示器1の表示内容を駆動制御するもので、全体を統括的に制御するCPUを中心に形成された制御部11を有している。制御部11には、表示部1の時計2の時刻を計数する時計部12と、電波時計、あるいはラジオの時報を受信して時刻を正規の時刻に修正する周知の時刻修正部13が接続されている。したがって、表示器1の時計2は、常時、正確な時刻を表示することができる。制御部11に接続されている画面作成部14は、表示器1の表示面1aの表示配列を決定できるように構成され、また、ニュース作成部15は、表示器1のコンテンツ部8に表示する内容を駆動制御できるように構成されている。
【0023】
制御部11に接続されているダイヤ16には、表示器1に表示する出発運行情報4a,4bに対応したダイヤ情報が予め記憶されている。ここでは、A駅における路線Aの下り方面のダイヤ情報およびB駅における路線Bの下り方面のダイヤ情報が記憶されることになる。また、ダイヤテーブル17は、ダイヤ16に記憶されているダイヤ情報に基づいて、表示器1の帯状の指標3a,3b上に表示する出発運行情報4a,4bを抽出するものである。
【0024】
制御部11に接続されているオフセット記憶部18aは、A駅で路線Aの下り列車に乗車した場合にB駅で路線Bの下り列車に乗り換えるときの所要時間が記憶される。具体的には、図1に示したように、A駅からB駅までの移動にかかる時間T1(以下、駅間所要時間T1とする)と、B駅において路線Aの降車場所から路線Bの乗車場所への移動にかかる時間T2(以下、乗り換え時間T2とする)とが記憶されることになる。このオフセット記憶部18aに記憶されるデータは、ここでは、オフセット設定部18bを介して設定されるものとする。したがって、オフセット記憶部18aおよびオフセット設定部18bがオフセット手段として機能することになる。
【0025】
上記のように制御部11によって統括的に制御された各部で生成される情報は、入出力処理部19で表示器1を駆動制御する制御信号に変換された後に表示器1へ出力される。
ここで、本実施形態の動作について具体的に説明する。
列車案内表示装置100の制御器10では、基本的に、上述の図1に示したような表示器1の表示面1aの表示配列が画面作成部14により決定されるとともに、時計部12で現在時刻が計時されて時計2の短針2aおよび長針2bが駆動表示される。また、外部から与えられる運行状態に関する情報およびオフセット記憶部18aの記憶データに応じて、ダイヤ16に記憶された情報が参照され、帯状の指標3a,3bの表示位置の移動制御および出発運行情報4a,4bの表示制御が行われる。
【0026】
各帯状の指標3a,3bの移動制御は、具体的には、まず、時計2の長針2bに対する帯状の指標3aの一方の端部の表示位置が路線Aの下り列車の運行状態によって決定される。そして、A駅を次に発車する列車に乗車した場合にB駅で乗り換え可能となる時刻に対応させて、帯状の指標3bの一方の端部の表示位置がオフセットされる。図1の表示例では、路線Aの下り列車がダイヤ通りに運行されている状況が示されていて、帯状の指標3aの一方の端部が、現在時刻2時50分を示す時計2の長針2bに揃えて表示される。一方、帯状の指標3bの一方の端部は、帯状の指標3a上に表示された出発運行情報4aのうちで次に発車する列車の発車時刻(図1では2時53分)に対して、駅間所要時間T1(図1では3分)に乗り換え時間T2(図1では2分)を加えた時刻、すなわち、2時58分に対応する位置に表示される。したがって、帯状の指標3aの一方の端部に対する帯状の指標3bの一方の端部のオフセット量は、A駅を次に発車する列車の待ち時間、駅間所要時間T1および乗り換え時間T2を合計した8(=3+3+2)分となる。
【0027】
上記のようにオフセット表示された帯状の指標3b上に、路線Bの下り列車に関する出発運行情報4bが案内表示されることで、利用者は、途中駅Bにおいて乗り換え可能な列車のダイヤ情報を、乗車駅Aに設置された列車案内表示装置100によって容易に認識することができるようになる。
ここで、列車案内表示装置100についてより具体的な表示例を図4および図5を用いて説明する。
【0028】
図4および図5には、例えば、前述の図2に示した乗車駅Aとして拝島駅、路線Aとして青梅線の立川方面、途中駅Bとして立川駅、路線Bとして中央本線の東京方面、降車駅Cとして東京駅をそれぞれ想定した場合の表示例が示してある。この場合、拝島駅から立川駅までの駅間所要時間T1と、立川駅での青梅線から中央線への乗り換え時間T2とを合計した時間(T1+T2)は、例えば13分に設定される。
【0029】
図4の表示例は、拝島駅に設置された列車案内表示装置100について、14時50分における表示状態を示したものである。この場合、利用者は、帯状の指標3a上に表示された青梅線の立川方面の出発運行情報を確認することで、14時50分に2番線から発車する東京行きの特別快速に乗車可能であることが分かる。この14時50分発の東京行き特別快速は、立川駅で中央本線に乗り入れて運行されるため、利用者は立川駅で列車を乗り換えることなく東京駅まで行くことができる。このような状況では、立川駅における中央本線の東京方面のダイヤ情報を示す帯状の指標3bの一方の端部が、13分(=T1+T2)後の15時03分の位置までオフセットされ、その端部に重ねて15時03分、立川駅5番線発、東京行き特別快速を示す出発運行情報が表示される。
【0030】
図5の表示例は、図4の表示例の1分後、すなわち、14時51分における表示状態を示したものである。この場合、利用者は、帯状の指標3a上に表示された青梅線の立川方面の出発運行情報を確認することで、6分後の14時57分に2番線から発車する立川行きの列車に乗車可能であることが分かる(待ち時間は6分)。このとき、帯状の指標3bの一方の端部は、14時57分発の立川行き列車から13分(=T1+T2)後の15時10分の位置までオフセットされていて、その帯状の指標3b上に表示された中央本線の東京方面の出発運行情報を確認することで、15時10分に立川駅の6番線から発車する東京行きの快速に乗り換え可能であることが分かる。
【0031】
このように列車案内表示装置100が設置される拝島駅におけるダイヤ情報と、乗り換えを行う立川駅におけるダイヤ情報とを1つのアナログ式時計2に対応させて表示し、立川駅のダイヤに対応した帯状の指標3bについては、拝島駅で乗車可能な列車の発車時刻を基準にして駅間所要時間T1および乗り換え時間T2の合計時間だけオフセットした位置に表示するようにしたことで、利用者は、拝島駅で乗車しようとする列車が出発するまでの時間を直感的に認識できるとともに、立川駅で乗り換え可能な列車に関する情報を容易に得ることができるようになる。
【0032】
ここで、列車の運行状態に応じた帯状の指標の移動制御についても具体的に説明しておく。
列車案内表示装置100の制御器10では、外部からの運行状態に関する情報とダイヤ16に記憶したダイヤ情報とを比較することで、路線Aの下り列車の運行状態がダイヤ通りであると判断された場合に、その路線Aに対応する帯状の指標3aの表示位置が、長針2bの移動に追従して右回りに回転移動される。一方、路線Aの下り列車の運行状態に遅れが生じていると判断された場合には、長針2bの移動に対する帯状の指標3aの一方の端部側の表示位置の移動を、当該運行状態の遅延時間に応じて遅らせる制御が行われる。
【0033】
例えば図6に示した帯状の指標3aは、上記のような遅れの生じた場合に該当する、列車案内表示装置100の表示例を示していて、帯状の指標3aに対応する路線では約2分の遅れが生じていることを表している。すなわち、長針2bの指す2時50分の位置に対して、帯状の指標3aの一方の端部は2時48分の位置にあることで、その相対的な位置の差Δaにより約2分の遅れが表現されている。なお、遅れていた列車が駅に到着し出発すると、該当する出発運行情報4aの表示が消され、帯状の指標3aの一方の端部がダイヤ通りの運行が行われている状態に戻される。また、途中駅Bに対応した帯状の指標3bは、帯状の指標3a上で次に発車する出発運行情報4aの表示状態に応じ、上述したダイヤ通りの運行状態の場合と同様にしてオフセット表示される。
【0034】
これにより利用者は、列車案内表示装置100を確認することで、路線Aの下り列車の運行状態を直感的に把握することが可能になるとともに、その運行状態に対応した途中駅Bでの乗り換え情報を容易に得ることができるようになる。
次に、本発明による列車案内表示システムについて説明する。
図7は、列車案内表示システムの実施形態の全体構成を示す図である。
【0035】
図7において、本列車案内表示システムは、上述の図1に示したものと同様の構成を有する複数の列車案内表示装置100と、該各列車案内表示装置100に通信手段としての通信部20を介して接続される、中央制御装置としての中央制御コンピュータ30と、を備えて構成される。また、通信部20は、ハブ(HUB)21に繋がれた各通信ケーブル22が各列車案内表示装置100および中央制御コンピュータ30にそれぞれ接続されている。なお、ここでは、各運行案内表示装置100および中央制御コンピュータ30の間をハブ21および通信ケーブル22を用いて接続するようにしたが、本発明の通信手段はこれに限らず、例えば無線信号を用いて各々の間を接続するようにしてもよい。
【0036】
図8は、中央制御コンピュータ30の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8において、中央制御コンピュータ30は、例えば、入力操作部31、制御情報作成部32、ダイヤ記憶部33、ダイヤ編集部34、コンテンツ記憶部35、コンテンツ編集部36および通信処理部37から構成される。入力操作部31では、遅延の発生などの運行状態に関する情報や、前述した駅間所要時間T1および乗り換え時間T2に関するオフセット情報などが入力され、該入力された情報に基づいて、制御情報作成部32では各列車案内表示装置100にそれぞれ対応した制御情報が作成される。ダイヤ記憶部33には、各列車案内表示装置100に伝達して記憶させる現行ダイヤが記憶される。このダイヤ記憶部33に記憶されたデータは、ダイヤ改正等が生じるとダイヤ編集部34における編集作業によって新しいデータに更新される。コンテンツ記憶部35には、各列車案内表示装置100のコンテンツ部8に表示させる各種の情報が記憶され、その記憶情報は、コンテンツ編集部36における編集作業によって新しい情報に更新される。各列車案内表示装置100に対してダイヤデータやコンテンツ情報の更新を行わせるときには、制御情報作成部32が、ダイヤ記憶部33やコンテンツ記憶部35の記憶データを読み込み、各列車案内表示装置100に対応した制御情報を作成する。制御情報作成部32で作成された各列車案内表示装置100に対する制御情報は、通信処理部37で所要のプロトコルに変換されて通信部20に出力され、通信部20を伝搬して各々の列車案内表示装置100に伝達される。
【0037】
上記のような列車案内表示システムでは、中央制御コンピュータ30から通信部20を介して各列車案内表示装置100に、運行状態に関する情報やオフセット情報、ダイヤの更新データなどがそれぞれ送られるようになる。これにより、各列車案内表示装置100に対する設定作業を、中央制御コンピュータ30を用いて一括して容易に行うことができる。
【0038】
なお、上述した実施形態では、帯状の指標を2路線分に対応した2本としたが、本発明における帯状の指標は、乗り換えを行う路線数に応じて3本以上とすることもできる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の列車案内表示装置によれば、列車の乗り換えを行う途中駅における第2路線に対応した第2の帯状の指標が、乗車駅における第1路線に対応した第1の帯状の指標に対して、乗車駅から途中駅までの間で列車の乗り換えに必要な時間に基づいてオフセット表示されるようにしたことで、利用者は、乗車駅に設置された本装置によって途中駅で乗り換え可能な列車に関する情報を容易に得ることができるとともに、乗車駅における列車の待ち時間を直感的に認識することが可能になる。これと同時に、列車の乗り換えを行う途中駅が複数あるとき、各途中駅における各々の路線に対応させて第2の帯状の指標を複数表示するようにしたことで、それぞれの途中駅における列車の乗り継ぎに関する情報を効率よく案内表示することができる。
【0040】
また、第1の帯状の指標と現在時刻を示す指標との相対的な位置関係に応じて列車の遅れを表すようにしたことで、運行状態の直感的な把握が可能になる。さらに列車の遅延等の所定の情報を表示するコンテンツ表示手段を設ければ、列車に関する情報等を報知することができる。
【0041】
また、本発明の列車案内表示システムによれば、中央制御装置から通信手段を介して制御情報を伝達して複数の列車案内表示装置の動作設定を一括して制御するようにしたことで、各列車案内表示装置に対する設定作業を中央制御装置により一括して容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による列車案内表示装置の実施形態の構成を示す図である。
【図2】同上実施形態の列車案内表示装置によって案内表示される路線モデルの一例を示す図である。
【図3】同上実施形態における制御器の具体的な構成例を示したブロック図である。
【図4】同上実施形態における具体的な表示例を示す図であって、14時50分における表示状態を表したものである。
【図5】同上実施形態における具体的な表示例を示す図であって、14時51分における表示状態を表したものである。
【図6】同上実施形態において列車に遅れが生じたときの表示例を示す図である。
【図7】本発明による列車案内表示システムの実施形態の全体構成を示す図である。
【図8】同上実施形態について中央制御コンピュータの機能構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 表示器
1a 表示面
2 時計
2a 短針
2b 長針
3a,3b 帯状の指標
4a,4b 出発運行情報
8 コンテンツ部
10 制御器
11 制御部(CPU)
18a オフセット記憶部
18b オフセット設定部
20 通信部
30 中央制御コンピュータ
100 列車案内表示装置
T1 駅間所要時間
T2 乗り換え時間

Claims (4)

  1. アナログ式の時計に対応して移動する複数の帯状の指標を基に、複数の路線についての列車の運行状態を外部に案内表示する列車案内表示装置であって、
    所定の配列に従って時刻目盛りを表示する目盛り表示手段と、
    前記時刻目盛りに対応する位置に現在時刻を示す指標を表示する現在時刻表示手段と、
    前記時刻目盛りの配列範囲内における一定の時間帯に対応した長さを有する帯状の指標であって、乗車駅における第1路線に対応した第1の帯状の指標と、前記第1路線から第2路線に列車の乗り換えを行う途中駅における前記第2路線に対応した第2の帯状の指標とを前記時刻目盛りに沿ってそれぞれ表示する帯状指標表示手段と、
    前記第1の帯状の指標の一方の端部に対する前記第2の帯状の指標の一方の端部の表示位置を、前記乗車駅における第1路線の列車の発車時刻までの待ち時間と、前記乗車駅から前記途中駅までの移動にかかる駅間所要時間と、前記途中駅における第1路線から第2路線への乗り換えにかかる乗り換え時間との合計時間に応じてオフセットするオフセット手段と、
    前記第1の帯状の指標の一方の端部と前記現在時刻を示す指標との相対的な位置関係に応じて前記第1路線の列車の現在の運行状態が案内されるように、前記第1の帯状の指標の表示位置を移動させる移動手段と、
    前記第1の帯状の指標で示される時間帯に前記乗車駅を出発する第1路線の列車の運行情報と、前記第2の帯状の指標で示される時間帯に前記途中駅を出発する第2路線の列車の運行情報とを、前記時刻目盛りおよび前記各帯状の指標に関連付けて表示する出発運行情報表示手段と、を備え、
    前記帯状指標表示手段は、列車の乗り換えを行う途中駅が複数あるとき、該各途中駅における各々の路線に対応させて、前記第2の帯状の指標に相当する複数の帯状の指標を表示することを特徴とする列車案内表示装置。
  2. 前記移動手段は、前記現在時刻を示す指標の移動に追従させて前記第1の帯状の指標の表示位置を移動させ、前記第1路線の列車の運行状態に遅れが生じたときには、前記現在時刻を示す指標の移動に対する前記第1の帯状の指標の一方の端部側の移動を、当該運行状態の遅延時間に応じて遅らせることを特徴とする請求項に記載の列車案内表示装置。
  3. 列車の運行に関連する付帯情報を表示するコンテンツ表示手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の列車案内表示装置。
  4. 請求項1〜のいずれか1つに記載の列車案内表示装置を複数有し、該各列車案内表示装置に接続する通信手段を介して、各々の列車案内表示装置の動作設定を一括して制御する中央制御装置を備えたことを特徴とする列車案内表示システム。
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